特許第6131514号(P6131514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンパニー ジェネラレ デ エスタブリシュメンツ ミシュランの特許一覧 ▶ ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニムの特許一覧

特許61315142層マルチストランド金属コードの製造方法
<>
  • 特許6131514-2層マルチストランド金属コードの製造方法 図000004
  • 特許6131514-2層マルチストランド金属コードの製造方法 図000005
  • 特許6131514-2層マルチストランド金属コードの製造方法 図000006
  • 特許6131514-2層マルチストランド金属コードの製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131514
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】2層マルチストランド金属コードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/06 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   D07B1/06 A
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-513171(P2015-513171)
(86)(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公表番号】特表2015-520810(P2015-520810A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】EP2013060564
(87)【国際公開番号】WO2013174896
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年3月17日
(31)【優先権主張番号】1254837
(32)【優先日】2012年5月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】バルゲ アンリ
(72)【発明者】
【氏名】クレマン エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ラペンヌ ティボー
(72)【発明者】
【氏名】ポティエ ティボー
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−061662(JP,A)
【文献】 特開昭58−191608(JP,A)
【文献】 特開2006−152483(JP,A)
【文献】 特表2013−527887(JP,A)
【文献】 特表2009−526138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/06
B60C 9/00、9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層マルチストランド金属コード(10)を製造する方法において、
‐ストランド(TI,TE)の外側層(16)を構成するN本のワイヤ(F2)を、前記ストランド(TI,TE)の内側層(12)を構成する2本のワイヤ(F1)回りに螺旋状に巻いて、前記ストランド(TI,TE)を形成し、
‐前記金属コード(10)の不飽和外側層(C2)を構成する、事前に形成されたL(Lは2以上)本の外側ストランド(TE)を、前記金属コード(10)の内側層(C1)を構成する、事前に形成されたK(Kは2以上)本の内側ストランド(TI)回りに螺旋状に巻き、
‐前記巻きコード(TI,TE)の過剰加撚を実施し、
‐前記過剰加撚済みコード(10)の釣り合わせステップを実施して、前記コード(10)中の残留トルクをゼロにし、
‐前記釣り合わされた過剰加撚済みコード(10)の解撚ステップを実施する、方法。
【請求項2】
前記K本の内側ストランドを螺旋状に巻く、請求項1記載の方法。
【請求項3】
‐各内側及び外側ストランドを形成し、
‐事前に形成された前記K本の内側ストランドを螺旋状に巻き、
‐事前に形成された前記L本の外側ストランドを、事前に螺旋状に巻かれた前記K本の内側ストランド回りに螺旋状に巻く、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
各ストランド(TI,TE)の前記外側層(16)を不飽和状態にする、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
前記金属コード(10)は、1%以上の構造的伸び率(As)を有する、請求項1〜のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記金属コード(10)は、1.5%以上の構造的伸び率(As)を有する、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
前記金属コード(10)は、2%以上の構造的伸び率(As)を有する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
前記金属コード(10)は、4.5%以上の破断時全伸び率(At)を有する、請求項1〜のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記金属コード(10)は、5%以上の破断時全伸び率(At)を有する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
前記金属コード(10)は、5.5%以上の破断時全伸び率(At)を有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
K=3又はK=4である、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
L=8又はL=9である、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
N=2、N=3、又はN=4である、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ、特に重産業車両用のタイヤを補強するために使用できるマルチストランドコードを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半径方向カーカス補強材を有するタイヤは、トレッドと、非伸長性ビードと、ビードをトレッドに連結する2つのサイドウォール、及びカーカス補強材とトレッドとの間に円周方向に配置されたベルト又はクラウン補強材とを有する。このベルトは、オプションとして、金属又は繊維材料(テキスタイル)型の補強要素又はレインフォーサ、例えばコード又はモノフィラメントで補強された複数枚のゴムプライを有する。
【0003】
タイヤベルトは一般に、「ワーキング(実働)」プライ又は「クロス」プライと呼ばれることがある少なくとも2枚の重ね合わされたベルトプライで形成され、ベルトの一般に金属製の補強コードは、プライ内で事実上互いに平行に、しかしながら、一方のプライと他方のプライとの間でクロス掛け関係をなし、即ち、対称であるにせよ非対称であるにせよいずれにせよ、中間円周方向平面に対して、検討対象のタイヤの形式に従って全体として10°〜45°の角度だけ傾斜するよう配置されている。これらクロスプライは、種々の他の補助ゴムプライ又は層で補完される場合があり、これら他の補助ゴムプライ又は層の幅は、場合に応じて様々であり、これら他の補助ゴムプライ又は層は、レインフォーサ(reinforcer)又は補強要素を有している場合もあればそうでない場合もある。簡単なゴムクッションの例示として、ベルトの残部を外部からの攻撃や穴あけから保護する役割を有する「保護」プライ又はクロスプライに対して半径方向外方に位置しているか半径方向内方に位置しているかとは無関係に、実質的に円周方向に差し向けられたレインフォーサを含む「たが掛け(hooping )」プライ(「ゼロ度プライ」と呼ばれているプライ)が挙げられる。
【0004】
特に建設プラント型の重産業車両のタイヤは、多数の攻撃を受ける。具体的に説明すると、この種のタイヤは、通常、凸凹の路面上を走行し、場合によっては、その結果としてトレッドに穴が開く。これら穴開きにより、腐食性の作用剤、例えば空気や水の侵入を可能にし、かかる腐食性の作用剤は、クラウン補強材の金属レインフォーサを酸化させタイヤの有効寿命をかなり短くする。
【0005】
重産業車両のタイヤ用の保護プライのためのコードは、先行技術から知られている。このコードは、4×(1+5)型の構造を有し、かかるコードは、各々が1本のワイヤで構成された内側層及びこの内側層のワイヤ回りに螺旋状に巻かれた5本のワイヤで構成された外側層を有する4本のストランドから成っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この先行技術のコードは、許容可能な耐腐食性及び弾性を有するが、破断時力が比較的制限されており、かかる破断時力は、幾つかの使用については満足のいくものであるが、特定の使用、特に重産業車両のタイヤ用のコードの場合には十分ではない。
【0007】
かくして、本発明の目的は、耐腐食性であり且つ高い破断時力を有するマルチストランドコードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明の要旨は、2層マルチストランド金属コードを製造する方法において、
‐ストランドの外側層を構成するN本のワイヤをストランドの内側層を構成する2本のワイヤ回りに螺旋状に巻いてストランドを形成し、
‐金属コードの不飽和外側層を構成する、事前に形成されたL(Lは2以上)本の外側ストランドを、金属コードの内側層を構成する、事前に形成されたK(Kは2以上)本の内側ストランド回りに螺旋状に巻き、
‐巻きコードの過剰加撚を実施し、
‐過剰加撚済みコードの釣り合わせステップを実施してコード中の残留トルクをゼロにし、
‐釣り合わされた過剰加撚済みコードの解撚ステップを実施することを特徴とする方法にある。
【0009】
マルチストランドコード(K+L)×(2+N)に施される一連の過剰加撚(オーバーツイスティング:所定よりも多く撚ること)ステップ、釣り合わせステップ及び解撚ステップにより、ベンチレーテッド(通風型)コード、即ち軸方向(ストランドの軸線方向に垂直な方向)に関してワイヤが分離されると共に軸方向(コードの軸線方向に垂直な方向)に関してストランドが分離されていることを特徴とするコードを得ることができる。具体的に言えば、ストランドを構成するワイヤとコードを構成するストランドは、過剰加撚ステップ中に塑性変形され、かくして、解撚ステップに続き、過剰加撚ステップ前のコードの初期曲率と比較して過剰の曲率を有する。この比較的大きな過剰曲率は、コードが休息状態にあるとき、特にコードが引っ張り力を受けていないとき、ストランドを構成するワイヤとコードを構成するストランドを軸方向に分離させる。この曲率は、ワイヤ又はストランドの各層の螺旋直径と螺旋ピッチ又は実際にはワイヤ又はストランドの各層の螺旋角度(コードの軸線から測定された角度)の両方によって定められる。
【0010】
このようにして製造されたコードは、“HE”型のものであり、即ち、高い弾性を有し、高い侵入性を有する。コードを弾性に作ることに加えて、ストランドの軸線及びコードの軸線に対するそれぞれのワイヤ及びストランドの分離により、ゴムが、各ストランドのワイヤ相互間及び互いに異なるストランド相互間を通るようになる。かくして、耐腐食性が向上する。
【0011】
定義上、ストランドの不飽和層は、この層中に、この層のL本のストランドと同一の直径を有する少なくとも1本の(L+1)番目のストランドをこの層に追加するのに十分な余地が存在するようなものであり、かくして、複数本のストランドが互いに接触関係をなすことが可能である。これとは逆に、この層は、この層のL本のストランドと同一の直径を有する少なくとも1本の(L+1)番目のストランドをこの層に追加するのに足るほどの余地がこの層中に存在しない場合に飽和状態であると呼ばれる。
【0012】
コードは、高い耐腐食性を有する。具体的に言えば、コードの外側層の不飽和により、2本の外側ストランド相互間にゴムのための少なくとも1つの通路開口部を作ることができ、その結果、ゴムは、タイヤの加硫中、効果的に侵入することができるようになる。各ストランドの2+N構造は、ゴムの通過を増強する。具体的に言えば、各ストランドは、細長い輪郭を備えたエンベロープを有し、これは、隣り合うストランドが互いに接触しないようにするのを促進し、かくして、ゴムの通過を促進する。
【0013】
さらに、コードは、顕著な強度特性を有する。コードの強度は、破断時におけるその力の値によって測定可能であり、かかる強度は、力に対する構造強度のその能力を特徴付けている。
【0014】
コードのマルチストランド構造(K+L)×(2+N)は、コードの優れた機械的強度、特に高い破断時力を与える。
【0015】
コードのこの構造により、比較的高い直線密度を有する保護クラウンプライ、例えばワーキング(実働)プライ又はクロスプライを製造することが可能である。かくして、タイヤの強度が大幅に向上する。
【0016】
コードが保護プライ中に用いられる場合、保護プライは、その高い侵入性により且つその高い弾性により、高い弾性を備えると共に高い耐腐食性を備え、高い侵入性により、ゴムは、コードを腐食性の作用剤から保護することができ、高い弾性により、コードは、路面とは無関係に容易に変形することができる。
【0017】
コードがワーキングプライ又はクロスプライ中に用いられる場合、コードは、その高い機械的強度、特にその圧縮疲労強度により、特に「割裂(cleavage)」と呼ばれているタイヤのショルダ領域中のクロスプライの端部の分離/亀裂発生現象に関して高い耐久性を与える。
【0018】
「金属コード」という表現は、定義上、ワイヤで作られたコードを意味するものと理解され、これらワイヤは、大部分(即ち、これらワイヤの50%超)又は全体(ワイヤの100%)が金属材料で作られている。本発明は、好ましくは、スチールコード、より好ましくは以下において「炭素鋼」と呼ばれているパーライト(又はフェライト‐パーライト)炭素鋼又はステンレス鋼(定義上、スチールは、少なくとも11%クロム及び少なくとも50%鉄を含む)で作られたコードを用いて実施される。しかしながら、当然のこととして、他のスチール又は他の合金を用いることが可能である。
【0019】
炭素鋼を用いる場合、その炭素含有量(スチールの重量%)は、好ましくは、0.4〜1.2%、特に0.5%〜1.1%であり、これら含有量は、タイヤに必要な機械的性質とワイヤの実現可能性との良好な妥協点を表している。注目されるべきこととして、0.5%〜0.6%の炭素含有量がかかるスチールを最終的にコスト安にすることができる。というのは、かかるスチールは、引抜きが容易だからである。また、本発明の別の有利な実施形態では、意図した用途に応じて、特にコスト安及び高い引抜き容易性に鑑みて、低炭素含有量、例えば0.2%〜0.5%の炭素含有量を有するスチールが使用される。
【0020】
用いられる金属又はスチールは、特にこれが炭素鋼であるにせよステンレス鋼であるにせよいずれにせよ、それ自体、金属層で被覆されるのがよく、この金属層は、例えば、金属コード及び(又は)その構成要素の加工性又はコード及び(又は)タイヤそれ自体の使用特性、例えば、接着性、耐腐食性又は耐老化性を向上させる。
【0021】
好ましい一実施形態によれば、用いられるスチールは、黄銅(Zn‐Cu合金)又は亜鉛の層で覆われる。思い起こされることとして、ワイヤの製造プロセス中、黄銅又は亜鉛被膜は、ワイヤの引抜き並びにゴムへのワイヤの付着を容易にする。しかしながら、ワイヤは、例えばこれらワイヤの耐腐食性及び/又はゴムへのワイヤの付着性を向上させる機能を持つ黄銅又は亜鉛以外の薄い金属層、例えばCo、Ni、Al又は金属であるCu、Zn、Al、Ni、Co、Snのうち2種又は3種以上の合金の薄い層で覆われても良い。
【0022】
当業者であれば、スチールの組成及びこれらワイヤの最終加工硬化度をその特定の特別な要件に応じて調節することにより、そして例えば特定の追加の元素、例えばCr、Ni、Co、V又は種々の他の既知の元素を含むマイクロ合金化炭素鋼を用いることによってかかる特性を備えたスチールワイヤをどのように製造するかを知っている(これについては、例えば、(「マイクロ‐アロイド・スチール・コード・コンストラクションズ・フォア・タイヤズ(Micro-alloyed steel cord constructions for tyres)」,リサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)34984,1993年5月;「ハイ・テンシル・ストレングス・スチール・コード・コンストラクションズ・フォア・タイヤズ(High tensile strength steel cord constructions for tyres)」,リサーチ・ディスクロージャ(Research Disclosure)34054,1992年8月を参照されたい)。
【0023】
好ましくは、K本の内側ストランドを螺旋状に巻く。
【0024】
好ましくは、次の順序で、即ち、
‐各内側及び外側ストランドを形成し、
‐事前に形成されたK本の内側ストランドを螺旋状に巻き、
‐事前に形成されたL本の外側ストランドを、事前に螺旋状に巻かれたK本の内側ストランド回りに螺旋状に巻く。
【0025】
有利には、各ストランドの外側層を不飽和状態にする。
【0026】
定義上、ワイヤの不飽和層は、この層中に、この層のN本のワイヤと同一の直径を有する少なくとも1本の(N+1)番目のワイヤをこの層に追加するのに十分な余地が存在するようなものであり、かくして、複数本のワイヤが互いに接触関係をなすことが可能である。これとは逆に、この層は、この層のN本のワイヤと同一の直径を有する少なくとも1本の(N+1)番目のワイヤをこの層に追加するのに足るほどの余地がこの層中に存在しない場合に飽和状態であると呼ばれる。
【0027】
腐食からのコードの保護の程度は、コードの外側層の不飽和に関して説明した理由と同様な理由で向上する。特に、ゴムは、コードの内側層のストランドにより画定された中央チャネルまで侵入するようになる。かくして、かかるコードでは、ゴムは、各ストランド内及びストランド相互間に侵入する。
【0028】
好ましくは、金属コードの破断時力は、4000N以上、好ましくは5000N以上、より好ましくは6000N以上である。
【0029】
好ましくは、金属コードの破断時全伸び率At、即ち、その構造伸び率、弾性伸び率及び塑性伸び率の合計(At=As+Ae+Ap)は、4.5%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは5.5%以上である。
【0030】
構造的伸び率Asは、マルチストランドコード及び/又はその要素ストランド(素線)の構成及び実際の通気状態並びに更に該当する場合にはこれら要素ストランド及び/又はワイヤのうちの1本又は2本以上に対して行われる予備成形によりこれらの固有の弾性の結果として生じる。
【0031】
弾性伸び率Aeは、個々に取られた金属ワイヤの金属の実際の弾性の結果として生じる(フックの法則)。
【0032】
塑性伸び率Apは、個々に取られたこれら金属ワイヤの金属の弾性(降伏点を超える非可逆的変形)の結果として生じる。
【0033】
これら種々の伸び率及びその意味(これらは、当業者には周知である)は、米国特許第5843583号明細書、国際公開第2005/014925号パンフレット及び同第2007/090603号パンフレットに記載されている。
【0034】
有利には、金属コードは、1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上の構造的伸び率Asを有する。
【0035】
有利には、K=3又はK=4である。
【0036】
好ましくは、L=8又はL=9である。
【0037】
有利には、N=2、N=3、又はN=4である。
【0038】
好ましいコードは、構造(3+8)×(2+2)、(3+8)×(2+3)、(3+8)×(2+4)、(4+8)×(2+2)、(4+8)×(2+3)、(4+8)×(2+4)、(4+9)×(2+2)、(4+9)×(2+3)、及び(4+9)×(2+4)のコードである。
【0039】
ここで思い起こされるように、知られているように、ピッチは、コードの軸線に平行に測定された長さを表し、その後、このピッチを有するワイヤは、このコードのかかる軸線回りに丸一回転する。
【0040】
オプションとしての特徴によれば、
‐K本の内側ストランドの各々の内側ワイヤを3.6〜16mm(両端の値を含む)、好ましくは4〜12.8mm(両端の値を含む)のピッチで螺旋状に巻く。
‐K本の内側ストランドの各々の内側ワイヤの直径は、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。
‐K本の内側ストランドの各々の内側ワイヤのピッチと直径の比は、20〜40(両端の値を含む)である。
‐K本の内側ストランドの各々の外側ワイヤを3.1〜8.4mm(両端の値を含む)、好ましくは3.4〜6.7mm(両端の値を含む)のピッチで螺旋状に巻く。
‐K本の内側ストランドの各々の外側ワイヤの直径は、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。
‐K本の内側ストランドの各々の外側ワイヤのピッチと直径の比は、17〜21(両端の値を含む)である。
【0041】
かくして、一定の直径では、外側ワイヤは、好ましくは、内側のワイヤのピッチよりも短いピッチを有する。K本のストランドの各々の弾性が向上する。
【0042】
好ましくは、K本の内側ストランドの各々の内側層及び外側層を同一の加撚方向に巻く。コードの弾性の促進に加えて、内側層及び外側層を同一の方向に巻くことにより、2つの層相互間の摩擦力が最小限に抑えられ、従ってこれら層を構成するワイヤに対する摩耗が最小限に抑えられる。
【0043】
他のオプションの特徴によれば、
‐L本の外側ストランドの各々の内側ワイヤを7.2〜32mm(両端の値を含む)、好ましくは8〜25.6mm(両端の値を含む)のピッチで螺旋状に巻く。
‐L本の外側ストランドの各々の内側ワイヤの直径は、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。
‐L本の外側ストランドの各々の内側ワイヤのピッチと直径の比は、40〜80(両端の値を含む)である。
‐L本の外側ストランドの各々の外側ワイヤを4.1〜13.2mm(両端の値を含む)、好ましくは4.6mm〜10.6mm(両端の値を含む)のピッチで螺旋状に巻く。
‐L本の外側ストランドの各々の外側ワイヤの直径は、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。
【0044】
L本の外側ストランドの各々の外側ワイヤのピッチと直径の比は、23〜33(両端の値を含む)である。
【0045】
かくして、一定の直径では、外側ワイヤは、好ましくは、内側ワイヤのピッチよりも短いピッチを有する。L本のストランドの各々の弾性が向上する。
【0046】
好ましくは、L本の外側ストランドの各々の内側層及び外側層を同一の加撚方向に巻く。したがって、内側ストランドと同様な仕方で、このコードの弾性及び耐摩耗性が向上する。
【0047】
さらに別のオプションとしての特徴によれば、
‐内側ストランドを3.6〜16mm(両端の値を含む)、好ましくは4〜12.8mm(両端の値を含む)のピッチで螺旋状に巻く。
‐各内側ストランドのピッチと各内側ストランドのワイヤの直径の比は、20〜40(両端の値を含む)である。かくして、各内側ストランドのワイヤの全ては、同一の直径を有する。
‐外側ストランドを7.2〜32mm(両端の値を含む)、好ましくは8〜25.6mm(両端の値を含む)のピッチで螺旋状に巻く。
‐外側ストランドのピッチと各外側ストランドのワイヤの直径の比は、40〜80(両端の値を含む)である。かくして、各外側ストランドのワイヤの全ては、同一の直径を有する。
【0048】
かくして、一定の直径では、外側ストランドは、好ましくは、内側ストランドのピッチよりも大きなピッチを有する。
【0049】
好ましくは、金属コードの内側層及び外側層を同一の加撚方向に巻く。この巻きにより、2つの層相互間の摩擦力は最小限に抑えられ、従って、これら層を構成するワイヤに対する摩耗が最小限に抑えられる。
【0050】
有利には、ワイヤ及びストランドの全てを同一の加撚方向に巻く。これにより、コードの弾性が高められる。
【0051】
強度と構造的伸長化又は弾性の能力と耐久性と可撓性との間の最適化された妥協点を得るため、各ストランドの外側ワイヤ及び内側ワイヤの全ての直径が(これらワイヤが同一の直径を有するにせよそうでないにせよいずれにせよ)0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)であることが好ましい。
【0052】
各ストランドに関し、内側ワイヤ及び外側ワイヤは、一方の層と他方の層との間で同一の直径を有しても良く異なる直径を有しても良い。好ましくは、一方の層と他方の層との間で同一の直径を有するワイヤが使用される。各ストランドの内側ワイヤは、好ましくは、スチール、より好ましくは炭素鋼で作られる。別個独立に、各ストランドの外側ワイヤは、好ましくは、スチール、より好ましくは炭素鋼で作られる。
【0053】
コードは、重車両、即ち、地下鉄車両、バス、路上輸送車両(ローリ、トラクタ、トレーラ)、オフロード車、農業機械又は建設プラント機械及び他の輸送又は取り扱い車両から選択された産業車両向きのタイヤのクラウン補強材のための補強要素として用いられることがことさら意図されている。
【0054】
好ましくは、タイヤは、上述したように、2つのビード内に繋留されると共に半径方向上にクラウン補強材が載ったカーカス補強材を有し、クラウン補強材自体の上にはトレッドが載っており、トレッドは、2つのサイドウォールによってビードに接合され、クラウン補強材はコードを有する。
【0055】
有利には、コードは、保護プライのための補強要素として用いられることが意図されている。変形例として、コードは、ワーキングプライのための補強要素として使用されることが意図されている。
【0056】
コードは又、他の実施形態では、他形式の車両向きのタイヤの他の部分を補強するために使用できる。
【0057】
かくして、例えば、コードをたが掛けプライ用の補強要素として用いることが想定できる。種々の実施形態によれば、かかるたが掛けプライは、1枚又は複数枚のカーカスプライと1枚又は複数枚のワーキングプライとの間、ワーキングプライ相互間、又は1枚又は複数枚のワーキングプライと1枚又は複数枚の保護プライとの間に半径方向に配置されるのが良い。
【0058】
本発明は、例示として与えられているに過ぎない以下の説明を図面を参照して読むと良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の方法により得られたコードの軸線(この軸線は、真っ直ぐであり且つ休息状態にあると仮定されている)に垂直な断面図である。
図2図1のコードのストランドの小サイズ、
図3図1のコードを有するタイヤの円周方向に垂直な断面図である。
図4】先行技術のコードの図1の断面図に類似した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明による方法により得られるコード
【0061】
図1は、全体を符号10で示された金属コードの一例を示している。コード10は、2つの円筒形層を備えたマルチストランド型のものである。かくして、理解されるように、コード10の構成材料であるストランドの2つの層が存在する。ストランドの層は、互いに隣接し且つ同心である。コード10には、コードがタイヤ中に組み込まれていない場合にはゴムがない。
【0062】
コード10は、コード10の内側層C1を有し、この内側層C1は、K本の内側ストランドTIで構成され、この場合、好ましくは、K=3又はK=4であり、この場合、K=3である。層C1は、層C1にその円筒形輪郭E1を与える実質的に管状のエンベロープを有する。
【0063】
内側ストランドTIは、3.6〜16mm(両端の値を含む)、好ましくは4〜12.8mm(両端の値を含む)のピッチpIで螺旋状に巻かれている。この場合、pI=7.5mmである。
【0064】
コードは、コード10の外側層C2を更に有し、この外側層C2は、L本の外側ストランドTEで構成され、この場合、好ましくは、L=8又はL=9であり、この場合L=8である。層C2は、層C2にその円筒形輪郭E2を与える実質的に管状のエンベロープを有する。
【0065】
外側ストランドTEは、並置状態にあり、これは、機械的な平衡状態の位置に対応しており、少なくとも2本の外側ストランドTEは、ゴムのための通過開口部14によって互いに隔てられている。内側層C2は、不飽和状態であり、即ち、層C2中に、層C2のL本のストランドと同一の直径を有する少なくとも1本の(L+1)番目のストランドをこの層C2に追加するのに十分な余地が存在するようなものであり、かくして、複数本のストランドが互いに接触関係をなすことが可能である。かくして、外側ストランドTEは、層C2によりゴムが開口部14を通って層C2の外側と内側との間で半径方向に通過することができるよう配置されている。
【0066】
外側ストランドTEは、7.2〜32mm(両端の値を含む)、好ましくは8〜25.6mm(両端の値を含む)のピッチpEで内側層C1回りに螺旋状に巻かれている。この場合、pE=15mmである。
【0067】
ストランドTI,TEは、有利には、同一の加撚方向、即ち、S方向(“S/S”配列)かZ方向(“Z/Z”配列)かのいずれか、この場合、S/S配列状態に巻かれている。
【0068】
図2は、ストランドTI,TEを示している。かかるストランドを要素ストランドという。
【0069】
各ストランドTI,TEは、各ストランドTI,TEにその細長い輪郭E3を与える延長されたエンベロープを有する。各ストランドTI,TEは、2本の内側ワイヤF1で構成された内側層12及びN本の外側ワイヤF2で構成された外側層16を有し、ここで、N=2、N=3、又はN=4であり、この場合、N=3である。
【0070】
外側ワイヤF2は、コードが休止状態にあるとき全体として並置状態にあり、これは、機械的な平衡状態の位置に対応し、少なくとも2本の外側ワイヤF2は、ゴムのための通過開口部18によって互いに隔てられている。層16は、不飽和状態にあり、即ち、層16中に、層16のN本の外側ワイヤF2と同一の直径を有する少なくとも1本の(N+1)番目の外側ワイヤF2をこの層に追加するのに十分な余地が存在するようなものである。かくして、層16の外側ワイヤF2は、層16によりゴムが開口部18を通って層16の外側と内側との間で半径方向に通過することができるよう配置されている。
【0071】
各ワイヤF1,F2は、好ましくは、黄銅で被覆された炭素鋼で作られる。炭素鋼ワイヤは、公知の仕方で、例えば、機械ワイヤ(直径5〜6mm)から調製され、この機械ワイヤをまず最初に、圧延及び/又は引抜きによって加工硬化させて約1mmの中間直径の状態にする。コード10に用いられるスチール(鋼)は、0.7%の炭素含有量を含むNT(“Normal Tensile(標準張力)”を表している)型の炭素鋼であり、残部は、鉄及びスチール製造プロセスと関連した通常の避けることができない不純物から成る。変形例として、SHT(“Super High Tensile(超高張力)”)炭素鋼が使用され、かかるSHT炭素鋼の炭素含有量は、約0.92%であり、このSHT炭素鋼は、約0.2%のクロムを含む。
【0072】
中間直径のワイヤは、脱脂及び酸洗い処理を受け、その後これらを変換する。黄銅皮膜をこれら中間ワイヤに被着させた後、例えば水性懸濁液又は水性分散液の形態をした引抜き用潤滑剤を用いて湿潤媒体内での冷間引抜きによって「最終」加工硬化作業と呼ばれている作業を各ワイヤについて実施する(即ち、最終パテンティング熱処理後)。ワイヤを包囲している黄銅皮膜は、極めて小さな厚さを有し、1ミクロンよりも極めて小さく、例えば、約0.15〜0.30μmであり、これは、スチールワイヤの直径と比較して無視できる。当然のことながら、ワイヤのスチールの組成は、その種々の元素(例えば、C、Cr、Mn)に関し、開始ワイヤのスチールの組成と同一である。
【0073】
K本の内側ストランドTIの各々の内側ワイヤF1を3.6〜16mm(両端の値を含む)、好ましくは4〜12.8mm(両端の値を含む)のピッチp1,iで螺旋状に巻く。
【0074】
K本の内側ストランドTIの各々の内側ワイヤF1の直径D1,iは、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。好ましくは、K本の内側ストランドTIの内側ワイヤF1の全ては、同一の直径を有する。
【0075】
各内側ストランドTIの内側ワイヤF1を内側ワイヤF1のピッチp1,iとこれらの直径D1,iの比R1,iが20〜40(両端の値を含む)であるように巻く。この場合、p1,i=7.5mm、D1,i=0.26mm、R1,i=28.8である。
【0076】
K本の内側ストランドTIの各々の外側ワイヤF2を3.1〜8.4mm(両端の値を含む)、好ましくは3.4〜6.7mm(両端の値を含む)のピッチp2,iで螺旋状に巻く。
【0077】
K本の内側ストランドTIの各々の外側ワイヤF2の直径D2,iは、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。好ましくは、K本の内側ストランドTIの外側ワイヤF2の全ては、同一の直径を有する。
【0078】
各内側ストランドTIの外側ワイヤF2を各内側ストランドTIの外側ワイヤF2のピッチp2,iとこれらの直径D2,iの比R2,iが17〜21(両端の値を含む)であるよう内側層12回りに螺旋状に巻く。この場合、p2,i=5mm、D2,i=0.2mm、R2,i=19.2である。
【0079】
L本の外側ストランドTEの各々の内側ワイヤF1を7.2〜32mm(両端の値を含む)、好ましくは8〜25.6mm(両端の値を含む)のピッチp1,eで巻く。
【0080】
L本の外側ストランドTEの各々の内側ワイヤF1の直径D1,eは、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。好ましくは、L本の外側ストランドTEの内側ワイヤF1の全ては、同一の直径を有する。
【0081】
各外側ストランドTEの内側ワイヤF1を内側ワイヤF1のピッチp1,eとこれらの直径D1,eの比R1,eが40〜80(両端の値を含む)であるよう巻く。この場合、p1,e=15mm、D1,e=0.26mm、R1,e=57.7である。
【0082】
L本の外側ストランドTEの各々の外側ワイヤF2を4.1〜13.2mm(両端の値を含む)、好ましくは4.6mm〜10.6mm(両端の値を含む)のピッチp2,eで巻く。
【0083】
L本の外側ストランドTEの各々の外側ワイヤF2の直径D2,eは、0.18mm〜0.40mm(両端の値を含む)、好ましくは0.20mm〜0.32mm(両端の値を含む)である。好ましくは、L本の外側ストランドTEの外側ワイヤF2の全ては、同一の直径を有する。
【0084】
各外側ストランドTEの外側ワイヤF2を各外側ストランドTEの外側ワイヤF2のピッチp2,eとこれらの直径D2,eの比R2,eが23〜33(両端の値を含む)であるよう内側層12回りに螺旋状に巻く。この場合、p2,e=7.5mm、D2,e=0.26mm、R2,e=28.8である。
【0085】
好ましくは、ワイヤF1,F2の全ては、同一の直径を有する。
【0086】
内側ストランドTIを内側ストランドTIのピッチpIと各内側ストランドTIのワイヤF1,F2の直径D1,i,D2,iの比RIが20〜40(両端の値を含む)であるよう螺旋状に巻く。この場合、RI=28.8である。
【0087】
外側ストランドTEを外側ストランドTEのピッチpEと各外側ストランドTEのワイヤF1,F2の直径D1,e,D2,eの比REが40〜80(両端の値を含む)であるよう内側層C1回りに螺旋状に巻く。この場合、RE=57.7である。
【0088】
各ストランドTI,TEのワイヤF1,F2は、有利には、同一の加撚方向、即ち、S方向(“S/S”配列)かZ方向(“Z/Z”配列)かのいずれか、この場合、S/S配列状態に巻かれている。
【0089】
かくして、ワイヤF1,F2の全て及びストランドTI,TEの全ては、同一の加撚方向Sに巻く。変形例としては、これら全てを同一の加撚方向Zに巻く。
【0090】
図4は、全体を参照符号100で示された先行技術のコードを示している。
【0091】
このコード100は、4×(1+5)型の構造を有し、このコードは、各々が1本のワイヤ104で構成された内側層102及び内側層102のワイヤ104回りに螺旋状に巻かれた5本のワイヤ108で構成されている外側層106を有する4本のストランドTを有する。ストランドTは、中央チャネル110を画定している。
【0092】
次に、コード10を製造する本発明の方法について説明する。
【0093】
あらかじめ、金属ワイヤ又はストランドを集成する(組み立てる)2つの考えられる技術が存在することが思い起こされよう。
‐ケーブリング(cabling )による。かかる場合、ワイヤ又はストランドは、集成箇所の前後での同期回転に鑑みてこれら自体の軸線回りに撚りを生じない。
‐又は、ツイスティング又は加撚(twisting)による。かかる場合、ワイヤ又はストランドは、これら自体の軸線回りにひとまとまりの撚りと個々の撚りの両方を生じ、それによりワイヤ又はストランドの各々に加わる解撚トルクが生じる。
【0094】
各ストランドTI,TEの集成(組立て)
【0095】
まず最初に、各要素ストランドTI,TEを次のように形成する。
【0096】
加撚集成ステップの際、外側層16を構成するN本の内側ワイヤF1を内側層12を構成する2本の内側ワイヤF1に15mmに等しい中間ピッチでS方向に螺旋状に巻く。このステップの実施中、内側ワイヤF1は、互いに平行であり、かくして、無限の中間ピッチを有する。
【0097】
コード10の集成(組立て)
【0098】
次に、コード10を次のように集成する。
【0099】
加撚集成ステップの際、ストランドTIを形成するステップ中に先に形成されて内側層C1を構成しているK本の内側ストランドTIをS方向に7.5mmに等しい初期ピッチと呼ばれているピッチで螺旋状に巻く。
【0100】
次に、先の加撚ステップと一致して行われ又は行われない別の加撚集成ステップの際、ストランドTEを形成するステップ中に先に形成されたL本の外側ストランドTEで構成される外側層C2を15mmに等しい初期ピッチと呼ばれているピッチでS方向に、螺旋状に先に巻かれたK本の内側ストランドの内側層C1回りに螺旋状に巻く。層C1,C2のストランドTI,TE及びワイヤF1,F2は、かくして、表1に記載された初期ピッチを有する。変形例として、これらは、他の初期ピッチを有する。
表1
【0101】
次に、コード10を過剰加撚するステップを実施する。かくして、先に巻かれたワイヤF1,F2及びストランドTE,TIを過剰加撚し、即ち、コード10をS方向に更に加撚する。この過剰加撚ステップ中、ワイヤF1,F2及びストランドTI,TEのそれぞれの初期ピッチを減少させて対応の初期ピッチよりも小さな中間ピッチを得る。
【0102】
次に、過剰加撚されたコード10を釣り合わせるステップを実施してコード10中の残留トルクをゼロにする。この目的のため、コードを回転型の釣り合わせ手段中に通す。「釣り合わせ」という用語は、本明細書においては、当業者には知られている仕方で加撚状態にあるコードの各ワイヤと加撚状態にあるコードの各ストランドの両方に及ぼされる残留加撚トルク(又は解撚スプリングバック)を打ち消すことを意味するものと理解されたい。釣り合わせ手段は、加撚技術における当業者には知られている。これら釣り合わせ手段は、例えば、コードが単一平面内で走行する例えば、1つ、2つ、又は4つのプーリを有するツイスタから成る場合がある。
【0103】
次に、過剰加撚され且つ釣り合わされたコードを解撚するステップを実施する。かくして、先に釣り合わされたコード10のワイヤF1,F2及びストランドTE,TIを解撚し、即ち、コード10をZ方向に撚る。かくして、ワイヤF1,F2及びストランドTE,TIの中間ステップを増大させて初期ピッチを得る。この解撚ステップの終わりでは、ワイヤF1,F2及びストランドTI,TEのピッチは、かくして、再び表1のピッチである。
【0104】
最後に、好ましくは、コード10を貯蔵スプールに巻き付ける。
【0105】
上述のコード10を上述の方法によって得ることができる。
【0106】
本発明の方法により得られるコードを有するタイヤ
【0107】
図3は、全体を符号20で示されたタイヤを示している。
【0108】
タイヤ20は、クラウン補強材24によって補強されたクラウン22、2つのサイドウォール26、及び2つのビード28を有し、これらビード28の各々は、ビードワイヤ30で補強されている。クラウン22の上にはトレッド(この略図では示されていない)が載っている。カーカス補強材32が各ビード28内で2本のビードワイヤ30の周りに巻かれ、このカーカス補強材は、ここではホイールリム36に取り付けられた状態で示されているタイヤ20の外側寄りに配置された折り返し部(「巻き上げ部」ともいう)34を有している。カーカス補強材32は、それ自体知られた仕方で、「ラジアル」コードと呼ばれているコードによって補強された少なくとも1枚のプライで作られ、このことは、これらコードが事実上互いに平行に延びると共に円周方向中間平面と80°〜90°の角度をなすよう一方のビードから他方のビードまで延びている(この円周方向中間平面は、タイヤの回転軸線に垂直であり、2つのビード28相互間の中間に位置し且つクラウン補強材24の中間を通っている)。
【0109】
クラウン補強材24は、少なくとも1枚のクラウンプライを有し、このクラウンプライの補強コードは、上述したように金属コード10である。図3に極めて簡単な仕方で示されているこのクラウン補強材24では、理解されるように、コードは、例えば、ワーキングクラウンプライのうちの全て又はこれらのうちの何割かを補強することができ、或いは、三角形構造形成クラウンプライ(又はプライ半部)又は保護クラウンプライが用いられる場合、かかる三角形構造形成クラウンプライ(又はプライ半部)及び/又は保護クラウンプライを補強することができる。ワーキングプライ及び三角形構造形成プライ及び/又は保護プライとは別に、タイヤ20のクラウン補強材24は、当然のことながら、他のクラウンプライ、例えば1枚又は2枚以上のたが掛けクラウンプライを有するのが良い。
【0110】
当然のことながら、タイヤ20は、公知の仕方で、ゴム又はエラストマーの内側層(「インナーライナ」と通称されている)を更に有し、このゴム又はエラストマーの内側層は、タイヤの半径方向内側フェースを構成すると共にカーカスプライをタイヤの内部の空間に源を発する空気の拡散から保護するようになっている。有利には、特に重車両用のタイヤの場合、タイヤは、カーカスプライと内側層との間に配置され、内側層及びその結果としてカーカス層を補強するようになっており、更にカーカス補強材の受ける力を部分的に非局所化するようになった中間補強エラストマー層を更に有するのが良い。
【0111】
このベルトプライでは、コード10の密度は、好ましくは、ベルトプライの1dm(デシメートル)当たり15〜80本のコード(両端の値を含む)であり、より好ましくはベルトプライの1dm当たり35〜65本のコード(両端の値を含む)であり、2つの隣り合うコード相互間の距離(軸線間距離)は、好ましくは、約1.2〜6.5mm(両端の値を含む)、より好ましくは、約1.5〜3.0mm(両端の値を含む)である。
【0112】
コード10は、好ましくは、2本の隣り合うコード相互間のゴムのブリッジの幅(Lデ示されている)が0.5〜2.0mm(両端の値を含む)であるよう配置される。この幅Lは、公知のように、圧延ピッチ(コードがゴムファブリック中に布設されるピッチ)とコードの直径の差を表している。指示された最小値を下回ると、幅が狭すぎるゴムのブリッジは、プライが稼働しているとき、特に伸長又は剪断下においてそれ自体の平面内に生じる変形中に機械的に劣化する恐れを生じる。指示された最大値を上回ると、物体が穴あけによりコード相互間に侵入する恐れが生じる。より好ましくは、これらの同じ理由で、幅Lは、0.8〜1.6mm(両端の値を含む)であるよう選択される。
【0113】
好ましくは、ベルトプライのファブリックに用いられるゴム組成物は、加硫状態(即ち、加硫後)では、5〜25MPa(両端の値を含む)、より好ましくは5〜20MPa(両端の値を含む)、特にこのファブリックがベルトプライ、例えば保護プライを形成するようになっている場合、7〜15MPa(両端の値を含む)の伸長の際の割線モジュラスE10を有する。一方においてコード10と他方においてこれらコードによる補強されるファブリックとの間の最善の耐久性に関する妥協点が見出されるのは、かかるモジュラス範囲である。
【0114】
次に、タイヤ20を製造する方法について説明する。
【0115】
コード10を圧延によりラジアルタイヤのクラウン補強材を製造するために従来用いられている天然ゴム及び補強用充填剤としてのカーボンブラックを主成分とする公知の組成物から形成された複合ファブリック中に組み込む。この組成物は、本質的に、エラストマー及び補強用充填剤(カーボンブラック)に加えて、老化防止剤、ステアリン酸、エキステンダー油、接着促進剤としてのナフテン酸コバルト、及び最後に加硫系(硫黄、加硫促進剤、及びZnO)を含む。
【0116】
これらコードにより補強される複合ファブリックは、2つの薄いゴム層で作られたゴムマトリックスを有し、これらゴム層は、コードの各側に重ね合わされており、それぞれ0.5mm〜0.8mm(両端の値を含む)の厚さを有する。圧延ピッチ(コードをゴムファブリック中に布設するピッチ)は、1.3mm〜2.8mm(両端の値を含む)である。
【0117】
次に、これら複合ファブリックをタイヤの製造方法の実施中、これらの補強材中に保護プライとして用い、タイヤ製造方法のステップは、これ以外の点については当業者には知られている。
【0118】
測定及び比較試験
【0119】
コード10を構造4×(1+5)の先行技術のコード100と比較した。
【0120】
コード100の各ワイヤ104,108の直径は、0.26mmに等しい。ストランド106のピッチPは8mmに等しく、ワイヤ104周りのワイヤ108のピッチpは、5mmに等しい。
【0121】
ダイナモメトリック測定
【0122】
金属コードに関し、Fm(Nで表された最大荷重)で示される破断時力を規格ISO6892(1984年)に準拠して張力下で測定する。破断時全伸び率(At)及び構造的伸長化又は伸びの能力(As)(%で表された伸び率)の測定値は、当業者には周知であり、例えば、米国特許出願公開第2009/294009号明細書に記載されている(図1及びこれに関する説明を比較参照されたい)。
【0123】
次の表2は、破断時力Fm及び構造的伸び率について得られた結果を示している。
表2
【0124】
コード10は、4.5%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは5.5%以上の破断時全伸び率Atを有する。
【0125】
コード10は、1%以上、好ましくは1.5%以上の構造的伸び率Asを有する。図示されていない変形例では、構造的伸び率Asは、2%以上である。
【0126】
コード10の破断時力は、4000N以上、好ましくは5000N以上、より好ましくは6000N以上である。
【0127】
コード10は、その構造的伸び特性及びかくしてその弾性を維持した状態でコード100の2.3倍の破断時力を有する。この弾性は、上述したように、コードの通気度を表しており、これは、ゴムによるコードの高い侵入性に有利である。
【0128】
通気度試験
【0129】
この試験により、所与の時間で一定の圧力下で試験体を通過した空気の量(体積)を測定することによって試験したコードの空気に対する長手方向透過性を求めることができる。当業者には周知であるかかる試験の原理は、コードが空気に対して不透過性であるようにするコードの処理の有効性を実証することにあり、この原理は、例えば、規格ASTMD2692‐98に記載されている。
【0130】
この試験をここでは、タイヤから取り出したコードかこれらコードが補強していて、かくして、ゴムが硬化状態にある状態で外側からすでに被覆されたゴムプライ又は製造されたばかりのコードかのいずれかについて実施する。
【0131】
後者の場合、製造されたばかりのコードは、被覆ゴムと呼ばれるゴムで前もって外部から被覆される必要がある。この目的のため、互いに平行に布設された一連の10本のコード(コード相互間の距離は、20mmである)を生の状態のジエンゴムコンパウンドの2つの層又は「スキム」(80×200mmの2つの長方形)相互間に配置し、各スキムは、3.5mmの厚さを有し、次に、この全てをモールド内に不動化し、コードの各々は、コードがモールド内に配置されているときコードが真っ直ぐなままに位置するようにするためにクランプモジュールを用いて十分な張力(例えば、2daN)下に維持され、次に、各コードを140℃の温度15barの圧力で40分かけて加硫する(硬化させる)(80×200mmの長方形ピストン)。その後、全体をモールドから取り出し、このようにして被覆されたコードの10個の試験体を特徴付けのために7×7×20mmの平行六面体の形状に切り欠く。
【0132】
被覆ゴムとして用いられるコンパウンドは、天然(ペプチド化)ゴム及びカーボンブラックN330(65phr)を主成分とし、次の通常の添加剤、即ち、硫黄(7phr)、スルフェンアミド加硫促進剤(1phr)、ZnO(8phr)、ステアリン酸(0.7phr)、老化防止剤(1.5phr)、ナフテン酸コバルト(1.5phr)(phrは、エラストマーの100部当たりの重量部を意味している)を更に含む従来タイヤに用いられているジエンゴムコンパウンドであり、被覆ゴムのE10モジュラスは、約10MPaである。
【0133】
試験を2cm長さのコードについて実施し、このコードは、かくして、硬化状態では以下のようにその周囲のゴム組成物(又は被覆ゴム)で被覆され、空気を1barの圧力下でコードの入口に送り、出口のところでの空気の体積を流量計の使用により測定する(流量計は、例えば、0〜500cm3/minに較正される)。測定中、コードのサンプルを圧縮気密シール(例えば、高密度フォーム又はゴムで作られたシール)内に不動化させてコードに沿ってその一方の端から他方の端までその長手方向軸線に沿って通った空気の量だけを測定によってコードに入れ、気密シールそれ自体の気密度は、中実ゴム試験体、即ちコードのないゴム試験体を用いてあらかじめチェックされる。
【0134】
コードの長手方向不透過性が高ければ高いほど、測定される平均空気流量はそれだけ一層低くなる(10個の試験体について平均値を取る)。測定を±0.2cm3/minの精度で実施するので、0.2cm3/min以下の測定値は、ゼロとみなされ、これら測定値は、軸線に沿って(即ち、長手方向において)気密(完全に気密)として説明できるコードに対応している。
【0135】
コード10に1分当たりコードに沿って通過した空気の量(単位cm3)を測定することによって上述の通気度試験を実施した(10個の測定値について平均値を取った)。
【0136】
コード10について測定された平均空気流量は、ゼロであり、このことは、各試験体について、測定された空気流量が0.2cm3/min以下であることを意味している。
【0137】
コード10は、かくして、通気度が事実上ゼロなので(ゼロの平均空気流量)、空気に対して極めて低い透過性を有し、従って、ゴムによる高い侵入度を有する。かくして、コード10は、特に耐腐食性を向上させている。
【0138】
当然のことながら、本発明は、上述の例示の実施形態には限定されない。
【0139】
例えば、何割かのワイヤは、非円形の、例えば塑性変形された断面、特に、長円形又は多角形、例えば三角形、正方形、又は長方形の断面を有しても良い。
【0140】
円形断面を備え又は備えていないワイヤ、例えば波型ワイヤを螺旋又はジグザグの形状に撚り又は輪郭付けても良い。かかる場合、当然のことながら、ワイヤの直径は、ワイヤを包囲する想像上の回転筒体の直径(エンベロープ直径)を表し、コアワイヤそれ自体の直径(又は、その断面が円形ではない場合、任意他の横方向寸法)をもはや表していないことは理解されるべきである。
【0141】
工業的実行容易性、コスト及び全体的性能の理由で、本発明は、好ましくは、直線ワイヤ、即ち、従来型円形断面を有する真っ直ぐなワイヤで実施される。
【0142】
また、上述の又は上記において計画した種々の実施形態の特徴を組み合わせることが可能な場合がある。ただし、これらが互いに両立することを条件とする。
図1
図2
図3
図4