(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131561
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】車両用ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/60 20150101AFI20170515BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20170515BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
E05F15/60
B60J5/04 C
B60J5/06 F
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-228281(P2012-228281)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-80762(P2014-80762A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】尾子 禎宏
【審査官】
佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−107674(JP,A)
【文献】
特開2003−298255(JP,A)
【文献】
特許第3551703(JP,B2)
【文献】
特許第4186826(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00− 15/79
H05K 5/00− 5/06
B60J 5/04
B60J 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、
前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、
前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置と、
前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置の下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え、
前記アンダーカバーは、該アンダーカバーの縁端に突設され、前記筐体部材との隙間を詰めるリブを有することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドア開閉装置において、
前記アンダーカバーの下面から下方に突設され、前記筐体部材内への水の浸入経路を遮る遮断板を備えたことを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項3】
車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、
前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、
前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置と、
前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置の下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え、
前記アンダーカバーは、該アンダーカバーの下面から下方に突設され、前記筐体部材内への水の浸入経路を遮る遮断板を備え、
前記遮断板は、前記アンダーカバーの第1縁端側から同端縁に対向する第2端縁側に延在するとともに、前記車両フロアに接地していることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項4】
車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、
前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、
前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置と、
前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置の下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え、
前記アンダーカバーは、天板部と、該天板部の下面から下方に突設され、前記筐体部材内への水の浸入経路を遮る遮断板とを備える樹脂材料からなる部材であり、
前記遮断板は、前記アンダーカバーの第1縁端側から同端縁に対向する第2端縁側に延在し、
前記遮断板には、該遮断板における他の部分よりも板厚の小さい一対の段差が設けられ、
前記天板部と前記遮断板とがなす隅部には、補強リブが設けられていることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用ドア開閉装置において、
前記電子制御装置を内蔵する電子制御装置本体ブラケットを備え、
前記電子制御装置本体ブラケットは、前記アンダーカバーに対して上方に底上げされていることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用ドア開閉装置において、
前記アンダーカバーに設けられた天板部と、
前記アンダーカバーに設けられ、前記天板部よりも上方に隆起する底上げ部とを備え、
前記アンダーカバーは前記底上げ部にて、前記電子制御装置本体ブラケットと一体で前記筐体部材に結合されていることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項7】
車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、
前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、
前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置を内蔵する電子制御装置本体ブラケットと、
前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置本体ブラケットの下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え、
前記アンダーカバーは、天板部と、該天板部よりも上方に隆起する底上げ部とを有し、
前記底上げ部は、ボルト遊挿孔と、該ボルト遊挿孔を中心とする径方向に延びる複数のビードとを有し、
前記電子制御装置本体ブラケット及び前記アンダーカバーは、前記電子制御装置本体ブラケットに設けられるボルト挿通孔及び前記ボルト遊挿孔に挿通されるボルトと段付きナットとの締め付けにより締結されるとともに、前記段付きナットのフランジにより前記複数のビードが圧潰されていることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用ドア開閉装置において、
前記アンダーカバーの上面には、少なくとも一つの縁端に向かうに従って下降する傾斜部が形成されていることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドア開閉装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この車両用ドア開閉装置は、車両の乗降口に合わせて車両フロアに設置されたケーシングを備えるとともに、該ケーシングに内蔵された駆動ユニットを備える。この駆動ユニットは、複数のリンクを介して車両ドアに連係されており、電子制御装置により駆動制御されることで車両ドアを開閉作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−49679号公報(第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、電子制御装置の搭載位置について何ら言及されていない。仮に、部品の集約化を考慮してケーシングに電子制御装置を内蔵した場合、例えば室内洗浄時に車両フロアを流れる水がケーシング内に浸入して電子制御装置を濡らしてしまう可能性がある。反対に、ケーシングから離れた適宜位置に電子制御装置を配置した場合、部品の分散化を余儀なくされてしまう。
【0005】
本発明の目的は、部品の集約化を図りつつ、室内洗浄時の電子制御装置の水濡れを抑制することができる車両用ドア開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置と、前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置の下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え
、前記アンダーカバーは、該アンダーカバーの縁端に突設され、前記筐体部材との隙間を詰めるリブを有することを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、前記ドア開閉機構及び前記電子制御装置は、前記筐体部材に内蔵されることでそれらを集約配置することができる。また、室内洗浄時に前記車両フロアを流れる水が前記筐体部材内に浸入したとしても、前記アンダーカバーで遮ることで前記電子制御装置の水濡れを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ドア開閉装置において、前記アンダーカバーの下面から下方に突設され、前記筐体部材内への水の浸入経路を遮る遮断板を備えたことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、前記遮断板により、前記筐体部材内への水の浸入経路を遮ることで、前記車両フロアを流れる大量の水が前記筐体部材内に一気に浸入することを抑制できる
。
【0010】
請求項3に記載の発明は、車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置と、前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置の下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え、前記アンダーカバーは、該アンダーカバーの下面から下方に突設され、前記筐体部材内への水の浸入経路を遮る遮断板を備え、前記遮断板は、前記アンダーカバーの第1縁端側から同端縁に対向する第2端縁側に延在するとともに、前記車両フロアに接地していることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置と、前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置の下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え、前記アンダーカバーは、天板部と、該天板部の下面から下方に突設され、前記筐体部材内への水の浸入経路を遮る遮断板とを備える樹脂材料からなる部材であり、前記遮断板は、前記アンダーカバーの第1縁端側から同端縁に対向する第2端縁側に延在し、前記遮断板には、該遮断板における他の部分よりも板厚の小さい一対の段差が設けられ、前記天板部と前記遮断板とがなす隅部には、補強リブが設けられていることを要旨とする。
請求項
5に記載の発明は、請求項1〜
4のいずれか一項に記載の車両用ドア開閉装置において、前記電子制御装置を内蔵する電子制御装置本体ブラケットを備え、前記電子制御装置本体ブラケットは、前記アンダーカバーに対して上方に底上げされていることを要旨とする。
【0011】
請求項
6に記載の発明は、請求項
5に記載の車両用ドア開閉装置において、前記アンダーカバーに設けられた天板部と、前記アンダーカバーに設けられ、前記天板部よりも上方に隆起する底上げ部とを備え、前記アンダーカバーは前記底上げ部にて、前記電子制御装置本体ブラケットと一体で前記筐体部材に結合されていることを要旨とする。
【0012】
上記各構成によれば、前記電子制御装置本体ブラケットは、前記アンダーカバーに対して上方に底上げされることで、前記アンダーカバーの上面に水が浸入したとしても、前記電子制御装置の水濡れをより確実に抑制することができる。
請求項7に記載の発明は、車両フロアに設置される有蓋筒状の筐体部材と、前記筐体部材に内蔵され、車両ドアに連係されて該車両ドアを開閉作動させるドア開閉機構と、前記筐体部材に内蔵され、前記ドア開閉機構を駆動制御する電子制御装置を内蔵する電子制御装置本体ブラケットと、前記筐体部材に内蔵され、前記電子制御装置本体ブラケットの下方で前記筐体部材の開口を閉塞するアンダーカバーとを備え、前記アンダーカバーは、天板部と、該天板部よりも上方に隆起する底上げ部とを有し、前記底上げ部は、ボルト遊挿孔と、該ボルト遊挿孔を中心とする径方向に延びる複数のビードとを有し、前記電子制御装置本体ブラケット及び前記アンダーカバーは、前記電子制御装置本体ブラケットに設けられるボルト挿通孔及び前記ボルト遊挿孔に挿通されるボルトと段付きナットとの締め付けにより締結されるとともに、前記段付きナットのフランジにより前記複数のビードが圧潰されていることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用ドア開閉装置において、前記アンダーカバーの上面には、少なくとも一つの縁端に向かうに従って下降する傾斜部が形成されていることを要旨とする。
同構成によれば、前記アンダーカバーの上面に水が浸入したとしても、前記傾斜部により該当の縁端へと案内して速やかに排出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、部品の集約化を図りつつ、室内洗浄時の電子制御装置の水濡れを抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明が適用される車両を模式的に示す斜視図。
【
図4】(a)(b)は、同実施形態を示す底面図及びその拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、バスなどの車両1の乗降口2には、車両ドアとしての折り戸ドア10が開閉自在に設置されている。一方、乗降口2の床面(ステップ)に対して上方の段差を有する車両フロア3には、乗降口2に臨んで車両用ドア開閉装置20が載置されている。この車両用ドア開閉装置20は、リンク11,12を介して折り戸ドア10に連係されており、これらリンク11,12を正逆動作させることで折り戸ドア10を開閉作動させる。
【0016】
図2及び
図3に示すように、車両用ドア開閉装置20は、例えば金属板からなる上下方向に開いた略方台形(長方形及び台形を組み合わせた形)筒状のボックス21を備える。ボックス21は、その拡幅側で乗降口2に臨むように車両フロア3に設置される。そして、このボックス21には、上方から下方に向かって、アッパーカバー22、開閉機構としての駆動ユニット23、電子制御装置本体ブラケット(以下、ECU本体ブラケットという)24及びアンダーカバー25が階層的に設置されている。
【0017】
アッパーカバー22は、ボックス21の外形に合わせて略方台形板状に成形されており、該ボックス21の上端に締結されることでその開口端を閉塞する。ボックス21及びアッパーカバー22は筐体部材を構成する。
【0018】
なお、ボックス21の上端に締結されたアッパーカバー22には、ボックス21の外形に合わせて略方台形の箱状のプロテクタ29が締結される。このプロテクタ29は、アッパーカバー22等の上方を保護するためのもので、折り戸ドア10に向けてリンク11,12を出没させるための略四角形のガイド孔29aが形成されている。
【0019】
駆動ユニット23は、アッパーカバー22の下方でボックス21に、例えば溶接にて接合された複数の略L字のブラケット31に締結されている。駆動ユニット23は、例えばブラシ付の電動モータ23aを備えるとともに、該電動モータ23aに回転駆動される出力軸23bを備える。この出力軸23bは、アッパーカバー22を貫通して先端部をアッパーカバー22の上方に露出させている。駆動ユニット23は、出力軸23bの先端部においてリンク11の一端に一体回転するように連結されており、該リンク11を出力軸23b周りに回動させる。
【0020】
ECU本体ブラケット24及びアンダーカバー25は、駆動ユニット23の下方でボックス21に、例えば溶接にて接合された複数(3つ)の略L字のブラケット32に共締めで締結されている。
【0021】
すなわち、例えば金属板からなるECU本体ブラケット24は、その平面視における外形寸法がボックス21の開口寸法よりも小さい略四角箱状のECUハウジング24aを有するとともに、ブラケット32の上下方向に対向してECUハウジング24aから外側に複数(3つ)のフランジ状の取付部24bを延設する。各取付部24bの中央部には、略円形のボルト挿通孔24cが形成されている。
【0022】
一方、例えば樹脂材料からなるアンダーカバー25は、ボックス21の外形に合わせて略方台形板状に成形された天板部26を有するとともに、該天板部26の周縁端から下向きに突設する周壁部27を有する。
図4(a)に示すように、この天板部26は、ボックス21の拡幅側(図示下側)の二隅に合わせて略四角形に切り欠かれている。これは、ボックス21内から外部へと配線Wを導出するためである。ただし、配線Wの導出に利用されるのは一側の切り欠きのみで、他側の切り欠きは、部品(アンダーカバー25)の汎用性を考慮して左右対称形状にしたことによる。そして、天板部26には、取付部24b(及びブラケット32)の上下方向に対向して略四角台状に隆起する複数(3つ)の底上げ部としての取付座部26aが突設されている。
図4(b)に拡大して示すように、各取付座部26aには、その中央部にボルト挿通孔24cよりも拡径された略円形のボルト遊挿孔26bが形成されるとともに、該ボルト遊挿孔26bを中心とする径方向に延びる複数(6つ)の筋状のビード26cが形成されている。これら複数のビード26cは、ボルト遊挿孔26bの外周側で等角度(60°)間隔に配置されて下方(
図4において紙面に直交する手前方向)に突出する。
【0023】
図5に示すように、各ブラケット32には、該当のボルト挿通孔24c及びボルト遊挿孔26bと同軸で上下方向に延びる金属製のボルト33が、例えば溶接にて接合されている。このボルト33は、ボルト挿通孔24c及びボルト遊挿孔26bに順次挿通されるねじ部33aの先端部に金属製の段付きナット34が締め付けられる。段付きナット34は、取付部24bに対向する先端部にボルト遊挿孔26bの内径と同等の外径を有する略円柱状の挿入部34aを有するとともに、該挿入部34aの取付部24bから離隔する側に外向きの略円環状のフランジ34bを有する。そして、フランジ34bからの挿入部34aの軸線方向の突出長は、ビード26cを含む取付座部26aの板厚よりも小さく、且つ、ビード26cを含まない取付座部26aの板厚よりも大きく設定されている。また、フランジ34bの外径は、ボルト遊挿孔26bを中心とする径方向においてビード26cの先端までの距離よりも大きく設定されている。
【0024】
従って、ボルト33(ねじ部33a)に締め付けられる段付きナット34は、フランジ34bで複数のビード26cを圧潰しつつ挿入部34aをボルト遊挿孔26bに挿入する。これにより、取付部24b及びこれに対向する挿入部34aの接触(金属接触)状態で、フランジ34b及びブラケット32間に取付部24b及び取付座部26aが同時に挟持される。以上により、ECU本体ブラケット24及びアンダーカバー25が共締めでブラケット32に堅固に締結(金属間締結)される。
【0025】
なお、ブラケット32に締結されたアンダーカバー25は、前述の一対の切り欠きの範囲を除いて、ボックス21の下側の開口端部を閉塞する。また、
図6及び
図7に示すように、アンダーカバー25と共締めされるECU本体ブラケット24は、取付座部26aの隆起分だけ相対的に天板部26に対して底上げされている。つまり、ECU本体ブラケット24は、取付部24bを除く全体(ECUハウジング24a)が天板部26の上方に浮いた状態で支持されている。これにより、仮に天板部26の上面が水濡れしたとしても、該水がECUハウジング24aに浸みていくことが抑制される。ECUハウジング24aには、基板を備えた電子制御装置(以下、ECUという)24dが内蔵されており、該ECU24dの水濡れも自ずと抑制される。
【0026】
次に、アンダーカバー25の形状について更に説明する。
図4(a)及び
図8に示すように、アンダーカバー25には、その下面から下方に遮断板28が突設されている。この遮断板28は、天板部26の拡幅側の幅方向全長に亘って延在している。遮断板28は、左右対称の一対の段差28aが設定されることでクランク状のオフセット形状を呈する。各段差28aの板厚は、それ以外の遮断板28の板厚よりも小さくされている。これは、樹脂材料からなるアンダーカバー25に一体形成される遮断板28の反りに対処するためである。つまり、アンダーカバー25にそのまま板(遮断板)を突設すると、樹脂材料の特性から該板に反りが発生することになる。従って、一対の段差28aを設定してそれらを最大限に薄肉にすることで、該段差28aにおいて倒れを誘発して全体としての反りを抑えるようにしている。なお、天板部26及び遮断板28のなす隅部には、複数の略三角爪状の補強リブ28bが左右対称に突設されている。従って、これら補強リブ28bにより、遮断板28全体としての倒れが抑えられている。
【0027】
図6に示すように、遮断板28は、乗降口2(図示右方)に臨んで起立しており、車両フロア3に沿うボックス21内への水浸入経路を遮断する。これにより、車両フロア3を流れる大量の水がボックス21内に一気に浸入することが抑制される。
【0028】
また、
図7及び
図8に示すように、天板部26の上面には、遮断板28の延在方向に沿う両縁端に向かうに従って下降する一対の傾斜部26dが形成されている。つまり、天板部26の上面は、傾斜の緩い妻切屋根形状を呈する。従って、天板部26の上面に水が浸入したとしても、該水は傾斜部26dにより該当の縁端へと案内されて速やかに排出される。
【0029】
図4(a)及び
図8に示すように、周壁部27の外壁面には、外側に向かって複数の略三角爪状のリブ27aが間隔をあけて突設されている。これらリブ27aは、ボックス21との隙間を詰めており、ECU本体ブラケット24及びアンダーカバー25を共締めする際の該アンダーカバー25のセンタリング(位置決め)に供される。
【0030】
次に、本実施形態の作用について説明する。
利用者が室内洗浄等をする際に、車両フロア3を流れる水がボックス21との間の隙間を通じて該ボックス21内に浸入したとする。この場合、浸入した水をアンダーカバー25で遮ることで、ECU24d(ECU本体ブラケット24)の水濡れが抑制される。
【0031】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、アッパーカバー22及びECU本体ブラケット24は、ボックス21に内蔵されることでそれらを集約配置することができる。また、室内洗浄時に車両フロア3を流れる水がボックス21内に浸入したとしても、アンダーカバー25で遮ることでECU24dの水濡れを抑制することができる。
【0032】
(2)本実施形態では、遮断板28により、ボックス21内への水の浸入経路を遮ることで、車両フロア3を流れる大量の水がボックス21内に一気に浸入することを抑制できる。特に、遮断板28は、アンダーカバー25と一体の樹脂材料からなることで、その要求仕様に応じた形状(高さ、位置等)にするための自由度がある。
【0033】
(3)本実施形態では、天板部26(アンダーカバー25)の上面に一対の傾斜部26dが形成されていることで、天板部26の上面に水が浸入したとしても、傾斜部26dにより該当の縁端へと案内して速やかに排出することができる。
【0034】
(4)本実施形態では、取付座部26aにより、アンダーカバー25に対してECU本体ブラケット24が上方に底上げされることで、アンダーカバー25の上面に水が浸入したとしても、ECU本体ブラケット24の底面やECU24dの水濡れをより確実に抑制することができる。
【0035】
(5)本実施形態では、ECU本体ブラケット24及びアンダーカバー25を共締めでブラケット32に締結する状態では、段付きナット34のフランジ34bで複数のビード26cを圧潰することで、取付部24b及び挿入部34aが接触(金属接触)するようにした。従って、製品ばらつきや組付けばらつきなどがあっても、ビード26cの圧潰量の範囲でこれを吸収することで、段付きナット34の締め付け力を直接、樹脂の面で受けることなく、それらのがたつきを抑えることができる。特に、ビード26cは、放射状に複数配設されており、少なくとも3箇所のビード26cで形成される面を利用してアンダーカバー25を支えることができ、該ビード26cの圧潰量でばらつきを調整し、段付きナット34(挿入部34a)をECU本体ブラケット24(取付部24b)により確実に着座させて金属間締結させることができる。
【0036】
(6)本実施形態では、アンダーカバー25に樹脂材料を採用して遮断板28等を一体形成したことで、部品点数を増やすことなく、樹脂一部品で相手部品への適合性や水濡れ対策を実現できる。このため、低コスト・軽量化を図ることができる。
【0037】
(7)本実施形態では、アンダーカバー25に樹脂材料を採用したことで、その配置スペースに制約があったとしても、そのサイズに適合した形状を容易に実現することができ、必要に応じた補強や形状の工夫が可能である。これにより、車両搭載性を向上させることができる。
【0038】
(8)本実施形態では、アンダーカバー25に樹脂材料を採用してリブ27a等を一体形成したことで、部品点数を増やすことなく、センタリングやばらつき吸収といった組付性の向上を実現できる。
【0039】
(9)本実施形態では、ボックス21内にECU本体ブラケット24を配置したことで、例えば折り戸ドア10内に配置する場合に生じるスペースの制約を解消することができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、全てのリブ27aはなくてもよい。
・前記実施形態において、リブ27aの個数を増やし、あるいは周壁部27の全周に亘って同様のリブを延設してもよい。これにより、アンダーカバー25の縁端及びボックス21間の隙間を詰めることで、アンダーカバー25の上面への水の浸入を抑制することができる。また、この場合であっても、アンダーカバー25に樹脂材料を採用したことで、部品点数の増加を抑えることができる。
【0041】
・前記実施形態においては、天板部26から取付座部26aを隆起させることで、相対的にアンダーカバー25に対してECU本体ブラケット24を上方に底上げした。これに代えて、若しくはこれに加えて、取付部24bに対してECUハウジング24aを隆起させて、アンダーカバー25に対してECU本体ブラケット24を上方に底上げしてもよい。
【0042】
・前記実施形態において、アンダーカバー25に対してECU本体ブラケット24を上方に底上げするのであれば、それらの結合は共締めでなくてもよい。
・前記実施形態において、アンダーカバー25に対してECU本体ブラケット24を上方に底上げしなくてもよい。極論すれば、アンダーカバー25上にECU本体ブラケット24を載置してもよい。
【0043】
・前記実施形態において、天板部26(アンダーカバー25)の上面は、例えば片流れ屋根状に一つの縁端のみに向かって下降するように傾斜する形状であってもよい。あるいは、天板部26(アンダーカバー25)の上面は、その縁端に向かって下降するように略円錐状に傾斜する形状(いわゆるテーパ)であってもよい。
【0044】
・前記実施形態において、天板部26(アンダーカバー25)の上面は、略水平な平坦面であってもよい。
・前記実施形態において、遮断板28を割愛してもよい。
【0045】
・前記実施形態において、アンダーカバー25は金属製(金属板)であってもよい。また、一枚板でアンダーカバー25としての成形が困難な部位(例えば遮断板28)は、別部品として製造して別途、結合するようにしてもよい。
【0046】
・前記実施形態において、ボックス21及びアッパーカバー22は一体形成されていてもよい。
・前記実施形態において、ボックス21内での駆動ユニット23及びECU本体ブラケット24の上下の配置関係は逆であってもよい。
【0047】
・本発明は、例えばスイング式やスライド式の車両ドアに適用してもよいし、車両後部に配置されるバックドアに適用してもよい。それらの場合、車両用ドア開閉装置20と該当の車両ドアとを連係可能な適宜の機構を採用すればよい。
【符号の説明】
【0049】
3…車両フロア、10…折り戸ドア(車両ドア)、20…車両用ドア開閉装置、21…ボックス(筐体部材)、22…アッパーカバー(筐体部材)、23…駆動ユニット(ドア開閉機構)、24…電子制御装置本体ブラケット、24d…電子制御装置、25…アンダーカバー、26…天板部、26a…取付座部(底上げ部)、26d…傾斜部、28…遮断板。