(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多価金属化合物(B)が、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムから選ばれる多価金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリア用コーティング液。
前記多価金属化合物(B)が、酸化亜鉛および酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリア用コーティング液。
前記カルボキシ基を有する重合体が、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸から選ばれる単量体の単独重合体および共重合体から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスバリア用コーティング液。
カルボキシ基を有する重合体のアンモニウム塩(A)と、前記アンモニウム塩(A)のカルボキシ基に対して0.5〜2.0化学当量の粒子状の多価金属化合物(B)と、水とを混合し、これらを含み、前記多価金属化合物(B)の平均粒子径が4μm以下であるガスバリア用コーティング液を得る、ガスバリア用コーティング液の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<ガスバリア用コーティング液>
本発明のガスバリア性コーティング液(以下、単にコーティング液ともいう。)は、カルボキシ基を有する重合体(以下、カルボキシ基含有重合体ともいう。)のアンモニウム塩(A)(以下、(A)成分ともいう。)と、粒子状の多価金属化合物(B)(以下、(B)成分ともいう。)と、水と、を含有し、
前記多価金属化合物(B)の含有量が、前記アンモニウム塩(A)の化学当量に対して0.5〜2.0倍の量であり、
前記多価金属化合物(B)の平均粒子径が4μm以下であることを特徴とする。
【0011】
〔(A)成分〕
(A)成分は、カルボキシ基含有重合体のアンモニウム塩である。
カルボキシ基含有重合体としては、カルボキシ基を少なくとも1個含有する構成単位を、重合体1分子中に2個以上有する重合体が好ましい。
カルボキシ基含有重合体としては、たとえば、分子内にエチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸の重合体;前記不飽和カルボン酸と他の単量体との共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシ基を有する酸性多糖類が挙げられる。
【0012】
前記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体としては、分子内にエチレン性二重結合を有するものが好ましく、たとえばオレフィン類(エチレン、プロピレン等)、飽和カルボン酸ビニルエステル類(酢酸ビニル等)、不飽和カルボン酸アルキルエステル類(アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルイタコネート等)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の重合体は、単独重合体でもよく、2種以上の不飽和カルボン酸を重合した共重合体でもよい。
不飽和カルボン酸と他の単量体との共重合体に用いられる不飽和カルボン酸、他の単量体はそれぞれ1種でも2種以上でもよい。
【0013】
カルボキシ基含有重合体としては、形成されるコート層のガスバリア性、透明性等の点から、不飽和カルボン酸の重合体が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸から選ばれる単量体の単独重合体および共重合体から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる単量体の単独重合体および共重合体から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
【0014】
カルボキシ基含有重合体の(アンモニアで中和されていない状態の)重量平均分子量は、2,000〜10,000,000の範囲内であることが好ましく、5,000〜1,000,000の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量が2,000以上であると、形成されるコート層の柔軟性や耐水性が良好である。重量平均分子量が10,000,000以下であると、原料の粘度が充分に低く扱いやすい。また、コーティング液の粘度も充分に低くなるため、(B)成分が凝集しにくく、(B)成分が均一に分散したコーティング液を得やすい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0015】
(A)成分は、カルボキシ基含有重合体をアンモニア(水)で中和することによって得られる。また、前記不飽和カルボン酸のアンモニウム塩を重合することによっても得ることができる。
【0016】
(A)成分は、当該(A)成分を水に溶解して濃度10質量%の水溶液としたときのpHが7.0〜9.0の範囲であることが好ましく、7.5〜8.5の範囲内であることがより好ましい。pHが7.0未満であると、コーティング液としたときに、アンモニアで中和されていないカルボキシ基と多価金属イオンとの間で架橋が形成されて凝集物が生じるおそれがある。pHが9.0超であると、アンモニアの臭いが増したり、コート層を形成する際にアンモニアを除去するために過剰なエネルギーを必要とすることになる。該pHは、25℃における値である。
【0017】
(A)成分としては、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のコーティング液中の(A)成分の含有量は、コーティング液の総質量に対し、1〜15質量%であることが好ましく、1.5〜10質量%であることがより好ましい。(A)成分の含有量が1質量%以上であると、充分な厚みのコート層を形成するためコーティング液を多量に塗工する必要がなく、均一な層を形成しやすい。(A)成分の含有量が15質量%以下であると、コーティング液の粘度が充分に低くなり、(B)成分が過度に凝集しにくく、(B)成分が均一に分散したコーティング液を得やすい。
【0018】
〔(B)成分〕
(B)成分は、粒子状の多価金属化合物である。
本発明において、コーティング液に含まれる多価金属化合物が粒子状であるとは、コーティング液中において、レーザー回折・散乱法により検出可能な大きさの固体の粒子の形状を保っている状態を指す。該粒子は、一次粒子であっても一次粒子が複数集まった凝集粒子であってもよい。該粒子の大きさは平均粒子径として表される。
多価金属化合物とは、金属イオンの価数が2以上の金属(多価金属)の化合物である。
多価金属の具体例としては、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属、アルミニウム等が挙げられる。
多価金属化合物の具体例としては、たとえば、前記多価金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩等が挙げられる。
多価金属化合物は、水を含むコーティング液中で粒子状として存在するためには、水への溶解度が低いもの、たとえば溶解度が25℃の水1Lに対して5.0g以下であるものが好ましい。
(B)成分としては、水への溶解度の低さ、ガスバリア性、コーティング液の安定性等の観点から、亜鉛、マグネシウムおよびカルシウムから選ばれる多価金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩から選ばれる少なくとも1種からなるものが好ましく、酸化亜鉛および酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種からなるものが特に好ましい。
【0019】
コーティング液中での(B)成分の平均粒子径は4μm以下であり、3μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が特に好ましい。(B)成分の平均粒子径が4μm以下であると、コーティング液の安定性、形成されるコート層のガスバリア性、透明性等が向上する。
(B)成分の平均粒子径の下限は、上記の効果の点では特に限定されないが、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、150nm以上が特に好ましい。
平均粒子径が50nm以上であると、当該コーティング液を用いて得られるガスバリア性積層体を加熱殺菌用包装材料に用いる場合に有用である。平均粒子径が比較的大きいと、カルボキシ基と多価金属イオンとの架橋形成が緩やかとなり、レトルト処理等の加熱殺菌処理前の架橋形成率が低くとどまる。そのため、耐虐待性が良好で、加熱殺菌処理前に、ガスバリア性積層体に折れや曲げ等の虐待が加わっても、コート層の割れが抑制される上、後に続く加熱殺菌処理でさらに架橋形成が進むため、最終的には充分なガスバリア性が得られることとなる。
(B)成分の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定されるメジアン径(D50)である。詳しい測定方法は、後述する実施例に示すとおりである。
【0020】
(B)成分の平均粒子径は、多価金属化合物の一次粒子径、コーティング液を調製する際の分散処理等により調整できる。コーティング液は、(A)成分、(B)成分、水等の原料を混合し、必要に応じて分散処理を施すことで調製できるが、分散処理前の液中に含まれる(B)成分は、多価金属化合物からなる一次粒子が複数凝集した凝集粒子であることが多い。そのため、分散処理を行うことで、(B)成分の平均粒子径を小さくすることができる。また、分散処理を厳しい条件で行うほど、(B)成分の平均粒子径が一次粒子径に近い値になる。分散処理については、後で詳細に説明する。
多価金属化合物の一次粒子の形状は、多価金属化合物の結晶形状により、球状の他、板状、針状を挙げられる。いずれの形状のものも(B)成分として用いることができる。
多価金属化合物の一次粒子径は、コーティング液中での平均粒子径が4μm以下となる範囲であれば特に限定されないが、1μm以下であることが好ましく、100nm以下がより好ましい。一次粒子径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により粒子を観察し、得られた像から定方向径を測定することで求められる。板状や針状の多価金属化合物については、最長辺の長さを一次粒子径とする。
【0021】
(B)成分としては、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のコーティング液中の(B)成分の含有量は、(A)成分の化学当量に対して0.5〜2.0倍の量であり、0.7〜1.5倍の量であることが好ましい。0.5倍未満であると、カルボキシ基を架橋するのに充分な量の多価金属イオンがないために、コート層の耐水性が不足し、高湿度雰囲気下でガスバリア性が低下するおそれがある。また、耐熱性も不足し、レトルト処理、ボイル処理等の加熱殺菌処理を行ったときに、ガスバリア性が低下するおそれがある。一方、2.0倍を超えると、コート層中に、架橋構造の形成に関与しない余分な多価金属化合物が存在することで緻密な構造の形成が阻害され、充分なガスバリア性が得られない上、透明性が悪化するおそれがある。
【0022】
ここで化学当量とは、(A)成分におけるカルボキシ基と、(B)成分における多価金属の価数に依存する量を示す。たとえば、「コーティング液に含まれる(A)成分中のカルボキシ基の数=(B)成分中の多価金属の数×価数」となる(B)成分の量が、(A)成分の化学当量の1.0倍(1.0当量)である。
(A)成分としてポリアクリル酸アンモニウム塩、(B)成分として酸化亜鉛を使用する場合を例に挙げて説明する。ポリアクリル酸アンモニウム塩の単量体(アクリル酸アンモニウム)の分子量は89で、単量体1分子当たり1個のカルボキシ基を有する。酸化亜鉛における亜鉛は2価であり、亜鉛イオン1に対してカルボキシ基2の割合で架橋が形成される。ポリアクリル酸アンモニウム塩におけるすべてのカルボキシ基が亜鉛イオンと架橋できる状態が、ポリアクリル酸のアンモニウム塩に対して1化学当量の酸化亜鉛が添加された状態となる。たとえば、ポリアクリル酸アンモニウム塩100gを用意した場合、その中のカルボキシ基の量は1.12molとなる。これに対して1化学当量の酸化亜鉛を添加する場合は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の1.12molのカルボキシ基をすべて架橋させる量が必要であり、亜鉛は2価であることから、酸化亜鉛の量としては、1.12molの半分、つまり0.56mol(45.6g)となる。
【0023】
〔水〕
本発明のコーティング液は、水を含む。
水は、(A)成分の溶媒および(B)成分の分散媒として用いられる。
コーティング液に使用される水の種類は特に限定がないが、蒸留水、イオン交換水、超純水、水道水等が挙げられる。
【0024】
〔有機溶剤〕
本発明のコーティング液において、(A)成分の溶媒および(B)成分の分散媒として含まれるのは水だけでもよいが、コーティング液の塗工性や乾燥時の外観を改善するために、有機溶剤をさらに含んでもよい。
有機溶剤としては、水と混合したときに相分離することなく均一な溶液を形成し得るものであればよく、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコールが挙げられる。
有機溶剤を含む場合、その含有量は、コーティング液の安定性を損なわない範囲であればよい。たとえば有機溶剤としてアルコールを用いる場合、アルコールの含有量は、通常、水とアルコールとの合計に対するアルコールの割合が40質量%以下となる量が好ましい。
【0025】
〔任意成分〕
本発明のコーティング液は、形成されるガスバリア性積層体のガスバリア性や層間密着性を損なわない範囲で、(A)成分および(B)成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。
該他の成分としては、(A)成分以外の他の重合体や、コーティング液の添加剤として公知の各種添加剤を用いることが可能である。例えば、ガスバリア性積層体の基材や基材上に任意に形成される他の層(たとえばアンカーコート層)への塗工性を改善するために、表面調整剤を添加することができる。また、コート層の耐水性をさらに向上させるために、金属アルコキシドを添加することができる。さらに、コート層の柔軟性を向上させるために、グリセリンや多糖類を添加することができる。コート層のガスバリア性をさらに向上させるために、層状化合物を添加することもできる。
【0026】
〔pH〕
本発明のコーティング液のpH(25℃)は、6.5〜9.5の範囲であることが好ましく、8.0〜9.5の範囲内であることがより好ましい。pHが6.5以上であると、コーティング液の分散安定性が良好である。pHが9.5以下であると、コート層のガスバリア性が良好である。
【0027】
〔コーティング液の製造方法〕
コーティング液は、(A)成分、(B)成分、水等の原料を混合し、必要に応じて分散処理を施すことで調製できる。
分散処理は、(B)成分の平均粒子径が所定の値となるように行われる。分散処理前の混合液中の(B)成分の平均粒子径が4μm以下である場合は、分散処理は行わなくてもよいが、その場合でも、分散処理を行うことが好ましい。分散処理を行うことで(B)成分の凝集が解け、コーティング液が安定化すると共に、コーティング液を塗工して得られたガスバリア性積層体の透明性が高まる。さらには、コーティング液を塗工、乾燥したときに、カルボキシ基含有重合体と多価金属イオンとの架橋形成が進みやすくなり、良好なガスバリア性を有するガスバリア性積層体が得られやすい。
分散処理の方法としては、高速撹拌機やホモジナイザー、ボールミル、ビーズミルを用いる方法が挙げられる。特に、ボールミルまたはビーズミルを用いて分散を行うと、分散効率が高く比較的短時間で分散安定なコーティング液が得られる。この場合、ボールまたはビーズの径は小さいものがよく、0.2〜1mmが好ましい。
【0028】
〔作用・効果〕
本発明においては、カルボキシ基含有重合体がアンモニウム塩として配合され、多価金属化合物として粒子状のもの、つまり水への溶解度が低く、水を含むコーティング液中で粒子形状として存在し得るもの、が配合されることにより、コーティング液の調製時に、あるいは調製後のコーティング液中で、カルボキシ基含有重合体が多価金属イオンでイオン架橋されることを抑制できる。つまりカルボキシ基含有重合体のカルボキシ基がアンモニウムイオンで保護されていることにより、該カルボキシ基が多価金属化合物と反応して多価金属イオンでイオン架橋されることを抑制できる。そのため、該反応に伴う凝集物の生成を抑制でき、コーティング液の液安定性や塗工性、形成されるコート層の透明性、厚さの均一性等が良好となる。
また、コーティング液中のアンモニウムイオンはアンモニアとして揮発させることで除去できる。そのため、本発明のコーティング液を基材上に塗工し、形成される塗膜から水等を除去するために乾燥処理を施すと、カルボキシ基を保護しているアンモニウムイオンも除去される。これにより、カルボキシ基含有重合体のカルボキシ基が露出し、多価金属化合物と反応して多価金属イオンでイオン架橋される。そのため、塗膜の乾燥により形成されたコート層は、多価金属イオンでイオン架橋されたカルボキシ基含有重合体を含む。かかるコート層は、耐水性が高く、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を発揮する。また、詳しくは後で説明するが、該コート層は、耐熱性、耐虐待性等にも優れる。
また、本発明のコーティング液によれば、1回の塗工、乾燥を行うだけでも上記のようなコート層を基材上に形成でき、該乾燥も、40〜150℃程度の低温で実施できる。そのため、耐熱性の低い基材も使用でき、基材の種類に制限がない。また、工業的に簡便にガスバリア性積層体を製造できる。
【0029】
<ガスバリア性積層体>
本発明のガスバリア性積層体は、基材と、該基材の少なくとも片面上に設けられたガスバリア層と、を備えるガスバリア性積層体であって、
前記ガスバリア層が、本発明のコーティング液から形成されたコート層を含むことを特徴とする。
【0030】
〔基材〕
本発明のガスバリア性積層体における基材に特に制限はなく、様々な種類のものが使用できる。
基材を構成する材質としては、特に限定されず、様々な種類のものが使用でき、例えばプラスチック、紙等が挙げられる。
基材は、単一の材料からなる単層のものであっても、複数の材料からなる多層のものであってもよい。例えば、多層の基材の例として、プラスチックから構成されるフィルムが紙とラミネートされたものが挙げられる。
基材を構成する材質としては、上記の中でも、様々な形状に成形でき、ガスバリア性を付与することでさらに用途が広がることから、プラスチックが好ましい。
【0031】
プラスチックとしては、特に限定されないが、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらの共重合体等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、メタキシリレンアジパミドやこれらの共重合体等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、再生セルロース、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
ガスバリア性積層体が食品包装材料に用いられる場合、基材としては、上記の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6またはナイロン−66からなるものが好ましい。
基材を構成するプラスチックは1種単独でも、2種類以上のブレンドであってもよい。
プラスチックには、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、用途に応じて、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の公知の添加剤から適宜選択できる。添加剤は1種を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0032】
基材の形態としては、特に限定されず、たとえばフィルム、シート、カップ、トレー、チューブ、ボトル等が挙げられる。これらの中でも、フィルムが好ましい。
基材がフィルムである場合、該フィルムは延伸フィルムであってもよいし、未延伸フィルムであってもよい。
フィルムの厚さに特に制限はないが、得られるガスバリア性積層体の機械的強度や加工適性の観点で、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
【0033】
基材の表面には、コーティング液が基材に対してはじくことなく塗れるようにするために、プラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、火炎処理、UVや電子線によるラジカル活性化処理等が施されていてもよい。処理方法は、基材の種類によって適宜選択される。
【0034】
〔コート層〕
コート層は、本発明のコーティング液から形成されたものであり、具体的には、本発明のコーティング液を基材上に塗工し、乾燥してなるものである。該コート層は、上述したように、多価金属イオンでイオン架橋されたカルボキシ基含有重合体を含んでおり、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を発揮する。
コート層は、基材の片面上に設けられてもよく、両面上に設けられてもよい。
コート層は、基材の表面に直接設けられてもよく、基材上に設けられた他の層(たとえばアンカーコート層)の表面に設けられてもよい。
コート層の形成方法については後で詳細に説明する。
【0035】
コート層の厚さは、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがより好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましく、0.1〜0.5μmであることが特に好ましい。
コート層の厚さが0.01μm以上であると、充分なガスバリア性が得られる。
コート層の厚さが5μm以下であると、製造時に均一なコート層を形成しやすく、欠陥のないコート層が得られやすい。また、コート層の厚みが薄いほど、耐虐待性に優れる。これはコート層が厚いと積層体に折れや曲げ等の虐待が加わった際にその応力にコート層が耐え切れなくなり、亀裂等の欠陥が生じやすいためである。コート層を薄くすることで応力が分散され、欠陥を抑制することができる。また、コート層の厚みが薄いほど、印刷やラミネート等の加工において、ガスバリア性積層体の寸法変化が生じにくい。
なお、ガスバリア性積層体の耐虐待性は、基材がフィルム等であり、虐待が加わった際に変形する場合に問題となるが、基材が厚く硬い場合は、ガスバリア性積層体の耐虐待性を考慮する必要はない。
【0036】
〔他の層〕
本発明のガスバリア性積層体は、必要に応じて、基材および前記コート層以外の他の層をさらに有していてもよい。
たとえば、本発明のガスバリア性積層体が有するガスバリア層は、前記コート層のみであってもよいが、前記コート層以外の他のガスバリア層として、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アルミニウム等の無機化合物からなる層が、基材の表面に、スパッタリング法、イオンプレーディング法等により形成されていてもよい。
【0037】
本発明のガスバリア性積層体は、基材とコート層の間に、基材とコート層との密着性を高めたりコーティング液が基材にはじかず塗れるようにする目的で、アンカーコート層をさらに有してもよい。
アンカーコート層は、公知のアンカーコート剤を用いて常法により形成することができる。
アンカーコート剤としては、たとえばポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂等の樹脂を含むものが挙げられる。樹脂としては、本発明のコーティング液の塗工性が良好であることから、水系ポリエステル樹脂が好ましい。「水系」とは、水に溶解または分散可能であることを示す。
アンカーコート剤は、樹脂のほかに、密着性や耐熱水性を高める目的で、イソシアネート化合物をさらに含んでもよい。イソシアネート化合物としては、分子中に1つ以上のイソシアネート基を有するものであればよく、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
アンカーコート剤は、樹脂やイソシアネート化合物を溶解または分散させるための液体媒体をさらに含有してもよい。液体媒体としては、水が好ましい。また、アンカーコート剤の塗工性を高めるために、水のほかに、イソプロピルアルコール等の有機溶剤をさらに含有してもよい。
アンカーコート剤としては、コーティング液の濡れ性と耐熱水性の観点で、水系ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物とを含むものが好ましい。
【0038】
アンカーコート層の厚みは特に限定されないが、単位面積当たりの質量として、0.01〜2.0g/m
2であることが好ましく、0.05〜1.0g/m
2であることがより好ましい。0.01g/m
2以上であると、アンカーコート層を設ける効果が充分に得られる。2.0g/m
2以下であると、アンカーコート層の平滑性が良好となり本発明のコーティング液のからなるコート層が均一に形成されガスバリア性が良好となる。
アンカーコート層の表面は、本発明のコーティング液の塗工性が良好となるため濡れ張力が高いことが好ましい。アンカーコート層の表面の濡れ張力は45.0mN/m以上であることが好ましく、48.0mN/m以上であることがより好ましい。濡れ張力は市販の濡れ張力試験用混合液により評価できる。
【0039】
本発明のガスバリア性積層体は、必要に応じて、基材上に設けられたコート層上に、またはコート層が設けられない側の基材上に、接着剤を介してラミネートされた他の層を有していてもよく、接着性樹脂により押し出しラミネートされた他の層を有していてもよい。
ラミネートされる他の層としては、強度付与、シール性やシール時の易開封性付与、意匠性付与、光遮断性付与、防湿性付与等の目的に併せて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、前述した基材におけるプラスチックと同様の材質のものを挙げることができる。それ以外にも、紙やアルミ箔等を用いてもよい。
ラミネートされる他の層の厚みとしては、1〜1000μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、5〜200μmであることがさらに好ましく、5〜150μmであることが特に好ましい。
ラミネートされる他の層は1種でも2種以上でもよい。
【0040】
本発明のガスバリア性積層体は、必要に応じて、印刷層をさらに有していてもよい。印刷層は、基材上に設けられたコート層上に形成されてもよく、コート層が設けられていない側の基材上に形成されてもよい。また、他の層がラミネートされる場合は、ラミネートされる他の層の上に形成されてもよい。
【0041】
〔ガスバリア性積層体の製造方法〕
本発明のガスバリア性積層体は、基材上に、本発明のコーティング液を塗工し、乾燥することによりコート層を形成する工程を含む製造方法により製造することができる。該製造方法は、必要に応じて、コート層を形成する工程の前および/または後に、他の層をラミネートする工程、印刷層を形成する工程等をさらに含んでもよい。
【0042】
コーティング液の塗工方法としては、特に限定されないが、例えば、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセット、アークグラビアコーター、トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーター及びノズルフィードリバースコーター等のリバースロールコーター、5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーターを用いて塗工する方法が挙げられる。
塗工したコーティング液の乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、自然乾燥による方法や、所定の温度に設定したオーブン中で乾燥させる方法、コーター付属の乾燥機、例えばアーチドライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤー等を用いる方法を挙げることができる。
乾燥条件は、乾燥方法等により適宜選択することできる。例えばオーブン中で乾燥させる方法においては、乾燥温度が40〜150℃であることが好ましく、45〜150℃であることがより好ましく、50〜140℃であることが特に好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によっても異なるが、0.5秒〜10分間であることが好ましく、1秒〜5分間であることがより好ましく、1秒〜1分間であることが特に好ましい。
【0043】
本発明のガスバリア性積層体は、温度30℃、相対湿度70%RHにおける酸素透過度が100cm
3(STP)/m
2・day・MPa以下であることが好ましく、80cm
3(STP)/m
2・day・MPa以下であることがより好ましく、50cm
3(STP)/m
2・day・MPa以下であることがさらに好ましい。該酸素透過度は低いほど好ましく、その下限としては特に限定はないが通常は0.1cm
3(STP)/m
2・day・MPa以上である。
【0044】
〔作用・効果〕
本発明のガスバリア性積層体は、本発明のコーティング液を用いて形成されたコート層を有する。該コート層は、上記のとおり、多価金属イオンでイオン架橋されたカルボキシ基含有重合体を含んでおり、高湿度雰囲気下でも優れたガスバリア性を有する。たとえばガスバリア層として該コート層のみを含む場合でも、上述した酸素透過度を達成し得る。そのため、本発明のガスバリア性積層体は、酸素、水蒸気等の影響により劣化しやすい物品の包装材料として有用である。
また、本発明のガスバリア性積層体は、耐熱性にも優れる。たとえば該ガスバリア性積層体に、ボイル処理、レトルト処理等の加熱殺菌処理を施したときに、ガスバリア性が劣化せず、逆に高まる傾向がある。また、該加熱殺菌処理を施すことで、層間密着性も高まる傾向がある。そのため、該ガスバリア性積層体は、加熱殺菌用包装材料、つまり物品の包装後に加熱殺菌が行われる物品用の包装材料としての有用性が高い。
【0045】
<包装材料>
本発明の包装材料は、前記本発明のガスバリア性積層体を含むものである。
本発明の包装材料は成形品であってもよい。成形品としては、たとえば、容器、容器の一部を構成する部材等が挙げられ、具体例としては、製袋品、スパウト付きパウチ、ラミネートチューブ、輸液バッグ、容器用蓋材、紙容器等が挙げられる。
【0046】
本発明の包装材料が適用される用途に特に限定はなく、様々な物品の包装材料として用いることができる。
上述したとおり、本発明のガスバリア性積層体が優れたガスバリア性を有する。そのため、本発明の包装材料は、酸素、水蒸気等の影響により劣化しやすい物品の包装材料として好ましく用いられ、なかでも、食品用包装材料として好ましく用いられる。食品用包装材料以外にも、農薬や医薬などの薬品、医療用具、機械部品、精密材料などの産業資材として好ましく用いることができる。
本発明のガスバリア性積層体は、ボイル処理、レトルト処理等の加熱殺菌処理を施したときに、ガスバリア性や層間密着性が劣化せず、逆に高まる傾向がある。そのため、本発明の包装材料は、加熱殺菌用包装材料であってもよい。
【0047】
加熱殺菌用包装材料は、包装後に加熱殺菌処理が行われる物品の包装に用いられる。
包装後に加熱殺菌処理が行われる物品としては、たとえばカレーやシチュー、スープ、ソース、畜肉加工品等の食品が挙げられる。
加熱殺菌処理としては、ボイル処理、レトルト処理等が挙げられる。
ボイル処理は、食品等を保存するため湿熱殺菌する処理である。通常は、内容物にもよるが、食品等を包装したガスバリア性積層体を、60〜100℃、大気圧下で、10〜120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて行うが、一定温度の熱水槽の中に浸漬し、一定時間後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して殺菌する連続式がある。
レトルト処理は、一般に食品等を保存するために、カビ、酵母、細菌などの微生物を加圧殺菌する処理である。通常は、食品を包装したガスバリア性積層体を、105〜140℃、0.15〜0.3MPaで、10〜120分の条件で加圧殺菌処理する。レトルト装置は、加熱蒸気を利用する蒸気式と加圧過熱水を利用する熱水式等があり、内容物となる食品等の殺菌条件に応じて適宜使い分ける。
【実施例】
【0048】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は、以下の実施例によって制限されない。
実施例および比較例で用いた測定方法を以下に示す。
【0049】
(1)(B)成分の平均粒子径:
コーティング液に含まれる(B)成分の平均粒子径(μm)は、以下の手順で測定した。
得られたコーティング液を水で希釈して、(A)成分の濃度が0.01質量%になるように調整した。この希釈液に含まれている分散体((B)成分)の平均粒子径を、日機装株式会社製レーザー回折・散乱式粒度分析計(マイクロトラックMT3300)を用いて測定し、メジアン径(D50)の値を得た。
【0050】
(2)ヘイズ:
積層体のヘイズ(%)は、JIS K7136に記載された方法に準拠して、日本電色工業株式会社製ヘイズメーター(Haze Meter NDH2000)を用いて測定した。
【0051】
(3)酸素透過度:
酸素透過度(単位:cm
3(STP)/m
2・day・MPa)は、Modern Control社製酸素透過率測定装置(OXTRAN2/20)を用いて測定した。具体的には、温度30℃、酸素供給側の湿度70%RH、キャリアガス側の湿度70%RH、酸素圧力1気圧、キャリアガス圧力1気圧の条件下で酸素透過度を測定した。
【0052】
(実施例1)
水系ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製 ペスレジンA−647GEX 固形分20重量%)11.1gを水49.2gに溶解し、水分散型ポリイソシアネート(旭化成ケミカルズ株式会社製、デュラネートWT30−100)1.7gを加えて撹拌した。次いで2−プロパノール38.0gを加えて撹拌し、アンカーコート剤1を得た。
【0053】
別途、重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水62.5gに溶解し、次いで2−プロパノール18.5gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX−30)2.3gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製、P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液1を得た。
コーティング液1に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
なお、この例で用いたポリアクリル酸アンモニウム塩は、固形分10質量%の水溶液の状態でのpH(25℃)が8.2であった。
コーティング液1中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.0倍である。コーティング液1のpHは8.7であった。
【0054】
次に、基材として、片面にコロナ処理が施された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーP−60、厚さ12μm)を用意した。この基材のコロナ処理面上に、アンカーコート剤1を、乾燥後の塗工量が0.2g/m
2となるように、メイヤーバー(RK Print−Coat Instruments製 K303バー)を用いて塗工し、100℃のオーブンで30秒間乾燥させることによりアンカーコート層を形成した。
続いて、前記アンカーコート層の上に、コーティング液1を、乾燥後の塗工量が0.5g/m
2となるように、メイヤーバーを用いて塗工し、100℃のオーブンで30秒間乾燥させてコート層を形成することにより積層体1を得た。
コーティング液1に含まれる(B)成分の平均粒子径、得られた積層体1のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
【0055】
次に、積層体1のコート層側の表面に、2液型ポリウレタン系接着剤(三井化学ポリウレタン株式会社製、タケラックA525/タケネートA52)を介して、二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製、ONUM、厚さ15μm)をドライラミネートした。さらに上記と同じポリウレタン系接着剤を介して、二軸延伸ナイロンフィルムと未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製、ZK−93FM、厚さ60μm)をドライラミネートし、40℃にて3日間のエージングを行ってラミネートフィルムを得た。
得られたラミネートフィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
[レトルト処理後の酸素透過度]
得られたラミネートフィルムを20cm×15cmの大きさに2枚切り出し、未延伸ポリプロピレンフィルム側同士を合わせた状態で3辺をシールしてパウチを作製した。このパウチに水200mLを入れた後、残りの1辺をシールした。
得られた水充填パウチを、株式会社日阪製作所製レトルト処理機(RCS−60)を用いて、121℃にて30分間のレトルト処理を行った。
レトルト処理後、水を取り除き、ラミネートフィルムの酸素透過度を、前記の手順で測定した。
【0057】
[剥離強度]
前記のレトルト処理後のラミネートフィルムと、レトルト処理前のラミネートフィルムについて、それぞれ、株式会社オリエンテック製万能材料試験機(TENSILON RC−1210A)を用いて、基材と二軸延伸ナイロンフィルムとの間を剥がして剥離強度(N/15mm)を測定した。試験方法はJIS K6854−3に準拠し、試験片の幅は15mm、剥離速度は300mm/minの条件で測定した。
【0058】
(実施例2)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水63.6gに溶解し、次いで2−プロパノール18.8gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径100nmの酸化マグネシウム(堺化学工業株式会社製、SMO)0.9gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製 P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液2を得た。
コーティング液2に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液2中、酸化マグネシウムの含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して0.8倍である。コーティング液2のpHは8.5であった。
【0059】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液2を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体2を得た。得られた積層体2のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体2を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0060】
(実施例3)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水62.1gに溶解し、次いで2−プロパノール18.5gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX−30)2.7gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製、P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液3を得た。
コーティング液3に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液3中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.2倍である。コーティング液3のpHは8.8であった。
【0061】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液3を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体3を得た。得られた積層体3のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体3を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
(実施例4)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水62.5gに溶解し、次いで2−プロパノール18.5gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX−30)2.3gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製 P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って30分間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液4を得た。
コーティング液4に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液4中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.0倍である。コーティング液4のpHは8.7であった。
【0063】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液4を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体4を得た。得られた積層体4のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体4を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0064】
(実施例5)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水62.5gに溶解し、次いで2−プロパノール18.5gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径20nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX−50)2.3gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製 P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って5時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液5を得た。
コーティング液5に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液5中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.0倍である。コーティング液5のpHは8.7であった。
【0065】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液5を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体5を得た。得られた積層体5のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体5を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0066】
(実施例6)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水63.0gに溶解し、次いで2−プロパノール18.7gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム(タテホ化学工業株式会社製、ECOMAG Z−10)1.6gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製、P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液6を得た。
コーティング液6に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液6中、水酸化マグネシウムの含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.0倍である。コーティング液6のpHは8.7であった。
【0067】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液6を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体6を得た。得られた積層体6のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体6を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例7)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水62.1gに溶解し、次いで2−プロパノール18.4gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径80nmの炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、白艶華PZ)2.8gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製、P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液7を得た。
コーティング液7に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液7中、炭酸カルシウムの含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.0倍である。コーティング液7のpHは8.8であった。
【0069】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液7を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体7を得た。得られた積層体7のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体7を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0070】
(実施例8)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水62.5gに溶解し、次いで2−プロパノール18.5gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径100nmの板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、XZ−100F)2.3gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製、P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液8を得た。
コーティング液8に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液8中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.0倍である。コーティング液8のpHは8.7であった。
【0071】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液8を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体8を得た。得られた積層体8のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体8を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例9)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水63.4gに溶解し、次いで2−プロパノール18.8gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX30)1.1gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製、P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液9を得た。
コーティング液9に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液9中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して0.5倍である。コーティング液9のpHは8.4であった。
【0073】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液9を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体9を得た。得られた積層体9のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体9を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0074】
(実施例10)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水60.7gに溶解し、次いで2−プロパノール18.1gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX30)4.6gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製、P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液10を得た。
コーティング液10に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液10中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して2.0倍である。コーティング液10のpHは8.9であった。
【0075】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液10を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体10を得た。得られた積層体10のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体10を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0076】
(比較例1)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水64.3gに溶解し、次いで2−プロパノール19.0gを加えて撹拌し、コーティング液11を得た。
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液11を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体11を得た。得られた積層体11のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体11を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
(比較例2)
重量平均分子量20万のポリアクリル酸(東亞合成株式会社製、アロンA−10H、固形分25質量%)20.0gを水59.4gに溶解し、次いで2−プロパノール18.3gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製 FINEX−30)2.3gを加えて撹拌し、コーティング液12を得ようとしたが、撹拌中に沈殿が生じて均一な液体が得られなかった。そのため、積層体の作製は行わなかった。
【0078】
(比較例3)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸ナトリウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−20UN、固形分42質量%)11.9gを水67.6gに溶解し、次いで2−プロパノール19.0gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、FINEX−30)1.6gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製 P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液13を得た。
コーティング液13に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
【0079】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液13を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体13を得た。得られた積層体13のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体13を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0080】
(比較例4)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水64.0gに溶解し、次いで2−プロパノール18.9gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製 FINEX−30)0.5gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製 P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液14を得た。
コーティング液14に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液14中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して0.2倍である。コーティング液14のpHは8.2であった。
【0081】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液14を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体14を得た。得られた積層体14のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体14を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0082】
(比較例5)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水57.0gに溶解し、次いで2−プロパノール17.2gを加えて撹拌した。その後、一次粒子径35nmの酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製 FINEX−30)9.2gを加えて撹拌した。得られた液を、遊星ボールミル(フリッチュ製 P−7)で直径0.3mmのジルコニアビーズを使って2時間分散処理した後、ビーズをふるい分け、コーティング液15を得た。
コーティング液15に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液15中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して4.0倍である。コーティング液15のpHは9.6であった。
【0083】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液15を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体15を得た。得られた積層体15のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体15を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0084】
(比較例6)
重量平均分子量10万のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成株式会社製、アロンA−30、固形分30質量%)16.7gを水62.5gに溶解し、次いで2−プロパノール18.5gを加えて撹拌した。さらに、酸化亜鉛(和光純薬工業株式会社製、和光一級)2.3gを加えて撹拌し、コーティング液16を得た。
コーティング液16に含まれる(B)成分の平均粒子径を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
コーティング液16中、酸化亜鉛の含有量は、ポリアクリル酸アンモニウム塩の化学当量に対して1.0倍である。コーティング液16のpHは8.6であった。
【0085】
次に、実施例1と同様にして、基材(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)上にアンカーコート層を設けた。続いて、アンカーコート層の上に、コーティング液1の代わりにコーティング液16を用いた以外は実施例1と同様にしてコート層を形成し、積層体16を得た。得られた積層体16のヘイズおよび酸素透過度を前記の手順で測定した。結果を表1に示す。
次に、得られた積層体16を積層体1の代わりに用いた以外は実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、実施例1と同様に、レトルト処理後の酸素透過度と剥離強度を評価した。結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1中、B/Aは、(A)成分の化学当量に対する(B)成分の含有量の倍率を示す。
上記結果に示すとおり、実施例1〜10は、得られた積層体が、湿度70%RHの高湿度雰囲気下でも酸素透過度100cm
3(STP)/m
2・day・MPa以下の高いガスバリア性を有していた。また、各積層体を用いて得たラミネートフィルムは、レトルト処理後に酸素透過度が高まっていた。また、基材間の剥離強度も高まり、層間密着性が向上していた。さらに、平均粒子径が1.0μm以下の実施例1〜3、5、7〜10は、積層体のヘイズが小さく、透明性が高かった。
一方、(B)成分を含有しないコーティング液を用いた比較例1は、酸素透過度が大きかった。また剥離強度(特にレトルト処理後)が小さかった。
(A)成分の代わりにポリアクリル酸を用いた比較例2は、コーティング液をうまく調製できなかった。
(A)成分の代わりにポリアクリル酸ナトリウムを用いた比較例3は、酸素透過度が大きかった。また剥離強度(特にレトルト処理後)が小さかった。
(B)成分の含有量が(A)成分の化学当量に対して0.5倍未満のコーティング液を用いた比較例4は、実施例1〜10に比べて、酸素透過度(特にレトルト処理後)が大きかった。
(B)成分の含有量が(A)成分の化学当量に対して2.0倍超のコーティング液を用いた比較例5は、酸素透過度が大きかった。
(B)成分の平均粒子径が5μmのコーティング液を用いた比較例6は、ヘイズと酸素透過度が大きかった。