(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、温度や電力など、各測定データを測定する機能を個別に持ち、それらを組み合わせて管理する機器の場合には、上述の従来技術を適用したとしても、各測定データと対応するコードを多数送信することになる。
【0009】
図2は、データ送信方法を説明する図(その2)の一例を示す。例えば、
図2において、機器1のモジュール1−1は、センサa、bの「データa」、「データb」を測定し、モジュール1−2は、センサcの「データc」を測定する。このように、モジュール有無の構成変更が可能な場合、機器1は、モジュール1−1で測定するデータと、モジュール1−2で測定するデータとを分けて管理する。つまり、機器1は、モジュール毎にデータを取り扱うので、情報収集装置2に送信するデータも、2つの送信データとして取り扱う。
【0010】
例えば、モジュール1−1及びモジュール1−2を有する機器1は、「データa」及び「データb」に対し「コードA」を付加すると共に、「データc」に対し「コードB」を付加することにより、データを情報収集装置2に送信する。なお、モジュール1−2が無い構成の場合、機器1は、「データa」及び「データb」に対し「コードA」を付加することにより、モジュール1−1のデータのみを送信する。
【0011】
このように、各測定データを測定する機能(モジュール)の構成変更が可能な機器の場合、機能(モジュール)毎に、少なくとも1つの「コード」を付加する必要がある。例えば、
図2の場合、機器1から送信されるデータには、「コードA」及び「コードB」という2つのコードを付加する必要がある。このため、低速通信を用いる場合など、伝送時間の短縮、データ伝送の効率化という観点からすると、なお改良の余地がある。
【0012】
上記の点に鑑みて、本発明の実施形態においては、一つのコードを用いて多数のデータを送受信し、データ伝送の効率化を図るデータ通信システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様におけるデータ通信システムは、データ送信装置とデータ受信装置とを含むデータ通信システムであって、
前記データ送信装置は、一以上のデータを含むデータ組毎に、素数のコードが一意に定義されたコード定義情報を記憶した記憶手段と、複数のデータ組を送信するとき、
前記データ組毎に定義された
それぞれの素数のコードを乗算して計算される値である乗算値と、複数のデータ組とを含む送信データを生成し、該送信データを送信する送信手段とを備え、
前記データ受信装置は、前記コード定義情報を記憶した記憶手段と、前記送信データを受信したとき、該送信データに含まれる
前記乗算値を、該送信データに含まれるデータ組毎に定義された素数のコードで除算し、
前記除算で割る数、前記除算で計算される商及び剰余である除算値に基づいて、該送信データに含まれるデータ組毎に定義されたコードを識別する受信手段とを備え
、前記コード定義情報には、データ毎に、配列の順番情報とデータ属性とが定義され、前記送信手段は、前記順番情報に従って、データが配列された送信データを生成し、前記受信手段は、受信した前記送信データのデータ配列順番と、前記順番情報とに基づいて、データのデータ属性を識別する。
【0015】
また、本発明の他の態様におけるデータ受信装置は、一以上のデータを含むデータ組毎に、素数のコードが一意に定義されたコード定義情報を記憶した記憶手段と、
前記データ組毎に定義されたそれぞれの素数のコードを乗算して計算される値である乗算値と、複数の前記データ組とを含む送信データを受信したとき、該送信データに含まれる
前記乗算値を、該送信データに含まれるデータ組毎に定義された素数のコードで除算し、
前記除算で割る数、前記除算で計算される商及び剰余である除算値に基づいて、該送信データに含まれるデータ組毎に定義されたコードを識別する受信手段とを備え
、前記コード定義情報には、データ毎に、配列の順番情報とデータ属性とが定義され、前記送信手段は、前記順番情報に従って、データが配列された送信データを生成し、前記受信手段は、受信した前記送信データのデータ配列順番と、前記順番情報とに基づいて、データのデータ属性を識別する。
【0016】
また、本発明の他の態様におけるデータ通信方法は、データ送信装置とデータ受信装置とのデータ通信方法であって、
前記データ送信装置は、一以上のデータを含むデータ組毎に、素数のコードが一意に定義されたコード定義情報を、記憶手段から読み出す手順と、複数のデータ組を送信するとき、データ組毎に定義された
それぞれの素数のコードを乗算して計算される値である乗算値と、複数のデータ組とを含む送信データを生成し、該送信データを送信する手順とを有し、
前記データ受信装置は、前記コード定義情報を、記憶手段から読み出す手順と、前記送信データを受信したとき、該送信データに含まれる
前記乗算値を、該送信データに含まれるデータ組毎に定義された素数のコードで除算し、
前記除算で割る数、前記除算で計算される商及び剰余である除算値に基づいて、該送信データに含まれるデータ組毎に定義されたコードを識別する手順とを有
し、前記コード定義情報には、データ毎に、配列の順番情報とデータ属性とが定義され、前記データ送信装置は、前記順番情報に従って、データが配列された送信データを生成し、前記データ受信装置は、受信した前記送信データのデータ配列順番と、前記順番情報とに基づいて、データのデータ属性を識別する。
【発明の効果】
【0017】
開示の技術によれば、データ伝送の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、上記課題を解決する実施例について、添付図面を参照しながら説明する。
【0020】
[実施例]
<システム構成>
図3は、実施例におけるシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すデータ通信システムは、機器1と情報収集装置2とが、ネットワーク3を介して接続される。
【0021】
(機器1)
機器1は、測定対象を測定する各センサと接続され、測定されたデータ(例えば、温度や電力等)を情報収集装置2に送信する。このため、機器1は、モジュール1−1及びモジュール1−2と、通信部11と、記憶部12と有する。
【0022】
モジュール1−1及びモジュール1−2は、各センサに接続され、各センサで測定されたデータを取得し管理するモジュールである。本実施例では、
図3のようにモジュール1−1には、センサa及びセンサbが接続され、モジュール1−2には、センサcが接続されているものとする。
【0023】
また、本実施例にかかる機器1は、モジュール有無の構成変更が可能である。よって、機器1がモジュール1−1及びモジュール1−2を有する場合には、モジュール1−1で測定するデータと、モジュール1−2で測定するデータとを分けて管理する。つまり、機器1は、モジュール毎にデータを取り扱うので、情報収集装置2に送信するデータも、2つの送信データとして取り扱う。
【0024】
通信部11は、各センサで測定されたデータを情報収集装置2に送信する。具体的に、通信部11は、センサaで測定された「データa」、センサbで測定された「データb」、センサcで測定された「データc」を情報収集装置2に送信する。なお、通信部11は、データを情報収集装置2に送信する際には、記憶部12のコード属性表に従って、データ送信を実施する(詳細後述)。
【0025】
記憶部12は、コード属性表を記憶する。コード属性表は、データに付加するための「コード」、データを送信する「順番」、データの「データ属性」などが対応付けられて定義(規定)されたもので、通信部11が情報収集装置2にデータ送信する際に用いられる(詳細後述)。
【0026】
(情報収集装置2)
情報収集装置2は、各センサで測定されたデータを機器1から受信することにより、各種データを収集し、収集したデータを処理する。このため、情報収集装置2は、通信部21と、記憶部22と有する。
【0027】
通信部21は、各センサで測定されたデータを機器1から受信する。具体的に、通信部21は、所定のコードと、センサaで測定された「データa」と、センサbで測定された「データb」と、センサcで測定された「データc」とを含む送信データを、機器1から受信する。なお、通信部21は、データを機器1から受信した際、受信した所定のコード及び記憶部22のコード属性表に従って、受信したデータを解析する(詳細後述)。受信したデータが解析されると、受信したデータから、「データa」、「データb」、「データc」を取得できる。取得された各データは、例えば、測定対象の装置の監視や管理に利用することができる。
【0028】
記憶部22は、コード属性表を記憶する。コード属性表は、データ送受信に用いられる情報である。データの送信側と受信側とでは、互いに同一の規定に従ってデータを送受信する必要があるので、記憶部22のコード属性表は、機器1の記憶部12に記憶されたものと同一のコード属性表が記憶される。
【0029】
なお、情報収集装置2は、機器1のみならず、複数の機器と接続され、接続された複数の機器から、各機器で測定されたデータを収集することも可能である。この場合、情報収集装置2は、接続された複数の機器のそれぞれが有する全てのコード属性表を、記憶部22のコード属性表内に含む。
【0030】
また、本実施例では、データの一例として、各センサで測定された測定データを対象としているが、測定データに限らず、そのほかの情報を含むことができる。例えば、自動販売機などの機器であれば、販売売上などのデータも送信データとして扱うことができる。
【0031】
(コード属性表)
再び
図3を参照しながら、コード属性表について説明する。コード属性表は、データに付加するための「コード」、データを送信する「順番」、データの「データ属性」などが対応付けられて定義(規定)されるコード属性情報である。
【0032】
「コード」は、データ受信側でのデータ解析時、最終的に「データ属性」を特定するためのキーとなる情報である。ここで、本実施例のコード値は、他のコードと重複しない素数が用いられる。素数とは、1以外の数で1と自分自身しか約数がない整数のことをいう。よって、例えば、「コード」として、2、3、5、7・・・などの値が用いられる。
【0033】
また、「コード」は、一以上のデータの組(データのまとまり)ごとに付与される。具体的に、組(データのまとまり)は、追加や削除などの構成変更が可能なモジュール単位で、同一モジュールが扱うデータごとに付与される。
【0034】
例えば、
図3の場合、コードαは、機器1のモジュール1−1に付与されるコードである。モジュール1−1は、センサa及びセンサbで測定された「データa」及び「データb」を取得する。よって、モジュール1−1により取得された「データa」及び「データb」には、コードαが付与される(「データa」及び「データb」は、コードαという組に所属する)。
【0035】
また、コードβは、機器1のモジュール1−2に付与されるコードである。モジュール1−2は、センサcで測定された「データc」を取得する。よって、モジュール1−2により取得された「データc」には、コードβが付与される(「データc」は、コードβという組に所属する)。
【0036】
「順番」は、同一コード内に所属するデータごとに規定されるもので、データを配列する順番を示す。機器1は、送信データを生成する際、各センサで測定された複数のデータを、「順番」に従って配列する。
【0037】
「データ属性」は、例えば、データの発生元となったセンサの情報など、そのデータの属性を示す。この「データ属性」により、そのデータがどのようなデータであるかが識別される。なお、「データ属性」は、そのデータの属性が示されればよい。例えば、データの発生元となったセンサの情報のほか、情報収集装置2側でのデータ処理用途に応じて、測定対象の装置名やデータのデータ種(温度、電力等)などの情報が格納されてもよい。
【0038】
(送信データ)
図4は、実施例における送信データの一例を示す図である。機器1は、各センサで測定されたデータを送信する際、コード属性表に基づいて、送信用の送信データを生成し、生成した送信データを情報収集装置2に送信する。具体的に、実施例における送信データは、一つのコード部と、一つ以上のデータ部とから構成される。
【0039】
コード部は、後続するデータ部の、例えば、前位置に付加されるコード格納領域である。コード部には、データ部内の全データに対し付与されたコード(但し、重複しない素数)の乗算値γが格納される。例えば、コードα=2、コードβ=3の場合、乗算値γ=6が格納される。
【0040】
なお、コード部の数は、後続するデータの組及びデータの数がいくつになろうとも、一つである。つまり、一つの送信データの有するコード部領域容量を、例えば、仮に1byteとするならば、後続するデータの組及びデータの数がいくつになろうとも、又はどの程度の容量になろうとも、一つの送信データの有するコード部領域容量は、常に1byteである。
【0041】
なお、データの組が二つの場合、一つの送信データの有するコード部は、二つになっている(例えば、
図2参照)。
【0042】
データ部は、機器1から情報収集装置2に対して送信されるデータの実体部分である。例えば、情報収集装置2に対し送信すべき「データa」、「データb」、「データc」に相当する。
【0043】
(ハードウェア)
図5は、実施例における機器1及び情報収集装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。機器1及び情報収集装置2は、主要な構成として、CPU101、ROM102、RAM103、HDD104、インターフェース105、入力装置106、表示装置107、及び通信装置108を有する。
【0044】
CPU101は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM102は、CPU101で実行される所定の制御プログラムを格納するメモリである。また、RAM103は、CPU101がROM102に格納された所定の制御プログラムを実行して各種の制御を行うときの作業領域として使用するメモリである。
【0045】
HDD104は、汎用のOS、各種プログラムを含む各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置である。
【0046】
インターフェース105は、センサ等の外部機器と接続するためのインターフェースである。
【0047】
入力装置106は、ユーザが各種入力操作を行うための装置である。入力装置106は、マウス、キーボード、表示装置107の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチなどを含む。
【0048】
表示装置107は、各種データを表示画面に表示する装置である。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。
【0049】
通信装置108は、ネットワーク3を介して他の機器との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
【0050】
<データ送受信処理>
図6は、実施例におけるシステム構成の一例を示す図である。機器1及び情報収集装置2のデータ送受信処理について、以下詳しく説明する。
【0051】
機器1は、記憶部12のコード属性表に従って、センサaで測定された「データa」、センサbで測定された「データb」、センサcで測定された「データc」、及び「コード部」を含む送信データを生成し、生成した送信データを情報収集装置2に送信する。
【0052】
一方、情報収集装置2は、機器1から、「データa」、「データb」、「データc」、及び「コード部」を含む送信データを受信する。また、情報収集装置2は、記憶部22のコード属性表と、送信データに含まれている「コード部」の情報に従って、機器1からの送信データを解析する。機器1からの送信データが解析されると、「データa」、「データb」、「データc」を識別可能に取得できる。
【0053】
(機器1のデータ送信処理)
図7は、機器1のデータ送信処理を説明するフローチャート図である。また、
図8は、機器1の送信データ生成を説明する図である。機器1の通信部11は、「データa」、「データb」、「データc」を取得すると、情報収集装置2に送信するための送信データを生成する。以下詳しく説明する。
【0054】
S1:通信部11は、まずコード部に格納するためのコードγに、1をセットする(γ=1)。
【0055】
S2:通信部11は、コード属性表を参照し、先頭(一行目)の「コード」を現行コードδにセットする。例えば、
図6において、記憶部12のコード属性表を参照する。先頭(一行目)の「コード」は、2である。この場合、現行コードδ=2にセットする。
【0056】
S3:通信部11は、現行コードδは有効かどうか判定する。具体的には、現行コードδが素数であるかどうかを判定する。本実施例にかかるコードは、上述したように、素数である必要があるためである。
【0057】
S4:通信部11は、現行コードδをコードγに乗算し、コードγを更新する(γ←γ×δ)。例えば、δ=2、γ=1の場合、コードγ=2×1=2と更新される。
【0058】
S5:通信部11は、現行コードδの「データ属性」に対応する全てのデータを「順番」に沿って配列する。
【0059】
図6において、再び記憶部12のコード属性表を参照する。現行コードδ=2の場合、現行コード2の「データ属性」は、「機器1のセンサa」、「機器1のセンサb」である。よって、「機器1のセンサa」に対応する「データa」、「機器1のセンサb」に対応する「データb」を「順番」に沿って配列する。「機器1のセンサa」に対応する「データa」の「順番」は第1項、「機器1のセンサb」に対応する「データb」の「順番」は第2項とある。このため、「データa」、「データb」の順番にデータを配列する(例えば、
図8の802参照)。
【0060】
S6:通信部11は、現行コードδはコード属性表の終端かどうかを判定する。
図6において、再び記憶部12のコード属性表を参照する。現行コードδ=2の場合、現行コード2はコード属性表の終端ではない。コード属性表中、現行コード3がさらに存在するためである。
【0061】
S7:通信部11は、コード属性表の次の「コード」を現行コードδとして読込む。
図6において、記憶部12のコード属性表を参照する場合、現行コード2の次のコードとして、現行コードδ=3が読込まれる。
【0062】
この後、通信部11は、再びS3に戻り、現行コードδ=3が有効かどうかを判定する。
【0063】
S4で、現行コードδをコードγに乗算し、コードγを更新する。ここでは、δ=3、γ=2であるので、コードγ=3×2=6と更新される。
【0064】
そしてS5で、通信部11は、現行コードδの「データ属性」に対応する全てのデータを「順番」に沿って配列する。現行コードδ=3の場合、現行コード3の「データ属性」は、「機器1のセンサc」である。よって、「機器1のセンサc」に対応する「データc」を「順番」に沿って配列する(例えば、
図8の803参照)。
【0065】
S6で、通信部11は、現行コードδはコード属性表の終端かどうかを判定する。現行コードδ=3の場合、現行コード3はコード属性表の終端である。よって、S8へ進む。
【0066】
S8:通信部11は、コード部にコードγを格納する。ここでは、コードγ=6であるので、送信データのコード部に6を格納する(例えば、
図8の804参照)。以上により、送信データが生成される。
【0067】
S9:通信部11は、送信先(例えば、情報収集装置2)に対し、生成された送信データを送信する。
【0068】
(情報収集装置2のデータ受信・解析処理)
図9は、情報収集装置2のデータ受信・解析処理を説明するフローチャート図である。また、
図10は、情報収集装置2のデータ解析を説明する図である。情報収集装置2は、機器1からの送信データを受信し、受信した送信データを解析する。以下詳しく説明する。
【0069】
S11:通信部21は、機器1から送信された送信データ(以下、受信データと呼ぶ)を受信する。ここでの受信データは、
図10の1001(=
図8の804)であるものとする。
【0070】
S12:通信部21は、受信データから、コード部のコードγを取得する。例えば、コードγとして、6を取得する(例えば、
図10の1001参照)。
【0071】
S13:通信部21は、データポインタを、受信データのコード部の次アドレスに設定する(例えば、
図10の1002参照)。
【0072】
S14:通信部21は、コード属性表の先頭(一行目)のコードを現行コードδにセットする。例えば、
図6において、記憶部22のコード属性表を参照する。先頭(一行目)の「コード」は、2である。この場合、現行コードδ=2にセットする。
【0073】
S15:通信部21は、コードγを現行コードδで除算し、「商」及び「剰余(余り)」を算出する。例えば、γ=6、δ=2の場合、6÷2=3により、「商」は3、剰余0と算出される。
【0074】
S16:S15で、剰余があったかどうかで処理を分岐する。剰余がない場合(剰余=0の場合)、S17へ進む。
【0075】
S17:通信部21は、データポインタを基点とし、コード属性表において、現行コードδと同じコードに所属する「データ属性」の個数分のデータを、「データ属性」と対応付けて取得する。
【0076】
例えば、
図6において、記憶部22のコード属性表を参照する。このコード属性表において、現行コード2と同じコードに所属する「データ属性」は、「機器1のセンサa」、「機器1のセンサb」である。よって、「データ属性」の個数分は、2個であるので、データポインタを基点とし、2個分のデータである「データa」及び「データb」を、それぞれの「データ属性」と対応付けて取得する。つまり、「機器1のセンサa」:「データa」、「機器1のセンサb」:「データb」が取得される(例えば、
図10の1003、1004参照)。
【0077】
S18:通信部21は、データポインタを、「データ属性」の個数分だけ加算する。S17の場合、「データ属性」の個数は、2個であるので、データポインタを、2個数分だけ加算し、2個分移動させる(例えば、
図10の1005参照)。
【0078】
S19:通信部21は、S15で算出した「商」をコードγにセットする(γ←商)。例えば、「商」が3の場合、γ=3となる。
【0079】
S20:通信部21は、現行コードδはコード属性表の終端かどうかを判定する。
図6において、再び記憶部22のコード属性表を参照すると、現行コードδ=2の場合、現行コード2はコード属性表の終端ではない。コード属性表中、現行コード3がさらに存在するためである。
【0080】
S21:通信部21は、コード属性表の次の「コード」を現行コードδとして読込む。
図6において、記憶部22のコード属性表を参照する場合、現行コード2の次のコードとして、現行コードδ=3が読込まれる。
【0081】
この後、通信部21は、再びS15に戻り、コードγを現行コードδで除算し、「商」及び「剰余(余り)」を算出する。例えば、γ=3、δ=3の場合、3÷3=1により、「商」は1、剰余0と算出される。
【0082】
S16で、剰余があったかどうかで処理を分岐する。剰余がない場合(剰余=0の場合)、S17へ進む。
【0083】
S17で、通信部21は、データポインタを基点とし、コード属性表において、現行コードδと同じコードに所属する「データ属性」の個数分のデータを、「データ属性」と対応付けて取得する。
【0084】
例えば、
図6において、記憶部22のコード属性表を参照する。このコード属性表において、現行コード3と同じコードに所属する「データ属性」は、「機器1のセンサc」である。よって、「データ属性」の個数分は、1個であるので、データポインタを基点とし、1個分のデータである「データc」を、「データ属性」と対応付けて取得する。つまり、「機器1のセンサc」:「データc」が取得される(例えば、
図10の1006、1007参照)。
【0085】
その後、S18、19を経て、S20へ進む。通信部21は、現行コードδはコード属性表の終端かどうかを判定する。
図6において、再び記憶部22のコード属性表を参照すると、現行コードδ=3の場合、現行コード3はコード属性表の終端である。よって、「END」へ進む。
【0086】
(まとめ)
以上のデータ受信処理により、機器1から送信された送信データから、「データa」、「データb」、「データc」を取得することができる。また、送信データの先頭に付加される一のコード部(γ)に基づいて、「データa」、「データb」、「データc」を、それぞれ「データ属性」の「機器1のセンサa」、「機器1のセンサb」、「機器1のセンサc」と対応付けて取得できる。つまり、受信側の情報収集装置2は、送信データに付加されている一つのコード部(γ)の情報によって、「データa」は「機器1のセンサa」のデータであり、「データb」は「機器1のセンサb」のデータであり、「データc」は「機器1のセンサc」のデータであることを識別することが可能である。
【0087】
なお、機器1からの送信データは、モジュール1−1の管理するデータの組、モジュール1−2の管理するデータの組というように、複数の組(及び組内にも複数のデータ)が混在して含まれている。しかしながら、コードに素数を用いることで、組の数に関わらず、従来(例えば、
図2参照)、モジュール毎(データの組毎に)に付加する必要があるコードを、コードの乗算値を用いて、1つのコードにまとめることができる。素数は、1以外の数で1と自分自身しか約数がない整数であり、受信側でコードを除算すれば、複数のコードに展開させ、モジュール毎(データの組毎)のコードを一意に特定できるからである。
【0088】
よって、本実施例にかかる送信データは、送信データの先頭に付加される一つのコードのみをもって、受信側は、データの組毎に付与されたそれぞれのコードを識別できる。また、データ毎に「順番」と「データ属性」の情報が定義されているので、これを利用し、組内の個々データに対し、その「データ属性」を識別することも可能である。
【0089】
以上のように、本実施例によれば、大量のデータを送信する場合であっても、データ送受信の効率化を図ることが可能である。
【0090】
<変形例>
図11は、変形例におけるシステム構成の一例を示す図である。
図6と比較すると、機器1に接続された機器1−2と、機器1−2に接続されたセンサdが追加されている。本構成のように、機器1と機器1−2とがそれぞれ情報収集装置2にデータを送信するよりも、情報収集装置2にとって、機器1−2のセンサdで測定された「データd」を、機器1の送信データとして受信する方が処理的に都合の良い場合がある。
【0091】
この場合、上述の実施例の通り、機器1は、機器1−2のモジュール2−1にコードを付与し、機器1のモジュール1−1に付与されたコード、機器1のモジュール1−2に付与されたコード、及び機器1−2のモジュール2−1に付与されたコードの乗算値(γ)を、コード部に格納する。そして、機器1は、コード部の後に、「データa」、「データb」、「データc」、「データd」を配列した送信データを生成すればよい。
【0092】
しかしながら、モジュールの数が多くなってくると、乗算に組み入れるべきコードの数も多くなってくるため、コード部に格納する乗算値(γ)の値が大きくなってくる。一方、コード部の格納領域容量は、通常一定であり、例えば、格納領域容量が仮に1byteとするならば、乗算値(γ)によっては、格納しきれない場合もありうる。
【0093】
よって、本変形例では、特定のコードが新たなコードを呼び出す形をとることにより、コード部の格納領域容量の制限を回避するようにする。
【0094】
図11は、本変形例におけるシステム構成の一例を示す図である。
【0095】
機器1−2は、自機器の有するコード属性表に基づいて、コード部に7をセットし、センサdで測定された「データd」の送信データを生成する。また、機器1−2は、生成した送信データを機器1に送信する。
【0096】
一方、機器1は、機器1−2からの送信データを受信する。また、機器1は、例えば、コードの値5のデータとして、コード部から始まるデータ(=機器1−2からの送信データ)が来るものと定義する。機器1側では、コード部、「データa」、「データb」、「データc」までのデータを予め用意し、その後ろに機器1−2の送信データを付加するだけで、新たにコードの値を計算せずに送信データを構成する。
【0097】
(情報収集装置2のデータ受信・解析処理)
図12は、変形例における情報収集装置2のデータ受信・解析処理を説明するフローチャート図である。
図9と比較すると、S16−2が新たに追加されている。但し、それ以外のステップは同一ため、重複する説明は省略するものとする。
【0098】
S16−2:通信部21は、現行コードδの「データ属性」はコードであるかどうかを判定する。コードである場合(Yes)、「再帰処理」へ進む。
【0099】
「再帰処理」とは、データ解析処理を繰り返す処理を意味する。コード属性表において、現行コードδの「データ属性」がコードの場合、再度、データ解析処理を呼び出す形になる。具体的には、
図12のS12〜S21のデータ解析処理を実行する。
【0100】
例えば、
図11において、情報処理装置2のコード属性表を参照すると、現行コードδ=5の場合、コード5の「データ属性」はコードとなっている。この場合、S16−2で、Yesに進み、「再帰処理」を実行する。
【0101】
上述したように、コードの値5のデータとして、コード部から始まるデータ(=機器1−2からの送信データ)が来るものと定義されている。このため、通信部21は、機器1−2の送信データに相当する部分に対しても、S12〜S21のデータ解析処理を実行する。これにより、機器1−2のセンサdで測定された「データd」を取得することができる。
【0102】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。