特許第6131656号(P6131656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131656
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ウォータポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/70 20060101AFI20170515BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20170515BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   F04D29/70 F
   F04D29/42 E
   F04D29/62 A
   F04D29/42 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-56869(P2013-56869)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-181622(P2014-181622A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100148183
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊也
(72)【発明者】
【氏名】古賀 陽二郎
(72)【発明者】
【氏名】橋口 逸朗
(72)【発明者】
【氏名】駒井 健一
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−155930(JP,A)
【文献】 実開平06−058197(JP,U)
【文献】 特開2003−247499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/70
F04D 29/42
F04D 29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を流通させる機器本体に対して自身を回転させて螺合するネジ機構を有するボディと、
当該ボディに軸受を介して支持された回転軸と、
当該回転軸の一端に設けられ、前記流体を搬送するインペラと、
当該インペラと前記軸受との間の位置において前記回転軸と前記ボディとに亘って設けられたシール部材と、
前記ボディのうち前記シール部材を挟んで前記インペラとは反対側の領域において前記回転軸の周囲を取り囲んだ状態で配置され、前記シール部材から進入した前記流体を受け止める流体進入部と、
当該流体進入部から前記回転軸の外方に延出し、前記流体進入部の流体を前記ボディの外部に排出可能な開口部が前記機器本体の内周面に対向して形成された複数のドレン流路と
前記機器本体の内周面に凹状に形成され、前記複数のドレン流路の少なくとも一つと連通して前記流体を貯留する溜部と、を備え
複数の前記開口部が周方向に均等配置されており、隣接する前記開口部の中心どうしの周距離は、前記溜部の両端間における周距離に比べて小さく設定されているウォータポンプ。
【請求項2】
前記ボディにおける前記ドレン流路の前記開口部の近傍に前記回転軸に対して外方に突出するフランジ部を設けると共に、
前記ボディを前記機器本体に螺合したとき、前記フランジ部が対向する前記機器本体の位置に凹部を形成してある請求項に記載のウォータポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボディに軸受を介して支持された回転軸と、回転軸の一端に設けられ、流体を搬送するインペラと、インペラと軸受との間の位置において回転軸とボディとに亘って設けられたシール部材と、シール部材から進入した流体を受け止める流体進入部と、流体進入部から回転軸の外方に延出したドレン流路と、を備えたウォータポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の上記ウォータポンプにあっては、カバーとハウジングとをボルトで固定してボディを形成すると共に、該ボディをエンジンブロックにボルトで固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このウォータポンプは、シール部材の僅かな隙間から漏れた流体を受け止める流体進入部からドレン流路を経由して、カバーとハウジングとの間に形成された鉛直方向下方に位置する溜部に流体が貯留される。
【0003】
また、従来、ボディをエンジンブロックにボルトで固定し、ボディの径外方向に形成された凹部にプラグを圧入して、鉛直方向下方に溜部を形成するウォータポンプが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−155930号公報
【特許文献2】特開2008−121488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のウォータポンプは、エンジンブロックにボディを複数のボルトで締結しているので、取付けに手間がかかっていた。
また、溜部をボディに形成している従来のウォータポンプにあっては、流体を貯留する溜部が鉛直方向下方に位置するよう、エンジンブロックに対するボディの取付姿勢に注意を払う必要があった。
【0006】
さらに、特許文献1の技術にあっては、ボディを締結するのに複数のボルトとボルト穴が必要となるので、部品点数が増えるのみならず、設置に手間やコストがかかる。故障などで取り外す時には、複数のボルトによりメンテナンスにも難があった。
特許文献2の技術においては、別途プラグが必要であるので部品点数が多くなり取付けに手間がかかる。また、ドレン流路などの目詰まりを防止すべく流体の蒸発による析出物を取除く際、プラグやその周辺部材を分解しなければならずメンテナンスが困難である。
本発明は、上記背景を鑑み、取付け及びメンテナンスが容易な構造を備えた利便性の高いウォータポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るウォータポンプの特徴構成は、流体を流通させる機器本体に対して自身を回転させて螺合するネジ機構を有するボディと、当該ボディに軸受を介して支持された回転軸と、当該回転軸の一端に設けられ、前記流体を搬送するインペラと、当該インペラと前記軸受との間の位置において前記回転軸と前記ボディとに亘って設けられたシール部材と、前記ボディのうち前記シール部材を挟んで前記インペラとは反対側の領域において前記回転軸の周囲を取り囲んだ状態で配置され、前記シール部材から進入した前記流体を受け止める流体進入部と、当該流体進入部から前記回転軸の外方に延出し、前記流体進入部の流体を前記ボディの外部に排出可能な開口部が前記機器本体の内周面に対向して形成された複数のドレン流路と、前記機器本体の内周面に凹状に形成され、前記複数のドレン流路の少なくとも一つと連通して前記流体を貯留する溜部と、を備え、複数の前記開口部が周方向に均等配置されており、隣接する前記開口部の中心どうしの周距離は、前記溜部の両端間における周距離に比べて小さく設定されている点にある。
【0008】
本構成によると、機器本体に対してボディ自体を螺合させるだけで、ウォータポンプの取付けが完了する。従って、複数のボルトを締結する必要がなく、メンテナンスの際もボディ自体を簡単に取外すことができるので、効率的である。
【0009】
一方、ボディを機器本体に取付ける際、ネジ機構をボディに設けた構成であるので、締付けトルクや摩擦力が変動すると回転方向の締結位置が一定にならずに、製品ごとのばらつきが生じやすい。
【0010】
しかしながら、本構成では、シール部材から漏れた流体を受け止める流体進入部から回転軸の外方に延出するドレン流路を複数設けている。このため、ボディの機器本体に対する回転方向の締結位置に変動が生じても、何れかのドレン流路は、鉛直方向に対して下方及び上方に配置される。
すなわち、シール部材から漏れ出た流体は、鉛直方向下方のドレン流路に排出され、流体のうち気化した蒸気は、鉛直方向上方のドレン流路を通って大気へ排出される。従って、ボディの機器本体に対する取付姿勢に注意を払う必要がない。しかも、ドレン流路の複数の開口部を周方向に均等配置し、隣接する開口部の中心どうしの周距離を、溜部の両端間における周距離に比べて小さく設定することで、ボディの取付姿勢が変化しても、何れかのドレン流路が、溜部に配置される。従って、ボディの機器本体に対する取付けが容易である。
このように、ボディ自体にネジ機構を備えると共に、回転軸の外方に延出した複数のドレン流路を備えることで、ウォータポンプの取付け及びメンテナンスが容易となる。
【0011】
【0012】
【0013】
本発明のウォータポンプにあっては、前記ボディにおける前記ドレン流路の前記開口部の近傍に前記回転軸に対して外方に突出するフランジ部を設けると共に、前記ボディを前記機器本体に螺合したとき、前記フランジ部が対向する前記機器本体の位置に凹部を形成してあると好適である。
【0014】
本構成のようにボディにフランジ部を設け、機器本体に凹部を設けるといった簡単な構造を採用することによって、機器本体に対してボディ自体を螺合させるだけで溜部を形成することができる。また、ボディ自体を取外すことで、ボディ側のドレン流路と、機器本体側の溜部とを簡単に洗浄することができる。
このように、取付け及びメンテナンスが容易で、利便性の高いウォータポンプを提供できる。
【0015】
【0016】
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態におけるウォータポンプの要部を示す縦断面図である。
図2図1におけるII−II線断面図である。
図3】別実施形態におけるウォータポンプの要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係るウォータポンプの実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、一例として、車両用エンジン(駆動機構の一例)に装備された冷却水循環用のウォータポンプ1として説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0019】
ウォータポンプ1は、冷却水(流体の一例)を、車両のエンジン及び図示しないラジエータに循環させる。冷却水は、エンジンで発生した熱によって温められ、ラジエータで熱を放出することでエンジンを冷却する。
【0020】
図1に示すように、ウォータポンプ1は、ボディ11がエンジンブロック12(機器本体の一例)に対して自身を回転させて螺合するネジ機構19を有する。ボディ11には軸受13を介して回転軸14が支持されている。回転軸14の一端には冷却水を搬送するインペラ15が設けられており、他端にはプーリブラケット17を介して駆動プーリ16が固定されている。また、インペラ15と軸受13との間には冷却水が回転軸14の隙間から漏れ出ないよう、ボディ11と回転軸14とに亘ってメカニカルシール18(シール部材の一例)が配設されている。
なお、図示しないが、クランクプーリからタイミングベルトを介して駆動プーリ16を回転させても良いし、電動モータから駆動力を得る構成にしても良い。
【0021】
駆動プーリ16により回転軸14が駆動されると、インペラ15が回転して、エンジンブロック12内部で流通した冷却水が冷却水入口から吸入され、冷却水出口より排出される。このとき、ボディ11のうちメカニカルシール18を挟んでインペラ15とは反対側の領域において回転軸14の周囲を取り囲んだ状態で配置される流体進入部20には、メカニカルシール18と回転軸14との間の微小な隙間を通って、冷却水が漏洩する。すなわち、流体進入部20は、メカニカルシール18から進入した冷却水を受け止める。
【0022】
また、ボディ11には、図2に示すように、流体進入部20から回転軸14の外方に延出し、流体進入部20の流体をボディ11の外部に排出可能な複数のドレン流路21が放射状に形成される。なお、ドレン流路21は、鉛直方向に対して傾斜させても良いし、傾斜させなくても良い。
メカニカルシール18から漏洩した冷却水の一部は、回転によって高温になった回転軸14やボディ11からの伝熱を受けて気化され、蒸気となる。
なお、本発明における流体とは、冷却水のうち、液分と蒸気とを含んだものとして定義され、以降、特に区分する必要がある場合を除いて流体として説明する。
【0023】
流体のうち液分は、複数のドレン流路21において鉛直方向下方にあるドレン流路21aを経由して、エンジンブロック12において鉛直方向下方で周方向に沿って形成された溜部22に貯留される。
詳細は後述するが、溜部22に貯留される液分が外部に排出されないよう、ボディ11に形成されたフランジ部24によって溜部22が閉塞される。
溜部22に排出された液分は、高温になったボディ11から伝熱されて蒸気となる。このため、基本的に液分が外部に流出されることがないが、溜部22の許容貯留量をオーバーした場合のみ外部に放出するよう、フランジ部24のうち、回転軸14側にドレン孔25を形成している。
なお、ドレン孔25を設けなくても良いし、溜部22の内部に吸水性の良い面状部材などを設け、表面積を増大させることで蒸発を促進させても良い。
【0024】
流体のうち蒸気は、複数のドレン流路21において鉛直方向上方に沿うドレン流路21bを経由して、エンジンブロック12の鉛直方向上方に形成された蒸気排出部23から外部へ排出される。
詳細は後述するが、蒸気排出部23に流入した蒸気が大気解放されるよう、蒸気排出部23はボディ11に形成されたフランジ部24によって閉塞されない。
【0025】
次に、本実施形態におけるボディ11のエンジンブロック12への取付けについて説明する。
ボディ11のうち、軸受13よりメカニカルシール18側には、螺旋状のねじ山を有する雄ネジ部19aが形成されている。エンジンブロック12には、雄ネジ部19aを螺入させる雌ネジ部19bが形成されている。ボディ11とエンジンブロック12との当接部11a、12aの間には、例えば、金属部材の両面にゴム、合成樹脂等の非金属部材をコーティングした円環状のメタルガスケット27が挟着配置される。メタルガスケット27によって、エンジンブロック12内部を流通する流体が、ボディ11の外部に漏洩するのが防止される。
なお、メタルガスケット27に代えて、平座金やばね座金などのワッシャで形成しても良いし、合成樹脂や比較的硬質のゴムなど若干の弾性を備えた材料で形成しても良く、特に限定されない。
【0026】
本実施形態では、雄ネジ部19a及び雌ネジ部19bとメタルガスケット27とでネジ機構19が構成される。ネジ機構19は、エンジンブロック12の当接部12aの周方向に亘ってメタルガスケット27を配設した後、ボディ11自身をエンジンブロック12に螺合するものである。従って、ウォータポンプ1の取付けが容易で、雄ネジ部19aの締付力でメタルガスケット27のシール性が発揮されるので流体の漏洩を防止できる。
【0027】
雄ネジ部19aは、駆動プーリ16の正面視における回転方向が反時計回りの場合、左ねじに、いわゆる逆ねじに形成される。すなわち、駆動プーリ16の回転方向はネジ機構19が締まる方向となるので、ボディ11がエンジンブロック12に対して緩むことがない。また、ネジ機構19の締付力によって、メタルガスケット27のシール性が高まる。
なお、駆動プーリ16が回転する際、ネジ機構19が締まる方向に回転トルクが伝達されるものであれば、雄ネジ部19aは右ねじでも良い。
【0028】
ボディ11は、ドレン流路21aの開口部近傍に回転軸14に対して外方に突出した環状のフランジ部24を有する。また、エンジンブロック12は、雌ネジ部19b周端の外方を、周方向に沿って切削している。
【0029】
図1に示すように、ボディ11をエンジンブロック12に螺合した時、フランジ部24の対向する位置に、雄ネジ部19aとエンジンブロック12とで凹部26が形成される。凹部26aとフランジ部24とで形成される領域が、溜部22となり、凹部26bとフランジ部24とで形成される領域が、蒸気排出部23となる。
凹部26aの開口は、フランジ部24によって完全に覆われるよう径方向を小さくし、凹部26bの開口は、フランジ部24によって覆われない所定の領域を形成するよう径方向を大きくしている。
なお、凹部26とフランジ部24との間の僅かな隙間を通って液分が外部に漏れないよう、凹部26の外周壁部とフランジ部24との間にはメタルガスケットなどのシール材を挟着しても良い。
【0030】
本実施形態では、ボディ11自身を回転させてエンジンブロック12に螺合するネジ機構19を形成しているので、締付トルクが異なると、ボディ11のエンジンブロック12に対する軸芯周りの取付け位置が一定とならない。
そこで、図2に示すように、エンジンブロック12に形成される溜部22及び蒸気排出部23に、夫々少なくとも一つのドレン流路21a、21bが連通するよう、ボディ11には、ドレン流路21が周方向に対して所定の間隔で均等に配置されている。すなわち、ネジ機構19による締付トルクが変動しても、必ず何れかドレン流路21は、溜部22及び蒸気排出部23に連通される。
【0031】
さらに、凹部26aを、軸芯に垂直な断面視で長円状に形成することで、ドレン流路21の箇所数を少なくすることができると共に、溜部22においては液分の貯留量を多く確保できる。
なお、ドレン流路21は均等配置でなくても良いし、締付トルクによる回転方向の変動範囲を設定して、必要箇所だけ設けても良い。また、凹部26aは、長円状ではなく、軸芯に垂直な断面視で円形状に形成しても良いし、矩形状に形成しても良い。
【0032】
[別実施形態]
図3には、本発明に係る別実施形態が示される。なお、上述した実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
上述した実施形態ではエンジンブロック12に溜部22を形成したが、本実施形態では液分を受け止め可能な流体進入部を有するドレンポケット28(溜部形成部材の一例)を設けている。ドレンポケット28は、内部空間に溜部22と、溜部22を取り囲んで壁部29とで形成される。本実施形態におけるドレン流路21は、エンジンブロック12の外側に配設される。また、エンジンブロック12に溜部22を形成しないので、フランジ部24を設けていない。
【0033】
ドレンポケット28は、ドレン流路21のうち最も鉛直方向下方に沿うものの開口部に接続される。ドレンポケット28は、ボディ11に対して、ネジ締結、先端にフックを設けたスナップフィットなどにより接続される。また、ドレンポケット28とボディ11との接合面には、シール材を介在させて液分を外部に流出させない構成が好適である。
なお、ネジ機構19におけるメタルガスケット27は、上述した実施形態のごとくフランジ部24を設けてエンジンブロック12との間に挟着しても良い。この場合、フランジ部24は、メタルガスケット27を配設できる最小限の幅があれば良い。
【0034】
本実施形態では、冷却液が蒸発することによる析出物が溜部22に付着しても、ドレンポケット28のみ取り外せばよく、ウォータポンプ1を分解してメンテナンスする必要がない。また、ドレンポケット28の大きさを変更すれば、液分の必要貯留量を適宜変更できる。
上述の実施形態では、溜部22の容量をオーバーした液分をドレン孔25から排出させる構成にしたが、本実施形態では、ドレンポケット28に連通されない他のドレン流路21から排出されるので、ドレン孔25を必ずしも設ける必要がない。
【0035】
ドレン流路21をエンジンブロック12の外側に設けているので、駆動プーリ16の内側と回転軸14の外側との間のスペースが大きい。さらに、駆動プーリ16の端部とエンジンブロック12と間には、大きな隙間が形成される。このため、ドレンポケット28の形状に関する自由度が高く、ドレンポケット28の出し入れもし易い。
【0036】
[その他の実施形態]
(1)上記の実施形態では、ネジ機構19を、雄ネジ部19a及び雌ネジ部19bとメタルガスケット27とで構成したが、雄ネジ部19aと雌ネジ部19bとで構成しても良い。この場合、例えば、雄ネジ部19aの先端部に、シール材を接着したり、ワッシャを一体成形するなどすればシール機能を確保できる。
(2)ドレン流路21、溜部22及び蒸気排出部23の数量については、特に限定されない。ドレン流路21は2箇所以上あれば良く、溜部22及び蒸気排出部23の数量及び大きさに応じ、ネジ機構19によってドレン流路21が必ず連通するよう位置決めされる配置であれば適宜変更可能である。
(3)上記の実施形態では、エンジンブロック12を切削して凹部26を形成したが、さらにフランジ部24の合わせ面を切削しても良い。この場合、溜部22において、液分の貯留量をより多くすることができる。
(4)上記の実施形態では、エンジンブロック12の蒸気排出部23を凹部26の内部空間に形成する例を示したが、エンジンブロック12に外部へ連通する貫通孔を設けて蒸気を排出しても良い。
(5)ウォータポンプ1をモータ駆動する場合、駆動プーリ16の内側と回転軸14の外側との間のスペースに、ウォータポンプ1の回転速度を可変することができる可変機構を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るウォータポンプは、各種車両における幅広い冷却対象に用いられるウォータポンプに利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 ウォータポンプ
11 ボディ
12 エンジンブロック(機器本体)
13 軸受
14 回転軸
15 インペラ
18 メカニカルシール(シール部材)
19 ネジ機構
20 流体進入部
21 ドレン流路
22 溜部
24 フランジ部
28 ドレンポケット(溜部形成部材)
図1
図2
図3