特許第6131675号(P6131675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131675
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ルーフレール
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/04 20060101AFI20170515BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B60R9/04
   B60R13/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-68861(P2013-68861)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189234(P2014-189234A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 幸秀
(72)【発明者】
【氏名】羽田 真一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 芳光
(72)【発明者】
【氏名】柴田 泰宏
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−305366(JP,A)
【文献】 特開平08−238990(JP,A)
【文献】 特開2007−106241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/04
13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びるように形成され、車両のルーフ上面に組み付けられる支持部材と、
合成樹脂材からなり、車両前後方向に延びるように形成され、長手方向一端部が前記支持部材に固定され、長手方向他端部が車両前後方向に伸縮可能に前記支持部材に支持される第1カバーと、
合成樹脂材からなり、車両前後方向に延びるように形成され、車両前後方向に伸縮可能に前記支持部材に支持されるとともに、長手方向一端部が前記第1カバーの長手方向他端部に組み付けられる第2カバーと、を備え、
前記第1カバーの長手方向他端部の外側面と前記第2カバーの長手方向一端部の外側面とが同一面内に位置している、ルーフレール。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフレールにおいて、
前記第1カバーの長手方向他端部及び前記第2カバーの長手方向一端部に、互いに嵌合する嵌合部が形成されている、ルーフレール。
【請求項3】
請求項に記載のルーフレールにおいて、
前記嵌合部は、
前記第1カバーに対する前記第2カバーの車両高さ方向への移動を規制する第1規制部と、
前記第1カバーに対する前記第2カバーの車両前後方向への移動を規制する第2規制部と、を備えた、ルーフレール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフ上面に組み付けられるルーフレールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載されているように、車両のルーフ上面に組み付けられるルーフレールは知られている。このルーフレールは、車両前後方向に延設されたルーフレール本体及びルーフレール本体の前端部に組み付けられるキャップを備えている。ルーフレール本体及びキャップは合成樹脂材で形成されている。キャップは中空状に形成されている。キャップの後端部には開口部が形成されている。この開口部からキャップ内にルーフレール本体の前端部が挿入される。これにより、ルーフレール本体の前端部がキャップに覆われる。ルーフレール本体が周囲の温度変化により車両前後方向に伸縮したとき、ルーフレール本体の前端がキャップ内で前後方向に伸縮可能に構成されている。この結果、ルーフレール本体の前端がキャップの開口部よりも後方に位置するように両者が車両前後方向に離間することが抑制される。つまり、ルーフレール本体とキャップとの間に隙間が発生することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−239892号公報
【発明の概要】
【0004】
上記従来のルーフレールでは、ルーフレール本体とキャップとの境界部に段差が形成されている。そのため、ルーフレールの外観が損なわれる。また、車両走行時にルーフ上に生じる気流が前記段差に衝突し風切り音が発生する虞がある。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、外観品質を向上させるとともに風切り音の発生を抑制できるルーフレールを提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両前後方向に延びるように形成され、車両のルーフ(R)上面に組み付けられる支持部材(20)と、合成樹脂材からなり、車両前後方向に延びるように形成され、長手方向一端部が前記支持部材に固定され、長手方向他端部が車両前後方向に伸縮可能に前記支持部材に支持される第1カバー(60)と、合成樹脂材からなり、車両前後方向に延びるように形成され、車両前後方向に伸縮可能に前記支持部材に支持されるとともに、長手方向一端部が第1カバーの長手方向他端部に組み付けられる第2カバー(70)と、を備え、第1カバーの長手方向他端部の外側面と第2カバーの長手方向一端部の外側面とが同一面内に位置している、ルーフレール(10)としたことにある。なお、上記の第1カバーの「長手方向一端部」とは、端部のみを意味するのではなく、第1カバーの長手方向一端部からある程度第1カバーの車両前後方向中間部側に位置する部位を含むものとする。また、上記の「固定」とは、第1カバーの長手方向一端部が車両前後方向に移動不能に支持されている状態を含むものとする。また、上記の「外側面」とは、第1カバー及び第2カバーが前記支持部材に被せられた状態で外方から視認可能な面である。
【0007】
この場合、第1カバーの長手方向他端部及び第2カバーの長手方向一端部に、互いに嵌合する嵌合部(64,74)が形成されているとよい。
【0008】
さらにこの場合、前記嵌合部は、第1カバーに対する第2カバーの車両高さ方向への移動を規制する第1規制部(741,742,H6,H7)と、第1カバーに対する第2カバーの車両前後方向への移動を規制する第2規制部(641,743)と、を備えるとよい。
【0009】
本発明によれば、支持部材に対する第1カバーの長手方向一端部が支持部材に固定されている。したがって、第1カバーをルーフに組み付ける際に、第1カバーの一端(例えば前端)をルーフの一端(例えば前端)に一致させておけば、第1カバーが周囲の温度の変化により伸縮した場合であっても、第1カバーの一端の位置とルーフの一端の位置とのずれが小さい。さらに、第2カバーの一端部は第1カバーの他端部に組み付けられており、かつ第1カバーの他端部及び第2カバーは車両前後方向に伸縮可能に支持部材に支持されている。第1カバー及び第2カバーが支持部材に固定されている場合(伸縮不可能である場合)には、第1カバー及び第2カバーが車両前後方向に伸縮しようとしたとき、第1カバー及び第2カバーのうち支持部材に固定された部分に過大な力が作用し、第1カバー及び第2カバーが破損する虞がある。本発明によれば、第1カバーの他端部及び第2カバーは車両前後方向に伸縮可能なので、前記伸縮に起因する力が第1カバー及び第2カバーにほとんど作用しない。したがって、第1カバー及び第2カバーが破損することを抑制できる。なお、第1カバー及び第2カバーを一体的に形成してもよいが、この場合、大きな金型が必要であるため、コストが高くなる。そこで、本発明では、カバー部材は、第1カバーと第2カバーとに分割されている。そして、第1カバーの長手方向他端部の外側面と第2カバーの長手方向一端部の外側面が同一面内に位置するように構成されている。つまり、第1カバーと第2カバーとの境界部に従来のルーフレールのような段差が形成されていない。したがって、ルーフレールの外観品質を従来よりも向上させることができるとともに、風切り音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るルーフレールが組み付けられる車両のルーフの概略を示す概略図である。
図2図1のルーフレールの分解斜視図である。
図3】位置決め部の底面図である。
図4】カバー部材の位置決め部をルーフレールの長手方向に垂直に切断して後方から見た断面図である。
図5】カバー部材の脚部をルーフレールの長手方向に垂直に切断して後方から見た断面図である。
図6】ルーフレールの取り付け部をルーフレールの長手方向に垂直に切断して後方から見た断面図である。
図7】前側カバーの後端部の斜視図である。
図8】後側カバーの前端部の斜視図である。
図9】嵌合部をルーフレールの長手方向に沿って切断した断面であって、係止片が貫通孔に挿入されている状態を示す断面図である。
図10】嵌合部をルーフレールの長手方向に沿って切断した断面であって、係止片が凹部に挿入されている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るルーフレール10について説明する。まず、ルーフレール10が組み付けられる車両のルーフRの構成について説明する。ルーフRは、板状にそれぞれ形成されたメインパネルR1、サイドパネルR2及びインナーパネルR3を接合して形成されている(図1及び図6参照)。ルーフRは、車幅方向中央部を中心として左右対称に形成されているので、以下の説明では、ルーフRの右側部分のみを説明し、左側部分の説明は省略する。メインパネルR1は、車室の車両幅方向中央部を覆うように形成されている。サイドパネルR2は、車室の右端部を覆うように形成されている。メインパネルR1の車幅方向右端部には、階段状の段差部R11が形成されている。段差部R11の下端にはフランジ部R12が形成されている。段差部R11及びフランジ部R12は車両前後方向に延設されている。段差部R11及びフランジ部R12は、メインパネルR1の右端部を下方へ折り曲げることにより形成されている。サイドパネルR2の左端部には段差部R11及びフランジ部R12と同様の段差部R21及びフランジ部R22が形成されている。また、インナーパネルR3はメインパネルR1及びサイドパネルR2の下方に配置されている。フランジ部R12と、フランジ部R22と、インナーパネルR3とが重ね合わされた状態で溶接されることにより、ルーフRの上面には、車両前後方向に延びるとともに上方に開放された溝部Dが形成されている。溝部Dにはルーフレール10が被せられる。
【0012】
ルーフレール10は、図2に示すように、溝部Dに組み付けられる支持部材20と、支持部材20に被せられるカバー部材50を備える。支持部材20は、それぞれ車両前後方向に延びるように形成された前側支持部材30と後側支持部材40を有する。前側支持部材30の後端部に後側支持部材40の前端部が接合されて支持部材20が形成される。前側支持部材30と後側支持部材40の長手方向の長さは略同一である。前側支持部材30及び後側支持部材40は、帯状の金属板をプレス加工して形成される。
【0013】
前側支持部材30は、車両前後方向に延びる底板部31を有する。底板部31には、カバー部材50を支持する複数の台座部Bが形成されている。複数の台座部Bは車両前後方向に間隔をおいて形成されている。台座部Bの上面は、底板部31の他の部分(底板部31のうちの台座部Bが形成されていない部分)の上面よりも少し上方に位置している。台座部Bの中央部には、台座部Bの上面から下面へ貫通する貫通孔H1が形成されている。貫通孔H1には、カバー部材50を支持する際に用いられるネジSC1が挿入される。また、底板部31の他の部分には、支持部材20をルーフRに組み付ける際に用いられるネジSC2が挿入される貫通孔H2、支持部材20を軽量化するための貫通孔H3が形成されている。貫通孔H2及び貫通孔H3は、前後方向に長く形成されている。また、図3及び図4に示すように、底板部31の前端部には、後述するカバー部材50の突出部611dが挿入される位置決め孔H4が形成されている。
【0014】
また、前側支持部材30は、底板部31の右端部から上方へ延設された側板部32及び底板部31の左端部から上方へ延設された側板部33を有する(図2及び図5参照)。側板部32及び側板部33の上端には、車両前後方向に延びるフランジ部34及びフランジ部35がそれぞれ形成されている。フランジ部34の幅(延設方向に垂直な方向の長さ)は、フランジ部35の幅よりも大きい。フランジ部34の車両外方側の端部には、後述するカバー部材50の爪部Nを係止する複数の係止部STが形成されている。複数の係止部STは車両前後方向に間隔をおいて形成されている。係止部STは、フランジ部34の右端部の一部を上方へ膨出させるようにして形成されている。
【0015】
後側支持部材40は、底板部31、側板部32、側板部33、フランジ部34及びフランジ部35と同様の底板部41、側板部42、側板部43、フランジ部44及びフランジ部45を備えている。フランジ部44の右端部には、係止部STが形成されている。後側支持部材40の前端部が前側支持部材30の後端部に図示しないネジで締結される。
【0016】
カバー部材50は、車両前後方向に延びるように形成されている。カバー部材50は、支持部材20の前端部側に被せられる前側カバー60と、支持部材20の後端部側に被せられる後側カバー70を有する。前側カバー60及び後側カバー70は合成樹脂材の射出成形により形成されている。前側カバー60は前側支持部材30よりも長い。前側カバー60は、下方及び後方に開放されており、前側支持部材30の前端から後側支持部材40の前端部に亘る部分に被せられる。前側カバー60は、前後方向に延びるように形成された板状の上壁部61を有する。上壁部61は、前端側へ向かうに従って低くなるように少し湾曲している。また、前側カバー60は、前後方向に延びるように形成された側壁部62及び側壁部63を有する。側壁部62の上端部は上壁部61の右端部に接続されている。側壁部62の下端部は上端部よりも外側(ルーフRの右端側)に位置している。つまり、側壁部62は上壁部61の上面に対して傾斜している。一方、側壁部63の上端部は上壁部61の左端部に接続されている。側壁部63は上壁部61の上面に対してほぼ垂直である。
【0017】
上壁部61の前端部の下面には、支持部材20に対するカバー部材50の前端部の前後方向の位置を決定する位置決め部611が形成されている(図4参照)。位置決め部611は、上壁部61の下面から下方へそれぞれ延設された側板部611a及び側板部611bと、側板部611aの下端部と側板部611bの下端部との間に形成された底板部611cと、底板部611cの下面から下方へ突出した突出部611dとを有する。図3に示すように、突出部611dは下方から見て環状に形成されている。突出部611dの車両前後方向の長さは、貫通孔H4の車両前後方向の長さとほぼ同等である。
【0018】
上壁部61の下面には、図5に示すように、複数の台座部Bにそれぞれ支持される複数の脚部Fが形成されている。複数の脚部Fは、車両前後方向に間隔をおいて形成されている。脚部Fは、上壁部61と平行な板状に形成された一対の底板部Fa,Fbを有する。底板部Faが右側に配置され底板部Fbが左側に配置されている。底板部Faの左端面S1と底板部Fbの右端面S2とが対向している。つまり、左端面S1と右端面S2との間には隙間が形成されている。底板部Fa,Fbは、上壁部61の下面から下方へ延設された側板部Fc,Fdの下端部にそれぞれ接続されている。
【0019】
上壁部61には、図6に示すように、上壁部61の上面から下面へ貫通する貫通孔H5か形成されている。貫通孔H5は、カバー部材50が支持部材20に組み付けられたときに支持部材20の貫通孔H2の直上に位置するように配置されている(図2参照)。貫通孔H5は、蓋部材CPによって塞がれている。蓋部材CPは上壁部61に対して脱着可能である。
【0020】
側壁部62及び側壁部63の内側面には、前後方向に延びるリップ部材Lが接着されている。リップ部材Lは合成ゴム、合成樹脂などの弾性材で形成されている。リップ部材Lの下端部は、側壁部62及び側壁部63の下端面の下方に位置している。また、側壁部62の内側面には、複数の係止部STにそれぞれ係止される複数の爪部Nが形成されている。
【0021】
前側カバー60の後端部には、後側カバー70の前端部が嵌合する嵌合部64が形成されている。嵌合部64は、図7に示すように、上壁部61及び側壁部62の後端部から後方へ突出するように形成されている。嵌合部64の上面は、後側カバー70が前側カバー60に嵌合したときに後側カバー70の前端部の下面に沿うように形成されている。嵌合部64は貫通孔H6、貫通孔H7及び凹部641を有する。貫通孔H6は、嵌合部64の左端部にて、嵌合部64の上面から下面へ貫通するように形成されている。貫通孔H7は、嵌合部64の車幅方向中央部にて、嵌合部64の上面から下面へ貫通するように形成されている。凹部641は、貫通孔H6と貫通孔H7との間に形成されている。凹部641は上方へ開放されている。
【0022】
後側カバー70は後側支持部材40の後端部に被せられる。後側カバー70の構成は、前側カバー60の構成とほぼ同様である。後側カバー70は、前後方向に延びるように形成された板状の上壁部71を有する。上壁部71は、後端側へ向かうに従って低くなるように少し湾曲している。また、後側カバー70は、前後方向に延びるように形成された側壁部72及び側壁部73を有する。側壁部72の上端部は上壁部71の右端部に接続されている。側壁部72の下端部は上端部よりも外側(ルーフRの右端側)に位置している。つまり、側壁部72は上壁部71の上面に対して傾斜している。一方、側壁部73の上端部は上壁部71の左端部に接続されている。側壁部73は上壁部71の上面に対してほぼ垂直である。つまり、後側カバー70は、前方及び下方に開放されている。
【0023】
また、上壁部71の下面には、複数の脚部Fが形成されている。また、側壁部72及び側壁部73の内側面には、リップ部材Lが接着されている。また、側壁部73の内側面には、複数の爪部Nが形成されている。
【0024】
後側カバー70の前端部には、前側カバー60の嵌合部64に嵌合する嵌合部74が形成されている。嵌合部74は、図8に示すように、上壁部71の前端部の下面から下方へ突出するように形成されている。嵌合部74は、前側カバー60の貫通孔H6、貫通孔H7及び凹部641にそれぞれ挿入される係止片741、係止片742及び係止片743を有する。係止片741、係止片742及び係止片743は板状にそれぞれ形成されている。係止片741は、後側カバー70の前端部における左端部に形成されている。係止片741の前面の下端部には、前方へ突出する突出部P1が形成されている。係止片742は、後側カバー70の前端部における車幅方向中央部に形成されている。係止片742の前面の下端部には、前方へ突出する突出部P2が形成されている。係止片743は、係止片741と係止片742との間に形成されている。係止片743の前後方向の幅(係止片743の厚さ)は凹部641の前後方向の幅と同等である。
【0025】
後側カバー70の前端部を前側カバー60の後端部に上方から近づけて、係止片741、係止片742及び係止片743を貫通孔H6、貫通孔H7及び凹部641にそれぞれ挿入することにより、前側カバー60と後側カバー70とが嵌合する(図9及び図10参照)。係止片741及び係止片742が貫通孔H6及び貫通孔H7に挿入された状態では、突出部P1及び突出部P2が貫通孔H6及び貫通孔H7を構成する壁部のうちの前側の壁部の下面に当接している。これにより、前側カバー60に対する後側カバー70の上方への移動が規制される。また、係止片743の前後方向の幅(係止片743の厚さ)は凹部641の前後方向の幅と同等であるので、前側カバー60に対する後側カバー70の前後方向への移動が規制される。また、前側カバー60の後端部の外側面と後側カバー70の前端部の外側面が同一面内に位置している。なお、上記の外側面とは、ルーフレール10がルーフRに組み付けられた状態で外方から視認可能な面である。
【0026】
上記のように構成されたカバー部材50は、支持部材20に被せられる。まず、位置決め部611の突出部611dを貫通孔H4に挿入する。次に、側壁部63及び側壁部73を下方へ軽く押圧することにより、爪部Nが係止部STにそれぞれ係止される。この状態では、脚部Fの下面が台座部Bの上面に当接している。上記のように、突出部611dの車両前後方向の長さは、貫通孔H4の車両前後方向の長さとほぼ同等なので、前側カバー60の前端部(位置決め部611)は、前後方向に移動不可能に支持部材20に支持されている。つまり、前側カバー60の前端部は支持部材20に固定されている。次に、ナットNT1を底板部Faと底板部Fbとの間の隙間に挿入する(図5参照)。ナットNT1の外周面には溝NTaが形成されている。この溝NTaに底板部Faの左端部と底板部Fbの右端部を嵌合させる。そして、支持部材20の下方から貫通孔H1にネジSC1を挿入し、ネジSC1をナットNT1に締結する。溝NTaに底板部Faの左端部と底板部Fbの右端部が嵌合しているので、底板部Faと底板部Fbは、ナットNT1に対して上下方向には移動不可能であるが、車両前後方向には移動可能である。つまり、カバー部材50は上下方向へ移動することが規制されているが、カバー部材50における位置決め部611よりも後方の部分が前後方向へ移動(伸縮)することは許容されている。
【0027】
上記のように構成したルーフレール10は、以下説明するように、スペーサSPを介してルーフRに組み付けられる(図6参照)。まず、ルーフレール10を溝部Dの上に載置する。次に、蓋部材CPを取り外し、貫通孔H5からカバー部材50の内側へネジSC2を挿入する。さらにネジSC2を貫通孔H2及びスペーサSPに挿入する。インナーパネルR3には予めナットNT2が組み付けられており、このナットNT2にネジSC2を締結する。貫通孔H2は前後方向に長く形成されているので、ルーフRに対するルーフレール10の前後方向の位置を調整できる。例えば、ルーフレール10の前端をルーフRの前端に一致させる。そして、蓋部材CPを上壁部61及び上壁部71に取り付ける。ルーフレール10がルーフRに組み付けられた状態では、リップ部材Lの下端部が側壁部62、側壁部63、側壁部72及び側壁部73の下端面とルーフRの上面との間に挟み込まれている。これにより、溝部Dへの異物の侵入が抑制される。
【0028】
上記のように構成したルーフレール10によれば、支持部材20に対する前側カバー60の前端部の前後方向の位置を決定する位置決め部611が前側カバー60の前端部に形成されている。したがって、ルーフレール10をルーフRに組み付ける際に、例えば前側カバー60の前端をルーフRの前端に一致させておけば、カバー部材50が周囲の温度の変化により伸縮した場合であっても、前側カバー60の前端の位置とルーフRの前端の位置とのずれが小さい。さらに、後側カバー70の前端部は前側カバー60の後端部に組み付けられており、かつ前側カバー60における位置決め部611よりも後方の部分及び後側カバー70は車両前後方向に移動可能(伸縮可能)に支持部材20に支持されている。前側カバー60及び後側カバー70が支持部材20に固定されている場合(つまり、伸縮不可能である場合)には、前側カバー60及び後側カバー70が車両前後方向に伸縮しようとしたとき、前側カバー60及び後側カバー70のうち支持部材20に固定された部分に過大な力が作用し、前側カバー60及び後側カバー70が破損する虞がある。本実施形態によれば、前側カバー60における位置決め部611よりも後方の部分及び後側カバー70は車両前後方向に移動可能(伸縮可能)なので、前記伸縮に起因する力が前側カバー60及び後側カバー70にほとんど作用しない。そのため、前側カバー60及び後側カバー70が破損することを抑制できる。なお、前側カバー60及び後側カバー70を一体的に形成してもよいが、この場合、大きな金型が必要であるため、コストがかかる。そこで、本実施形態では、カバー部材50は、前側カバー60と後側カバー70とに分割されている。そして、前側カバー60の後端部の外側面と後側カバー70の前端部の外側面が同一面内に位置するように構成されている。つまり、前側カバー60と後側カバー70との境界部に従来のルーフレールのような段差が形成されていない。したがって、ルーフレール10の外観品質を従来よりも向上させることができるとともに、風切り音の発生を抑制できる。
【0029】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0030】
例えば、上記実施形態では、前側カバー60と後側カバー70は嵌合しているが、両者をネジなどの締結部材を用いて接合してもよい。また、上記実施形態では、位置決め部611の突出部611dが貫通孔H4に挿入されることにより、前側カバー60が支持部材20に対して前後方向に移動不可能に支持されている。しかし、これに代えて、位置決め部611を支持部材20の前端部にネジなどの締結部材を用いて締結してもよい。また、上記実施形態では、ルーフRの溝部Dにルーフレール10が組み付けられているが、平面状のルーフの上面にルーフレール10が組み付けられてもよい。また、上記実施形態では、前側カバー60と後側カバー70との長さが異なるが、前側カバー60と後側カバー70との長さが同一であってもよい。また、上記実施形態では、前側支持部材30と後側支持部材40との長さが同一であるが、前側支持部材30と後側支持部材40との長さが異なってもよい。
【符号の説明】
【0031】
10・・・ルーフレール、20・・・支持部材、50・・・カバー部材、60・・・前側カバー、64・・・嵌合部、70・・・後側カバー、74・・・嵌合部、641・・・凹部、741,742,743・・・係止片、H6,H7・・・貫通孔、R・・・ルーフ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10