特許第6131680号(P6131680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131680
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】カップ部を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20170515BHJP
   A41C 3/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   A41C3/12 C
   A41C3/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-73109(P2013-73109)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196582(P2014-196582A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 勝
(72)【発明者】
【氏名】立入 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】藤井 真寿美
(72)【発明者】
【氏名】増田 桂子
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−063470(JP,A)
【文献】 特開2012−162833(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3014318(JP,U)
【文献】 特開2012−052270(JP,A)
【文献】 特開平07−097701(JP,A)
【文献】 特開2012−149373(JP,A)
【文献】 特開2006−132045(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/080355(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0110447(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第01187315(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0130072(US,A1)
【文献】 特開2011−032591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/00−3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バストを覆うためのカップ部を有する衣類において、
前記カップ部の下辺部に沿って設けられ、湾曲形状をなすカップくり部であって、前記湾曲形状の保持力に反して前記湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を1cm広げるために要する引張強度が150cN以下である当該カップくり部と、
前記カップ部の下部において前記カップ部の形状に沿って前記カップくり部の前中心側端部から脇側端部まで延在し、非伸縮性又は難伸縮性を有し、着用時において広がろうとする前記カップくり部の前記前中心側先端と前記脇側先端との間隔の広がりを抑制する拡張抑制部と、
を備える、カップ部を有する衣類。
【請求項2】
前記拡張抑制部は、前記カップ部の形状に沿って、前記カップくり部の前記前中心側端部と前記脇側端部とを結ぶ最短線上に位置する、請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項3】
前記拡張抑制部は、前中心側から脇側へ向けて上下方向の幅が次第に広くなるように形成されており、前記カップくり部の前記前中心側端部から、前記カップくり部の前記脇側端部及び前記カップ部の上辺部脇側まで延在している、請求項1又は2に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項4】
前記拡張抑制部は、前記カップ部の下部において前記カップ部の表面に沿って延在している、請求項1〜3の何れか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項5】
前記カップくり部にはカップワイヤーが装着されており、
前記カップワイヤーは湾曲形状をなしており、
前記湾曲形状の保持力に反して前記湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を1cm広げるために要する前記カップワイヤーの引張強度が150cN以下である、請求項1〜の何れか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【請求項6】
前記カップワイヤーは樹脂材料からなる、請求項に記載のカップ部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バストを覆うためのカップ部を有する衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バストを覆うためのカップ部を有する衣類として、ブラジャーが開示されている。このブラジャーは、カップ部の下辺部に設けられたカップくり部(カップ支持部)にワイヤーを使用しないノンワイヤータイプのブラジャー、又は、剛性が低いワイヤーをカップくり部に用いたワイヤータイプのブラジャーであり、楽な着用感を得ることができるとしている。
【0003】
また、このブラジャーは、非着用状態においてもカップ部を立体的に保持するための保形布を備えている。この保形布は、非着用状態において、カップくり部の前中心側端部と脇側端部とを互いに引き寄せるように、カップ部の裏側(肌側)に、カップ部から浮かして、架け渡されている。なお、保形布は、伸縮性素材からなり、着用状態ではバストに押圧されて変位するので、カップ部をバストにフィットさせることができるとしている。これにより、楽な着用感が得られるにも関わらず、バストの造形性にも優れるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−236524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のブラジャーでは、着用者が動くと(例えば、上半身をひねると)、保形布の変位が不十分となり、カップ部及びカップくり部がバストからずれてしまう(例えば、浮いてしまう)可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、楽な着用感、着用者の動きに対する高い追従性、及び、バストの高い造形性を得ることができるカップ部を有する衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカップ部を有する衣類は、バストを覆うためのカップ部を有する衣類において、カップ部の下辺部に沿って設けられ、湾曲形状をなすカップくり部であって、湾曲形状の保持力に反して湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を広げるために要する引張強度が小さい当該カップくり部と、カップ部の下部においてカップ部の形状に沿ってカップくり部の前中心側端部から脇側端部まで延在し、非伸縮性又は難伸縮性を有し、カップくり部の前中心側先端と脇側先端との間隔の広がりを抑制する拡張抑制部とを備える。ここで、「引張強度が小さい」とは、ノンワイヤーブラジャーや樹脂ワイヤーを用いたブラジャー等のような、一般的に使用される金属ワイヤーを用いたブラジャーよりも湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を広げるために要する引張強度が小さいということである。
【0008】
このカップ部を有する衣類によれば、カップくり部が柔らかく、広がりやすく、着用者が動いても(例えば、上半身をひねっても)着用者に馴染んでフィットするので、楽な着用感を得ることができる。
【0009】
また、このカップ部を有する衣類によれば、カップくり部が広がりやすいので、着用者の動き(例えば、上半身をひねる動作)に伴い、カップくり部及びカップ部がバストに対してずれることを抑制することができる。したがって、バストに対するカップくり部及びカップ部の追従性を高めることができる。
【0010】
また、このカップ部を有する衣類によれば、拡張抑制部がカップくり部の広がりを抑制するので、カップくり部が広がり過ぎることにより、カップ部が上下方向に潰れてカップ部上部がバストを押さえてしまうことを防止することができる。すなわち、カップ部の保形性を高めることができる。したがって、バストの造形性を高めることができる。
【0011】
上記した拡張抑制部は、カップ部の形状に沿って、カップくり部の前中心側端部と脇側端部とを結ぶ最短線上に位置してもよい。これによれば、カップくり部の広がりを効率的に抑制することができる。
【0012】
また、上記した拡張抑制部は、前中心側から脇側へ向けて上下方向の幅が次第に広くなるように形成されており、カップくり部の前中心側端部から、カップくり部の脇側端部及びカップ部の上辺部脇側まで延在していてもよい。これによれば、カップ部の上辺部脇側に取り付けられるストラップ部の引き上げ力を利用して、拡張抑制部がバストを上げるように作用するので、バストの造形性をより高めることができる。
【0013】
また、上記した拡張抑制部は、カップ部の下部においてカップ部の表面に沿って延在していてもよい。これによれば、拡張抑制部をカップ部に対する当て布等によって容易に製造することができる。
【0014】
また、上記したカップくり部の引張強度であって、湾曲形状の保持力に反して湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を1cm広げるために要する引張強度が150cN以下であってもよい。これによれば、ノンワイヤーブラジャーや樹脂ワイヤーを用いたブラジャー等のような、一般的に使用される金属ワイヤーを用いたブラジャーよりも湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を広げるために要する引張強度が小さいものとなる。
【0015】
また、上記したカップくり部にはカップワイヤーが装着されており、カップワイヤーは湾曲形状をなしており、湾曲形状の保持力に反して湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を1cm広げるために要するカップワイヤーの引張強度が150cN以下であってもよい。
【0016】
これによれば、カップワイヤーが柔らかく、広がりやすく、着用者が動いても(例えば、上半身をひねっても)着用者に馴染んでフィットするので、楽な着用感を得ることができる。
【0017】
また、カップワイヤーが広がりやすいので、着用者の動き(例えば、上半身をひねる動作)に伴い、カップワイヤー及びカップ部がバストに対してずれることを抑制することができる。したがって、バストに対するカップワイヤー及びカップ部の追従性を高めることができる。
【0018】
また、拡張抑制部がカップワイヤーの広がりを抑制するので、カップワイヤーが広がり過ぎることにより、カップ部が上下方向に潰れてカップ部上部がバストを押さえてしまうことを防止することができる。すなわち、カップ部の保形性を高めることができる。したがって、バストの造形性を高めることができる。
【0019】
また、上記したカップワイヤーは樹脂材料からなる形態であってもよい。樹脂ワイヤーは、金属ワイヤーと比べて、柔らかく、広がりやすく、着用者が動いても(例えば、上半身をひねっても)着用者に馴染んでフィットするので、楽な着用感を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、楽な着用感、着用者の動きに対する高い追従性、及び、バストの高い造形性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。
図2】第1の実施形態の変形例に係るブラジャーを示す斜視図である。
図3】第1の実施形態の変形例に係るブラジャーを示す斜視図である。
図4】第1の実施形態の変形例に係るブラジャーを示す斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。
図6】(a)ヌード状態のとき、(b)本実施形態を着用したとき、(c)第1の比較例を着用したとき、(d)第2の比較例を着用したときのバストを前側からみたモアレ等高線解析結果を示す図である。
図7】(a)ヌード状態のとき、(b)本実施形態を着用したとき、(c)第1の比較例を着用したとき、(d)第2の比較例を着用したときのバストを横側からみたモアレ等高線解析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明のカップ部を有する衣類の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
[第1の実施形態]
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。第1の実施形態のブラジャー1は、カップ部10と、土台部12と、バック部14と、ストラップ部16と、カップくり部20と、カップワイヤー30と、拡張抑制部40とを備えている。なお、ブラジャー1は左右略対称であるので、以下では左右の一方のみによって説明する。
【0024】
カップ部10は、バストを覆うためのものであり、例えば、三枚の布地を略T字状の接ぎ目を有するように接ぎ合わせることにより立体的に形成される(T字状三枚接ぎカップ部)。カップ部10は、土台部12に支持されている。土台部12は、非伸縮性の布からなっており、カップ部10の下辺部10lと縫着されている。土台部12の脇側には、バック部14が縫着されている。バック部14は、伸縮性の布からなっており、背中において連結することによって、土台部12及びカップ部10を支持するためのものである。また、カップ部10の上辺部脇側には、ストラップ部16が縫着されている。ストラップ部16は、伸縮性のテープ材からなっており、肩を介してバック部14に連結されることによって、カップ部10を支持するためのものである。
【0025】
また、カップ部10と土台部12との境界の裏側(肌側)には、カップ部10の下辺部10lに沿ってバイアステープ部材が縫着されることにより、カップくり部20が形成されている。このカップくり部20の内部には、カップワイヤー30が装着されている。また、カップ部10の下部の表側には、拡張抑制部40が設けられている。以下では、カップくり部20、カップワイヤー30、及び、拡張抑制部40について詳細に説明する。
【0026】
カップくり部20及びカップワイヤー30は、バージスラインに沿うように湾曲形状をなしている。カップワイヤー30は、比較的に柔らかく(剛性が低く)、カップワイヤー30を内蔵するカップくり部20を広げるために要する引張強度は、ノンワイヤーブラジャーや樹脂ワイヤーを用いたブラジャー等のような、一般的に使用される金属ワイヤーを用いたブラジャーよりも小さい。例えば、カップワイヤー30を1cm広げるために要する引張強度が150cN以下であり、その結果、カップワイヤー30を内蔵するカップくり部20を1cm広げるために要する引張強度も150cN以下である。ここで、カップくり部20又はカップワイヤー30を1cm広げるために要する引張強度とは、湾曲形状の保持力(湾曲形状の回復力)に反して、湾曲形状の前中心側先端と脇側先端との間隔を1cm広げるために要する引張強度である。
【0027】
このような引張強度を実現するために、カップワイヤー30としては、柔らかめの金属ワイヤー、又は、樹脂ワイヤー等が適用可能である。樹脂ワイヤーは、金属ワイヤーと比べて、強度上、ある程度の太さ(厚み、幅)が必要になるが、柔らかく、広がりやすく、着用者が動いても(例えば、上半身をひねっても)着用者に馴染んでフィットするので、楽な着用感を得ることができる。一方、金属ワイヤーは、樹脂ワイヤーと比べて、同等の柔らかさを実現するときの太さ(厚み、幅)が小さくなるので、見た目がよいブラジャーを実現することができる。
【0028】
次に、拡張抑制部40は、カップ部10の下部において、カップ部10の表面に沿って、カップくり部20の前中心側端部21から脇側端部22まで延在している。具体的には、拡張抑制部40の上辺部41が、カップ部10の表面上において、カップくり部20の前中心側端部21と脇側端部22とを結ぶ最短線上に位置しており、拡張抑制部40の下辺部42が、カップ部10の下辺部10l、すなわちカップくり部20に沿って位置している。
【0029】
換言すれば、拡張抑制部40は、カップワイヤー30の前中心側端部31から脇側端部32まで延在している。具体的には、拡張抑制部40の上辺部41が、カップ部10の表面上において、カップワイヤー30の前中心側端部31と脇側端部32とを結ぶ最短線上に位置しており、拡張抑制部40の下辺部42が、カップ部10の下辺部10l、すなわちカップワイヤー30に沿って位置している。
【0030】
拡張抑制部40の下辺部42は、カップ部10に縫着されており、拡張抑制部40の他の部分はカップ部10に非縫着である。また、拡張抑制部40は、非伸縮性又は難伸縮性の部材からなる。
【0031】
この拡張抑制部40は、カップくり部20及びカップワイヤー30が広がろうとすると、バスト下部に接する中央部43が支点となり、カップくり部20及びカップワイヤー30の広がりを抑制するように作用する。なお、拡張抑制部40による抑制力は、カップくり部20及びカップワイヤー30の必要な広がりまで抑制するものではない。
【0032】
以上説明したように、この第1の実施形態のブラジャー1によれば、カップくり部20及びカップワイヤー30が柔らかく、広がりやすく、着用者が動いても(例えば、上半身をひねっても)着用者に馴染んでフィットするので、楽な着用感を得ることができる。
【0033】
また、第1の実施形態のブラジャー1によれば、カップくり部20及びカップワイヤー30が広がりやすいので、着用者の動き(例えば、上半身をひねる動作)に伴い、カップくり部20、カップワイヤー30及びカップ部10がバストに対してずれることを抑制することができる。したがって、バストに対するカップくり部20、カップワイヤー30及びカップ部10の追従性を高めることができる。
【0034】
また、第1の実施形態のブラジャー1によれば、拡張抑制部40がカップくり部20及びカップワイヤー30の広がりを抑制するので、カップくり部20及びカップワイヤー30が広がり過ぎることにより、カップ部10が上下方向に潰れてカップ部10上部がバストを押さえてしまうことを防止することができる。すなわち、カップ部10の保形性を高めることができる。したがって、バストの造形性を高めることができる。
[第1の実施形態の変形例]
【0035】
図2〜4は、第1の実施形態の変形例のブラジャーを示す図である。図2に示すように、拡張抑制部40の上辺部41は、第1の実施形態よりも上方に位置していてもよい。なお、この変形例でも、拡張抑制部40の上辺部41は、カップ部10の表面上において、カップくり部20の前中心側端部21と脇側端部22とを結ぶ最短線上に位置している。換言すれば、拡張抑制部40の上辺部41は、カップ部10の表面上において、カップワイヤー30の前中心側端部31と脇側端部32とを結ぶ最短線上に位置している。この変形例では、拡張抑制部40の前中心側辺部44及び脇側辺部45もカップ部10に縫着されている。この変形例でも、拡張抑制部40によって、カップくり部20及びカップワイヤー30の広がりを抑制することができる。
【0036】
また、図3に示すように、拡張抑制部40の上辺部41は、第1の実施形態よりも下方に位置していてもよい。なお、この変形例でも、拡張抑制部40の上辺部41は、カップ部10の表面上において、カップくり部20の前中心側端部21と脇側端部22とを結ぶ最短線上に位置している。換言すれば、拡張抑制部40の上辺部41は、カップ部10の表面上において、カップワイヤー30の前中心側端部31と脇側端部32とを結ぶ最短線上に位置している。この変形例でも、拡張抑制部40によって、カップくり部20及びカップワイヤー30の広がりを抑制することができる。
【0037】
また、図4に示すように、拡張抑制部40の下辺部42は、第1の実施形態よりも上方に位置していてもよい。すなわち、拡張抑制部40は帯状であってもよい。具体的には、拡張抑制部40の上辺部41及び下辺部42は、カップ部10の表面上において、カップくり部20の前中心側端部21と脇側端部22とを結ぶ最短線上に位置している。換言すれば、拡張抑制部40の上辺部41及び下辺部42は、カップ部10の表面上において、カップワイヤー30の前中心側端部31と脇側端部32とを結ぶ最短線上に位置している。この変形例では、拡張抑制部40の前中心側辺部44がカップくり部20の前中心側端部21に縫着されており、拡張抑制部40の脇側辺部45がカップくり部20の脇側端部22に縫着されており、拡張抑制部40の他の部分は非縫着である。この変形例でも、拡張抑制部40によって、カップくり部20及びカップワイヤー30の広がりを抑制することができる。
[第2の実施形態]
【0038】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。第2の実施形態のブラジャー1Aは、ブラジャー1において拡張抑制部40に代えて拡張抑制部40Aを備えている構成で第1の実施形態と異なっている。ブラジャー1Aの他の構成は、ブラジャー1と同一である。
【0039】
拡張抑制部40Aは、前中心側から脇側へ向けて上下方向の幅Wが次第に広くなるように形成されており、カップ部10の表面に沿って、カップくり部20の前中心側端部21から、カップくり部20の脇側端部22及びカップ部10の上辺部脇側まで延在している。換言すれば、拡張抑制部40Aは、カップワイヤー30の前中心側端部31から、カップワイヤー30の脇側端部32及びカップ部10の上辺部脇側まで延在している。
【0040】
拡張抑制部40Aの上辺部41以外の下辺部42、前中心側辺部44、及び、脇側辺部45、46は、カップ部10に縫着されており、拡張抑制部40Aの他の部分はカップ部10に非縫着である。また、拡張抑制部40Aは、拡張抑制部40と同様の部材からなる。
【0041】
この第2の実施形態のブラジャー1Aでも、第1の実施形態のブラジャー1と同様の利点を得ることができる。更に、第2の実施形態のブラジャー1Aによれば、ストラップ部16の引き上げ力を利用して、拡張抑制部40Aがバストを上げるように作用するので、バストの造形性をより高めることができる。
【0042】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、カップワイヤー30を備えるブラジャーを例示したが、本実施形態の特徴は、カップワイヤーを備えないノンワイヤータイプのブラジャーにも適用可能である。例えば、ノンワイヤータイプのブラジャーでも、カップくり部を1cm広げるために要する引張強度が150cN以下と小さいことは明らかであり、本実施形態と同様の利点を得ることができる。
【0043】
また、本実施形態では、拡張抑制部40,40Aがカップ部10の表面に沿って延在しているブラジャーを例示したが、拡張抑制部40,40Aがカップ部10の裏面に沿って延在していてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、T字状三枚接ぎカップ部10の下部表面に拡張抑制部40,40Aを当て布の形態で設けたが、カップ部に2以上の異なる特性の素材を用いて、拡張抑制部をカップ部の下部の部材と一体とし、接ぎ合わせ構造によって形成してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、ストラップ部16をカップ部10の上辺部脇側に縫着したが、ストラップ部は、Zカン等の係合部材を介してカップ部10の上辺部脇側に着脱可能に係合されてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、バック部14の後端をホック等で掛け留めするタイプのブラジャーを例示したが、本実施形態の特徴は、前中心において土台部12の左右を分離してホック等で掛け留めするフロントホックタイプのブラジャーにも適用可能である。
【0047】
また、本実施形態の特徴は、フルカップブラジャー、3/4カップブラジャー及び1/2カップブラジャー等のすべてのタイプのブラジャーに適用可能である。
【0048】
また、本実施形態の特徴は、ブラジャー以外でも、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツ、カップ付きテディ、水着等のようにカップ部を備える衣類であればすべてに適用可能である。
【実施例1】
【0049】
図5に示す本発明の実施形態のブラジャー1を実施例として製作し、17歳〜24歳のモニタ17名(サイズは、B70〜D70まで様々)による評価を行った。この評価では、実施例と従来品との対比評価を行った。
【0050】
ここで、本実施例に対して対比を行った従来品は、他社の商品であって、いずれも10歳代後半〜20歳代の女性に好まれているものである。これらの従来品の特徴及び仕様は次のとおりである。
従来品A:楽な着用感とバストの高い造形性とを両立するものであり、これらのうちの楽な着用感を比較的に優先したタイプのブラジャーである。
従来品B:楽な着用感とバストの高い造形性とを両立するものであり、これらのうちのバストの造形性を比較的に優先したタイプのブラジャーである。
【0051】
また、実施例及び従来品のカップワイヤー特性、拡張抑制部の有無は以下の通りである。
実施例:樹脂ワイヤーを使用。ワイヤーを1cm広げるために要する引張強度は約75cN。
従来品A:柔らかい金属ワイヤーを使用。ワイヤーを1cm広げるために要する引張強度は、通常のブラジャーに使用される金属ワイヤーのそれ約350cNより小さい。拡張抑制部なし。
従来品B:金属ワイヤーを使用。ワイヤーを1cm広げるために要する引張強度は約164cN。拡張抑制部なし。
(評価1)
【0052】
本評価では、それぞれ、本発明の実施例と従来品Aとを対比して、どちらが優れていると感じたかを問うた。この評価結果を表1に示す。表1では、本発明の実施例が優れているとの回答を丸印で、どちらともいえないとの回答を三角印で、従来品の方がよいとの回答をばつ印で示している。なお、本評価結果は、活動シーンを想定した可動域の大きい動作後のものである。
【0053】
ここで、10歳代後半〜20歳代では、ブラジャーの機能としてバストの造形性を重視する造形派の割合に対して、楽な着用感を重視する着け心地派の割合が少なくない。そこで、本評価結果では、着け心地派と造形派とに分けて示している。
【表1】
【0054】
この評価結果によれば、楽な着用感、及び、動きへの追従性において、楽な着用感を優先した従来品Aと略同等の結果が得られた。この優劣において着目すべきは、造形性の点において、従来品Aよりも良いと感じる人数が多く、着け心地派のならず、造形派の評価が高い点である。
(評価2)
【0055】
本評価では、本発明の実施例及び各比較例を着用したバストを撮影した後、それぞれのモアレ等高線解析を行った。これらの解析結果を図6及び図7に示す。図6は、(a)ヌード状態のとき、(b)本実施形態を着用したとき、(c)第1の比較例を着用したとき、(d)第2の比較例を着用したときのバストを前側からみたモアレ等高線解析結果を示す図であり、図7は、(a)ヌード状態のとき、(b)本実施形態を着用したとき、(c)第1の比較例を着用したとき、(d)第2の比較例を着用したときのバストを横側からみたモアレ等高線解析結果を示す図である。
【0056】
この評価結果によれば、本発明の実施例を着用したときのバストトップの位置Pが、楽な着用感を優先した従来品Aを着用したときのバストトップの位置Pより高く、バストの造形性を優先した従来品Bを着用したときのバストトップの位置Pと同等であることがわかる。また、本発明の実施例を着用したときのバストトップ間距離Dが、従来品Aを着用したときのバストトップ間距離Dより小さく(すなわち、実施例のバストトップが従来品Aより寄っており)、従来品Bを着用したときのバストトップ間距離Dと同等であることがわかる。
【0057】
以上より、本発明の実施例によれば、楽な着用感を優先した従来品Aと同等の楽な着用感、及び、動きへの追従性を得ることができるにも関わらず(評価1)、バストの造形性を優先した従来品Bと同等のバストの造形性をも得ることが可能であることがわかる(評価2)。
【0058】
なお、これらの評価結果は、17歳〜24歳に限定されることなく、すべての年齢層に受け入れられるものであり、本発明の特徴は、すべての年齢層向けのカップ部を有する衣類に適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,1A…ブラジャー、10…カップ部、12…土台部、14…バック部、16…ストラップ部、20…カップくり部、21…カップくり部の前中心側端部、22…カップくり部の脇側端部、30…カップワイヤー、31…カップワイヤーの前中心側端部、32…カップワイヤーの脇側端部、40,40A…拡張抑制部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7