特許第6131759号(P6131759)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131759
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】産業車両および水素充填スタンド
(51)【国際特許分類】
   B60S 5/02 20060101AFI20170515BHJP
   B60K 8/00 20060101ALI20170515BHJP
   B67D 7/32 20100101ALI20170515BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20170515BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20170515BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20170515BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20170515BHJP
   F17C 5/06 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B60S5/02
   B60K8/00
   B67D7/32 B
   B60K1/04 Z
   H01M8/04 H
   H01M8/06 R
   H01M8/00 Z
   F17C5/06
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-160024(P2013-160024)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2015-30331(P2015-30331A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】西尾 潤
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−104494(JP,A)
【文献】 特開2003−104498(JP,A)
【文献】 特開2005−247322(JP,A)
【文献】 特公平01−023397(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 5/00− 5/06
B60K 1/00− 1/04
B60K 8/00
B60K 15/00−15/10
B67D 7/32
F17C 5/06
H01M 8/00− 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に搭載され、水素を燃料とする燃料電池と、
水素充填スタンドが備える水素充填ノズルが接続され、水素が供給される水素充填口と、車体外部に設けた接地点と接続可能なアースケーブルと、を備えた産業車両において、
前記アースケーブルは、前記車体から引き出し可能であり、
前記車体は、
前記アースケーブルの前記車体からの引出量を検出する引出量検出手段と、
前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通を確認する導通確認手段と、
前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止する水素充填禁止手段と、
前記引出量検出手段および前記導通確認手段に基づき、前記水素充填禁止手段を制御するコントローラと、を備え、
前記引出量検出手段により予め設定された設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が検知されるとともに、前記導通確認手段により前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通が確認されたとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段を解除して前記車体への水素充填を許可し、
前記設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が未検知又は前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通が未確認のとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段により前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止することを特徴とする産業車両。
【請求項2】
前記水素充填禁止手段は前記水素充填口を開閉する開閉蓋であり、
前記水素充填口を閉じることにより、前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止することを特徴とする請求項1記載の産業車両。
【請求項3】
前記設定引出量は、前記水素充填スタンドに近接して設けた停車エリアにおける前記車体の前記アースケーブルの引出位置と前記接地点との最小距離に対応する引出量以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の産業車両。
【請求項4】
前記アースケーブルは車体内部にて巻き取り可能であり、
前記引出量検出手段は、前記アースケーブルの引き出しにより前記アースケーブルの巻き取り径が設定巻き取り径以下となったことを検知するリミットスイッチであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の産業車両。
【請求項5】
スタンド本体と、
前記スタンド本体に備えられ、燃料電池搭載の産業車両に設けた水素充填口と接続され、前記産業車両へ水素を供給する水素充填ノズルと、
前記産業車両に設けた接続部と接続可能なアースケーブルと、を備えた水素充填スタンドにおいて、
前記アースケーブルは、前記スタンド本体から引き出し可能であり、
前記スタンド本体は、
前記アースケーブルの前記スタンド本体からの引出量を検出する引出量検出手段と、
前記接続部に接続された前記アースケーブルの導通を確認する導通確認手段と、
前記水素充填ノズルを通じた前記産業車両への水素充填を禁止する水素充填禁止手段と、
前記引出量検出手段および前記導通確認手段に基づき、前記水素充填禁止手段を制御するコントローラと、を備え、
前記引出量検出手段により予め設定された設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が検知されるとともに、前記導通確認手段により前記接続部に接続された前記アースケーブルの導通が確認されたとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段を解除して前記産業車両への水素充填を許可し、
前記設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が未検知又は前記接続部に接続された前記アースケーブルの導通が未確認のとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段により前記水素充填ノズルを通じた前記産業車両への水素充填を禁止することを特徴とする水素充填スタンド。
【請求項6】
前記水素充填禁止手段は、前記水素充填口に挿入された前記水素充填ノズルに水素を供給しないことを特徴とする請求項5記載の水素充填スタンド。
【請求項7】
前記設定引出量は、前記水素充填スタンドに近接して設けた停車エリアにおける前記産業車両の前記接続部と前記スタンド本体の前記アースケーブルの引出位置との最小距離に対応する引出量以上であることを特徴とする請求項5又は6記載の水素充填スタンド。
【請求項8】
前記アースケーブルは巻き取り可能であり、
前記引出量検出手段は、前記アースケーブルの引き出しにより前記アースケーブルの巻き取り径が設定巻き取り径以下となったことを検知するリミットスイッチであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項記載の水素充填スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水素を燃料とする燃料電池が搭載された産業車両および産業車両へ水素を供給する水素充填スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、燃料電池式フォークリフトのように燃料電池を搭載した産業車両の開発が進められている。
燃料電池は、一対の電極に水素を含有する燃料ガスと酸素を含有する酸化剤ガスとの電気化学反応により電気エネルギーを生成する。
水素ガスを燃料とする燃料電池では、車体に設けた水素タンクに水素を蓄えておく必要がある。
車体への水素の充填としては、例えば、地上に設置した水素充填スタンドから水素を供給する方法がある。
具体的には、水素充填スタンドが備える水素充填ノズルを車体に設けた水素充填口に挿入し、水素が水素充填スタンドから車体へ供給される。
水素は可燃性であることから、水素充填スタンドから車体へ水素を供給するとき、車両のアースを確実に行い、車両に帯電する静電気を除去することが必要である。
【0003】
車両のアースを確実に行うための従来技術としては、例えば、特許文献1に開示された燃料供給口装置および燃料供給システムが存在する。
特許文献1に開示された燃料供給システムは、例えば、燃料電池で駆動される自動車に搭載された燃料タンクに高圧水素を充填するディスペンサ装置と、自動車のボディーに帯電された静電気を除去するアース装置とを有する。
アースキーは、自動車のボディーに設けられたキー挿入部に挿入されることでボディーに帯電された静電気を除去すると共に、燃料供給口が収納された収納部の蓋部材のロックを解除してガス充填カップリングの結合を可能にする。
制御装置は、アースキーが自動車のボディーに接続されたことを監視しており、アースキーがボディーに接続されたことが検出されると燃料供給を許可する。
従って、燃料供給前にアース装置の接続忘れが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−104494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された燃料供給システムでは、例えば、アースキーと接続されているアースケーブルが断線している場合、アースキーが自動車のボディーに接続されていると誤認識され、燃料供給を許可するという問題がある。
つまり、特許文献1に開示された燃料供給システムはアース装置の接続忘れにのみ有効であり、アース装置の異常等による誤認識を回避することはできない。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、アースケーブルの導通確認とアースケーブルの引出量検知によるダブルチェック機能により確実なアースを実施することができる産業車両および水素充填スタンドの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、車体に搭載され、水素を燃料とする燃料電池と、水素充填スタンドが備える水素充填ノズルが接続され、水素が供給される水素充填口と、車体外部に設けた接地点と接続可能なアースケーブルと、を備えた産業車両において、前記アースケーブルは、前記車体から引き出し可能であり、前記車体は、前記アースケーブルの前記車体からの引出量を検出する引出量検出手段と、前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通を確認する導通確認手段と、前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止する水素充填禁止手段と、前記引出量検出手段および前記導通確認手段に基づき、前記水素充填禁止手段を制御するコントローラと、を備え、前記引出量検出手段により予め設定された設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が検知されるとともに、前記導通確認手段により前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通が確認されたとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段を解除して前記車体への水素充填を許可し、前記設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が未検知又は前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通が未確認のとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段により前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止することを特徴とする。
【0008】
本発明では、引出量検出手段により予め設定された設定引出量以上のアースケーブルの引出量が検知されるとともに、導通確認手段により接地点に接続されたアースケーブルの導通が確認されたとき、水素充填ノズルから車体への水素充填が許可される。
設定引出量以上のアースケーブルの引出量が未検知であったり、接地点に接続されたアースケーブルの導通が未確認であったりするときには、水素充填ノズルから車体への水素充填が禁止される。
例えば、アースケーブルに断線がある場合には、接地点に接続されたアースケーブルの導通が未確認となり、水素充填ノズルを通じた車体への水素充填は禁止される。
本発明によれば、接地点に接続されたアースケーブルの導通確認とアースケーブルの引出量検知によるダブルチェック機能により確実なアースを実施することができる。
【0009】
また、上記の産業車両において、前記水素充填禁止手段は前記水素充填口を開閉する開閉蓋であり、前記水素充填口を閉じることにより、前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止する構成としてもよい。
この場合、水素充填禁止手段である開閉蓋は、車体への水素充填を禁止する条件では、充填口を閉じて塞ぐため、水素充填ノズルを水素充填口に挿入することは不可能であり、確実に車体への水素充填を禁止することができる。
【0010】
また、上記の産業車両において、前記設定引出量は、前記水素充填スタンドに近接して設けた停車エリアにおける前記車体の前記アースケーブルの引出位置と前記接地点との最小距離に対応する引出量以上である構成としてもよい。
この場合、水素充填スタンドに近接して設けた停車エリアに停車し、車体からアースケーブルを引き出して接地点と接続するとき、アースケーブルの引出量は、アースケーブルの引出位置と接地点との最小距離に対応する引出量以上となる。
従って、アースケーブルの引出位置と接地点との最小距離に対応する引出量未満の場合、アースケーブルが接地点に接続されていないことを確実に把握することができる。
【0011】
また、上記の産業車両において、前記アースケーブルは車体内部にて巻き取り可能であり、前記引出量検出手段は、前記アースケーブルの引き出しにより前記アースケーブルの巻き取り径が設定巻き取り径以下となったことを検知するリミットスイッチである構成としてもよい。
この場合、引出量検出手段をアースケーブルの巻き取り径を検知するリミットスイッチとすることから、比較的簡単な構成により予め設定された設定引出量以上のアースケーブルの引出量を検知することができる。
【0012】
また、本発明は、スタンド本体と、前記スタンド本体に備えられ、燃料電池搭載の産業車両に設けた水素充填口と接続され、前記産業車両へ水素を供給する水素充填ノズルと、前記産業車両に設けた接地点と接続可能なアースケーブルと、を備えた水素充填スタンドにおいて、前記アースケーブルは、前記スタンド本体から引き出し可能であり、前記スタンド本体は、前記アースケーブルの前記スタンド本体からの引出量を検出する引出量検出手段と、前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通を確認する導通確認手段と、前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止する水素充填禁止手段と、前記引出量検出手段および前記導通確認手段に基づき、前記水素充填禁止手段を制御するコントローラと、を備え、前記引出量検出手段により予め設定された設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が検知されるとともに、前記導通確認手段により前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通が確認されたとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段を解除して前記車体への水素充填を許可し、前記設定引出量以上の前記アースケーブルの引出量が未検知又は前記接地点に接続された前記アースケーブルの導通が未確認のとき、前記コントローラは、前記水素充填禁止手段により前記水素充填ノズルを通じた前記車体への水素充填を禁止することを特徴とする。
【0013】
本発明では、引出量検出手段により予め設定された設定引出量以上のアースケーブルの引出量が検知されるとともに、導通確認手段により産業車両に設けた接続部に接続されたアースケーブルの導通が確認されたとき、水素充填ノズルから産業車両への水素充填が許可される。
設定引出量以上のアースケーブルの引出量が未検知であったり、接続部に接続されたアースケーブルの導通が未確認であったりするときには、水素充填ノズルから産業車両への水素充填が禁止される。
例えば、アースケーブルに断線がある場合には、接続部に接続されたアースケーブルの導通が未確認となり、水素充填ノズルを通じた産業車両への水素充填は禁止される。
本発明によれば、接続部に接続されたアースケーブルの導通確認とアースケーブルの引出量検知によるダブルチェック機能により確実なアースを実施することができる。
【0014】
また、上記の水素充填スタンドにおいて、前記水素充填禁止手段は、前記水素充填口に挿入された前記水素充填ノズルに水素を供給しない構成としてもよい。
この場合、水素充填口に水素充填ノズルが挿入されている状態でも、水素充填禁止手段は水素充填ノズルに水素を供給しない。
従って、水素充填口に水素充填ノズルが挿入されても、水素充填ノズルを通じた車体への水素充填を禁止することができる。
【0015】
また、上記の水素充填スタンドにおいて、前記設定引出量は、前記水素充填スタンドに近接して設けた停車エリアにおける前記産業車両の前記接続部と前記スタンド本体の前記アースケーブルの引出位置との最小距離に対応する引出量以上である構成としてもよい。
この場合、水素充填スタンドに近接して設けた停車エリアに産業車両を停車させ、スタンド本体からアースケーブルを引き出して産業車両の接続部と接続するとき、アースケーブルの引出量は、アースケーブルの引出位置と接続部との最小距離に対応する引出量以上となる。
従って、アースケーブルの引出位置と接続部との最小距離に対応する引出量未満の場合、アースケーブルが接続部に接続されていないことを確実に把握することができる。
【0016】
また、上記の水素充填スタンドにおいて、前記アースケーブルは巻き取り可能であり、前記引出量検出手段は、前記アースケーブルの引き出しにより前記アースケーブルの巻き取り径が設定巻き取り径以下となったことを検知するリミットスイッチである構成としてもよい。
この場合、引出量検出手段をアースケーブルの巻き取り径を検知するリミットスイッチとすることから、比較的簡単な構成により予め設定された設定引出量以上のアースケーブルの引出量を検知することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アースケーブルの導通確認とアースケーブルの引出量検知によるダブルチェック機能により確実なアースを実施することができる産業車両および水素充填スタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る燃料電池式フォークリフトおよび水素充填スタンドを示す側面図である。
図2】第1の実施形態に係る燃料電池式フォークリフトおよび水素充填スタンドを示す概略平面図である。
図3】第1の実施形態に係る燃料電池式フォークリフトのリミットスイッチを示す要部説明図である。
図4】第1の実施形態に係るアースケーブルの導通確認手段を示す回路図である。
図5】第2の実施形態に係る燃料電池式フォークリフトおよび水素充填スタンドを示す側面図である。
図6】第2の実施形態に係る水素充填スタンドのリミットスイッチを示す要部説明図である。
図7】第2の実施形態に係るアースケーブルの導通確認手段を示す回路図である。
図8】別例に係るアースケーブルの導通確認手段を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る産業車両としての燃料電池式フォークリフトについて図面を参照して説明する。
なお、方向を特定する「前後」、「左右」および「上下」については、燃料電池式フォークリフトのオペレータが運転席の運転シートに着座して、燃料電池フォークリフトの前進側を向いた状態を基準として示す。
【0020】
図1および図2に示すように、燃料電池搭載の燃料電池式フォークリフト(以下、単に「フォークリフト」と表記する。)10は、車体11の前部に荷役装置12を備えている。
車体11の中央付近には運転席13が設けられている。
車体11の前部には前輪としての駆動輪14が設けられ、車体11の後部には後輪としての操舵輪15が設けられている。
車体11の後部にはカウンタウエイト16が備えられており、カウンタウエイト16は車両重量の調整と車体11における重量バランスを図るためのものである。
【0021】
本実施形態のフォークリフト10は、車体11に搭載され、電力により駆動する走行モータ(図示せず)を備えたフォークリフトである。
車体11における運転席13の下方には、燃料電池システムをユニット化した燃料電池ユニット18を収容する収容室17が形成されている。
燃料電池ユニット18の内部には燃料電池システムが収容されている。
燃料電池システムは、酸化剤ガスと燃料ガスとの電気化学反応により電力を発生する燃料電池(図示せず)と、水素を貯留する水素タンク(図示せず)と、余剰電力を蓄電する蓄電装置(図示せず)と、を有している。
【0022】
車体11の側部には、水素タンクへ水素を充填するための水素充填口20が設けられており、水素充填口20は水素タンクと連通する。
車体11には水素充填口20を開閉する開閉蓋21が設けられており、開閉蓋21は水素充填時には水素充填口20を開き、水素充填時以外は水素充填口20を閉じる。
本実施形態では、開閉蓋21が水素充填禁止手段に相当し、次に説明するアースケーブル22に関する特定条件を満たさない場合は、開閉蓋21はロックされて水素充填口20を開くことがない。すなわち、開閉蓋21により水素充填口20を閉じている。
開閉蓋21のロックとロック解除は車体11に搭載されているコントローラ23が行う。
本実施形態のコントローラ23は、車体11の搭載機器を電気的に制御するECU(Electronic Control Unit)である。
開閉蓋21のロックとロック解除は、2つの条件(第1条件および第2条件)からなる特定条件を満たす必要があり、特定条件については後述する。
【0023】
車体11の側部における水素充填口20の後方には、アースケーブル22を引き出すアースケーブル引出口24が設けられている。
アースケーブル引出口24はアースケーブル22の引出位置に相当し、アースケーブル引出口24には、アースケーブル引出口24を覆うカバー(図示せず)が設けられている。
アースケーブル22は、水素充填時以外は車体11の内部に収容されており、水素充填時には、オペレータの操作により車体11から引き出される。
引き出されたアースケーブル22を介した地上との接地によるアースが実施されることにより車体11に帯電された静電気が除去される。
本実施形態では、図3(a)および図3(b)に示すように、車体11の内部に回転可能に支持された回転軸25にアースケーブル22を巻き付ける巻き取り方式により、アースケーブル22は車体11の内部に格納されている。
アースケーブル22は、アースケーブル引出口24を覆うカバーが開いている状態では、人手による引き出し可能である。
回転軸25の端部には、回転軸25を回転させる操作レバー26が設けられており、操作レバー26を介して巻き取り方向へ回転軸25を回転させることにより、引き出されたアースケーブル22の巻き取りを実現している。
【0024】
本実施形態では、アースケーブル22の巻き取り径を検知するリミットスイッチ27が設けられている。
アースケーブル22の外周と常に接触するように付勢された板部材28が設けられており、板部材28の一方の端部には板部材28の揺動の支点29が設けられている。
図3(a)に示す状態のアースケーブル22が引き出され、図3(b)に示すように、アースケーブル22の巻き取り径が、予め設定された設定巻き取り径以下となると、リミットスイッチ27は、検知信号をコントローラ23へ伝達する。
コントローラ23では、リミットスイッチ27の検知信号の受信により検知時のアースケーブル22の巻き取り径からアースケーブル22の引出量が予め設定された設定引出量以上であることが認識される。
従って、本実施形態のリミットスイッチ27は、アースケーブル22の車体11からの引出量を検出する引出量検出手段に相当する。
アースケーブル22の引出量が予め設定された設定引出量以上であることをコントローラ23が認識することが、開閉蓋21のロックを解除する特定条件のうちの第1条件である。
【0025】
ところで、アースケーブル22は、図4に示すように、2本のケーブル(第1ケーブル30、第2ケーブル31)をまとめたケーブル部32と、ケーブル部32の先端に設けられたクリップ部33を備えている。
ケーブル部32は、第1ケーブル30、第2ケーブル31をまとめていることから、ケーブル部32の外観は、図1図3(a)、図3(b)に示すように、1本のケーブルである。
第1ケーブル30の先端部はクリップ部33の一方の先端部34と接続され、第1ケーブル30の車体11側の端部は車体11と接続されている。
第2ケーブル31の先端部はクリップ部33の他方の先端部35と接続されている。
クリップ部33の一方の先端部34は第1ケーブル30の先端部との接続は電気的な接続であり、また、クリップ部33の他方の先端部35と第2ケーブル31の先端部との接続も電気的な接続である。
クリップ部33における先端部34の反対側の端部は操作部36であり、クリップ部33における先端部35の反対側の端部は操作部37である。
操作部36、37を操作しない状態では、先端部34、35は離間しているものの、閉じる方向への付勢により互いに接近した位置となる。
操作部36、37を互いに接近させるように操作した状態では、先端部34、35の離間する距離が大きくなる。
従って、クリップ部33を操作することにより、先端部34、35は対象物を挟持し、アースケーブル22と対象物との接続を実現する。
【0026】
第2ケーブル31の車体11側の端部は、導通確認手段38と接続されている。
図3に示すように、導通確認手段38は専用電源39と専用電源39に接続されたリレー40を備えている。
専用電源39は、アースケーブル22の導通を確認するための専用の電源であり、他の電源と独立して別に設けられている。
リレー40はコントローラ23と接続されており、専用電源39からの電力の供給を受け、第1ケーブル30と第2ケーブル31に電流が導通されたときに作動する。
リレー40の作動時にはリレー40からのリレー信号がコントローラ23へ伝達される。
リレー信号が伝達されたコントローラ23では、アースケーブル22の導通を確認する。
本実施形態では、アースケーブル22の導通をコントローラ23が確認することが、開閉蓋21のロックを解除する特定条件のうちの第2条件である。
【0027】
ところで、図1および図2に示すように、地上には水素充填スタンド41が設置されている。
水素充填スタンド41は、地上に設置された基台部42と、基台部42上に設置されたスタンド本体43と、を備えている。
本実施形態では、基台部42はコンクリートにより形成されており、基台部42にアースのための接地点44が設置されている。
接地点44は導電性の金属により形成されており、アースケーブル22のクリップ部33の挟持によりアースケーブル22と接続可能である。
クリップ部33が接地点44を挟んで接続されている状態では、接地点44を介して第1ケーブル30と第2ケーブル31が通電可能な状態となる。
【0028】
スタンド本体43には、水素充填ノズル45を備えた水素充填ホース46が備えられている。
水素充填ノズル45は水素充填口20に挿入可能であり、水素充填ホース46は水素を通すホースである。
スタンド本体43において水素充填ホース46は、スタンド本体43に配設された水素配管(図示せず)を介して水素貯蔵庫(図示せず)と接続されている。
図2に示すように、水素充填のためにフォークリフト10を停車させることができる停車エリアAが水素充填スタンド41に近接して設けられている。
従って、水素充填ホース46の長さは、停車エリアAに停車されたフォークリフト10の水素充填口20に水素充填ノズル45を挿入できる程度の長さである。
アースケーブル22と接地点44が接続されたとき、コントローラ23において予め設定されるアースケーブル22の設定引出量は、停車エリアAにおけるフォークリフト10のアースケーブル引出口24と接地点44との最小距離に対応する引出量以上である。
【0029】
次に、本実施形態に係るフォークリフト10の水素充填の手順について説明する。
まず、水素を充填しようとするフォークリフト10を停車エリアA内にて停止させる。
そして、アースケーブル引出口24を覆うカバーを開き、アースケーブル22を引き出してクリップ部33により接地点44を挟持し、アースケーブル22と車体11外部に設けた接地点44とを接続する。
アースケーブル22と接地点44が互いに接続されている状態では、車体11からアースケーブル22が引き出されてアースケーブル22の巻き取り径が一定の巻き取り径以下となったことがリミットスイッチ27により検知される。
リミットスイッチ27の検知信号を受けたコントローラ23では、検知信号の受信により検知時のアースケーブル22の巻き取り径からアースケーブル22の引出量が予め設定された設定引出量以上であることが認識される。
このとき、開閉蓋21のロックを解除する第1条件を満足した状態となる。
【0030】
一方、コントローラ23は、リミットスイッチ27の検知信号を受けない未検知のとき、アースケーブル22の引出量が予め設定された設定引出量以上でないと認識する。
つまり、アースケーブル22と接地点44との接続が行われていないことが把握される。
このとき、開閉蓋21のロックを解除する第1条件は満たされないことになる。
【0031】
開閉蓋21のロックを解除する第1条件を満足している場合には、次に、アースケーブル22の導通確認が行われる。
アースケーブル22の導通確認は、導通確認手段38により行われる。
アースケーブル22と接地点44が適切に接続され、第1ケーブル30および第2ケーブル31に断線等の異常がない場合、専用電源39からの電流が、リレー40、第2ケーブル31、接地点44および第1ケーブル30を通る。
リレー40は通電によりリレー信号をコントローラ23へ伝達し、コントローラ23はリレー信号を受けることにより第2条件を満足したことを確認する。
つまり、アースケーブル22と接地点44が接続された状態で、導通確認手段38によりアースケーブル22の導通が確認される。
【0032】
このとき、第1条件および第2条件の両条件を満足していることから、コントローラ23は開閉蓋21のロックを解除する。
開閉蓋21のロックを解除することにより水素充填ノズル45の水素充填口20への挿入が可能となる。
そして、水素充填ノズル45が水素充填口20へ挿入されると、車体11への水素供給を行うことができる状態となり、オペレータの操作に応じて水素が水素充填スタンド41から車体11へ供給される。
なお、車体11への水素供給を行う時点では、車体11の静電気はアースケーブル22および接地点44を通じて除去されている。
【0033】
ところで、第1ケーブル30および第2ケーブル31に断線、あるいは、接地点44にアースケーブル22が接続されていない場合、コントローラ23では導通確認手段38によるアースケーブル22の導通が未確認となる。
この場合、第1条件を満足しても第2条件を満足しないため、コントローラ23は開閉蓋21のロックを解除しない。
よって、水素充填スタンド41から車体11への水素供給は不可となる。
【0034】
本実施形態のフォークリフト10は以下の作用効果を奏する。
(1)コントローラ23は、予め設定された設定引出量以上のアースケーブル22の引出量を検知し、さらに、導通確認手段38による接地点44に接続されたアースケーブル22の導通を確認したとき、開閉蓋21のロックを解除するための第1条件および第2条件を満足すると認識する。そして、コントローラ23は、開閉蓋21のロックを解除し、水素充填ノズル45から車体11への水素充填が許可される。設定引出量以上のアースケーブル22の引出量が未検知、又は、接地点44に接続されたアースケーブル22の導通が未確認のときには、開閉蓋21のロックは解除されず、水素充填ノズル45から車体11への水素充填が禁止される。接地点44に接続されたアースケーブル22の導通確認とアースケーブル22の引出量検知によるダブルチェック機能により、水素充填の際にアースによる確実な車体11の静電気除去を実施することができる。
【0035】
(2)開閉蓋21は、第1条件、第2条件の少なくとも一つを満足せず、車体11への水素充填を禁止する条件では、開閉蓋21はロックされており水素充填口20を閉じて塞ぐ。このため、水素充填ノズル45を水素充填口20に挿入することは不可能であり、確実に車体11への水素充填を禁止することができる。
(3)停車エリアAにフォークリフト10を停車させ、車体11からアースケーブル22を引き出して接地点44と接続するとき、アースケーブル22の引出量は、アースケーブル引出口24と接地点44との最小距離に対応する引出量以上である。従って、アースケーブル22の引出量がアースケーブル引出口24と接地点44との最小距離に対応する引出量未満の場合、アースケーブル22が接地点44に接続されていないことを確実に把握することができる。
【0036】
(4)引出量確認手段をアースケーブル22の巻き取り径が設定巻き取り径以下となったことを検知するリミットスイッチ27とすることから、比較的簡単な構成により予め設定された設定引出量以上のアースケーブル22の引出量を検知することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る水素充填スタンドについて図面を参照して説明する。
本実施形態では、水素充填スタンドがアースケーブルを備えている。
本実施形態では、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態の説明を援用し、符号を共通して用いる。
【0038】
図5に示すように、水素充填スタンド50は、地上に設置された基台部42と、基台部42上に設置されたスタンド本体43と、を備えている。
本実施形態では、基台部42はコンクリートにより形成されている。
スタンド本体43には、水素充填ノズル45を備えた水素充填ホース46が備えられている。
【0039】
また、スタンド本体43には、アースケーブル51を引き出すアースケーブル引出口52が設けられている。
アースケーブル引出口52はアースケーブル51の引出位置に相当し、アースケーブル引出口52には、アースケーブル引出口52を覆うカバー(図示せず)が設けられている。
アースケーブル51は、水素充填時以外はスタンド本体43の内部に収容されており、水素充填時には、オペレータの操作によりスタンド本体43から引き出される。
【0040】
本実施形態では、図6(a)および図6(b)に示すように、スタンド本体43の内部に回転可能に支持された回転軸53にアースケーブル51を巻き付ける巻き取り方式により、アースケーブル51はスタンド本体43の内部に格納されている。
アースケーブル51は、アースケーブル引出口52を覆うカバーが開いている状態では、オペレータによる引き出しが可能である。
回転軸53の端部には、回転軸53を回転させる操作レバー54が設けられており、操作レバー54を介して巻き取り方向へ回転軸53を回転させることにより、引き出されたアースケーブル51の巻き取りを実現している。
【0041】
本実施形態では、アースケーブル51の巻き取り径を検知するリミットスイッチ55が設けられている。
アースケーブル51の外周と常に接触するように付勢された板部材56が設けられており、板部材56の一方の端部には板部材56の揺動の支点57が設けられている。
スタンド本体43には、リミットスイッチ55と電気的に接続されたコントローラ58が備えられている。
コントローラ58はリミットスイッチ55の検知信号の伝達を受けるほか、水素充填スタンド41の各機器を電気的に制御する。
本実施形態では、図5に示すように、スタンド本体43の水素配管の開閉弁71が水素充填禁止手段に相当する。
開閉弁71の開状態とし、水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除するには、2つの条件(第1条件および第2条件)からなる特定条件を満たす必要があり、特定条件については後述する。
アースケーブル51に関する特定条件を満たさない場合、コントローラ58は開閉弁71を制御して水素配管を遮断し、水素充填ホース46への水素の供給が遮断される。
【0042】
図6(a)に示す状態のアースケーブル51が引き出され、図6(b)に示すように、アースケーブル51の巻き取り径が、予め設定された設定巻き取り径以下となると、リミットスイッチ55は、検知信号をコントローラ58へ伝達する。
コントローラ58では、リミットスイッチ55の検知信号の受信により検知時のアースケーブル51の巻き取り径からアースケーブル51の引出量が予め設定された設定引出量以上であることが認識される。
従って、本実施形態のリミットスイッチ55は、アースケーブル51のスタンド本体43からの引出量を検出する引出量検出手段に相当する。
アースケーブル51の引出量が予め設定された設定引出量以上であることをコントローラ58が認識することが、水素充填ホース46に対する水素の遮断を解除する特定条件のうちの第1条件である。
【0043】
ところで、アースケーブル51は、図7に示すように、2本のケーブル(第1ケーブル60、第2ケーブル61)をまとめたケーブル部62と、ケーブル部62の先端に設けられたクリップ部63を備えている。
ケーブル部62は、第1ケーブル60、第2ケーブル61をまとめていることから、ケーブル部62の外観は、図5に示すように、1本のケーブルである。
第1ケーブル60の先端部はクリップ部63の一方の先端部64と接続され、第1ケーブル60のスタンド本体43側の端部は地上と接地されている接地点59と接続されている。
第2ケーブル61の先端部はクリップ部63の他方の先端部65と接続されている。
クリップ部63の一方の先端部34と第1ケーブル60の先端部との接続は電気的に接続であり、また、クリップ部63の他方の先端部65と第2ケーブル61の先端部との接続も電気的な接続である。
クリップ部63における先端部64の反対側の端部は操作部66であり、クリップ部63における先端部65の反対側の端部は操作部67である。
操作部66、67を操作しない状態では、先端部64、65が離間しているものの互いに閉じる方向への付勢により互いに接近した位置となる。
操作部66、67を接近させるように操作した状態では、先端部64、65の離間する距離が大きくなる。
従って、クリップ部63を操作することにより、先端部64、65は対象物を挟持し、アースケーブル51と対象物との接続を実現する。
【0044】
第2ケーブル31のスタンド本体43側の端部は、導通確認手段68と接続されている。
図7に示すように、導通確認手段68は専用電源69と専用電源69に接続されたリレー70を備えている。
専用電源69は、アースケーブル51の導通を確認するための専用の電源であり、他の電源と独立して別に設けられている。
リレー70はコントローラ58と接続されており、専用電源69からの電力の供給を受け、第1ケーブル60と第2ケーブル61に電流が導通されたときに作動する。
リレー70の作動時にはリレー70からのリレー信号がコントローラ58へ伝達される。
リレー信号が伝達されたコントローラ58では、アースケーブル51の導通を確認する。
本実施形態では、アースケーブル51の導通をコントローラ58が確認することが、水素充填ホース46に対する水素の遮断を解除する特定条件のうちの第2条件である。
【0045】
水素充填スタンド50の近くには、水素充填のためにフォークリフト80を停車させることができる停車エリアAが設定されている。
本実施形態のフォークリフト80は車体11に水素充填口20を備えているが、アースケーブルは備えず、また、水素充填口20を覆う開閉蓋21の開閉は自由である。
車体11の側部における水素充填口20の後方には、アースケーブル51のクリップ部63の挟持可能とする接続部81が設けられている。
接続部81はアースケーブル51を車体11に接続するための部材である。
また、本実施形態の停車エリアAは図示されないが、第1の実施形態の停車エリアAと同様に、水素充填スタンド50に近接して設けられている。
従って、水素充填ホース46の長さは、停車エリアAに停車されたフォークリフト80の水素充填口20に水素充填ノズル45を挿入できる程度の長さである。
クリップ部63が車体11の接続部81を挟んで接続されている状態では、接続部81を介して第1ケーブル60と第2ケーブル61が通電可能な状態となる。
アースケーブル51と接続部81が接続されたとき、コントローラ58において予め設定されるアースケーブル51の設定引出量は、アースケーブル引出口52と停車エリアAにおけるフォークリフト80の接続部81との最小距離に対応する引出量以上である。
【0046】
次に、本実施形態に係る水素充填スタンド50の水素充填の手順について説明する。
まず、水素を充填しようとするフォークリフト80を停車エリアA内にて停止させる。
そして、スタンド本体43のアースケーブル引出口52からアースケーブル51を引き出してクリップ部63により車体11の接続部81を挟持し、アースケーブル51と車体11とを接続する。
開閉蓋21を開き、フォークリフト80の水素充填口20に水素充填ノズル45を挿入する。
このとき、開閉弁71は閉状態であり、スタンド本体43から水素充填ホース46への水素の流通は遮断されており、水素充填スタンド50から車体11への水素の供給は不可である。
【0047】
アースケーブル51と車体11が互いに接続されている状態では、スタンド本体43からアースケーブル51が引き出されてアースケーブル51の巻き取り径が予め設定した設定巻き取り径以下となったことがリミットスイッチ55により検知される。
リミットスイッチ55の検知信号を受けたコントローラ58では、検知信号の受信により検知時のアースケーブル51の巻き取り径からアースケーブル51の引出量が予め設定された設定引出量以上であることが認識される。
このとき、水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除する第1条件を満足した状態となる。
【0048】
一方、コントローラ58は、リミットスイッチ55の検知信号を受けない未検知のとき、アースケーブル51の引出量が予め設定された設定引出量以上でないと認識する。
つまり、アースケーブル51と車体11の接続部81との接続が行われていないことが把握される。
このとき、水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除する第1条件は満たされていない。
【0049】
水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除する第1条件を満足している場合、次に、アースケーブル51の導通確認が行われる。
アースケーブル51の導通確認は、導通確認手段68により行われる。
アースケーブル51と車体11における接続部81とが適切に接続され、第1ケーブル60および第2ケーブル61に断線等の異常がない場合、専用電源69からの電流が、リレー70、第2ケーブル61、車体11および第1ケーブル60を通る。
リレー70は通電により生じるリレー信号をコントローラ58へ伝達し、コントローラ58はリレー信号を受けることにより第2条件を満足したことを確認する。
つまり、アースケーブル51と接続部81が接続された状態で、導通確認手段68によりアースケーブル51の導通が確認される。
【0050】
このとき、第1条件および第2条件の両条件を満足していることから、コントローラ58は、スタンド本体43における水素配管の開閉弁71を開き、水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除する。
水素充填ホース46への水素の流通の遮断が解除されることにより、水素充填ホース46および水素充填ノズル45を介した水素充填口20への水素の供給が可能となる。
そして、オペレータの操作に応じて水素が水素充填スタンド50から車体11へ供給される。
なお、車体11への水素供給を行う時点では、車体11に帯電された静電気はアースケーブル51および接地点59を通じて除去されている。
【0051】
ところで、第1ケーブル60および第2ケーブル61に断線、あるいは、車体11にアースケーブル51が適切に接続されていない場合、コントローラ58では導通確認手段68によるアースケーブル51の導通が未確認となる。
この場合、第1条件を満足しても第2条件を満足しないため、コントローラ58は開閉弁71の閉状態を維持し、水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除しない。
よって、水素充填スタンド50から車体11への水素供給は不可となる。
【0052】
本実施形態の水素充填スタンド50は以下の作用効果を奏する。
(1)コントローラ58は、予め設定された設定引出量以上のアースケーブル51の引出量を検知し、さらに、導通確認手段68による接続部81に接続されたアースケーブル51の導通を確認したとき、水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除するための第1条件および第2条件を満足すると認識する。そして、開閉弁71を開状態とし、水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除し、水素充填ノズル45から車体11への水素充填が許可される。設定引出量以上のアースケーブル51の引出量が未検知、又は、車体11に接続されたアースケーブル51の導通が未確認のときには、水素充填ホース46への水素の流通の遮断は解除されず、水素充填ノズル45から車体11への水素充填が禁止される。接続部81に接続されたアースケーブル51の導通確認とアースケーブル51の引出量検知によるダブルチェック機能により、水素充填の際にアースによる確実な車体11の静電気除去を実施することができる。
【0053】
(2)コントローラ58は、第1条件、第2条件の少なくとも一つを満足せず、車体11への水素充填を禁止する条件では、開閉弁71により水素充填ホース46への水素の流通の遮断を解除しない。このため、水素充填スタンド50から車体11へ水素を供給することは不可能であり、確実に車体11への水素充填を禁止することができる。
(3)フォークリフト80を停車エリアAに停車させ、スタンド本体43からアースケーブル51を引き出して接続部81と接続するとき、アースケーブル51の引出量は、アースケーブル引出口52と接続部81との間の最小距離に対応する引出量以上である。従って、アースケーブル51の引出量がアースケーブル引出口52と車体11の接続部81との最小距離に対応する引出量未満の場合、アースケーブル51が接続部81に接続されていないことを確実に把握することができる。
【0054】
(4)引出量確認手段をアースケーブル51の巻き取り径が設定巻き取り径以下となったことを検知するリミットスイッチ55とすることから、比較的簡単な構成により予め設定された設定引出量以上のアースケーブル51の引出量を検知することができる。
【0055】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0056】
○ 上記の実施形態では、開閉蓋又は水素充填ホースへの水素の流通を遮断する開閉弁を水素充填禁止手段としたが、水素充填禁止手段はこの限りではない。水素充填禁止手段は、例えば、開閉蓋が開いても水素充填ノズルが挿入されないようにする水素充填口側の開閉弁としてもよい等、水素の供給を禁止することが可能な構成であればよい。
○ 上記の実施形態では、アースケーブルの引出量を検出する引出量検出手段をリミットスイッチとしたが、引出量検出手段はリミットスイッチに限らない。引出量検出手段はアースケーブルの引出量を検出することができる手段であればよく、例えば、エンコーダを用いて回転軸の回転からアースケーブルの引出量を検出していもよい。
○ 上記の実施形態では、アースケーブルと接地点又は接続部との接続のためにクリップ部を設けたが、接地点又は接続部との接続のための手段は、クリップ部に限定されず、例えば、差込式としてもよい。
○ 上記の第1の実施形態では、導通確認手段にリレーを用いたが、リレーを用いることに限定されない。例えば、リレーに替えてフォトカプラーを用いてもよい。あるいは、図8に示す回路を導通確認手段82としてもよい。図8に示す導通確認手段82の回路では、第2ケーブル31の導通確認手段側において専用電源39に直列に抵抗Rを接続し、コントローラ23と抵抗Rを並列としている。図8に示す回路では、アースケーブル22において導通していると必ず電位が生じることでコントローラ23が電位を認識し、アースケーブル22の導通を確認することができる。また、図8に示す導通確認手段38を第2の実施形態に適用してもよい。
○ 上記の第1の実施形態では、コントローラとして車体各部の制御を行うECUを用いたが、コントローラは、燃料電池ユニットに収容され、燃料電池の制御を行う燃料電池ECUとしてもよい。
○ 上記の実施形態では、産業車両としての燃料電池式のフォークリフトについて説明したが、本発明はフォークリフト以外に牽引車やトーイングトラクターに適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 フォークリフト
11 車体
18 燃料電池ユニット
20 水素充填口
21 開閉蓋
22、51 アースケーブル
23、58 コントローラ
27、55 リミットスイッチ
30、60 第1ケーブル
31、61 第2ケーブル
32、62 ケーブル部
33、63 クリップ部
38、68、82 導通確認手段
39、69 専用電源
40、70 リレー
41、50 水素充填スタンド
43 スタンド本体
44 接地点
45 水素充填ノズル
46 水素充填ホース
81 接続部
A 停車エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8