特許第6131778号(P6131778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131778
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】交流−交流変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/293 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   H02M5/293 Z
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-175682(P2013-175682)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-46972(P2015-46972A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】宗島 正和
(72)【発明者】
【氏名】森田 一徳
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−32757(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/139078(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0019188(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/00−5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力電圧を複数レベルの交流出力電圧に変換する交流−交流変換装置であって、
第1および第2のスイッチング素子の直列体と、第1のコンデンサと、第3および第4のスイッチング素子の直列体とを並列に接続した回路であり、前記第1および第3のスイッチング素子を正側と定義し、前記第2および第4のスイッチング素子を負側と定義してHブリッジ回路を構成し、
前記Hブリッジ回路を入力側と出力側に各々設け、入力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第5および第6のスイッチング素子を逆方向に直列接続し、入力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第7および第8のスイッチング素子を逆方向に直列接続し、
前記第5および第6のスイッチング素子の共通接続点と第7および第8のスイッチング素子の共通接続点の間に還流ダイオードを接続し、前記入力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を入力端子とし、入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点とを中性点とし、前記出力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を出力端子として構成した主単位変換器を備え、
さらに、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を交流入力側に接続して構成した入力補助回路と、
前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を交流出力側に接続して構成した出力補助回路のうち、少なくともいずれか一方を備えたことを特徴とする交流−交流変換装置。
【請求項2】
前記入力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記交流入力側に接続して構成され、
前記出力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記交流出力側に接続して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の交流−交流変換装置。
【請求項3】
前記入力補助回路および出力補助回路のうち少なくともいずれか一方と、前記主単位変換器は各々3相分併設され、3相分の主単位変換器の各中性点どうしはY結線又はデルタ結線で接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の交流−交流変換装置。
【請求項4】
前記主単位変換器の還流ダイオードは第1および第2のダイオードの直列体で構成され、該第1および第2のダイオードの共通接続点は、前記入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と前記出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点のうち、少なくとも一方に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の交流−交流変換装置。
【請求項5】
交流入力電圧を複数レベルの交流出力電圧に変換する交流−交流変換装置であって、
第1および第2のスイッチング素子の直列体と、第1のコンデンサと、第3および第4のスイッチング素子の直列体とを並列に接続した回路であり、前記第1および第3のスイッチング素子を正側と定義し、前記第2および第4のスイッチング素子を負側と定義してHブリッジ回路を構成し、
前記Hブリッジ回路を入力側と出力側に各々設け、入力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第5および第6のスイッチング素子を逆方向に直列接続し、入力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第7および第8のスイッチング素子を逆方向に直列接続し、
前記第5および第6のスイッチング素子の共通接続点と第7および第8のスイッチング素子の共通接続点の間に還流ダイオードを接続し、前記入力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を入力端子とし、入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点とを中性点とし、前記出力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を出力端子として構成した主単位変換器を備え、
さらに、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有した第1入力補助回路であって、該Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、該第1入力補助回路のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続して構成した第1入力補助回路か、
前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有した第1出力補助回路であって、該Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続し、該第1出力補助回路のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続して構成した第1出力補助回路か、
の少なくともいずれか一方を備えたことを特徴とする交流−交流変換装置。
【請求項6】
前記第1入力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続し、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続して構成され、
前記第1出力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続し、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続して構成されていることを特徴とする請求項5に記載の交流−交流変換装置。
【請求項7】
前記第1入力補助回路、前記第1出力補助回路および前記主単位変換器は各々3相分併設され、3相分の主単位変換器の各中性点どうしはY結線又はデルタ結線で接続されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の交流−交流変換装置。
【請求項8】
前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を交流入力側に接続して構成した第2入力補助回路か、
前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を交流出力側に接続して構成した第2出力補助回路か、
の少なくともいずれか一方を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の交流−交流変換装置。
【請求項9】
前記第2入力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記交流入力側に接続して構成され、
前記第2出力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記交流出力側に接続して構成されていることを特徴とする請求項8に記載の交流−交流変換装置。
【請求項10】
前記第1入力補助回路、第1出力補助回路、第2入力補助回路、第2出力補助回路および前記主単位変換器は各々3相分併設され、3相分の主単位変換器の各中性点どうしはY結線又はデルタ結線で接続されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の交流−交流変換装置。
【請求項11】
前記主単位変換器の還流ダイオードは第1および第2のダイオードの直列体で構成され、該第1および第2のダイオードの共通接続点は、前記第1入力補助回路のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と前記第1出力補助回路のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点のうち、少なくとも一方に接続されていることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の交流−交流変換装置。
【請求項12】
前記各Hブリッジ回路のうち、少なくとも1回路は、前記第1のスイッチング素子は第9および第10のスイッチング素子の直列体により構成され、第2のスイッチング素子は第11および第12のスイッチング素子の直列体により構成され、前記第9および第10のスイッチング素子の共通接続点と第11および第12のスイッチング素子の共通接続点の間には第2のコンデンサが接続されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の交流−交流変換装置。
【請求項13】
前記各Hブリッジ回路のうち、少なくとも1回路は、前記第1のコンデンサは第3および第4のコンデンサの直列体により構成され、前記第1および第2のスイッチング素子の共通接続点と前記第3および第4のコンデンサの共通接続点の間には第13および第14のスイッチング素子が直列に接続され、前記第3および第4のコンデンサの共通接続点と前記第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と間には第15および第16のスイッチング素子が直列に接続されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の交流−交流変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流入力電圧を複数レベルの交流出力電圧に変換する交流−交流変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流−交流変換装置の一例として非特許文献1に記載のものが提案されていた。非特許文献1に示されているモジュラーマトリックスコンバータは、三相交流電源R相、S相、T相にリアクトルLを介して単位変換器を入力し、三相交流U相、V相、W相を出力する交流−交流変換器である。
【0003】
図9に、モジュラーマトリックスコンバータに用いる単位変換器を示す。図9において、単位変換器は、4個のスイッチング素子S1〜S4をブリッジ接続し、橋絡点間に1個のコンデンサC1を接続してHブリッジ回路を構成し、そのHブリッジ回路を相毎に多段接続して構成されている。
【0004】
R相、S相、T相の各入力端子に前記Hブリッジ回路をN個カスケード接続し、3相の各最終段のHブリッジ回路の出力をY結線し、その中点を出力端子OUTに接続している。
【0005】
図中のS5〜S8は最終段のスイッチング素子であり、C2は最終段のコンデンサである。
【0006】
図9の単位変換器において、カスケード接続段数N=2の場合でのR端子〜OUT端子間の電圧Vout−Rのレベル数について説明する。コンデンサC1とコンデンサC2の電圧をともにEとする。この時のオンするスイッチング素子とVout−Rとの関係は表1となる。
【0007】
【表1】
【0008】
表1において、スイッチング素子S2、S3、S6、S7がオンするモードではコンデンサC1、C2の電圧が加算されて2Eとなる。
【0009】
またスイッチング素子S1、S3、S6、S7がオンするモード、S2、S4、S6、S7がオンするモード、S2、S3、S5、S7がオンするモード、S2、S3、S6、S8がオンするモードではコンデンサC2又はC1のどちらかのみの電圧が出現するためEとなる。
【0010】
またスイッチング素子S1、S3、S5、S7がオンするモード、S1、S3、S6、S8がオンするモード、S2、S4、S5、S7がオンするモード、S2、S4、S6、S8がオンするモードでは、電流がスイッチング素子のみを通過するため零となる。
【0011】
またスイッチング素子S2、S3、S5、S8がオンするモード、S1、S4、S6、S7がオンするモードではコンデンサC1、C2の電圧が相殺されるため零となる。
【0012】
またスイッチング素子S1、S3、S5、S8がオンするモード、S2、S4、S5、S8がオンするモードではコンデンサC2の電圧のみが出現するため−Eとなる。
【0013】
またスイッチング素子S1、S4、S5、S7がオンするモード、S1、S4、S6、S8がオンするモードではコンデンサC1の電圧のみが出現するため−Eとなる。
【0014】
またスイッチング素子S1、S4、S5、S8がオンするモードではコンデンサC2、C1の電圧が加算されて−2Eとなる。
【0015】
このように、表1より、Vout−Rの電圧レベルは、2E,E,0,−E,−2Eの5レベルである。また、カスケード接続段数=Nの場合では、電圧レベル数=2N+1と表せる。Vout−S、Vout−Tについても同様の電圧レベル数となる。
【0016】
図9の単位変換器を3組用いることにより、図10のように三相交流−三相交流変換器を実現できる。図10は非特許文献1に示されているモジュラーマトリックスコンバータと同じ構成である。
【0017】
ここで、図10における三相交流−三相交流変換器の出力線間電圧Vout−UVの電圧レベルについて説明する。R端子〜OUT−U端子間の電圧=V−UR、R端子〜OUT−V端子間の電圧=V−VRとすると、Vout−UV=V−UR−V−VRと表せる。
【0018】
一方、表1からわかるように、V−URおよびV−VRの電圧レベル数はそれぞれ、2E,E,0,−E,−2Eの(2N+1)レベルである。したがって、出力線間電圧Vout−UVの電圧レベル数は、4E,3E,2E,E,0,−E,−2E,−3E,−4Eの(4N+1)レベルである。
【0019】
他の出力線間電圧Vout−VW,Vout−WU,および入力線間電圧Vin−RS,Vin−ST,Vin−TRの電圧レベルも、同様に(4N+1)レベルとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】宗島正和、他4名、「モジュラーマトリックスコンバータの制御」、平成24年度産業応用部門大会、論文番号1−48,I−237−240、2012年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
図10のようなモジュラーマトリックスコンバータは、Hブリッジ回路をN段カスケード接続した場合に、三相交流−三相交流変換器を実現するためにはコンデンサを9N個必要とする。
【0022】
したがって、コンデンサが変換器に占める体積の割合が大きいため、交流変換器の体積が大きくなるという問題点があった。
【0023】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、コンデンサの個数を低減して装置の小型化を図った交流−交流変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するための請求項1に記載の交流−交流変換装置は、交流入力電圧を複数レベルの交流出力電圧に変換する交流−交流変換装置であって、第1および第2のスイッチング素子の直列体と、第1のコンデンサと、第3および第4のスイッチング素子の直列体とを並列に接続した回路であり、前記第1および第3のスイッチング素子を正側と定義し、前記第2および第4のスイッチング素子を負側と定義してHブリッジ回路を構成し、前記Hブリッジ回路を入力側と出力側に各々設け、入力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第5および第6のスイッチング素子を逆方向に直列に接続し、入力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第7および第8のスイッチング素子を逆方向に直列に接続し、前記第5および第6のスイッチング素子の共通接続点と第7および第8のスイッチング素子の共通接続点の間に還流ダイオードを接続し、前記入力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を入力端子とし、入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点とを中性点とし、前記出力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を出力端子として構成した主単位変換器を備え、さらに、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を交流入力側に接続して構成した入力補助回路と、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を交流出力側に接続して構成した出力補助回路のうち、少なくともいずれか一方を備えたことを特徴としている。
【0025】
また請求項2に記載の交流−交流変換装置は、前記入力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記交流入力側に接続して構成され、前記出力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記交流出力側に接続して構成されていることを特徴としている。
【0026】
また請求項3に記載の交流−交流変換装置は、前記入力補助回路および出力補助回路のうち少なくともいずれか一方と、前記主単位変換器は各々3相分併設され、3相分の主単位変換器の各中性点どうしはY結線又はデルタ結線で接続されていることを特徴としている。
【0027】
また請求項4に記載の交流−交流変換装置は、前記主単位変換器の還流ダイオードは第1および第2のダイオードの直列体で構成され、該第1および第2のダイオードの共通接続点は、前記入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と前記出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点のうち、少なくとも一方に接続されていることを特徴としている。
【0028】
また請求項5に記載の交流−交流変換装置は、交流入力電圧を複数レベルの交流出力電圧に変換する交流−交流変換装置であって、第1および第2のスイッチング素子の直列体と、第1のコンデンサと、第3および第4のスイッチング素子の直列体とを並列に接続した回路であり、前記第1および第3のスイッチング素子を正側と定義し、前記第2および第4のスイッチング素子を負側と定義してHブリッジ回路を構成し、前記Hブリッジ回路を入力側と出力側に各々設け、入力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第3のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第5および第6のスイッチング素子を逆方向に直列接続し、入力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第2および第4のスイッチング素子の共通接続点の間に、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第7および第8のスイッチング素子を逆方向に直列接続し、前記第5および第6のスイッチング素子の共通接続点と第7および第8のスイッチング素子の共通接続点の間に還流ダイオードを接続し、前記入力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を入力端子とし、入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点とを中性点とし、前記出力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を出力端子として構成した主単位変換器を備え、さらに、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有した第1入力補助回路であって、該Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、該第1入力補助回路のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続して構成した第1入力補助回路か、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有した第1出力補助回路であって、該Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続し、該第1出力補助回路のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続して構成した第1出力補助回路かの少なくともいずれか一方を備えたことを特徴としている。
【0029】
また請求項請求項6に記載の交流−交流変換装置は、前記第1入力補助回路のHブリッジ回路は、1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続し、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力側Hブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続して構成され、前記第1出力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の中性点に接続し、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力側Hブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続して構成されていることを特徴としている。
【0030】
また請求項7に記載の交流−交流変換装置は、前記第1入力補助回路、前記第1出力補助回路および前記主単位変換器は各々3相分併設され、3相分の主単位変換器の各中性点どうしはY結線又はデルタ結線で接続されていることを特徴としている。
【0031】
また請求項8に記載の交流−交流変換装置は、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を交流入力側に接続して構成した第2入力補助回路か、前記Hブリッジ回路と同一に構成されたHブリッジ回路を有し、該Hブリッジ回路の、第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を交流出力側に接続して構成した第2出力補助回路かの少なくともいずれか一方を備えたことを特徴としている。
【0032】
また請求項9に記載の交流−交流変換装置は、前記第2入力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の入力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記交流入力側に接続して構成され、前記第2出力補助回路のHブリッジ回路は1個又は複数個設けられ、複数個設けられた場合は、初段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点を前記主単位変換器の出力端子に接続し、初段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続し、次段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を次々段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点へと順次接続し、最終段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点を前記交流出力側に接続して構成されていることを特徴としている。
【0033】
また請求項10に記載の交流−交流変換装置は、前記第1入力補助回路、第1出力補助回路、第2入力補助回路、第2出力補助回路および前記主単位変換器は各々3相分併設され、3相分の主単位変換器の各中性点どうしはY結線又はデルタ結線で接続されていることを特徴としている。
【0034】
また請求項11に記載の交流−交流変換装置は、前記主単位変換器の還流ダイオードは第1および第2のダイオードの直列体で構成され、該第1および第2のダイオードの共通接続点は、前記第1入力補助回路のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と前記第1出力補助回路のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点のうち、少なくとも一方に接続されていることを特徴としている。
【0035】
また請求項12に記載の交流−交流変換装置は、前記各Hブリッジ回路のうち、少なくとも1回路は、前記第1のスイッチング素子は第9および第10のスイッチング素子の直列体により構成され、第2のスイッチング素子は第11および第12のスイッチング素子の直列体により構成され、前記第9および第10のスイッチング素子の共通接続点と第11および第12のスイッチング素子の共通接続点の間には第2のコンデンサが接続されていることを特徴としている。
【0036】
また請求項13に記載の交流−交流変換装置は、前記各Hブリッジ回路のうち、少なくとも1回路は、前記第1のコンデンサは第3および第4のコンデンサの直列体により構成され、前記第1および第2のスイッチング素子の共通接続点と前記第3および第4のコンデンサの共通接続点の間には第13および第14のスイッチング素子が直列に接続され、前記第3および第4のコンデンサの共通接続点と前記第3および第4のスイッチング素子の共通接続点と間には第15および第16のスイッチング素子が直列に接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、従来方式の装置に比較してコンデンサの個数を低減することができ、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施例1の単位変換器の構成図。
図2】本発明の実施例2の三相交流−三相交流変換器の構成図。
図3】本発明の実施例3の三相交流−三相交流変換器の構成図。
図4】本発明の実施例4の変換器の例を示す回路図。
図5】本発明の実施例1〜4における変形例を示す回路図。
図6】本発明の実施例5の単位変換器の構成図。
図7】本発明の実施例6の単位変換器の構成図。
図8】本発明の実施例5、6における変形例を示す回路図。
図9】従来のモジュラーマトリックスコンバータの単位変換器の構成図。
図10】従来の三相交流−三相交流変換器の一例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。本実施形態では、モジュラーマトリックスコンバータに着目して、スイッチ数を増加させてコンデンサ数を低減する回路方式とし、これにより、電力変換装置の体積を低減し小型化を図った。
【実施例1】
【0040】
図1は、本実施例1の単位変換器の構成を示している。図1の単位変換器は、主単位変換器100と、その入力側に設けた入力補助回路101と、出力側に設けた出力補助回路102とを備えている。
【0041】
Bmiは入力側Hブリッジ回路であり、第1および第2のスイッチング素子S1,S2の直列回路と、コンデンサC1(第1のコンデンサ)と、第3および第4のスイッチング素子S3,S4の直列回路とを並列に接続して構成されている。
【0042】
Bmoは出力側Hブリッジ回路であり、第1および第2のスイッチング素子S9,S10の直列回路と、コンデンサC2(第1のコンデンサ)と、第3および第4のスイッチング素子S11,S12の直列回路とを並列に接続して構成されている。
【0043】
前記スイッチング素子S1およびS3の共通接続点とスイッチング素子S9およびS11の共通接続点との間には、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第5および第6のスイッチング素子S5,S7が逆方向に直列に接続されている。
【0044】
前記スイッチング素子S2およびS4の共通接続点とスイッチング素子S10およびS12の共通接続点との間には、互いに逆方向に流れる電流をオン・オフ制御する第7および第8のスイッチング素子S6,S8が逆方向に直列に接続されている。
【0045】
前記スイッチング素子S5,S7の共通接続点とスイッチング素子S6,S8の共通接続点の間には図示極性のダイオードD1,D2(還流ダイオード)が直列に接続されている。
【0046】
前記入力側Hブリッジ回路Bmiのスイッチング素子S1,S2の共通接続点は主単位変換器100の入力端とされ、出力側Hブリッジ回路Bmoのスイッチング素子S11,S12の共通接続点は主単位変換器100の出力端とされている。
【0047】
前記スイッチング素子S3,S4の共通接続点とスイッチング素子S9,S10の共通接続点とダイオードD1,D2の共通接続点は、中性点MPに接続されている。
【0048】
前記スイッチング素子S5〜S8はコンデンサC2の電圧を制御するために設けられたもので、その接続は、スイッチング素子が例えばIGBTの場合、S5とS7の接続はエミッタ同士が接続され、S6とS8はコレクタ同士が接続されている。すなわち、Hブリッジ回路Bmi−Bo間を流れる電流は、スイッチング素子S5〜S8の何れかの制御信号によってオン・オフ制御が可能となるように接続されている。
【0049】
入力補助回路101の入力補助回路側Hブリッジ回路Bsiは前記Hブリッジ回路Bmi,Bmoと同様に、第1および第2のスイッチング素子S13,S14の直列回路と、コンデンサC3(第1のコンデンサ)と、第3および第4のスイッチング素子S15,S16の直列回路とを並列に接続して構成されている。
【0050】
入力補助回路側Hブリッジ回路BsiはN−1個(Nは2以上の正数)カスケード接続され、初段(最も主単位変換器100寄り)のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子(図示S15およびS16)の共通接続点を前記主単位変換器100の入力端であるスイッチング素子S1,S2の共通接続点に接続し、最終段のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子(図示S13およびS14)の共通接続点を交流入力端子INに接続している。
【0051】
出力補助回路側Hブリッジ回路BsoはN−1個(Nは2以上の正数)カスケード接続され、初段(最も主単位変換器100寄り)のHブリッジ回路の第1および第2のスイッチング素子(図示省略)の共通接続点を、前記主単位変換器100の出力端であるスイッチング素子S11,S12の共通接続点に接続し、最終段のHブリッジ回路の第3および第4のスイッチング素子(図示省略)の共通接続点を交流出力端子OUTに接続している。
【0052】
尚、図1では入力補助回路101と出力補助回路102を両方設けているが、これに限らずいずれか一方のみを設けるように構成してもよい。また、入力補助回路101と出力補助回路102の個数は、例えば入力補助回路数=1、出力補助回路数=Nのように任意に決定されるものである。
【0053】
図1の主単位変換器100は3レベルの相電圧を出力でき、入力補助回路101又は出力補助回路102の少なくともいずれか一方のHブリッジ回路をN−1個追加し、各コンデンサ(C1,C2,C3)の電圧をそれぞれEに制御することで、MP端子〜OUT端子間の電圧VOUT、および、MP端子〜IN端子間の電圧VINの電圧レベル数を2N+1レベルに増加することができる。
【0054】
例として、N=2(入力補助回路のHブリッジ回路数=1)の場合のMP端子〜IN端子間の電圧VINの電圧レベル数について説明する。次の表2に、スイッチング素子のON/OFF状態時におけるVINを示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2において、スイッチング素子S1、S4、S13、S16がオンするモードではコンデンサC1、C3の電圧が加算されて2Eとなる。
【0057】
またスイッチング素子S1、S4、S13、S15がオンするモード、S1、S4、S14、S16がオンするモード、S1、S3、S13、S16がオンするモード、S2、S4、S13、S16がオンするモードではコンデンサC3又はC1のどちらかのみの電圧が出現するためEとなる。
【0058】
またスイッチング素子S1、S3、S13、S15がオンするモード、S1、S3、S14、S16がオンするモード、S2、S4、S13、S15がオンするモード、S2、S4、S14、S16がオンするモードでは、電流がスイッチング素子のみを通過するため零となる。
【0059】
またスイッチング素子S1、S4、S14、S15がオンするモード、S2、S3、S13、S16がオンするモードではコンデンサC1、C3の電圧が相殺されるため零となる。
【0060】
またスイッチング素子S1、S3、S14、S15がオンするモード、S2、S4、S14、S15がオンするモードではコンデンサC3の電圧のみが出現するため−Eとなる。
【0061】
またスイッチング素子S2、S3、S13、S15がオンするモード、S2、S3、S14、S16がオンするモードではコンデンサC1の電圧のみが出現するため−Eとなる。
【0062】
またスイッチング素子S2、S3、S14、S15がオンするモードではコンデンサC3、C1の電圧が加算されて−2Eとなる。
【0063】
表2からわかるように、VINの電圧レベルは、2E,E,0,−E,−2Eの5種類である。補助回路のHブリッジ回路数=1は、N=2と等価であるので、上記の電圧レベル数2N+1と適合している。尚、MP端子〜OUT端子間の電圧VOUTについても前記と同様の動作となる。
【0064】
電圧レベル数=2N+1の条件でのコンデンサの個数を比較すると、本発明の実施例1の単位変換器では2Nである。一方、従来の図9の単位変換器でのコンデンサの個数は3Nである。このように本実施例1では、図9の従来回路と比べてコンデンサの個数が低減されている。
【0065】
また、入力補助回路101のHブリッジ回路Bsiの個数と出力補助回路102のHブリッジ回路Bsoの個数は必ずしも同一である必要はない。入力補助回路101と出力補助回路102の各Hブリッジ回路の個数を変えることにより、入力(IN)と出力(OUT)の電圧レベル数を任意に変更することが可能となる。
【実施例2】
【0066】
図1の単位変換器を3組用い、三相交流電源R相、S相、T相をリアクトルLを介して各単位変換器に入力し、三相交流U相、V相、W相を出力し、Y結線の中性点を3組の単位変換器で接続することにより、交流−交流変換器を実現できる。
【0067】
本実施例2では、実施例1においてN=2としたときの単位変換器を3組用い、各相の中性点MPでスター結線して図2の三相交流−三相交流変換器を構成した。
【0068】
図2において、図1と同一部分は同一符号をもって示している。図2において、3相各相の単位変換器は1相分のみを代表して示しており、図1の単位変換器と同様に構成されている。
【0069】
3相の各単位変換器の入力側は配電網Grid(交流電源側)に接続され、中性点MPどうしは共通に接続され、出力側は負荷RLに接続されている。
【0070】
尚、出力補助回路側Hブリッジ回路Bsoは、第1および第2のスイッチング素子S17,S18の直列回路と、コンデンサC4(第1のコンデンサ)と、第3および第4のスイッチング素子S19,S20の直列回路とを並列に接続して構成されている。
【0071】
また、前記各スイッチング素子S1〜S20のオン・オフ制御は図1と同様になされる。
【0072】
図2の回路構成では、入力と出力の相電圧(MPを基準点とする)を5レベルとすることができる。また、このときの入力線間電圧および出力線間電圧は、5レベルの2つの相電圧同士の減算となるため、9レベルとなる。
【0073】
入出力線間電圧レベル数=9の条件でのコンデンサの個数を比較すると、本実施例2の三相交流−三相交流変換器ではコンデンサの個数は12である。一方図10の従来の三相交流−三相交流変換器のコンデンサの個数は18である。このように、本実施例2では、図10の従来回路と比べて、コンデンサの個数を低減できる。
【実施例3】
【0074】
本実施例3では、図3に示すように、実施例2における各単位変換器の、入力補助回路側Hブリッジ回路BsiをN−1個(Bsi1〜Bsiz)設け、出力補助回路側Hブリッジ回路BsoをN−1個(Bso1〜Bsoz)設けて三相交流−三相交流変換器を構成した。
【0075】
図3において図2と同一部分は同一符号をもって示している。図3において、N−1個の入力補助回路側Hブリッジ回路Bsi1〜Bsizはカスケード接続され、初段のHブリッジ回路Bsi1の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点は入力側Hブリッジ回路Bmiのスイッチング素子S1,S2の共通接続点に接続され、初段のHブリッジ回路Bsi1の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点は次段のHブリッジ回路Bsi2の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点に接続され、同様に順次接続されて、最終段のHブリッジ回路Bsizの第1および第2のスイッチング素子の共通接続点は交流入力側に接続されている。
【0076】
N−1個の出力補助回路側Hブリッジ回路Bso1〜Bsozはカスケード接続され、初段のHブリッジ回路Bso1の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点は出力側Hブリッジ回路Bmoのスイッチング素子S11,S12の共通接続点に接続され、初段のHブリッジ回路Bso1の第3および第4のスイッチング素子の共通接続点は次段のHブリッジ回路Bso2の第1および第2のスイッチング素子の共通接続点に接続され、同様に順次接続されて、最終段のHブリッジ回路Bsozの第3および第4のスイッチング素子の共通接続点は交流出力側(負荷側)に接続されている。
【0077】
図3におけるその他の部分は図2と同様に構成され、図2と同様の動作となる。
【0078】
入出力相電圧レベル数=2N+1、つまり入出力線間電圧レベル数=4N+1の条件でのコンデンサの個数を比較すると、本実施例3の三相交流−三相交流変換器ではコンデンサの個数は6Nである。
【0079】
一方、図10の従来の三相交流−三相交流変換器のコンデンサの個数は9Nである。このように本実施例3では、図10の従来回路と比べて、コンデンサの個数を低減できる。
【0080】
尚、図3の中性点MPでの結線は、スター結線だけでなくデルタ結線などを用いることも可能である。
【0081】
また、入力補助回路側Hブリッジ回路および出力補助回路側Hブリッジ回路の個数は、例えば入力補助回路側Hブリッジ回路数=1、出力補助回路側Hブリッジ回路数=Nのように任意に決定されるものである。
【実施例4】
【0082】
本実施例4では、図3の主単位変換器100、入力補助回路101および出力補助回路102内の各Hブリッジ回路Bmi,Bmo,Bsi1〜Bsiz,Bso1〜Bsozを、図4(a)もしくは図4(b)に示す変換器に置き換えて構成した。
【0083】
図4(a)の変換器(Hブリッジ回路)は、第1のスイッチング素子に相当する第9および第10のスイッチング素子S21,S22の直列体と、第2のスイッチング素子に相当する第11および第12のスイッチング素子S23,S24の直列体とを直列接続した回路と、第1のコンデンサC1と、第3および第4のスイッチング素子S3,S4を直列接続した回路とを並列に接続し、前記スイッチング素子S21、S22の共通接続点とS23,S24の共通接続点との間に第2のコンデンサC5を接続し、スイッチング素子S22,S23の共通接続点を入力側の端子Aとし、スイッチング素子S3,S4の共通接続点を端子Bとしている。
【0084】
図4(b)の変換器(Hブリッジ回路)は、第1および第2のスイッチング素子S1,S2を直列接続した回路と、第1のコンデンサに相当する、コンデンサC6(第3のコンデンサ)およびコンデンサC7(第4のコンデンサ)の直列体と、第3および第4のスイッチング素子S3,S4を直列接続した回路とを並列に接続し、前記スイッチング素子S1、S2の共通接続点とコンデンサC6,C7の共通接続点との間に第13および第14のスイッチング素子S25,S26を互いに逆方向に直列に接続し、コンデンサC6,C7の共通接続点とスイッチング素子S3,S4の共通接続点の間に、第15および第16のスイッチング素子S27,S28を互いに逆方向に直列に接続し、スイッチング素子S1,S2の共通接続点を入力側の端子Aとし、スイッチング素子S3,S4の共通接続点を端子Bとしている。
【0085】
図3の三相交流−三相交流変換器において、図4(a)の変換器を適用し、入力補助回路数=出力補助回路数=1とした場合の、入力相電圧および出力相電圧の電圧レベルについて説明する。
【0086】
図4(a)の変換器は、コンデンサC5の印加電圧=E、コンデンサC1の印加電圧=2Eに制御可能である。この場合、スイッチング素子S3,S4,S21〜S24のオン、オフ動作によって、端子Aと端子B間の電圧は、2E,E,0,−E,−2Eの5レベルとなる。
【0087】
主単位変換器100および入、出力の補助回路101,102に図4(a)の変換器を適用している場合、入力端子INとMP間の電圧レベルは、4E,3E,2E,E,0,−E,−2E,−3E,−4Eの9レベルとなる。
【0088】
出力側も同様の構成をとると、出力端子OUTとMP間の電圧レベルも9レベルとなる。したがって、入力線間電圧および出力線間電圧の電圧レベルは、8E,7E,6E,5E,4E,3E,2E,E,0,−E,−2E,−3E,−4E,−5E,−6E,−7E,−8Eの17レベルである。
【0089】
またこのときの1相あたりのコンデンサ数=8個であるので、三相交流−三相交流変換器では、8×3=24個のコンデンサ数で17レベルの電圧が可能となる。
【0090】
また図3の三相交流−三相交流変換器において、図4(b)の変換器を適用し、入力補助回路数=出力補助回路数=1とした場合、図4(b)の変換器は、コンデンサC6の印加電圧=E、コンデンサC7の印加電圧=Eに制御可能である。 この場合、スイッチング素子S1〜S4,S25〜S28のオン、オフ動作によって、端子Aと端子B間の電圧は、2E,E,0,−E,−2Eの5レベルとなる。したがって、三相交流−三相交流変換器の入力線間電圧および出力線間電圧の電圧レベルは、上述の図4(a)の変換器の適用時と同じく17レベルである。またコンデンサの個数も同じく24個である。
【0091】
一方、図10の従来方式で入力線間電圧および出力線間電圧の電圧レベル数=17の場合、カスケード接続段数N=4となる。このときの三相交流−三相交流変換器のコンデンサの個数は4×3×3=36個である。したがって、本実施例4では、図10の従来回路と比べて、コンデンサの個数を低減できる。
【0092】
尚、上記実施例1〜実施例4において、主単位変換器100は図5(b)〜(d)のように構成してもよい。
【0093】
図5は主単位変換器100の種別を示しており、図5(a)は入力側Hブリッジ回路Bmiの中性点MP1と出力側Hブリッジ回路Bmoの中性点MP2を共通とした回路構成であり、図1の構成と同じである。
【0094】
図5(b)は前記中性点MP1,MP2を各々個別に接続し、出力側Hブリッジ回路Bmoの中性点を還流ダイオードD1,D2でクランプした構成である。
【0095】
図5(c)は前記中性点MP1,MP2を各々個別に接続し、入力側Hブリッジ回路Bmiの中性点を還流ダイオードD1,D2でクランプした構成である。
【0096】
図5(d)は前記中性点MP1,MP2を各々個別に接続し、各中性点を還流ダイオードでクランプしない(1個のダイオードD1のみを接続した)構成である。
【0097】
図5(b),(c),(d)の主単位変換器を三相交流−三相交流変換器に適用する場合は、MP1端子どうしをスター結線もしくはデルタ結線とし、MP2端子どうしをスター結線もしくはデルタ結線とする。
【0098】
また、図5(b),(c),(d)に示す主単位変換器内のHブリッジBmi,Bmoは、図4(a),(b)の回路に置き換えてもよい。
【実施例5】
【0099】
図6は本実施例5の単位変換器の構成を示している。本実施例5では、実施例1(図1)における入力補助回路101、出力補助回路102を除去し、主単位変換器100の中性点MP(図6では中性点端子C)と入力側Hブリッジ回路Bmiの間に第1入力補助回路111を接続し、中性点端子Cと出力側Hブリッジ回路Bmoの間に第1出力補助回路112を接続して構成した。入力側Hブリッジ回路Bmiの入力端子をA、出力側Hブリッジ回路Bmoの出力端子をBとしており、その他の部分は実施例1(図1)と同一に構成されている。
【0100】
第1入力補助回路111および第1出力補助回路112は、前記Hブリッジ回路Bmiと同様に、第1および第2のスイッチング素子S1、S2の直列回路と、コンデンサC1と第3および第4のスイッチング素子S3、S4の直列回路とを並列に接続して構成したHブリッジ回路を各々備えている。
【0101】
第1入力補助回路側Hブリッジ回路Bs1IはN−1個(Nは2以上の正数)カスケード接続され、初段のHブリッジ回路Bs1I1の第3および第4のスイッチング素子S3,S4の共通接続点を主単位変換器100の中性点Cに接続し、最終段のHブリッジ回路Bs1IZの第1および第2のスイッチング素子S1、S2の共通接続点を入力側Hブリッジ回路Bmiの第3および第4のスイッチング素子S3、S4の共通接続点に接続している。
【0102】
第1出力補助回路側Hブリッジ回路Bs1OはN−1個(Nは2以上の正数)カスケード接続され、初段のHブリッジ回路Bs1O1の第1および第2のスイッチング素子S1,S2の共通接続点を主単位変換器100の中性点Cに接続し、最終段のHブリッジ回路Bs1OZの第3および第4のスイッチング素子S3、S4の共通接続点を出力側Hブリッジ回路Bmoの第1および第2のスイッチング素子S1、S2の共通接続点に接続している。
【0103】
図6の回路は、各Hブリッジ回路Bmi、Bs1I1〜Bs1IZ、Bs1O1〜Bs1OZ、Bmoの各コンデンサ電圧を充放電することで電圧の加減算を行い、端子Cを基準として端子Aおよび端子Bに多レベルの電圧を出力できる回路構成となっている。
【0104】
第1入力補助回路111と第1出力補助回路112のHブリッジ回路の個数を共に(N−1)(Nは2以上)とし、C1、C2を含むそれぞれのコンデンサの電圧をEとすると、2N+1レベルの電圧を端子C−A間、端子C−B間に各々発生させることができる。
【0105】
電圧レベル数=2N+1の条件でのコンデンサの個数を比較すると、本発明の実施例5の単位変換器では2Nである。一方、従来の図9の単位変換器でのコンデンサの個数は3Nである。このように本実施例5では、図9の従来回路と比べてコンデンサの個数が低減されている。
【0106】
また、第1入力補助回路111および第1出力補助回路112の個数は、例えば第1入力補助回路数=1、第1出力補助回路数=0のように任意に決定されるものである。
【0107】
また、第1入力補助回路111と第1出力補助回路112の各Hブリッジ回路の個数は、例えば第1入力補助回路のHブリッジ回路数=1、第1出力補助回路のHブリッジ回路数=Nのように任意に決定されるものである。
【実施例6】
【0108】
図7は本実施例6の単位変換器の構成を示している。本実施例6では、実施例5(図6)の主単位変換器100、第1入力補助回路111、第1出力補助回路112の構成に、さらに、第2入力補助回路121、第2出力補助回路122を設けて構成した。
【0109】
第2入力補助回路121および第2出力補助回路122は、前記Hブリッジ回路Bmiと同様に、第1および第2のスイッチング素子S1、S2の直列回路と、コンデンサC1と第3および第4のスイッチング素子S3、S4の直列回路とを並列に接続して構成したHブリッジ回路を各々備えている。
【0110】
第2入力補助回路側Hブリッジ回路Bs2IはN−1個(Nは2以上の正数)カスケード接続され、初段のHブリッジ回路Bs2I1の第3および第4のスイッチング素子S3,S4の共通接続点を入力側Hブリッジ回路Bmiの第1および第2のスイッチング素子S1、S2の共通接続点に接続し、最終段のHブリッジ回路Bs2IZの第1および第2のスイッチング素子S1、S2の共通接続点を入力端子Aに接続している。
【0111】
第2出力補助回路側Hブリッジ回路Bs2OはN−1個(Nは2以上の正数)カスケード接続され、初段のHブリッジ回路Bs2O1の第1および第2のスイッチング素子S1,S2の共通接続点を出力側Hブリッジ回路Bmoの第3および第4のスイッチング素子S11、S12の共通接続点に接続し、最終段のHブリッジ回路Bs2OZの第3および第4のスイッチング素子S3、S4の共通接続点を出力端子Bに接続している。
【0112】
図7の回路は、各Hブリッジ回路Bs2I1〜Bs2IZ、Bmi、Bs1I1〜Bs1IZ、Bs1O1〜Bs1OZ、Bmo、Bs2O1〜Bs2OZの各コンデンサ電圧を充放電することで電圧の加減算を行い、端子Cを基準として端子Aおよび端子Bに多レベルの電圧を出力できる回路構成となっている。
【0113】
第1入力補助回路111および第2入力補助回路121と、第1出力補助回路112および第2出力補助回路122のHブリッジ回路の個数を共に(N−1)(Nは3以上)とし、C1、C2を含むそれぞれのコンデンサの電圧をEとすると、2N+1レベルの電圧を端子C−A間、端子C−B間に各々発生させることができる。
【0114】
電圧レベル数=2N+1の条件でのコンデンサの個数を比較すると、本発明の実施例6の単位変換器では2Nである。一方、従来の図9の単位変換器でのコンデンサの個数は3Nである。このように本実施例6では、図9の従来回路と比べてコンデンサの個数が低減されている。
【0115】
また、第1入力補助回路111、第2入力補助回路121、第1出力補助回路112および第2出力補助回路122の各Hブリッジ回路の個数は、例えば第1入力補助回路数=1、第2入力補助回路数=1、第1出力補助回路数=0、第2出力補助回路数=1のようにしてもよく、また例えば第1入力補助回路数=0、第2入力補助回路数=N、第1出力補助回路数=1、第2出力補助回路数=Nのように、任意に決定してよい。
【実施例7】
【0116】
本実施例7では、実施例5(図6)又は実施例6(図7)の単位変換器を3組併設し、図3と同様に三相交流電源R相、S相、T相をリアクトルLを介して各単位変換器の入力端子Aに入力し、三相交流U相、V相、W相を出力端子Bから出力し、3組の単位変換器の各中性点端子CどうしをY結線又はデルタ結線で接続して三相交流−三相交流変換器を構成した。このように三相交流−三相交流変換器を構成した場合も、前記と同様に、従来回路よりもコンデンサの個数が低減される。
【実施例8】
【0117】
本実施例8では、図6図7の主単位変換器100、第1入力補助回路111、第2入力補助回路121、第1出力補助回路112、第2出力補助回路122内の各Hブリッジ回路Bmi、Bmo、Bs1I1〜Bs1IZ、Bs2I1〜Bs2IZ、Bs1O1〜Bs1OZ、Bs2O1〜Bs2OZを、図4(a)もしくは図4(b)に示す変換器に置き換えて構成した。
【0118】
図6の変換器において、図4(a)の変換器を適用し、入力補助回路数=出力補助回路数=1とした場合の、入力相電圧および出力相電圧の電圧レベルについて説明する。
【0119】
図4(a)の変換器は、コンデンサC5の印加電圧=E、コンデンサC1の印加電圧=2Eに制御可能である。この場合、スイッチング素子S3,S4,S21〜S24のオン、オフ動作によって、端子Aと端子B間の電圧は、2E,E,0,−E,−2Eの5レベルとなる。
【0120】
主単位変換器100および入、出力の補助回路111,112に図4(a)の変換器を適用している場合、入力端子Aと中性点端子C間の電圧レベルは、4E,3E,2E,E,0,−E,−2E,−3E,−4Eの9レベルとなる。
【0121】
出力側も同様の構成をとると、出力端子Bと中性点端子C間の電圧レベルも9レベルとなる。この構成を実施例7の三相交流−三相交流変換器に適用する場合を考える。この場合、入力線間電圧および出力線間電圧の電圧レベルは、8E,7E,6E,5E,4E,3E,2E,E,0,−E,−2E,−3E,−4E,−5E,−6E,−7E,−8Eの17レベルである。
【0122】
またこのときの1相あたりのコンデンサ数=8個であるので、三相交流−三相交流変換器では、8×3=24個のコンデンサ数で17レベルの電圧が可能となる。
【0123】
また図6の変換器において、図4(b)の変換器を適用し、入力補助回路数=出力補助回路数=1とした場合、図4(b)の変換器は、コンデンサC6の印加電圧=E、コンデンサC7の印加電圧=Eに制御可能である。 この場合、スイッチング素子S1〜S4,S25〜S28のオン、オフ動作によって、端子Aと端子B間の電圧は、2E,E,0,−E,−2Eの5レベルとなる。したがって、三相交流−三相交流変換器の入力線間電圧および出力線間電圧の電圧レベルは、上述の図4(a)の変換器の適用時と同じく17レベルである。またコンデンサの個数も同じく24個である。
【0124】
一方、図10の従来方式で入力線間電圧および出力線間電圧の電圧レベル数=17の場合、カスケード接続段数N=4となる。このときの三相交流−三相交流変換器のコンデンサの個数は4×3×3=36個である。したがって、本実施例8では、図10の従来回路と比べて、コンデンサの個数を低減できる。
【0125】
尚、上記実施例5〜実施例8において、主単位変換器100は図8(b)〜(d)のように構成してもよい。
【0126】
図8は主単位変換器100の種別を示しており、図8(a)は中性点Cを共通とした回路構成であり、図6の構成と同じである。
【0127】
図8(b)は中性点Ci、Coを各々個別に接続し、第1出力補助回路側Hブリッジ回路Bs1O1の中性点Coを還流ダイオードD1,D2でクランプした構成である。
【0128】
図8(c)は中性点Ci、Coを各々個別に接続し、第1入力補助回路側Hブリッジ回路Bs1I1の中性点Ciを還流ダイオードD1,D2でクランプした構成である。
【0129】
図8(d)は中性点Ci、Coを各々個別に接続し、各中性点を還流ダイオードでクランプしない(1個のダイオードD1のみを接続した)構成である。
【0130】
図8(b),(c),(d)の主単位変換器を三相交流−三相交流変換器に適用する場合は、Ci端子どうしをスター結線もしくはデルタ結線とし、Co端子どうしをスター結線もしくはデルタ結線とする。
【0131】
また、第1入力補助回路側Hブリッジ回路Bs1I1〜Bs1IZ、第2入力補助回路側Hブリッジ回路Bs2I1〜Bs2IZの個数と、第1出力補助回路側Hブリッジ回路Bs1O1〜Bs1OZ、第2出力補助回路側Hブリッジ回路Bs2O1〜Bs2OZの個数は必ずしも同一である必要はない。これら入力補助回路側と出力補助回路側の各Hブリッジ回路の個数を変えることにより、入力(A)と出力(B)の電圧レベル数を任意に変更することが可能となる。
【符号の説明】
【0132】
100…主単位変換器
101…入力補助回路
102…出力補助回路
111…第1入力補助回路
112…第1出力補助回路
121…第2入力補助回路
122…第2出力補助回路
Bmi…入力側Hブリッジ回路
Bmo…出力側Hブリッジ回路
Bsi,Bsi1〜Bsiz…入力補助回路側Hブリッジ回路
Bso,Bso1〜Bsoz…出力補助回路側Hブリッジ回路
Bs1I1〜Bs1IZ…第1入力補助回路側Hブリッジ回路
Bs1O1〜Bs1OZ…第1出力補助回路側Hブリッジ回路
Bs2I1〜Bs2IZ…第2入力補助回路側Hブリッジ回路
Bs2O1〜Bs2OZ…第2出力補助回路側Hブリッジ回路
C1〜C7…コンデンサ
D1,D2…還流ダイオード
S1〜S28…スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10