(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
変速機と、前記変速機を収容するケースと、複数の摩擦係合プレートおよび該複数の摩擦係合プレートを押圧するピストンを有すると共に前記変速機の何れかの回転要素を前記ケースに回転不能に固定するブレーキとを含む動力伝達装置において、
前記変速機の径方向に延びる環状壁部と、該環状壁部から前記変速機の軸方向に延出されると共に前記複数の摩擦係合プレートの一部を回転不能に支持するドラム部と、前記環状壁部から前記複数の摩擦係合プレートとは反対側に向けて前記軸方向に延出されると共に前記動力伝達装置に含まれる他の回転要素を回転自在に支持するボス部とを含み、前記ケースに固定される支持部材を備え、
前記支持部材の前記環状壁部には、該環状壁部よりも前記複数の摩擦係合プレート側の第1空間と、前記環状壁部よりも前記他の回転要素側の第2空間とを連通させるように貫通孔が形成され、
前記貫通孔の前記第1空間側の開口は、前記摩擦係合プレートよりも径方向内側に位置すると共に、前記貫通孔の前記第2空間側の開口は、前記他の回転要素よりも下方に位置することを特徴とする動力伝達装置。
前記支持部材の前記環状壁部は、前記ドラム部の径方向内側で前記軸方向に延在すると共に外周面により前記ピストンを支持する環状のピストン支持部と、前記ピストン支持部の前記外周面よりも径方向内側に形成された集油部とを有し、
前記貫通孔の前記第1空間側の開口は、前記集油部と連通することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
前記他の回転部材は、軸受を介して前記ボス部の外周面により支持され、前記ボス部は前記軸受に潤滑油を供給する潤滑孔を有し、前記潤滑孔には、前記ボス部の径方向内側から前記潤滑油が供給されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の動力伝達装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の動力伝達装置では、例えばセンタサポートとカウンタドライブギヤとの間に配置される軸受に供給される潤滑・冷却用の作動油の一部等が当該センタサポートの表面を伝って上記ブレーキドラムの内側へと流れ込み、ブレーキの複数の摩擦係合プレートの間に流入することがある。そして、摩擦係合プレート同士の間に作動油が比較的多く介在すると、ブレーキの非係合時に、複数の摩擦係合プレート間で発生する引き摺りトルクが大きくなり、動力伝達装置で発生する損失が大きくなってしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、変速機の回転要素を回転不能に固定するブレーキの非係合時における引き摺りトルクの発生をより良好に抑制し、動力伝達装置で発生する損失をより低減させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による動力伝達装置は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0007】
本発明による動力伝達装置は、
変速機と、前記変速機を収容するケースと、複数の摩擦係合プレートおよび該複数の摩擦係合プレートを押圧するピストンを有すると共に前記変速機の何れかの回転要素を前記ケースに回転不能に固定するブレーキとを含む動力伝達装置において、
前記変速機の径方向に延びる環状壁部と、該環状壁部から前記変速機の軸方向に延出されると共に前記複数の摩擦係合プレートの一部を回転不能に支持するドラム部とを含み、前記ケースに固定されて前記動力伝達装置に含まれる他の回転要素を回転自在に支持する支持部材を備え、
前記支持部材の前記環状壁部は、前記ドラム部の内径側で前記軸方向に延在すると共に前記ピストンを支持する環状のピストン支持部と、前記ピストン支持部の内径側から外径側に窪むように該ピストン支持部に形成された集油部とを有し、
前記環状壁部には、該環状壁部を介して前記集油部と反対側に位置する空間と該集油部とを連通させるように貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0008】
この動力伝達装置は、複数の摩擦係合プレートおよび複数の摩擦係合プレートを押圧するピストンを有すると共に、変速機の何れかの回転要素を当該変速機を収容するケースに回転不能に固定するブレーキと、ケースに固定されて動力伝達装置に含まれる他の回転要素を回転自在に支持する支持部材とを備える。また、支持部材は、変速機の径方向に延びる環状壁部と、当該環状壁部から変速機の軸方向に延出されると共に複数の摩擦係合プレートの一部を回転不能に支持するドラム部とを含み、当該支持部材の環状壁部は、ドラム部の内径側(内側)で上記軸方向に延在すると共にブレーキのピストンを支持する環状のピストン支持部と、ピストン支持部の内径側から外径側に窪むように当該ピストン支持部に形成された集油部とを有する。更に、環状壁部には、当該環状壁部を介して集油部と反対側に位置する空間と当該集油部とを連通させるように貫通孔が形成されている。これにより、支持部材の環状壁部の表面やピストン支持部の内周面を伝う作動油を当該ピストン支持部に形成された集油部に集めると共に、当該環状壁部に形成された貫通孔を介してドラム部の外へと排出することができる。この結果、環状壁部の表面を伝った作動油がドラム部の内側すなわち複数の摩擦係合プレート側へと流れ込み、ブレーキの非係合時に複数の摩擦係合プレートの間に流入するのをより良好に抑制することが可能となる。従って、この動力伝達装置では、変速機の何れかの回転要素を当該変速機を収容するケースに回転不能に固定するブレーキの非係合時における引き摺りトルクの発生をより良好に抑制し、動力伝達装置で発生する損失をより低減させることができる。
【0009】
また、前記ブレーキは、前記ピストンを付勢するリターンスプリングと、前記リターンスプリングを支持すると共に前記支持部材に固定されるスプリング支持部材とを有してもよく、前記スプリング支持部材は、前記リターンスプリングの一端を支持する環状支持部と、該環状支持部から前記貫通孔と間隔をおいて対向するように延出された集油壁とを有してもよい。これにより、支持部材の環状壁部のブレーキ側の表面やピストン支持部の内周面を伝う作動油をより良好に集油部に流入させると共に、集油部に流れ込んだ作動油が複数の摩擦係合プレート側に流出するのを集油壁により規制にすることができる。この結果、作動油がドラム部の内側へと流れ込み、ブレーキの非係合時に複数の摩擦係合プレートの間に流入するのをより一層良好に抑制することが可能となる。
【0010】
更に、前記貫通孔は、前記空間側の開口が前記集油部の底面より下方に位置するように傾斜して形成されてもよい。これにより、集油部によって集められた作動油を貫通孔を介して当該集油部と反対側の空間、すなわちドラム部の外へとより良好に排出することができる。
【0011】
また、前記環状壁部には、該環状壁部を貫通するように少なくとも一つの軽め穴が形成されてもよく、前記集油部および前記貫通孔は、前記軽め穴よりも前記環状壁部の外径側に形成されてもよい。これにより、作動油が環状壁部の端面の軽め穴よりも外径側を伝ったとしても、当該作動油を軽め穴の外径側に形成される集油部に集めることが可能となり、貫通孔を介してドラム部の外へと排出することができる。
【0012】
更に、前記他の回転要素は、前記変速機から動力が伝達されるカウンタドライブギヤであってもよく、前記支持部材は、前記ピストン支持部よりも内側で前記環状壁部から該ピストン支持部とは反対側に向けて前記軸方向に延出されると共に前記カウンタドライブギヤを回転自在に支持するボス部を含んでもよく、前記貫通孔の前記空間側の開口は、前記カウンタドライブギヤよりも下方に位置してもよい。これにより、貫通孔の上記空間側の開口から流出した作動油がカウンタドライブギヤに当たって跳ね返され、貫通孔を介して再び環状壁部のブレーキ側の空間へと戻されるのを良好に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る動力伝達装置20の概略構成図である。同図に示す動力伝達装置20は、前輪駆動車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力を図示しない左右の駆動輪(前輪)に伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置20は、トランスミッションケース22や、当該トランスミッションケース22の内部に収容される発進装置(流体伝動装置)23、オイルポンプ24、自動変速機25、ギヤ機構(ギヤ列)40、デファレンシャルギヤ(差動機構)50等を含む。
【0016】
動力伝達装置20に含まれる発進装置23は、エンジンのクランクシャフトに接続される入力側のポンプインペラ23pや、自動変速機25の入力軸(入力部材)26に接続される出力側のタービンランナ23t、ポンプインペラ23pおよびタービンランナ23tの内側に配置されてタービンランナ23tからポンプインペラ23pへの作動油の流れを整流するステータ23s、ステータ23sの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ23o、ロックアップクラッチ23c、ダンパ機構23d等を有するトルクコンバータとして構成される。ただし、発進装置23は、ステータ23sを有さない流体継手として構成されてもよい。
【0017】
オイルポンプ24は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアッセンブリ、ハブを介して発進装置23のポンプインペラ23pに接続された外歯ギヤ、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ等を有するギヤポンプとして構成されている。オイルポンプ24は、エンジンからの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油(ATF)を吸引して発進装置23や自動変速機25により要求される油圧を生成する図示しない油圧制御装置へと圧送する。
【0018】
自動変速機25は、8段変速式の変速機として構成されており、
図1に示すように、入力軸26に加えて、ダブルピニオン式の第1遊星歯車機構30、ラビニヨ式の第2遊星歯車機構35、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための4つのクラッチC1,C2,C3およびC4、2つのブレーキB1およびB2、並びにワンウェイクラッチF1を含む。
【0019】
自動変速機25の第1遊星歯車機構30は、外歯歯車であるサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ32と、互いに噛合すると共に一方がサンギヤ31に、他方がリングギヤ32に噛合する2つのピニオンギヤ33a,33bの組を自転自在(回転自在)かつ公転自在に複数保持するプラネタリキャリヤ34とを有する。図示するように、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31は、トランスミッションケース22に固定されており、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34は、入力軸26に一体回転可能に連結されている。第1遊星歯車機構30は、いわゆる減速ギヤとして構成されており、入力要素であるプラネタリキャリヤ34に伝達された動力を減速して出力要素であるリングギヤ32から出力する。
【0020】
自動変速機25の第2遊星歯車機構35は、外歯歯車である第1サンギヤ36aおよび第2サンギヤ36bと、第1および第2サンギヤ36a,36bと同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ37と、第1サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、第2サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持するプラネタリキャリヤ39とを有する。第2遊星歯車機構35のリングギヤ37は、自動変速機25の出力部材として機能し、入力軸26からリングギヤ37に伝達された動力は、ギヤ機構40、デファレンシャルギヤ50およびドライブシャフト51を介して左右の駆動輪に伝達される。また、プラネタリキャリヤ39は、ワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22により支持され、当該プラネタリキャリヤ39の回転方向は、ワンウェイクラッチF1により一方向に制限される。
【0021】
クラッチC1は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第1サンギヤ36aとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)である。クラッチC2は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、入力軸26と第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39とを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。クラッチC3は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。クラッチC4は、ピストン、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除することができる多板摩擦式油圧クラッチである。
【0022】
ブレーキB1は、複数の摩擦係合プレートとしての摩擦プレート121およびセパレータプレート122(
図3参照)、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bをトランスミッションケース22に回転不能に固定すると共に第2サンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板摩擦式油圧ブレーキである。ブレーキB2は、複数の摩擦プレートやセパレータプレート、作動油が供給される油室等により構成される油圧サーボを有し、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39をトランスミッションケース22に回転不能に固定すると共にプラネタリキャリヤ39のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる多板摩擦式油圧ブレーキである。
【0023】
また、ワンウェイクラッチF1は、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39に連結(固定)されるインナーレースや、アウターレース、複数のスプラグ、複数のスプリング(板バネ)、保持器等を含み、インナーレースに対してアウターレースが一方向に回転した際に各スプラグを介してトルクを伝達すると共に、インナーレースに対してアウターレースが他方向に回転した際に両者を相対回転させるものである。ただし、ワンウェイクラッチF1は、ローラ式といったようなスプラグ式以外の構成を有するものであってもよい。
【0024】
これらのクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2は、上記油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作する。
図2に自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2、並びにワンウェイクラッチF1の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2を
図2の作動表に示す状態とすることで前進1〜8速の変速段と後進1速および2速の変速段とを提供する。なお、ブレーキB1を除くクラッチC1〜C4、およびブレーキB2の少なくとも何れかは、ドグクラッチといった噛み合い係合要素とされてもよい。
【0025】
ギヤ機構40は、自動変速機25の第2遊星歯車機構35のリングギヤ37に連結されるカウンタドライブギヤ41と、自動変速機25の入力軸26と平行に延在するカウンタシャフト42に固定されると共にカウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ43と、当該カウンタドリブンギヤ43から軸方向に離間するようにカウンタシャフト42に一体に成形(あるいは固定)されたドライブピニオンギヤ(ファイナルドライブギヤ)44と、ドライブピニオンギヤ44に噛合すると共にデファレンシャルギヤ50に連結されるデフリングギヤ(ファイナルドリブンギヤ)45とを有する。
【0026】
続いて、
図3から
図5を参照しながら、動力伝達装置20に含まれる回転要素としてのギヤ機構40のカウンタドライブギヤ41やブレーキB1周辺の構造について説明する。なお、
図3から
図5においては、図中下側が鉛直方向の下側を示す。
【0027】
図示するように、ギヤ機構40のカウンタドライブギヤ41は、第2遊星歯車機構35のリングギヤ37に連結されると共に、複数のボルト99を介してトランスミッションケース22に固定される支持部材(センタサポート)100により回転自在に支持される。支持部材100は、例えばボールベアリングあるいはテーパローラベアリングである軸受90を介してカウンタドライブギヤ41を回転自在に支持するボス部101と、ボス部101の一端から入力軸26の径方向(自動変速機25の径方向)外側に延出された略円盤状の環状壁部102と、環状壁部102から入力軸26の軸方向(自動変速機25の軸方向)に延出された円筒状のドラム部110とを有する。ボス部101、環状壁部102およびドラム部110は、例えばアルミニウム合金等を鋳造または鍛造することにより一体に成形される。
【0028】
支持部材100のボス部101は、ドラム部110よりも内側で環状壁部102から第1遊星歯車機構30とは反対側(第2遊星歯車機構35側:
図3における左側)に向けて入力軸26の軸方向に延出される。ボス部101は、円筒状に形成されており、入力軸26等が挿通される中心孔100oを有する。また、ボス部101の外周面には、軸受90のインナーレースが固定される。また、軸受90のアウターレースは、環状に形成されたカウンタドライブギヤ41の内周面に固定され、それによりカウンタドライブギヤ41は、ボス部101により回転自在に支持される。
【0029】
支持部材100の環状壁部102は、
図3に示すように、ボス部101の第1遊星歯車機構30側の端部から径方向外側に延出されており、ボス部101とドラム部110との間に延在する。また、環状壁部102には、
図3に示すように、カウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ43に形成されたパーキングギヤ部43pを囲むように凹部103が形成されている。これにより、支持部材100とカウンタドリブンギヤ43(パーキングギヤ部43p)との干渉を抑制しつつ、パーキングギヤ部43pが凹部103内に入り込むように両者を近接させて動力伝達装置20の全体をコンパクト化することができる。また、環状壁部102には、
図4および
図5に示すように、当該環状壁部102を貫通するように2つの軽め穴102oが形成されている。これにより、支持部材100の軽量化を図ることができる。ただし、軽め穴102oの数は、2つに限られるものではなく、必ずしも軽め穴102oを環状壁部102に形成する必要はない。
【0030】
支持部材100のドラム部110は、環状壁部102の外周部から第1遊星歯車機構30側(
図3における右側)に向けて入力軸26の軸方向に延出されると共に、ボス部101を囲むように環状壁部102の外周部から第1遊星歯車機構30とは反対側(
図3における左側)に向けて入力軸26の軸方向に延出される。ドラム部110は、円柱面状の外周面110sを有し、ドラム部110のボス部101側の端部(
図3における左端部)の外周面110sからは、上述のボルト99が挿通されるボルト孔を有する複数の締結部111が延出されている。
【0031】
上述のように構成される支持部材100のドラム部110は、第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bをトランスミッションケース22に回転不能に固定するブレーキB1のブレーキドラムとして機能する。このように、カウンタドライブギヤ41を支持する支持部材100に円筒状のドラム部110を一体に成形することで、ドラム部110がリブとしての機能をも果たすことから、支持部材100の強度を向上させることが可能となる。また、支持部材100にドラム部110を一体に成形することで、部品点数を低減すると共に、自動変速機25ひいては動力伝達装置20の組立性を向上させることができる。ただし、ドラム部をボス部および環状壁部と別体に成形すると共に、当該別体のドラム部110を環状壁部102に固定してもよい。
【0032】
支持部材100のドラム部110をブレーキドラムとして利用するブレーキB1は、
図3に示すように、ブレーキハブ120と、ブレーキハブ120に嵌合されて当該ブレーキハブ120により移動自在に支持される複数の摩擦プレート121と、ドラム部110の内周面に形成されたスプライン115に嵌合される複数のセパレータプレート122およびバッキングプレート123と、ドラム部110の内側に配置されると共に摩擦プレート121およびセパレータプレート122を押圧して摩擦係合させるピストン125と、ドラム部110の内側に配置されると共にピストン125を付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)126と、ドラム部110の内側に配置されると共に複数のリターンスプリング126の一端を支持するスプリング支持部材127とを含む。なお、ブレーキB1のリターンスプリング126としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。
【0033】
ブレーキハブ120は、第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとクラッチC3およびC4により共用されるクラッチドラムとに連結されて当該第2サンギヤ36bや当該クラッチドラムと一体に回転可能であり、ブレーキハブ120の外周面には、各摩擦プレート121の内周部に形成された凹凸部と係合可能なスプラインが形成されている。摩擦プレート121は、両面に摩擦材が貼着された環状部材である。セパレータプレート122は、両面が平滑に形成された環状部材であり、ブレーキハブ120に嵌合された複数の摩擦プレート121と交互に並ぶようにドラム部110のスプライン115に嵌合され、ドラム部110により回転不能に支持される。また、バッキングプレート123は、
図3中最も右側(第1遊星歯車機構30側)に配置される摩擦プレート121と当接可能となるようにドラム部110のスプライン115に嵌合され、ドラム部110に装着されたスナップリングにより軸方向に支持される。
【0034】
ピストン125は、支持部材100により摩擦プレート121およびセパレータプレート122よりも環状壁部102側で移動自在に支持される。支持部材100の環状壁部102は、
図3に示すように、ドラム部110の内径側(内側)で入力軸26の軸方向に延出されると共にピストン125を支持する環状のピストン支持部105を有する。ピストン支持部105は、同図に示すように、環状壁部102からブレーキハブ120側(
図3における右側)、すなわちボス部101とは反対側に向けて軸方向に延出され、ピストン125の内周部を支持する円柱面状の外周面と、ブレーキハブ120の外周面に概ね沿って延びる内周面とを有する。
【0035】
そして、ピストン125の外周部とドラム部110の内周面との間、および、ピストン125の内周部とピストン支持部105の外周面との間には、それぞれシール部材が配置される。これにより、ピストン125、ドラム部110、ピストン支持部105およびドラム部110とピストン支持部105との間を延びる環状壁部102によってブレーキB1を係合させるための作動油が供給される係合油室130が画成される。係合油室130には、支持部材100に形成された図示しない油路を介して油圧制御装置からの作動油が供給され、それにより、ピストン125がドラム部110とピストン支持部105との間を移動して摩擦プレート121およびセパレータプレート122を押圧し、摩擦プレート121およびセパレータプレート122が摩擦係合される。
【0036】
スプリング支持部材127は、
図3および
図5に示すように、それぞれ対応するリターンスプリング126の一端に嵌合される複数の嵌合部を有する環状支持部127aと、環状支持部127aから周方向に間隔をおいて環状壁部102に向けて延出されると共に、それぞれ径方向内側に向けて延びる略矩形状の遊端部127fを含む複数の延出部127bとを有する。また、支持部材100の環状壁部102に形成されたピストン支持部105は、
図5に示すように、それぞれスプリング支持部材127の遊端部127fの両側の側面を支持するように形成された複数の当接凹部107を有する。本実施形態において、複数の当接凹部107は、
図5に示すように、ピストン支持部105の鉛直方向における下部および凹部103の内側を除いて当該ピストン支持部105に等間隔に形成され、これに対応して、スプリング支持部材127の環状支持部127aからは、環状壁部102の当接凹部107の数と同数の延出部127bが延出される。
【0037】
スプリング支持部材127は、複数のリターンスプリング126が環状支持部127aにより支持された状態で、
図5に示すように、各延出部127bの遊端部127fが対応する当接凹部107により支持されるように環状壁部102に対して配置される。そして、スプリング支持部材127は、ピストン支持部105に形成されたスナップリング溝に装着されるスナップリング128により環状壁部102に対して抜け止めされる。これにより、リターンスプリング126を支持したスプリング支持部材127が支持部材100に固定される。各リターンスプリング126は、ピストン125を摩擦プレート121およびセパレータプレート122から離間するように付勢し、係合油室130に油圧制御装置から供給される油圧が低下すると、各リターンスプリング126の付勢力によりピストン125が摩擦プレート121およびセパレータプレート122から離間することでブレーキB1の係合が解除される。
【0038】
上述のように構成される動力伝達装置20では、ボス部101とカウンタドライブギヤ41との間に配置される軸受90に当該ボス部101に形成された油孔101oを介して潤滑・冷却媒体としての作動油が供給される。従って、支持部材100の周辺には、油孔101o等に流入しなかった作動油が流通することになり、支持部材100の周辺に存在する作動油の一部は、環状壁部102のブレーキハブ120側(ピストン支持部105すなわちブレーキB1側、
図4における右側)の表面102aを伝ってドラム部110の内側へと流入する。そして、ドラム部110の内側へと流入する作動油が比較的多くなって、ブレーキB1の非係合時に、摩擦プレート121とセパレータプレート122との間に作動油が比較的多く介在すると、摩擦プレート121とセパレータプレート122の間に発生する引き摺りトルクが大きくなり、動力伝達装置20で発生する損失が大きくなってしまうおそれがある。
【0039】
これを踏まえて、支持部材100の環状壁部102には、
図4および
図5に示すように、作動油が環状壁部102のブレーキハブ120側(ピストン支持部105側)の表面102aを伝ってドラム部110の内側へと流入するのを抑制するための集油部108が形成されている。集油部108は、ピストン支持部105の内周面に、当該ピストン支持部105の外径側に窪むように形成される。すなわち、集油部108は、ピストン支持部105の内径側から外径側に(ピストン支持部105の内周面から外周面側に向けて)窪むように当該ピストン支持部105の下部に形成される。また、集油部108は、環状壁部102に形成された軽め穴102oよりも当該環状壁部102の外径側に位置する。本実施形態において、集油部108は、
図4に示すように、ピストン支持部105のブレーキハブ120側(
図4における右側)の端面から環状壁部102の表面102aまで延在する。また、集油部108は、
図5に示すように、支持部材100(中心孔100o)の中心からドラム部110に近づくにつれて互いに接近するように傾斜する2つの側面を有し、入力軸26の軸方向からみて支持部材100の中心孔100oの鉛直方向における真下に位置する。
【0040】
更に、環状壁部102には、当該環状壁部102を介して集油部108と反対側に位置する空間200と当該集油部108とを連通させるように貫通孔109が形成されている。貫通孔109は、
図4に示すように、環状壁部102のブレーキハブ120側(ピストン支持部105側)の表面102aで開口すると共に、環状壁部102のブレーキハブ120やピストン支持部105とは反対側の表面102bで開口する。当該貫通孔109は、上記空間200側(表面102b側)の開口109oが集油部108の底面より下方に位置するように傾斜して形成されている。すなわち、貫通孔109は、環状壁部102の表面102aから当該環状壁部102の内部を斜め下方向に延在する。更に、貫通孔109の空間200側(集油部108とは反対側)の開口109oは、
図4に示すように、カウンタドライブギヤ41よりも鉛直下方に位置する。また、本実施形態において、貫通孔109は、
図5に示すように、入力軸26の軸方向からみて支持部材100の中心孔100oの鉛直方向における真下に位置すると共に、集油部108と同様に環状壁部102に形成された軽め穴102oよりも当該環状壁部102の外径側に位置する。なお、上記集油部108および貫通孔109は、入力軸26の軸方向からみて支持部材100の中心孔100oの鉛直方向における真下から
図5における左右方向に若干オフセットされた位置に形成されてもよい。
【0041】
そして、
図4および
図5に示すように、ブレーキB1のスプリング支持部材127は、環状支持部127aから貫通孔109と間隔をおいて対向するように延出された集油壁127wを有する。集油壁127wは、環状支持部127aから環状壁部102に向けて軸方向に延出された延出部127cから更に径方向内側に向けて延出され、
図4および5に示すように、集油壁127wおよび延出部127cは、スプリング支持部材127が支持部材100に固定された際に、それぞれ集油部108内に嵌り込むように形成される。
【0042】
これにより、
図4および
図5において破線矢印で示すように、環状壁部102の表面102aやピストン支持部105の内周面を伝う作動油を当該ピストン支持部105に形成された集油部108に集めると共に、集油部108に流れ込んだ作動油がドラム部110に嵌合された摩擦プレート121およびセパレータプレート122側に流出するのを集油壁127により規制にすることができる。すなわち、集油部108と集油壁127wとは、作動油を一時的に溜めるダム構造を形成し、当該集油部108と集油壁127wとの間に溜められた作動油は、集油部108と連通する貫通孔109を介して環状壁部102のブレーキB1と反対側(集油部108と反対側)の空間200、すなわちドラム部110の外へと排出されることになる。この際、貫通孔109の空間200側の開口109oが集油部108の底面より下方に位置するように形成されることにより、集油部108によって集められた作動油を貫通孔109を介して当該空間200すなわちドラム部110の外へとより良好に排出することができる。この結果、作動油がドラム部110の内側すなわち摩擦プレート121およびセパレータプレート122側へと流れ込み、ブレーキB1の非係合時に摩擦プレート121およびセパレータプレート122の間に流入するのをより良好に抑制することができる。
【0043】
また、集油部108および貫通孔109が環状壁部102の軽め穴102oよりも外径側に形成されることにより、作動油が環状壁部102の表面102aの軽め穴102oよりも外径側を伝ったとしても、当該作動油を集油部108に集めると共に、貫通孔109を介して環状壁部102のブレーキB1と反対側の空間200すなわちドラム部110の外へと排出することができる。加えて、貫通孔109の当該空間200側の開口109oがカウンタドライブギヤ41よりも下方に形成されることで、当該開口109oから流出した作動油がカウンタドライブギヤ41に当たって跳ね返され、貫通孔109を介して再びドラム部110の内側すなわち摩擦プレート121およびセパレータプレート122側へと戻されるのを良好に抑制することができる。この結果、動力伝達装置20では、ブレーキB1の非係合時に、当該ブレーキB1に発生する引き摺りトルクをより低減させて、自動変速機25で発生する損失をより低減させることができる。
【0044】
以上説明したように、この動力伝達装置20は、複数の摩擦係合プレートとしての摩擦プレート121およびセパレータプレート122、並びに摩擦プレート121およびセパレータプレート122を押圧するピストン125を有すると共に、自動変速機25の回転要素としての第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bを当該自動変速機25を収容するトランスミッションケース22に回転不能に固定するブレーキB1と、トランスミッションケース22に固定されて動力伝達装置20に含まれる他の回転要素としてのカウンタドライブギヤ41を回転自在に支持する支持部材100とを備える。また、支持部材100は、自動変速機25の径方向に延びる環状壁部102と、当該環状壁部102から自動変速機25の軸方向に延出されると共にブレーキB1の複数の摩擦係合プレートの一部としてのセパレータプレート122を回転不能に支持するドラム部110とを含み、当該支持部材100の環状壁部102は、ドラム部110の内径側(内側)で上記軸方向に延在すると共にブレーキB1のピストン125を支持する環状のピストン支持部105と、ピストン支持部105の内径側から外径側に窪むように当該ピストン支持部105に形成された集油部108とを有する。更に、環状壁部102には、環状壁部102を介して集油部108と反対側に位置する空間200と当該集油部108とを連通させるように貫通孔109が形成されている。これにより、支持部材100の環状壁部102のブレーキB1側の表面102aやピストン支持部105の内周面を伝う作動油をピストン支持部105に形成された集油部108に集めると共に、環状壁部102に形成された貫通孔109を介してドラム部110の外へと排出することができる。この結果、環状壁部102の表面102aを伝った作動油がドラム部110の内側すなわち摩擦プレート121およびセパレータプレート122側へと流れ込み、ブレーキB1の非係合時に摩擦プレート121およびセパレータプレート122の間に流入するのをより良好に抑制することが可能となる。従って、この動力伝達装置20では、自動変速機25の第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bを当該自動変速機25を収容するトランスミッションケース22に回転不能に固定するブレーキB1の非係合時における引き摺りトルクの発生をより良好に抑制し、動力伝達装置20で発生する損失をより低減させることができる。
【0045】
また、ブレーキB1は、ピストン125を付勢するリターンスプリング126と、リターンスプリング126を支持すると共に支持部材100に固定されるスプリング支持部材127とを有し、スプリング支持部材127は、リターンスプリング126の一端を支持する環状支持部127aと、当該環状支持部127aから貫通孔109と間隔をおいて対向するように延出された集油壁109とを有する。これにより、支持部材100の環状壁部102のブレーキB1側の表面102aやピストン支持部105の内周面を伝う作動油をより良好に集油部108に流入させると共に、集油部108に流れ込んだ作動油が摩擦プレート121およびセパレータプレート122側に流出するのを集油壁109により規制にすることができる。この結果、作動油がドラム部110の内側へと流れ込み、ブレーキB1の非係合時に摩擦プレート121およびセパレータプレート122の間に流入するのをより一層良好に抑制することが可能となる。
【0046】
更に、貫通孔109は、空間200側の開口109oが集油部108の底面より下方に位置するように傾斜して形成される。これにより、集油部108によって集められた作動油を貫通孔109を介して当該集油部108と反対側の空間200、すなわちドラム部110の外へとより良好に排出することができる。
【0047】
また、環状壁部102には、当該環状壁部102を貫通するように少なくとも一つの軽め穴102oが形成され、集油部108および貫通孔109は、軽め穴102oよりも当該環状壁部102の外径側に形成される。これにより、作動油が環状壁部102の端面の軽め穴102oよりも外径側を伝ったとしても、当該作動油を軽め穴102oの外径側に形成される集油部108に集めることが可能となり、貫通孔109を介してドラム部110の外へと排出することができる。
【0048】
更に、支持部材100は、ピストン支持部105よりも内側で環状壁部102から当該ピストン支持部105とは反対側に向けて軸方向に延出されると共にカウンタドライブギヤ41を回転自在に支持するボス部101を含み、貫通孔109の空間200側の開口109oは、カウンタドライブギヤ41よりも下方に位置する。これにより、貫通孔109の空間200側の開口109oから流出した作動油がカウンタドライブギヤ41に当たって跳ね返され、貫通孔109を介して再び環状壁部102のブレーキB1側の空間へと戻されるのを良好に抑制することができる。
【0049】
ただし、支持部材100は、動力伝達装置20に含まれるカウンタドライブギヤ41とは異なる回転要素の何れかを回転自在に支持するものであってもよい。また、本発明は、自動変速機25に含まれる第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとは異なる回転要素をトランスミッションケース22に回転不能に固定するブレーキB2に適用されてもよい。更に、延出部127cおよび集油壁127wをスプリング支持部材127から省略してもよい。また、軽め穴102oを支持部材100から省略してもよい。更に、貫通孔109は、集油部108に集められた作動油をドラム部110の外へと排出できるものであれば、必ずしも空間200側の開口109oが集油部108の底面より下方に位置するように傾斜して形成されるものでなくともよい。例えば、貫通孔109は、環状壁部102の表面102aから軸方向に平行に延びるように形成されてもよい。また、貫通孔109の空間200側の開口109oは、必ずしもカウンタドライブギヤ41の下方に位置するものでなくともよく、例えば、カウンタドライブギヤ41の側方に形成されてもよい。
【0050】
ここで、上記実施形態等における主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施形態等では、自動変速機25と、自動変速機25を収容するトランスミッションケース22と、複数の摩擦係合プレートとしての摩擦プレート121およびセパレータプレート122並びに摩擦係合プレートとしての摩擦プレート121を押圧するピストン125を有すると共に、自動変速機25の回転要素としての第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bをトランスミッションケース22に回転不能に固定するブレーキB1とを含む動力伝達装置が「動力伝達装置」に相当し、自動変速機25の径方向に延びる環状壁部102と、環状壁部102から自動変速機25の軸方向に延出されると共にブレーキB1の複数の摩擦係合プレートの一部としてのセパレータプレート122を回転不能に支持するドラム部110とを含み、トランスミッションケース22に固定されて動力伝達装置20に含まれる他の回転要素としてのカウンタドライブギヤ41を回転自在に支持する支持部材100が「支持部材」に相当し、ドラム部110の内径側で環状壁部102から軸方向に延在すると共にブレーキB1のピストン125を支持する環状のピストン支持部105が「ピストン支持部」に相当し、ピストン支持部105の内径側から外径側に窪むように当該ピストン支持部105に形成された集油部108が「集油部」に相当し、環状壁部102を介して集油部108と反対側に位置する空間200と当該集油部108とを連通させるように環状壁部102に形成された貫通孔109が「貫通孔」に相当し、ブレーキB1のピストン125を付勢するリターンスプリング126が「リターンスプリング」に相当し、ブレーキB1のリターンスプリング126を支持すると共に支持部材100に固定されるスプリング支持部材127が「スプリング支持部材」に相当し、リターンスプリング126の一端を支持する環状支持部127aが「環状支持部」に相当し、環状支持部127aから貫通孔109と間隔をおいて対向するように延出された集油壁127wが「集油壁」に相当し、環状壁部102を貫通するように形成された軽め穴102oが「軽め穴」に相当する。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。また、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。