特許第6131802号(P6131802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131802
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   B60R16/02 645B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-197174(P2013-197174)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-63179(P2015-63179A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】澤野 峻一
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−043655(JP,A)
【文献】 特開2002−341978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の駆動指示が入力された場合にバッテリから前記負荷への第1給電を行う制御装置を備える制御システムにおいて、
該制御装置に前記駆動指示が入力されてから、前記制御装置が前記第1給電を開始するまでの間、前記バッテリから前記負荷への第2給電を行って前記負荷を駆動する駆動回路
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1給電を開始したか否かを示す開始信号を前記駆動回路に出力する出力部を有し、
前記駆動回路は、
該出力部が出力した開始信号が前記第1給電の開始を示す場合に、前記第2給電を停止する停止部を有すること
を特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記バッテリから前記負荷への給電経路に設けられたスイッチを備え、
前記制御装置及び駆動回路夫々は、前記スイッチをオンにすることによって前記第1及び第2給電を行うように構成してあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリから負荷への給電を制御する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ライト又はワイパー等の負荷を制御装置、例えばECU(電子制御装置;Electronic Control Unit)が制御する制御システム(例えば、特許文献1参照)が搭載されている。
【0003】
特許文献1に記載の制御システムでは、制御装置にスイッチの一端が接続されており、制御装置はスイッチの操作に従って負荷を制御する。また、特許文献1に記載の制御システムでは、制御装置は、例えば、スイッチが一定期間操作されなかった場合、休止状態となってスリープすることがある。制御装置は、休止状態でスイッチが操作された場合、ウェイクアップし、負荷の制御を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−44211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の制御システムの中には、制御装置がバッテリから負荷への給電、及び、該給電の遮断を行うことによって、負荷の駆動と該駆動の停止と行う制御システムがある。この制御システムでは、例えば制御装置に一端が接続してあるスイッチのオン/オフによって、制御装置に負荷の駆動指示、及び、負荷の駆動の停止指示が入力され、制御装置は、駆動指示が入力された場合にバッテリから負荷への給電を行い、停止指示が入力された場合にバッテリから負荷への給電の遮断を行う。
【0006】
ここで、負荷が停止しており、かつ、制御装置がスリープしている場合において、制御装置に駆動指示が入力されたとき、制御装置はウェイクアップした後、バッテリから負荷への給電を行う。このため、制御装置に駆動指示が入力されてから給電を開始するまでに遅延が生じる。
【0007】
従って、このような制御システムでは、制御装置は駆動指示の入力と同時的に負荷に給電を行って、負荷を駆動することができないという問題がある。特に、この問題は、負荷が駆動指示の入力と同時的に駆動する必要がある負荷、例えば、ホーンである場合に深刻である。
【0008】
この問題を解決する制御システムとして、負荷を制御する制御装置に、スリープすることがない制御装置を備える制御システムが考えられる。しかしながら、この場合、消費電力が大きくなるため、この制御システムを車両に搭載することは現実的ではない。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、負荷の駆動指示が制御装置に入力された場合に即時に負荷に給電することができ、低消費電力を実現することが可能な制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る制御システムは、負荷の駆動指示が入力された場合にバッテリから前記負荷への第1給電を行う制御装置を備える制御システムにおいて、該制御装置に前記駆動指示が入力されてから、前記制御装置が前記第1給電を開始するまでの間、前記バッテリから前記負荷への第2給電を行って前記負荷を駆動する駆動回路を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、制御装置に負荷の駆動指示が入力されてから、制御装置がバッテリから負荷への第1給電を開始するまでの間、駆動回路がバッテリから負荷への第2給電を行って負荷を駆動する。駆動回路は、制御装置がバッテリから負荷への給電を開始した場合、給電を停止する。
【0012】
従って、例えば休止状態となってスリープしている制御装置に負荷の駆動指示が制御装置に入力された場合、制御装置がウェイクアップして給電を開始するまでの間、駆動回路がバッテリから負荷への第2給電を行うので、負荷の駆動指示が制御装置に入力された場合に即時に負荷が給電される。また、制御装置はスリープすることが可能であるため、低消費電力を実現することが可能である。
【0013】
本発明に係る制御システムは、前記制御装置は、前記第1給電を開始したか否かを示す開始信号を前記駆動回路に出力する出力部を有し、前記駆動回路は、該出力部が出力した開始信号が前記第1給電の開始を示す場合に、前記第2給電を停止する停止部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、制御装置の出力部は、制御装置がバッテリから負荷への第1給電を開始したか否かを示す開始信号を駆動回路に出力する。駆動回路の停止部は、出力部が出力した開始信号が第1給電の開始を示す場合に駆動回路が行っているバッテリから負荷への第2給電を停止する。
これにより、制御装置が給電を実行した場合に、駆動回路が行っている給電が容易に、かつ、確実に停止される。
【0015】
本発明に係る制御システムは、前記バッテリから前記負荷への給電経路に設けられたスイッチを備え、前記制御装置及び駆動回路夫々は、前記スイッチをオンにすることによって前記第1及び第2給電を行うように構成してあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、制御装置及び駆動回路夫々は、バッテリから負荷への給電経路に設けられたスイッチをオンにすることによって、第1及び第2給電が容易に行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、負荷の駆動指示が制御装置に入力された場合に即時に負荷に給電することができ、低消費電力を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る制御システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】制御システムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明に係る制御システムの要部構成を示すブロック図である。この制御システム1は、車両に好適に搭載され、IPD(Intelligent Power Device)2、マイクロコンピュータ(以下ではマイコンと記載する)3及び駆動回路4を備える。IPD2は、バッテリ11の正極端子と負荷12の一端との間に接続されている。バッテリ11の負極端子、及び、負荷12の他端は接地されている。
【0020】
IPD2は、更に、マイコン3とダイオードD1のカソードとに接続されている。ダイオードD1のアノードは抵抗R1の一端に接続され、抵抗R1の他端はマイコン3と抵抗R2の一端とに接続されている。抵抗R2の他端は接地されている。
【0021】
マイコン3は、更に、駆動回路4、及び、抵抗R3の一端夫々に接続されている。抵抗R3の他端は、抵抗R4の一端と、PNP型のバイポーラトランジスタ13のコレクタとに接続されている。抵抗R4の他端は接地されている。
【0022】
バイポーラトランジスタ13のエミッタは、バッテリ11の正極端子及び抵抗R5の一端に接続されている。バイポーラトランジスタ13のベースは、抵抗R5の他端と抵抗R6の一端とに接続されている。抵抗R6の他端はスイッチ14の一端に接続され、スイッチ14の他端は接地されている。駆動回路4は、マイコン3の他に、バイポーラトランジスタ13のコレクタと、ダイオードD1のカソードとに接続されている。
【0023】
IPD2は、スイッチとして機能し、バッテリ11から負荷12への給電経路に設けられている。IPD2がオンである場合、バッテリ11から負荷12へ給電され、IPD2がオフである場合、バッテリ11から負荷12への給電が遮断される。IPD2は、抵抗R1及びダイオードD1を介して印加されたマイコン3の出力電圧が基準電圧以上のハイレベルの電圧である場合、又は、IPD2に印加される駆動回路4の出力電圧が基準電圧以上のハイレベルの電圧である場合、オンとなる。また、IPD2は、マイコン3及び駆動回路4夫々の出力電圧が共に基準電圧未満のローレベルの電圧である場合にオフとなる。
【0024】
IPD2は、更に、スイッチ機能が故障しているか否かを判定する。IPD2は、スイッチ機能が故障していると判定した場合、スイッチ機能の故障を示す故障信号をマイコン3へ出力する。
【0025】
抵抗R1,R2は、マイコン3がIPD2に印加する出力電圧を安定させるために設けられている。また、ダイオードD1は駆動回路4から抵抗R1を介してマイコン3へ電流が流れることを防止している。
負荷12は、スイッチ14がオンである場合に作動し、スイッチ14がオフである場合に停止する。負荷12は、車載機器、特に、スイッチ14がオンになった場合に即時に作動することが必要な負荷であり、例えば、ホーンである。
【0026】
スイッチ14は、負荷12の駆動指示と負荷12の駆動の停止指示とをマイコン3に与えるために用いられ、例えば、使用者によってオン/オフされる。
バイポーラトランジスタ13は、スイッチ14のオン/オフに応じてオン/オフとなるスイッチとして機能する。
【0027】
スイッチ14がオンである場合、抵抗R6の他端が接地されるため、電流がバッテリ11の正極端子からバイポーラトランジスタ13、抵抗R6及びスイッチ14の順に流れ、バイポーラトランジスタ13のエミッタ及びベース間に電流が流れる。これにより、バイポーラトランジスタ13はオンとなり、バイポーラトランジスタ13のエミッタからコレクタに電流が流れる。
【0028】
スイッチ14がオフである場合、電流がバイポーラトランジスタ13のエミッタからベースに電流が流れることはない。このとき、バイポーラトランジスタ13はオフであり、バイポーラトランジスタ13のエミッタからコレクタに電流が流れることはない。
抵抗R5,R6は、バイポーラトランジスタ13のオン/オフ動作を安定させるために接続されている。
【0029】
スイッチ14がオンとなってバイポーラトランジスタ13がオンとなった場合、マイコン3には、バイポーラトランジスタ13及び抵抗R3を介してバッテリ11の出力電圧が印加され、駆動回路4にはバイポーラトランジスタ13を介してバッテリ11の出力電圧が印加される。このとき、バッテリ11には、一定の電圧以上であるハイレベルの電圧が印加され、負荷の駆動指示がマイコン3に入力される。抵抗R3,R4はマイコン3に印加されるハイレベルの電圧を安定させるために設けられている。
【0030】
スイッチ14がオフとなってバイポーラトランジスタ13がオフとなった場合、マイコン3には、一定の電圧未満であるローレベルの電圧が印加され、負荷の駆動の停止指示がマイコン3に入力される。
【0031】
マイコン3は、入力部31,32、出力部33,34及び制御部35を有し、入力部31,32及び出力部33,34夫々はバス36を介して制御部35に接続されている。更に、入力部31は抵抗R3の一端に接続され、入力部32はIPD2に接続されている。また、出力部33も、更に、駆動回路4に接続されており、出力部34は抵抗R1の他端及び抵抗R2の一端にも接続されている。
【0032】
入力部31には、抵抗R3を介して駆動指示又は停止指示が入力される。入力部31は、駆動指示又は停止指示が入力された場合、その旨を制御部35に通知する。
入力部32にはIPD2から故障信号が入力される。入力部32は、故障信号が入力された場合、IPD2のスイッチ機能が故障している旨を制御部35に通知する。
出力部34は、制御部35の指示に従って、マイコン3の出力電圧として、IPD2に基準電圧以上であるハイレベルの電圧と、基準電圧未満であるローレベルの電圧を印加する。
【0033】
制御部35は、入力部31に負荷12の駆動指示が入力された場合、出力部34に指示してハイレベルの電圧をIPD2へ印加させ、IPD2をオンにし、バッテリ11から負荷12への第1給電を行う。制御部35を有するマイコン3は制御装置として機能する。
制御部35は、入力部31に負荷12の停止指示が入力された場合、出力部34に指示してローレベルの電圧をIPD2へ印加させ、IPD2をオフにし、第1給電を遮断する。
【0034】
制御部35は、入力部31に駆動指示が所定期間入力されなかった場合、言い換えると、入力部31に停止指示が所定期間入力され続けた場合、休止状態となってスリープし、マイコン3はスリープ状態となる。これにより、マイコン3の低消費電力を実現することができ、マイコン3を備える制御システム1も低消費電力を実現することができる。
【0035】
制御部35がスリープしている期間に入力部31に作動指示が入力された場合、制御部35は、ウェイクアップを開始し、ウェイクアップを完了した後、出力部34に指示して、ハイレベルの電圧をIPD2へ印加させ、バッテリ11から負荷12への第1給電を開始する。
【0036】
制御部35は、制御部35がスリープしている期間に入力部31に作動指示が入力されてバッテリ11から負荷12への第1給電を開始したか否かを示す開始信号を駆動回路4へ出力部33に出力させている。
出力部33は、制御部35の指示に従って駆動回路4へ開始信号を出力している。
【0037】
開始信号は、一定の電圧以上であるハイレベルの電圧と、一定の電圧未満であるローレベルの電圧とによって構成されている。制御部35がバッテリ11から負荷12への第1給電を開始した場合、開始信号はハイレベルの電圧であり、制御部35が休止状態となってスリープしている場合、開始信号はローレベルの電圧である。
【0038】
制御部35は、ウェイクアップを完了した後に入力部32に故障信号が入力された場合、入力部31に駆動指示が入力しているか否かに無関係に、出力部34に指示して、ローレベルの電圧をIPD2に印加する。これにより、IPD2はオフとなり、バッテリ11から負荷12への第1給電は停止される。
【0039】
駆動回路4は、NPN型のバイポーラトランジスタ41、ツェナーダイオード42及び抵抗R7,R8,R9,R10を有する。抵抗R7の一端は、バイポーラトランジスタ13のコレクタに接続されており、抵抗R7の他端は、抵抗R8の一端と、バイポーラトランジスタ41のコレクタとに接続されている。抵抗R8の他端は、ダイオードD1のカソードと、ツェナーダイオード42のカソードとに接続されている。ツェナーダイオード42のアノードは接地されている。
【0040】
バイポーラトランジスタ41のベースは、抵抗R9,R10夫々の一端に接続され、抵抗R9の他端は出力部33に接続されている。抵抗R10の他端と、バイポーラトランジスタ41のエミッタとは共に接地されている。
【0041】
バイポーラトランジスタ41はスイッチとして機能し、バイポーラトランジスタ41のベースには、ハイレベル及びローレベルの電圧からなる開始信号が、マイコン3の出力部33から抵抗R9を介して入力されている。
【0042】
開始信号がハイレベルの電圧である場合、電流がバイポーラトランジスタ41のコレクタからエミッタに流れて、バイポーラトランジスタ41はオンとなり、抵抗R7の他端は接地される。また、開始信号がローレベルの電圧である場合、電流がバイポーラトランジスタ41のコレクタからエミッタに流れず、バイポーラトランジスタ41はオフとなる。抵抗R9,R10はバイポーラトランジスタ41のオン/オフ動作を安定させるために設けられている。
【0043】
駆動回路4では、バイポーラトランジスタ13がオンであり、かつ、バイポーラトランジスタ41がオフである場合、バッテリ11の出力電圧が抵抗R7,R8を介して、IPD2へ印加される。これにより、基準電圧以上のハイレベルの電圧がIPD2へ印加される。このように駆動回路4は、ハイレベルの電圧をIPD2へ印加することによってIPD2をオンにし、バッテリ11から負荷12への第2給電を行って負荷12を駆動する。
【0044】
ここで、バッテリ11がIPD2に印加する電圧がツェナーダイオード42の降伏電圧を超えている場合、ツェナーダイオード42によって、IPD2に印加する電圧が降伏電圧に下げられる。バッテリ11がIPD2に印加する電圧がツェナーダイオード42の降伏電圧以下である場合、バッテリ11の出力電圧は低下することなくIPD2に印加される。
なお、降伏電圧は基準電圧以上である。従って、降伏電圧へ下げられた電圧がIPD2に印加された場合であっても、IPD2はオンとなる。
【0045】
駆動回路4では、バイポーラトランジスタ13がオフである場合、バイポーラトランジスタ41がオンであるか否かに無関係に、バッテリ11の出力電圧が抵抗R7,R8を介してIPD2に印加されることはない。このため、IPD2には、基準電圧未満のローレベルの電圧が印加されてIPD2はオフとなり、駆動回路4によるバッテリ11から負荷12への第2給電は停止される。
【0046】
駆動回路4では、バイポーラトランジスタ13,41が共にオンである場合、バッテリ11から流れ出る電流の大部分は抵抗R7からバイポーラトランジスタ41に向けて流れ、抵抗R7から抵抗R8を介してIPD2へ流れる電流は略ゼロである。これは、電流が抵抗R7の他端からバイポーラトランジスタ41に向けて流れる電流経路のインピーダンスが抵抗R7から抵抗R8を介してIPD2へ流れる電流経路のインピーダンスよりも十分に低いからである。
【0047】
従って、バイポーラトランジスタ13,41夫々がオン及びオフであって駆動回路4が第2給電を行っている状態で、バイポーラトランジスタ41がオフになった場合、第2給電が停止される。言い換えると、駆動回路4のバイポーラトランジスタ41は、マイコン3の出力部33が出力した開始信号が第1給電の開始を示す場合に、第2給電を停止する。バイポーラトランジスタ41は停止部として機能する。これにより、マイコン3が給電を実行した場合に、駆動回路4が行っている給電を容易に、かつ、確実に停止することができる。
【0048】
また、以上のように構成された駆動回路4は、スイッチ14のオンであり、かつ、マイコン3の出力部33が出力した開始信号が第1給電の開始を示さない場合のみ、IPD2をオンにし、バッテリ11から負荷12への第2給電を行う。
【0049】
図2は制御システム1の動作を説明するためのタイミングチャートである。図2には、マイコン3の動作状態、スイッチ14のオン/オフ、駆動回路4の出力電圧、マイコン3の出力電圧、開始信号及びIPD2のオン/オフ夫々の推移が示されている。
【0050】
マイコン3の制御部35が休止状態であってマイコン3がスリープ状態である場合、スイッチ14はオフであり、マイコン3の出力部34がIPD2に印加する出力電圧はローレベルの電圧であり、かつ、開始信号がローレベルの電圧である。このとき、駆動回路4もIPD2にローレベルの電圧を印加する。このため、IPD2はオフであり、マイコン3による第1給電、及び、駆動回路4による第2給電のいずれも行われていない。
【0051】
スイッチ14がオフからオンに切替わった場合、スリープ状態であるマイコン3の入力部31には駆動指示が入力され、制御部35はウェイクアップを開始し、制御部35のウェイクアップが完了するまでの間、マイコン3はウェイクアップ状態となる。マイコン3がウェイクアップ状態である間、入力部31には駆動指示が入力されているが、制御部35のウェイクアップが完了していないため、出力部34はローレベルの電圧をIPD2に印加したままであり、出力部33が駆動回路4へ出力している開始信号はローレベルの電圧を維持している。
【0052】
このとき、バイポーラトランジスタ13はオンであり、かつ、バイポーラトランジスタ41はオフであるため、駆動回路4はIPD2へハイレベルの電圧を印加し、IPDをオンにする。これにより、駆動回路4は、マイコン3がウェイクアップ状態である間、バッテリ11から負荷12への第2給電を行い、負荷12を駆動する。
【0053】
制御部35がウェイクアップを完了してマイコン3が通常状態となった場合、マイコン3の出力部34は、入力部31に入力されている駆動指示に従ってハイレベルの電圧をIPD2に印加する。これにより、IPD2はマイコン3によってオンとなり、マイコン3はバッテリ11から負荷12への第1給電を行う。
【0054】
なお、通常状態は、マイコン3が入力部31に入力している駆動指示及び停止指示夫々に従って、IPD2にハイレベル及びローレベルの電圧を印加し、IPD2をオン/オフしている状態である。また、マイコン3が通常状態である場合において、入力部32にIPD2から故障信号が入力されたとき、マイコン3は入力部31に駆動指示が入力されているか否かに無関係にIPD2をオフにする。
【0055】
マイコン3が第1給電を開始した場合、マイコン3の出力部33は、第1給電の開始を示す開始信号、具体的には、ハイレベルの電圧である開始信号を駆動回路4に出力する。これにより、バイポーラトランジスタ13,41が共にオンとなるので、駆動回路4がIPD2に印加している出力電圧がローレベルとなり、駆動回路4はバッテリ11から負荷12への第2給電を停止する。
【0056】
マイコン3が通常状態である間、マイコン3の出力部33はハイレベルの電圧を示す開始信号を出力し続ける。このため、駆動回路4がIPD2へ印加する出力電圧はローレベルの電圧に維持され、駆動回路4はバッテリ11から負荷12への第2給電を停止し続ける。
【0057】
マイコン3が通常状態である間、図2に示すように、マイコン3はスイッチ14のオン/オフに応じて、IPD2をオン/オフし、負荷12への給電を制御する。
【0058】
以上のように構成された制御システム1においては、スリープ状態にあるマイコン3に駆動指示が入力されてから、マイコン3がIPD2をオンにして第1給電を開始するまでの間、駆動回路4は第2給電を行って負荷12を駆動する。従って、スリープ状態にあるマイコン3に駆動指示が入力されてからマイコン3の制御部35がウェイクアップを完了するまでの間、駆動回路4がバッテリ11から負荷12への第2給電を行う。
【0059】
このため、スイッチ14のオンによって負荷12の駆動指示がマイコン3の入力部31に入力された場合に即時に負荷12を給電することができる。負荷12がスイッチ14のオンと同時的に作動することが必要な負荷である場合に制御システム1の構成は特に効果的である。
【0060】
また、制御システム1では、前述したように、マイコン3及び駆動回路4夫々は、バッテリ11から負荷12への給電経路に設けられたIPD2をオンにすることによって、第1及び第2給電を行う。このため、マイコン3及び駆動回路4夫々は、第1及び第2給電を容易に行うことができる。
【0061】
なお、本実施の形態において、マイコン3及び駆動回路4夫々は、共通のスイッチであるIPD2をオンにすることによって、第1及び第2給電を行わなくてもよい。例えば、バッテリ11から負荷12への給電経路が2つあり、2つの給電経路夫々にスイッチが設けられている場合、マイコン3は一方のスイッチをオンにすることによって第1給電を行い、駆動回路4は他方のスイッチをオンにすることによって第2給電を行ってもよい。
【0062】
また、駆動回路4が行っているバッテリ11から負荷12への第2給電を停止する構成は、開始信号を用いた構成に限定されず、スリープ状態にあるマイコン3がウェイクアップを完了して第1給電を開始した場合に第2給電が停止する構成であればよい。
【0063】
駆動回路4が有するバイポーラトランジスタ41はスイッチとして機能すればよいため、バイポーラトランジスタ41の代わりに、PNP型のバイポーラトランジスタ又はFET(Field Effect Transistor)等を用いてもよい。
【0064】
開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 制御システム
11 バッテリ
12 負荷
2 IPD(スイッチ)
3 マイコン(制御装置)
33 出力部
4 駆動回路
41 バイポーラトランジスタ
図1
図2