【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る液膜又は液柱塗装方法は、次のような構成を有している。
(1)塗料をノズルヘッドから液膜状又は液柱状に吐出して被塗布物に塗着させる液膜又は液柱塗装方法であって、
前記ノズルヘッドから吐出された塗料が液膜状態又は液柱状態から微粒化状態に遷移する遷移区域内に、前記被塗布物を置いて塗着させることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、ノズルヘッドから吐出された塗料が液膜状態又は液柱状態から微粒化状態に遷移する遷移区域内に、被塗布物を置いて塗着させるので、ノズルヘッドから液膜状又は液柱状に吐出された塗料は、液膜状態又は液柱状態を略維持したまま被塗布物に到達することができる。そのため、塗料が被塗布物に到達するまでの間に、微粒化した塗料粒子(微粒化部)が発生して、その塗料粒子(微粒化部)が外部に飛散する可能性を大幅に低減することができる。その結果、被塗布物への塗着効率を大幅に向上させることができる。また、塗料粒子(微粒化部)が外部に飛散しない分、作業環境や塗装面品質等の向上に寄与できる。
【0010】
また、ノズルヘッドから吐出された塗料は、液膜状態又は液柱状態から微粒化状態に遷移する遷移区域の位置まで移送される間に、大気中の粘性抵抗を受けて移送速度が大幅に低下する。そのため、塗料が被塗布物に塗着されたときの衝撃力は、大幅に低減され、跳ね返りを防止することができる。跳ね返りを防止することによっても、被塗布物への塗着効率を向上させることができる。
よって、本発明によれば、塗着効率100%を目指すべく、微粒化した塗料の飛散を極力防止して塗着効率を大幅に向上させるとともに、作業環境や塗面品質等の向上に寄与できる液膜又は液柱塗装方法を提供することができる。
なお、被塗布物は、塗料が液膜状態又は液柱状態から微粒化状態に遷移し始める遷移開始区域に置くのが、より好ましい。塗料の移行中の飛散と跳ね返りによる飛散を最も低減できるからである。
【0011】
(2)(1)に記載された液膜又は液柱塗装方法において、
前記ノズルヘッドには、中央部が広く両端部が狭い略三日月状のノズル開口部を備え、
前記被塗布物は、前記ノズル開口部から吐出された塗料の吐出部を扇の要とする略扇状液膜部の円弧中央部が液膜状態のまま到達する位置に置くことを特徴とする。ここで、「扇の要」とは、扇子を開く際に根本で止めるものであるので、吐出部から放射状に広がる略扇状液膜部の起点を意味する。
【0012】
本発明においては、ノズルヘッドには、中央部が広く両端部が狭い略三日月状のノズル開口部を備えるので、ノズル開口部における中央部より両端部の吐出抵抗が増加する。そのため、ノズル開口部の中央部から吐出される塗料に比較して、両端部から吐出される塗料の吐出量及び吐出速度が減少する。したがって、ノズル開口部から吐出された塗料は、正面視で吐出部を扇の要とした略扇状液膜部を形成することができる。
また、被塗布物は、ノズル開口部から吐出された略扇状液膜部の円弧中央部が液膜状態のまま到達する位置に置くので、略扇状液膜部の円弧両端部を除き、微粒化された塗料粒子(微粒化部)が外部に飛散する可能性を大幅に低減することができる。なお、略扇状液膜部の円弧両端部では、塗料の微粒化が始まっているため、塗面衝突時の運動量が減少し、跳ね返りによる塗面品質不良(パターン不良)を防止することができる。
また、略扇状液膜部の円弧両端部では、円弧中央部に比較して被塗布物へ塗着した塗料の膜厚を薄くできる。そのため、略扇状液膜部の円弧両端部をラップさせながら、被塗布物に連続して塗装する場合に、塗着した塗料の膜厚を全体として略均一に形成することができる。
【0013】
(3)(1)に記載された液膜又は液柱塗装方法において、
前記ノズルヘッドには、前記塗料が液柱状に吐出されるノズル孔を複数個備え、
前記被塗布物は、前記ノズル孔から液柱状に吐出された塗料が液柱状態のまま到達する位置に置くことを特徴とする。
【0014】
本発明においては、ノズルヘッドには、塗料が液柱状に吐出されるノズル孔を複数個備えるので、各ノズル孔から吐出される液柱状の塗料は、液膜状の塗料に比較して表面張力による変形が少なく、大気中の粘性抵抗を略均一に受けて、各液柱の直進性、連続性を維持させることができる。そのため、液柱状に吐出される塗料が、途中で微粒化される可能性を大幅に低減することができる。
また、被塗布物は、ノズル孔から液柱状に吐出された塗料が液柱状態のまま到達する位置に置くので、塗料が被塗布物に到達するまでの間に、微粒化した塗料粒子が外部に飛散することを、略完全に防止することができる。その結果、被塗布物への塗着効率を、略100%に向上させることができる。また、塗料粒子が外部に飛散しない分、作業環境や塗装面品質等の向上に寄与できる。
特に、本発明では、塗料を微粒化しないため、微粒化した塗料粒子を積層して塗装した仕上がり塗面よりも、仕上がり塗面に極微細な凹凸が少なく、艶感を大幅に向上させることができる。
【0015】
(4)(3)に記載された液膜又は液柱塗装方法において、
前記ノズルヘッドの下端には、前記ノズル孔を所定のピッチで配列し、前記ノズルヘッドを前記ノズル孔の配列方向と直交する方向に進行させて、前記塗料を塗着させることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、ノズルヘッドの下端には、ノズル孔を所定のピッチで配列し、ノズルヘッドをノズル孔の配列方向と直交する方向に進行させて、塗料を塗着させるので、液柱化された1本1本の塗料を被塗布物上に所定のピッチで等間隔に塗着させることができる。等間隔に塗着された塗料は、塗着後に互いの間隔を埋める方向に拡張する。液柱化された1本1本の塗料は、跳ね返ることなく均一に全量塗着されるので、塗料が拡張した時、全体として均一な厚さの塗膜を形成することができる。ここで、ノズル孔の配列は、複数のノズル孔を一つの直線上に配列する場合に限らず、複数のノズル孔を二つの直線上に千鳥状に配列する場合等も含まれる。
なお、塗料が塗料供給装置からノズルヘッドに供給される液圧は、0.1〜1.0MPaであり、ノズル孔の孔径は、0.1〜0.5mmであって、ノズル孔のピッチは、1.5〜2.0mm程度であることが好ましい。特に、液圧は、0.2〜0.4MPa程度が、より一層好ましい。大気圧に近い低圧で小径に液柱化された1本1本の塗料は、少量かつ低速で被塗布物に衝突することができる。そのため、塗料が被塗布物に衝突しても、運動量が小さくて跳ね返ることができず、確実に全量塗着させることができる。
【0017】
(5)(4)に記載された液膜又は液柱塗装方法において、
前記ノズル孔は、配列方向の前端部及び後端部に形成した孔径が、配列方向の中央部に形成した孔径より小さいことを特徴とする。
【0018】
本発明においては、ノズル孔は、配列方向の前端部及び後端部に形成した孔径が、配列方向の中央部に形成した孔径より小さいので、ノズル孔の配列方向の前端部及び後端部に対応して被塗布物へ塗着した塗料の膜厚を、中央部に対応して被塗布物へ塗着した塗料の膜厚と比較して、薄く形成することができる。そのため、ノズル孔の配列方向の前端部及び後端部をラップさせながら、被塗布物に連続して塗装する場合に、塗着した塗料の膜厚を全体として略均一に形成することができる。