特許第6131857号(P6131857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 和光純薬工業株式会社の特許一覧

特許6131857バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法
<>
  • 特許6131857-バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法 図000025
  • 特許6131857-バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法 図000026
  • 特許6131857-バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法 図000027
  • 特許6131857-バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法 図000028
  • 特許6131857-バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法 図000029
  • 特許6131857-バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法 図000030
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131857
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】バイサルファイト反応を利用したメチル化シトシンの検出方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20170515BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12Q1/68 A
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-549253(P2013-549253)
(86)(22)【出願日】2012年12月10日
(86)【国際出願番号】JP2012081936
(87)【国際公開番号】WO2013089063
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-272868(P2011-272868)
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】和光純薬工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林田 幸信
(72)【発明者】
【氏名】山本 直之
【審査官】 市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/021563(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/034264(WO,A1)
【文献】 三浦史仁, 他,エピジェネティクス解析の新手法 1.ゲノム網羅的メチル化解析,実験医学,2010年 9月10日,Vol.28, No.15,P.2407-2414
【文献】 RAIZIS, A.M., et al.,A bisulfite method of 5-methylcytosine mapping that minimizes template degradation.,Anal. Biochem.,1995年 5月20日,Vol.226, No.1,P.161-166
【文献】 EpiTect(R) Bisulfite Handbook.,Sample & Assay Technologies,Qiagen,2009年 9月,P.1-48
【文献】 EpiSight Bisulfite Conversion Kit/ EpiSight BisulTaq DNA Polymerase.,Wako Boi Window,2012年 1月,No.114,P.2-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12Q 1/00−3/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本鎖DNAを、下記一般式[1−1]、[1−2]、[1−3]、[2−1]又は[2−2]で示される化合物の少なくとも1種の存在下でバイサルファイト反応に付すことを特徴とする、前記一本鎖DNA中の非メチル化シトシンをウラシルに変換する方法。
【請求項2】
請求項1のバイサルファイト反応の後、バイサルファイト反応産物をPCR反応に付す、非メチル化シトシンがウラシルに変換された一本鎖DNAの増幅方法。
【請求項3】
請求項のPCR反応の後、更に、PCR反応で得られた、増幅された一本鎖DNAを塩基配列解析に付す、前記一本鎖DNA中のメチル化シトシンの検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なバイサルファイト反応による、一本鎖DNA中の非メチル化シトシンをウラシルに変換する方法、非メチル化シトシンがウラシルに変換された一本鎖DNAの増幅方法、一本鎖DNAのメチル化シトシンの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内におけるゲノムDNAのメチル化は、mRNA発現を抑制するために起こることが知られている。更に、ゲノム上のメチル化のパターンの差異が、発生、分化、癌等の疾患に関係することも報告されており、ゲノムDNAのメチル化を解析することは、病気の原因解明や予防、医薬品の開発、再生医療の研究等において重要な役割を持っている。
一方、DNA塩基配列中のメチル化シトシンを測定する方法としては、メチル化感受性の制限酵素による切断片を比較する方法、バイサルファイト法、methylation−specific PCR法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いる方法等が知られている。その中でもバイサルファイト法は、低コストで且つハイスループットへの応用もでき、シークエンシングやスクリーニングに有効であるため、一般的な方法として普及してきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のバイサルファイト法は、非メチル化シトシンからウラシルへの変換率が高くないため、メチル化シトシンの検出精度が低い等の問題を有していた。そのため、現在、非メチル化シトシンからウラシルへの変換効率が高いバイサルファイト法の開発が望まれていた。
本発明は、従来のバイサルファイト法と比較して、非メチル化シトシンからウラシルへの変換率が高い新たなバイサルファイト反応による、一本鎖DNA中の非メチル化シトシンをウラシルに変換する方法、非メチル化シトシンがウラシルに変換された一本鎖DNAの増幅方法、一本鎖DNAのメチル化シトシンの検出方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記状況に鑑み、精度の高いバイサルファイト法を開発するために鋭意研究した結果、バイサルファイト反応時に、下記一般式[1]〜[8]で示される化合物から選ばれる少なくとも1種を共存させることにより、非メチル化シトシンを効率よくウラシルに変換できることを見出し、本発明を完成するに至った;
下記一般式[1]で示される化合物
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す)、
下記一般式[2]で示される化合物
(式中、Yは、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し、R7〜R12は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、kは0〜2の整数を表すが、Yが酸素原子の場合は0を、Yが窒素原子の場合は1を、Yが炭素原子の場合は2を表す。)
下記一般式[3]で示される化合物
(式中、R13〜R15は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)、
下記一般式[4]で示される化合物
(式中、R17及びR19は、それぞれ独立して水素原子、アミノ基又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16、R18及びR20は、それぞれ独立して水素原子、アミノ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のジアルキルアミノ基を表し、R16とR17は、R16の隣りの炭素原子、R17の隣りの炭素原子と共にベンゼン環を形成してもよい。)、
下記一般式[5]で示される化合物
(式中、R21及びR22はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表し、X1はカウンターアニオンを表す)、
下記一般式[6]で示される化合物
(式中、R23は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R24〜R28は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、X2はカウンターアニオンを表す)、
下記化合物一般式[7]で示される化合物
(式中、R29〜R34は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)
下記一般式[8]で示される化合物
[式中、Zは窒素原子又は炭素原子を表し、mは0又は1の整数を表し、Zが窒素原子の場合は0を表し、Zが炭素原子の場合は1を表す。R35〜R39はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表す]。
即ち、本発明は、
(1)一本鎖DNAを、上記一般式[1]〜[8]で示される化合物の少なくとも1種の存在下でバイサルファイト反応に付すことを特徴とする、前記一本鎖DNA中の非メチル化シトシンをウラシルに変換する方法(以下、本発明のウラシル変換方法と略記する場合がある)、
(2)(1)のバイサルファイト反応の後、更にPCR反応に付す、非メチル化シトシンがウラシルに変換された一本鎖DNAの増幅方法(以下、本発明の一本鎖DNA増幅方法と略記する場合がある)、
(3)(2)で増幅された一本鎖DNAを塩基配列解析に付す、前記一本鎖DNA中のメチル化シトシンの検出方法(以下、本発明のメチル化シトシン検出方法と略記する場合がある)(上記(1)〜(3)の方法を合わせて本発明の方法と略記する場合がある)に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明のウラシル変換方法によれば、一本鎖DNA中の非メチル化シトシンをウラシルに高効率に変換することができ、一本鎖DNAが500〜1000bpの比較的長い一本鎖DNAであっても高い効率で変換することができる。更に、高い温度でのバイサルファイト反応であってもメチル化シトシンが脱アミノ化することがほとんどないため、メチル化シトシンの検出精度を落とすことなく、反応時間の短縮化を図ることも可能となる。その結果、本発明のウラシル変換方法により得られた一本鎖DNAを増幅し、塩基配列解析をすることにより、一本鎖DNA中のメチル化シトシンを、比較的長い一本鎖DNAであっても、短時間で高精度に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、比較例1〜2及び実施例1〜2で得られた、PCR増幅産物のアガロースゲルによる泳動結果を表す。
図2図2は、比較例1〜2、実施例1及び実施例3〜8で得られた、PCR増幅産物のアガロースゲルによる泳動結果を表す。
図3図3は、比較例1〜2、実施例9〜16で得られた、PCR増幅産物のAgilent 2100 bioanalyzerによる泳動結果を表す。
図4図4は、実施例1及び2のPCR増幅産物(DBUを添加した方法)の塩基配列解読結果を表す。
図5図5は、実施例1のPCR増幅産物(DBUを添加した方法)についてのCpGジヌクレオチドのシトシンが非メチル化シトシン及びメチル化シトシンの何れであるかを表した図である。
図6図6は、実施例2のPCR増幅産物(DBNを添加した方法)についてのCpGジヌクレオチドのシトシンが非メチル化シトシン及びメチル化シトシン何れであるかを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一般式[1]で示される化合物(ジアミン化合物)
R1〜R6における炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよいが、炭素数1〜3のものが好ましく、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0008】
R1〜R6は、水素原子が好ましい。
【0009】
nは、1〜3の整数を表し、1又は3が好ましく、3が特に好ましい。
【0010】
一般式[1]で示される化合物としては、例えば下記式[1−1]〜[1−3]が挙げられ、式[1−1]及び[1−3]が好ましく、式[1−3]がより好ましい。
【0011】
【0012】
一般式[2]で示される化合物(環状アミノ化合物)
Yは、炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表すが、炭素原子、酸素原子が好ましく、炭素原子が特に好ましい。尚、Yが酸素原子の場合kは0を、Yが窒素原子の場合kは1を、Yが炭素原子の場合kは2を表す
【0013】
R7〜R12における炭素数1〜6のアルキル基としては、上記R1〜R6における炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0014】
R7〜R11は、水素原子が好ましいが、R12は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
【0015】
一般式[2]で示される化合物としては、例えば下記式[2−1]〜[2―19]が挙げられ、式[2−1]〜[2−4]が好ましく、式[2−1]及び[2−2]がより好ましい。
【0016】



【0017】
一般式[3]で示される化合物(アミノ化合物)
R13〜R15における炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよいが、直鎖状又は分枝状が好ましい。炭素数2〜6のものが好ましく、炭素数2〜4のものがより好ましく、具体的には、例えばエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられ、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が好ましく、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基がより好ましく、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。
【0018】
R13〜R15は、少なくとも1つが炭素数1〜6のアルキル基であるものが好ましく、全てが炭素数1〜6のアルキル基であるものがより好ましい。
【0019】
一般式[3]で示される化合物としては、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン等の1級アミン、N−エチルメチルアミン、N−メチルプロピルアミン、N−ブチルメチルアミン、N−ヘキシルメチルアミン、N−エチルプロピルアミン、N−ブチルエチルアミン等の2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等の3級アミンが挙げられるが、3級アミンが好ましく、中でもトリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミンが好ましく、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミンがより好ましい。
【0020】
一般式[4]で示される化合物(ピリジン化合物)
R16〜R20における炭素数1〜6のアルキル基としては、上記R1〜R6における炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0021】
R16、R18及びR20における炭素数2〜6のジアルキルアミノ基としては、具体的には例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基等炭素数1〜3のアルキル基で置換されたアミノ基が挙げられるが、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基が特に好ましい。
【0022】
R17及びR19は水素が好ましく、R16、R18及びR20は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基が好ましい。
【0023】
一般式[4]で示される化合物としては、下記式[4−1]〜[4−14]が挙げられ、式[4−1]〜[4−4]が好ましく、式[4−1]、[4−2]及び[4−4]がより好ましい。
【0024】


【0025】
一般式[5]で示される化合物
一般式[5]中のR21又はR22における炭素数1〜6のアルキル基としては、上記R1〜R6における炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0026】
R21は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、R22は炭素数2〜6のアルキル基が好ましく、炭素数2〜3のアルキル基がより好ましい。
【0027】
一般式[5]中のXにおけるカウンターアニオンとしては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲン化イオンが挙げられるが、より具体的には、SbF6、AsF6、PF6、BF4、CF3SO2、CF3CO2等が挙げられ、BF4、CF3SO2、CF3CO2等が好ましく、中でもCF3CO2が特に好ましい。
【0028】
一般式[5]で示される化合物としては、具体的には例えば、下記表1中の式[5−1]〜[5−14]記載のものが挙げられ、式[5−1]〜[5−4]記載のものが好ましく、式[5−1]又は[5−2]記載のものがより好ましい。
【0029】
【表1】
【0030】
一般式[6]で示される化合物
一般式[6]中のR23〜R28における炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよいが、直鎖状又は分枝状が好ましく、炭素数1〜4のものが好ましい。具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が好ましく、n−プロピル基、n−ブチル基がより好ましい。
【0031】
一般式[6]中のR24〜R28は、水素原子が好ましい。
【0032】
一般式[6]中のX2としては、一般式[5]中のX1と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0033】
一般式[6]で示される化合物としては、具体的には例えば、下記表2中の式[6−1]〜[6−16]記載のものが挙げられ、式[6−1]〜[6−4]記載のものが好ましく、式[6−1]又は[6−2]記載のものがより好ましい。
【0034】
【表2】
【0035】
一般式[7]で示される化合物(DABCO化合物)
R29〜R34における炭素数1〜6のアルキル基としては、R1〜R6における炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0036】
一般式[7]で示される化合物としては、具体的には例えば、下記式[7−1]〜[7−3]が挙げられるが、[7−1]が好ましい。
【0037】
【0038】
一般式[8]で示される化合物(ピロール化合物)
R35〜R39における炭素数1〜6のアルキル基としては、R1〜R6における炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられる。
【0039】
R36〜R39は水素原子が好ましい。
【0040】
Zは、窒素原子又は炭素原子を表すが、窒素原子が好ましい。尚、Zが窒素原子の場合、mは0を表し、Zが炭素原子の場合、mは1を表す。
【0041】
一般式[8]で示される化合物の具体例としては、例えば、下記式[8−1]〜[8−8]が挙げられ、式[8−1]〜[8−4]が好ましく、式[8−1]〜[8−2]がより好ましく、式[8−1]が更に好ましい。
【0042】

【0043】
本発明の方法においては、バイサルファイト反応時に上記一般式[1]〜[8]で示される化合物少なくとも1種を存在させればよいが、非メチル化シトシンをウラシルに変換する効率を考慮すると、上記一般式[1]〜[8]で示される化合物の中でも、一般式[1]〜[3]で示される化合物が好ましく、一般式[1]又は[2]で示される化合物がより好ましく、一般式[1]で示される化合物が特に好ましい。
【0044】
本発明に係る一本鎖DNAとしては、メチル化シトシンを含有する一本鎖DNAが好ましく、メチル化シトシンの含有率が高いプロモーター領域を有するものが好ましい。上記一本鎖DNAは、既知の配列であっても未知の配列であっても何れでもよいが、未知の配列の場合、バイサルファイト反応に付す前の一本鎖DNAについて塩基配列解析をする必要があるため、既知の配列の方が好ましい。該一本鎖DNAの塩基数は、通常80〜1000塩基であり、100〜600塩基が好ましい。
【0045】
本発明に係る一本鎖DNAは、例えばラボマニュアル遺伝子工学(丸善)、遺伝子工学ハンドブック(羊土社)等に記載のアルカリSDS法等公知のDNA抽出方法に従って、或いは、市販のゲノムDNAの抽出キットを用いて、細胞、微生物、ウィルス等から抽出することにより得られる。尚、抽出されたDNAが二本鎖の場合には、自体公知の一本鎖化処理により一本鎖DNAを得ることができる。
【0046】
該一本鎖化処理としては、例えば通常80〜100℃で、好ましくは85〜95℃で通常30秒〜10分、好ましくは1〜3分間加熱することによりなされる熱処理や、例えばDNAをアルカリに接触させることによりなされるアルカリ処理等が挙げられる。本発明の方法においては、バイサルファイト反応における反応温度を80〜100℃にしてもDNAが分解することなく反応を進めることができるため、二本鎖DNAを80〜100℃でバイサルファイト反応に付し、一本鎖化処理とバイサルファイト反応を同時に進めてもよく、処理を簡素化できるため、一本鎖化処理を行う場合には該熱処理が好ましい。上記アルカリ処理としては、具体的には例えばアルカリ又はその水溶液を本発明に係るDNA又は本発明に係るDNAを含む溶液に添加して溶液を通常pH10〜14、好ましくは12〜14のアルカリ性にすることによりなされる。該アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、アンモニア、アミン類が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましく、これらの中でも水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0047】
[本発明の一本鎖DNA中の非メチル化シトシンをウラシルに変換する方法(本発明のウラシル変換方法)]
本発明のウラシル変換方法としては、一本鎖DNAを、上記一般式[1]〜[8]で示される化合物の少なくとも1種の存在下でバイサルファイト反応に付すことによりなされればよい。
【0048】
上記バイサルファイト反応としては、上記一般式[1]〜[8]で示される化合物から選ばれる少なくとも1種を、反応溶液中に共存させる以外は、通常この分野で用いられるバイサルファイト反応に準じて行えばよい。具体的には、例えば一本鎖DNAを、一般式[1]〜[8]で示される化合物の存在下で亜硫酸塩と反応させた(シトシンのスルホン酸化)後、スルホン酸化したシトシンを加水分解させ、更に、アルカリ存在下で脱スルホン酸化させることによりなされる。該反応によれば、メチル化シトシンは反応せずそのままであり、非メチル化シトシンのみがウラシルに変換される。尚、一般式[1]〜[8]で示される化合物は、亜硫酸塩との反応及び加水分解処理の際に存在させるのが好ましい。
【0049】
上記バイサルファイト反応において、一本鎖DNAは、一本鎖DNAを溶解した溶液で供されるのが通常であるが、該溶液としては、例えばpH6〜8の、MES、HEPES等のグッド緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、滅菌水等に溶解したもの等が挙げられ、中でも滅菌水に溶解したものが好ましい。該溶液中のDNA量は特に限定はされないが、通常溶液1〜10μL中に10〜100ngである。
【0050】
上記一般式[1]〜[8]で示される化合物の使用量は、その量が多いと亜硫酸塩が析出してしまうため、これらの化合物が液体の場合には、反応溶液中の濃度として通常1〜10%、好ましくは3〜10%、より好ましくは3〜8%となる量を用いればよい。また、化合物が固体の場合には、反応溶液中の濃度として通常1〜1000mmol/L、好ましくは1〜500mmol、より好ましくは10〜300mmolとなる量を用いればよい。
【0051】
上記バイサルファイト反応中のDNAと亜硫酸塩の反応における、亜硫酸塩としては、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられ、亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。その使用量は、通常DNA50〜500ngを含む1〜500μLの溶液に対して反応液中の終濃度が1〜6mol/Lとなるように添加される。該DNAと亜硫酸塩との反応は、通常30〜100℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは80〜95℃で、通常60分〜20時間、好ましくは60分〜5時間、より好ましくは60〜120分反応させることによりなされる。
【0052】
上記バイサルファイト反応中のスルホン酸化したシトシンの加水分解は、通常この分野でなされている方法であれば特に限定はされないが、通常30〜100℃、好ましくは80〜95℃で、通常60分〜20時間、好ましくは60分〜5時間、より好ましくは60〜120分加熱することによりなされる。尚、該加水分解処理は、上記DNAと亜硫酸塩の反応と同時に進めてもよい。その場合には、DNAと亜硫酸塩の反応における反応温度及び反応時間を、スルホン酸化したシトシンの加水分解条件に合わせて設定すればよい。
【0053】
上記加水分解を行ったDNAについては、脱スルホン酸化処理をする前に、精製処理に付すのが好ましい。該精製処理は、バイサルファイト反応において用いられる高濃度の亜硫酸塩等を取り除くことを目的としてなされるものであり、通常この分野でなされるDNAの精製方法に準じてなされればよい。具体的には、例えばDNA又はDNAを含む溶液に、グアニジン塩酸塩、ヨウ化ナトリウム等のカオトロピック剤を添加し、それを、HPLC法等により分離精製する方法や、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出精製、アルコール沈殿法、シリカゲルを充填したカラムによる精製、フィルターろ過法等が挙げられ、中でもアルコール沈殿法が好ましい。該アルコール沈殿法としては、具体的には以下のようになされる。
【0054】
即ち、加水分解処理後のDNAを含む溶液10μLに対して、通常アルコール40〜110μL、緩衝液30〜100μLを添加し、遠心分離を行う。遠心分離後、上清を除去しアルコールで洗浄することにより、DNAを分離精製することができる。上記アルコール及び緩衝液添加の際、分離後の上清の除去を容易にするために、DNAを含む溶液10μLに対して0.1〜1μLのエタチンメイトやグリコーゲンを添加してもよい。上記アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられるが、イソプロパノールが特に好ましい。本発明に係るバイサルファイト反応においては、理由は不明であるが、イソプロパノールを用いると、DNAのみを効率よく沈殿させることができ、効率よく反応を進めることが可能となる。上記緩衝液としては、例えばMES、HEPES等のグッド緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液等が挙げられ、中でも、MES、HEPES等のグッド緩衝液、トリス緩衝液等が好ましく、トリス緩衝液が特に好ましい。これら緩衝液のpHは、通常7〜8、好ましくは7〜7.5であり、緩衝液中の緩衝剤濃度としては、通常0.1〜5 mol/L、好ましくは0.1〜2 mol/Lの範囲である。上記遠心分離は、通常この分野でなされる態様であれば特に限定されないが、通常12,000〜22,000gで10〜30分間なされる。
【0055】
上記バイサルファイト反応中のアルカリ存在下での脱スルホン酸化反応としては、上記一本鎖化処理の項のアルカリ処理と同じ方法が挙げられ、その好ましい態様も同じものが挙げられる。具体的には、例えば以下の如くなされればよい。
即ち、加水分解処理後の溶液又は加水分解処理後精製処理に付した溶液10μLに対して、0.5〜3mol/Lのアルカリ水溶液を通常1〜10μL、好ましくは1〜5μL添加し、通常5〜60分間、好ましくは5〜30分間、通常25〜70℃、好ましくは30〜50℃で加温することにより脱スルホン酸化反応を行う。
【0056】
本発明の一本鎖DNA中の非メチル化シトシンをウラシルに変換する方法の好ましい例を以下に説明する。
即ち、例えば、DNA抽出キット等を用いて細胞等からDNAを抽出し、DNA 1μgを例えば滅菌水5〜15μLに溶解する。該溶液3〜5μLに、例えば2〜5mol/Lの亜硫酸水素ナトリウム(pH5.0〜7.0)50〜100μL、及び、一般式[1]〜[8]で示される化合物が液体の場合には、反応溶液中の濃度が3〜10%となるように、一般式[1]〜[8]で示される化合物が固体の場合には、反応溶液中の濃度が1〜1000mmol/Lとなるように、一般式[1]〜[8]で示される化合物又はそれらを含有する水溶液1〜12μLを添加して、80〜100℃で60〜120分間加熱する。DNAが二本鎖の場合には、該条件で反応させることにより、二本鎖DNAは一本鎖DNAになり、該一本鎖DNA中のシトシンをスルホン酸化すると同時にスルホン酸化されたシトシンを加水分解することができる。次いで、1mol/L トリス緩衝液(pH7.0〜8.0)及びイソプロパノールを、40:60〜60:40、好ましくは40:60〜50:50の割合でそれぞれ加水分解後の溶液の5〜10倍量添加し、加水分解後のDNAを沈殿させる。この際、エタチンメイトやグリコーゲンを1〜3μL添加するとDNA沈殿の確認が容易となる。その後、12,000〜20,000gで10〜20分間遠心分離し、上清を取り除き、得られたDNAをエタノールで洗浄する。これにより、加水分解後のDNAを抽出精製することができる。更に、得られたDNA 1μgを例えば滅菌水30〜40μLに溶解し、該溶液に、1〜3mol/Lの水酸化ナトリウム5〜20μLを添加し、30〜40℃で20〜60分間反応させ、脱スルホン酸化する。その後、要すれば、例えば市販のキット等を用いて低分子量のDNAを取り除き精製する。これにより、本発明に係るバイサルファイト反応が完了し、一本鎖DNA中の非メチル化シトシンが効率よくウラシルに変換されたDNA(以下、ウラシル化DNAと略記する場合がある)が得られる。
【0057】
[本発明の一本鎖DNA増幅方法]
本発明の一本鎖DNA増幅方法は、上記本発明のウラシル変換方法で得られたウラシル化DNA(バイサルファイト反応産物)をPCR反応に付すことによりなされ、該方法により、非メチル化シトシンがウラシルに変換された一本鎖DNAが増幅される。
【0058】
本発明の一本鎖DNA増幅方法におけるPCR反応は、自体公知の方法例えばNucleic Acids Research,1991,Vol.19,3749、BioTechniques, 1994, Vol.16, 1134−1137に記載の方法に準じて行えばよいが、具体的には以下のようになされる。即ち、鋳型となるウラシル化DNAの核酸量1〜100ngに、2種のプライマーをそれぞれ通常0.1〜100pmol、好ましくは0.1〜50pmol、DNAポリメラーゼを通常1〜10 Units、好ましくは2.5〜5Units、並びに4種類の混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)を通常0.01〜20μmol、好ましくは、0.01〜10μmol添加し、pH7〜9のトライシン緩衝液、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液中で、例えば(1)93〜98℃、1〜10分→(2)93〜98℃、10〜30秒→(3)50〜60℃、10〜30秒→(4)68〜72℃、30秒〜5分間を1サイクルとして20〜40サイクル行うことにより、ウラシル化DNAを増幅して得ることができる。尚、用いられるDNAポリメラーゼに応じて、上記サイクルの実施後に、3’アデニン付加のために68〜72℃で1〜5分間の加熱を行ってもよい。
【0059】
上記PCR反応においては、反応後、通常この分野で用いられている精製方法、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出、アルコール沈殿、カラム精製、フィルターろ過等の方法により得られたDNAを精製するのが好ましい。また、上記精製の後、目的の塩基対(bp)を有するDNAを抽出するのがより好ましい。該抽出方法としては、自体公知の方法、例えばアガロースゲル電気泳動を用いる方法、液体クロマトグラフィー法を用いる方法や増補版ラボマニュアル遺伝子工学,1990,27−28に記載のポリアクリルアミドゲル等の電気泳動を用いた方法等が挙げられる。また、上記の如きPCR反応により得た本発明に係る二本鎖DNAについては、目的のDNAをより多く得るため、更にPCR反応に付してもよい。
【0060】
上記PCR反応における2種のプライマーとしては、鋳型である、ウラシル化DNAの一部を含むものであればよく、本発明に係る一本鎖DNAに応じて通常のこの分野で用いられるプライマーを適宜選択して用いればよい。そのヌクレオチド数は通常12〜40、好ましくは15〜35、より好ましくは18〜32である。
【0061】
上記PCR反応におけるDNAポリメラーゼとしては、通常この分野で用いられるDNAポリメラーゼであれば何れでもよいが、5’→3’ポリメラーゼ活性を有するものが好ましく、中でも、エキソヌクレアーゼ活性を有するが3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有さないものがより好ましい。具体的には、例えばKAPA2Gポリメラーゼ等の変異型Taq DNAポリメラーゼ、Taq DNA ポリメラーゼ、Tth DNA ポリメラーゼが好ましく、中でもKAPA2Gポリメラーゼが特に好ましい。
【0062】
上記dNTPsは、通常この分野で用いられる4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)の混合物であれば特に限定はされない。
【0063】
本発明のDNA増幅方法の好ましい例を以下に説明する。
即ち、まず、本発明のウラシル変換方法の項で記載したように、一本鎖DNAをバイサルファイト反応に付して、ウラシル化DNAを得る。その後、得られたウラシル化DNAをPCR反応に付す。即ち、バイサルファイト反応により得られた一本鎖DNA 1〜100ngを含む溶液1〜3μLに、1〜10μmol/Lの増幅対象となるDNAの上流用のプライマー5〜10μLと1〜10μmol/Lの増幅対象となるDNAの下流用プライマー5〜10μL、1〜5mmol/Lの4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)の混合溶液5〜10μL、並びに、1〜5UnitsのKAPA DNAポリメラーゼ 10〜20μLを添加して、例えば93〜98℃、1〜10分→93〜98℃、10〜30秒→50〜60℃、10〜30秒→68〜72℃、68〜72℃、30秒〜5分間を1サイクルとして20〜40サイクル行う。これにより、ウラシル化DNAが増幅される。なお、後述のウラシル化DNAをベクターに組み込む方法としてTAクローニング法を用いるために、DNAポリメラーゼの3’末端のアデニン付加活性を利用する場合、上記サイクル反応後、更に68〜72℃、30秒〜5分間反応させてもよい。次いで、該二本鎖DNAを例えばアガロースゲル又は未変性ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い、目的の鎖長のDNAを抽出する。尚、必要に応じて、得られたDNAを、例えばフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出等で精製してもよい。以上の操作により、ウラシル化DNAを効率よく増幅することができる。
【0064】
[本発明のメチル化シトシン検出方法]
本発明のメチル化シトシン検出方法は、本発明の一本鎖DNA増幅方法で得られた、増幅されたウラシル化DNA(PCR反応産物)を塩基配列解析に付すことによりなされる。
【0065】
上記塩基配列解析としては、通常この分野でなされている塩基配列解析方法であれば特に限定されず、例えば、ラボマニュアル遺伝子工学、遺伝子工学ハンドブック等に記載の蛍光ダイターミネーター法、サンガー法等の常法に従ってなされればよい。具体的には、例えば本発明の増幅法により得られた、ウラシル化DNAをベクターに組み込み、得られた組換えベクターをコンピテントセルに形質転換し、該コンピテントセルを培養し、そこからウラシル化DNAを含むプラスミドを抽出し、該プラスミドを用いて例えばシークエンサー等で解読することによりなされる。このようにして得た塩基配列とバイサルファイト反応に付していない通常のDNAの塩基配列を比較することにより、メチル化シトシンを検出することができる。即ち、本発明に係るバイサルファイト反応ではメチル化シトシン以外のシトシン(非メチル化シトシン)は全てウラシル化されるため、得られた塩基配列においてウラシル化されていないシトシンを見つけ出すことによってメチル化シトシンを検出することができる。
【0066】
上記ウラシル化DNAをベクターに組み込む方法としては、具体的には、例えば、プラスミド、コスミド、ファージミド等のベクター並びにウラシル化DNAをT4DNAポリメラーゼ等で平滑末端化した後、ウラシル化DNAを、T4DNAリガーゼを用いてベクターに挿入する方法や、ウラシル化DNAにアデニン(A)を付加し、該アデニンが付加されたウラシル化DNAを、T4DNAリガーゼを用いてチミン塩基が付加されているベクターに組み込むTAクローニング法等が挙げられる。中でも、挿入するDNAとベクター両者を制限酵素により切断する必要がなく簡便なTAクローニング法が好ましい。
【0067】
該TAクローニング法としては具体的には例えば以下の如くなされる。即ち、PCR反応後のウラシル化DNA100ngに対してTaq DNAポリメラーゼ1〜5 Unitsを添加し、55〜75℃で10〜30分間反応させ、ウラシル化DNAの3’末端にアデニンを付加させる。尚、PCR反応の際に3’末端のアデニン付加活性を有するDNAポリメラーゼを用いる場合は、上記アデニン付加工程の必要はない。また、該反応の際、ウラシル化DNA 100ngに対してdATP0.01〜20nmolを反応液中に添加してもよいが、PCR反応溶液をそのままTAクローニングに用いる場合には、dATPが残存しているため、dATPを添加する必要はない。また、アデニンが付加されたウラシル化DNAについては、合成反応後、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合溶液による抽出、アルコール沈殿、カラム精製、フィルターろ過等の方法により得られたDNAを精製するのが好ましい。次いで、アデニンが付加されたウラシル化DNA 10〜100ngに対して、チミン塩基が付加されている大腸菌形質転換用ベクター及びT4 DNAリガーゼ300〜3000 Unitsを付与して10〜40℃で30〜90分間反応させことにより、ウラシル化DNAを組み込んだ組換えベクターを得ることができる。
【0068】
上記組換えベクターのコンピテントセルへの形質転換方法としては、例えば35〜45℃で20〜90秒加熱するヒートショック法や1.5〜2.5kVの電気パルスをかけるエレクトロポレーション法等が挙げられる。ここで用いられるコンピテントセルとしては、通常用いられる大腸菌や枯草菌等であれば何れでも用いることができ、その使用量は通常用いられる範囲内で適宜設定されればよい。
【0069】
上記コンピテントセルの培養は、例えばアンピシリンを30〜150μg/ml含むLB寒天培地やアンピシリンを30〜150μg/ml含むM9寒天培地等の培地上で30〜40℃で12〜20時間培養することによりなされる。尚、上記培地としては、微生物がの栄養源となる炭素源、窒素源、無機塩類や生育因子としての酵母エキス等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行えるものであれば、天然培地、合成培地などのいずれを用いてもよい。該炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。該窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、トリプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0070】
培養したコンピテントセルからウラシル化DNAを含むプラスミドを抽出する方法としては、例えば、先ず、コロニーPCR法により、コロニー中のウラシル化DNAを含むプラスミド由来のDNAを増幅する。その後、目的のプラスミドがコロニー中で増幅しているかを例えば電気泳動法により確認し、目的のプラスミドの挿入が確認されたコロニーから目的のプラスミドを抽出することによりなされればよい。
【0071】
該コロニーPCR法としては、例えば以下の如くなされる。即ち、培養したコロニーに、目的の塩基配列検出のための2種のPCRプライマーそれぞれ通常0.1〜100pmol、好ましくは0.1〜50pmol、4種類の混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)通常0.01〜20nmol、好ましくは、0.01〜10nmol、並びにDNAポリメラーゼ通常1〜10Units、好ましくは1〜5Units添加し、pH7〜9のトライシン緩衝液、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液中で、例えば(1)93〜98℃、1〜10分→(2)93〜98℃、10〜30秒→(3)50〜60℃、10〜30秒→(4)68〜72℃、30秒〜5分間を1サイクルとして25〜40サイクルの反応を行うことによりなされる。上記2種のプライマーとしては、目的のDNAを増幅できるように設計されたもの、即ち、ウラシル化DNAの全部又は一部を含むもの、又は、挿入されているウラシル化DNAの両端に位置するベクター由来の配列等が挙げられるが、ウラシル化DNAの両端に位置するベクター由来の配列が好ましい。即ち、本発明のDNA増幅方法及び本発明のメチル化シトシン検出方法においては、非メチル化シトシンがウラシル化され、該ウラシルはPCR反応の時にチミンとして読まれるため、シトシンが全て非メチル化シトシンであった場合、ウラシル化DNAは3塩基から構成されることとなる。そのため、効率よくPCR反応をするためには、4塩基で構成することができる、ウラシル化DNAの両端に位置するベクター由来の配列が好ましい。上記プライマーのヌクレオチド数は通常12〜30、好ましくは15〜25、より好ましくは18〜22である。上記DNAポリメラーゼとしては例えば通常この分野で用いられるDNAポリメラーゼであれば何れでもよいが、具体的には、例えばTaq DNA ポリメラーゼ、Tth DNA ポリメラーゼ、KOD DNA ポリメラーゼ等が挙げられ、中でもTaq DNA ポリメラーゼ、KOD DNA ポリメラーゼ等が好ましい。
【0072】
上記コロニーPCR反応後になされる電気泳動法としては、通常この分野で用いられる、移動度により塩基数を求めることができるゲル電気泳動法であればいずれでもよいが、アガロースゲル電気泳動法が好ましい。尚、該電気泳動法における泳動条件については公知の方法に準じて適宜設定されればよい。
【0073】
上記コロニー部からプラスミドを取り出す方法としては、例えばラボマニュアル遺伝子工学(丸善)、遺伝子工学ハンドブック(羊土社)等に記載の、振とう培養の後、アルカリSDS法等公知のプラスミド抽出方法によりプラスミドを抽出すればよい。尚、プラスミド抽出は、市販のキットを用いて行ってもよい。上記振とう培養における培地は、寒天を用いずに溶液とした以外は、コンピテントセルの培養の項に記載された培地と同じものを用いることができ、好ましい培養時間、培養温度についてもコンピテントセルの項で記載した範囲と同じである。
【0074】
本発明のメチル化シトシン検出方法の好ましい例を以下に説明する。
【0075】
即ち、まず、本発明のウラシル変換方法及び本発明の増幅方法の項で記載したように、一本鎖DNAをバイサルファイト反応、PCR反応の順に付して、増幅したウラシル化DNAを得る。該ウラシル化DNA 10〜100ngを含む1〜5μLの滅菌水等に、チミン塩基が付加されている10〜100ngの大腸菌形質転換用ベクター1〜3μL及び300〜3000 UnitsのT4 DNAリガーゼ1〜3μLを付与して10〜20℃で30〜240分間反応させ、ウラシル化DNAを組み込んだ組換えベクターを得る。尚、PCR反応の際にアデニン付加活性を有さない、例えばα−DNAポリメラーゼを用いた場合には、ベクターに組み込む前に、ウラシル化DNAにアデニンを付加する。該アデニン付加方法としては、例えば100ng〜1μgのウラシル化DNAを含むPCR反応溶液5〜10μLに1〜5 UnitsのTaq DNAポリメラーゼ0.5〜1μLを添加して55〜75℃で10〜30分間反応させ、ウラシル化DNAの3’末端にアデニンを付加させることによりなされればよい。尚、アデニン反応後は、精製操作に付すのが好ましい。組換えベクターを取得した後、得られた組換えベクター10〜100ngをコンピテントセル108〜109細胞に添加し、35〜45℃で20〜90秒加熱して形質転換を行う。更に、例えばアンピシリン30〜150μg/ml、トリプトンを1% (w/v)、酵母エキスを0.5% (w/v)、塩化ナトリウムを1% (w/v)含む寒天培地上で30〜40℃で12〜20時間培養する。次いで、得られた培養物をコロニーPCRに付す。具体的には、コロニーを溶解した滅菌水1〜10μLに、目的のDNAを増幅できるように設計された1〜10μmol/Lの2種のPCRプライマーそれぞれ1〜5μL、1〜5mmol/Lの4種類の混合デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTPs)通常1〜5μL、並びに1〜5UnitsのTaq DNAポリメラーゼ0.5〜1μLを添加し、pH7〜9のトライシン緩衝液、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液中で、例えば(1)93〜98℃、1〜10分→(2)93〜98℃、10〜30秒→(3)50〜60℃、10〜30秒→(4)68〜72℃、30秒〜5分間を1サイクルとして30〜40サイクルの反応を行うことによりなされる。その後、アガロースゲル電気泳動法にて、コロニー中の目的のDNAの存在を確認し、確認できたコロニーを採取する。採取したコロニーを、LB培地で振とう培養した後、培養液から例えば市販のプラスミド抽出キット等を用いて目的のDNAを取り出し、シークエンサー等によりDNAの塩基配列を解読する。得られた塩基配列と、バイサルファイト反応に付さない通常の塩基配列とを比較し、解読したDNAの塩基配列中からウラシル化されていないシトシンを探し出すことにより、メチル化シトシンを検出することができる。
【0076】
以下に、実験例、比較例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等により何等限定されるものではない。
【実施例】
【0077】
実施例1〜16、比較例1〜2 本発明のウラシル変換方法及び従来法のバイサルファイト反応により得られたDNAのPCR増幅
(1)マウスゲノムDNAの抽出
1×106のマウス胚性幹細胞 (embryonic stem cell : ES細胞)よりQuickGene SP kit DNA tissue(富士フィルム(株)製)を使用して、現品説明書に従ってゲノムDNAを抽出した。
【0078】
(2)バイサルファイト反応
上記(1)で得られたゲノムDNA(360ng)を4μLの滅菌水に溶解した。該溶液を17個準備し、それぞれに、3.5mol/L亜硫酸水素ナトリウム水溶液(pH5.2)(和光純薬工業(株)製)90μL、及び表3中の下記化合物を6μL又は表3記載の濃度含有する水溶液6μLを加えて混合した(全量100μL)。次いで、95℃で、2時間インキュベートした。その後、1mol/Lトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)((株)ニッポンジーン製)を400μL、グリコーゲン(和光純薬工業(株)製)を1μL、及びイソプロパノール(和光純薬工業(株)製)500μLを加えて混合し、室温、18800×g、5分間遠心分離した。上清を取り除いた後、75%エタノール(和光純薬工業(株)製)で洗浄し、それぞれ40μLの滅菌水に溶解した。
【0079】
【表3】
【0080】
上記反応物を溶解した滅菌水40μLそれぞれに、1mol/L 水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)10μLを加えて混合し、40℃で10分間インキュベートし、脱スルホン酸化反応を行った。その後、10 mol/L酢酸アンモニウム((株)ニッポンジーン製)1μL加えて混合し、更に、イソプロパノール(和光純薬工業(株)製)51μLを加えて混合して、室温下18800×gで5分間遠心分離した。続いて、上清を除き、75%エタノールで洗浄後、乾燥させ、25μLの滅菌水に溶解した。更に、低分子DNAやdNTPsを除去するためにDNA クリーナー(和光純薬工業(株)製)25μLを加えて混合し、室温で5分間放置した後、室温下14000×gで5分間遠心分離した。最後に、上清を除き、75%エタノールで洗浄し、乾燥後、それぞれ9μLの滅菌水に溶解した。
【0081】
(3)PCR増幅反応
(2)で得られたバイサルファイト反応産物(ウラシル化DNA)を含む溶液1μLをそれぞれPCRチューブに添加し、更に、5×KAPA2GバッファーA(KAPA BIOSYSTEMS社製) 10μL、10mmol/L dNTPs 混合溶液(東洋紡(株)製) 1μL、滅菌水 31.5μL、並びに、5μmol/LのFgf4遺伝子用のPCRプライマーForward溶液及びReverse溶液 各3μL[Forward:5’GGTTGGGGTTTTTTTAGGTGATAGTAG3’(GenBank Accession No.AC149593 : 230224−230250に由来、塩基配列1)、Reverse: 5’ CCTTTTAAAACCCAACAAATAATCCCCTAC3’ 、GenBank Accession No.AC149593 : 230715−230744に由来、塩基配列2)]をそれぞれに添加し、氷上で緩やかに混合した。その後、94℃で30秒加熱した後、94℃で20秒→58℃で20秒→72℃で30秒を1サイクルとして35サイクル行い、最後に72℃で1分間加熱してPCR反応を行った。その後、得られたPCR増幅産物を1.5%のアガロースゲルを用いた電気泳動(実施例1〜8)又はAgilent 2100 bioanalyzer(アジレント社製) (実施例9〜16)で分画し、目的のDNAが増幅されているかを確認した。
【0082】
その結果を図1〜3に示す。また、確認結果を表4に示す。尚、得られた増幅物については、そのバンドの濃さ(増幅物量)に基づいて5段階に分け、その結果を表4に示す。即ち、バンドの濃い順に◎(明確なバンド)、○(やや弱いバンド)、△(弱いバンド)、▲(かなり弱いバンド)で表し、×はバンドが見られなかったもの(増幅が見られなかったもの)を表す。
【0083】
【表4】
【0084】
上記結果から明らかなように、添加物質なし(Control)のバイサルファイト反応、及び従来法であるヒドロキノンを添加したバイサルファイト反応の場合には、PCR増幅産物の確認はできなかった。
一方、上記実施例中の各種化合物を添加してバイサルファイト反応を行った場合には、何れも目的とする鎖長に増幅産物を確認することができた。特に、DBU及びDBNを添加した場合には、多量の増幅産物が確認でき、ピペリジン及び1−メチルピペリジンも明確に増幅産物の確認ができた。その他の実施例中の化合物を添加した場合については、薄くはあるが増幅産物の確認はできた。このことから上記実施例中の化合物を添加したバイサルファイト反応においては、バイサルファイト反応の反応促進効果及びゲノムDNAの分解抑制効果があると予想された。
【0085】
実施例17 PCR増幅産物のクローニング及び塩基配列解析
実施例1で得たPCR増幅産物(DBU添加)と実施例2で得たPCR増幅産物(DBN添加)について、クローニング及び塩基配列解析を行った。
【0086】
即ち、実施例1及び2で得たPCR増幅産物3μLそれぞれに、pGEM−T Easy Vector(Promega社製)1μL及びDNA Ligation Kit(タカラバイオ(株)製)4μLを加え、全量8μLとして16℃で60分間インキュベートを行った。
【0087】
ベクターに挿入したPCR増幅産物を含む溶液8μLそれぞれに大腸菌100μL(XL10 Gold、ストラタジーン社製)を添加した後、ヒートショック法にて42℃で50秒間インキュベートを行った。次いで、形質転換させた大腸菌をLB寒天培地にて37℃で一晩培養した。培養された大腸菌のコロニーからその一部を釣菌して滅菌水5.9μLに溶解し、該滅菌水に、10×Gene Taq Universal Buffer((株)ニッポンジーン製)1μL、dNTPs 混合溶液 (各2.5mmol) ((株)ニッポンジーン製)1μL、Gene Taq NT((株)ニッポンジーン製)0.1μL、並びに、5μmol/LのpGEM−T Easy Vector(Promega社製)由来配列の2種のプライマー各1μL[5’CCAGTCACGACGTTGTAAAACG 3’ (塩基配列11)及び5’ CACACAGGAAACAGCTATGACC 3’(塩基配列12)、挿入断片の鎖長+250bpになるように設計)をそれぞれ加え、全量を10μLとして、95℃で2分、95℃で20秒、60℃で20秒、72℃で30秒を1サイクルとして30サイクルのコロニーPCR反応を行った。その後、得られた各コロニーPCR増幅産物を、1.5%アガロースゲルを用いた電気泳動で分画し、ベクターが挿入されたコロニーであるかどうかを確認した。ベクターの挿入が確認されたコロニーを用いて、LB培地にて37℃で一晩振とう培養した。その後、得られた培養液を用いて、QuickGene Plasmid kit SII(富士フイルム(株)製)にてプラスミド抽出を行った。
【0088】
得られたプラスミド2種について、pGEM−T Easy Vector(Promega社製)由来配列のプライマー[5’ CACACAGGAAACAGCTATGACC 3’ (塩基配列12)]によりApplied Biosystems 3730xl DNA Analyzer(ライフテクノロジーズジャパン社)にて塩基配列の解読を行った。実施例1のPCR増幅産物(DBUを添加した方法)の塩基配列解読結果と実施例2のPCR増幅産物(DBNを添加した方法)の塩基配列解読結果は同じ傾向を示した。その結果を図4に示す。図4中、□で囲まれた箇所はCpGジヌクレオチドを、下線はプライマー部を表す。尚、CpGジヌクレオチドは61箇所であった。
【0089】
また、実施例1のPCR増幅産物(DBUを添加した方法)の塩基配列解読結果について、CpGジヌクレオチドのシトシンが非メチル化シトシン及びメチル化シトシンの何れであるかを表した図を図5に、実施例2のPCR増幅産物(DBNを添加した方法)の塩基配列解読結果について、シトシンが非メチル化シトシン及びメチル化シトシンの何れであるかを表した図を図6にそれぞれ示す。尚、図5及び図6中の○は、CpGジヌクレオチドが非メチル化のものであることを、●は、CpGジヌクレオチドがメチル化されているものであることを表す。
ES細胞では、幹細胞未分化マーカーであるFgf4のプロモーター領域のDNAはメチル化されていないため、該DNAを本発明のウラシル化反応に付し、これらのCpGジヌクレオチドが全て非メチル化であれば、非メチル化シトシンがウラシルへ高い効率で変換されていることが証明できる。図5及び6の結果より、ほぼすべてのCpGジヌクレオチドのシトシン及びそれ以外のシトシンがウラシルに変換されていることが判った。即ち、本発明の方法によれば、非メチル化シトシンを高い効率でウラシルに変換できることが判った。
【符号の説明】
【0090】
図4中、□で囲まれた箇所はCpGジヌクレオチドを、下線はプライマー部を表す。
図5及び図6中の○は、CpGジヌクレオチドのシトシンが非メチル化シトシンのものであることを、●は、CpGジヌクレオチドのシトシンがメチル化シトシンされているものであることを表す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]