(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力された光を分岐する分岐部、前記分岐部により分岐された光がそれぞれ伝搬する一対のアーム、及び、前記一対のアームから出力された光を合波する合波部を含む光導波路が形成された基板と、
前記基板上において前記光導波路の前記一対のアームの一部と重なり、印加された電圧に基づいて前記光導波路に電界を発生させる信号電極とを有し、
前記光導波路の前記一対のアームには、他部分より狭い幅を有するとともに、前記一対のアームを伝搬する光のうち、高次モードの光を前記光導波路の外部に放射する狭幅部が、前記信号電極と重ならない部位に設けられていることを特徴とする光変調器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(比較例)
図1は、比較例に係る光変調器の平面図である。光変調器1は、光導波路2が形成された基板10と、接地電極31,33と、信号電極32と、バイアス電極34,35と、信号源41と、終端抵抗42と、直流電源43,44とを有する。なお、
図1において、電極31〜35は、基板10の板面の上に形成されているため、光導波路2の形状と区別されように点線により表されている。
【0016】
光変調器1は、光導波路2の入口20から入力された光Linを変調して、出力光Loutとして、出口29から出力する。出力光Loutは、オン状態、及びオフ状態を有しており、各状態の光パワーの比は、消光比として算出される。
【0017】
基板10は、LN基板、及びLiTaO
2基板等の電気光学結晶であり、矩形状の板面を有している。基板10には、MZ型光導波路2が形成されている。すなわち、光導波路2は、入力された光を分岐する分岐部21、分岐部21により分岐された光がそれぞれ伝搬する一対のアーム22,
23、及び、一対のアーム22,23から出力された光を合波する合波部24を含む。なお、
図1において、各部21〜24の境界は、光導波路2上をY軸方向に延びる点線で示されている。また、以降の説明において、X軸方向の寸法を「長さ」、Y軸方向の寸法を「幅」方向、Z軸方向の寸法を「厚さ」として定義する。
【0018】
一対のアーム22,23は、平行に延びる直線状の導波路である。分岐部21は、Y形状を有し、光が分岐する分岐点P1から一対のアーム22,23までそれぞれ延びる一対の入力導波路211,212を含む。また、合波部24は、Y形状を有し、一対のアーム22,23から、光が合流する合流点P2までそれぞれ延びる一対の出力導波路241,242を含む。一対の入力導波路211,212、及び一対の出力導波路241,242は、例えばS形状のカーブを有する曲がり導波路である。
【0019】
光導波路2は、マルチモード導波路であるため、分岐部21においてパワー分岐された光には、基本モードの光だけでなく、高次モードの光も含まれる。この光の伝搬モードは、コアである光導波路2と、クラッドである外部との境界により全反射する光の入射角に応じて決定される。
【0020】
図2には、
図1のII−II線による断面が示されている。光導波路2(ここでは、アーム22,23)は、半円状の断面を有し、例えば、基板10の表面の一部にチタンなどの金属膜を形成して熱拡散させることにより形成される。なお、光導波路2は、これに限定されず、例えば、基板10に金属膜のパターニングを行った後、安息香酸中でプロトン交換することにより形成されてもよい。
【0021】
基板10の上には、バッファ層11、及び電極31〜33が、この順に積層されている。バッファ層11は、例えばSiO
2により形成され、0.2〜2.0(μm)の厚さを有する。バッファ層11は、アーム22,23をそれぞれ伝搬する光が、信号電極32、及び接地電極31,33により吸収されることを防止する。
【0022】
バッファ層11の上には、金などの導電体により形成された電極31〜35が設けられている。基板10が、結晶光学軸のZ方向に沿ったZカットのものである場合、Z方向の電界を利用するため、信号電極32、及びバイアス電極34,35は、光導波路2の真上に設けられている。
【0023】
信号電極32、及びバイアス電極34,35は、基板10上において光導波路2の一部と重なり、印加された電圧に基づいて光導波路2に電界を発生させる。これにより、光導波路2を伝搬する光は、1次の電気光学効果であるポッケルス効果を生じ、屈折率が変化することにより位相変調される。
【0024】
図1に示されるように、信号電極32は、一方のアーム23に沿って延びるように形成され、該アーム23のうち、分岐部21から連なる部分と重なっている。信号電極32の両端は、基板10の側部に向かって曲がっている。
【0025】
バイアス電極34,35は、一対のアーム22,23に沿って延びるようにそれぞれ形成され、該アーム22,23のうち、合波部24から連なる部分と重なっている。バイアス電極34,35の一端は、基板10の側部に向かって曲がっている。
【0026】
また、接地電極31,33は、接地電位が与えられている。一方の接地電極31は、基板10の一方の側部に沿って延びるように形成され、その一部が、アーム22のうち、分岐部21から連なる部分と重なっている。接地電極31の両端部は、基板10の他方の側部に向かって曲がっている。他方の接地電極
33は、接地電極31とは反対側の基板10の側部に沿って矩形状に形成されている。すなわち、接地電極31,33は、基板10上において、信号電極32を挟み込むように設けられている。なお、各電極31〜35は、コプレーナ線路型の電極構成を有する。
【0027】
信号電極32は、進行波電極であり、光を変調するための変調信号Sが、信号源41から入力される。変調信号Sは、電気的な高周波信号(マイクロ波)であり、信号電極32のうち、アーム23の入力端の近傍部分に入力され、光の伝搬方向に沿って伝送されて、アーム23の出力端の近傍部分から終端抵抗42に出力される。終端抵抗42は、一端がアーム23に接続され、他端が接地されている。なお、終端抵抗42の抵抗値は、信号源41、及び信号電極32などの電気的な特性に応じて決定される。
【0028】
これにより、一対のアーム22,23の屈折率が、例えば+ΔNa,−ΔNbとなるように変化して、各アーム22,23をそれぞれ伝搬する光に位相差が生ずる。そして、各アーム22,23をそれぞれ伝搬する光は、合波部24における合流したとき、マッハツェンダ干渉を生じ、上記の位相差に応じてオン状態、またはオフ状態の出力光Loutが出力される。なお、変調信号Sは、信号電極32の断面形状の制御によるアーム23の実行屈折率の調整により、アーム23を伝搬する光波との速度整合がなされているため、光変調器1は、例えば10(GHz)以上の広い動作帯域を有する。
【0029】
バイアス電極34,35は、直流電源44,43とそれぞれ接続されている。直流電源44,43は、温度変化などによる変調信号Sの特性上の動作点の変位を補償するために、バイアス電圧Eb1,Eb2をバイアス電極34,35に与える。バイアス電圧Eb1,Eb2は、例えば、フォトダイオードなどにより得た出力光Loutのレベルに応じて決定される。なお、本例において、バイアス電極34,35は、信号電極32とは別に設けられているが、バイアスT回路を用いて信号電極32と共通の電極として設けられてもよい。
【0030】
また、バイアス電極34,35は、一対のアーム22,23のそれぞれについて独立に制御するために、個別に設けられている。なお、一方のバイアス電極35は、アーム23の上部において、信号電極32の終端側の部分と一定の間隔をおいて設けられている。
【0031】
次に、本例の変調器1の光導波路2を伝搬する光について説明する。
図3には、オン状態における光導波路2の各部の光スペクトルが示されている。
【0032】
グラフG10は、分岐部21に入力された光のスペクトルである。入力された光は、分岐部21によりパワー分岐されて、一対のアーム22,23においてグラフG11〜G14に示される光となる。
【0033】
一方のアーム22には、グラフG11により示される基本モード(0次モード)の光、及び、グラフG12により示される高次モードの光が伝搬する。他方のアーム23には、グラフG12により示される基本モードの光、及び、グラフG14により示される高次モードの光が伝搬する。このように高次モードの光が生ずるのは、上述した通り、光導波路2がマルチモード導波路であるからである。
【0034】
オン状態において、信号電極32には、アーム22,23を伝搬する光の位相差が0となるように変調信号Sの電圧が印加される。このため、アーム22,23を伝搬する光は、同一位相のまま、合波部24に入力される。このときの基本モードの光スペクトルは、グラフG15,G16に示され、高次モードの光スペクトルは、グラフG17,G18に示されている。
【0035】
合波部24において合流した光は、同一位相であるためにパワーを強め合い、グラフG19に示される基本モードの光となって出力される。このとき、アーム22,23を伝搬した高次モードの光(G16,G18の光)は、干渉によって基本モードの光となり、出力光に結合される。
【0036】
一方、
図4には、オフ状態における光導波路2の各部の光スペクトルが示されている。グラフG20は、分岐部21に入力される光のスペクトルを示す。また、グラフG21,G23は、分岐部21により分岐された光の基本モードの光スペクトルを示し、グラフG21,G23は、高次モードの光スペクトルを示す。
【0037】
オフ状態において、信号電極32には、アーム22,23を伝搬する光の位相差がπとなるように変調信号Sの電圧が印加される。このため、アーム22,23を伝搬する基本モードの光は、グラフG25,G27に示されるように、位相が正反対となって合波部24に入力される。このため、合波された光は、グラフG29に示される高次モードの光となり外部に放射される。すなわち、グラフG25,G27に示された光は、合波部24において相殺される。
【0038】
一方、高次モードの光は、基本モードの光とは光導波路2への閉じ込め性が違うため、電界による変調の程度(つまり、電界の印加効率)が異なる。すなわち、グラフG26,G28に示される高次モードの光の位相差をπとするための変調信号Sの電圧は、グラフG25,G27に示された基本モードの光とは異なる。
【0039】
このため、グラフG26,G28に示される高次モードの光は、合波部24において相殺されずに残り、グラフG30に示される基本モードのノイズ光として、出口29から外部に出力される。このノイズ光は、消光比を劣化させる一因となる。そこで、以下に述べる実施例では、高次モードの光を除去するため、光導波路2に、他部分より狭い幅を有する狭幅部が設けられている。
【0040】
(第1実施例)
図5は、第1実施例に係る光変調器1の平面図である。
図5において、
図1に示された比較例と機能が共通する構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
本実施例において、一対のアーム25,26は、他部分より狭い幅を有する狭幅部251,261がそれぞれ設けられている。一方のアーム26の狭幅部261は、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35と重なる部分の間に設けられている。他方のアーム25の狭幅部251は、長さ方向において、上記の狭幅部261と同じ位置に設けられている。
【0042】
狭幅部251,261は、アーム25,26において光の閉じ込め性を弱めるように作用する。これは、幅が狭まると、アーム25,26内に拡散された不純物の濃度が低下することによって、飽和屈折率が低下するからである。したがって、狭幅部251,261において、高次モードの光は外部に放射され、基本モードの光だけが狭幅部251,261を通過することができる。すなわち、狭幅部251,261は、マルチモード光をフィルタリングするシングルモード導波路として機能する。
【0043】
狭幅部251,261によりマルチルモードの光が除去されたことは、光導波路2に光を通すことにより確認される。例えば、光導波路2の入口20に光ファイバを接続して、光源から光を入力し、他方、光導波路2の出口29に、出力光Loutを観測するためのカメラを設置する。そして、入口20の光ファイバを動かしたときに、カメラから得た出力光Loutの観測画像が変化しなければ、狭幅部251,261によりマルチルモードの光が除去されたことが確認される。
【0044】
また、狭幅部251,261は、アーム25,26のうち、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35と重なる部分を避けて設けられている。このため、光導波路2のうち、電界強度が比較的に高い部分(電気力線が集中する部分)における光の閉じ込め性の低下が回避される。仮に、狭幅部251,261が、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35と重なる部分に設けられた場合、光の閉じ込め性が低下することにより、変調信号Sによる変調効率が低下する。
【0045】
この傾向は、本例のLN変調器のように、光の閉じ込め性が比較的に弱いものの場合に顕著である。変調効率が低下する場合、信号源41の駆動電圧が増加するため、消費電力、及び発熱量が増加する。また、変調効率の低下を補償するために信号電極32及びバイアス電極35の長さ、または、アーム25,26の長さを延長した場合、光変調器1が大型化する。
【0046】
このように、狭幅部251,261を、光導波路2のうち、電界強度が弱い部分を選択して設けることにより、光変調器1の駆動電圧及びサイズを増加させることなく、光導波路2から高次モードの光を除去することができる。
図3及び
図4の例の場合、グラフG12,G14,G22,G24により示される高次モードの光が、狭幅部251,261により除去される。このため、グラフG30により示されるノイズ光が生ずることがなく、光変調器1の消光比が改善される。これは、発明者が行った数値シミュレーションによって、比較例の消光比は−24.6(dB)であるのに対し、本実施例の消光比は−35.2(dB)という結果が得られたことからも理解される。なお、本実施例において、一対のアーム25,26の両方に狭幅部251,261が設けられているが、狭幅部をアーム25,26の一方のみに設けた場合でも、ノイズ光は低減されるため、同様の作用効果が得られる。
【0047】
(第2実施例)
第1実施例では、信号電極32とバイアス電極35との間隔によっては、狭幅部251,261における急な幅の変化のため、光の散乱損失が生ずる場合が考えられる。そこで、
図6に示される第2実施例の光変調器1は、光導波路2の幅が狭幅部252,262に向けて徐々に狭くなるように構成されている。なお、
図6において、
図1に示された比較例と機能が共通する構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
本実施例において、狭幅部252,262は、一対のアーム25,26にそれぞれ設けられている。光導波路2は、狭幅部252,262に向けてテーパ状に細くなっている。
【0049】
一方のアーム26において、幅が変化し始める位置は、上述した変調効率の低下を避けるため、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35と重なる部分を避けるように設定されている。また、他方のアーム25において、幅が変化し始める位置は、上述した変調効率の低下を避けるため、接地電極31の電界強度が高い部分、及び、バイアス電極34と重なる部分を避けるように設定されている。
【0050】
このように、狭幅部252,262に向けて光導波路2の幅を徐々に変化させることによって、上述した光の散乱損失を抑制しつつ、消光比を改善することができる。また、本実施例では、狭幅部252,262だけでなく、狭幅部252,262に向けて幅が変化する部分、つまり上記のテーパ状の部分も、高次モードの光の除去に寄与するから、消光比が、さらに効果的に改善される。なお、本実施例では、テーパ状に幅が変化する形態を挙げたが、これに限定されず、例えば、狭幅部252,262の近傍部分の側部を階段形状とすることにより、狭幅部252,262に向けて幅が段階的に変化する形態を用いてもよい。
【0051】
また、狭幅部252,262の寸法などを同一に形成することによって、狭幅部252,262において生じ得る損失を、さらに低減することができる。例えば、
図7に示される狭幅部252,262の拡大図において、狭幅部252,262の幅W1,W2を同一とするとよい。また、狭幅部252,262に連なるテーパ状の部分の長さL11、L12,L21,L22を、それぞれ同一としてもよい。ここで、テーパ状の部分の長さL11,L12は、それぞれ、幅が変化し始める位置x11,x12から狭幅部252までの各長さである。また、テーパ状の部分の長さL21,L22は、それぞれ、幅が変化し始める位置x21,x22から狭幅部262までの各長さである。
【0052】
(第3実施例)
第2実施例では、狭幅部262に連なるテーパ状の部分が、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35と重なる部分を避けるように設けられているが、これに限定されない。
図8には、光導波路2の幅が、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35と重なる部分から狭幅部263に向けて徐々に狭くなるように形成された光変調器1の例が示されている。
図8において、
図1に示された比較例と機能が共通する構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図8に示された例では、他方の狭幅部253についても同様に、光導波路2の幅が、バイアス電極34と重なる部分から狭幅部253に向けて徐々に狭くなる。すなわち、狭幅部253,263に連なるテーパ状の部分の幅が変化し始める位置が、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35,34と重なる部分に設定されている。
【0054】
この構成によると、幅が変化するテーパ状の部分の長さ寸法を大きくすることができるため、小型の光変調器1において消光比を改善することができる。なお、狭幅部263に連なるテーパ状の部分の幅が変化し始める位置は、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極35と重なる部分の両方に限定されることはなく、何れか一方であってもよい。
【0055】
また、上記の構成は、光導波路2の幅が、信号電極32と重なる部分、及びバイアス電極34,35と重なる部分から狭くなり始めるから、光の変調効率が影響を受け得る。特に、信号電極32と重なる部分の幅を変更する場合、光の変調効率の変化によって、駆動電圧だけではなく、変調帯域も影響され得る。この変調帯域は、アーム26にわたって変調効率を積分して得た値に基づいて決定される。
【0056】
変調効率は、変調信号Sの周波数に依存し、また、光導波路2内の位置によっても変化する。周波数が高いほどマイクロ波の損失は大きくなるから、変調効率は、アーム26のうち、変調信号Sの入力部よりも出力部において低下する。
【0057】
本実施例において、光導波路2の幅は、信号電極32における変調信号Sの終端側の部分321と重なる部分から狭幅部263に向けて徐々に狭くなる。ここで、変調信号Sの終端側の部分321とは、信号電極32のうち、終端抵抗42との接続位置の近傍部分を指す。
【0058】
この構成によると、もともと変調効率が低いアーム26の出力部、つまり、変調信号Sの終端側の部分321において、光導波路2の幅が狭められているから、上記の変調帯域への影響が低減される。
【0059】
(第4実施例)
第1〜3実施例では、一対のアーム25,26に、狭幅部251〜253,261〜263がそれぞれ設けられているが、これに限定されない。
図9には、狭幅部2711,2721が、分岐部27の一対の入力導波路271,272に、それぞれ設けられた光変調器1の例が示されている。
図9において、
図1に示された比較例と機能が共通する構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
本実施例において、一対の入力導波路271,272の幅は、狭幅部2711,2721に向けて徐々に狭くなる。つまり、光導波路2は、狭幅部2711,2721に向けて、テーパ状に細くなっている。ここで、光導波路2の幅が変化し始める位置は、信号電極32と重なってもよい。
【0061】
本実施例によると、狭幅部2711,2721に連なる光導波路2の幅が徐々に狭くなるから、上述した第2及び第3実施例と同様の作用効果が得られる。また、本実施例では、一対のアーム22,23に狭幅部2711,2721が設けられていないため、アーム22,23の長さを短くすることができる。したがって、本実施例によると、小型の光変調器1において、消光比を改善することができる。
【0062】
(第5実施例)
第4実施例において、狭幅部2711,2721は、分岐部271に設けられているが、これに限定されず、合波部24に設けられてもよい。
図10には、狭幅部2811,2821が、合波部28の一対の出力導波路281,282にそれぞれ設けられた光変調器1の例が示されている。
図10において、
図1に示された比較例と機能が共通する構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
本実施例において、一対の出力導波路281,282の幅は、狭幅部2811,2821に向けて徐々に狭くなる。つまり、光導波路2は、狭幅部2811,2821に向けて、テーパ状に細くなっている。ここで、光導波路2の幅が変化し始める位置は、バイアス電極34,35と重なってもよい。
【0064】
本実施例によると、狭幅部2811,2821に連なる光導波路2の幅が徐々に狭くなるから、上述した第2及び第3実施例と同様の作用効果が得られる。また、本実施例によると、一対のアーム22,23に狭幅部2811,2821が設けられていないため、第4実施例と同様の作用効果が得られる。なお、これまで述べた実施例において、狭幅部は、分岐部27、一対のアーム25,26、及び合波部28の何れかに設けられているが、これに限定されることはなく、複数の部分に設けられてもよい。
【0065】
(第6実施例)
図11には、高速光通信用のDQPSKなどの多値変調方式に用いられる光変調器1の例が示されている。光変調器1の光導波路7は、基板6に形成されたマルチモード導波路である。光導波路7は、第1分岐部70、一対のサブ導波路7a,7b、及び第1合波部79を含む。なお、
図11において、各部70〜79の境界は、光導波路7上を幅方向に延びる点線で示されている。
【0066】
第1分岐部70は、Y形状を有し、入力された光を分岐して、一対のサブ導波路7a,7bに導く。一対のサブ導波路7a,7bは、同様のMZ型導波路であり、第2分岐部71,72、一対のアーム73〜76、及び第2合波部77,78をそれぞれ含む。すなわち、一対のサブ導波路7a,7bは、それぞれ、上述した実施例の光導波路2と同様の構成を有している。
【0067】
第2分岐部71,72は、Y形状を有し、第1分岐部70から入力された光を分岐して、一対のアーム73〜76にそれぞれ導く。一対のアーム73〜76は、第2分岐部71,72により分岐された光がそれぞれ伝搬する。一対のアーム73〜76は、光を第2合波部77,78にそれぞれ導く。
【0068】
第2合波部77,78は、Y形状を有し、一対のアーム73〜76から出力された光をそれぞれ合波して、第1合波部79に導く。第1合波部79は、Y形状を有し、一対のサブ導波路7a,7b、つまり第2合波部77,78から出力された光を合波して外部に出力する。したがって、本実施例における光導波路7は、全体的に見るとMZ型導波路を構成する。なお、第1及び第2分岐部70〜72の枝部、及び、第1及び第2合波部77〜79の枝部は、例えばS形状のカーブを有する曲がり導波路である。
【0069】
また、光変調器1は、第1及び第2信号電極82,83、接地電極80,811,812、及び第1〜第6バイアス電極84〜89を有する。第1及び第2信号電極82,83、接地電極80、及び第1〜第6バイアス電極84〜89は、基板6上において、光導波路7と部分的に重なるように設けられている。各電極80〜89,811,812は、上述した実施例と同様に、基板6上に、バッファ層を介して積層されている。
【0070】
第1及び第2信号電極82,83は、一対のアーム73〜76内に電界を発生させ、光を変調するための変調信号が、信号源から入力される。第1及び第2信号電極82,83は、アーム73,76に沿って延びるようにそれぞれ形成され、該アーム73,76のうち、第2分岐部71,72から連なる部分と重なっている。第1及び第2信号電極82,83の両端は、基板6の側部に向かって曲がっている。
【0071】
第1〜第6バイアス電極84〜89は、直流電源とそれぞれ接続され、温度変化などによる変調信号の特性上の動作点の変位を補償するため、バイアス電圧が与えられる。第1〜第6バイアス電極84〜89は、アーム73〜76に沿って延びるようにそれぞれ形成され、該アーム73〜76のうち、第2合波部77,78から連なる部分と重なっている。第1〜第6バイアス電極84〜89の一端は、基板6の側部に向かって曲がっている。
【0072】
また、接地電極80,811,812は、接地電位が与えられている。接地電極80は、アーム74,75のうち、第2分岐部71,72からそれぞれ連なる部分と重なっている。接地電極80の両端部は、基板6の側部に向かって曲がっている。
【0073】
接地電極811,812は、基板6の側部に沿って矩形状に形成されている。接地電極80,811,812は、基板6上において、第1及び第2信号電極82,83を挟み込むように設けられている。なお、各電極80〜89,811,812は、コプレーナ線路型の電極構成を有する。
【0074】
光導波路7は、幅が他部分より狭い狭幅部710,711,730,740,750,760が設けられている。狭幅部710,711,730,740,750,760は、第1及び第2信号電極82,83、及び第1〜第6バイアス電極84〜89と重ならないように設けられている。
【0075】
狭幅部710,711は、第2分岐部71,72のうち、第1分岐部70との境界と、光が分岐する分岐点P11,P21との間にそれぞれ設けられている。第2分岐部71,72の幅は、狭幅部710,711に向かって徐々に狭くなっている。より具体的には、第2分岐部71,72は、狭幅部710,711に向かってテーパ状に細くなっている。狭幅部710,711は、第1分岐部70において生ずる高次モードの光を除去する。
【0076】
一方のアーム73,76は、狭幅部730,760が、第1及び第2信号電極82,83と重なる部分、及びバイアス電極84,87と重なる部分の間にそれぞれ設けられている。アーム73,76の幅は、狭幅部730,760に向かって徐々に狭くなっている。より具体的には、アーム73,76は、狭幅部730,760に向かってテーパ状に細くなっている。
【0077】
光導波路7a,7bの幅は、第1及び第2信号電極82,83、及び、第1及び第4バイアス電極84,87と重なる部分から、狭幅部730,760に向けて徐々に狭くなるようにしてもよい。すなわち、狭幅部730,760に連なるテーパ状の部分は、幅が変化し始める位置が、第1及び第2信号電極82,83、及び、第1及び第4バイアス電極84,87と重なる部分にあってもよい。
【0078】
他方のアーム74,75の狭幅部740,750は、長さ方向において、上記の狭幅部730,760と同じ位置にそれぞれ設けられている。アーム74,75の幅は、狭幅部730,760に向かって徐々に狭くなっている。より具体的には、アーム74,75は、狭幅部740,750に向かってテーパ状に細くなっている。
【0079】
光導波路7a,7bの幅は、第2及び第5バイアス電極85,88と重なる部分から、狭幅部740,750に向けて徐々に狭くなるようにしてもよい。すなわち、狭幅部740,750に連なるテーパ状部分は、幅が変化し始める位置が、第2及び第5バイアス電極85,88と重なる部分にあってもよい。なお、一対のアーム73〜76は、それぞれ、狭幅部730,760の幅、及び、狭幅部730,760に連なるテーパ状の部分の長さが等しい。
【0080】
狭幅部730,740は、第2分岐部71において生ずる高次モードの光を除去する。また、狭幅部750,760は、第2分岐部72において生ずる高次モードの光を除去する。
【0081】
上述した構成によると、DQPSKなどの多値変調方式に用いられる光変調器1の消光比を効果的に改善することができる。なお、本実施例において、狭幅部が設けられる位置に限定はない。狭幅部は、例えば、一対のアーム73〜76の一方のみに設けられてもよく、また、第1分岐部70や第1及び第2合波部77〜79などに設けられてもよい。
【0082】
(光送信器の実施例)
次に、上述した光変調器1を用いた光送信器について説明する。
図12には、光送信器の構成例が示されている。
【0083】
光送信器9は、光変調器1、光源90、及びデータ生成部91を含む。光源90は、例えば、レーザダイオードであり、無変調連続波(CW:Continuous Wave)の光を、光ファイバを介して光変調器1に出力する。なお、光変調器1と光源90とを接続する光ファイバは、シングルモードファイバ及びマルチモードファイバの何れであってもよい。
【0084】
また、データ生成部91は、出力対象となるデータに基づいて駆動信号を生成し、光変調器1に出力する。光変調器1は、駆動信号から変調信号Sを生成し、光源90から光導波路2,7に入力された光を変調して出力する。出力された光は、光導波路2,7の出口29に接続された光ファイバ5を介して、外部に出力される。
【0085】
光送信器9は、上述した光変調器1を含むから、既に述べた作用効果を奏する。なお、光送信器9は、光信号を受信する光受信器とともに、単一のモジュールとして構成されてもよい。
【0086】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。