(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
(制御システムの全体構成)
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システムが適用される生産工場を示す模式図である。また、
図2は、当該制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【0018】
本実施形態の制御システム1は、一つの生産工場(空調対象領域)10に設置された、複数の製造ライン(設備)11〜19と、複数の空調装置21〜28と、制御装置50とを備える。
【0019】
製造ライン11〜19の各々は、製品の加工あるいは組み立て等を行う各種の製造装置を含む、稼動することにより熱を発する設備である。製造ライン11〜19の各々は、当該製造ラインで消費された電力量を計測する電力計41〜49と接続されている。
【0020】
空調装置21・22・25・26は、天井吊型の空調装置であり、空調装置23・24・27・28は、床置型の空調装置である。また、空調装置21〜28の各々は、対応する付属の室外機31〜38のいずれかと接続されている。空調装置と接続される室外機の数は特に限定されない。例えば、空調装置24は2つの室外機33・34と接続され、空調装置28は2つの室外機37・38と接続され、それ以外の空調装置は、1つの室外機と接続されている。接続される室外機の数を増やすことで空調装置の空調能力を上げることができる。さらに、複数の空調装置によって1つの室外機を共用してもよい。例えば、空調装置21および空調装置22は室外機31を共用しており、空調装置25および空調装置26は室外機35を共用している。
【0021】
空調装置21〜28は、運転している際、周囲の温度を測定し、その測定温度が予め定められた設定温度になるように制御される。例えば冷房運転時には、空調装置21〜28は、測定温度が設定温度よりも高い場合に室内を降温させる動作(降温動作)を行い、測定温度が設定温度よりも低い場合に一時停止する。また暖房運転時には、空調装置21〜28は、測定温度が設定温度よりも高い場合に一時停止し、測定温度が設定温度よりも低い場合に室内を昇温させる動作(昇温動作)を行う。
【0022】
制御装置50は、複数の空調装置21〜28の動作を制御するものである。制御装置50は、複数の空調装置21〜28を、製造ライン11〜19の稼動と関係なく運転させる第1グループと、製造ラインの稼動に応じて運転制御される第2グループとに分け、各グループに応じた制御を行う。
【0023】
(制御装置の構成)
次に制御装置50の内部構成について説明する。
図2に示されるように、制御装置50は、グループ情報記憶部51と、空調−ライン対応テーブル記憶部(設備識別情報記憶部)52と、制御部53と、入力部54とを備えている。
【0024】
グループ情報記憶部51は、製造ライン11〜19の稼動に関係なく運転させる第1グループに属する空調装置と、製造ラインの稼動に応じて運転制御される第2グループに属する空調装置とを示すグループ情報を記憶する。
図3は、グループ情報記憶部51が記憶するグループ情報の一例を示す図である。
図3に示されるように、ここでは、空調装置21・25が第1グループに属しており、他の空調装置22〜24・26〜28が第2グループに属している。
【0025】
グループ情報記憶部51は、入力部54へのユーザ入力に応じたグループ情報を記憶する。そのため、ある空調装置が属するグループを変更する場合、ユーザはその旨を入力部54に入力し、グループ情報記憶部51は入力に従ってグループ情報を更新する。
【0026】
空調−ライン対応テーブル記憶部52は、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28の各々について、当該空調装置を示す空調装置識別情報と、当該空調装置の最も近くに設置された製造ラインを識別する第1ライン識別情報(第1設備識別情報)と、当該製造ラインの停止を判断するための第1閾値とを対応付けた空調−ライン対応テーブルを記憶する。
図4は、空調−ライン対応テーブル記憶部52が記憶する空調−ライン対応テーブルの一例を示す図である。
【0027】
なお、第1閾値は、対応する製造ラインが稼動しているときの所定期間(例えば10分間)における消費電力量よりも小さく、当該製造ラインが停止しているときの所定期間における消費電力量よりもわずかに大きい値が設定されている。
【0028】
空調−ライン対応テーブル記憶部52は、入力部54へのユーザ入力に応じた空調−ライン対応テーブルを記憶する。そのため、生産工場10内のレイアウトを変更した場合、ユーザは新たなレイアウトに応じた第1ライン識別情報の変更指示を入力部54に入力し、空調−ライン対応テーブル記憶部52は入力に従って空調−ライン対応テーブルを更新する。
【0029】
制御部53は、グループに応じて各空調装置21〜28を制御するものである。制御部53は、第1グループに属する空調装置21・25に対して、従来の設定温度に応じた動作を行うように制御する。すなわち、第1グループに属する空調装置21・25は、測定温度が設定温度になるように動作する。
【0030】
また、制御部53は、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28の各々に対して、当該空調装置を示す空調装置識別情報に対応する第1ライン識別情報および第1閾値を空調−ライン対応テーブルから読み出す。制御部53は、読み出した第1ライン識別情報で示される製造ラインに接続された電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の消費電力量(以下、第1消費電力量という)を算出し、第1閾値と比較する。
【0031】
第1閾値は、上述したように、製造ラインが運転(稼動)しているときの所定期間(例えば10分間)における消費電力量よりも小さく、当該製造ラインが運転停止しているときの所定期間における消費電力量よりもわずかに大きい値が設定されている。そのため、算出した第1消費電力量が第1閾値よりも低い場合、制御部53は、第1ライン識別情報で示される製造ラインが停止しているものと判断することができる。また、算出した第1消費電力量が第1閾値以上である場合、制御部53は、第1ライン識別情報で示される製造ラインが稼動しているものと判断することができる。
【0032】
そして、制御部53は、製造ラインが停止していると判断した場合、冷房運転時には空調装置の運転を停止し、暖房運転時には空調装置を運転させる。一方、制御部53は、製造ラインが稼動していると判断した場合、冷房運転時には空調装置を運転させ、暖房運転時には空調装置を運転停止させる。制御部53により運転するように制御された空調装置は、測定温度が設定温度になるように動作制御される。
【0033】
このように制御部53は、複数の空調装置21〜28を第1グループと第2グループとに分け、第1グループに属する空調装置21・25については、製造ライン11〜19の稼動状態にかかわらず運転させ、前記第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28については、製造ライン11〜19の稼動状態に応じて運転を制御する。そのため、製造ライン11〜19の放熱量に応じて第2グループの空調装置22〜24・26〜28を運転させることができる。その結果、第2グループの空調装置22〜24・26〜28については、製造ライン11〜19からの放熱に応じて無駄な運転を避けることができ、省電力化を図ることができる。例えば、製造ライン11〜19が停止し放熱がないときには、第2グループの空調装置22〜24・26〜28の冷房運転を停止することで、無駄な運転を避けることができる。また、第1グループに属する空調装置21・25は、製造ライン11〜19の稼動状態に関係なく運転される。そのため、例えば冷房運転時には、設備が稼動していない場合でも、第1グループに属する空調装置により、生産工場内の温度が設定温度に保たれる。
【0034】
このように、複数の空調装置21〜28を、第1グループと第2グループとに分けるという簡単な設定により、無駄な電力を消費することなく、生産工場の温度を一定に保つことができる。すなわち、特許文献1・2のような生産工場の条件によって変化する環境データを詳細に取得する必要がない。また、空調対象領域内の設備や空調装置のレイアウトが変更されたとしても、特許文献1・2のような環境データを再度取得する必要がない。
【0035】
(空調装置の制御処理の流れ(冷房運転時))
次に本実施形態における空調装置21〜28の制御処理の一例について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態における空調装置21〜28の制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図5は、夏季において空調装置21〜28を冷房運転させる場合の例である。
【0036】
まず、制御部53は、制御対象となる空調装置21〜28を一つ選択する。そして、制御部53は、制御対象の空調装置が第2グループに属するか否かを判断する(S1)。制御部53は、グループ情報記憶部51が記憶するグループ情報を参照することでS1の判断を行う。
【0037】
制御対象の空調装置が第2グループに属さない場合(S1でNo)、つまり、制御対象の空調装置が第1グループに属する場合、制御部53は、制御対象の空調装置について、当該空調装置による測定温度と設定温度とを比較する(S2)。測定温度が設定温度よりも高い場合(S2でYes)、制御部53は、制御対象の空調装置について降温動作を行わせる(S3)。一方、測定温度が設定温度以下である場合(S2でNo)、制御部53は、制御対象の空調装置を一時停止させる(S4)。
【0038】
また、制御対象の空調装置が第2グループに属する場合(S1でYes)、制御部53は、制御対象の空調装置を示す空調装置識別情報に対応する第1ライン識別情報および第1閾値を空調−ライン対応テーブルから読み出す(S5)。これにより、制御部53は、制御対象の空調装置に最も近い製造ラインを特定することができる。
【0039】
次に、制御部53は、S5で読み出した第1ライン識別情報で示される製造ラインに接続された電力計の計測データから、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の第1消費電力量を算出する。制御部53は、各製造ライン11〜19に対応する電力計41〜49の過去の計測データを蓄積しておくことで、第1消費電力量を算出することができる。そして、制御部53は、算出した第1消費電力量がS5で読み出した第1閾値以上であるか否かを判断する(S6)。
【0040】
第1消費電力量が第1閾値以上である場合(S6でYes)、制御部53は、製造ラインが稼動していると判断し、制御対象の空調装置についてS2の処理に移行する。すなわち、制御部53は、制御対象の空調装置について、空調能力を下げることなく、設定温度に応じた通常の運転をさせる。
【0041】
一方、第1消費電力量が第1閾値未満である場合(S6でNo)、制御部53は、製造ラインが停止していると判断し、制御対象の空調装置の運転を停止する(S7)。例えば、第1ライン識別情報で示される製造ライン12の第1消費電力量が第1閾値(0.5kW、
図4参照)よりも低いとき、製造ライン12の近傍に床置きされた、制御対象である空調装置23の運転を停止させる。また、第1ライン識別情報で示される製造ライン15の第1消費電力量が第1閾値(0.3kW、
図4参照)よりも低いとき、製造ライン15の直上に設置された、制御対象である空調装置26の運転を停止させる。その後、再度S1に戻り、S1〜S7の処理を繰り返す。
【0042】
制御部53は、全ての空調装置21〜28について、S1からS7の処理を実行する。
【0043】
このように、制御部53は、第2グループに属する空調装置の各々について、(1)当該空調装置に対応する第1ライン識別情報で示される製造ライン(設備)の第1消費電力量が所定の第1閾値未満である場合に、当該空調装置を停止させ、(2)第1消費電力量が第1閾値以上である場合に、空調能力を低下させることなく当該空調装置を運転させる。
【0044】
これにより、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28は、最も近くに設置された製造ラインが稼動しているときに限り、測定温度が設定温度になるように冷房運転され、最も近くに設置された製造ラインが停止しているときには停止される。その結果、製造ラインが停止しており、当該製造ラインからの放熱がない場合において、近傍の空調装置を無駄に運転させることがなくなり、過冷却を防止できる。また、製造ラインが稼動しているときには、近傍の空調装置を運転させることができ、製造ラインからの放熱による温度上昇を効果的に防ぐことができる。
【0045】
(空調装置の制御処理の流れ(暖房運転時))
次に本実施形態における空調装置21〜28の制御処理の他例について、
図6を参照しながら説明する。なお、
図6は、冬季において空調装置21〜28を暖房運転させる場合の例である。
【0046】
まず、制御部53は、
図5と同様のS1の処理を行う。制御対象の空調装置が第2グループに属さない場合(S1でNo)、つまり、制御対象の空調装置が第1グループに属する場合、制御部53は、制御対象の空調装置について、当該空調装置による測定温度と設定温度とを比較する(S8)。測定温度が設定温度よりも低い場合(S8でYes)、制御部53は、制御対象の空調装置について昇温動作を行わせる(S9)。一方、測定温度が設定温度以上である場合(S8でNo)、制御部53は、制御対象の空調装置を一時停止させる(S4)。
【0047】
また、制御対象の空調装置が第2グループに属する場合(S1でYes)、制御部53は、実施形態1と同様に、S5およびS6の処理を行う。すなわち、制御部53は、制御対象の空調装置に最も近い製造ラインにおける所定期間の第1消費電力量を算出し、第1閾値と比較する。
【0048】
第1消費電力量が第1閾値未満である場合(S6でNo)、制御部53は、製造ラインが停止していると判断し、制御対象の空調装置についてS8の処理に移行する。すなわち、制御対象の空調装置について、空調能力を下げることなく、設定温度に応じた通常の運転をさせる。
【0049】
一方、第1消費電力量が第1閾値以上である場合(S6でYes)、制御部53は、製造ラインが稼動していると判断し、制御対象の空調装置の運転を停止する(S7)。その後、再度S1に戻り、S1〜S9(S2、S3を除く)の処理を繰り返す。
【0050】
制御部53は、全ての空調装置について、
図6に示すS1からS9(S2、S3を除く)の処理を実行する。
【0051】
このように、制御部53は、第2グループに属する空調装置の各々について、(1)当該空調装置に対応する第1ライン識別情報で示される製造ライン(設備)の第1消費電力量が所定の第1閾値以上である場合に、当該空調装置を停止させ、(2)第1消費電力量が第1閾値未満である場合に、空調能力を低下させることなく当該空調装置を運転させる。
【0052】
これにより、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28は、最も近くに設置された製造ラインが停止しているときに限り、測定温度が設定温度になるように暖房運転され、最も近くに設置された製造ラインが稼動しているときには停止される。その結果、製造ラインが稼動しており、当該製造ラインからの放熱がある場合において、近傍の空調装置を無駄に暖房運転させることがなくなる。また、製造ラインが停止しているときには、近傍の空調装置を暖房運転させることができ、製造ラインからの放熱がないことによる温度低下を効果的に防ぐことができる。
【0053】
なお、上記の説明では、空調−ライン対応テーブル記憶部52は、空調装置に最も近い製造ラインを示す情報を第1ライン識別情報として記憶するものとした。しかしながら、これに限定されず、空調−ライン対応テーブル記憶部52は、空調装置に近傍の製造ラインを示す情報を第1ライン識別情報として記憶してもよい。例えば、最も近い製造ラインが稼動するときの放熱量に比べて、2番目に近い製造ラインが稼動するときの放熱量が格段に大きい場合には、当該2番目に近い製造ラインを示す情報を第1ライン識別情報として設定してもよい。これにより、近傍に設置され、かつ、放熱量の大きい製造ラインの稼動に応じて空調装置の運転を制御することができる。
【0054】
<実施形態2>
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1と同様の機能を有する部材には実施形態1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
上記の実施形態1では、何れかの空調装置が故障で停止しているときに、その空調装置に隣接する空調装置をS7の処理で停止させると、空調能力が極端に低下する可能性がある。また、隣接する製造ラインが同時に停止した場合も、隣接する空調装置が同時に停止する。そのため、生産工場のレイアウトによっては空調能力が極端に低下する可能性がある。本実施形態は、このような問題をも解消できる形態である。
【0056】
図7は、本実施形態2の制御システム101を示す図である。
図7に示されるように、各空調装置21〜28は、当該空調装置で消費された電力量を計測する電力計61〜68と接続されている点で、実施形態1と異なる。また、本実施形態の制御装置150は、制御部53の代わりに制御部153を備え、さらに周辺装置情報記憶部155を備える点で実施形態1の制御装置50と異なる。
【0057】
周辺装置情報記憶部155は、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28の各々について、当該空調装置を識別する空調装置識別情報と、当該空調装置の周辺の位置する空調装置(周辺空調装置)を識別する周辺装置識別情報(装置識別情報)と、当該周辺空調装置の停止を判断するための第2閾値とを対応付けた周辺装置情報を記憶するものである。
図8は、周辺装置情報の一例を示す図である。
【0058】
なお、第2閾値は、対応する空調装置が運転しているときの所定期間(例えば10分間)における消費電力量よりも小さく、空調装置が停止しているときの所定期間における消費電力量よりもわずかに大きい値が設定されている。
【0059】
周辺装置情報記憶部155は、入力部54へのユーザ入力に応じた周辺装置情報を記憶する。そのため、生産工場内のレイアウトを変更した場合、ユーザは新たなレイアウトに応じた周辺装置情報の変更指示を入力部54に入力し、周辺装置情報記憶部155は入力に従って周辺装置情報を更新する。
【0060】
制御部153は、実施形態1の制御部53と同様に、グループに応じて各空調装置21〜28を制御する。ただし、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28に対する制御処理が実施形態1と異なる。
【0061】
制御部153は、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28の各々に対して、当該空調装置を示す空調装置識別情報に対応する第1ライン識別情報および第1閾値を空調−ライン対応テーブルから読み出す。制御部153は、読み出した第1ライン識別情報で示される製造ラインに接続された電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の第1消費電力量を算出し、第1閾値と比較する。そして、制御部は、実施形態1と同様に、算出した第1消費電力量が第1閾値よりも低い場合に製造ラインが停止しているものと判断し、算出した第1消費電力量が第1閾値以上である場合に製造ラインが稼動しているものと判断する。制御部153は、暖房運転時に製造ラインが停止していると判断した場合、空調装置を運転させ、冷房運転時に製造ラインが稼動していると判断した場合、空調装置を運転させる。
【0062】
一方、制御部153は、冷房運転時に製造ラインが停止していると判断した場合、もしくは、暖房運転時に製造ラインが稼動していると判断した場合、以下のような処理を行う。すなわち、制御部153は、制御対象の空調装置を示す空調装置識別情報に対応する周辺装置識別情報および第2閾値を周辺装置情報から読み出す。そして、制御部153は、読み出した周辺装置識別情報で示される空調装置の電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の消費電力量(以下、第2消費電力量という)を算出し、第2閾値と比較する。
【0063】
上述したように、第2閾値は、空調装置が運転しているときの所定期間における消費電力量よりも小さく、空調装置が停止しているときの所定期間における消費電力量よりもわずかに大きい値が設定されている。そのため、第2消費電力量が第2閾値よりも低い場合、制御部153は、空調装置が停止しているものと判断することができる。
【0064】
第2消費電力量が第2閾値以下である場合、制御部153は、周辺の空調装置が運転していると判断し、制御対象の空調装置を停止させる。一方、第2消費電力量が第2閾値未満である場合、制御部153は、周辺の空調装置が停止していると判断し、制御対象の空調装置を停止させずに運転させる。なお、制御部153により運転するように制御された空調装置は、測定温度が設定温度になるように動作制御される。
【0065】
(空調装置の制御処理の流れ(冷房運転時))
次に本実施形態における空調装置の制御処理の一例について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態における空調装置の制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図9は、夏季において空調装置を冷房運転させる場合の例である。S1からS6の処理については実施形態1(
図5参照)と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0066】
S6において第1消費電力量が第1閾値未満である場合(No)、制御部153は、制御対象の空調装置を示す空調装置識別情報に対応する周辺装置識別情報および第2閾値を周辺装置情報から読み出し、制御対象の空調装置の周辺に位置する空調装置を特定する(S11)。
【0067】
次に、制御部153は、周辺装置識別情報で示される空調装置の電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の第2消費電力量を算出する。制御部153は、各空調装置21〜28に対応する電力計61〜68の過去の計測データを蓄積しておくことで、第2消費電力量を算出することができる。そして、制御部153は、算出した第2消費電力量とS11で読み出した第2閾値とを比較する(S12)。
【0068】
第2消費電力量が第2閾値以上である場合(S12でYes)、制御部153は、周辺の空調装置が運転していると判断し、制御対象の空調装置を停止させる(S7)。一方、第2消費電力量が第2閾値未満である場合(S12でNo)、制御部153は、周辺の空調装置が停止していると判断し、S2の処理に移行する。すなわち、制御対象の空調装置について、空調能力を下げることなく、設定温度に応じた通常の運転をさせる。
【0069】
例えば、制御対象の空調装置26に対して、最も近い製造ライン15が停止していたとしても、空調装置26の周辺の空調装置27(
図8参照)が停止している場合には、空調装置26を運転させる。一方、空調装置26の周辺の空調装置27(
図8参照)が運転している場合には、空調装置26を停止させる。これにより、隣接する空調装置26および空調装置27の両方が停止することによる、生産工場内の空調能力の極端な低下を防止できる。また、周辺の空調装置27が運転している場合に空調装置26を停止させることで無駄な電力消費を防止できる。
【0070】
制御部153は、全ての空調装置21〜28について、
図9に示すS1からS12の処理を実行する。
【0071】
このように、制御部153は、第2グループに属する空調装置の各々について、(1)当該空調装置に対応する第1ライン識別情報で示される製造ラインの第1消費電力量が第1閾値未満であり、かつ、当該空調装置に対応する周辺装置識別情報で示される空調装置の第2消費電力量が所定の第2閾値以上である場合に、当該空調装置を停止させ、(2)第1消費電力量が第1閾値以上である、または、第2消費電力量が第2閾値未満である場合に、空調能力を低下させることなく当該空調装置を運転させる。
【0072】
これにより、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28は、最も近くに設置された製造ラインが停止しており、かつ、周辺の空調装置が運転しているときに限り、冷房運転が停止される。その結果、生産工場内の空調能力の極端な低下を防止することができる。
【0073】
(空調装置の制御処理の流れ(暖房運転時))
次に本実施形態における空調装置の制御処理の一例について、
図10を参照しながら説明する。なお、
図10は、冬季において空調装置21〜28を暖房運転させる場合の例である。
【0074】
S1,S4〜6,S8,S9の処理については
図6に示す実施形態1と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0075】
S6において第1消費電力量が第1閾値以上である場合(Yes)、制御部153は、制御対象の空調装置を示す空調装置識別情報に対応する周辺装置識別情報および第2閾値を周辺装置情報から読み出し、制御対象の空調装置の周辺に位置する空調装置を特定する(S11)。
【0076】
次に、制御部153は、周辺装置識別情報で示される空調装置の電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の第2消費電力量を算出する。制御部153は、各空調装置21〜28に対応する電力計61〜68の過去の計測データを蓄積しておくことで、第2消費電力量を算出することができる。そして、制御部153は、算出した第2消費電力量とS11で読み出した第2閾値とを比較する(S12)。
【0077】
第2消費電力量が第2閾値以上である場合(S12でYes)、制御部153は、周辺の空調装置が運転していると判断し、制御対象の空調装置を停止させる(S7)。一方、第2消費電力量が第2閾値未満である場合(S12でNo)、制御部153は、周辺の空調装置が停止していると判断し、S2の処理に移行する。すなわち、制御対象の空調装置を、空調能力を下げることなく、通常の設定温度に応じた運転をさせる。
【0078】
制御部153は、全ての空調装置21〜28について、
図10に示すS1からS12の処理を実行する。
【0079】
このように、制御部153は、第2グループに属する空調装置の各々について、(1)当該空調装置に対応する第1ライン識別情報で示される製造ラインの第1消費電力量が所定の第1閾値以上であり、かつ、当該空調装置に対応する周辺装置識別情報で示される空調装置の第2消費電力量が所定の第2閾値以上である場合に、当該空調装置を停止させ、(2)第1消費電力量が第1閾値未満である、または、第2消費電力量が第2閾値未満である場合に、空調能力を低下させることなく当該空調装置を運転させる。
【0080】
これにより、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28は、最も近くに設置された製造ラインが稼動しており、かつ、周辺の空調装置が運転しているときに限り、暖房運転が停止される。その結果、生産工場内の空調能力の極端な低下を防止することができる。
【0081】
<実施形態3>
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1と同様の機能を有する部材には実施形態1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
生産工場によっては、複数の製造ラインにおける稼動時の放熱量が異なる場合がある。例えば、ある製造ラインには加熱装置が含まれているが、その周辺の製造ラインには加熱装置が含まれていない場合がある。このような、加熱装置が含まれていない製造ラインの近傍に設置された空調装置は、当該製造ラインの周辺の加熱装置を含む製造ラインからの放熱による温度上昇を防止する役割を担っている。そのため、実施形態1のように、加熱装置が含まれていない製造ラインの停止に同期して、その近傍の空調装置を停止させると、生産工場内の空調能力が極端に低下してしまう可能性がある。本実施形態は、このような問題をも解消できる形態である。
【0083】
図11は、本実施形態の制御システム201を示す図である。
図11に示されるように、本実施形態の制御装置250は、制御部53の代わりに制御部253を、空調−ライン対応テーブル記憶部52の代わりに空調−ライン対応テーブル記憶部252を備える点で実施形態1の制御装置50と異なる。
【0084】
空調−ライン対応テーブル記憶部252は、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28の各々について、当該空調装置を示す空調装置識別情報と、当該空調装置の最も近い位置に設置された製造ラインを識別する第1ライン識別情報と、当該製造ラインの停止を判断するための第1閾値と、当該製造ラインの周辺に設置され、監視すべきラインとして選択された製造ラインである周辺製造ラインを識別する第2ライン識別情報と、周辺製造ラインの停止を判断するための第3閾値とを対応付けた空調−ライン対応テーブルを記憶する。
図12は、空調−ライン対応テーブル記憶部252が記憶する空調−ライン対応テーブルの一例を示す図である。
【0085】
なお、第3閾値は、対応する周辺製造ラインが運転(稼動)しているときの所定期間(例えば10分間)における消費電力量よりも小さく、当該周辺製造ラインが運転停止しているときの所定期間における消費電力量よりもわずかに大きい値が設定されている。
【0086】
周辺製造ラインとしては、例えば、加熱装置を含むような放熱量の大きい製造ラインが適宜選択される。なお、全ての空調装置に対して周辺製造ラインを設定する必要はなく、生産工場内のレイアウトに応じて、一部の空調装置に対してのみ監視対象製造ラインを設定すればよい。例えば、
図12に示されるように、空調装置27については、第2ライン識別情報が設定されていない。これは、空調装置27に最も近い製造ライン16の周辺の製造ライン15・17が加熱装置を含んでおらず、放熱量が小さいため、監視する必要がないからである。また、空調装置23のように、1つの空調装置に対して複数の第2ライン識別情報および第3閾値が設定されてもよい。
【0087】
空調−ライン対応テーブル記憶部252は、入力部54へのユーザ入力に応じた空調−ライン対応テーブルを記憶する。そのため、生産工場10内のレイアウトを変更した場合、ユーザは新たなレイアウトに応じた第1ライン識別情報および第2ライン識別情報の変更指示を入力部54に入力し、空調−ライン対応テーブル記憶部252は入力に従って空調−ライン対応テーブルを更新する。
【0088】
制御部253は、実施形態1の制御部53と同様に、グループに応じて各空調装置21〜28を制御する。ただし、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28に対する制御処理が実施形態1と異なる。
【0089】
制御部253は、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28の各々に対して、当該空調装置を示す空調装置識別情報に対応する第1ライン識別情報および第1閾値を空調−ライン対応テーブルから読み出す。制御部253は、読み出した第1ライン識別情報で示される製造ラインに接続された電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の第1消費電力量を算出し、第1閾値と比較する。そして、制御部253は、実施形態1と同様に、算出した第1消費電力量が第1閾値よりも低い場合に製造ラインが停止しているものと判断し、算出した第1消費電力量が第1閾値以上である場合に製造ラインが稼動しているものと判断する。制御部253は、暖房運転時に製造ラインが停止していると判断した場合、空調装置を運転させ、冷房運転時に製造ラインが稼動していると判断した場合、空調装置の運転させる。
【0090】
一方、制御部253は、冷房運転時に製造ラインが停止していると判断した場合、もしくは、暖房運転時に製造ラインが稼動していると判断した場合、以下のような処理を行う。すなわち、制御部253は、制御対象の空調装置に対応する第2ライン識別情報および第3閾値を空調−ライン対応テーブルから読み出し、読み出した第2ライン識別情報で示される製造ラインの電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の消費電力量(以下、第3消費電力量という)を算出し、第3閾値と比較する。
【0091】
上述したように、第3閾値は、対応する周辺製造ラインが運転(稼動)しているときの所定期間における消費電力量よりも小さく、当該周辺製造ラインが運転停止しているときの所定期間における消費電力量よりもわずかに大きい値が設定されている。そのため、算出した第3消費電力量が第3閾値よりも低い場合、制御部253は、周辺製造ラインが停止しているものと判断することができる。第3消費電力量が第3閾値以下である場合、制御部253は、周辺製造ラインが運転していると判断し、制御対象の空調装置を停止させずに運転させる。一方、第3消費電力量が第3閾値未満である場合、制御部253は、周辺製造ラインが停止していると判断し、制御対象の空調装置を停止させる。なお、制御部253により運転するように制御された空調装置は、測定温度が設定温度になるように動作制御される。
【0092】
(空調装置の制御処理の流れ(冷房運転時))
次に本実施形態における空調装置の制御処理の一例について、
図13を参照しながら説明する。
図13は、本実施形態における空調装置の制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図13は、夏季において空調装置を冷房運転させる場合の例である。S1からS6の処理については実施形態1(
図5参照)と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0093】
S6において第1消費電力量が第1閾値未満である場合(No)、制御部253は、制御対象の空調装置を示す空調装置識別情報に対応する第2ライン識別情報および第3閾値が設定されているか否かを空調−ライン対応テーブルに基づいて判断する(S13)。
【0094】
空調装置識別情報に対応する第2ライン識別情報および第3閾値が設定されていない場合(S13でNo)、制御部253は、監視すべき周辺製造ラインがないものと判断し、制御対象の空調装置を停止させる(S7)。
【0095】
空調装置識別情報に対応する第2ライン識別情報および第3閾値が設定されている場合(S13でYes)、制御部253は、当該第2ライン識別情報および第3閾値を読み出す。読み出した第2ライン識別情報は、監視すべき周辺製造ラインを示している。そして、制御部253は、第2ライン識別情報で示される製造ラインの電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の第3消費電力量を算出する。制御部253は、算出した第3消費電力量と第3閾値とを比較する(S14)。
【0096】
第3消費電力量が第3閾値未満である場合(S14でYes)、制御部253は、監視すべき周辺製造ラインが停止していると判断し、制御対象の空調装置を停止させる(S7)。一方、第3消費電力量が第3閾値以上である場合(S14でNo)、制御部253は、監視すべき周辺製造ラインが稼動していると判断し、S2の処理に移行する。すなわち、制御対象の空調装置を、空調能力を下げることなく、通常の設定温度に応じた運転をさせる。
【0097】
例えば、制御対象の空調装置26に対して、最も近い製造ライン15が停止していたとしても、その周辺の製造ライン16(
図1および
図12参照)が稼動している場合には、空調装置26を運転させる。一方、周辺の製造ライン16も停止している場合には、空調装置26を停止させる。これにより、製造ライン16が稼動され放熱している場合に、空調装置26を運転させるため、生産工場内の空調能力の極端な低下を防止できる。また、製造ライン16が停止している場合には、空調装置26を停止させることで無駄な電力消費を防止できる。
【0098】
また、
図12に示されるように、複数の周辺製造ラインが設定されている空調装置23については、S14において次のように処理を行えばよい。制御部253は、周辺製造ラインごとに、第2ライン識別情報および第3閾値の組合せを読み出す。そして、組合せごとに、第2ライン識別情報で示される製造ラインの電力計の計測データから求めた第3消費電力量を第3閾値と比較する。全ての組合せにおいて第3消費電力量が第3閾値未満である場合にS14でYesと判定し、それ以外の場合にS14でNoと判定する。もしくは、少なくとも1つの組合せにおいて第3消費電力量が第3閾値未満である場合にS14でYesと判定し、それ以外の場合にS14でNoと判定してもよい。例えば、制御対象の空調装置23については、製造ライン11の第3消費電力量が第3閾値(1kW)未満であり、かつ、製造ライン13の第3消費電力量が第3閾値(1kW)未満である場合にS7の処理に移行する。もしくは、製造ライン11および製造ライン12の少なくとも一方の第3消費電力量が第3閾値未満である場合にS7の処理に移行してもよい。
【0099】
制御部253は、全ての空調装置21〜28について、
図13に示すS1からS14の処理を実行する。
【0100】
このように、制御部253は、第2グループに属する空調装置の各々について、(1)当該空調装置に対応する第1ライン識別情報で示される製造ラインの第1消費電力量が所定の第1閾値未満であり、かつ、当該空調装置に対応する第2ライン識別情報で示される周辺製造ラインの第3消費電力量が所定の第3閾値未満である場合に、当該空調装置を停止させ、(2)第1消費電力量が第1閾値以上である、または、第3消費電力量が第3閾値以上である場合に、空調能力を低下させることなく当該空調装置を運転させる。
【0101】
これにより、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28は、最も近くに設置された製造ラインが停止しており、かつ、監視すべき周辺製造ラインも停止しているときに限り、停止される。その結果、生産工場内の空調能力の極端な低下を防止することができる。
【0102】
(空調装置の制御処理の流れ(暖房運転時))
次に本実施形態における空調装置の制御処理の一例について、
図14を参照しながら説明する。なお、
図14は、冬季において空調装置21〜28を暖房運転させる場合の例である。
【0103】
S1,S4〜6,S8,S9の処理については
図6に示す実施形態1と同様であるのでここでは説明を省略する。
【0104】
S6において第1消費電力量が第1閾値以上である場合(Yes)、制御部253は、制御対象の空調装置を示す空調装置識別情報に対応する第2ライン識別情報および第3閾値が設定されているか否かを空調−ライン対応テーブルに基づいて判断する(S13)。
【0105】
空調装置識別情報に対応する第2ライン識別情報および第3閾値が設定されていない場合(S13でNo)、制御部253は、監視すべき周辺製造ラインがないものと判断し、制御対象の空調装置を停止させる(S7)。
【0106】
空調装置識別情報に対応する第2ライン識別情報および第3閾値が設定されている場合(S13でYes)、制御部253は、当該第2ライン識別情報および第3閾値を読み出す。読み出した第2ライン識別情報は、監視すべき周辺製造ラインを示している。そして、制御部253は、第2ライン識別情報で示される製造ラインの電力計の計測データに基づいて、所定期間(例えば、現時刻から過去10分遡った期間)の第3消費電力量を算出する。制御部253は、算出した第3消費電力量と第3閾値とを比較する(S14)。
【0107】
第3消費電力量が第3閾値未満である場合(S14でYes)、制御部253は、監視すべき周辺製造ラインが停止していると判断し、S8の処理に移行する。すなわち、制御対象の空調装置を、空調能力を下げることなく、通常の設定温度に応じた運転をさせる。一方、第3消費電力量が第3閾値以上である場合(S14でNo)、制御部253は、監視すべき周辺製造ラインが稼動していると判断し、制御対象の空調装置を停止させる(S7)。
【0108】
制御部253は、全ての空調装置21〜28について、
図14に示すS1からS14の処理を実行する。
【0109】
このように、制御部253は、第2グループに属する空調装置の各々について、(1)当該空調装置に対応する第1ライン識別情報で示される製造ラインの第1消費電力量が所定の第1閾値以上であり、かつ、当該空調装置に対応する第2ライン識別情報で示される周辺製造ラインの第3消費電力量が所定の第3閾値以上である場合に、当該空調装置を停止させ、(2)第1消費電力量が第1閾値未満である、または、第3消費電力量が第3閾値未満である場合に、空調能力を低下させることなく当該空調装置を運転させる。
【0110】
これにより、第2グループに属する空調装置22〜24・26〜28は、最も近くに設置された製造ラインが稼動しており、かつ、監視すべき周辺製造ラインも稼動しているときに限り、停止される。その結果、生産工場内の空調能力の極端な低下を防止することができる。
【0111】
<変形例>
上記の説明では、制御部53・153・253は、S7のステップにおいて、制御対象の空調装置を停止させるものとした。しかしながら、S7のステップにおいて、制御部53・153・253は、制御対象の空調装置の空調能力を低下させる制御を行ってもよい。例えば、空調装置24や空調装置28のように2つの室外機と接続されている場合には、一方の室外機のみを停止させることで、空調装置24・28について、空調能力を低下させて運転させてもよい。
【0112】
また、空調装置24や空調装置28のように2つの室外機と接続されており、S7において一方の室外機を停止することにより空調能力を低下させる場合、以下のような処理を行ってもよい。すなわち、S7において、2つの室外機のうち一方が既に停止しているか否かを判断する。そして、既に一方が停止している場合には、既に空調能力が低下しているため、残りの一方を停止させずにそのままの状態を維持する。一方、2つの室外機の両方が稼動している場合には、一方を停止させ、空調能力を低下させる。
【0113】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0114】
なお、上記した各実施形態における制御装置50・150・250の各部は、CPU(Central Processing Unit)などの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の制御装置50・150・250の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
【0115】
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0116】
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0117】
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
【0118】
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
【0119】
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
【0120】
以上のように、本発明の制御装置は、複数の空調装置を制御する制御装置であって、前記複数の空調装置を第1グループと第2グループとに分け、前記第1グループに属する空調装置については、設備の稼動状態にかかわらず運転させ、前記第2グループに属する空調装置については、前記設備の稼動状態に応じて運転を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0121】
上記の構成によれば、第2グループに属する空調装置については、前記設備の稼動状態に応じて運転を制御する。設備からの放熱量は、設備の稼動状態に依存している。そのため、設備の稼動状態に応じて第2グループの空調装置を運転させることにより、設備の放熱量に応じて第2グループの空調装置を運転させることができる。その結果、第2グループの空調装置については、設備からの放熱に応じて無駄な運転を避けることができ、省電力化を図ることができる。例えば、設備が停止し放熱がないときには、第2グループの空調装置の冷房運転を停止することで、無駄な運転を避けることができる。また、第1グループに属する空調装置は、設備の稼動状態に関係なく運転される。そのため、例えば冷房運転時には、設備が稼動していない場合でも、第1グループに属する空調装置により、生産工場内の温度が設定温度に保たれる。
【0122】
このように、複数の空調装置を、設備の稼動状態にかかわらず運転させる第1グループと、設備の稼動状態に応じて運転制御される第2グループとに分けるという簡単な設定により、無駄な電力を消費することなく、生産工場の温度を一定に保つことができる。すなわち、特許文献1・2のような生産工場の条件によって変化する環境データを詳細に取得する必要がない。また、空調対象領域内の設備や空調装置のレイアウトが変更されたとしても、特許文献1・2のような環境データを再度取得する必要がない。
【0123】
以上から、設備からの放熱の状況に応じた適切な空調制御を簡易に行うことが可能な制御装置を実現することができる。
【0124】
また、本発明の制御装置において、前記制御部は、前記設備の消費電力量に基づいて当該設備の稼動状態を判断し、その判断結果に応じて前記第2グループに属する空調装置の運転を制御してもよい。
【0125】
上記の構成によれば、設備の消費電力量を計測するだけで、容易に設備の稼動状態を把握することができる。
【0126】
例えば、前記空調装置が冷房運転をしており、前記制御部は、(1)前記設備の消費電力量が所定の第1閾値未満である場合に、前記第2グループに属する空調装置を停止させ、もしくは、空調能力を低下させて運転させ、(2)前記設備の消費電力量が前記第1閾値以上である場合に、前記第2グループに属する空調装置を、空調能力を低下させることなく運転させる。設備の消費電力量が第1閾値未満である場合、設備からの放熱量が相対的に小さくなる。そのため、前記第2グループに属する空調装置を停止させ、もしくは、空調能力を低下させて運転させることにより、空調対象領域を過度に冷やすことを防止することができ、第2グループの空調装置の省電力化を図ることができる。
【0127】
また、前記空調装置が暖房運転をしており、前記制御部は、(1)前記設備の消費電力量が所定の第1閾値以上である場合に、前記第2グループに属する空調装置を停止させ、もしくは、空調能力を低下させて運転させ、(2)前記設備の消費電力量が前記第1閾値未満である場合に、前記第2グループに属する空調装置を、空調能力を低下させることなく運転させる。設備の消費電力量が第1閾値以上である場合、設備からの放熱量が相対的に大きくなる。そのため、前記第2グループに属する空調装置を停止させ、もしくは、空調能力を低下させて運転させることにより、空調対象領域を過度に暖めることを防止することができ、第2グループの空調装置の省電力化を図ることができる。
【0128】
また、本発明の制御装置は、前記設備が複数であり、前記第2グループに属する空調装置の近傍に設置されている設備を識別する第1設備識別情報を記憶する設備識別情報記憶部を備え、前記制御部は、第1設備識別情報で示される設備の稼動状態に応じて、前記第2グループに属する空調装置の運転を制御してもよい。
【0129】
上記の構成によれば、第2グループに属する空調装置は、その近傍に設置されている設備の稼動状態に応じて運転制御される。これにより、近傍の設備の放熱に応じて空調を適切に行うことができる。
【0130】
また、本発明の制御装置は、前記設備が複数であり、前記第2グループに属する空調装置の近傍に設置されている設備を識別する第1設備識別情報を記憶する設備識別情報記憶部と、前記第2グループに属する空調装置の近傍に設置されている他の空調装置を識別する装置識別情報を記憶する周辺装置情報記憶部とを備え、前記制御部は、第1設備識別情報で示される設備の稼動状態、および、装置識別情報で示される空調装置の運転状態に応じて、前記第2グループに属する空調装置の運転を制御してもよい。
【0131】
上記の構成によれば、近傍に設置された設備の稼動状態だけでなく、周辺の空調装置の運転状態に応じて、空調装置の運転を制御することができる。
【0132】
また、本発明の制御装置は、前記設備が複数であり、前記第2グループに属する空調装置の近傍に設置されている第1設備を識別する第1設備識別情報と、当該第1設備の近傍に設置されている第2設備を識別する第2設備識別情報とを対応付けて記憶する設備識別情報記憶部を備え、前記制御部は、第1設備識別情報で示される設備の稼動状態、および、第2設備識別情報で示される設備の稼動状態に応じて、前記第2グループに属する空調装置の運転を制御してもよい。
【0133】
上記の構成によれば、近傍に設置された設備の稼動状態だけでなく、その周辺の設備の稼動状態に応じて、空調装置の運転が制御される。そのため、複数の設備の放熱量を考慮して空調装置の運転を制御することができる。
【0134】
なお、前記空調装置が複数の室外機と接続されており、前記制御部は、前記複数の室外機の一部を停止させることにより、空調能力を低下させて空調装置を運転させてもよい。
【0135】
さらに、前記制御装置は、コンピュータによって実現されてもよく、この場合には、コンピュータを前記制御装置の各部として機能させるプログラム、および、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。