特許第6132036号(P6132036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132036
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】パージ装置及びパージ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-561180(P2015-561180)
(86)(22)【出願日】2014年12月17日
(86)【国際出願番号】JP2014083436
(87)【国際公開番号】WO2015118782
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-22508(P2014-22508)
(32)【優先日】2014年2月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】村田 正直
(72)【発明者】
【氏名】山路 孝
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−182747(JP,A)
【文献】 特開2010−147451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被格納物が格納される格納容器の内部をパージガスによってパージ処理するパージ装置であって、
前記格納容器の排出口に接続されることにより前記格納容器内部のパージガスを排出する排出管と、
前記パージ処理を実施する際に前記排出管を流れる前記パージガスの流量である排気流量を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記排気流量に基づいて前記パージ処理の良否を判定する判定部と
前記格納容器に前記パージガスを供給する流量が所定流量よりも多くなると、前記格納容器の前記排出口以外の部分から前記パージガスが漏れ出す前記格納容器において、前記所定流量までの流量を第1流量とし、前記第1流量よりも多い流量を第2流量としたとき、前記第1流量で前記格納容器に前記パージガスを供給することにより前記パージ処理を実施させる第1モードと、前記第2流量で前記格納容器に前記パージガスを供給することにより前記パージ処理を実施させる第2モードとを切り替える流量制御部と、を備え、
前記測定部は、前記第1モードにおいて前記排気流量を測定し、
前記判定部は、前記第1モードにおいて測定された前記排気流量に基づいて前記パージ処理の良否を判定する、パージ装置。
【請求項2】
前記流量制御部は、前記第2モードで前記パージ処理を開始させ、その後、前記パージ処理の良否を判定するために前記第1モードに切り換えて前記パージ処理を実施し、その後再び前記第2モードで前記パージ処理を実施する、請求項に記載のパージ装置。
【請求項3】
被格納物が格納された格納容器の内部をパージガスによってパージ処理するパージ方法であって、
前記格納容器に前記パージガスを供給する流量が所定流量よりも多くなると、前記格納容器の前記排出口以外の部分からパージガスが漏れ出す前記格納容器において、前記所定流量までの流量を第1流量、前記第1流量よりも多い流量を第2流量としたとき、前記格納容器の排出口に前記格納容器内部のパージガスを排出可能な排出管を接続し、前記第1流量で前記格納容器に前記パージガスを供給することにより前記パージ処理を実施する際に前記排出管を流れる前記パージガスの流量である排気流量を測定し、測定された前記排気流量に基づいて前記パージ処理の良否を判定する、パージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被格納物が格納される格納容器の内部を不活性気体又は清浄乾燥空気などのパージガスによってパージ処理するパージ装置及びパージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体ウェハ又はガラス基板などの被格納物が格納される格納容器の内部にパージガスを導入(いわゆるパージ処理)することによって清浄度を保つパージ装置が知られている。このようなパージ装置では、格納容器に供給するパージガスの流量を制御することがある。しかしながら、パージ装置内の制御回路が故障したり、パージガスの供給流路の不具合が発生したりすることにより、実際には所望流量のパージガスが格納容器内に供給されずに、良好にパージ処理されないおそれがある。このため、所望流量のパージガスが格納容器内に供給されているか否か(良好なパージ処理なされているか否か)を判定したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4670808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1(特許第4670808号)には、格納容器の内部に供給されるパージガスの流量を測定するための技術が開示されている。特許文献1に記載の測定用コンテナでは、パージ装置に専用の流量測定ユニットを載置することにより、パージ装置から供給されるパージガスの流量が測定できるので、良好なパージ処理が行われるか否かを判定できる。しかしながら、実際にパージ処理の対象となる格納容器にパージガスを供給する工程の中で、良好なパージ処理が行われているか否かを判定したい場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、実際にパージ処理の対象となる格納容器にパージガスを供給する工程の中で、良好なパージが行われているか否かを判定することができるパージ装置及びパージ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るパージ装置は、被格納物が格納される格納容器の内部をパージガスによってパージ処理するパージ装置であって、格納容器の排出口に接続されることにより格納容器内部のパージガスを排出する排出管と、パージ処理を実施する際に排出管を流れるパージガスの流量である排気流量を測定する測定部と、測定部によって測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定する判定部と、を備えている。
【0007】
このようなパージ装置によれば、パージ装置に載置される測定ユニット側ではなく、パージ装置側に、排出管を流れるパージガスの流量を測定する測定部が設けられている。このため、実際にパージ処理の対象となる格納容器をパージ装置に載置した状態で、格納容器にパージガスを供給したときの排気流量を測定し、この測定した排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定できる。これにより、実際に格納容器にパージガスを供給する工程の中で、良好なパージ処理が行われているか否かを判定することができる。
【0008】
本願発明者らは、鋭意検討の結果、排気効率には、格納容器の気密性が大きく影響することを見出した。すなわち、格納容器に供給されるパージガスの流量が所定流量よりも多くなると(格納容器の内圧が所定圧力よりも大きくなると)、格納容器の排出口以外の部分(例えば、格納容器の蓋部と本体部との間)からパージガスが漏れ出し、排出管から排出される排気流量は飽和気味となることを見出した。言い換えれば、格納容器の排出口以外の部分からパージガスが漏れ出す上記所定流量までは、供給流量に略比例した排気流量が得られることを見出した。
【0009】
そこで、一実施形態では、第1流量で格納容器にパージガスを供給することによりパージ処理を実施させる第1モードと、第2流量で格納容器にパージガスを供給することによりパージ処理を実施させる第2モードとを切り替える流量制御部を更に備える構成としてもよい。この場合、測定部は、第1モードにおいて排気流量を測定し、判定部は、第1モードにおいて測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定してもよい。ここで、格納容器にパージガスを供給する流量が所定流量よりも多くなると、格納容器の排出口以外の部分からパージガスが漏れ出す格納容器において、所定流量までの流量を第1流量とし、第1流量よりも多い流量を第2流量とする。
【0010】
このようなパージ装置によれば、排気流量が供給流量に比例する第1流量の供給流量と、第1流量にてパージ処理されている時の排気流量とに基づいてパージ処理が良好に行われているか否かを判定できる。このため、互いに比例関係にある供給流量及び排気流量に基づいてパージ処理が良好に行われているか否かを判定することができるので、正確な良否判定が可能となる。
【0011】
また、一実施形態において、流量制御部は、第2モードでパージ処理を開始した後に、第1モードに切り換え、測定部は、第1モードにおいて排気流量を測定し、判定部は、第1モードにおいて測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定してもよい。
【0012】
このようなパージ装置によれば、最初に相対的に大きな流量のパージガスを格納容器に供給できるので、格納容器の内部を早期に清浄化することができる。これにより、被格納物が汚染される可能性を低減することができる。
【0013】
本発明の一側面に係るパージ方法は、被格納物が格納された格納容器の内部をパージガスによってパージ処理するパージ方法であって、格納容器の排出口に格納容器内部のパージガスを排出可能な排出管を接続し、パージ処理を実施する際に排出管を流れるパージガスの流量である排気流量を測定し、測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定する。
【0014】
このパージ方法によれば、実際に格納容器にパージガスを供給する工程の中で、良好なパージ処理が行われているか否かを判定することができる。
【0015】
また、一実施形態において、第1流量で格納容器にパージガスを供給することによりパージ処理を実施する際に排出管を流れるパージガスの流量である排気流量を測定し、測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定してもよい。ここで、格納容器にパージガスを供給する流量が所定流量よりも多くなると、格納容器の排出口以外の部分からパージガスが漏れ出す格納容器において、所定流量までの流量を第1流量とし、第1流量よりも多い流量を第2流量とする。
【0016】
このパージ方法によれば、排気流量が供給流量に比例する第1流量の供給流量と、第1流量にてパージ処理されている時の排気流量とに基づいてパージ処理が良好に行われているか否かを判定できる。このため、互いに比例関係にある供給流量及び排気流量に基づいてパージ処理が良好に行われているか否かを判定することができるので、正確な良否判定が可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実際に格納容器にパージガスを供給する工程の中で、良好なパージ処理が行われているか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、一実施形態に係るパージ装置を備えたパージストッカを示す正面図である。
図2図2は、図1のパージストッカをII−II線から見た断面図である。
図3図3は、図1のパージ装置によりパージ処理される格納容器の構成を示した断面図及び斜視図である。
図4図4は、図1のパージ装置の構成を示した概略構成図である。
図5図5は、図4の流量制御部におけるモード切替を示したタイミングチャートである。
図6図6は、格納容器の排出口に排出管を接続した状態における供給流量と排気流量との関係を示したグラフである。
図7図7は、変形例に係る流量制御部におけるモード切替をそれぞれ示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、必ずしも一致していない。
【0020】
一実施形態に係るパージ装置30について説明する。パージ装置30は、半導体ウェハ又はガラス基板などの被格納物が格納されたFOUP(Front Opening Unified Pod)などの格納容器50の内部をパージガスによってパージ処理する装置である。ここでいうパージガスの例には、例えば、不活性気体及び清浄乾燥空気などが含まれる。パージ装置30は、被格納物が格納された格納容器50を保管するパージストッカ1などに配置されている。図1及び図2に示すように、パージストッカ1は、例えば、クリーンルーム100に設けられている。
【0021】
このようなクリーンルーム100に設けられたパージストッカ1は、パーティション3、FFU(Fan Filter Unit)5、ラック7、クレーン9、排気口15A、OHT(Overhead Hoist Transfer)ポート21及びマニュアルポート23を備えている。
【0022】
パーティション3は、床面100Aの上方の領域を仕切る(画成する)部分であり、その内側には保管領域1Aが形成されている。FFU5は、パーティション3で区切られた空間の天井部分、すなわち、保管領域1Aの上方に所定方向に沿って複数設けられている。FFU5は、保管領域1Aの外部から保管領域1A内に清浄空気を吸気して、清浄空気を保管領域1Aの下方に向けて吹き出す。排気口15Aは、保管領域1Aの底部近傍に設けられており、保管領域1A内から保管領域1Aの外部にパージガスを含む気体を排出する部分である。パージガスを含む気体は、排気用ファン15によって保管領域1Aから排出される。
【0023】
ラック7は、格納容器50を保管する部分であり、保管領域1A内に、複数列(ここでは、2列)設けられている。各ラック7は、所定方向Xに延在しており、2列のラック7,7は互いに奥行方向Yに対向するように配置されている。各ラック7には、所定方向X及び鉛直方向Zに沿って、格納容器50を載置して保管する保管棚7Aが複数形成されている。
【0024】
クレーン9は、格納容器50を保管棚7Aに対して出し入れする部分であり、対向するラック7,7に挟まれた領域に配置されている。クレーン9は、ラック7の延在方向Xに沿って、床面に配置された走行レール(図示せず)を走行することにより、ラック7の延在方向Xに沿って移動することができる。クレーン9の荷台9Aは、ガイドレール9Bに沿って昇降可能に設けられており、鉛直方向に設けられた複数の保管棚7Aに対して、格納容器50を出し入れすることができる。
【0025】
パージストッカ1への格納容器50の出し入れは、OHTポート21及びマニュアルポート23から行われる。OHTポート21は、天井100Bに敷設された走行レール25を走行する天井走行車(OHT)27とパージストッカ1との間で格納容器50を受け渡しする部分であり、格納容器50を搬送するコンベヤ21Aを有している。マニュアルポート23は、作業者とパージストッカ1との間で格納容器50を受け渡しする部分であり、格納容器50を搬送するコンベヤ23Aを有している。
【0026】
ラック7の保管棚7Aには、載置される格納容器50の内部をパージガス(例えば、窒素ガス)でパージするパージ装置30が設けられている。パージ装置30は、保管棚7Aに載置された格納容器50内にパージガスを供給・排出するための装置である。
【0027】
ここで、格納容器50について説明する。図3(A)及び図3(B)に示すように、格納容器50は、筐体となる、本体部51及び蓋部53を備えている。格納容器50は、本体部51と蓋部53とによって密閉空間54が形成される。密閉空間54内には、複数の半導体ウエハ(図示せず)が収納される。
【0028】
本体部51において底面となる底面部52の下面には、蓋部53が配置される側を前としたとき、前端部の左右両端近傍に排出口56が設けられ、後端部の左右両端に供給口55が設けられている。供給口55は、接続部52A及び連通部52Cから形成される。排出口56は、接続部52B及び連通部52Dから形成される。この例では接続部52Aは、後段にて詳述するパージ装置30の供給管31と接続可能に構成されている。また、接続部52Bは、パージ装置30の排出管33と接続可能に構成されている。接続部52A、52Bには、供給管31及び排出管33の内径と同等の径の連通部52C,52Dがそれぞれ形成されている。連通部52C、52Dは、密閉空間54と格納容器50の外部とを連通する孔部である。
【0029】
蓋部53は、本体部51の側面である一つの面に配置される。蓋部53には、例えば、ラッチ機構58が設けられている。ラッチ機構58は、ラッチ部58Aとカム部58Bとを有している。ラッチ部58Aは、カム部58Bに設けられた差込口58Cにキー(図示せず)を差し込んだ状態で、このキーを回動させると、ラッチ部58Aのカム部58Bがある側とは反対側の端部が出入りするように構成されている。そして、このラッチ部58Aの端部がラッチ部58Aと対向する面であって本体部51に設けられた嵌合溝51Aに嵌合されることによって、蓋部53が本体部51に固定されるようになっている。
【0030】
次に、上述したような格納容器50の内部をパージガス(例えば、窒素ガス)によってパージ処理するパージ装置30について説明する。図4は、パージ装置30の構成を示した概略構成図である。図4に示すように、パージ装置30は、供給管31、MFC(Mass
Flow Controller)35、パージガス源37、排出管33、流量計(測定部)39及び制御部40を備えている。
【0031】
供給管31の先端はノズルとなっており、格納容器の供給口55に接続されることにより格納容器50にパージガスを供給する。本実施形態では、供給管31は、接続部52Aに密着されることによって連通部52Cと接続される。MFC35は、供給管31を流れるパージガスの質量流量を計測し、流量制御を行う機器である。パージガス源(図示せず)は、パージガスを貯蔵するタンクである。
【0032】
排出管33の先端はノズルとなっており、格納容器50の排出口56に接続されることにより格納容器50の内部54のパージガスを吸気して、格納容器50内部54のパージガスを排出する。本実施形態では、排出管33は、接続部52Bに密着されることにより、連通部52Dと接続される。流量計39は、排出管33を流れるパージガスの流量を計測する機器である。
【0033】
制御部40は、パージ装置30における各種パージ処理を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなる電子制御ユニットである。制御部40は、図4に示すように、パージ装置30の各種制御処理を実行する概念的な部分としての流量制御部41と判定部43とを有している。このような概念的な部分が実行する機能は、CPUなどの制御のもと実行される。
【0034】
流量制御部41は、格納容器50に第1流量でパージガスを供給することによりパージ処理を実施させる第1モードと、格納容器50に第2流量でパージガスを供給することによりパージ処理を実施させる第2モードとを切り替える部分である。ここで、「第1流量」とは、格納容器50にパージガスを供給する流量が所定流量よりも多くなると、格納容器50の排出口以外の部分(例えば、図3(A)及び図3(B)に示すように、本体部51と蓋部53との間の部分)からパージガスが漏れ出す格納容器50において、上述の所定流量までの流量をいう。「第2流量」とは、第1流量よりも多い流量をいう。
【0035】
判定部43は、流量計39によって測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定する部分である。具体的には、判定部43は、流量制御部41によって第1流量に制御された際(第1モード)のMFC35による供給流量Fsと、排出管33に配置された流量計39が計測する排気流量Feとに基づいて、パージ処理の良否判定を行う。例えば、供給流量Fsよりも排気流量Feの方が所定量以上少なかった場合には、パージ処理が良好に行われていないと判定することができる。
【0036】
また、判定部43は、供給管31の先端から格納容器50にパージガスを噴出する図示しないノズル及び格納容器50から排出管33にパージガスを噴出する図示しないノズルにおける流量伝達比を考慮してパージ処理の良否を判定してもよい。例えば、供給管31において格納容器50にパージガスを噴射するノズルの流量伝達比をAとし、格納容器50において排出管33にパージガスを噴射するノズルの流量伝達比をBとしたとき、排気流量Feが、供給流量FsにA及びBを乗算した値(Fs×A×B)よりも所定量以上少ない場合には、パージ処理が良好に行われていないと判定してもよい。
【0037】
なお、流量伝達比A及びBは、ノズルの特性に合わせて適宜設定することができる。金属製ノズルの場合には、0.70〜0.95の値が流量伝達比A及びBとして設定され、弾性体ノズルの場合には0.90〜1.00の値が流量伝達比A及びBとして設定され得る。
【0038】
次に、上記パージ装置30におけるパージ処理の動作について説明する。流量制御部41は、格納容器50のパージ装置30への載置を検知すると(又は、ユーザによりパージ処理命令が入力されると)、格納容器50へのパージガスの供給(パージ処理)を開始する。図5に示すように、流量制御部41は、第2流量である流量f2でパージガスを供給するモード(第2モード)を開始し、時間t1まで第2モードを継続させる。
【0039】
流量制御部41は、その後、パージ処理の良否を判定するために第1流量である流量f1でパージガスを供給するモード(第1モード)に切り替え、時間t2までに第1モードを継続させる。判定部43は、このとき(第1モード)に上述に示した方法によりパージ処理の良否を判定する。流量制御部41は、その後、再び第2流量である流量f2でパージガスを供給するモード(第2モード)に切り替え、所定時間、又は、格納容器50が保管棚7Aから移動させられるまで継続させる。
【0040】
なお、判定部43が判定したパージ処理の良否結果については、例えば、図示しないパージ装置30の表示部(図示せず)に表示したり、警告音を発したり、他の端末にその旨の情報を送信したりするなど、作業者に報知する構成を備えていてもよい。
【0041】
上述した構成のパージ装置30によれば、パージ装置30に載置される測定ユニット側ではなく、パージ装置30側に、排出管33を流れるパージガスの流量を測定する流量計39が設けられている。このため、実際にパージ処理の対象となる格納容器50をパージ装置30に載置した状態で、格納容器50にパージガスを供給したときの排気流量を測定し、この測定した排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定できる。これにより、実際に格納容器50にパージガスを供給する工程の中で、良好なパージ処理が行われているか否かを判定することができる。
【0042】
また、本願発明者らは、鋭意検討の結果、排気効率には、格納容器50の気密性が大きく影響することを見出した。すなわち、図6に示すように、格納容器50に供給されるパージガスの流量が所定流量F1よりも多くなると(格納容器50の内圧が所定圧力P1よりも大きくなると)、格納容器50の蓋部53と本体部51との間からパージガスが漏れ出し、排出管33から排出される排気流量は飽和気味となることを見出した。言い換えれば、格納容器50の蓋部53と本体部51との間からパージガスが漏れ出す上記所定流量F1まで(0〜F1)は、供給流量に略比例した排気流量が得られることを見出した。
【0043】
上述した構成のパージ装置30では、図6に示すような、格納容器50にパージガスを供給する流量が所定流量F1よりも多くなると、格納容器50の蓋部53と本体部51との間からパージガスが漏れ出す格納容器50において、所定流量F1までの供給流量を第1流量f1とし、第1流量よりも多い流量を第2流量f2としたとき、第1流量f1で格納容器50にパージガスを供給することによりパージ処理を実施させる第1モードと、第2流量f2で格納容器50にパージガスを供給することによりパージ処理を実施させる第2モードと、を切り替え可能な構成となっている。そして、パージ装置30は、第1モードにおいて排気流量を測定し、第1モードにおいて測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定している。
【0044】
このパージ装置30によれば、排気流量が供給流量に略比例する第1流量f1の供給流量と、第1流量f1にてパージ処理されている時の排気流量とに基づいてパージ処理の良否を判定している。このため、互いに略比例関係にある供給流量及び排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定できるので、正確な良否判定が可能となる。
【0045】
また、上述した構成のパージ装置30では、第2モードでパージ処理を開始した後に、第1モードに切り換え、第1モードにおいて排気流量を測定し、第1モードにおいて測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定している。このため、最初に相対的に大きな流量のパージガスを格納容器50に供給できるので、格納容器50の内部を早期に清浄化することができる。これにより、被格納物が汚染される可能性を低減することができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
<第1変形例>
上記実施形態のパージストッカ1では、図5に示すようなタイミングで、第1モード及び第2モードを切り替える例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7(A)に示すように、パージ装置30は、第1モードでパージ処理を開始し、第1モードにおいて測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定し、その後、第2モードに切り換えてパージ処理を継続してもよい。この場合には、パージ処理における初期の段階でパージ処理の良否を判定することができるので、不具合が発生した場合には早期に対応することができる。
【0048】
<第2変形例>
また、図7(B)に示すように、パージ装置30は、第2モードでパージ処理を開始し、パージ処理を終了する最後の段階で第1モードに切り換え、第1モードにおいて測定された排気流量に基づいてパージ処理の良否を判定し、そのままパージ処理を終えるようにしてもよい。この場合には、最初に相対的に大きな流量のパージガスを格納容器50に供給できるので、格納容器50の内部を早期に清浄化することができる。また、何かのタイミングでパージ処理が良好に行われた否かを確認したくなった場合に有効な制御である。
【0049】
<その他の変形例>
上記実施形態では、パージストッカ1に配置されたパージ装置30を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。パーティション3などにより画成された空間に配置されるパージ装置だけでなく、例えば、天井走行車同士の中継ポイント、コンベヤから天井走行車への受け渡しポイント(ロードポート)、天井バッファなどに上記実施形態及び変形例のパージ装置も適用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…パージストッカ、1A…保管領域、3…パーティション、7…ラック、7A…保管棚、21…OHTポート、23…マニュアルポート、30…パージ装置、31…供給管、33…排出管、37…パージガス源、39…流量計(測定部)、40…制御部、41…流量制御部、43…判定部、50…格納容器、51…本体部、52…底面部、53…蓋部、54…密閉空間、55…供給口、56…排出口、100…クリーンルーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7