(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直流入力側が直流電圧源に、出力側が共振負荷に各々接続され、共振周波数で矩形波電圧を出力する単相インバータを備えた共振負荷用電力変換装置の時分割運転方法であって、
前記単相インバータの一方の相の上、下アームおよび他方の相の上、下アームに各々接続され、2個のスイッチング素子の直列体をN個(Nは2以上の整数)並列に接続して構成されたスイッチ群回路と、
前記単相インバータの前記スイッチ群回路の各スイッチング素子を時分割でスイッチング制御する制御部とを備え、
前記制御部の三角波生成部が、周波数指令を所定分数に分周した周波数を有し、振幅値0〜1の間に、プラス傾斜とマイナス傾斜が同一傾斜である直線波形により形成された三角波信号を生成する三角波生成ステップと、
前記制御部の4N−1個の遅延器が、前記三角波生成部で生成された三角波信号を、1/4N周期ずつ順次遅延させるステップと、
前記制御部の4N個の比較器が、(2N+1)/4Nの値に設定した基準値と、前記三角波生成部で生成された三角波信号および前記4N−1個の遅延器により遅延された三角波信号とを各々比較し、前記三角波信号が基準値より小のときゲートON信号を、三角波信号が基準値より大のときゲートOFF信号を各々出力するステップと、
を備えている共振負荷用電力変換装置の時分割運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1には、共振負荷用電力変換装置における単相インバータの時分割運転機能は記載されているが、どのような回路構成によって単相インバータのスイッチング波形を生成するかについては開示されていない。
【0011】
本発明の目的は、1スイッチング素子あたりのスイッチング周波数低減を可能とした単相インバータのスイッチング波形を生成する、共振負荷用電力変換装置およびその時分割運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の共振負荷用電力変換装置は、直流入力側が直流電圧源に、出力側が共振負荷に各々接続され、共振周波数で矩形波電圧を出力する単相インバータを備えた共振負荷用電力変換装置であって、
前記単相インバータの一方の相の上、下アームおよび他方の相の上、下アームに各々接続され、2個のスイッチング素子の直列体をN個(Nは2以上の整数)並列に接続して構成されたスイッチ群回路と、
前記単相インバータの前記スイッチ群回路の各スイッチング素子を時分割でスイッチング制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
周波数指令を所定分数に分周した周波数を有し、振幅値0〜1の間に、プラス傾斜とマイナス傾斜が同一傾斜である直線波形により形成された三角波信号を生成する三角波生成部と、
前記三角波生成部で生成された三角波信号を、1/4N周期ずつ順次遅延させる4N−1個の遅延器と、
(2N+1)/4Nの値に設定した基準値と、前記三角波生成部で生成された三角波信号および前記4N−1個の遅延器により遅延された三角波信号とを各々比較し、前記三角波信号が基準値より小のときゲートON信号を、三角波信号が基準値より大のときゲートOFF信号を各々出力する4N個の比較器と、
を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の共振負荷用電力変換装置の時分割運転方法は、直流入力側が直流電圧源に、出力側が共振負荷に各々接続され、共振周波数で矩形波電圧を出力する単相インバータを備えた共振負荷用電力変換装置の時分割運転方法であって、
前記単相インバータの一方の相の上、下アームおよび他方の相の上、下アームに各々接続され、2個のスイッチング素子の直列体をN個(Nは2以上の整数)並列に接続して構成されたスイッチ群回路と、
前記単相インバータの前記スイッチ群回路の各スイッチング素子を時分割でスイッチング制御する制御部とを備え、
前記制御部の三角波生成部が、周波数指令を所定分数に分周した周波数を有し、振幅値0〜1の間に、プラス傾斜とマイナス傾斜が同一傾斜である直線波形により形成された三角波信号を生成する三角波生成ステップと、
前記制御部の4N−1個の遅延器が、前記三角波生成部で生成された三角波信号を、1/4N周期ずつ順次遅延させるステップと、
前記制御部の4N個の比較器が、(2N+1)/4Nの値に設定した基準値と、前記三角波生成部で生成された三角波信号および前記4N−1個の遅延器により遅延された三角波信号とを各々比較し、前記三角波信号が基準値より小のときゲートON信号を、三角波信号が基準値より大のときゲートOFF信号を各々出力するステップと、
を備えていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、1アーム毎に2N個のスイッチング素子を有した単相インバータの、1スイッチング素子あたりのスイッチング周波数を下げることができる。
【0015】
また、スイッチング素子の直列体の並列数Nが、2以上のどのような値であっても、時分割運転が可能なスイッチングパターンを生成することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の共振負荷用電力変換装置は、請求項1において、
前記スイッチング素子の直列体の並列個数Nは2であり、
前記単相インバータの一方の相の上アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子U11,U12の直列体とスイッチング素子U21,U22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記単相インバータの一方の相の下アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子X11,X12の直列体とスイッチング素子X21,X22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記単相インバータの他方の相の上アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子V11,V12の直列体とスイッチング素子V21,V22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記単相インバータの他方の相の下アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子Y11,Y12の直列体とスイッチング素子Y21,Y22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記4N−1個の遅延器は、前記三角波生成部に対して順次直列に設けた第1〜第7の遅延器で構成され、前記4N個の比較器は、第1〜第8の比較器で構成され、
前記第1の比較器は、前記三角波生成部で生成された三角波信号と前記基準値を比較し、前記三角波信号の1周期の(2N+1)/4Nの期間ゲートON信号となり、(2N−1)/4Nの期間ゲートOFF信号となるスイッチング素子U11、Y11用ゲート指令信号を出力し、
前記第2の比較器は、前記第1の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U11、Y11用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X11、V11用ゲート指令信号を出力し、
前記第3の比較器は、前記第2の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記X11、V11用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子U21、Y21用ゲート指令信号を出力し、
前記第4の比較器は、前記第3の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U21、Y21用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X21、V21用ゲート指令信号を出力し、
前記第5の比較器は、前記第4の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記X21、V21用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子U12、Y12用ゲート指令信号を出力し、
前記第6の比較器は、前記第5の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U12、Y12用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X12、V12用ゲート指令信号を出力し、
前記第7の比較器は、前記第6の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記X12、V12用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子U22、Y22用ゲート指令信号を出力し、
前記第8の比較器は、前記第7の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U22、Y22用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X22、V22用ゲート指令信号を出力することを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の共振負荷用電力変換装置の時分割運転方法は、請求項3において、
前記スイッチング素子の直列体の並列個数Nは2であり、
前記単相インバータの一方の相の上アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子U11,U12の直列体とスイッチング素子U21,U22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記単相インバータの一方の相の下アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子X11,X12の直列体とスイッチング素子X21,X22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記単相インバータの他方の相の上アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子V11,V12の直列体とスイッチング素子V21,V22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記単相インバータの他方の相の下アームのスイッチ群回路は、スイッチング素子Y11,Y12の直列体とスイッチング素子Y21,Y22の直列体とを並列に接続して構成され、
前記4N−1個の遅延器は、前記三角波生成部に対して順次直列に設けた第1〜第7の遅延器で構成され、前記4N個の比較器は、第1〜第8の比較器で構成され、
前記第1の比較器が、前記三角波生成部で生成された三角波信号と前記基準値を比較し、前記三角波信号の1周期の(2N+1)/4Nの期間ゲートON信号となり、(2N−1)/4Nの期間ゲートOFF信号となるスイッチング素子U11、Y11用ゲート指令信号を出力するステップと、
前記第2の比較器が、前記第1の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U11、Y11用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X11、V11用ゲート指令信号を出力するステップと、
前記第3の比較器が、前記第2の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記X11、V11用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子U21、Y21用ゲート指令信号を出力するステップと、
前記第4の比較器が、前記第3の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U21、Y21用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X21、V21用ゲート指令信号を出力するステップと、
前記第5の比較器が、前記第4の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記X21、V21用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子U12、Y12用ゲート指令信号を出力するステップと、
前記第6の比較器が、前記第5の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U12、Y12用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X12、V12用ゲート指令信号を出力するステップと、
前記第7の比較器が、前記第6の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記X12、V12用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子U22、Y22用ゲート指令信号を出力するステップと、
前記第8の比較器が、前記第7の遅延器により遅延された三角波信号と前記基準値を比較し、前記U22、Y22用ゲート指令信号に対して1/4N周期遅延し、当該ゲート指令信号のON期間およびOFF期間と同一のON期間およびOFF期間を有するスイッチング素子X22、V22用ゲート指令信号を出力するステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、1アーム毎に4個のスイッチング素子を有した単相インバータの、1スイッチング素子あたりのスイッチング周波数を下げることができる。
【発明の効果】
【0019】
(1)請求項1〜4に記載の発明によれば、1アーム毎に2N個のスイッチング素子を有した単相インバータの、1スイッチング素子あたりのスイッチング周波数を下げることができる。
(2)請求項1、3に記載の発明によれば、スイッチング素子の直列体の並列数Nが、2以上のどのような値であっても、時分割運転が可能なスイッチングパターンを生成することができる。
(3)請求項2、4に記載の発明によれば、1アーム毎に4個のスイッチング素子を有した単相インバータの、1スイッチング素子あたりのスイッチング周波数を下げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
【0022】
図1は、共振負荷用電力変換装置である、例えば
図9の交直変換装置10に適用される、時分割運転機能を有した単相インバータ(インバータユニット)の構成を示している。
【0023】
図1の単相インバータの直流入力部は直流リンク電圧入力部Vdcに接続され、各アームには、2直列N並列(N=2以上の整数)のスイッチング素子(例えばIGBT)を備えたスイッチ群回路100U,100V,100X,100Yが各々接続され、スイッチ群回路100Uおよび100Xの共通接続点とスイッチ群回路100Vおよび100Yの共通接続点の間には、矩形波の出力電圧Voutが出力されるように構成されている。
【0024】
単相インバータの一方の相の上アームのスイッチ群回路100Uは、スイッチング素子U11,U12の直列体と、スイッチング素子U21,U22の直列体と、…スイッチング素子UN1,UN2の直列体とが並列に接続されている。
【0025】
単相インバータの一方の相の下アームのスイッチ群回路100Xは、スイッチング素子X11,X12の直列体と、スイッチング素子X21,X22の直列体と、…スイッチング素子XN1,XN2の直列体とが並列に接続されている。
【0026】
単相インバータの他方の相の上アームのスイッチ群回路100Vは、スイッチング素子V11,V12の直列体と、スイッチング素子V21,V22の直列体と、…スイッチング素子VN1,VN2の直列体とが並列に接続されている。
【0027】
単相インバータの他方の相の下アームのスイッチ群回路100Yは、スイッチング素子Y11,Y12の直列体と、スイッチング素子Y21,Y22の直列体と、…スイッチング素子YN1,YN2の直列体とが並列に接続されている。
【0028】
図2は、
図1のスイッチ群回路100U,100V,100X,100Yの各スイッチング素子を時分割でスイッチング制御する制御部の制御ブロックを示している。
【0029】
図2において、111は、周波数指令信号の周波数を1/2Nに分周する分周器である。112は、分周器111で分周された周波数を有し、振幅値0〜1の間に、プラス傾斜とマイナス傾斜が同一傾斜である直線波形により形成された三角波信号を生成する三角波生成部である。
【0030】
113…は、三角波生成部112で生成された三角波信号(1周期T)を、T/4Nずつ順次遅らせる(三角波1周期をTとしているため、1/4N周期ずつ遅らせる)4N−1個の遅延器である。
【0031】
114は、前記三角波信号に対してオン・オフの境界を決定するための基準値(2N+1)/4Nを生成(設定)する基準値生成部である。
【0032】
115…は、基準値生成部114の基準値(2N+1)/4Nと、三角波生成部112で生成された三角波信号および4N−1個の遅延器113…により順次遅延された三角波信号とを各々比較し、三角波信号が基準値より小のときゲートON信号となり、三角波信号が基準値より大のときゲートOFF信号となる、
図1の各スイッチング素子のゲート指令信号を各々出力する4N個の比較器である。
【0033】
上記構成によれば、比較器115…は、基準値生成部114の(2N+1)/4Nの値と、0〜1の間の値を推移する、三角波生成部112の三角波信号およびそれを順次1/4N周期ずつ遅延させた三角波信号とを比較しているので、三角波信号の1周期の(2N+1)/4Nの期間ゲートON信号となり、(2N−1)/4Nの期間ゲートOFF信号となるゲート指令信号を各々出力する。
【0034】
そして、4N個の比較器115…から出力される各ゲート指令信号は、各々同一のON期間、OFF期間を有し、且つ三角波信号の1/4N周期ずつ各々遅延したゲート指令信号となるため、
図1のスイッチ群回路100U,100V,100X,100Yの各スイッチング素子が時分割でスイッチング制御される。
【0035】
これによって、1アーム毎に2N個のスイッチング素子を有した単相インバータの、1スイッチング素子あたりのスイッチング周波数を下げることができる。
【0036】
また、スイッチング素子の直列体の並列数Nが、2以上のどのような値であっても、時分割運転が可能なスイッチングパターンを生成することができる。
【0037】
前記単相インバータの出力電圧周期は三角波信号の周期Tの1/2Nとなっている。
【実施例1】
【0038】
図3は、
図1の単相インバータの各アームのスイッチ群回路のスイッチング素子の直列体の並列数N=2としたときのインバータユニットの構成を示している。
図3において、単相インバータの一方の相の上アームのスイッチ群回路200Uは、スイッチング素子U11,U12の直列体と、スイッチング素子U21,U22の直列体とが並列に接続されている。
【0039】
単相インバータの一方の相の下アームのスイッチ群回路200Xは、スイッチング素子X11,X12の直列体と、スイッチング素子X21,X22の直列体とが並列に接続されている。
【0040】
単相インバータの他方の相の上アームのスイッチ群回路200Vは、スイッチング素子V11,V12の直列体と、スイッチング素子V21,V22の直列体とが並列に接続されている。
【0041】
単相インバータの他方の相の下アームのスイッチ群回路200Yは、スイッチング素子Y11,Y12の直列体と、スイッチング素子Y21,Y22の直列体とが並列に接続されている。
【0042】
図3の単相インバータでは、スイッチング素子U11,U12,U21,U22のU集団(Y集団とリンク)は出力電圧としてプラス(上側)の電圧を生成し、スイッチング素子V11,V12,V21,V22のV集団(X集団とリンク)は出力電圧としてマイナス(下側)の電圧を生成するものである。
【0043】
図4は、
図3のスイッチ群回路200U,200V,200X,200Yの各スイッチング素子を時分割でスイッチング制御する制御部の制御ブロックを示しており、
図2と同一部分は同一符号をもって示している。
【0044】
図4において
図2と異なる点は、4N−1個の遅延器を、三角波生成部112に対して順次直列に設けた第1〜第7の遅延器113
-1〜113
-7で構成し、4N個の比較器を、第1〜第8の比較器115
-1〜115
-8で構成した点にあり、その他の部分は
図2と同一に構成されている。
【0045】
図4の制御ブロックによるゲート信号パターンと出力電圧の関係を
図5に示す。
図5の上段は、振幅値が0〜1の間で推移する、三角波生成部112の三角波信号および各遅延器で1/4N(=1/8)周期ずつ遅延された三角波信号と、基準値生成部114の基準値(2N+1)/4N(=5/8)を示している。
【0046】
図5の中段は、比較器115
-1〜115
-8から各々出力されるゲート指令信号を示し、
図5の下段は出力電圧を示している。
【0047】
本実施例1では、単相インバータの各アームのスイッチング素子が、2直列2並列であるので、出力電圧(Vout)の周波数に比べ、1素子当たりのスイッチング周波数が出力周波数の1/4である信号で動作させることになる。
図5の時刻t0〜t8の区間が1素子の動作周期である。スイッチング素子U11とY11は同時にオン・オフのスイッチングをする。同様にスイッチング素子U12とY12、スイッチング素子U21とY21、スイッチング素子U22とY22、スイッチング素子V11とX11、スイッチング素子V12とX12、スイッチング素子V21とX21、スイッチング素子V22とX22は同時にオン・オフのスイッチングをする。
【0048】
各スイッチング素子のスイッチング周波数は出力周波数の1/4であるので、
図5の最下段に示すように1周期で4回のオン(上側)と4回のオフ(下側)があることになる。このため1周期を8分割した1/8周期毎にスイッチングをする必要がある。
【0049】
ゲート信号パターン生成の過程を
図6のstep1〜step7とともに説明する。
図6中、灰色部分の時間帯がオンである。2直列(U11とU12)を同時にオンさせるのは8分割(1分割は1/8周期分)の内、素子が2個あるので2回、均等な動作のためには4分割の内1回で、このオン期間2回の間隔は3分割分(=4分割−1分割)の時間であることをベースに考えると、2直列のうち一方の素子のオン期間5分割分の中央3分割分に、2直列のうち他方の素子のオフ期間を入れることで実現させた(step1)。
【0050】
次に2並列の動作(U1列(U11とU12)とU2列(U21とU22))であるが、U1列のオフ期間(3分割分)の中央にU2列のオンを挿入した(step2)。
【0051】
そしてstep1をベースにstep3を導くことができる。すなわち、2直列(U21とU22)のうち一方の素子のオン期間5分割分の中央3分割分に、2直列のうち他方の素子のオフ期間を入れる。
【0052】
次に、U1列で生成したプラス側に対しマイナスをV1列で生成する(step4)。これを生成するのがstep5である。すなわち、2直列(V11とV12)のうち一方の素子のオン期間5分割分の中央3分割分に、2直列のうち他方の素子のオフ期間を入れる。ここでstep5におけるV11とV12の動作が逆でも結果生成されるstep4の波形は同じである。
【0053】
同様にV2列に対応する波形をする(step6)。これを生成するのがstep7となる(step6,step7の動作はstep4,step5と同様である)。
【0054】
このように生成したゲート指令信号を、
図5の(1)U11/Y11,(2)X11/V11,(3)U21/Y21,(4)X21/V21,(7)U12/Y12,(8)X12/V12,(9)U22/Y22,(10)X22/V22に示す。
【0055】
上述したように、直列素子の信号が逆(U11とU12の信号が逆)となってもよい。また並列素子の信号が逆(U1列とU2列の信号が逆)となってもよい。
【0056】
上記
図5中段のゲート指令信号(1)U11/Y11,(2)X11/V11,(3)U21/Y21,(4)X21/V21,(7)U12/Y12,(8)X12/V12,(9)U22/Y22,(10)X22/V22を生成するため、
図5上段の(1),(2),(3),(4),(7),(8),(9),(10)の三角波を用意している。これは上述したように1/8周期毎にスイッチングをする必要があるためである。
【0057】
そして三角波信号の1周期中のオン、オフ周期を示す
図7のように、1周期の間で5/8周期が連続してオン、残り3/8周期がオフである信号を生成するために、
図2の制御ブロックのように三角波と所定の基準値と比較し基準値より低い値をオンとするように構成しており、これによって三角波(振幅値0〜1)と5/8の比較で5/8周期のオン期間が得られる。
【0058】
ゲート指令信号(1)U11/Y11の波形の時間幅のみ考えれば、三角波の5/8と比較することで生成できるためには、三角波の下端の頂点が時刻t2−t3の中間にある必要がある。これは、他のゲート指令信号(2)X11/V11,(3)U21/Y21,(4)X21/V21,(7)U12/Y12,(8)X12/V12,(9)U22/Y22,(10)X22/V22も同様である。
【0059】
前記ゲート指令信号(1)U11/Y11は、
図4の比較器115
-1において、三角波生成部112で生成された三角波信号(
図5上段の(1))と基準値生成部114の基準値5/8(=(2N+1)/4N)を比較した結果、三角波の1周期の5/8の期間ゲートONとなり3/8(=(2N−1)/4N)の期間ゲートOFFとなる信号として出力される。
【0060】
前記ゲート指令信号(2)X11/V11は、比較器115
-2において、遅延器113
-1で遅延された三角波信号(
図5上段の(2))と前記基準値5/8を比較した結果、前記ゲート指令信号(1)U11/Y11に対して1/8(=1/4N)周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(1)と同一の信号として出力される。
【0061】
前記ゲート指令信号(3)U21/Y21は、比較器115
-3において、遅延器113
-2で遅延された三角波信号(
図5上段の(3))と前記基準値5/8を比較した結果、前記ゲート指令信号(2)X11/V11に対して1/8周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(2)と同一の信号として出力される。
【0062】
前記ゲート指令信号(4)X21/V21は、比較器115
-4において、遅延器113
-3で遅延された三角波信号(
図5上段の(4))と前記基準値5/8を比較した結果、前記ゲート指令信号(3)U21/Y21に対して1/8周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(3)と同一の信号として出力される。
【0063】
前記ゲート指令信号(7)U12/Y12は、比較器115
-5において、遅延器113
-4で遅延された三角波信号(
図5上段の(7))と前記基準値5/8を比較した結果、前記ゲート指令信号(4)X21/V21に対して1/8周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(4)と同一の信号として出力される。
【0064】
前記ゲート指令信号(8)X12/V12は、比較器115
-6において、遅延器113
-5で遅延された三角波信号(
図5上段の(8))と前記基準値5/8を比較した結果、前記ゲート指令信号(7)U12/Y12に対して1/8周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(7)と同一の信号として出力される。
【0065】
前記ゲート指令信号(9)U22/Y22は、比較器115
-7において、遅延器113
-6で遅延された三角波信号(
図5上段の(9))と前記基準値5/8を比較した結果、前記ゲート指令信号(8)X12/V12に対して1/8周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(8)と同一の信号として出力される。
【0066】
前記ゲート指令信号(10)X22/V22は、比較器115
-8において、遅延器113
-7で遅延された三角波信号(
図5上段の(10))と前記基準値5/8を比較した結果、前記ゲート指令信号(9)U22/Y22に対して1/8周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(9)と同一の信号として出力される。
【0067】
尚、
図5において、ゲート指令信号(5)、(6)は、後述のN=3の実施例2の
図9で、ゲート指令信号(5)U31/Y31、ゲート指令信号(6)X31/V31を用いているため、ここでは欠番としている。
【0068】
図3の単相インバータの出力電圧のプラスとマイナスの推移は、
図5に示すように、時刻t0−t1プラス側(U1列U12オフで終了)→時刻t1−t2マイナス側(V1列V12オフで終了)→時刻t2−t3プラス側(U2列U22オフで終了)→時刻t3−t4マイナス側(V2列V22オフで終了)→時刻t4−t5プラス側(U1列U11オフで終了)→時刻t5−t6マイナス側(V1列V11オフで終了)→時刻t6−t7プラス側(U2列U21オフで終了)→時刻t7−t8マイナス側(V2列V21オフで終了)、の8パターンの繰り返しである。
【実施例2】
【0069】
図8は、
図1の単相インバータの各アームのスイッチ群回路のスイッチング素子の直列体の並列数N=3としたときのインバータユニットの構成を示している。
図8において、単相インバータの一方の相の上アームのスイッチ群回路300Uは、スイッチング素子U11,U12の直列体と、スイッチング素子U21,U22の直列体と、スイッチング素子U31,U32の直列体とが並列に接続されている。
【0070】
単相インバータの一方の相の下アームのスイッチ群回路300Xは、スイッチング素子X11,X12の直列体と、スイッチング素子X21,X22の直列体と、スイッチング素子X31,X32の直列体とが並列に接続されている。
【0071】
単相インバータの他方の相の上アームのスイッチ群回路300Vは、スイッチング素子V11,V12の直列体と、スイッチング素子V21,V22の直列体と、スイッチング素子V31,V32の直列体とが並列に接続されている。
【0072】
単相インバータの他方の相の下アームのスイッチ群回路300Yは、スイッチング素子Y11,Y12の直列体と、スイッチング素子Y21,Y22の直列体と、スイッチング素子Y31,Y32の直列体とが並列に接続されている。
【0073】
図8の単相インバータの制御ブロックは
図2と同様の回路となるが、
図2における4N−1個の遅延器113…を、三角波生成部112に対して順次直列に設けられ、1/12周期ずつ三角波信号を遅延する第1番目〜第11番目の遅延器113…で構成し、
図2における4N個の比較器115…を第1番目〜第12番目の比較器115…で構成するものである。また、分周期111は周波数指令信号を1/6に分周し、基準値生成部114は7/12の基準値を生成している。
【0074】
実施例2におけるゲート信号パターンと出力電圧の関係を
図9に示す。
図9の上段は、振幅値が0〜1の間で推移する、三角波生成部112の三角波信号および各遅延器で1/4N(=1/12)周期ずつ遅延された三角波信号と、基準値生成部114の基準値(2N+1)/4N(=7/12)を示している。
【0075】
図9の中段は、第1番目の比較器(115
-1)〜第12番目の比較器(115
-12)から各々出力されるゲート指令信号を示し、
図9の下段は出力電圧を示している。
【0076】
本実施例2では、単相インバータの各アームのスイッチング素子が、2直列3並列であるので、出力電圧(Vout)の周波数に比べ、1素子当たりのスイッチング周波数が出力周波数の1/6である信号で動作させることになる。
図9の時刻t0〜t12の区間が1素子の動作周期である。
【0077】
このため、
図9の最下段に示すように、1周期で6回のオン(上側)と6回のオフ(下側)があることになる。したがって1周期を12分割した1/12周期毎にスイッチングする必要がある。
【0078】
本実施例2におけるゲート信号パターンは、
図6で述べたU列に、さらにU3列があることから、U1列がオフの期間等間隔に2回オンを生成することを基本とし、実施例1の
図6のstep1〜step7と同様の過程により生成することができる。
【0079】
図9中段のゲート指令信号(1)U11/Y11,(2)X11/V11,(3)U21/Y21,(4)X21/V21,(5)U31/Y31,(6)X31/V31,(7)U12/Y12,(8)X12/V12,(9)U22/Y22,(10)X22/V22,(11)U32/Y32,(11)X32/V32を生成するため、
図9上段の(1)〜(12)の三角波を用意している。これは上述したように1/12周期毎にスイッチングをする必要があるためである。
【0080】
そして1周期の間で7/12(=(2N+1)/4N)周期が連続してオン、残り5/12(=(2N−1)/4N)周期がオフである信号を生成するために、制御ブロックにおいて三角波と所定基準値を比較し基準値より低い値をオンとするように構成することで、三角波(振幅値0〜1)と7/12の比較で7/12周期のオン期間が得られる。
【0081】
ゲート指令信号(1)U11/Y11の波形の時間幅のみ考えれば、三角波の7/12と比較することで生成できるためには、三角波の下端の頂点が時刻t3−t4の中間にある必要がある。これは、他のゲート指令信号(2)X11/V11,…(12)X32/V32も同様である。
【0082】
前記ゲート指令信号(1)U11/Y11は、第1番目の比較器115において、三角波生成部112で生成された三角波信号(
図9上段の(1))と基準値生成部114の基準値7/12(=(2N+1)/4N)を比較した結果、三角波の1周期の7/12の期間ゲートONとなり5/12(=(2N−1)/4N)の期間ゲートOFFとなる信号として出力される。
【0083】
前記ゲート指令信号(2)X11/V11は、第2番目の比較器115において、第1番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(2))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(1)U11/Y11に対して1/12(=1/4N)周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(1)と同一の信号として出力される。
【0084】
前記ゲート指令信号(3)U21/Y21は、第3番目の比較器115において、第2番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(3))と前記基準7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(2)X11/V11に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(2)と同一の信号として出力される。
【0085】
前記ゲート指令信号(4)X21/V21は、第4番目の比較器115において、第3番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(4))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(3)U21/Y21に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(3)と同一の信号として出力される。
【0086】
前記ゲート指令信号(5)U31/Y31は、第5番目の比較器115において、第4番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(5))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(4)X21/V21に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(4)と同一の信号として出力される。
【0087】
前記ゲート指令信号(6)X31/V31は、第6番目の比較器115において、第5番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(6))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(5)U31/Y31に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(5)と同一の信号として出力される。
【0088】
前記ゲート指令信号(7)U12/Y12は、第7番目の比較器115において、第6番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(7))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(6)X31/V31に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(6)と同一の信号として出力される。
【0089】
前記ゲート指令信号(8)X12/V12は、第8番目の比較器115において、第7番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(8))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(7)U12/Y12に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(7)と同一の信号として出力される。
【0090】
前記ゲート指令信号(9)U22/Y22は、第9番目の比較器115において、第8番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(9))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(8)X12/V12に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(8)と同一の信号として出力される。
【0091】
前記ゲート指令信号(10)X22/V22は、第10番目の比較器115において、第9番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(10))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(9)U22/Y22に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(9)と同一の信号として出力される。
【0092】
前記ゲート指令信号(11)U32/Y32は、第11番目の比較器115において、第10番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(11))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(10)X22/V22に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(10)と同一の信号として出力される。
【0093】
前記ゲート指令信号(12)X32/V32は、第12番目の比較器115において、第11番目の遅延器113で遅延された三角波信号(
図9上段の(12))と前記基準値7/12を比較した結果、前記ゲート指令信号(11)U32/Y32に対して1/12周期遅延し、ON期間、OFF期間がゲート指令信号(11)と同一の信号として出力される。
【0094】
また、他の実施例として、単相インバータの各アームにおける2直列のスイッチング素子の並列数NをN=4以上とした場合も前記同様に時分割運転が可能なスイッチングパターンを生成することができる。
【課題】単相インバータの各アームに、2個のスイッチング素子の直列体をN個(Nは2以上の整数)並列に接続して構成されたスイッチ群回路を備えた共振負荷用電力変換装置において、1素子あたりのスイッチング周波数を低減させる。
【解決手段】周波数指令の1/2Nの周波数を有し、振幅値0〜1の間に、プラスとマイナスが同一傾斜である直線波形により形成された三角波信号を生成する三角波生成部112と、その三角波信号を、1/4N周期ずつ順次遅延させる4N−1個の遅延器113…と、基準値生成部114により(2N+1)/4Nの値に設定した基準値と、前記三角波生成部112で生成された三角波信号および前記4N−1個の遅延器113により遅延された三角波信号とを各々比較し、前記三角波信号が基準値より小のときゲートON信号を、三角波信号が基準値より大のときゲートOFF信号を各々出力する4N個の比較器115…と、を備えた。