(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6132063
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】自動車用電源供給装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20170515BHJP
H01R 4/58 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
B60R16/02 620Z
H01R4/58 C
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-235089(P2016-235089)
(22)【出願日】2016年12月2日
(62)【分割の表示】特願2015-30682(P2015-30682)の分割
【原出願日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-260966(P2014-260966)
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】肥田 善弘
(72)【発明者】
【氏名】伊東 真也
【審査官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−245898(JP,A)
【文献】
特開2011−165354(JP,A)
【文献】
特開2012−048823(JP,A)
【文献】
特開平08−002290(JP,A)
【文献】
特開昭64−067444(JP,A)
【文献】
特開2010−120565(JP,A)
【文献】
実開平02−025343(JP,U)
【文献】
特開2012−238497(JP,A)
【文献】
特開2014−060856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00−16/08
H01R 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーから電源が供給され、車体に沿って延設される単線の板状の金属配線と、
一端が前記金属配線上に電気的に接続されて、前記金属配線から車体に設置された電気機器に電源を供給する複数のワイヤーハーネスとを備えたことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用電源供給装置において、
前記金属配線を車室内で床面中央部上に延設したことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車用電源供給装置において、
前記金属配線を、複数の配線材を連結して構成したことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動車用電源供給装置において、
前記複数の配線材を共通の配線材で構成し、各配線材の両端には、それぞれ連結手段を備えたことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の自動車用電源供給装置において、
前記金属配線には、前記ワイヤーハーネスを接続可能とした接続装置を備えたことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車用電源供給装置において、
前記金属配線は、プラス側の金属配線と、マイナス側の金属配線を並べて延設したことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1項に記載の自動車用電源供給装置において、
前記金属配線を、電気的絶縁性を備えた基台を介して前記車体に保持したことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項8】
請求項7に記載の自動車用電源供給装置において、
前記基台には、プラス側の金属配線とマイナス側の金属配線を並べて保持する保持部を備えたことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車用電源供給装置において、
前記金属配線でプラス側の電源を供給し、ボディアースでマイナス側の電源を供給したことを特徴とする自動車用電源供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のバッテリーから多数の電気的負荷機器に電源を供給する電源供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14に従来の電源供給装置の一例を示す。自動車のエンジンルーム内に配設されたバッテリー51からケーブル52を介して電気接続箱53に電源が供給され、その電気接続箱53からワイヤーハーネス54を介して車室内に設置された電気接続箱55に電源供給される。ワイヤーハーネス54は、多数本の電源供給線を纏めたものである。
【0003】
そして、電気接続箱53から延びる複数本のワイヤーハーネス56,57が車室内で床面上を配索されて、そのワイヤーハーネス56,57から車体に設置された各電気機器58に電源が供給される。
【0004】
ワイヤーハーネス54はエンジンルームと車室を隔てる隔壁を貫通して車室内に配索され、その貫通部分にはゴム製のグロメットが嵌着されて、エンジンルームに対し車室を密封している。
【0005】
また、ワイヤーハーネス56,57は、車室内ではプロテクタで被覆されて保護され、クランプ部材で所定間隔毎に床面に保持されている。
近年、自動車に搭載される電気機器数の増大により、ワイヤーハーネスとして纏められる電線の本数が増大して、ワイヤーハーネスが肥大化する傾向にある。この結果、エンジンルームと室内との間の隔壁に、ワイヤーハーネスを貫通させるための大きな貫通孔が必要となる。
【0006】
また、ワイヤーハーネスの肥大化にともなって、ワイヤーハーネスの配索に要するスペースが増大し、かつワイヤーハーネスの保護及び保持に要する部品が増大するとともに、配索工数も増大する。
【0007】
特許文献1には、車体のアンダーボディに薄型回路体とコネクタを設けることにより、ワイヤーハーネスの肥大化と、配索に要する工数を削減するようにした接続構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3041397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された接続構造では、ワイヤーハーネスの肥大化を抑制して、配索に要する工数を削減することはできる。しかし、電気機器の数及び搭載位置は、車種毎に異なるため、薄型回路体とコネクタを備えたアンダーボディを車種毎に用意する必要がある。従って、自動車の製造コストが増大するという問題点がある。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は電源配線を容易に配索し得る自動車用電源供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する自動車用電源供給装置は、バッテリーから電源が供給され、車体に沿って延設される
単線の板状の金属配線と、一端が前記金属配線上に電気的に接続されて、前記金属配線から車体に設置された電気機器に電源を供給する
複数のワイヤーハーネスとを備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、電気機器には金属配線に接続されるワイヤーハーネスを介して電源が供給される。
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記金属配線を車室内で床面中央部上に延設することが好ましい。
【0013】
この構成により、床面中央部上に延設される金属配線からワイヤーハーネスを介して電気機器に電源が供給される。
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記金属配線を、複数の配線材を連結して構成することが好ましい。
【0014】
この構成により、短い配線材を連結して金属配線が形成される。
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記複数の配線材を共通の配線材で構成し、各配線材の両端には、それぞれ連結手段を備えることが好ましい。
【0015】
この構成により、複数の共通の配線材を連結手段を介して連結すると、長さの異なる金属配線が形成される。
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記金属配線には、前記ワイヤーハーネスを接続可能とした接続装置を備えることが好ましい。
【0016】
この構成により、電気機器が接続装置を介してワイヤーハーネスに接続される。
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記金属配線は、プラス側の金属配線と、マイナス側の金属配線を並べて延設することが好ましい。
【0017】
この構成により、例えばカーボンボディといった電気を通さない絶縁材料で構成された車体に対して適応することが可能となり、しかも金属配線と各電気機器を接続するワイヤーハーネスの長さを短くすることが可能となる。
【0018】
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記金属配線を、電気的絶縁性を備えた基台を介して前記車体に保持することが好ましい。
この構成により、金属配線は基台により車体と電気的に絶縁される。
【0019】
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記基台には、プラス側の金属配線とマイナス側の金属配線を並べて保持する保持部を備えることが好ましい。
この構成により、プラス側の金属配線とマイナス側の金属配線が車体に対し電気的に絶縁された状態で、並べて保持される。
【0020】
また、上記の自動車用電源供給装置において、前記金属配線でプラス側の電源を供給し、ボディアースでマイナス側の電源を供給することが好ましい。
この構成により、電気機器に金属配線でプラス側の電源が供給され、ボディアースでマイナス側の電源が供給される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の自動車用電源供給装置によれば、電源配線を容易に配索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第一の実施形態の自動車用電源供給装置を示す斜視図である。
【
図2】ワイヤーハーネスを金属配線に接続する接続装置を示す断面図である。
【
図3】ワイヤーハーネスを金属配線に接続する接続装置を示す断面図である。
【
図4】ワイヤーハーネスを金属配線に接続する接続装置を示す断面図である。
【
図5】ワイヤーハーネスを金属配線に接続する接続装置を示す断面図である。
【
図6】ワイヤーハーネスを金属配線に接続する接続装置を示す断面図である。
【
図7】ワイヤーハーネスを金属配線に接続する接続装置を示す断面図である。
【
図8】第二の実施形態の自動車用電源供給装置を示す斜視図である。
【
図9】第三の実施形態の自動車用電源供給装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第一の実施形態)
以下、自動車用電源供給装置の第一の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、自動車の車体1のエンジンルーム2内にはバッテリー3が設置され、そのバッテリー3のプラス側端子及びマイナス側端子にはそれぞれ板状の金属配線4,5が取着されている。
【0024】
金属配線4,5は、車体1に対し絶縁を確保した状態でエンジンルーム2と車室6を区画する隔壁7を貫通して車室6内に延設されている。そして、車室6内で隔壁7に沿って下方へ延設され、さらに車室6の床面中央部上を車体1の後方に向かって延設されている。
【0025】
そして、車体1に設置された複数の電気機器8がそれぞれワイヤーハーネス9を介して各金属配線4,5の最寄りの位置に接続されている。
次に、前記ワイヤーハーネス9と金属配線4,5との接続構造を説明する。
【0026】
図2に示すように、ワイヤーハーネス9のプラス側の電源配線10の端部に環状の端子11が取着され、金属配線4に取着されたボルト12に端子11が嵌挿されている。そして、ボルト12にナット13を螺合することにより、端子11が金属配線4に電気的に接続される。ボルト12は、各電気機器8の最寄りの位置で金属配線4にそれぞれ取着されている。
【0027】
マイナス側の金属配線5も、同様にワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を金属配線5に取着する。また、マイナス側の金属配線は隔壁7の近傍で車体1に接続し、ワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を車体1に接続するようにしてもよい。
【0028】
図3は、ワイヤーハーネスと金属配線との接続構造の別の実施形態を示す。この実施形態では、ワイヤーハーネス9のプラス側の電源配線10の端部に端子14が取着され、その端子14が金属配線4に圧着あるいは溶接されている。
【0029】
マイナス側の金属配線5にも、同様にワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を金属配線5に取着する。また、マイナス側の金属配線は隔壁7の近傍で車体1に接続し、ワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を車体1に接続するようにしてもよい。
【0030】
図4は、ワイヤーハーネスと金属配線との接続構造の別の実施形態を示す。この実施形態では、ワイヤーハーネス9のプラス側の電源配線10の端部に櫛歯状の端子15が取着され、その端子15が金属配線4に嵌着されて、端子14が金属配線4に電気的に接続されている。
【0031】
マイナス側の金属配線5にも、同様にワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を金属配線5に取着する。また、マイナス側の金属配線は隔壁7の近傍で車体1に接続し、ワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を車体1に接続するようにしてもよい。
【0032】
図5は、ワイヤーハーネスと金属配線との接続構造の別の実施形態を示す。この実施形態では、プラス側の2枚の金属配線4を並べて配設し、その金属配線4間にプラス側の電源配線10の端部に取着された端子16が挟着されている。
【0033】
マイナス側の金属配線5にも、同様にワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を金属配線5に取着する。また、マイナス側の金属配線は隔壁7の近傍で車体1に接続し、ワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を車体1に接続するようにしてもよい。
【0034】
図6は、ワイヤーハーネスと金属配線との接続構造の別の実施形態を示す。この実施形態では、車体1に合成樹脂で形成された基台17がネジ18で固定されている。基台17は幅方向中央部に上方へ開口する凹条19が形成され、その凹条19の側面には、支持溝20が対向するように形成されている。
【0035】
支持溝20間には金属配線4が挿通されて保持され、その金属配線4の幅方向中間部にはボルト21が取着されている。そして、電源配線10の先端に取着された端子22がボルト21に嵌合され、ナット23で固定される。
【0036】
このような構成により、電源配線10は金属配線4に電気的に接続され、金属配線4と車体1とは基台17で電気的に絶縁される。
マイナス側の金属配線5も、同様な基台に保持して、ワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を取着する。また、マイナス側の金属配線は隔壁7の近傍で車体1に接続し、ワイヤーハーネス9のマイナス側の電源配線を車体1に接続するようにしてもよい。
【0037】
図7は、ワイヤーハーネスと金属配線との接続構造の別の実施形態を示す。この実施形態では、車体1に合成樹脂で形成された基台24がネジ25で固定されている。基台24には幅方向両側面に側方へ開口する凹条26a,26bが形成され、その凹条26a,26bの上縁及び下縁には支持溝27が対向するように形成されている。
【0038】
各凹条26a,26bの支持溝27間には、金属配線4,5が挿通されて保持され、その金属配線4の幅方向中間部には多数のボルト28があらかじめ所定位置に取着されている。そして、プラス側及びマイナス側の電源配線の先端に取着された端子をボルト28に嵌合して、ナットで固定すると、プラス側及びマイナス側の電源配線が金属配線4,5にそれぞれ電気的に接続される。
【0039】
次に、上記のように構成された自動車用電源供給装置の作用を説明する。
バッテリー3から供給される電力は金属配線4,5に供給され、その金属配線4,5で車室6内に供給される。そして、車体1に配設された多数の電気機器8には、金属配線4,5の最寄りの位置に接続されたワイヤーハーネス9を介して電力が供給される。
【0040】
金属配線4,5は、エンジンルーム2から隔壁7を貫通して車室6内に案内される。従って、ワイヤーハーネスで隔壁を貫通させる場合に比して、隔壁に形成される貫通孔を小さくすることが可能となる。
【0041】
上記のような自動車用電源供給装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)エンジンルーム2から車室6内まで板状の金属配線4,5で電源が供給され、各電気機器8の最寄りの位置の金属配線4,5から各ワイヤーハーネス9で各電気機器8にそれぞれ電力が供給される。従って、車室6内で配索されるワイヤーハーネス9で束ねられる電源供給用電線の本数を削減することができるので、ワイヤーハーネス9の配索に要するスペースを縮小することができる。
(2)各ワイヤーハーネス9の径を細くすることができるので、配索作業を容易に行うことができる。
(3)エンジンルーム2から車室6との間の隔壁7を、金属配線4,5で貫通させたので、ワイヤーハーネスで貫通させる場合に比して、貫通孔を小さくすることができるとともに、金属配線4,5を隔壁7に容易に貫通させることができる。
(4)金属配線4,5から各電気機器8までのワイヤーハーネス9の径を小さくし、且つ短くすることができるので、ワイヤーハーネス9を車体1に保持するためのクランプ部材やプロテクタの使用量を削減することができる。従って、部品点数を削減することができる。
(5)特許文献1に開示されているような薄型回路体及びコネクタを車体のアンダーボディに設ける必要はない。従って、異なる車種でアンダーボディを共通化することも容易である。
(第二の実施形態)
図8は、第二の実施形態を示す。この実施形態では、エンジンルーム2内の電気接続箱53から車室内の電気接続箱55までの間だけが金属配線29で接続され、電気接続箱55から各電気機器8までは、ワイヤーハーネス30を介して電力が供給されている。その他の構成は、第一の実施形態と同様である。
【0042】
このような構成により、金属配線29を貫通させるために隔壁7に形成する貫通孔の径を小さくすることができる。
(第三の実施形態)
図9〜
図13は、第三の実施形態を示す。この実施形態では、複数本の配線材を連結することにより車室内に金属配線を延設する構成としたものである。その他の構成は、第一の実施形態と同様である。
【0043】
図9に示すように、バッテリー3のプラス側端子に接続される金属配線4は、複数の配線材4aが連結されて、車室6内で所要の長さが確保されている。
図10は、配線材4aの連結構造の一例を示す。配線材4aの一端部には配線材4aの厚さ方向に突出するボルト31が固着され、配線材4aの他端部にはボルト31を挿通可能とした透孔32が形成されている。そして、ボルト31にナット33を螺合可能となっている。
【0044】
また、配線材4aの他端部は、配線材4aの板厚に相当する段差が設けられ、ボルト31に透孔32を挿通したとき、連結される配線材4aが平坦に延設されるようになっている。
【0045】
このように構成された金属配線4は、複数本の配線材4aを適宜連結することにより車室長に適した長さの金属配線4を容易に構成することができる。
また、バッテリー3のマイナス側端子に接続される金属配線を、同様な配線材で室内に延設することもできる。マイナス側電源は、ボディアースとしてもよい。
【0046】
図11は、配線材4aの連結構造の別例を示す。この例では、2本のボルト34を固着した連結板35が台座36上に固定され、配線材4aの端部にはボルト34を挿通可能とした透孔37が形成されている。連結板35は導電性を有する金属で形成され、台座36は絶縁材で形成されている。
【0047】
そして、配線材4aの端部の透孔37にボルト34を挿通し、ナット38で固定すると、連結板35を介して配線材4aを電気的に接続可能である。
図12も、配線材の連結構造の別例を示す。この例では、金属配線4を構成する配線材4b,4cが断面溝型に形成されるとともに、一方の配線材4bの溝幅は他方の配線材4cの溝幅より大きく形成されて、配線材4cを上方から配線材4bに嵌挿可能となっている。
【0048】
配線材4bの端部の内側面には上下方向に凹条39が形成され、配線材4cの端部の外側面には上下方向に凸条40が形成されている。そして、配線材4bに対し配線材4cを嵌挿するとき、凹条39に対し凸条40を嵌合可能となっている。
【0049】
従って、配線材4b,4cが連結されるとともに、凹条39と凸条40との接触により配線材4b,4cが電気的に接続される。
図13も、配線材の連結構造の別例を示す。この例では、配線材4aの一端部に、内側に向かって幅広となる嵌合凹部41が形成され、配線材4aの他端部に嵌合凹部41に嵌合可能とした嵌合凸部42が形成されている。嵌合凹部41及び嵌合凸部42は、ともにプレス機により打ち抜き加工されている。なお、嵌合凸部42は嵌合凹部41より僅かに大きい寸法で形成されている。
【0050】
そして、嵌合凹部41に嵌合凸部42を圧入すると、配線材4aが連結されるとともに、電気的に接続される。
この実施形態の自動車用電源供給装置では、第一の実施形態で得られた効果に加えて、次に示す効果を得ることができる。
(1)複数の配線材4a若しくは配線材4b,4cを連結して、所要の長さの金属配線4を形成することができる。従って、自動車の組み立て現場には分割された短い配線材を運搬すればよいので、運搬作業が容易となるとともに、金属配線の配索作業も容易となる。
(2)配線材4a若しくは配線材4b,4cを連結して金属配線4を組み立てることができるので、金属配線4の長さを容易に変更することができる。従って、共通の配線材を使用しながら、異なる長さの金属配線4を形成することができる。
(3)異なる長さの金属配線4を形成することができるので、小型車用、中型車用、大型車用の異なる長さの金属配線を必要とする場合にも容易に対応可能である。従って、異なるプラットフォームを備えた多種類の車種に対応する金属配線を、共通の配線材を使用して形成することができる。
【0051】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第三の実施形態において、隔壁7を貫通して車室内を下方へ延設される金属配線部分を配線材として複数種類形成し、アンダーボディ上に延設される金属配線と連結するようにしてもよい。隔壁7の貫通位置からアンダーボディまでの高さの異なる種々に対して対応可能となる。
・第三の実施形態において、小型車用の金属配線に対し、配線材を適宜連結して、中型車用あるいは大型車用の金属配線を形成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…車体、2…エンジンルーム、3…バッテリー、4,5…金属配線、4a,4b,4c…配線材、6…車室、7…隔壁、8…電気機器、9…ワイヤーハーネス、10…電源配線、11…接続装置(端子)、12…接続装置(ボルト)、13…接続装置(ナット)、14,15,16…接続装置(端子)、17,24…基台、21…接続装置(ボルト)、22…接続装置(端子)、23…接続装置(ナット)、27…保持部(支持溝)、28…接続装置(ボルト)、31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42…連結手段。
【要約】 (修正有)
【課題】電源配線を容易に配索し得る自動車用電源供給装置を提供する。
【解決手段】車体1のエンジンルーム2内のバッテリー3から電源が供給され、車体1に沿って延設される板状の金属配線4,5と、一端が金属配線上に電気的に接続されて、金属配線から車体に設置された電気機器8に電源を供給するワイヤーハーネス9を備えた。
【選択図】
図1