【実施例1】
【0015】
図1は、筋力バランス判定装置1およびバランス調整システム2の正面図であり、
図2は、筋力バランス判定装置1およびバランス調整システム2の縦断左側面図である。
【0016】
筋力バランス判定装置1およびバランス調整システム2は、座位の普通人の背の高さ程度で上下に長い筐体10(左筐体10Lおよび右筐体10R)が左右対称に配置され、その中央後方に椅子9が配置されて、この筐体10及び椅子9に各部が取り付けられて構成されている。また、筐体10は、椅子9に座った状態の測定対象者Hを測定するように構成されている。これ以降、筋力バランス判定装置1の構造の説明においては、椅子9に座った測定対象者H(普通人)を基準にして説明する。
【0017】
左筐体10Lは、上から順に左肘上下押圧部11L(左側肘下方平行押圧手段)、左肘前後押圧部13L(左側肘腹背方向平行押圧手段,
図2参照)、左膝上下押圧部21L(左側膝上下方向平行押圧手段)、および左膝側方押圧部23L(左側交差押圧手段)を備えている。これら左側の各押圧部(11L,13L,21L,23L)は、測定対象者Hと接触する部位付近に、左肘上下圧力センサ12L、左肘前後圧力センサ14L、左膝上下圧力センサ22L、および左膝側方圧力センサ24Lを備えている。
これにより、測定対象者Hの身体の一部を押圧できるとともに、押圧に抵抗する測定対象者Hの抵抗力(つまり筋力)を測定できる。
【0018】
また、左筐体10Lは、測定対象者Hの左足裏に対向して左足指押圧部25Lを備えている。また、測定対象者Hと接触する部位付近に、左足指圧力センサ26L(
図3(D)参照)を備えている。
これにより、測定対象者Hに足指の一部に力を入れるように要請し、入れられた力の強度を左足指圧力センサ26Lにより測定できる。このとき、力を入れてほしい指の左足指押圧部25Lを突出させることで、測定対象者Hがどの足指に力を入れるのか触覚にて感じることができ、独立して動きにくい足指について特定の足指に力を入れやすくできる。
【0019】
また、左筐体10Lは、左肩前後押圧部17Lを備えており、測定対象者Hと接触する部位付近に左肩前後圧力センサ18Lを備えている。
また、椅子9には、座った測定対象者Hの背中中央に対向して背中前後押圧部15が設けられ、この背中前後押圧部15の測定対象者H側に背中圧力センサ16が設けられている。
この左肩前後押圧部17Lと左肩前後圧力センサ18L、およびこれと左右対称に配置される右肩前後押圧部17Rと右肩前後圧力センサ18R、さらに背中前後押圧部15および背中圧力センサ16により、測定対象者Hが胸を張り両肩を背中側に突出させる山折状態の姿勢を取るように誘導することができる。
【0020】
左肘上下押圧部11Lは、測定対象者Hの肩程度の高さで肩位置よりも外側かつ前側の位置に配置されており、左右の握りこぶしを胸の前で合わせて肩肘を張った状態の測定対象者Hの肘を上から下方へ向けて押圧する。この左肘上下押圧部11Lの底面には、測定対象者Hの肘と接触する領域に左肘上下圧力センサ12Lが設けられている。
【0021】
左肘前後押圧部13Lは、測定対象者Hが腕を下方へ向けた時の肘の位置程度の高さで、測定対象者Hの脇腹付近の外側で少し背面側に配置されている。この左肘前後押圧部13Lは、座っている測定対象者Hの肘を後方から前方へ向けて略水平に押圧するものである。
【0022】
左肩前後押圧部17Lは、測定対象者Hの左肩の正面に対向配置されている。この左肩前後押圧部17Lは、測定対象者Hに左肩を正面から後方(測定対象者Hの背面側)へ向かって押圧するものである。
【0023】
左膝上下押圧部21Lは、底面(測定対象者Hと接触する面)の高さが測定対象者Hの臍(へそ)付近で左膝の直上位置に配置されている。この左膝上下押圧部21Lは、座っている測定対象者Hの膝を上方から下方へ向けて略鉛直に押圧するものである。
【0024】
左膝側方押圧部23Lは、底面(測定対象者Hと接触する面)の高さが測定対象者Hの右ふくらはぎ付近に位置し、右ふくらはぎの少し前の位置に配置されている。この左膝側方押圧部23Lは、座っている測定対象者Hの踝(くるぶし)付近を右上方から左下方へ向けて斜め方向に押圧するものである。
【0025】
左足指押圧部25Lは、測定対象者Hの左足指の裏面に接触するよう左足指の下方に配置されている。この左足指押圧部25Lは、座っている測定対象者Hの左足の足指を裏面から表面側(足の甲側、
図1の上方)へ向かって押圧するものである。
【0026】
左肘前後圧力センサ14L、左肩前後圧力センサ18L、左膝上下圧力センサ22L、左膝側方圧力センサ24L、および左足指押圧部25Lは、それぞれ、左肘上下押圧部11L、左肘前後押圧部13L、左膝上下押圧部21L、および左膝側方押圧部23Lにおける測定対象者Hとの接触面に設けられている。これにより、左肘上下押圧部11L、左肘前後押圧部13L、左膝上下押圧部21L、および左膝側方押圧部23Lがそれぞれ測定対象者Hを押圧したときの圧力を検出することができる。
【0027】
右筐体10Rは、右肘上下押圧部11R(右側肘下方平行押圧手段)、右肘上下圧力センサ12R、右肘前後押圧部13R(右側肘腹背方向平行押圧手段)、右肘前後圧力センサ14R、右肩前後押圧部17R、右肩前後圧力センサ18R、右膝上下押圧部21R(右側膝上下方向平行押圧手段)、右膝上下圧力センサ22R、右膝側方押圧部23R(右側交差押圧手段)、右膝側方圧力センサ24R、右足指押圧部25R、および右足指圧力センサ26R(押圧受容体)を備えている。これらは、それぞれ、左肘上下押圧部11L、左肘上下圧力センサ12L、左肘前後押圧部13L、左肘前後圧力センサ14L、左肩前後押圧部17L、左肩前後圧力センサ18L、左膝上下押圧部21L、左膝上下圧力センサ22L、左膝側方押圧部23L、左膝側方圧力センサ24L、左足指押圧部25L、および左足指圧力センサ26L(押圧受容体)と左右対称の位置に配置されて左右対称で同じ構造に構成されている。この左右対称の各センサおよび押圧部は、それぞれが一対のものとして構成されている。
【0028】
また、右筐体10Rには、タッチパネル等で構成された入力部3と液晶モニタ等で構成された表示部4と、スピーカ等で構成された音声出力部5を備えている。
【0029】
なお、左肘上下押圧部11L、左肘前後押圧部13L、および左膝上下押圧部21Lは、左側平行押圧手段として機能し、右肘上下押圧部11R、右肘前後押圧部13R、および右膝上下押圧部21Rは、右側平行押圧手段として機能する。
【0030】
また、左肘上下圧力センサ12L、左肘前後圧力センサ14L、左膝上下圧力センサ22L、および左膝側方圧力センサ24Lは、左側抵抗力検出手段として機能し、右肘上下圧力センサ12R、右肘前後圧力センサ14R、右膝上下圧力センサ22R、および右膝側方圧力センサ24Rは、右側抵抗力検出手段として機能する。また、表示部4と、音声出力部5は、出力手段として機能する。
【0031】
また、左筐体10Lおよび右筐体10Rには、図示省略する左手指押圧部(押圧受容体)、左手指圧力センサ、右手指押圧部(押圧受容体)、右手指圧力センサが設けられている。左手指押圧部および右手指押圧部は、左足指押圧部25Lおよび右足指押圧部25Rと同一の構成および作用効果で手指の配置および大きさに合わせて構成されている。左手指圧力センサおよび右手指圧力センサは、左足指圧力センサ26Lおよび右足指圧力センサ26Rと同一の構成および作用効果で手指の配置および大きさに合わせて構成されている。
【0032】
これらの構成を全て有するのがバランス調整システム2であり、バランス調整システム2から背中前後押圧部15、背中圧力センサ16、左肩前後押圧部17L、右肩前後押圧部17R、左肩前後圧力センサ18L、右肩前後圧力センサ18R、左足指押圧部25L、右足指押圧部25R、左足指圧力センサ26L、右足指圧力センサ26R、左手指押圧部、右手指押圧部、左手指圧力センサ、および右手指圧力センサを除いたものが筋力バランス判定装置1である。
【0033】
図3は、各押圧部(11L,11R,13L,13R,15,17L,17R,21L,21R,23L,23R)の構造を説明する説明図であり、
図3(A)は停止状態の縦断面図、
図3(B)は押圧状態の縦断面図を示す。
【0034】
各押圧部(11L,11R,13L,13R,15,17L,17R,21L,21R,23L,23R)は、側壁42と上壁41を有して底面が解放された箱型の外枠40と、この外枠40の内側に収納される上面が解放された箱型の押圧体30を備えている。
【0035】
外枠40は、側壁42の内面が全て鉛直かつ平行に構成されている。これにより、収納されている押圧体30がスムーズに進退できる。外枠40の内側における開口底面44より少し中心側には、開口底面44と並行な支持板43が設けられている。この支持板43は、側壁42の内周より少し小さく構成されて側壁42と離間しており、その外周に設けられた固定具43aにより側壁42に固定されている。
【0036】
押圧体30は、外枠40の側壁42の内面に平行かつ近接する側壁34と、底面を構成する底板37を有している。側壁34には、進退方向に沿ったスリット孔35が設けられている。このスリット孔35には、固定具43aが挿通され、固定具43aがスリット孔35に沿って進退できるように構成されている。側壁34の上端には、内側へ向かって突出した抜け止め突起33が設けられている。押圧体30が最大限突出したとき、この抜け止め突起33が外枠30の支持板43に当接して押圧体30が抜け落ちることを防止する。
【0037】
押圧体30の内部には、エアシリンダ45が設けられている。このエアシリンダ45は、外壁45aが外枠40の支持板43に固定され、アーム45bが押圧体30の底板37に固定されている。エアシリンダ45は、空気が供給/排出されることによって、アーム45bが進出/後退する。空気が供給されてアーム45bが進出すると、弾性体32の弾性力に逆らって押圧体30が外枠40から突出する。この突出により、測定対象者Hの身体の部位を押圧することができる。エアシリンダ45から空気が排出されると、アーム45bが後退し、押圧体30が外枠40内に収納される。
【0038】
押圧体30の底面(押圧面)には、全面に渡って圧力センサ部39が設けられている。この圧力センサ部39により、測定対象者Hの身体の部位を押圧している押圧力を検出できる。
【0039】
図3(C)は、左足指押圧部25L(および右足指押圧部25R)の構成を示す平面図であり、
図3(D)は、左足指押圧部25L(および右足指押圧部25R)の構成を
図3(C)の中央で縦断して示す縦断面側面図である。
【0040】
左足指押圧部25Lは、足指の裏面位置に対向して左足指圧力センサ26Lが配置されている。この左足指圧力センサ26Lは、足指の数に応じて5つ配置されている。
【0041】
左足指圧力センサ26Lは、足指の付け根側を支点として足指の先端側が足指を押圧する方向へ少し回転可能に構成されている。
左足指圧力センサ26Lの裏面側には、エアシリンダ27aのアーム27bの先端が固定されている。エアシリンダ27aは、図示省略するエア供給部から空気が供給/排出されることによって、アーム27bが進出/後退する。これにより、左足指圧力センサ26Lが足指を押圧している突出状態と、左足指圧力センサ26Lが左足指押圧部25Lの表面と同一平面上に凹凸なく位置する収納状態とに変位できる。
【0042】
図4は、筋力バランス判定装置1の内部の構成を示すブロック図である。
筋力バランス判定装置1は、タッチパネル等で構成されて測定対象者Hまたは測定作業者による操作入力を受け付ける入力部3と、液晶モニタ等で構成されて判定結果等の情報を表示する表示部4と、スピーカ等で構成されて音声を出力する音声出力部5と、データやプログラムを記憶する記憶部6と、これらと各押圧部(11L,11R,13L,13R,15,17L,17R,21L,21R,23L,23R,25L,25R)と各圧力センサ(12L,12R,14L,14R,16,18L,18R,22L,22R,24L,24R,26L,26R)を制御する制御部7(制御手段)とを備えている。
【0043】
各押圧部(11L,11R,13L,13R,15,17L,17R,21L,21R,23L,23R,25L,25R)は、押圧体30(
図3参照)と外枠40とエアシリンダ45と図示省略するエア供給部とで構成されている。
【0044】
各圧力センサ(12L,12R,14L,14R,16,18L,18R,22L,22R,24L,24R,26L,26R)は、圧力センサ部39(
図3参照)によって構成されている。
【0045】
次に、以上のように構成された筋力バランス判定装置1の動作について説明する。
筋力バランス判定装置1は、(1)バランスチェック、(2)手指足指トレーニング、(3)再度バランスチェック、(4)山折健康法(登録商標)の順番で処理を実行する。
<(1)バランスチェック>
筋力バランス判定装置1は、椅子9(
図1参照)に測定対象者Hが座った状態で、入力部3の操作入力によって測定開始されると、制御部7が、音声出力部5および表示部4により、各押圧部(11L,11R,13L,13R,21L,21R,23L,23R)のうちどの押圧部で押圧するかを知らせるとともに、その押圧に対して身体のどの部位でどのように抵抗するかを知らせる。制御部7は、このような案内とともに、各押圧部(11L,11R,13L,13R,21L,21R,23L,23R)による押圧を1つずつ左右対称に順番に実行していく。そして、制御部7は、各圧力センサ(12L,12R,14L,14R,22L,22R,24L,24R)で検出した押圧力を取得し、左右の押圧力を比較する。制御部7は、全押圧および検
出が完了すると、測定結果を表示部4に表示し、バランスチェックの処理を終了する。この測定結果の表示は、測定した数値に加えて、比較結果として左右のどちらが強くどちらが弱いか、左右バランスの悪さが大きいのか小さいのか等、測定対象者Hがわかりやすい形での表示も行う。
【0046】
各押圧部によって押圧するとき、制御部7は、押圧していく速度を一定にし、押圧中に音声出力部5によって一定時間間隔(例えば1秒間隔等)でのビープ音を発生するなど経過時間の認識が可能な音声出力を行う。これにより、測定対象者Hは、徐々に押圧されつつ抵抗し、その抵抗がどれくらいの時間までできたか感覚的に把握することができる。つまり、例えば左肘はビープ音が4回鳴るまで押圧に抵抗でき、右ひじはビープ音が2回鳴るまでしか押圧に抵抗できなかったといった形で認識することができる。
【0047】
また、押圧部による押圧について、制御部7は、予め定められた速度(例えば10秒で最大まで進出する速度など)で実行する。ここで、左右の一方の押圧に対する抵抗力を測定し、次に他方の押圧に対する抵抗力を測定している際に、予め定めた所定範囲以上の抵抗力(押圧力)の差が検出された場合、後に実施している他方の押圧速度を変化させることが好ましい。具体的には、後に測定している方が抵抗力(押圧力)が弱かった場合、途中からその押圧部を突出させる速度を速め、逆に後に測定している方が抵抗力(押圧力)が強かった場合、途中からその押圧部を突出させる速度を遅くするかそれ以上の突出をやめるように制御する。このようにすることで、後の方が弱ければ押圧に対して抵抗しきれていないことが明確にわかり、また後の方が強ければ押圧に対して抵抗できていることが明確にわかる。すなわち、測定対象者Hは、筋力バランスが悪いこと、しかも一方が確実に筋力が弱いことを明確に認識することができる。
【0048】
<(2)手指足指トレーニング>
筋力バランス判定装置1は、手指足指トレーニングを開始すると、制御部7が、左足指押圧部25Lおよび右足指押圧部25Rに対して、足指を個別に押圧させる押圧処理を実行させる。このとき、親指を押圧、小指を押圧、薬指を押圧、人差し指を押圧、中指を押圧といったように、個別の足指を押圧する。この押圧は、順番に実行していくことが好ましい。
【0049】
制御部7は、押圧している間、押圧している足指の左足指圧力センサ26Lまたは右足指圧力センサ26Rにどの程度の押圧力がかかっているか測定する。これにより、測定対象者Hがその指にどの程度の力をかけているか判別することができる。
【0050】
押圧力が弱い場合(所定の押圧力に満たない場合)、制御部7は、押圧力の弱い指を指定してもっと力をいれて左足指圧力センサ26Lまたは右足指圧力センサ26Rを押圧するように案内を行う。この案内は指毎に順番に行うことができ、指毎に案内を変更することが好ましい。例えば、人差し指と薬指では力を入れることを開始する合図の音が異なる種類の音とする等、適宜解かりやすくすることができる。
【0051】
所定の押圧力を検出できれば次の指に進み、所定の押圧力に満たなければ、予め定めた所定回数(例えば3回など)まで上記案内を繰り返した後に次の指に進める。全ての指もしくは必要な指全てについて実行した後、制御部7は処理を終了する。
【0052】
これにより、力の入っていなかった筋肉にスイッチが入り、左右の筋力バランスが整う。
同様にして、手指についても、左手指押圧部、右手指押圧部、左手指圧力センサ、および右手指圧力センサを用いて、各手指についても個別に押圧させてゆく。
【0053】
<(3)再度バランスチェック>
制御部7は、上述した(1)バランスチェックと同じ動作を実行する。そして、制御部7は、左右バランスが前回測定時より良好になっているか否か判別し、良好になっている旨、あるいは良好になっていない旨を案内する。また、制御部7は、(1)バランスチェックと(3)再度バランスチェックの測定値を比較可能に両表表示する等を表示部4または/および音声出力部5に出力する。
【0054】
<(4)山折健康法(登録商標)>
制御部7は、左肩前後押圧部17Lおよび右肩前後押圧部17Rで両肩を前から後ろへ同じ押圧力かつ同じタイミングで押圧するとともに、背中前後押圧部15により背中を後ろから前へ押圧する。
【0055】
この押圧により、測定対象者Hが背中を前に出し両肩を後ろに反らす山折姿勢になる。この山折姿勢を所定時間保つことで、左右の筋力バランスが調整できた状態に固定できる。また、猫背の人であれば、猫背の解消若しくは軽減も実現できる。
【0056】
各押圧および検出について、
図5に示す押圧と押圧力の検出を実行する際の測定対象者Hの姿勢の説明図と共に説明する。
図5は、上記(1)バランスチェックを説明するためのものであるから、左肩前後押圧部17Lや左足指押圧部25L等の構成を図示省略してわかりやすくしている。
【0057】
図5(A)は、肘を上げる筋力(方から上腕の筋力)のバランスを測定する肘下方平行押圧処理の実行時の正面図である。測定対象者Hは、第1押圧処理を実行する制御部7の制御による音声出力部5および表示部4での案内に従って、左右の両こぶしを胸の前で揃え、両肘を左右に開いて略水平の高さまで上げる。そして、計測対象者Hは、測定される肘(例えば左肘)を圧力センサ部39(例えば左肘上下圧力センサ12L)に押し付け、押圧部(例えば左肘上下押圧部11L)に押し負かされないように全力で押す。筋力バランス判定装置1の制御部7は、エアシリンダ45に空気を供給して押圧力を徐々に高め、押圧部(例えば左肘上下押圧部11L)を進出させる。そして、押圧部が最大限進出すると、制御部7は、エアシリンダ45の空気を排気し、押圧部を元の位置(初期位置)に戻して処理を終了し、次に対称となっている他方(例えば右肘上下押圧部11Rおよび右肘上下圧力センサ12R)について同じ動作を行う第2押圧処理を実行する。
【0058】
図5(B)は、膝を上げる筋力(四頭筋群)のバランスを測定する膝上下方向平行押圧処理の実行時の正面図である。測定対象者Hは、第1押圧処理を実行する制御部7の制御による音声出力部5および表示部4での案内に従って、測定される膝(例えば左膝)を上げて圧力センサ部39(例えば左膝上下圧力センサ22L)に押し付け、押圧部(例えば左膝上下押圧部21L)に押し負かされないように全力で押す。制御部7は、エアシリンダ45に空気を供給して押圧力を徐々に高め、押圧部(例えば左膝上下押圧部21L)を進出させる。そして、押圧部が最大限進出すると、制御部7は、エアシリンダ45の空気を排気し、押圧部を元の位置(初期位置)に戻して処理を終了し、次に対称となっている他方(例えば右膝上下押圧部21Rおよび右膝上下圧力センサ22R)について同じ動作を行う第2押圧処理を実行する。
【0059】
図5(C)は、足先を内側へ曲げて側方を押す筋力(梨状筋、内転筋、その他の体幹支持筋)のバランスを測定する足先側方押圧処理の実行時の正面図である。測定対象者Hは、第3押圧処理を実行する制御部7の制御による音声出力部5および表示部4での案内に従って、測定される足(例えば左足)を曲げて圧力センサ部39(例えば左膝側方圧力センサ24L)に押し付け、押圧部(例えば左膝側方押圧部23L)に押し負かされないように全力で押す。制御部7は、エアシリンダ45に空気を供給して押圧力を徐々に高め、押圧部(例えば左膝側方押圧部23L)を進出させる。そして、押圧部が最大限進出すると、制御部7は、エアシリンダ45の空気を排気し、押圧部を元の位置(初期位置)に戻して処理を終了し、次に対称となっている他方(例えば右膝側方押圧部23Rおよび右膝側方圧力センサ24R)について同じ動作を行う第4押圧処理を実行する。
【0060】
図5(D)は、肘を曲げて後ろを押す筋力(菱形筋)のバランスを測定する腹背押圧処理の実行時の縦断左側面図である。測定対象者Hは、第1押圧処理を実行する制御部7の制御による音声出力部5および表示部4での案内に従って、測定される肘(例えば左肘)を曲げて圧力センサ部39(例えば左肘前後圧力センサ14L)に押し付け、押圧部(例えば左肘前後押圧部13L)に押し負かされないように全力で押す。制御部7は、エアシリンダ45に空気を供給して押圧力を徐々に高め、押圧部(例えば左肘前後押圧部13L)を進出させる。そして、押圧部が最大限進出すると、制御部7は、エアシリンダ45の空気を排気し、押圧部を元の位置(初期位置)に戻して処理を終了し、次に対称となっている他方(例えば右肘前後押圧部13Rおよび右肘前後圧力センサ14R)について同じ動作を行う第2押圧処理を実行する。
【0061】
以上の構成および動作により、筋力の左右バランスを測定することができる。
また、左右で同じ距離同じ押圧力での押圧を行うため、左右バランスを測定されている測定対象者Hが左右の筋力バランスの差を自身で感じることができる。
【0062】
また、部位別に左右順番に測定していくため、例えば肘を上げる力の左右バランス、膝を上げる力の左右バランス、足先で内側を押す力の左右バランス、肘を後ろへ引く力の左右バランスといったように、順序よく複数部位の左右の筋力バランスを測定できる。
【0063】
また、平行に押圧することで上下方向や前後方向などに身体の一部を動かす筋力の左右バランスを測定できる。また、左右で平行に押圧するだけでなく、交差する方向に押圧する構成を備えたことで、足先で内側を押す力の左右バランスを測定するなど、力の方向として側方成分(左右方向の成分)を有する方向の左右バランスを測定できる。
【0064】
また、左右バランスを比較可能に出力するため、測定対象者Hが自身の左右バランスの良し悪しやバランス異常の程度をわかりやすく把握することができる。
【0065】
また、測定対象者Hが抵抗した力を押圧力として検出でき、数字によって表示部4に表示できるため、具体的な左右バランスの差を表示することができる。また、表示においては、数字に加えて強い、弱いといった表示も加えることで、左右のどちらが強くどちらが弱いのかを測定対象者Hがはっきりと認識できる。
【0066】
また、左右の一方の測定の後、他方の測定を行っている途中で、検出している押圧力(抵抗力)の差に応じて押圧内容を変化させるため、測定対象者Hが左右バランスの悪さを体感的に解かりやすい形で測定をすることができる。つまり、測定動作をそのまま左右バランスの良し悪しを理解させる動作にすることができ、体感として測定対象者Hが自身の左右バランスの状態を認識することができる。
【0067】
特に、左右の測定部位のうち先に測定した方の筋力が強かった場合、後に測定している部位に対する押圧力と押圧速度を途中から早く強くすることで、測定対象者Hの測定部位が早く強く押されて抵抗し切れずに移動するため、後に測定した方が弱いことを明瞭に認識することができる。つまり、表示部4の表示等を確認するまでもなく、測定中に後に測定している方が弱いと認識できる。
【0068】
さらに、左右の測定部位のうち先に測定した方の筋力が弱かった場合、後に測定している部位に対する押圧力と押圧速度を途中から押圧力を高めることを停止してそのままの押圧力にすることで、測定対象者Hの測定部位がそれ以上押されなくなり完全に抵抗できて移動しなくなるため、後に測定した方が強くしっかり抵抗できていることを明瞭に認識することができる。つまり、先に測定した方はゆっくりとでもずっと押圧され続けて測定部位が移動していったのに対し、後に測定した方は途中から動かなくなるのであるからしっかり抵抗できており、これによって、表示部4の表示等を確認するまでもなく、測定中に後に測定している方が強いと認識できる。
【0069】
また、手指や足指を稼働させるトレーニング、および山折健康法(登録商標)を実施することができる。これにより、筋力バランスが崩れていた場合に、身体の各部位の筋力のON/OFFおよびボリュームを調整して筋力バランスを整えることができ、様々な体調不調等を軽減若しくは解消することができる。
【0070】
このように、筋力の左右バランスを測定でき、かつ測定対象者Hが明確に認識することで、その後の治療に役立てることができる。
そして、手指や足指を稼働させるトレーニングを実施することで、働いていなかった筋力を働かせる状態に切り替えることができ、左右の筋力バランスを整えることができる。
さらに、このような調整を進め、さらに測定対象者Hの意識を変えていくことにより、普段から筋力バランスがとれている状態を保つことが可能になり、筋力バランスの調整が不要な状態を作り上げることも可能となる。
【0071】
こうして左右の筋力バランスが整うことで、様々な好影響を得ることができる。
例えば、美容整形の分やであれば、肩こり、腰痛、ひざの痛み等が解消若しくは軽減される。
アレルギーに関してであれば、バランス不良が影響する過剰反応を解消でき、アレルギーが出にくくなる。
心療内科に関してであれば、身体のバランスが取れることで心のバランスも良くなり、精神状態が安定する。
眼科に関してであれば、バランスが整うことで視野が広くなり明るく感じるようになる。
耳鼻科に関してであれば、耳鳴りが解消される。
内科に関してであれば、おなかの状態が悪かったものが良くなる、あるいは女性の子宮が下がっている状態が解消される。
産婦人科に関してであれば、逆子が解消される。
教育に関してであれば、引きこもりが解消される、頭が冴える等の効果が得られる。
禁煙に関してであれば、煙草を吸いたいときにバランスを整えることで吸いたい気持ちを解消することができる。
【0072】
なお、制御部7は、左右バランスを測定した後、左右バランスの悪さを改善するための改善方法を表示部4または/および音声出力部5に出力する構成としてもよい。出力する改善方法は、例えば両足の小指に力を入れて地面をしっかりと押す、胸を張り両腕を後ろへ広げる、足首を回す、股関節を回す、頭をマッサージするなど、左右バランスが悪くなる原因となっていて普段使っていない筋力を使うように意識を変えることで、筋力の左右バランスを改善する方法とすることができる。すなわち、あまり活動していない筋肉をカバーするために頑張っている筋肉を緩め、あまり活動していなかった筋肉を活動するようにスイッチを入れ、バランスよく筋力を使う状態に整える。
これにより、左右バランスを測定し、すぐにバランスの改善を促すことができ、利用者の満足度を向上させることができる。