特許第6132253号(P6132253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6132253-ボルトに締め込むナットの緩み止め構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6132253
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ボルトに締め込むナットの緩み止め構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/24 20060101AFI20170515BHJP
   F16B 39/12 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   F16B39/24 L
   F16B39/12 B
   F16B39/24 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-236219(P2016-236219)
(22)【出願日】2016年11月15日
【審査請求日】2017年1月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000203896
【氏名又は名称】太田 良三
(72)【発明者】
【氏名】太田 良三
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−26817(JP,U)
【文献】 特開昭52−85671(JP,A)
【文献】 実公昭39−28926(JP,Y1)
【文献】 実開昭56−76711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 39/24
F16B 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトに締め込むナットの緩み止めの構造において、締付ナット(3)の上面の相対する2箇所より、ボルトのねじ山(2)に向う下勾配の傾斜溝(4)を設け、一方その締付ナットに載せる半円環状板(5)には、その両端の延長部を折り曲げて形成した下向きの三角形突出部(7)を設ける、そしてこの2枚の半円環状板(5)を、その両端の三角形突出部(7)が合掌するように重ね合せて円環状の形状とし、この重ね合わされた両端の三角形突出部(7)を上部材(15)の上より、ボルト(1)に締め込んでいる締付ナットの相対する2箇所の傾斜溝(4)に嵌合するように締付ナットの上面に載せ、その上より緩み止めナット(12)を強く締め込む、一方半円環状板(5)は、その外周及び内周に数ヶ所の切込み(10)及び(11)を設けて、その両端の三角形突出部(7)が外力によりボルトの中心部に僅かに移動できる柔軟性を与えているので、この半円環状板は緩み止めナットで締め込まれることにより、その三角形突出部は締付ナットの傾斜溝(4)の傾斜面に沿うて押下げられると共に、ボルトの中心部に向い少し移動して三角形突起部の側面の切刃(8)は、ボルトのねじ山(2)にほぼ直交して食い込むことが可能になる、このようにして2枚の半円環状板の両端の三角形突出部側面の切刃はねじ山に食い込み、締付ナットの戻り回転は確実に阻止される、次に半円環状板の外周に設けた多数の菊形の外歯(9)を緩み止めナット(12)の鍔部(13)の外周に設けた切溝(14)に折り曲げて噛合せることにより、緩み止めナットは半円環状板の三角形突出部(7)と締付ナットの傾斜溝(4)との嵌合により、締付ナットと一体になっている半円環状板を介して締付ナットに固定されるので、緩み止めナットは振動等の外力により緩むことは阻止される、これにより締付ナットの締め力を確実に保持しうるようにした、ナットの緩み止めの構造。
【請求項2】
特許請求の範囲、請求項1に記載の2枚の半円環状板(5)を、その両端の三角形突出部(7)が合掌するように重ね合せて円環状の形状とする代わりに、その重ね合せる面の間に硬化した切刃鋼片(18)を挟み、それに接する半円環状の三角形突出部の片側又は両側に固定した後、円環状の形状としてこの切刃鋼片を挟んだ三角形突出部を締付ナットの相対する2箇所の傾斜溝に嵌合するようにし、その上に載せ緩み止めナット(12)の締め込みにより、切刃鋼片をボルトのねじ山(2)に食込ませて、締付ナットの戻り回転を阻止するようにした、ナットの緩み止めの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強い締付け力を必要とする並目ねじボルトに締め込んだナットの緩み止めを行う方法である。
【背景技術】
【0002】
緩み止めのためボルトにナットを固定する方法としては、ナットとボルトを貫通する共孔を開けここに割ピンを押込んで固定する方法があるが、この穿孔は現地で行うこともあり面倒であり、又一度ねじ戻しの後、再びナットを締めこむときは合致しない欠点があり、又ころがり軸受を押え込む時に使用するナットは細目ねじであり、大きな荷重には耐えきれず、しかも軸には溝加工を必要とするため広範囲に使用する並目ねじボルトに用いることは不適である、又ねじ面の摩擦力を高めるためのダブルナット式の緩み止めナットもあるが、この効果は不明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は強力な締付け力を必要とする並目ねじのボルトに予め溝加工又は穿孔を施すことなく、緩み止めナットを締め込むことにより、締付ナットの傾斜溝に半円環状板の三角形突出部を降下させ、その切刃をボルトのねじ山に食い込ませると共に半環状円板により緩み止めナットのゆるみを確実に阻止するようにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ボルトに締め込むナットの緩み止めの構造において、締付ナット3の上面の相対する2箇所より、ボルトのねじ山2に向う下勾配の傾斜溝4を設け、一方その締付ナットに載せる半円環状板5には、その両端の延長部を折り曲げて形成した下向きの三角形突出部7を設ける、そしてこの2枚の半円環状板5を、その両端の三角形突出部7が合掌するように重ね合せて円環状の形状とし、この重ね合わさられた両端の三角形突出部7を上部材15の上より、ボルト1に締め込んでいる締付ナットの相対する2箇所の傾斜溝4に嵌合するように締付ナットの上面に載せ、その上より緩み止めナット12を強く締め込む。
【0005】
一方半円環状板5は、その外周及び内周に数ヶ所の切込み10及び11を設けて、その両端の三角形突出部7が外力によりボルトの中心部に僅かに移動できる柔軟性を与えているので、この半円環状板は緩み止めナットで締め込まれることにより、その三角形突起部は締付ナットの傾斜溝4の傾斜面に沿うて押下げられると共に、ボルトの中心部に向い少し移動して三角形突起部の側面の切刃8は、ボルトのねじ山2にほぼ直交して食い込むことが可能になる、このようにして2枚の半円環状板の両端の三角形突出部側面の切刃はねじ山に食い込み、締付ナットの戻り回転は確実に阻止される。
【0006】
次に半円環状板の外周に設けた多数の菊形の外歯9を緩み止めナット12の鍔部13の外周に設けた切溝14に折り曲げて噛合せることにより、緩み止めナットは半円環状板の三角形突出部7と締付ナットの傾斜溝4との嵌合により、締付ナットと一体になっている半円環状板を介して締付ナットに固定されるので、緩み止めナットは振動等の外力により緩むことは阻止される、これにより締付ナットの締め力を確実に保持しうるようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施により並目ねじボルトにナットを強く締め込んだ後、確実な緩み止めが可能になり、鉄道車両等振動の激しいナットの脱落を防止しうるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の一例として、ボルトに締付用ナットを締め込み、緩み止を行った状態の縦断面図
図2図1の平面図
図3図1の側面図
図4図1図2及び図3に組込まれている半円環状板の縦断面図
図5図4の平面図
図6図4のA−A断面図
図7】本発明の実施形態の一例として、2枚の半円環状板の間に切刃鋼片を固定した円環状板の縦断面図
図8図7の平面図
図9図7のB−B断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
ボルトに締め込むナットの緩み止めの構造において、締付ナット3の上面の相対する2箇所より、ボルトのねじ山2に向う下勾配の傾斜溝(4)を設け、一方その締付ナットに載せる半円環状板5には、その両端の延長部を折り曲げて形成した下向きの三角形突出部7を設ける、そしてこの2枚の半円環状板5を、その両端の三角形突出部7が合掌するように重ね合せて円環状の形状とし、この重ね合わさられた両端の三角形突出部7をすでに上部材15の上より、ボルト1に締め込んでいる締付ナットの相対する2箇所の傾斜溝4に嵌合するように締付ナットの上面に載せ、その上より緩み止めナット12を強く締め込む、このとき2枚の半円環状板相互を抵抗熔接等で結合しておいてもよい。
【0010】
一方半円環状板5は、その外周及び内周に数ヶ所の切込み10及び11を設けて、その両端の三角形突出部7が外力によりボルトの中心部に僅かに移動できる柔軟性を与えているので、この半円環状板は緩み止めナットで締め込まれることにより、その三角形突出部は締付ナットの傾斜溝4の傾斜面に沿うて押下げられると共に、ボルトの中心部に向い少し移動して三角形突起部の側面の切刃8は、ボルトのねじ山2にほぼ直交して食い込むことが可能になる、このようにして2枚の半円環状板の両端の三角形突出部側面の切刃はねじ山に食い込み、締付ナットの戻り回転は確実に阻止される。
【0011】
上記のように半円環状板に柔軟性を与えるために、この材質としてはスプリング鋼を使用することは望ましく、又三角形突出部側面の切刃6は熱処理により硬化した上鋭くして、ボルトのねじ山2に容易に食込みできるようにする、又菊形の外歯9部分は焼戻して容易に折り曲げうるようにしておく。
【0012】
次に半円環状板の外周に設けた多数の菊形の外歯9を緩み止めナット12の、鍔部13の外周に設けた切溝14に折り曲げて噛合せることにより、緩み止めナットは半円環状板の三角形突出部7と締付ナットの傾斜溝4との嵌合により、締付ナットと一体になっている半円環状板を介して締付ナットに固定されるので、緩み止めナットは振動等の外力により緩むことは阻止される、これにより締付ナットの締め力を確実に保持しうるようにする。
【0013】
図7図8及び図9は2枚の半円環状板の三角形突出部7の間に切刃鋼片18を挟み込み、円環状の形状としたものであって介在させる切刃鋼片は熱処理により硬化した上、鋭くして容易にボルトのねじ山2に食込みできるようにしている、そして2枚の半円環状板の三角突出部に挟持された切刃鋼片は、その片側又は両側の三角突出部に抵抗熔接等により固定されている。
【符号の説明】
【0014】
1・・・ボルト 2・・・ボルトのねじ山
3・・・締付ナット 4・・・締付ナットの傾斜溝
5・・・半円環状板 6・・・半円環状板のボルト用孔
7・・・半円環状板の三角形突出部 8・・・三角形突出部の側面切刃
9・・・半円環状板の菊形の外歯 10・・・半円環状板外周の切込
11・・・半円環状板内周の切込 12・・・緩み止めナット
13・・・緩み止めナットの鍔部 14・・・鍔部外周の切溝
15・・・上部材 16・・・上部材のボルト孔
17・・・下部材 18・・・切刃鋼片
【要約】      (修正有)
【課題】緩み止めナットの緩みを確実に阻止する。
【解決手段】締付ナット3の上面の相対する2箇所より、ボルトのねじ山2に向う下勾配の傾斜溝4を設け、一方その締付ナットの上に載せる半円環状板5には、その両端の延長部を折り曲げて形成した下向きの三角形突出部7を設ける、そしてこの2枚の半円環状板5を円環状に並べて、これらの三角形突出部7が締付ナットの傾斜溝4に嵌合するように締付ナット3の上面に載せ、その上より緩み止めナット12を強く締め込む、一方半円環状板は切込みを入れて、僅かに変形できるよう柔軟性を与えておき、半円環状板を緩み止めナットで締め込むことにより、その三角形突出部は傾斜溝4に沿うて押下げられると、ボルトの中心部に向い少し移動して、その側面の切刃はねじ山に食い込み、締付ナットの戻り回転は確実に阻止される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9