(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前側に作業装置が設けられた自走可能な車体と、前記作業装置との重量バランスをとるために該車体の後側に設けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に配置され油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンによって駆動されることにより電力を発電し、または電力が供給されることにより前記エンジンの駆動を補助する電動機と、エンジン冷却水および/または作動油を含む流体を冷却する熱交換装置と、該熱交換装置に冷却風を供給する冷却ファンと、前記熱交換装置に供給される冷却風の流れ方向に対して前記熱交換装置よりも上流側である熱交換装置上流室に配置され、電力を充電しまたは電力を放電する蓄電装置と、前記電動機の動作を制御するインバータ装置とを備えてなるハイブリッド式作業機において、
前記蓄電装置を冷却する蓄電装置用ラジエータと、該蓄電装置用ラジエータとは別個に設けられ前記インバータ装置を冷却するインバータ用ラジエータとを備え、
前記蓄電装置用ラジエータと前記インバータ用ラジエータとは、前記熱交換装置上流室内で前記熱交換装置と前記蓄電装置との間に位置して前記冷却風の流れ方向に対して並列に配置する構成としたことを特徴とするハイブリッド式作業機。
前記エンジンによって駆動される前記電動機である第1の電動機とは別個に、前記蓄電装置から供給される電力により駆動され、または回生動作によって発電した回生電力を前記蓄電装置に充電する第2の電動機を備え、
前記インバータ装置は、前記第1の電動機の動作を制御する第1のインバータと、前記第2の電動機の動作を制御する第2のインバータとにより構成してなる請求項1に記載のハイブリッド式作業機。
前記熱交換装置上流室は、前記車体の前,後方向において前記熱交換装置の前側で左,右方向に延びる前仕切部材と、前記車体の前,後方向において前記熱交換装置の後側で前記カウンタウエイトに沿って左,右方向に延びる後仕切部材とにより囲まれ、前記熱交換装置よりも冷却風の流れ方向の上流側に形成される空間により構成してなる請求項1,2または3に記載のハイブリッド式作業機。
前記インバータ用ラジエータおよび前記蓄電装置用ラジエータは、冷却すべき冷媒が流入するアッパタンクと、冷却された冷媒が流入するロアタンクと、前記アッパタンクと前記ロアタンクとの間に設けられ冷媒の熱を冷却風中に放熱する放熱部とを有し、
前記インバータ用ラジエータの前記放熱部の下端部および前記蓄電装置用ラジエータの前記放熱部の下端部は、前記接続箱の上面の高さ以上の高さ位置に配置する構成としてなる請求項5に記載のハイブリッド式作業機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来技術によるハイブリッド式作業機においては、蓄電装置とインバータとをユニット化し、これら蓄電装置とインバータとを、単一のラジエータを備えた一系統の冷却回路を用いて一緒に冷却する構成としている。
【0007】
このため、蓄電装置が適正に作動する温度範囲と、インバータが適正に作動する温度範囲とが異なる場合には、蓄電装置とインバータとを一系統の冷却回路を用いて一緒に冷却することが困難であるという問題がある。
【0008】
特に、蓄電装置として用いられるリチウムイオン電池は、高温状態に晒されることにより電池が早期に劣化して耐用年数が短くなるため、冷却温度をインバータに比較して低く設定する必要がある。
【0009】
また、上述した従来技術では、冷却風が供給されることによりエンジン等を冷却する熱交換装置(クーリングユニット)を備え、この熱交換装置よりも冷却風の流れ方向の上流側に、ユニット化された蓄電装置とインバータとを配置している。この場合、蓄電装置とインバータとは上,下に重ねてユニット化されているので、熱交換装置に供給される冷却風の妨げとなり、熱交換装置による冷却効率が低下してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、蓄電装置とインバータとを個別に冷却することができるようにしたハイブリッド式作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、前側に作業装置が設けられた自走可能な車体と、前記作業装置との重量バランスをとるために該車体の後側に設けられたカウンタウエイトと、該カウンタウエイトの前側に配置され油圧ポンプを駆動するエンジンと、該エンジンによって駆動されることにより電力を発電し、または電力が供給されることにより前記エンジンの駆動を補助する電動機と、エンジン冷却水および/または作動油を含む流体を冷却する熱交換装置と、該熱交換装置に冷却風を供給する冷却ファンと、前記熱交換装置に供給される冷却風の流れ方向に対して前記熱交換装置よりも上流側である熱交換装置上流室に配置され、電力を充電しまたは電力を放電する蓄電装置と、前記電動機の動作を制御するインバータ装置とを備えてなるハイブリッド式作業機に適用される。
【0012】
請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記蓄電装置を冷却する蓄電装置用ラジエータと、該蓄電装置用ラジエータとは別個に設けられ前記インバータ装置を冷却するインバータ用ラジエータとを備え、前記蓄電装置用ラジエータと前記インバータ用ラジエータとは、前記熱交換装置上流室内で前記熱交換装置と前記蓄電装置との間に位置して前記冷却風の流れ方向に対して並列に配置したことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記エンジンによって駆動される前記電動機である第1の電動機とは別個に、前記蓄電装置から供給される電力により駆動され、または回生動作によって発電した回生電力を前記蓄電装置に充電する第2の電動機を備え、前記インバータ装置は、前記第1の電動機の動作を制御する第1のインバータと、前記第2の電動機の動作を制御する第2のインバータとにより構成したことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記エンジンは左,右方向に延在する横置き状態で配置し、前記蓄電装置と前記熱交換装置とは冷却風の流れ方向に対して直列に配置し、前記インバータ装置は、前記車体の前,後方向において前記蓄電装置よりも前側に配置し、前記インバータ用ラジエータは、前記熱交換装置上流室内で前記インバータ装置と近い位置に配置し、前記蓄電装置用ラジエータは、前記熱交換装置上流室内で前記インバータ用ラジエータの後側に配置する構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記熱交換装置上流室は、前記車体の前,後方向において前記熱交換装置の前側で左,右方向に延びる前仕切部材と、前記車体の前,後方向において前記熱交換装置の後側で前記カウンタウエイトに沿って左,右方向に延びる後仕切部材とにより囲まれ、前記熱交換装置よりも冷却風の流れ方向の上流側に形成される空間により構成したことにある。
【0016】
請求項5の発明は、前記蓄電装置の上面側には、前記インバータ装置から延びるケーブルと前記蓄電装置の端子との間を接続する接続箱を設け、前記接続箱の側面には、前記ケーブルが接続されるケーブル接続口と、前記蓄電装置による充電または放電を制御する制御装置からの信号線が接続される信号線接続口とを設ける構成としたことにある。
【0017】
請求項6の発明は、前記インバータ用ラジエータおよび前記蓄電装置用ラジエータは、冷却すべき冷媒が流入するアッパタンクと、冷却された冷媒が流入するロアタンクと、前記アッパタンクと前記ロアタンクとの間に設けられ冷媒の熱を冷却風中に放熱する放熱部とを有し、前記インバータ用ラジエータの前記放熱部の下端部および前記蓄電装置用ラジエータの前記放熱部の下端部は、前記接続箱の上面の高さ以上の高さ位置に配置する構成としたことにある。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、インバータ装置とは別個に蓄電装置を蓄電装置用ラジエータによって冷却することにより、蓄電装置を冷却するのに最適な冷却温度を設定することができ、蓄電装置を効率良く冷却することができる。また、蓄電装置とは別個にインバータ装置をインバータ用ラジエータによって冷却することにより、インバータ装置を冷却するのに最適な冷却温度を設定することができ、インバータ装置を効率良く冷却することができる。この結果、蓄電装置とインバータ装置とを、それぞれ適正な温度範囲内に保つことができ、これら蓄電装置とインバータ装置とを常に円滑に作動させることができ、耐用年数も向上させることができる。
【0019】
しかも、蓄電装置用ラジエータとインバータ用ラジエータとは、冷却風の流れ方向において熱交換装置よりも上流側で、かつ冷却風の流れ方向に対して並列に配置されるので、蓄電装置用ラジエータとインバータ用ラジエータとに対して冷却風を均等に供給することができる。これにより、蓄電装置とインバータ装置とを効率良く冷却することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、第1の電動機とは別個に第2の電動機を備える場合でも、第1の電動機の動作を制御する第1のインバータと、第2の電動機の動作を制御する第2のインバータとを、インバータ用ラジエータを用いて蓄電装置とは別個に冷却することができる。これにより、第1,第2のインバータを適正な温度範囲内に保つことができ、これらを円滑に作動させることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、インバータ装置を車体の前,後方向において蓄電装置よりも前側に配置することにより、冷却風の流れ方向における熱交換装置よりも上流側に、蓄電装置とインバータ装置とを上,下に重ねて配置する必要がない。このため、蓄電装置とインバータ装置とが冷却風の妨げになるのを抑え、熱交換装置に対して充分な冷却風を供給することができる。
【0022】
しかも、熱交換装置上流室内で、蓄電装置用ラジエータをインバータ用ラジエータの後側に配置することにより、インバータ装置と蓄電装置との前,後方向の配置関係と、インバータ用ラジエータと蓄電装置用ラジエータとの前,後方向の配置関係とを一致させることができる。この結果、インバータ装置とインバータ用ラジエータとの間に設けられるインバータ用の冷却回路と、蓄電装置と蓄電装置用ラジエータとの間に設けられる蓄電装置用の冷却回路とを、互いに重なり合うことなく整然と配置することができ、例えばメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、蓄電装置用ラジエータとインバータ用ラジエータとを、熱交換装置の前側に配置された前仕切部材と後側に配置された後仕切板とによって囲まれた熱交換装置上流室内に配置することにより、蓄電装置用ラジエータとインバータ用ラジエータとに対し、大量の冷却風を無駄なく供給することができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、接続箱の側面にケーブル接続口と信号線接続口とを設けることにより、ケーブル接続口及びこれに接続されるケーブルと、信号線接続口及びこれに接続される信号線とが、接続箱の上面側に突出するのを抑えることができる。従って、ケーブル接続口、信号線接続口等が、熱交換装置上流室に供給される冷却風の妨げになるのを抑え、熱交換装置上流室内に配置された蓄電装置用ラジエータおよびインバータ用ラジエータに対して充分な冷却風を供給することができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、インバータ用ラジエータおよび蓄電装置用ラジエータに向けて供給される冷却風は、蓄電装置の接続箱によって妨げられることなく、インバータ用ラジエータの放熱部、および蓄電装置用ラジエータの放熱部に供給される。この結果、インバータ用ラジエータによってインバータを効率良く冷却できると共に、蓄電装置用ラジエータによって蓄電装置を効率良く冷却することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るハイブリッド式作業機の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
図中、1はハイブリッド式作業機の代表例としてのハイブリッド式の油圧ショベルを示している。油圧ショベル1の車体は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0029】
下部走行体2は、左,右のサイドフレーム2A(左側のみ図示)を有するトラックフレームと、各サイドフレーム2Aの前,後方向(長さ方向)の一側に設けられた駆動輪2Bと、前,後方向の他側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cとに巻回された履帯2Dとにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、左,右の走行油圧モータ2E,2F(
図9参照)によって駆動され、履帯2Dを周回駆動させることにより油圧ショベル1を走行させるものである。
【0030】
作業装置4は、後述する旋回フレーム5の前部側に俯仰動可能に取付けられたブーム4Aと、該ブーム4Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム4Bと、該アーム4Bの先端側に回動可能に取付けられたバケット4Cと、これらを駆動する油圧シリンダからなるブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fとにより構成されている。
【0031】
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、該旋回フレーム5上に搭載された後述のキャブ6、カウンタウエイト7、エンジン8、油圧ポンプ9、アシスト発電モータ12、熱交換装置13、蓄電装置30、旋回モータ31、インバータ装置34、蓄電装置用ラジエータ42、インバータ用ラジエータ46等を含んで構成されている。
【0032】
ここで、旋回フレーム5は、
図2等に示すように、厚肉な平板状に形成され前,後方向に延びた底板5Aと、該底板5A上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板5B及び右縦板5Cと、左縦板5Bから左側方に張出して設けられた複数の左張出しビーム5Dと、右縦板5Cから右側方に張出して設けられた複数の右張出しビーム(図示せず)と、各左張出しビーム5Dの先端側に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム5Eと、各右張出しビームの先端側に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム5Fとにより大略構成されている。また、旋回フレーム5の後部左側には、左縦板5Bと左サイドフレーム5Eとの間に位置して、後述の熱交換装置13が取付けられる熱交換装置取付板5Gと、後述の蓄電装置30が取付けられる蓄電装置取付板5Hが設けられている(
図6,
図7参照)。
【0033】
旋回フレーム5の前部左側には、運転室を画成するキャブ6が設けられている。キャブ6内には、オペレータが着席する運転席が設けられ、運転席の周囲には走行用の操作レバー、作業用の操作レバー(いずれも図示せず)が設けられている。一方、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト7が設けられている。
【0034】
8はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5の後側に配設されたエンジンを示している。エンジン8は、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延在する横置き状態で、旋回フレーム5上に搭載されている。エンジン8の右側には、後述の油圧ポンプ9とアシスト発電モータ12とが取付けられている。一方、エンジン8の左側(油圧ポンプ9とは反対側)には吸込式の冷却ファン8Aが取付けられている。
【0035】
冷却ファン8Aは、エンジン8によって回転駆動されることにより外気を吸込み、この外気を冷却風として後述の熱交換装置13等に供給するものである。この場合、
図4および
図5に示すように、冷却ファン8Aによる冷却風の流れ方向Aは、エンジン8のクランク軸(図示せず)の軸線が延在する方向(左,右方向)と一致している。
【0036】
9はエンジン8の右側(出力側)に取付けられた油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された左,右の走行モータ2E,2F、各シリンダ4D,4E,4F、後述する旋回油圧モータ32等の各種の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。油圧ポンプ9の前側には作動油タンク10が設けられ、該作動油タンク10は、油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜している。
【0037】
11はエンジン8の前側に設けられたコントロールバルブを示し、該コントロールバルブ11は複数の方向制御弁の集合体からなっている。そして、コントロールバルブ11は、キャブ6内に配置された操作レバー(図示せず)の操作に応じて、油圧ポンプ9から各種の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向を制御するものである。
【0038】
12は油圧ポンプ9と共にエンジン8の右側(出力側)に取付けられた第1の電動機としてのアシスト発電モータ(発電電動機)を示している。このアシスト発電モータ12は、エンジン8によって駆動されることにより発電し、または後述する蓄電装置30から電力が供給されることによりエンジン8の駆動を補助(アシスト)するものである。即ち、アシスト発電モータ12は、エンジン8によって駆動されることにより発電する発電機としての機能と、後述の蓄電装置30から供給される電力によりエンジン8の駆動を補助する電動機としての機能とを有している。
【0039】
13はエンジン8の左側に位置して旋回フレーム5上に搭載された熱交換装置を示している。この熱交換装置13は、
図6ないし
図8に示すように、旋回フレーム5上に取付けられる支持枠体14と、該支持枠体14に組付けられたインタクーラ15、ラジエータ16、オイルクーラ17、エアコンコンデンサ18、燃料クーラ19等からなる1つのユニットとして構成されている。
【0040】
ここで、支持枠体14は、熱交換装置13の前側(キャブ6側)に配置され、左サイドフレーム5Eに向けて左,右方向に延びると共に上,下方向に延びる前仕切部材としての前仕切板14Aと、カウンタウエイト7の左前面部に沿って熱交換装置13の後側に配置され、左サイドフレーム5Eに向けて左,右方向に延びると共に上,下方向に延びる後仕切部材としての後仕切板14Bと、前,後の仕切板14A,14Bの上部を連結するように前,後方向に延び、インタクーラ15、ラジエータ16、オイルクーラ17の上部を覆う長箱状の連結部材14Cとを含んで構成されている。支持枠体14の前仕切板14Aと後仕切板14Bとの間には、熱交換装置13よりも冷却風の流れ方向Aの上流側に位置して後述の熱交換装置上流室28が形成されている。
【0041】
支持枠体14には、ターボ過給機(図示せず)によって圧縮された空気を冷却するインタクーラ15と、エンジン冷却水を冷却するラジエータ16と、作動油を冷却するオイルクーラ17と、空気調和装置(エアコン)用の冷媒を冷却するエアコンコンデンサ18と、燃料を冷却する燃料クーラ19とが組付けられている。熱交換装置13は、冷却ファン8Aによって熱交換装置上流室28内に吸込まれた外気(冷却風)が、エアコンコンデンサ18、燃料クーラ19、インタクーラ15、ラジエータ16、オイルクーラ17に供給されることにより、圧縮空気、エンジン冷却水、作動油、エアコン用の冷媒、燃料を冷却するものである。
【0042】
この場合、
図5等に示すように、インタクーラ15、ラジエータ16、オイルクーラ17は、冷却ファン8Aによって熱交換装置上流室28内に供給される冷却風の流れ方向Aに対し、並列に配置されている。また、エアコンコンデンサ18は、冷却風の流れ方向Aにおいてラジエータ16よりも上流側に配置され、燃料クーラ19は、冷却風の流れ方向Aにおいてオイルクーラ17よりも上流側に配置されている。
【0043】
一方、
図7に示すように、支持枠体14を構成する前仕切板14Aと後仕切板14Bとの間には、エアコンコンデンサ18および燃料クーラ19の下側を通って前,後方向に延びる台座部材20が固定されている。台座部材20の上面側には、後述の蓄電装置用ラジエータ42およびインバータ用ラジエータ46が取付けられ、台座部材20の下面側には、後述の蓄電装置用冷却ポンプ43およびインバータ用冷却ポンプ47が配置されている。
【0044】
21はカウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた建屋カバーを示し、該建屋カバー21は、エンジン8、油圧ポンプ9、アシスト発電モータ12、熱交換装置13等を覆うものである。ここで、建屋カバー21の上側は、上面板22とエンジンカバー22Aとによって構成され、建屋カバー21の左側は、後述する左前側ドア24と左後側ドア25とによって構成され、建屋カバー21の右側は、右側ドア26によって構成されている。
【0045】
23は熱交換装置13を構成する支持枠体14の前仕切板14Aとキャブ6との間に設けられた前仕切カバーを示している。この前仕切カバー23は、支持枠体14の前仕切板14Aと前,後方向で間隔をもって対面し、後述するユーティリティ室29の前側を仕切るものである。
【0046】
24は前仕切カバー23に開,閉可能に取付けられた左前側ドアを示し、該左前側ドア24は、ヒンジ部材を介して前仕切カバー23に回動可能に支持されている。左前側ドア24は、前仕切カバー23の位置を中心として前,後方向に回動することにより、後述のユーティリティ室29を開,閉するものである。
【0047】
25は左前側ドア24の後側に設けられた左後側ドアで、該左後側ドア25は、熱交換装置13の支持枠体14を構成する後仕切板14Bに、ヒンジ部材を介して回動可能に支持されている。そして、左後側ドア25は、後仕切板14Bの位置を中心として前,後方向に回動することにより、後述の熱交換装置上流室28を開,閉するものである。
【0048】
27は建屋カバー21内に形成されたエンジン室で、該エンジン室27は、建屋カバー21を構成する上面板22、エンジンカバー22A、右側ドア26と、熱交換装置13と、カウンタウエイト7と、作動油タンク10とによって画成されている。このエンジン室27内には、エンジン8、油圧ポンプ9、アシスト発電モータ12等が収容されている。
【0049】
28は熱交換装置13を挟んでエンジン室27とは反対側に形成された熱交換装置上流室を示している。この熱交換装置上流室28は、熱交換装置13の前側(キャブ6側)に配置された支持枠体14の前仕切板14Aと、カウンタウエイト7の左前面部に沿って熱交換装置13の後側に配置された支持枠体14の後仕切板14Bとの間で、熱交換装置13よりも冷却風の流れ方向Aの上流側に形成された空間からなっている。熱交換装置上流室28は左後側ドア25によって開,閉され、その内部には、後述する蓄電装置30、蓄電装置用ラジエータ42、インバータ用ラジエータ46等が配置されている。
【0050】
29は熱交換装置上流室28の前側に形成されたユーティリティ室で、該ユーティリティ室29は、建屋カバー21を構成する上面板22および左前側ドア24と、前仕切カバー23と、前仕切板14Aとによって画成されている。そして、ユーティリティ室29内には、後述するインバータ装置34が配置されている。
【0051】
30は電力を充電しまたは放電する蓄電装置を示し、該蓄電装置30は、熱交換装置13に供給される冷却風の流れ方向Aにおいて熱交換装置13よりも上流側に配置されている。蓄電装置30は、例えばリチウムイオン電池を用いて構成され、旋回フレーム5の蓄電装置取付板5H上に取付けられている。この蓄電装置30は、アシスト発電モータ12が発電した電力、上部旋回体3の旋回減速動作(回生動作)によって後述する旋回電動モータ33が発電した回生電力を充電(蓄電)し、または充電された電力をアシスト発電モータ12、旋回電動モータ33に放電(給電)するものである。なお、蓄電装置30は、バッテリ以外にも、例えば電気二重層のキャパシタを用いて構成してもよいものである。
【0052】
ここで、
図5,
図6に示すように、蓄電装置30は、内部に複数のバッテリモジュールが収容された直方体状のケーシング30Aと、該ケーシング30Aよりも小型の箱体からなりケーシング30A上に取付けられた接続箱(ジャンクションボックス)30Bとを含んで構成されている。ケーシング30Aには、冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。
【0053】
接続箱30Bは、後述する第1,第2のインバータ35,37から延びるケーブル36,38と蓄電装置30の端子との間を接続するもので、その内部には、後述する制御装置39からの信号が供給されることにより蓄電装置30の充電、放電を制御する制御部30C等の電気回路(図示せず)が収容されている。
【0054】
ここで、接続箱30Bは、上面30B1、前側面30B2、後側面30B3、左側面30B4、右側面30B5によって囲まれ、後側面30B3の左,右方向の中間部には、後方に向けて張出す張出し部30B6が設けられている。接続箱30Bの前側面30B2には、第1のインバータ35との間を接続する後述のケーブル36が接続される第1のケーブル接続口30Dと、第2のインバータ37との間を接続する後述のケーブル38が接続される第2のケーブル接続口30Eとが、左,右方向に並んで設けられている。一方、接続箱30Bの後側面30B3には、蓄電装置30の制御部30Cと制御装置39との間を接続する後述の信号線40Aが接続される信号線接続口30Fが設けられている。
【0055】
この場合、接続箱30Bの上面30B1は蓄電装置30の上端位置であり、接続箱30Bの前側面30B2に設けられた第1,第2のケーブル接続口30D,30Eと、接続箱30Bの後側面30B3に設けられた信号線接続口30Fとは、接続箱30Bの上面30B1よりも低い位置に配置されている。これにより、第1,第2のケーブル接続口30D,30E及びこれらに接続されるケーブル36,38、信号線接続口30F及びこれに接続される信号線40Aが、接続箱30Bの上面30B1から上方に突出するのを抑えることができる構成となっている。
【0056】
31は旋回フレーム5の中央部に設けられた旋回モータを示し、該旋回モータ31は、下部走行体2に対して上部旋回体3を旋回させるものである。ここで、
図9に示すように、旋回モータ31は、油圧ポンプ9から吐出する圧油によって駆動される旋回油圧モータ32と、該旋回油圧モータ32に付設された後述の旋回電動モータ33とにより構成されている。
【0057】
33は第2の電動機としての旋回電動モータを示し、該旋回電動モータ33は、旋回油圧モータ32と協働して下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させるものである。旋回電動モータ33の外殻をなすケーシングには、冷却水が流通するウォータジャケット(いずれも図示せず)が形成されている。ここで、旋回電動モータ33は、蓄電装置30に充電された電力が供給されることにより駆動され、上部旋回体3を旋回させる。また、旋回電動モータ33は、上部旋回体3が旋回減速したときの回生動作によって回生電力を発電し、この回生電力を蓄電装置30に充電する。
【0058】
即ち、旋回電動モータ33は、後述のケーブル38を介して蓄電装置30から電力が供給されることにより上部旋回体3を旋回させる電動機としての機能と、上部旋回体3の旋回減速時に上部旋回体3の運動エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能とを有している。旋回電動モータ33が発電した回生電力は、ケーブル38を介して蓄電装置30に供給され、蓄電装置30の充電が行われる。
【0059】
次に、ハイブリッド式の油圧ショベル1の電動システムについて説明する。
【0060】
図9に示すように、油圧ショベル1の電動システムは、前述したアシスト発電モータ12、蓄電装置30、旋回電動モータ33、後述するインバータ装置34、制御装置39等を含んで構成されている。
【0061】
34はユーティリティ室29内に設けられたインバータ装置を示し、該インバータ装置34は、熱交換装置上流室28内に設けられた蓄電装置30よりも前側に配置されている。このインバータ装置34は、後述する第1のインバータ35と第2のインバータ37とを備えた1つのユニットとして構成されている。
【0062】
35は第1のインバータを示し、該第1のインバータ35はアシスト発電モータ12の動作を制御するものである。第1のインバータ35は、外殻をなすケーシング内に収容されたトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子により構成され、各スイッチング素子のオン/オフが制御部35Aによって制御されるものである。また、第1のインバータ35のケーシングには、冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。
【0063】
ここで、第1のインバータ35と蓄電装置30とは、正極側(プラス側)と負極側(マイナス側)で一対のケーブル(直流母線)36を通じて相互に接続されている。アシスト発電モータ12の発電時には、第1のインバータ35は、アシスト発電モータ12による発電電力を直流電力に変換し、ケーブル36を通じて蓄電装置30に供給する。一方、アシスト発電モータ12を電動機として駆動するときには、第1のインバータ35は、ケーブル36を介して蓄電装置30から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、アシスト発電モータ12に供給する。
【0064】
37は第2のインバータを示し、該第2のインバータ37は旋回電動モータ33の動作を制御するものである。第2のインバータ37は、第1のインバータ35と同様に、外殻をなすケーシング内に収容された複数のスイッチング素子により構成され、各スイッチング素子のオン/オフが制御部37Aによって制御されるものである。また、第2のインバータ37のケーシングには、冷却水が流通するウォータジャケット(図示せず)が形成されている。
【0065】
ここで、第2のインバータ37と蓄電装置30とは、正極側(プラス側)と負極側(マイナス側)で一対のケーブル(直流母線)38を通じて相互に接続されている。旋回電動モータ33が上部旋回体3を旋回駆動するときには、第2のインバータ37は、ケーブル38を介して供給される直流電力を三相交流電力に変換し、旋回電動モータ33に供給する。一方、上部旋回体3の旋回減速時に旋回電動モータ33が回生動作によって回生電力を発電したときには、第2のインバータ37は、旋回電動モータ33による回生電力を直流電力に変換し、ケーブル38を介して蓄電装置30に供給する。
【0066】
39は蓄電装置30、アシスト発電モータ12、旋回電動モータ33等の動作を制御する制御装置を示している。制御装置39は、信号線40Aを介して蓄電装置30の制御部30Cに接続されると共に、信号線40Bを介して第1のインバータ35の制御部35Aに接続され、信号線40Cを介して第2のインバータ37の制御部37Aに接続されている。制御装置39は、蓄電装置30の制御部30Cに対して制御信号を出力することにより、蓄電装置30による充電または放電を制御し、第1,第2のインバータ35,37の制御部35A,37Aに対して制御信号を出力することにより、アシスト発電モータ12,旋回電動モータ33の動作を制御する。
【0067】
次に、油圧ショベル1に搭載された蓄電装置30、インバータ装置34等を冷却する冷却システムについて説明する。
【0068】
41は蓄電装置用冷却システムを示し、該蓄電装置用冷却システム41は、インバータ装置34とは別個に蓄電装置30を単独で冷却するものである。蓄電装置用冷却システム41は、冷媒としての冷却水を用いて蓄電装置30を冷却する蓄電装置用ラジエータ42と、冷却水を循環させる蓄電装置用冷却ポンプ43と、蓄電装置用ラジエータ42と蓄電装置用冷却ポンプ43との間を接続する蓄電装置用冷却管路44とにより、蓄電装置30のウォータジャケットに接続される閉ループを形成している(
図10参照)。蓄電装置用冷却システム41を構成する蓄電装置用ラジエータ42、蓄電装置用冷却ポンプ43、蓄電装置用冷却管路44は、冷却風の流れ方向Aにおいて熱交換装置13の上流側に位置する熱交換装置上流室28内に設けられている。
【0069】
ここで、
図6ないし
図8に示すように、蓄電装置用ラジエータ42は、熱交換装置13の支持枠体14に設けられた台座部材20上に取付けられ、熱交換装置13を構成するエアコンコンデンサ18よりも下側に位置して、熱交換装置13と蓄電装置30との間に配設されている。この蓄電装置用ラジエータ42は、蓄電装置30のケーシング30Aに設けられたウォータジャケットを流れる冷却水を冷却することにより、蓄電装置30を冷却するものである。
【0070】
蓄電装置用ラジエータ42は、台座部材20上を前,後方向に延びる箱形状をなし、蓄電装置30によって加熱された冷却水が流入するアッパタンク42Aと、冷却された冷却水が流入するロアタンク42Bと、アッパタンク42Aとロアタンク42Bとの間に設けられた放熱部(コア)42Cとにより大略構成されている。
【0071】
放熱部42Cは、上端側がアッパタンク42Aに開口すると共に下端側がロアタンク42Bに開口する複数本の細管と、これら各細管に接続された放熱フィンとにより構成され、アッパタンク42Aに流入した冷却水が各細管を通じてロアタンク42Bに流入する間に、冷却風に晒される放熱フィンを介して冷却水の熱を放熱するものである。
【0072】
従って、蓄電装置30によって加熱された冷却水は、蓄電装置用冷却ポンプ43により循環されており、蓄電装置用ラジエータ42のアッパタンク42Aに流入した後、放熱部42Cを通過する間に、冷却ファン8Aによって熱交換装置上流室28内に供給される冷却風によって冷却される。そして、放熱部42Cにより放熱された冷却水は、蓄電装置用ラジエータ42のロアタンク42Bから蓄電装置用冷却管路44を通じて蓄電装置30のウォータジャケットに供給され、蓄電装置30を冷却する。
【0073】
この場合、蓄電装置用ラジエータ42を構成する放熱部42Cの下端部42Dは、蓄電装置30の上端部となる接続箱30Bの上面30B1と略同一平面内に配置されている。即ち、放熱部42Cの下端部42Dは、接続箱30Bの上面30B1の高さ以上の高さ位置に配置されている。これにより、エンジン8の冷却ファン8Aによって熱交換装置上流室28内に冷却風が流入したときに、この冷却風の流れ方向Aにおいて、接続箱30Bの上側部分が放熱部42Cと重なり合うのを抑え、放熱部42Cの全面に亘ってほぼ均等に冷却風を供給することができる構成となっている。
【0074】
45はインバータ用冷却システムを示し、該インバータ用冷却システム45は、蓄電装置30とは別個に、インバータ装置34を構成する第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33を冷却するものである。インバータ用冷却システム45は、冷媒としての冷却水を用いて第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33を冷却するインバータ用ラジエータ46と、冷却水を循環させるインバータ用冷却ポンプ47と、インバータ用ラジエータ46、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33を相互に接続するインバータ用冷却管路48とにより、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33のウォータジャケットに接続される閉ループを形成している(
図10参照)。インバータ用冷却システム45を構成するインバータ用ラジエータ46は、冷却風の流れ方向において熱交換装置13の上流側に位置する熱交換装置上流室28内に、蓄電装置用ラジエータ42に隣接して設けられている。
【0075】
ここで、インバータ用ラジエータ46は、熱交換装置13の支持枠体14に設けられた台座部材20上に、蓄電装置用ラジエータ42の前側(前仕切板14A側)に隣接して取付けられ、熱交換装置13を構成する燃料クーラ19よりも下側に位置して、熱交換装置13と蓄電装置30との間に配設されている。このインバータ用ラジエータ46は、第1,第2のインバータ35,37のウォータジャケット、旋回電動モータ33のウォータジャケットを流れる冷却水を冷却することにより、これら第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33を冷却するものである。
【0076】
インバータ用ラジエータ46は、台座部材20上を前,後方向に延びる箱形状をなし、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33によって加熱された冷却水が流入するアッパタンク46Aと、冷却された冷却水が流入するロアタンク46Bと、アッパタンク46Aとロアタンク46Bとの間に設けられた放熱部(コア)46Cとにより大略構成されている。
【0077】
放熱部46Cは、上端側がアッパタンク46Aに開口すると共に下端側がロアタンク46Bに開口する複数本の細管と、これら各細管に接続された放熱フィンとにより構成され、アッパタンク46Aに流入した冷却水が各細管を通じてロアタンク46Bに流入する間に、冷却風に晒される放熱フィンを介して冷却水の熱を放熱するものである。
【0078】
従って、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33によって加熱された冷却水は、インバータ用冷却ポンプ47により循環されており、インバータ用ラジエータ46のアッパタンク46Aに流入した後、放熱部46Cを通過する間に、冷却ファン9Aによって熱交換装置上流室28内に供給される冷却風によって冷却される。そして、放熱部46Cにより放熱された冷却水は、インバータ用ラジエータ46のロアタンク46Bからインバータ用冷却管路48を通じて第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33のウォータジャケットに供給され、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33を冷却する。
【0079】
この場合、インバータ用ラジエータ46を構成する放熱部46Cの下端部46Dは、蓄電装置30の上端部となる接続箱30Bの上面30B1と略同一平面内に配置されている。即ち、放熱部46Cの下端部46Dは、接続箱30Bの上面30B1の高さ以上の高さ位置に配置されている。これにより、熱交換装置上流室28内に冷却風が流入したときに、この冷却風の流れ方向Aにおいて、接続箱30Bの上側部分が放熱部46Cと重なり合うのを抑え、放熱部46Cの全面に亘ってほぼ均等に冷却風を供給することができる構成となっている。
【0080】
このように、蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とを別々に設けることにより、蓄電装置30と第1,第2のインバータ35,37とを個別に冷却することができ、蓄電装置用ラジエータ42によって蓄電装置30を適正な温度範囲に保つと共に、インバータ用ラジエータ46によって第1,第2のインバータ35,37を適正な温度範囲に保つことができる構成となっている。
【0081】
しかも、熱交換装置13とは別個の蓄電装置用ラジエータ42を備えた蓄電装置用冷却システム41を用いて、蓄電装置30を単独で冷却する構成としている。これにより、蓄電装置用冷却システム41は、蓄電装置30以外の発熱体を冷却する必要がないので、蓄電装置30を冷却するのに最適な冷却温度を設定することができる構成となっている。
【0082】
また、
図5に示すように、蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とは、熱交換装置上流室28に流入する冷却風の流れ方向Aにおいて熱交換装置13よりも上流側で、かつ冷却風の流れ方向Aに対して並列に配置されている。これにより、熱交換装置13を通過して暖められる前の冷却風を、蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とに対して均等に供給することができる構成となっている。
【0083】
さらに、
図10に示すように、インバータ装置34は、熱交換装置上流室28内に配置された蓄電装置30よりも前側に位置してユーティリティ室29内に配置し、インバータ用ラジエータ46は、熱交換装置上流室28内においてインバータ装置34と近い前側(前仕切板14A側)に配置し、蓄電装置用ラジエータ42は、熱交換装置上流室28内においてインバータ用ラジエータ46の後側(後仕切板14B側)に配置する構成としている。
【0084】
これにより、インバータ装置34と蓄電装置30との前,後方向の配置関係と、インバータ用ラジエータ46と蓄電装置用ラジエータ42との前,後方向の配置関係とを一致させることができる。この結果、蓄電装置用冷却システム41の蓄電装置用冷却管路44と、インバータ用冷却システム45のインバータ用冷却管路48とを、互いに重なり合うことなく整然と配置することができる構成となっている。
【0085】
本実施の形態によるハイブリッド式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0086】
キャブ6に搭乗したオペレータがエンジン8を作動させると、エンジン8によって油圧ポンプ9とアシスト発電モータ12が駆動される。これにより、油圧ポンプ9から吐出した圧油は、キャブ6内に設けられた操作レバー(図示せず)の操作に応じて、左,右の走行モータ2E,2F、旋回油圧モータ32、作業装置4のブームシリンダ4D,アームシリンダ4E,バケットシリンダ4Fに向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体3の旋回動作、作業装置4による掘削作業等を行う。
【0087】
油圧ショベル1の作動時には、エンジン8によって冷却ファン8Aが駆動されることにより、熱交換装置上流室28内に外気が吸込まれる。熱交換装置上流室28内に吸込まれた外気は、冷却風となって、蓄電装置30、蓄電装置用ラジエータ42、インバータ用ラジエータ46、熱交換装置13等に供給された後、エンジン室27を介して外部に排出される。
【0088】
ここで、油圧ショベル1の作動時にエンジン8の出力トルクが油圧ポンプ9の駆動トルクよりも大きいときには、余剰トルクによってアシスト発電モータ12が発電機として駆動される。これにより、アシスト発電モータ12は交流電力を発生し、この交流電力は第1のインバータ35により直流電力に変換され、蓄電装置30に蓄えられる。一方、エンジン8の出力トルクが油圧ポンプ9の駆動トルクよりも小さいときには、アシスト発電モータ12は、蓄電装置30からの電力によって電動機として駆動され、エンジン8による油圧ポンプ9の駆動を補助(アシスト)する。
【0089】
旋回電動モータ33は、蓄電装置30に充電された電力が供給されることにより駆動され、旋回油圧モータ32と協働して下部走行体2上で上部旋回体3を旋回させる。また、旋回電動モータ33は、上部旋回体3が旋回減速したときの回生動作によって交流電力(回生電力)を発電し、この交流電力は第2のインバータ37により直流電力に変換され、蓄電装置30に蓄えられる。
【0090】
このように、油圧ショベル1の作動時には、アシスト発電モータ12、旋回電動モータ33等が駆動されるので、アシスト発電モータ12を制御する第1のインバータ35、旋回電動モータ33を制御する第2のインバータ37が発熱して温度上昇する。また、蓄電装置30は、油圧ショベル1の運転状況に応じて充電と放電を行うことにより発熱して温度上昇する。
【0091】
これに対し、本実施の形態では、温度上昇した蓄電装置30を冷却する蓄電装置用冷却システム41と、蓄電装置30とは別個に第1,第2のインバータ35,37(インバータ装置34)を冷却するインバータ用冷却システム45とを備えており、以下、その動作について説明する。
【0092】
まず、蓄電装置用冷却システム41の動作について説明する。蓄電装置用冷却システム41は、
図10に示すように、蓄電装置用ラジエータ42と、蓄電装置用冷却ポンプ43と、蓄電装置用冷却管路44とにより、蓄電装置30のウォータジャケットに接続される閉ループを形成している。従って、蓄電装置用冷却ポンプ43が作動すると、蓄電装置30のウォータジャケット内の冷却水(冷媒)は、蓄電装置用ラジエータ42のアッパタンク42Aに流入する。アッパタンク42Aに流入した冷却水は、放熱部42Cを通過してロアタンク42Bに流入する。
【0093】
このとき、エンジン8によって冷却ファン8Aが駆動されることにより、熱交換装置上流室28内に外気(冷却風)が供給され、この冷却風が、蓄電装置用ラジエータ42の放熱部42Cを通過するときに、冷却水の熱が放熱される。このため、蓄電装置用ラジエータ42のロアタンク42Bには放熱された冷却水が流入し、放熱された冷却水は、ロアタンク42Bから蓄電装置用冷却管路44を通じて蓄電装置30(ケーシング30A)のウォータジャケットに供給される。
【0094】
このようにして、蓄電装置30によって温度上昇した冷却水は、蓄電装置用冷却ポンプ43によって蓄電装置30のウォータジャケットと蓄電装置用ラジエータ42との間を循環する間に、熱交換装置上流室28内に供給される冷却風によって冷却される。この結果、蓄電装置用冷却システム41によって、蓄電装置30を常に適正な温度範囲に保つことができる。
【0095】
次に、インバータ用冷却システム45の動作について説明する。インバータ用冷却システム45は、インバータ用ラジエータ46と、インバータ用冷却ポンプ47と、インバータ用冷却管路48とにより、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33のウォータジャケットに接続される閉ループを形成している。従って、インバータ用冷却ポンプ47が作動すると、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33のウォータジャケット内の冷却水(冷媒)は、インバータ用ラジエータ46のアッパタンク46Aに流入する。アッパタンク46Aに流入した冷却水は、放熱部46Cを通過してロアタンク46Bに流入する。
【0096】
このとき、熱交換装置上流室28内に外気(冷却風)が供給されるので、この冷却風が、インバータ用ラジエータ46の放熱部46Cを通過するときに、冷却水の熱が放熱される。このため、インバータ用ラジエータ46のロアタンク46Bには放熱された冷却水が流入し、放熱された冷却水は、ロアタンク46Bからインバータ用冷却管路48を通じて第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33のウォータジャケットに供給される。
【0097】
このようにして、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33によって温度上昇した冷却水は、インバータ用冷却ポンプ47によって第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33のウォータジャケットとインバータ用ラジエータ46との間を循環する間に、熱交換装置上流室28内に供給される冷却風によって冷却される。この結果、インバータ用冷却システム45によって、第1,第2のインバータ35,37および旋回電動モータ33を常に適正な温度範囲に保つことができる。
【0098】
この場合、本実施の形態による油圧ショベル1は、蓄電装置30を冷却する蓄電装置用ラジエータ42と、第1,第2のインバータ35,37からなるインバータ装置34を冷却するインバータ用ラジエータ46とを互いに独立させて別個に設け、これら蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とを、熱交換装置上流室28内で熱交換装置13と蓄電装置30との間に、冷却風の流れ方向Aに対して並列に配置している。
【0099】
これにより、蓄電装置用冷却システム41の蓄電装置用ラジエータ42を用いて、蓄電装置30をインバータ装置34とは別に単独で冷却することができる。従って、蓄電装置用冷却システム41は、蓄電装置30を冷却するのに最適な冷却温度を設定することができ、蓄電装置30を効率良く冷却することができる。この結果、蓄電装置30を適正な温度範囲内に保つことができ、蓄電装置30を常に円滑に作動させることができるので、蓄電装置30の耐用年数も向上させることができる。
【0100】
一方、インバータ用冷却システム45のインバータ用ラジエータ46を用いて、インバータ装置34を蓄電装置30とは別に冷却することができる。従って、インバータ用冷却システム45は、インバータ装置34および旋回電動モータ33を冷却するのに最適な冷却温度を設定することができ、これらを効率良く冷却することができる。この結果、インバータ装置34を適正な温度範囲内に保つことができ、インバータ装置34の第1,第2のインバータ35,37を常に円滑に作動させることができる。
【0101】
しかも、蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とは、冷却風の流れ方向Aにおいて熱交換装置13よりも上流側で、かつ冷却風の流れ方向Aに対して並列に配置されている。これにより、熱交換装置13を通過して暖められる前の冷却風を、蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とに対して均等に供給することができる。この結果、蓄電装置30とインバータ装置34の第1,第2のインバータ35,37とを効率良く冷却することができる。
【0102】
本実施の形態による油圧ショベル1は、熱交換装置13に供給される冷却風の流れ方向Aに対し熱交換装置13よりも上流側となる熱交換装置上流室28内に蓄電装置30を配置し、この蓄電装置30よりも上部旋回体3の前,後方向の前側(キャブ6側)にインバータ装置34を配置している。このため、本実施の形態では、例えば従来技術のように蓄電装置とインバータ装置とを熱交換装置よりも上流側で上,下に重ねて配置する場合に比較して、蓄電装置30とインバータ装置34とが冷却風の妨げになるのを抑え、熱交換装置13に対して充分な冷却風を供給することができる。
【0103】
しかも、熱交換装置上流室28内においては、蓄電装置用ラジエータ42をインバータ用ラジエータ46の後側に配置したので、インバータ装置34と蓄電装置30との前,後方向の配置関係と、インバータ用ラジエータ46と蓄電装置用ラジエータ42との前,後方向の配置関係とを一致させることができる。これにより、蓄電装置用冷却システム41を構成する蓄電装置用冷却管路44と、インバータ用冷却システム45を構成するインバータ用冷却管路48とを、互いに重なり合うことなく整然と配置することができる。この結果、例えば蓄電装置用冷却システム41、インバータ用冷却システム45に対するメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
【0104】
本実施の形態による油圧ショベル1は、熱交換装置13の前側に配置された前仕切板14Aと、熱交換装置13の後側に配置された後仕切板14Bとの間で、熱交換装置13よりも冷却風の流れ方向Aの上流側に形成された空間からなる熱交換装置上流室28を設け、この熱交換装置上流室28内に、蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とを配置している。これにより、蓄電装置用ラジエータ42とインバータ用ラジエータ46とに対し、冷却ファン8Aによる大量の冷却風を無駄なく供給することができ、蓄電装置30、第1,第2のインバータ35,37の冷却を促進することができる。
【0105】
本実施の形態による油圧ショベル1は、蓄電装置30のケーシング30A上面側に、上面30B1、前側面30B2、後側面30B3、左側面30B4、右側面30B5によって囲まれた接続箱30Bを設け、この接続箱30Bの前側面30B2に第1,第2のケーブル接続口30D,30Eを設け、接続箱30Bの後側面30B3に信号線接続口30Fを設ける構成としている。これにより、第1,第2のケーブル接続口30D,30E及びこれらに接続されるケーブル36,38、信号線接続口30F及びこれに接続される信号線40Aが、接続箱30Bの上面30B1から上方に突出するのを抑え、熱交換装置上流室28に供給される冷却風の妨げになるのを抑えることができる。この結果、蓄電装置用ラジエータ42およびインバータ用ラジエータ46に対して充分な冷却風を供給することができる。
【0106】
本実施の形態による油圧ショベル1は、蓄電装置用ラジエータ42の放熱部42Cの下端部42D、およびインバータ用ラジエータ46の放熱部46Cの下端部46Dを、蓄電装置30の上端部となる接続箱30Bの上面30B1の高さ以上の高さ位置に配置する構成としている。
【0107】
これにより、冷却ファン8Aにより熱交換装置上流室28内に供給された冷却風は、蓄電装置30のケーシング30Aや接続箱30Bに妨げられることなく、蓄電装置用ラジエータ42の放熱部42C、およびインバータ用ラジエータ46の放熱部46Cに供給される。この結果、インバータ用ラジエータ46によってインバータ装置34を効率良く冷却できると共に、蓄電装置用ラジエータ42によって蓄電装置30を効率良く冷却することができる。
【0108】
なお、上述した実施の形態では、インバータ装置34として第1のインバータ35と第2のインバータ37との2個のインバータによってインバータ装置34を構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば単一のインバータによってインバータ装置を構成してもよく、あるいは3個以上のインバータによってインバータ装置を構成してもよい。
【0109】
上述した実施の形態では、インバータ用冷却システム45が、インバータ装置34と一緒に旋回電動モータ33を冷却する場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、インバータ装置34とは別に旋回電動モータ33を冷却する他の冷却システムを備える構成としてもよい。
【0110】
上述した実施の形態では、ハイブリッド式作業機として、履帯2Dを備えたクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車輪を備えたホイール式油圧ショベル、ホイールローダ、フォークリフト、ダンプトラック等の種々の作業機に広く適用することができる。