特許第6132280号(P6132280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6132280DC/DCコンバータ及びそれを搭載した表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132280
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータ及びそれを搭載した表示装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20170515BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H02M3/155 E
   H02M3/155 H
   G09G3/20 612D
   G09G3/20 611C
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-274114(P2012-274114)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2014-121164(P2014-121164A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】NLTテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100173587
【弁理士】
【氏名又は名称】西口 克
(74)【代理人】
【識別番号】100173602
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 悌二
(74)【代理人】
【識別番号】100183139
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 稜
(72)【発明者】
【氏名】大賀 功一
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−189538(JP,A)
【文献】 特開2009−291028(JP,A)
【文献】 特開2007−49854(JP,A)
【文献】 米国特許第6272024(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00−3/44
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧または降圧用のスイッチングFETを駆動するためのスイッチング回路と、
リンギング周波数変更回路を駆動するためのスイッチング回路を有し、
該昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレインにコンデンサの一端が接続され、
該コンデンサの他端はリンギング周波数変更回路用FETのドレインと接続され、
該リンギング周波数変更回路用FETのソースはGNDに接続され、
該昇圧または降圧用のスイッチングFETがONするタイミングもしくはOFFするタイミングに発生するリンギングのうちで、EMI悪化に大きく影響を与えている方のリンギング周波数成分のみリンギング周波数が低くなるようにリンギング周波数変更回路を有効にして、それ以外のタイミングではリンギング周波数変更回路は無効となるような制御回路を具備したことを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、
該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移していき、低電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、
該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移していき、高電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項4】
昇圧または降圧用のスイッチングFETを駆動するためのスイッチング回路と、
リンギング周波数変更回路を駆動するためのスイッチング回路を有し、
該昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレインにコンデンサの一端が接続され、
該コンデンサの他端はリンギング周波数変更回路用FETのドレインと接続され、
該リンギング周波数変更回路用FETのソースはGNDに接続され、
リンギング周波数変更回路を駆動するためのスイッチング回路は前記昇圧または降圧用のスイッチングFETを駆動するためのスイッチング回路を基準としてそのタイミングから所定の期間を遅延させた遅延回路で構成されており、
該昇圧または降圧用のスイッチングFETがONするタイミングもしくはOFFするタイミングに発生するリンギングのうちで、EMI悪化に大きく影響を与えている方のリンギング周波数成分のみリンギング周波数が低くなるようにリンギング周波数変更回路を有効にして、それ以外のタイミングではリンギング周波数変更回路は無効となるような制御回路を具備したことを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項5】
前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、
該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移していき、低電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする請求項4に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項6】
前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、
該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移していき、高電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする請求項4に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項7】
前記昇圧または降圧用のスイッチングFETがONするタイミングもしくはOFFするタイミングに発生するリンギングのうちで、EMI悪化に大きく影響を与えている方のリンギング周波数成分のみリンギング周波数がプリント基板の共振周波数よりも充分低くなるようにリンギング周波数変更回路を有効にして、それ以外のタイミングではリンギング周波数変更回路は無効となるような制御回路を具備したことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項8】
請求項1〜7に記載のいずれかのDC/DCコンバータを搭載したことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータ及びそれを搭載する表示装置に関し、特に、DC/DCコンバータがスイッチング回路にて構成される場合に、DC/DCコンバータの効率の低下を最小限に抑え、かつEMIも低減するDC/DCコンバータ及びそれを搭載した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型表示装置のパネルの大型化や高解像度化(高精細化)に伴い、装置内の映像信号の伝送周波数速度が上がってきている。大型化・高解像度化が進むにつれ、表示装置から発生する不要輻射(EMI:Electoromagnetic Interence)も大きくなる。
【0003】
ここでEMIの輻射源となるものに関して考えると、表示装置を駆動するための回路部品が搭載されている信号処理基板(プリント基板)上のクロック信号を出力するICやICを駆動するために必要な電源回路のノイズなどが挙げられる。
【0004】
ここでは特に電源回路がスイッチング電源で構成されている場合を考える。電源回路(DC/DCコンバータ回路)において電圧を変換する際にスイッチング方式を用いると比較的効率が良く設計できるため、スイッチング電源回路はよく使われる回路方式である。
【0005】
しかし、スイッチング電源回路は回路の構成上、必要な電圧をスイッチングして作るため、ON/OFFの切り替わる瞬間にある周波数成分を持った電圧変動(リンギング)が発生し、この電圧変動が不要ノイズを発生する原因となることが分かっている。
【0006】
また、このリンギングの不要ノイズ成分はプリント基板自身の共振周波数に大きく影響を受けて、不要ノイズ成分が増大されてしまう可能性がある。
【0007】
ここでEMIに関して、周波数毎にノイズの許容レベルに関する限度値が定められており、規程の周波数帯域において全てのノイズレベルを限度値内に収める必要がある。当然ノイズレベルは小さい方が良い。よって、次に示すように、スイッチング電源を用いた場合でもEMIを低減する技術が知られている。
【0008】
特許文献1の従来技術は、半導体光増幅型ゲートスイッチ用駆動回路、半導体光増幅型ゲートスイッチ装置及び光交換機に関するものであり、特に、インダクタの後段にダイオードを挿入してリンギング成分を低減させるというものである(図14参照)。
【0009】
しかし、ダイオードではEMIを悪化させるリンギング周波数自体を変えることはできないため、充分なEMI低減効果を得ることができないという問題がある。
【0010】
特許文献2の従来技術は、スイッチング電源装置に関するものであり、特に、インダクタ(トランス)の両端にスナバ回路を設け、スイッチング時のリンギングを低減させるというものである(図15参照)。
【0011】
しかし、本従来技術の構成では、スイッチング時に常にスナバ回路が動作するために、電源の効率を悪化させることになる。
【0012】
また、スナバ回路ではEMIを悪化させるリンギング周波数成分を充分に除くことはできないため、充分なEMI低減効果を得ることができないという問題がある。
【0013】
特許文献3の従来技術は、自励式DC/DCコンバータに関するものであり、特に、スイッチング素子のオフ期間を延ばすことで、リンギングを抑制し、低負荷時の周波数の上昇を抑えることができ、軽負荷時における効率改善に寄与することができる自励式DC/DCコンバータを提供することを特徴とする(図16参照)。
【0014】
しかし、本従来技術で述べられているリンギングとは、軽負荷時に発生する発振周波数の数倍程度のリンギングのことであり、発振周波数のON/OFF時に発生する数百〜数千倍のリンギングのことではなく、よってEMIに最も影響を与える数十〜数百MHz帯域のリンギング周波数成分を除くことはできないためEMI低減効果を得ることができないという問題がある。
【0015】
特許文献4の従来技術は、電圧駆動素子の駆動回路に関するものであり、特に、三相インバータなどの負荷と入力Vinの間にスナバ回路を設け、入力にフィードバック(F/B)をかけてスイッチング時のゲート開閉を鈍らせることでリンギングを低減させることを特徴とする(図17参照)。
【0016】
しかし、本従来技術では、本発明に対して保護用ダイオード2つとスナバ抵抗3個が余分に必要となる。
【0017】
また、本従来技術の構成ではスイッチング時にスナバ回路が動作した場合、スナバ抵抗による損失が発生するため効率悪化を招くこととなる。
【0018】
さらには、負荷の電圧変動を入力にフィードバック(F/B)してスイッチングFETのゲートの開閉を鈍らせてリンギングを除去する方法のため、このゲート開閉のタイミングで効率悪化が大きくなる。
【0019】
加えて、入力ラインに負荷のF/Bをかけることでリンギング成分を持つノイズを入力ラインに拡散してしまう可能性がある。
【0020】
特許文献5の従来技術は、適応型リンギング抑制装置に関するものである。本従来技術の構成は、遅延回路を含んだローパスフィルタ回路を用いてリンギングを低減させるというものであり(図18参照)、リンギング成分を含んだ映像信号などに映像信号処理回路でローパスフィルタを用いてリンギング成分を除去する。
【0021】
しかし、本従来技術は、リンギング発生箇所のリンギング成分を除去するものではなく、各回路を経由した結果リンギング成分が除去された出力が得られるというものである。
【0022】
すなわち、1つの遅延回路の出力にはリンギング成分が含まれたまま次段へ伝送される部分もあるため、根本的なリンギング成分は除去することができず、本従来技術の方法を応用してもEMIを低減することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2008−203784号公報
【特許文献2】特開2005−117852号公報
【特許文献3】特開2003−61355号公報
【特許文献4】特開2011−55695号公報
【特許文献5】特開平5−56306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
DC/DCコンバータがスイッチング回路にて構成される場合、スイッチングFETのON/OFFのタイミングで立ち上がりまたは立ち下がりのリンギングが発生する。このリンギング成分があると、リンギングの周波数成分がノイズ源となってEMIが悪化する。
【0025】
このリンギング成分を低減させる方法として、特許文献1の従来技術に示すような、スイッチングFETのドレイン−ソース間にダイオードを挿入しアンダーシュート成分を低減させる方法が知られている。
【0026】
ただし、ダイオードではアンダーシュート成分を低減させるだけでリンギングの周波数成分が消えるわけではなく、充分なEMI低減効果を得られない場合がある。
【0027】
すなわち、この従来例では、リンギング量を低減することはできてもそのリンギングが持っている周波数成分を充分に変更することができないため、依然としてEMIレベルを充分低減するには至っていない。
【0028】
したがって、例えば、リンギング量を低減して小さくしても、プリント基板の共振周波数と近い値となっている場合、増大される可能性がある。
【0029】
一方、周波数成分を変更する具体的な方法としては、特許文献2の従来技術に示すように、スイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサを直接挿入するのが最良の方法である。
【0030】
リンギングが発生するスイッチング電源ラインとGND間(正確にはスイッチングFETのドレイン−ソース間)にコンデンサを挿入すると伝送ラインの寄生抵抗などの抵抗成分と挿入したコンデンサによってスイッチング波形の立ち上がり/立ち下がりの時定数が変わり(スイッチング波形は矩形波であるが、矩形波の立ち上がり/立ち下がりが鈍る)、それに伴ってリンギングの周波数成分も変わる。
【0031】
しかしながら、単純にスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサを挿入してしまうと、今度はスイッチング波形自体が鈍ることによって電源(DC/DCコンバータ)の効率を大きく悪化させてしまうという問題が発生する。
【0032】
そこで、本発明では、これらの問題点を解決すべく、スイッチングFETから発生するEMIレベルを充分に低減し、かつ、電源(DC/DCコンバータ)の効率の悪化を最小限にすることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0033】
前記課題を解決するために、本発明のDC/DCコンバータは、昇圧または降圧用のスイッチングFETを駆動するためのスイッチング回路と、リンギング周波数変更回路を駆動するためのスイッチング回路を有し、該昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレインにコンデンサの一端が接続され、該コンデンサの他端はリンギング周波数変更回路用FETのドレインと接続され、該リンギング周波数変更回路用FETのソースはGNDに接続され、該昇圧または降圧用のスイッチングFETがONするタイミングもしくはOFFするタイミングに発生するリンギングのうちで、EMI悪化に大きく影響を与えている方のリンギング周波数成分のみリンギング周波数が低くなるようにリンギング周波数変更回路を有効にして、それ以外のタイミングではリンギング周波数変更回路は無効となるような制御回路を具備したことを特徴とする。
【0034】
また、前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移していき、低電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする。
【0035】
また、前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移していき、高電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする。
【0036】
一方、本発明のDC/DCコンバータは、昇圧または降圧用のスイッチングFETを駆動するためのスイッチング回路と、リンギング周波数変更回路を駆動するためのスイッチング回路を有し、該昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレインにコンデンサの一端が接続され、該コンデンサの他端はリンギング周波数変更回路用FETのドレインと接続され、該リンギング周波数変更回路用FETのソースはGNDに接続され、リンギング周波数変更回路を駆動するためのスイッチング回路は前記昇圧または降圧用のスイッチングFETを駆動するためのスイッチング回路を基準としてそのタイミングから所定の期間を遅延させた遅延回路で構成されており、該昇圧または降圧用のスイッチングFETがONするタイミングもしくはOFFするタイミングに発生するリンギングのうちで、EMI悪化に大きく影響を与えている方のリンギング周波数成分のみリンギング周波数が低くなるようにリンギング周波数変更回路を有効にして、それ以外のタイミングではリンギング周波数変更回路は無効となるような制御回路を具備したことを特徴とすることを特徴とする。
【0037】
また、前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移していき、低電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする。
【0038】
また、前記リンギング周波数変更回路はコンデンサとFETと該FETを駆動するためのスイッチング回路から構成され、該スイッチング回路の制御タイミングは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン−ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移していき、高電位に到達した時点でスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETのドレイン―ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移する期間ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となるような制御回路を具備したことを特徴とする。
【0039】
加えて、本発明のDC/DCコンバータは、前記昇圧または降圧用のスイッチングFETがONするタイミングもしくはOFFするタイミングに発生するリンギングのうちで、EMI悪化に大きく影響を与えている方のリンギング周波数成分のみリンギング周波数がプリント基板の共振周波数よりも充分低くなるようにリンギング周波数変更回路を有効にして、それ以外のタイミングではリンギング周波数変更回路は無効となるようにしていてもよい。
【0040】
さらに、前記いずれかのDC/DCコンバータを搭載したことを特徴とする表示装置としてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本発明の前記DC/DCコンバータは、リンギングの周波数成分を変えるためのコンデンサを常に稼動させるのではなく、EMI悪化に主として影響を与えている部分のリンギングの周波数成分のみを変更する制御回路を搭載したことにより、DC/DCコンバータの効率の悪化を最小限に抑え、かつEMIも低減することができる。
【0042】
特に、本発明では、スナバ抵抗や入力F/B保護用のダイオードも不要であるため、特許文献4のような従来技術に対して、部品点数の削減にも効果がある。
【0043】
これにより、リンギングの発生箇所の直近のGNDにコンデンサを用いてノイズ発生源から最小限の距離でGNDにノイズを逃がせるため、ノイズを電源ラインなどに拡散することはなく、また、スイッチングFETのゲート開閉自体を制御するものではないため、効率悪化を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施例1のリンギング周波数変更回路の構成例を示す図である。
図2】従来のスイッチング波形の例(リンギング周波数変更回路なしの場合)を示す図である。
図3】スイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサのみ挿入した回路例を示す図である。
図4】スイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサのみ挿入した場合のスイッチング波形の例を示す図である。
図5】本発明の実施例1のリンギング周波数変更回路駆動時におけるスイッチング波形の例を示す図である。
図6】本発明の実施例1のリンギング周波数変更回路駆動時におけるスイッチング波形制御方法の例を示す図である。
図7】本発明の実施例1のリンギング周波数変更回路駆動時のスイッチング波形制御方法の例を示す図である。
図8】本発明の実施例2のリンギング周波数変更回路(遅延回路)の構成例を示す図である。
図9】本発明の実施例2のリンギング周波数変更回路駆動時におけるスイッチング波形制御方法の例を示す図である。
図10】本発明の実施例2のリンギング周波数変更回路(遅延回路)の構成例2を示す図である。
図11】DC/DCコンバータ駆動条件1におけるスイッチングFETのドレイン−ソース間の各コンデンサの状態と効率悪化の例を示す図である。
図12】DC/DCコンバータ駆動条件2におけるスイッチングFETのドレイン−ソース間の各コンデンサの状態と効率悪化の例を示す図である。
図13】本発明の表示装置における全体ブロック図の例である。
図14】特許文献1の代表図である。
図15】特許文献2の代表図である。
図16】特許文献3の代表図である。
図17】特許文献4の代表図である
図18】特許文献5の代表図である
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面に基づいて本実施形態のDC/DCコンバータについて説明する。
【実施例1】
【0046】
表示装置において、表示装置を駆動するためのドライバICやタイミングコントローラなどの各種ICの電源を生成するために、1つの入力電圧を受けて各種複数のICの電源を生成する電源回路(DC/DCコンバータ)が用いられる。表示装置全体のブロック図を図13に示す。
【0047】
このDC/DCコンバータの構成に関して、一般的に昇圧回路や降圧回路であればインダクタ4(L)、整流ダイオード6(D)、電界効果トランジスタ(FET)、平滑コンデンサ(C)などの部品あるいは素子から構成される。
【0048】
図1に示すDC/DCコンバータ回路(昇圧回路)において、
入力電圧=VIN
出力電圧=VOUT
として説明する。
【0049】
図1において、本発明にDC/DCコンバータは、信号入力端子VIN2に直列接続されたインダクタ4、整流ダイオード6を有し、VIN2の出力は、DC/DC発振IC16の入力SINに連結される。インダクタ4の他端には、整流ダイオード6の他にスイッチングFET10のドレインとコンデンサ−R12とが連結される。
【0050】
整流ダイオード6の出力は、VOUT8の他に、平滑コンデンサ14とF/B検知DeviderR1(20)に連結される。コンデンサ−R12の他端は、FET−R18のドレインに連結される。
また、スイッチングFET10のソースと、FET−R18のソース及び平滑コンデンサ14の他端がGNDに接地される。F/B検知Deviderの抵抗R1(20)の他端は、F/B検知Deviderの抵抗R2(22)と、DC/DC発振IC16のF/B端子23に連結される。
【0051】
一方、DC/DC発振IC16は、スイッチング回路1(24)とスイッチング回路2(26)と、スイッチングタイミング制御回路28を備え、スイッチングタイミング制御回路28は、スイッチング回路1(24)とスイッチング回路2(26)にそれぞれ連結される。
また、スイッチング回路1(24)の出力SOUT1は、スイッチングFET10のゲートに連結され、スイッチング回路2(26)の出力SOUT2は、スイッチングFET10のゲートに連結される。
【0052】
DC/DCコンバータの動作としては、入力電圧VIN2が入力されるとインダクタ4でエネルギーを充電し、発振IC16のスイッチング回路1(24)にて決められた周期でスイッチングFETのゲートを開き、昇圧ラインのON−OFFが繰り返されて昇圧回路構成であれば入力よりも高い電圧が生成され、整流ダイオード6で一方向に電流が流れるよう整流され、平滑コンデンサ14にて安定した電圧を得て出力電圧として出力される。
【0053】
また、出力電圧が想定している電圧よりも高くならないようにするために出力電圧を常に監視し、フィードバック(F/B)電圧として出力電圧の分圧値を発振IC16へ戻し、発振IC16中に存在するエラーアンプで出力電圧値をモニタし、出力電圧が高くなった場合は低くなるように、また出力電圧が低くなった場合は高くなるように発振IC16にて調整され、常に想定した一定電圧が得られるような回路構成となっている。
【0054】
ここで、前記の回路構成においてスイッチングFET10のON/OFF時に電圧が急激に変化するため、電圧のアンダーシュートやオーバーシュートが発生し、それに伴ってリンギング(アンダーシュート/オーバーシュートが収束するまでに発生する電圧変動)が発生する。
【0055】
発生するリンギングの周波数成分を変更するためのコンデンサをスイッチングFET10のドレイン(Drain)−ソース(Source)間(以下D−S間とする)に挿入するのであるが、単にコンデンサをスイッチングFETのソース−ドレイン間に挿入しただけではスイッチング波形の立ち上がり時と立ち下がり時いずれも場合においてもコンデンサが常時稼動していることとなり、スイッチング波形が鈍ることによって電源(DC/DCコンバータ)の効率が悪化する。
【0056】
そこで、EMIの悪化に主として影響を与えているリンギング周波数成分のみを変更させるのに必要な期間だけスイッチングFETのD−S間のコンデンサを稼動させるように制御するため、リンギング周波数変更回路30とそれを駆動するためのスイッチング回路2(26)を設ける(図1参照)。
【0057】
このリンギング周波数変更回路30は、図1に示すとおり、FET−R18とコンデンサ−R12とスイッチング回路2(26)で構成される。
【0058】
次に、プリント基板のEMI輻射に関して説明する。DC/DCコンバータの発振回路部の立ち上がり、立ち下がりにリンギング周波数成分を持ったプリント基板は、プリント基板の共振周波数とリンギング周波数成分が一致するような場合に大きな輻射を発生することがあり、特に、それが2層基板のようにGND面積が充分に確保できない場合や、周辺の構造(筐体板金など)との干渉により輻射が増幅される場合がある。
【0059】
ここで、EMI輻射を増大させないために重要なこととして、リンギング周波数成分をプリント基板の共振周波数帯域からずらすということが挙げられる。
【0060】
一般的にプリント基板の共振周波数fmnは下記の式(a)で表される。
[数1]
fmn ={c/(2π√(εr))}×√((mπ/a)+(nπ/b))・・・式(a)
c : 光速 3.0×10(m/s)
εr : プリント基板の誘電率
a : プリント基板の横方向長
b : プリント基板の縦方向長
m,n: 整数
【0061】
また、プリント基板の共振周波数は式(a)から周波数値として算出されるが、これはピーク値(最も共振が大きくなる点)であり、その共振周波数を中心としてある程度の幅(fbとする)を持っている。
【0062】
本来発生するリンギング周波数frが、下記式(b)のようにプリント基板の共振周波数帯域fmn±fbの範囲内にある場合大きな輻射が発生することとなる。
[数2]
fmn−fb<fr<fmn+fb ・・・式(b)
【0063】
また、本来発生するリンギング周波数をfrとし、本発明によりコンデンサを稼動させることで変更されるリンギング周波数をfrcとすると、コンデンサが稼動することで波形が鈍るため、リンギング周波数は低くなる方向へ変更される。その周波数を下記の式(c)で表す。
[数3]
frc<fr ・・・式(c)
【0064】
ここで、もし式(b)が成り立っていてかつそれが起因で大きな輻射が発生している場合は、リンギング周波数を下記式(d)が成り立つように変更すればよい。
[数4]
frc<fmn−fb ・・・式(d)
【0065】
このようにして、プリント基板の共振周波数帯域とリンギング周波数成分の周波数帯をずらすことにより、EMI輻射を低減することができる。
【0066】
次に、実施例1の構成について図1を用いて説明する。本発明の構成は昇圧型のDC/DCコンバータを例として、まず電源が入力されるとスイッチング回路1(24)が駆動を開始し、スイッチングFET10を駆動し、入力電圧よりも高い電圧が出力電圧として生成される。
【0067】
各回路素子の具体的な動作に関しては、入力電圧VIN2が入力されるとインダクタ4でエネルギーを充電し、発振IC16のスイッチング回路1(24)にて、決められた周期でスイッチングFET10のゲートを開き、昇圧ラインのON−OFFが繰り返されて昇圧回路構成であれば入力よりも高い電圧が生成され、整流ダイオード6で一方向に電流が流れるよう整流され平滑コンデンサ14にて安定した電圧を得て出力電圧として出力される。
【0068】
また、出力電圧が想定している電圧よりも高くならないようにするために出力電圧を常に監視し、フィードバック(F/B)電圧として出力電圧の分圧値(出力電圧値をF/B検知Deviderの抵抗R1(20)と抵抗R2(22)で分圧したもの)をDC/DCコンバータ発振IC16へ戻し、図示しない発振IC16中に存在するエラーアンプで出力電圧値をモニタし、出力電圧が高くなった場合は低くなるように、また出力電圧が低くなった場合は高くなるように発振IC16にて調整され、常に想定した一定電圧が得られるような回路構成となっている。
【0069】
ここで、本発明の特徴として、スイッチングFET10のD−S間に設けられたコンデンサを決められた期間のみ有効にするためにリンギング周波数変更回路30が設けられている。
【0070】
このリンギング周波数変更回路30は、例えば図1に示されるように、コンデンサ−R12、FET−R18、スイッチング回路2(26)から構成される。
【0071】
次に、実施例1の動作について、図1〜7を用いて説明する。図1に示すように、VIN2の電圧が入力されDC/DCコンバータ発振IC16が動き始めると、まずスイッチングFET10をON/OFFさせるためのスイッチング回路1(24)が駆動し、一定の周期で発振波形(矩形波)を発生し、スイッチングFETがON/OFFを開始する。
【0072】
ここで、リンギング周波数を変更しない、つまり通常のDC/DCコンバータの駆動をした場合について考える。
【0073】
スイッチング回路1(24)によってスイッチングFET10の動作は高電圧とGNDを瞬間的にON/OFFされるため、スイッチング波形の立ち下がり時または立ち上がり時にアンダーシュートやオーバーシュートの電圧変動が発生する(図2参照)。
【0074】
この電圧変動は、所定の電圧(出力電位またはGND電位)に収束するまで電圧変動を繰り返す。この電圧変動がリンギングであり、このリンギングにEMIを悪化させる周波数成分が含まれているとEMIの悪化を招く原因となる。
【0075】
この例では、図2に示すように、スイッチング波形の立ち下がり時にEMI悪化に大きな影響を与える周波数成分が含まれているものとして説明する。
【0076】
次に、EMIの悪化を低減するために、このリンギング周波数をプリント基板の共振周波数またはEMI放射の規格周波数(VCCIでは30MHz以下)から充分にずらすことを目的としてスイッチングFET10のD−S間に単純にコンデンサ31のみを挿入した場合を考える(図3参照)。
【0077】
この時のスイッチング波形の動作を図4に示す。図4に示すとおり、コンデンサの挿入によって立ち下がりのリンギング周波数は小さくなる方向へ変更されるが、同時に立ち上がりの波形の鈍りが大きくなることが分かる。
【0078】
このスイッチング波形の動作ではEMIの輻射周波数を小さい方向へ変更することが可能であるが、同時に立ち上がり波形が鈍るためDC/DCコンバータの効率を悪化させることとなる。
【0079】
したがって、効率悪化を極力少なくし、かつEMIレベルも充分低減できることが理想であるため、図5に示すような動作を実現できる回路構成が望ましい。また、これを実現するための制御方法について図6に示す。
【0080】
ここでは、まず、スイッチングFET10のドレイン側の電圧が高い電圧からGNDレベルに下がる(スイッチングFETがONする)場合に、スイッチングFETのD−S間のコンデンサを有効にしてリンギング周波数を小さい方へ変更し、スイッチングFETのドレイン側の電圧がGNDレベルから高い電圧に上がる(スイッチングFETがOFFする)場合には、スイッチングFET10のD−S間のコンデンサを無効にして立ち上がりのタイミングではスイッチング波形を鈍らせないように制御している。
【0081】
また、スイッチング回路の制御タイミングは、昇圧(降圧)用のスイッチングFET10のドレイン−ソース間電圧が高電位側から低電位側へ遷移していき、低電位に到達した時点、すなわち、スイッチング波形の立ち下がりにおいてGNDレベルに到達した時点で、スイッチングFET10のドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、昇圧(降圧)用のスイッチングFET10が低電位側から高電位側へ遷移する期間(スイッチング波形の立ち上がり期間)ではスイッチングFET10のドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となる。
【0082】
この例では、スイッチング波形の立ち上がり時にはEMI悪化に影響を与える周波数成分は含んでいないとする。また、当然ながらEMI悪化に関係のないリンギング周波数成分は変更しなくて良いものとする。
【0083】
また、立ち下がりのスイッチング波形も極力鈍らせないようにするために、図7に示すような制御方式を用いてGNDレベル直近でスイッチングFETのD−S間のコンデンサを有効にする方法でも良く、この方法ではさらに効率悪化を小さくすることが可能である。
【0084】
なお、これまではスイッチング波形の立ち下がりにEMIを悪化させる周波数成分が含まれているものとして説明してきたが、スイッチング波形の立ち上がりにEMIを悪化させる周波数成分が含まれている場合には、前述と同じ考えで立ち上がり時のみスイッチングFETのD−S間のコンデンサが有効となるようにスイッチング回路2(26)を動作させればよい。
【0085】
この場合のスイッチング回路の制御タイミングは、昇圧(降圧)用のスイッチングFET10のドレイン−ソース間電圧が低電位側から高電位側へ遷移していき、高電位に到達した時点、すなわち、スイッチング波形の立ち上がりにおいてVOUTレベルに到達した時点でスイッチングFET10のドレイン−ソース間にコンデンサが接続された状態となり、昇圧(降圧)用のスイッチングFET10が高電位側から低電位側へ遷移する期間(スイッチング波形の立ち下がり期間)ではスイッチングFETのドレイン−ソース間にコンデンサが接続されていない状態となる。
【0086】
ここで、リンギング周波数をどの程度まで小さく変更すればEMIレベルが充分に低減できるかに関して説明する。
【0087】
まずは、リンギング周波数成分をプリント基板の共振周波数帯域から充分にずらすということと、さらにはEMI放射規格の周波数帯域(例えば、VCCIでは30MHz以下)からずらすということである。
【0088】
プリント基板の共振周波数に関して、具体的にεr=4.5、a=436(mm)、b=89.1(mm)という特性を持ったプリント基板を一例として考えてみると、このプリント基板の共振周波数fmnは式(a)から162MHzと計算できる。
【0089】
したがって、リンギング周波数はプリント基板の共振周波数のピーク値である162MHzよりも充分小さい周波数となるように変更する必要がある。
【0090】
実際に何MHzまでずらせば良いかは、プリント基板の共振周波数のスペクトル幅やその他の条件(プリント基板のGND面積やプリント基板に対するフレームGNDの条件など)にも関係するため、EMI評価時に充分にEMIレベルを低減できるコンデンサの定数を選定すればよい。
【0091】
この規模の基板を例にとると、昇圧回路部のスイッチングFETのD−S間におよそ1000pF以上のコンデンサを挿入することで昇圧回路部のスイッチング起因によるEMIレベルを充分に低減することが可能である。すなわち、後述の表2に示されているが、1000pFのコンデンサ挿入で200MHz程度あったリンギング周波数が45MHz程度まで小さくなっているため充分な値である。
【0092】
このようにしてDC/DCコンバータを駆動させた場合に発生するEMIに悪影響を与えるリンギングの周波数成分を効果的に変更することで、効率悪化を最小限にしてEMIを低減させることができる。
【0093】
実施例1の具体的な効果について説明する。前述の説明のとおり、スイッチングFETのD−S間に挿入するコンデンサ容量に関して、単純に挿入しただけではDC/DCコンバータの効率が悪化することになる。
【0094】
以下に、スイッチングFETのD−S間に単純にコンデンサを挿入した場合、コンデンサを挿入しない場合、本発明の制御方式を用いて制御した場合のDC/DCコンバータの効率を比較した結果を示す。ちなみに、この場合の発振周波数は740kHzである。
【0095】
[表1]DC/DCコンバータ駆動条件1
【表1】
【0096】
[表2]スイッチングFET(D−S間)コンデンサ容量とDC/DCコンバータ効率比較表1
【表2】
【0097】
前記表1の条件で駆動されるDC/DCコンバータ(液晶表示装置用)において、コンデンサの各種状態にて効率を測定した結果を表2に示している。
【0098】
表2のスイッチングFET(D−S間)にコンデンサの状態に関して、コンデンサなしとはスイッチングFET(D−S間)にコンデンサがない状態、コンデンサ常時稼動というのは図3で示される回路構成のことを表し、スイッチングFET(D−S間)に単純にコンデンサを挿入しただけの状態を指し、コンデンサ制御ありとは本発明の実施例1で説明されている図1の回路構成のことを指している。
【0099】
前述の各回路構成におけるDC/DCコンバータの効率悪化については、グラフ化したものを図11に示す。
【0100】
表2及び図11から分かるとおり、コンデンサなしの状態と比較して単純にスイッチングFETのD−S間にコンデンサを挿入しただけの場合(コンデンサ常時稼動)のDC/DCコンバータの効率は560pFで0.4%、1000pFで0.8%、1500pFで1.4%、2200pFで2.2%悪化する。当然容量が大きいほど効率悪化も大きくなる。
【0101】
一方で、コンデンサを必要な期間のみ駆動するように制御したもの(コンデンサ制御あり)は、いずれも0.1%程度の効率悪化で済んでいることが分かる。
【0102】
また、表2にリンギング周波数成分(代表値)を載せているが、スイッチングFETのON/OFFによって発生するリンギング周波数成分は多数あり、故にベースノイズとして広い帯域幅(ベースノイズは通常数十MHz〜数百MHz程度の広い帯域に渡って発生する)で発生するのであるが、これがコンデンサを挿入することで小さくなっていることも確認できる。
【0103】
このようにして、スイッチングFETのD−S間のコンデンサを必要な期間のみ有効にすることによって効率悪化を最小限とし、EMIに影響を与えるリンギング周波数成分を効果的に変更することが可能となる。
【0104】
表1の実験結果の例では、入力電圧に対して昇圧回路で生成される出力電圧差が14.55V/10.6V=1.37倍とそれほど電圧差が大きくなかったため、1000pFをスイッチングFETのD−S間に単純に挿入した場合でも0.8%程度の効率悪化としかならなかったが、例えばこの電圧差がもっと大きい場合、さらにはスイッチング周波数がさらに高い場合などは、コンデンサを単純に挿入しただけでは効率悪化が顕著となる。
【0105】
表3に、DC/DCコンバータの昇圧回路の出力電圧と入力電圧の差が大きい場合に関して、スイッチングFETのD−S間に単純にコンデンサを挿入した場合の効率悪化の例を示す。ちなみに、この場合の発振周波数は1350kHzである。
【0106】
[表3]DC/DCコンバータ駆動条件2
【表3】
【0107】
[表4]スイッチングFET(D−S間)コンデンサ容量とDC/DCコンバータ効率比較表2
【表4】
【0108】
今度は、DC/DCコンバータの出力電圧と入力電圧の差が12.0V/3.3V=3.64倍の場合の効率の測定結果を示す。また、図11と同様に効率悪化の様子を示すグラフを図12に示す。
【0109】
表4及び図12から分かるように、スイッチングFETのD−S間に単純に560pFを挿入しただけでは4.9%悪化することが分かる。2200pF挿入時は16.7%も悪化することとなる。一方で、コンデンサ制御ありの回路構成における効率悪化は560pF挿入時に1.1%、2200pF挿入時では2.2%に収まっていることが分かる。
【0110】
よって、DC/DCコンバータの昇圧回路で生成される出力電圧が入力電圧よりも大きい場合、効率悪化が顕著となり、本発明の効果がより有効となることが分かる。
【0111】
DC/DCコンバータのスイッチング波形のリンギング周波数成分は、前述のとおりEMIのベースノイズを悪化させる可能性があり、ピークノイズなどに重畳するとEMIの規格を逸脱する可能性もある。
【0112】
表示装置はEMI規格を満足していることが必要条件であるため、EMIを対策した結果、DC/DCコンバータの効率悪化を招いてしまうと消費電流の増大を招くだけではなく、突入電流の増大やDC/DCコンバータの部品のディレーティングなどにも悪い影響を与える可能性があるため、効率の悪化は最小限にすべきである。よって、本発明のように効率悪化を最小限にしてEMIを低減することは有効である。
【実施例2】
【0113】
実施例1では、タイミング制御回路28を用いてスイッチング回路1(24)とスイッチング回路2(26)を制御し、リンギング周波数変更回路30を駆動させる例について示したが、実施例2では、タイミング制御回路28ではなく単なる遅延回路を用いて構成した例を示す。
【0114】
図8に回路構成図を示す。この動作は、図9に示すように、スイッチング回路のタイミングを用いてそこから遅延させた波形を作るものである。
【0115】
図1と異なる点を中心に説明する。図8について、図1に示す実施例1との最大の違いは、DC/DC発振回路IC(昇圧用)34が異なっている。DC/DC発振回路IC(昇圧用)34は、スイッチング回路2(26)に代わり、遅延制御回路(32)が配置される。遅延制御回路(32)は、FET−R18を駆動する。
【0116】
実施例2の遅延制御回路32の構成では、実施例1で説明したようなスイッチング回路を2系統用意する必要はなく、簡単な回路構成で実現可能である。また、この遅延制御回路32は、DC/DCコンバータ発振IC16の内部に持たなくてもよく、外部回路として構成することもできる(図10参照)。
【0117】
汎用ロジックICを用いて遅延制御回路32を構成したり、表示装置であれば通常タイミングコントローラを具備しているため、タイミングコントローラの中に遅延制御回路32のロジックを持たせることで実現可能である。
【0118】
外部回路にて構成する場合、回路構成の汎用性が上がるという利点もある。他は実施例1と同様である。
【0119】
次に、実施例1では、タイミング制御回路28を用いてスイッチング回路1(24)とスイッチング回路2(26)を制御し、リンギング周波数変更回路30を駆動させる例を示したが、実施例2の構成は、スイッチング回路を1つのみで構成し、FET−R18を駆動するスイッチング波形はスイッチング回路を遅延させた波形で駆動する。この部分が実施例1と異なる部分であり、他の構成は実施例1を同じである。
【0120】
この遅延制御回路32は、図8のようにDC/DCコンバータ発振IC16の内部で構成しても良いが、DC/DCコンバータ発振IC16の外部で(外部回路)で構成しても良い(図10参照)。
【0121】
外部回路で構成する場合、汎用ロジックICを用いて遅延制御回路32を構成したり、表示装置であれば通常タイミングコントローラを具備しているため、タイミングコントローラの中に遅延制御回路32のロジックを持たせることで実現可能である。
【0122】
タイミングコントローラ内部に持たせる場合の具体的な方法は、スイッチング回路にて出力される波形をタイミングコントローラの入力電圧規格を満たすように調整して(簡単に実現するには抵抗分圧など)タイミングコントローラにスイッチング回路と同一タイミングの波形を入力し、タイミングコントローラ内部でカウンタロジック等を用いて遅延量を設定し、その遅延された波形をタイミングコントローラから出力してFET−R18のゲートに入力すれば良い。他の構成は実施例1と同様である。
【0123】
次に、図9を用いて実施例2の動作について説明する。実施例1では、スイッチングタイミング制御回路28を用いてスイッチング回路1(24)とスイッチング回路2(26)の出力タイミングを制御していたが、実施例2では、スイッチング回路は1系統のみで遅延制御回路32を用いる(図8参照)。
【0124】
まず、スイッチングFETを駆動するためのスイッチングFETゲート波形がスイッチング回路から出力される。この波形を基準にして遅延制御回路32で所定のタイミングを遅延させ、図9の上段に示すようなリンギング周波数変更回路FETゲート波形を生成する。この波形を用いてFET−R18を駆動し、有効期間にコンデンサ−R12を有効にし、無効期間にコンデンサ−R12を無効とすることができる。
【0125】
このようにして、必要な期間のみコンデンサ−R12を有効にすることで、DC/DCコンバータの効率悪化を最小限としてEMIを低減することが可能となる。他の動作は実施例1と同様である。
【0126】
実施例2の効果としては、まず、実施例1の効果と同様にDC/DCコンバータの効率悪化を最小限としてEMIを低減することが可能である。さらに遅延制御回路部をDC/DCコンバータ発振IC16の外部に持つことにより、回路構成の汎用性が上がる(DC/DCコンバータ発振IC16にスイッチング回路2(26)を持っていない場合でも構成可能)という利点もある。
【符号の説明】
【0127】
2 VIN
4 インダクタ
6 整流ダイオード
8 VOUT
10 スイッチングFET
12 コンデンサ−R
14 平滑コンデンサ
16 DC/DC発振IC
18 FET−R
20 抵抗R1
22 抵抗R2
23 F/B端子
24 スイッチング回路1
26 スイッチング回路2
28 スイッチングタイミング制御回路
30 リンギング周波数変更回路
31 コンデンサ
32 遅延制御回路
34 DC/DC発振IC
36 遅延制御回路
38 DC/DC発振IC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18