特許第6132284号(P6132284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132284
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】スペーサ
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   H01M2/10 G
   H01M2/10 S
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-113692(P2013-113692)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-232679(P2014-232679A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】小川 友輔
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−030384(JP,A)
【文献】 特開2013−012466(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/173233(WO,A1)
【文献】 特開2007−048637(JP,A)
【文献】 特開2010−123412(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/128949(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ板状をなす第1フレーム及び第2フレームと、前記第1フレームの板面及び前記第2フレームの板面の間に配設された複数の電池とを備えた電池モジュールであって、前記第1フレームが、前記電池モジュールの一方の側部に配置され、前記複数の電池よりも突出した上端縁及び下端縁を有し、前記第2フレームが、前記第1フレームとは反対側の前記電池モジュールの他方の側部に配置され、前記複数の電池よりも突出した上端縁及び下端縁を有し、前記第1フレームの上端縁及び下端縁の形状と前記第2フレームの上端縁及び下端縁の形状とがそれぞれ異なっている、電池モジュールを複数個重ねる際に、下側に位置する前記電池モジュールの前記第1フレームの上方に上側に位置する前記電池モジュールの前記第1フレームが位置付けられ、下側に位置する前記電池モジュールの前記第2フレームの上方に上側に位置する前記電池モジュールの前記第2フレームが位置付けられるように配置された各電池モジュールの間に配設されるスペーサにおいて、
角棒状をなし、その上面に設けられた上溝部と、その下面に設けられた下溝部とを備え、
前記上溝部は、上側に位置する前記電池モジュールの第1フレームの下端縁を嵌合可能な形状の第1上溝と、上側に位置する前記電池モジュールの第2フレームの下端縁を嵌合可能な形状の第2上溝とを含み、
前記下溝部は、下側に位置する前記電池モジュールの第1フレームの上端縁を嵌合可能な形状の第1下溝と、下側に位置する前記電池モジュールの第2フレームの上端縁を嵌合可能な形状の第2下溝とを含んでおり、
上側に位置する前記電池モジュールの前記第1フレームの下端縁を前記第1上溝に嵌合させ、下側に位置する前記電池モジュールの前記第1フレームの上端縁を前記第1下溝に嵌合させ、上側に位置する前記電池モジュールの前記第2フレームの下端縁を前記第2上溝に嵌合させ、下側に位置する前記電池モジュールの前記第2フレームの上端縁を前記第2下溝に嵌合させる、
ことを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記電池モジュールは、設置されるべき位置への位置決めに用いられる位置決め用凸部を有しており、
前記第1上溝、前記第2上溝、前記第1下溝及び前記第2下溝における前記位置決め用凸部に対応する部分には、前記位置決め用凸部を受入可能な受入凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサに関し、詳しくは、複数のモジュールを積み重ねて構成される装置における各モジュール間に配置されるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器の内部には、種々の装置が組み込まれている。通常、これらの装置は、複数のモジュールが互いに積み重ねられて構成され、電気機器内に収容されている。
上記したようなモジュールは、単純に積み重ねたのでは安定性に欠けるので、一般的に、各モジュールの間にはスペーサが配置される。
【0003】
ここで、電気機器に搭載される装置としては、例えば、バックアップ電源に使用される電池パック装置がある。この電池パック装置は、多数の汎用電池が並列又は直列に接続され所定の電圧及び容量を出力可能とした電池モジュールが、用途に合わせて複数個組み合わされることにより形成されている。この電池モジュールにおいて各汎用電池は、ケースに収容される、又は、一対のフレームの間に挟持されるような態様で固定されている。このような電池モジュールは、例えば、スペーサを介して積層され、電池パック装置に形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/073415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の電池パック装置の場合、ケースとケースの間のスペーサは、それぞれ連結部材にねじ止めされている。この場合、部品点数が多く、ねじ止めにより組立工数も増えるので、生産効率が低い。
また、一対のフレームを用いる電池モジュールの場合、フレームにおけるスペーサと接する部分の形状が、一方の側のフレームと他方の側のフレームとで異なるものがある。この場合、それぞれのフレームに対応した形状のスペーサを準備しなければならず、部品の種類が増え、製造コストの増加を招く。
【0006】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、電池パック装置の製造において、部品の点数及び種類の低減が図れ、且つ、組み立て工数の削減も図れるスペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば、それぞれ板状をなす第1フレーム及び第2フレームと、前記第1フレームの板面及び前記第2フレームの板面の間に配設された複数の電池とを備えた電池モジュールを複数個重ねる際に、各電池モジュールの間に配設されるスペーサにおいて、角棒状をなし、その上面に設けられた上溝部と、その下面に設けられた下溝部とを備え、前記上溝部は、上側に位置する前記電池モジュールの第1フレームの下端縁を嵌合可能な形状の第1上溝と、上側に位置する前記電池モジュールの第2フレームの下端縁を嵌合可能な形状の第2上溝とを含み、前記下溝部は、下側に位置する前記電池モジュールの第1フレームの上端縁を嵌合可能な形状の第1下溝と、下側に位置する前記電池モジュールの第2フレームの上端縁を嵌合可能な形状の第2下溝とを含んでいることを特徴とするスペーサが提供される。
【0008】
本発明のスペーサは、一つの部材の中に第1上溝、第2上溝、第1下溝及び第2下溝を備えている。本発明のスペーサの具体的な使い方としては、まず、同形状の本発明のスペーサを2本準備する。そして、一本のスペーサにおいては、第1フレームの下端縁を第1上溝に嵌合させ、第1フレームの上端縁を第1下溝に嵌合させる。もう一本のスペーサにおいては、第2フレームの下端縁を第2上溝に嵌合させ、第2フレームの上端縁を第2下溝に嵌合させる。このように、本発明のスペーサは、一種類のスペーサで、第1フレーム及び第2フレームの両方に対応が可能であり、部品点数を少なくすることができる。
また、本発明のスペーサは、第1フレーム及び第2フレームの各端縁を嵌合可能なので、個々に連結部材を介してねじ止めする必要がなく、組立工数を少なくすることができる。
【0009】
また、前記電池モジュールは、設置されるべき位置への位置決めに用いられる位置決め用凸部を有しており、前記第1上溝、前記第2上溝、前記第1下溝及び前記第2下溝における前記位置決め用凸部に対応する部分には、前記位置決め用凸部を受入可能な受入凹部が設けられている態様とすることが好ましい。
【0010】
この態様のスペーサによれば、電池モジュールに位置決め用凸部が形成されていても、スペーサの第1上溝、第2上溝、第1下溝及び第2下溝における前記位置決め用凸部に対応する部分には、この位置決め用凸部を受入可能な受入凹部が設けられているので、かかる位置決め用凸部が上溝又は下溝の溝底と局部的にぶつかりあうことは抑制され、電池モジュールを安定的に積み重ねることができ電池パック装置の組立が容易となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電池パック装置の製造において、部品の点数及び種類の低減が図れ、且つ、組み立て工数の削減も図れるスペーサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る電池パック装置を示した斜視図である。
図2】実施形態に係る電池パック装置を分解して示した斜視図である。
図3図1中の矢印B方向に見た電池パック装置の側面図である。
図4図1中の矢印C方向に見た電池パック装置の側面図である。
図5図4中のV−V線に沿った断面図である。
図6】実施形態に係るスペーサを図2中の矢印D方向に見た状態を示した端面図である。
図7】実施形態に係るスペーサを図2中の矢印E方向に見た状態を示した上面図である。
図8】実施形態に係るスペーサを図2中の矢印F方向に見た状態を示した右側面図である。
図9】実施形態に係るスペーサを図2中の矢印G方向に見た状態を示した下面図である。
図10】実施形態に係るスペーサを図2中の矢印H方向に見た状態を示した左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るスペーサ2を適用した電池パック装置4を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示したように、電池パック装置4は、2個の電池モジュール6,6が、角棒状のスペーサ2,2を介して積み重ねられて形成されている。なお、角棒状とは、横断面の形状が矩形状をなす長尺の棒状の形態をいう。
【0015】
この電池パック装置4は、電気機器内の収容スペースに収容される。通常、収容スペースは、所定面積の床面と、この床面の所定位置に設けられた支柱と、この支柱に取り付けられた押さえ板を含んでいる。そして、電池パック装置4は、収容スペースの床面に載置され、押さえ板により上から押さえられて固定されている。
【0016】
次いで、電池モジュール6の形態について以下に説明する。
電池モジュール6は、図2に示すように、複数の組電池8が第1フレーム10及び第2フレーム12の間に並べられ、これら第1フレーム10及び第2フレーム12に挟持されることにより形成されている。
【0017】
組電池8は、汎用のAAサイズのニッケル水素二次電池(以下、単位電池という)が2個一組で並列に並べられ外装フィルムにより包み込まれることにより一体化されてなる。これら単位電池は、互いに正極端子側と負極端子側とが逆となるように並べられており、図示しないリードにより、一方の単位電池の負極端子と他方の単位電池の正極端子とが電気的に直列に接続されている。そして、一方の単位電池の正極端子及び他方の単位電池の負極端子は外装フィルムから露出している。このような組電池8は、18個準備され、互いの胴部が接するように並べられて組電池8の集合体に形成されている。このとき、各組電池は、図2から明らかなように、矢印A方向に傾いた状態で並べられている。そして、これら組電池8は、第1フレーム10及び第2フレーム12により挟持され固定されている。
【0018】
第1フレーム10は、図2において左側に位置しており、略長方形状をなす板状体である。この第1フレーム10には、図2から明らかなように、組電池8側の内面14に断面が略三角形状の押さえ突起16が複数設けられている。この押さえ突起16は、組電池8と組電池8との間の所定位置に位置付けられ、組電池8と接する部分が組電池8の外周縁の一部に沿う形状をなしており、これら組電池8が電池モジュール6の上下方向にずれることを抑える働きをなしている。更に、図2から明らかなように、第1フレーム10の長手方向の両端近傍には、端部ストッパ18が形成されている。この端部ストッパ18は、組電池8の胴部の外周縁に合致した形状をなした枠であり、最端部に位置する組電池8が電池モジュール6の前後方向にずれることを抑える働きをなしている。
【0019】
ついで、第2フレーム12は、図2において右側に位置しており、略平行四辺形状をなす板状体である。この第2フレーム12にも、第1フレーム10と同様に、押さえ突起16及び端部ストッパ18が設けられている。この第2フレーム12の押さえ突起16は、第1フレーム10の押さえ突起16と同形状をなしており、第1フレーム10の押さえ突起16に対向する位置に位置付けられている。また、第2フレーム12の端部ストッパ18も、第1フレーム10の端部ストッパ18と同形状をなしており、第1フレーム10の端部ストッパ18に対向する位置に位置付けられている。
【0020】
上記したような第1フレーム10及び第2フレーム12は、対向配置されることにより、お互いの押さえ突起16及び端部ストッパ18が相対する位置に位置付けられ、これにより、第1フレーム10の押さえ突起16及び端部ストッパ18と、第2フレーム12の押さえ突起16及び端部ストッパ18とは、協働して組電池8の位置決めを行う。
【0021】
上記したように組電池8が所定位置に位置決めされた第1フレーム10及び第2フレーム12は、連結具20により連結されている。この連結具20は、長手方向に延びる中心貫通孔を有する中空の円筒部材22と、この中心貫通孔に挿通されたボルト24と、このボルトに螺合されたナット26とからなる。この円筒部材22は、上記した組電池8の長手方向の長さと略同じ長さであり、第1フレーム10及び第2フレーム12の所定位置に設けられたボルト挿通孔に対応する位置に配置される。上記したボルト24は、第2フレーム12側のボルト挿通孔側から、連結具20の中心貫通孔を介して第1フレーム10側の貫通孔に挿通される。そして、第1フレーム10側のボルト挿通孔から突出したボルト24の先端にはナット26が螺合されている。これにより、第1フレーム10及び第2フレーム12が互いに近付く方向に付勢され各組電池8が挟持されて電池モジュール6が形成される。
【0022】
ここで、第1フレーム10及び第2フレーム12の間に挟持され、所定位置に配置されている各組電池8は、第1フレーム10又は第2フレーム12に設けられたフレームリード(図示せず)により電気的に直列に接続されている。また、第2フレーム12には、図2に示すようにコネクタ用切欠28が設けられている。このコネクタ用切欠28の部分の内部に雌コネクタ(図示せず)が配設されており、この雌コネクタには上記したフレームリード(図示せず)が電気的に接続されている。そして、この雌コネクタには、雄コネクタ(図示せず)が差し込まれ、コネクタ用切欠28からは雄コネクタに接続されたリード線(図示せず)が引き出される。電池モジュール6においては、この雄コネクタ及びリード線を介して電気の入出力が行われる。
【0023】
電池モジュール6は、上記したように、一方の側部に第1フレーム10が、他方の側部に第2フレーム12がそれぞれ位置付けられている。そして、この電池モジュール6を側面視した際、組電池8の集合体は、これら第1フレーム10及び第2フレーム12に隠れている(図3図4参照)。つまり、これら第1フレーム10及び第2フレーム12は、組電池8の集合体よりも突出している。詳しくは、図5の断面図に表されているように、組電池8の断面において、胴部30の上端を胴部上端32、胴部30の下端を胴部下端34とした場合に、第1フレーム10及び第2フレーム12の上端縁36,38は胴部上端32よりも上方へ僅かに突出し、第1フレーム10及び第2フレーム12の下端縁40,42は胴部下端34よりも下方へ僅かに突出している。より詳しくは、第1フレーム10は、その上端縁(以下、第1上端縁という)36が組電池8の胴部上端32よりも上側に突出し、その下端縁(以下、第1下端縁という)40が組電池8の胴部下端34よりも下側に突出している。また、第2フレーム12は、その上端縁(以下、第2上端縁という)38が組電池8の胴部上端32よりも上側に突出し、その下端縁(以下、第2下端縁という)42が組電池8の胴部下端34よりも下側に突出している。
【0024】
ここで、第1上端縁36及び第2上端縁38は、図3図4から明らかなように、それぞれ、参照符号36a,36b,36c,36d,38a,38b,38c,38dで示された凹部を備えている。これら凹部は、収容スペース内の押さえ板に設けられた凸部を避けるために設けられている。
【0025】
また、第1下端縁40及び第2下端縁42は、図3図4から明らかなように、それぞれ、参照符号40a,40b,40c,40d,42a,42b,42c,42dで示された位置決め用凸部を備えている。これら位置決め用凸部40a,40b,40c,40d,42a,42b,42c,42dは、収容スペースの床面の所定位置に設けられた凹部に嵌合され、最下部の電池モジュール6の位置決め、つまり、電池パック装置4の位置決めに利用される。
【0026】
通常、上記した凹部36a,36b,36c,36d,38a,38b,38c,38d、及び、位置決め用凸部40a,40b,40c,40d,42a,42b,42c,42dは、第1上端縁36、第1下端縁40、第2上端縁38及び第2下端縁42によって、形成されている位置や大きさが異なる。このため、電池モジュール6を直接積み重ねると、互いに当接するフレームの上端縁と下端縁とは局部的にぶつかりあってしまい、安定的に積み重ねることは困難である。このため、電池モジュール6と電池モジュール6との間にはスペーサ2が配置されている。
【0027】
スペーサ2は、図2に示すように、横断面が矩形状の長尺の角棒であり、長手方向に沿って延びる凹溝が上側に2本、下側に2本の合計4本設けられている。詳しくは、スペーサ2は、図6に示す端面図から明らかなように、図6中左側且つ上側に位置付けられた第1上溝44と、図6中右側且つ上側に位置付けられた第2上溝46と、図6中左側且つ下側に位置付けられた第1下溝48と、図6中右側且つ下側に位置付けられた第2下溝50と、第1上溝44及び第1下溝48の図6中左側に位置付けられた第1側壁41と、第2上溝46及び第2下溝50の図6中右側に位置付けられた第2側壁43と、第1上溝44及び第2上溝46を隔てる上側隔壁45と、第1下溝48及び第2下溝50を隔てる下側隔壁49とを備えている。
【0028】
第1上溝44は、図5に示すように、第1フレーム10の第1下端縁40を嵌合可能である。
第2上溝46は、図5に示すように、第2フレーム12の第2下端縁42を嵌合可能である。
第1下溝48は、図5に示すように、第1フレーム10の第1上端縁36を嵌合可能である。
第2下溝50は、図5に示すように、第2フレーム12の第2上端縁38を嵌合可能である。
【0029】
スペーサ2においては、図7に示す上面図から明らかなように、第1上溝44及び第2上溝46が設けられている上側の所定位置に、受入凹部52,54,56,58が設けられている。詳しくは、これら受入凹部52,54,56,58は、それぞれ対応する、第1フレーム10の第1下端縁40に設けられた位置決め用凸部40a,40b,40c,40d及び第2フレーム12の第2下端縁42に設けられた位置決め用凸部42a,42b,42c,42dにそれぞれ対応する凹部形成位置に設けられている。この凹部形成位置においては、第1上溝44の溝底44a及び第2上溝46の溝底46aが裏側に向かって位置決め用凸部の高さ分に相当する所定深さだけ掘り下げられ、凹みに形成されているとともに、かかる凹部形成位置に含まれる上側隔壁45が除去され、この上側隔壁45の部分も所定深さだけ掘り下げられ、凹みに形成されている。これら受入凹部52,54,56,58は、図7から明らかなように平面視形状が矩形状をなしている。ここで、受入凹部52には位置決め用凸部40a,42aが、受入凹部54には位置決め用凸部40b,42bが、受入凹部56には位置決め用凸部40c,42cが、受入凹部58には位置決め用凸部40d,42dが、それぞれ受け入れられる。
【0030】
次に、スペーサ2の右側面を表した図8から明らかなように、スペーサ2には、右側壁43、上側隔壁45、下側隔壁49及び左側壁41の所定位置を貫く切欠が設けられている。具体的には、参照符号60,62,64,66,68,70で示される半円形状の半円切欠と、参照符号72で示される矩形状の矩形切欠とが設けられている。これら半円切欠は、上記したボルト24又はナット26に対応した位置に位置付けられており、かかるボルト24及びナット26を避けるために設けられている。また、矩形切欠72は、上記したコネクタ用切欠28に対応した位置に位置付けられており、かかるコネクタ用切欠28を避けるために設けられている。
【0031】
次に、スペーサ2の下面を表した図9から明らかなように、スペーサ2の下面側には、第1下溝48及び第2下溝50が平行に延びており、上面側の受入凹部52,54,56,58に相当する凹部は設けられていない。ここで、参照符号48aは、第1下溝48の溝底を示し、参照符号50aは第2下溝50の溝底を示している。
【0032】
次に、スペーサ2の左側面を表した図10から明らかなように、第1側壁41には、側部切欠74,76が設けられている。この側部切欠74,76は、第1側壁41における上記した支柱に対応する部分が、スペーサ2の上下方向に除去されて形成されている。
【0033】
スペーサ2は、同形状のものが2個一組で用いられる。例えば、2個の電池モジュール6を積み重ねる場合、図5に示すように、上側の電池モジュール6と下側の電池モジュール6との間において、第1フレーム10側(図5中左側)と第2フレーム12側(図5中右側)とにそれぞれスペーサ2,2が配設される。そして、上側の電池モジュール6の第1フレーム10の第1下端縁40は、スペーサ2の第1上溝44に嵌合され、下側の電池モジュール6の第1フレーム10の第1上端縁36は、スペーサ2の第1下溝48に嵌合される。一方、上側の電池モジュール6の第2フレーム12の第2下端縁42は、スペーサ2の第2上溝46に嵌合され、下側の電池モジュール6の第2フレーム12の第2上端縁38は、スペーサ2の第2下溝50に嵌合される。
【0034】
このとき、スペーサ2の第1上溝44及び第2上溝46が存在するスペーサ2の上側の受入凹部52,54,56,58に、第1フレーム10の第1下端縁40に設けられた位置決め用凸部40a,40b,40c,40d及び第2フレーム12の第2下端縁46に設けられた位置決め用凸部42a,42b,42c,42dが受け入れられ、これら位置決め用凸部が溝底44a,46aと局部的にぶつかりあうことは防止される。また、第1フレーム10の第1上端縁36及び第2フレーム12の第2上端縁38は、上記したように、それぞれ、凹部36a,36b,36c,36d,38a,38b,38c,38dが存在するだけで、スペーサ2における第1下溝48及び第2下溝50の溝底48a,50aと局部的にぶつかりあうことはない。また、図3及び図4に示すように、スペーサ2に設けられた半円切欠60,62,64,66,68,70は、ボルト24及びナット26を避けている。これにより、ボルト24又はナット24とスペーサ2がぶつかりあうことはない。また、矩形切欠72は、コネクタ用切欠28を避けている。これにより、矩形切欠72とコネクタ用切欠28は、互いに連通し、コネクタの挿抜又はコネクタのリード線の引き出しを阻害することが有効に防止される。
【0035】
以上のように、電池モジュール6,6は、スペーサ2,2が介在することにより、安定した状態で積み重ねることができ、電池パック装置4に形成される。得られた電池パック装置4は、電気機器内の収容スペースに収容される。このとき、収容スペースの床面に設けられた位置決め孔に、下側の電池モジュール6における第1フレーム10の下端縁40及び第2フレーム12の下端縁42の位置決め用凸部40a,40b,40c,40d,42a,42b,42c,42dが嵌め込まれる。そして、床面に設けられた支柱に取り付けられた押さえ板により、上側の電池モジュール6が上から押さえられて固定される。このようにして、電池パック装置4は、電気機器内に収容される。
【0036】
本発明に係るスペーサ2は、1種類で、第1フレーム10の第1下端縁40及び第1上端縁36と、第2フレーム12の第2下端縁42及び第2上端縁38とに対応可能であり、フレームの上側と下側とで形状の異なる電池モジュールを簡単に積層することができ、しかも、部品点数の削減にも貢献する。
【0037】
ここで、電気機器の収容スペースの床面積をより大きく確保できる場合は、電池パック装置4はより多く搭載することができる。例えば、収容スペースが、幅450mm、奥行き460mm、高さ93.5mmの場合、電池パック装置4は、6個搭載が可能である。本発明の場合、容易に電池モジュール6を2段に重ねることができるので、1段の場合に比べ2倍の容量の電源を容易に構成することができる。
【0038】
また、本実施形態では、2つの電池モジュール6,6を二段に重ねる態様について説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。本発明に係るスペーサ2は、電池モジュール6を二段以上の多段積層することにも対応することができる。
【符号の説明】
【0039】
2 スペーサ
4 電池パック装置
6 電池モジュール
8 組電池
10 第1フレーム
12 第2フレーム
36 第1上端縁
38 第2上端縁
40 第1下端縁
42 第2下端縁
40a〜40d 位置決め用凸部
42a〜42d 位置決め用凸部
44 第1上溝
46 第2上溝
48 第1下溝
50 第2下溝
52,54,56,58 受入凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10