(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132285
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】熱電発電装置
(51)【国際特許分類】
H01L 35/30 20060101AFI20170515BHJP
H01L 35/32 20060101ALI20170515BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
H01L35/30
H01L35/32 A
H02N11/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-122525(P2013-122525)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-241318(P2014-241318A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】507206000
【氏名又は名称】北海道特殊飼料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 和宏
【審査官】
安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−150112(JP,A)
【文献】
特開2006−296077(JP,A)
【文献】
特開2013−099201(JP,A)
【文献】
特開平04−085973(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/018053(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/00−34
H02N 11/00
F02G 5/02−04
F01N 5/02−04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱媒体が流入し流出する第1の熱媒体室と、
前記第1の熱媒体室を画成する第1の室壁と、
第2の熱媒体が流入し流出する第2の熱媒体室と、
前記第2の熱媒体室を画成する第2の室壁と、
温度差により発電する第1の熱電発電層と、
温度差により発電する第2の熱電発電層と、を有し、
前記第2の熱媒体室は、前記第1の熱媒体室の中にあり、
前記第1の室壁と前記第2の室壁は、互いに非接触であり、
前記第1の熱媒体の温度と前記第2の熱媒体の温度は、互いに異なり、
前記第1の熱電発電層は、前記第1の室壁の外面又は内面に設けられ、
前記第2の熱電発電層は、第2の室壁の外面又は内面に設けられている、熱電発電装置。
【請求項2】
前記第2の熱媒体室は、前記第1の熱媒体室の中に複数ある、請求項1記載の熱電発電装置。
【請求項3】
前記第1の熱媒体室は、燃焼室であり、
前記第2の熱媒体室に流入する前記第2の熱媒体の温度は、前記第1の熱媒体室の温度よりも低温である、請求項1又は2記載の熱電発電装置。
【請求項4】
前記第1の室壁は、屋外と屋内とを区画する壁の一部であり、
前記第2の熱媒体室は、前記屋内にあり、
前記第2の熱媒体室に流入する前記第2の熱媒体の温度は、前記屋内の温度よりも低温である、請求項1又は2記載の熱電発電装置。
【請求項5】
前記屋内には、熱源となる電子機器が収容されており、
前記第2の熱媒体は、前記屋内の空気を冷却するための熱媒体である、請求項4記載の熱電発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電素子を用いて熱エネルギを電気エネルギに変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
熱機関から排出される熱を利用して発電を行う技術は公知である。
【0003】
その一例として、内管と外管との間に熱電変換素子からなる発電層を設け、その内管内にボイラーや内燃機関から高温の熱媒体(温水、蒸気、排ガス、等)を導入し、その内管と外管との温度差により発電を行う熱電発電モジュールを挙げることができる(特許文献1)。
【0004】
特許文献1記載の技術によれば、高温の熱媒体が流れている内管の温度に対して外気と接触している外管の温度が低温になるため、両者間の温度差を利用して熱電変換により発電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−36439号公報(特許第2275410号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の技術では、内筒と外筒との間の唯一層の空間に配置された発電層のみによって熱電変換がなされるため、熱エネルギ源で発生する温度差を効率良く利用して熱電発電を行うことができない。また、特許文献1記載の技術では、高温の熱媒体と外気との比較的小さい温度差により熱電変換がなされるため発電効率が良くないという根本的な問題を有している。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来よりも効率良く熱電発電を行うことができる熱電発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[熱電発電装置(態様1)]
第1の熱媒体が流入し流出する第1の熱媒体室と、
第1の熱媒体室を画成する第1の室壁と、
第2の熱媒体が流入し流出する第2の熱媒体室と、
第2の熱媒体室を画成する第2の室壁と、
温度差により発電する第1の熱電発電層と、
温度差により発電する第2の熱電発電層と、を有し、
第2の熱媒体室は、第1の熱媒体室の中にあり、
第1の室壁と第2の室壁は、互いに非接触であり、
第1の熱媒体の温度と第2の熱媒体の温度は、互いに異なり、
第1の熱電発電層は、第1の室壁の外面又は内面に設けられ、
第2の熱電発電層は、第2の室壁の外面又は内面に設けられている。
【0009】
この装置は、第1の熱媒体を第1の熱媒体室に、第2の熱媒体を第2の熱媒体室に、それぞれ流すことにより、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間に温度差を発生させるとともに、第1の熱媒体室とその外部の熱媒体との間に温度差を発生させる。第2の熱電発電層は、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間の温度差を利用して発電する。第1の熱電発電層は、第1の熱媒体室とその外部の熱媒体との間の温度差を利用して発電する。
この装置によれば、互いに温度の異なる内外の熱媒体間に配置された熱電発電層を複数層使用して熱電変換による発電を行うので、従来よりも格段に効率良く熱電発電を行うことができる。
【0010】
[熱電発電装置(態様2)]
第1の熱媒体が流入し流出する第1の熱媒体室と、
第1の熱媒体室を画成する第1の室壁と、
第2の熱媒体が流入し流出する第2の熱媒体室と、
第2の熱媒体室を画成する第2の室壁と、
温度差により発電する第1の熱電発電層と、
温度差により発電する第2の熱電発電層と、を有し、
第2の熱媒体室は、第1の熱媒体室の中にあり、
第1の室壁と第2の室壁は、互いに非接触であり、
第1の熱媒体の温度と第2の熱媒体の温度は、互いに異なり、
第1の熱電発電層は、第1の室壁の外面又は内面に設けられ、
第2の熱電発電層は、第2の室壁の外面又は内面に設けられ、
第1の熱媒体室は、燃焼室であり、
第2の熱媒体室に流入する第2の熱媒体は、第1の熱媒体室の温度よりも低温の流体である、熱電発電装置。
【0011】
この装置は、第1の熱媒体を第1の熱媒体室に、第2の熱媒体を第2の熱媒体室に、それぞれ流すことにより、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間に温度差を発生させるとともに、第1の熱媒体室とその外部の空間との間に温度差を発生させる。第2の熱電発電層は、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間の温度差を利用して発電する。第1の熱電発電層は、第1の熱媒体室とその外部の空間との間の温度差を利用して発電する。第1の熱媒体室は、燃焼室であり、燃焼室は極めて高温であるので、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間及び第1の熱媒体室とその外部の空間との間に大きな温度差が発生する。
【0012】
したがって、この装置によれば、複数層の発電層すなわち、第1及び第2の熱電発電層を使用し、それぞれの発電層を挟む領域間に大きな温度差を発生させて熱電変換による発電を行うことができるので、従来よりも格段に効率良く熱電発電を行うことができる。
【0013】
[熱電発電装置(態様3)]
第1の熱媒体が流入し流出する第1の熱媒体室と、
第1の熱媒体室を画成する第1の室壁と、
第2の熱媒体が流入し流出する第2の熱媒体室と、
第2の熱媒体室を画成する第2の室壁と、
温度差により発電する第1の熱電発電層と、
温度差により発電する第2の熱電発電層と、を有し、
第2の熱媒体室は、第1の熱媒体室の中にあり、
第1の室壁と第2の室壁は、互いに非接触であり、
第1の熱媒体の温度と第2の熱媒体の温度は、互いに異なり、
第1の熱電発電層は、第1の室壁の外面又は内面に設けられ、
第2の熱電発電層は、第2の室壁の外面又は内面に設けられ、
第1の室壁は、屋外と屋内とを区画する室壁であり、
第2の熱媒体室は、前記屋内にあり、
第2の熱媒体室に流入する第2の熱媒体の温度は、前記屋内の温度よりも低温であり、
前記屋内には、熱源となる電子機器が収容されており、
第2の熱媒体は、前記屋内の空気を冷却するための熱媒体である、熱電発電装置。
【0014】
この装置は、第1の熱媒体を第1の熱媒体室に、第2の熱媒体を第2の熱媒体室に、それぞれ流すことにより、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間に温度差を発生させるとともに、第1の熱媒体室とその外部の空間との間に温度差を発生させる。第2の熱電発電層は、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間の温度差を利用して発電する。第1の熱電発電層は、第1の熱媒体室とその外部の空間との間の温度差を利用して発電する。第1の熱媒体室は、屋外と屋内とを区画する室壁であり、屋内には、熱源となる電子機器が収容されているので、第1の熱媒体室とその外部の空間との間に大きな温度差が発生する。また、第2の熱媒体は、屋内の空気を冷却するための熱媒体であるので、第1の熱媒体室と第2の熱媒体室との間にも大きな温度差が発生する。
【0015】
したがって、この装置によれば、複数層の発電層すなわち、第1及び第2の熱電発電層を使用し、それぞれの発電層を挟む領域間に大きな温度差を発生させて熱電変換による発電を行うことができるので、従来よりも格段と効率良く熱電発電を行うことができる。特に寒冷地においては、屋外と屋内との温度差が大きいので、極めて効率良く熱電発電を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、互いに温度の異なる内外の熱媒体間に配置された熱電発電層を複数層使用して熱電変換による発電を行うので、従来よりも格段に効率良く熱電発電を行うことができる。
【0017】
本発明によれば、互いに温度の異なる内外の熱媒体間に配置された熱電発電層を複数層使用し、それぞれの熱電発電層の内外の熱媒体間に大きな温度差を発生させて熱電変換による発電を行うことができるので、従来よりも格段に効率良く熱電発電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A):本発明の実施の形態を例示する斜視図 (B):(A)のA−A断面図
【
図3】本発明の更に別の実施の形態を例示する斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1に示す熱電発電装置1は、第1の熱媒体室10と、第1の室壁11と、第2の熱媒体室20と、第2の室壁21と、第1の熱電発電層45−1と、第2の熱電発電層45−2と、を有する。
【0021】
第1の熱媒体室10は、第1の熱媒体M1が流入し流出する熱媒体室である。
第1の熱媒体室10は、燃焼室である。
第2の熱媒体室20は、第2の熱媒体M2が流入し流出する熱媒体室である。
第2の熱媒体室20は、第1の熱媒体室10の中にある。
第1の室壁11と第2の室壁21は、互いに非接触である。
【0022】
第1の室壁11は、第1の熱媒体室10を画成する壁である。
第1の室壁11は、伝熱性及び耐熱性を兼ね備えた金属でできている。この種の金属の例として、ステンレス鋼を挙げることができる。
第1の室壁11の形状は、直方体である。
第1の室壁11には、第1の熱媒体M1(M1−1)が流入する入口11aと、第1の熱媒体M1(M1−2)が流出する出口11bと、が設けられている。
第1の室壁11で囲まれた空間すなわち第1の熱媒体室10に流入する第1の熱媒体M1(M1−1)は、燃料と空気とを含む混合流体である。
第1の熱媒体室10から流出する第1の熱媒体M1(M1−2)は、燃焼後の流体である。
入口11aには、媒体供給管12Aが接続されている。出口11bには、媒体排出管12Bが接続されている。
【0023】
第2の室壁21は、第2の熱媒体室20を画成する壁である。
第2の室壁21は、第1の室壁11と同じく、伝熱性及び耐熱性を兼ね備えた金属でできている。
第2の室壁21の形状は、直方体である。
第2の室壁21には、第2の熱媒体M2が流入する入口21aと、第2の熱媒体M2が流出する出口21bと、が設けられている。
第2の熱媒体M2は、第1の熱媒体室10の温度よりも低温の流体である。この流体の具体例として、地下水、海水、河川の水、水道水を挙げることができる。
入口21aには、媒体供給管22Aが接続されている。出口21bには、媒体排出管22Bが接続されている。両媒体供給管22A、22Bは、第1の室壁11を貫通している。第1の室壁11の両媒体供給管22A、22Bが貫通している部分と、両媒体供給管22A、22Bとの間は、気密に封止されている。
【0024】
第1の熱電発電層45−1は、第1の室壁11の外面に設けられている。第1の熱電発電層45−1は、外気(大気)と接している。
第2の熱電発電層45−2は、第2の室壁21の外面に設けられている。第2の熱電発電層45−2は、第1の熱媒体室10の高温雰囲気と接している。
【0025】
第1の熱電発電層45−1は、第1の室壁11の外面のほぼ全体を覆っている。第1の熱電発電層45−1は、第1の室壁11の外面に整然と配置された多数の発電素子50を有している。
第2の熱電発電層45−2は、第2の室壁21の外面のほぼ全体を覆っている。第2の熱電発電層45−2は、第2の室壁21の外面に整然と配置された多数の発電素子50を有している。
発電素子50は、内側電極51と、外側電極52と、内側電極51と外側電極52との間に電気的に接続され、両端に生ずる温度差で発電を行う熱電変換素子55とを有している。
【0026】
第1及び第2の熱電発電層45−1、45−2における発電素子50同士の電気的な接続の仕方は任意である。全ての発電素子50を電気的に互いに並列に接続した形態、全ての発電素子50を電気的に直列に接続した形態、直列接続と並列接続とを組み合わせた直並列接続の形態など、いずれの形態も採用可能である。第1及び第2の熱電発電層45−1、45−2で発電された電力は、図示しない一対の出力端子から取り出される。
【0027】
上記のように構成された熱電発電装置1は、第1の熱媒体M1を第1の熱媒体室10に、第2の熱媒体M2を第2の熱媒体室20に、それぞれ流すことにより、第1の熱媒体室10と第2の熱媒体室20との間に温度差を発生させるとともに、第1の熱媒体室10と外気との間に温度差を発生させる。第2の熱電発電層45−2は、第1の熱媒体室10と第2の熱媒体室20との間の温度差を利用して発電する。第1の熱電発電層45−1は、第1の熱媒体室10と外気との間の温度差を利用して発電する。第1の熱媒体室10は、燃焼室であり、燃焼室は極めて高温であるので、第1の熱媒体室10と第2の熱媒体室20との間及び第1の熱媒体室10と外気との間に大きな温度差が発生する。
【0028】
したがって、この熱電発電装置1によれば、第1及び第2の熱電発電層45−1、45−2を使用し、それぞれの発電層45−1、45−2を挟む領域間に大きな温度差を発生させて熱電変換による発電を行うことができるので、従来よりも格段と効率良く熱電発電を行うことができる。
【0029】
この熱電発電装置1は、温暖な地域でも使用可能であるが、寒冷地の屋外に設置することにより、第1の発電層45−1挟む領域間に大きな温度差を発生させて、より高効率に熱電変換による発電を行うことができる
【0030】
[第2の実施形態]
上記の例では、第1の熱媒体室10の中に第2の熱媒体室20を設けた2室構造の装置について説明したが、熱媒体室の数は任意である。
図2に示すように、第2の熱媒体室20に中に更に第3の熱媒体室30を設けた装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0031】
図2の熱電発電装置1(1−2)は、
図1の装置構成に加えて、第3の熱媒体室30と、第3の室壁31と、第3の熱電発電層45−3と、を有する。
【0032】
第3の熱媒体室30は、第3の熱媒体M3が流入し流出する熱媒体室である。
第3の室壁31は、第3の熱媒体室30を画成する壁である。
第3の室壁31は、第1及び第2の室壁11、21と同じく、耐熱性及び耐食性を兼ね備えた金属でできている。第3の室壁31の形状は、直方体である。第3の室壁31には、第3の熱媒体M3が流入する入口31aと、第3の熱媒体M3が流出する出口31bと、が設けられている。
【0033】
第3の熱媒体M3は、第3の熱媒体室30の温度よりも高温の熱媒体である。この熱媒体の具体例として、第1の熱媒体室10から流出した第1の熱媒体M1(M1−2)を挙げることができる。
【0034】
入口31aには、媒体供給管32Aが接続されている。出口31bには、媒体排出管32Bが接続されている。両媒体供給管32A、32Bは、第1の室壁11及び第2の室壁21を貫通している。第1の室壁11の両媒体供給管32A、32Bが貫通している部分と、両媒体供給管32A、32Bとの間は、気密に封止されている。第2の室壁21の両媒体供給管32A、32Bが貫通している部分と、両媒体供給管32A、32Bとの間は、気密に封止されている。
【0035】
第3の熱電発電層45−3は、第3の室壁31の外面に設けられている。第3の熱電発電層45−3は、第2の熱媒体M2と接している。第3の熱電発電層45−3は、第3の室壁31の外面のほぼ全体を覆っている。第3の熱電発電層45−3は、第1及び第2の熱電発電層45−1、45−2と同じく、第3の室壁31の外面に整然と配置された多数の発電素子50を有している。第3の熱電発電層45−3は、第2の熱媒体室20と第3の熱媒体室30との間の温度差により発電する。第3の熱電発電層で発電された電力は、第1及び第2の熱電発電層45−1、45−2で発電された電力と共に取り出される。
【0036】
[第3の実施形態]
また、
図3に示すように、第1の熱媒体室10の中に第2の熱媒体室20を複数設けた装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。
図3の熱電発電装置1(1−3)は、2つの第2の熱媒体室20−1、20−2と、両第2の熱媒体室20−1、20−2を画成する2つの第2の室壁21−1、21―2と、を有している。両第2の室壁21−1、21―2は、互いに並列に配置されている。
【0037】
[その他の実施形態]
上記の例では、熱媒体室を画成する室壁の外面に熱電発電層が設けられているが、当該室壁の外面に熱電発電層を設けてもよい。
【0038】
また、熱媒体室の形状は、直方体形状に限られず、球形、円柱形、筒形、等、その他の形状でもよい。
【0039】
また、上記の例では、各室壁11、21、31において、入口11a、21a、31aと出口11b、21b、31bが互いに同軸的に配置されているが、非同軸的に配置されてもよい。
【0040】
また、上記の例では、第1の熱媒体室10が燃焼室である場合について説明したが、第2の熱媒体室20を燃焼室とし、第1の熱媒体室10に水など低温の熱媒体を供給するように構成してもよい。
【0041】
また、上記の例では、熱媒体室を画成する室壁11、21、31のみに熱電発電層45−1、45−2、45−3が設けられているが、室壁11、21、31だけでなく、媒体供給管12A、12B、22A、22B、32A、32Bの外面又は内面にも熱電発電層45−1、45−2、45−3を設けることが可能である。
【0042】
また、媒体供給管12A、22A、32A及び媒体排出管12B、22B、32Bの形状は、円筒形状である必要はない。媒体供給管12A、22A、32A及び媒体排出管12B、22B、32Bは、断面形状が矩形状の管体であってもよい。また、媒体供給管12A、12B、22A、22B、32A、32Bを、熱媒体室10、20、30を画成する室壁の一部としてもよい。
【0043】
また、燃焼室を備えた構成は、この発明の熱電発電装置の一例に過ぎない。
この発明の熱電発電装置は、建物に適用することも可能である。
すなわち、
図1の構成を例にとれば、第1の室壁11を、屋外と屋内とを区画する建物の外壁の一部とし、第1の室壁11により画成された第1の熱媒体室10すなわち屋内に、第2の室壁21により画成された第2の熱媒体室20を設けることが可能である。
【0044】
発熱量の大きな電子機器が屋内に収容されている場合、屋内の温度と外気の温度との温度差を利用して第1の熱電発電層45−1により発電することができる。そして、第2の熱媒体室20に、屋内の空気を冷却するための熱媒体(水、外気、等)が供給されている場合、第2の熱媒体室20と屋内(第1の熱媒体室10)との温度差を利用して第2の熱電発電層45−2により発電することができる。寒冷地においては、屋外と屋内との温度差が大きいので、極めて効率良く熱電発電を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の熱電発電装置は、原子力発電所、火力発電所、地熱発電所など、高温蒸気を発電に使用するシステムを熱エネルギ源として発電を行うことも可能である。たとえば、原子力発電所を熱エネルギ源として利用する場合、タービンを通過した高温蒸気を高温の熱媒体として高温流路に通し、海水を低温の熱媒体として低温流路に通すことにより、両者の大きな温度差を利用して熱電発電を行うことができる。また、燃料の崩壊熱により加熱された高温の蒸気などを高温の熱媒体として使用することも可能である。したがって、原子炉停止状態においても熱電発電が可能である。
【0046】
また、本発明の熱電発電装置は、データセンタを熱エネルギ源として発電を行うことも可能である。すなわち、データセンタ内の電子機器(サーバやストレージ)で発生した熱により加熱された空気を高温の熱媒体として高温流路に通し、水(海水、地下水、河川の水、等)や外気を低温の熱媒体として低温流路に通すことにより、両者の温度差を利用して熱電発電を行うことができる。この熱電発電により得られた電力をデータセンタで消費することにより、データセンタの省エネルギ化を促進できる。
【符号の説明】
【0047】
1 熱電発電装置
10 第1の熱媒体室
11 第1の室壁
11a 入口
11b 出口
12A 媒体供給管
12B 媒体排出管
20 第2の熱媒体室
21 第2の室壁
21a 入口
21b 出口
22A 媒体供給管
22B 媒体排出管
30 第3の熱媒体室
31 第3の室壁
31a 入口
31b 出口
32A 媒体供給管
32B 媒体排出管
45−1 第1の熱電発電層
45−2 第2の熱電発電層
45−3 第3の熱電発電層
50 発電素子
M1 第1の熱媒体
M2 第2の熱媒体
M3 第3の熱媒体