(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132303
(24)【登録日】2017年4月28日
    
      
        (45)【発行日】2017年5月24日
      
    (54)【発明の名称】電圧調整装置
(51)【国際特許分類】
   H02J   3/12        20060101AFI20170515BHJP        
   H02H   7/00        20060101ALI20170515BHJP        
【FI】
   H02J3/12
   H02H7/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
      (21)【出願番号】特願2013-156319(P2013-156319)
(22)【出願日】2013年7月29日
    
      (65)【公開番号】特開2015-27212(P2015-27212A)
(43)【公開日】2015年2月5日
    【審査請求日】2016年2月16日
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
          (73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
          (74)【代理人】
【識別番号】100159433
【弁理士】
【氏名又は名称】沼澤  幸雄
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】井山  治
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】松田  勝弘
              
            
        
      
    
      【審査官】
        赤穂  嘉紀
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          国際公開第97/002518(WO,A1)    
        
        【文献】
          特開平09−070172(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2012−125020(JP,A)      
        
        【文献】
          特開平08−023632(JP,A)      
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J      3/12        
H02H      7/00        
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  電圧調整用直列変圧器と、半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路と、該制御回路からの信号がOFFしても交流電圧の逆電圧が負荷されるまで導通している自然転流消弧タイプの半導体スイッチを有する電圧切替回路から成る電圧調整部とを備えた電圧調整装置であって、前記電圧切替回路の電圧取出し側に、短絡電流を抑制する制限抵抗と該制限抵抗をショートする半導体スイッチとから成る短絡保護回路を設けたことを特徴とする電圧調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、柱上変圧器の低圧側の電圧を調整する電圧調整装置に関し、装置内における短絡電流や過電圧の発生を防止して、瞬時に電圧補償が可能な電圧調整装置に関する。
 
【背景技術】
【0002】
  一般に、柱上変圧器から負荷までの配電線(低圧配電線)が長い場合、負荷の軽重に応じて配電線の電圧変動(線路電圧変動)が大きくなる。このため、電圧調整装置を設けて、配電線の電圧を調整して電力供給における電圧を安定化させている。
【0003】
  また、
図10に示すように、従来から配電系統に太陽光発電等の自然エネルギーを利用する分散型電源を連系するのが進んでおり、このような分散型電源が配電系統に大量に連系されると分散型電源から生じる逆潮流により配電系統の電圧が上昇して、電気事業法で規定された電圧を逸脱するおそれが生じるために、また、配電系統の電圧が上昇することによって太陽光発電が規定電圧を超え発電できなくなるために、電圧調整装置を設けて配電系統の電圧を安定化させているのが実情である。
【0004】
  そして、従来の電圧調整装置は、一つの対策案として
図10に示すように、主に柱上変圧器部と電圧調整部で構成され、具体的には、
図4に示すように、電圧調整用直列変圧器T1、T2と、半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路と、半導体スイッチTRC1〜10等から成る電圧切替回路とで構成されている。
【0005】
  特に、電圧調整部は、半導体スイッチTRC1〜10の導通組合せによって配電系統の電圧調整を行うものであり、この半導体スイッチTRC1〜10は、安価で瞬時の負荷耐量が大きい特性を有するトライアックやサイリスタの逆並列接続回路から成る自然転流消弧タイプのものが使用されている。例えば、特許文献1には、この自然転流消弧タイプの半導体スイッチを電圧調整部に使用した電圧調整装置が記載されている。
【0006】
  しかし、この自然転流消弧タイプの半導体スイッチは、サイリスタ、トライアックのようにゲート信号をOFFにしても直ちにOFFにならず、半導体スイッチに交流電圧の逆電圧が負荷されるまで導通しているという特性を有している。そのために、この電圧切替え用半導体スイッチが電圧切替え時に自然転流消弧してOFFする前に、次にONすべき半導体スイッチをONさせると、
図9に示すように、短絡電流が流れる事態が発生することになる。そこで、半導体スイッチとして、この短絡電流が流れてもこの短絡電流に耐えられる極端に大きな素子(数十倍の素子)を使用しなければならないために、高価で大型化となってしまうという問題がある。
【0007】
  また、この短絡電流に対する対策として、
図6に示すように電圧切替え前の半導体スイッチと電圧切替え後の導体スイッチの両方をOFFさせるOFF−OFF期間を設けることも行われている。直列変圧器T1の接続側(2次巻き線側)の巻き線が一時的に開放状態となるようなOFF−OFF期間を設けると、この時に直列変圧器の1次巻き線側には負荷の電流が流れているために、
図8のように2次巻き線側に大きな過電圧が発生する事態になる。そこで、2次巻き線側に接続される半導体スイッチとして、この過電圧に耐えられる素子を選定するか、又はこの過電圧を電圧抑制する特別の保護回路を設けなければならないために、やはり高価で大型化となってしまうという問題がある。
【0008】
  さらに、このOFF−OFF期間を設けると、電圧切替えの指令に対して電圧切替え前に導通している半導体スイッチがOFFとなるまでの期間だけ(最低でも交流半サイクルの間)待たなければならないために、半導体スイッチのON自体が高速(数μsec)であったとしても、最低でも交流半サイクルの期間だけ待つ必要があるから、特に瞬時に電圧補償したい場合に、その分の遅れが生じてしまうという問題がある。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−125020号
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
  そこで、本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電圧調整部の電圧切替回路の短絡電流を抑制すると共に、直列変圧器の2次巻き線の解放による2次巻き線の大きな過電圧の発生を防止して、瞬時に電圧補償が可能な電圧調整装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
  そして、本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、電圧調整部の電圧切替回路の短絡電流を抑制し、直列変圧器の2次巻き線の解放による2次巻き線の大きな過電圧の発生を防止するための短絡保護回路を追加することで、従来の安価な自然転流消弧タイプの半導体スイッチの使用と定格電流の低い素子の使用が可能であること、そして、この場合に、直列変圧器の2次巻き線から発生する過電圧を抑制する従来の過電圧保護回路を設けなくてもその応答性を著しく改善することができることを知見し、本発明に至ったものである。
 
【課題を解決するための手段】
【0012】
  すなわち、本発明は、電圧調整用直列変圧器
と、半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路と、
この制御回路からの信号がOFFしても交流電圧の逆電圧が負荷されるまで導通している自然転流消弧タイプの半導体スイッチを有する電圧切替回路から成る電圧調整部とを備えた電圧調整装置であって、前記電圧切替回路の電圧取出し側に、短絡電流を抑制する制限抵抗と該制限抵抗をショートする半導体スイッチとから成る短絡保護回路を設けたことを特徴とするものである。
 
【発明の効果】
【0014】
  本発明によれば、電圧調整部に制限抵抗等から成る短絡保護回路を設けて、短絡電流を抑制しているから、安価な自然転流消弧タイプの半導体素子の使用ができ、素子の定格電流を大幅に下げることができるし、OFF−OFF期間を設ける必要がなく、従来のものと比べて、応答が速いというメリットがある。また、電圧調整用直列変圧器の2次巻き線側の開放がないから、2次巻き線から発生する過電圧の発生もなく、素子の定格電圧を大幅に上げることも、また過電圧に対する保護回路等の特別の措置を取ることもない。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の電圧調整部のタイムチャート図である。
 
【
図5】従来の電圧調整部のタイムチャート図である。
 
【
図6】従来の電圧調整部の動作例(1)のフロー図(1)である。
 
【
図7】従来の電圧調整部の動作例(2)のフロー図(2)である。
 
【
図8】従来の電圧調整部の動作例(1)を示す図である。
 
【
図9】従来の電圧調整部の動作例(2)を示す図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0016】
  以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明はこの実施態様に限定されるものではない。
図1は、本発明の電圧調整装置4の構成図である。本発明の電圧調整装置4は、
図10に示すように、配電用変電所1に連系する高圧線2と負荷5−1〜5−3や太陽光発電6−1〜6−3が接続される低圧線3との間に設置され、低圧線3の電圧が規定値の範囲内になるように電圧上昇又は電圧降下に対応して電圧調整を行うものであり、柱上変圧器部10と電圧調整部20とから主に構成されている。
 
【0017】
  そして、電圧調整装置4の柱上変圧器部10は、
図1に示すように、R相側とS相側にそれぞれ接続された電圧調整用直列変圧器T1、T2を有すると共に、電圧調整部20は、半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路210と、半導体スイッチ(トライアックTRC1〜TRC10)等から成る電圧切替回路200を有し、この電圧切替回路200の電圧取出し側には、短絡電流を抑制する制限抵抗R1、R2とこの制限抵抗R1、R2をショートする半導体スイッチ(トライアックTRC11、TRC12)とから成る短絡保護回路220が設けられている。
 
【0018】
  また、本発明の電圧調整部20は、低圧線3のR−N相側とS−N相側に接続され、半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路210からのゲート信号に基づいて、低圧線3の末端電圧が規定値の範囲内になるように、半導体スイッチから成るトライアックTRC1〜TRC10のON又はOFFによって補償電圧を変えて、末端電圧の電圧上昇又は電圧降下に対応して電圧調整を行うものである。
 
【0019】
  本発明の短絡保護回路220は、
図1に示すように、電圧調整部20の電圧切替回路200に直列に設けられ、R相側では、短絡保護時にOFFさせるためのトライアックTRC11とこれと並列に接続された制限抵抗R1とで構成されると共に、一方のS相側でも、同様にトライアックTRC12とこれと並列に接続された制限抵抗R2とで構成される。また、この短絡保護回路220は、
図2のタイムチャート図及び
図3のフロー図に示すタイミングでゲート信号を生成する半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路210等に接続されている。
 
【0020】
  このように、本発明の電圧調整部20には、その電圧切替回路の電圧取出し側に短絡保護回路220が設けられているから、電圧切替え前・後の制限抵抗R1、R2をショートするトライアックTRC11及びTRC12をOFFとして、電圧切替え時に電圧切替え前に導通していた半導体スイッチと電圧切替え後に導通させる半導体スイッチとの両方の半導体スイッチのそれぞれに、同時にOFF信号とON信号を加えて導通させたとしても、
図9に示す短絡電流の流れを
図1の制限抵抗R1、R2で制限することができる。したがって、半導体スイッチとして短絡電流に耐えられる極端に大きな素子を選定しなくてもよいことになる。
 
【0021】
  本発明の短絡保護回路220では、制限抵抗R1、R2を定常時はショートさせるようにしている。この制限抵抗R1、R2を定常時にショートさせずに常時挿入したままの状態とすると、制限抵抗R1、R2の損失が増大し、定常時の電圧調整装置の効率が低下してしまうことになる(例えば、電圧調整部の損失が約2倍となる)。一方、本発明のように、定常時は制限抵抗R1、R2をショートさせるようにすると、短時間定格(1秒間なら約30倍の損失が可能)の抵抗器を使用することができるので、制限抵抗器を大幅に小型化することが可能となる。
 
【0022】
  また、通常、電圧調整部20は、密閉型屋外ケースに内蔵・設置されているが、このような設置状態で常に制限抵抗R1、R2を挿入したままにすると、内部損失の増大に伴う熱を放熱させるための措置が必要となる。そのために装置が大型化してしまうことになるが、本発明では、電圧切り替え時の期間のみ制限抵抗R1、R2を挿入し、定常時はショートさせるようにしているから、放熱のための措置が不要で装置の小型化が可能となる。
  さらに、本発明の短絡保護回路220では、半導体スイッチが用いられるが、これは、本発明の電圧切り替え時の期間が数サイクルと短いために、機械的スイッチでは動作遅れがあり時間がかかってしまうからである。
 
【0023】
  本発明では、このような短絡保護回路を設けて電圧切り替え時にこれを動作させるので、切り替え前に導通していた半導体スイッチと切り替え後に導通させる半導体スイッチを同時にON信号としても短絡電流が流れず、同時にON信号を加えることができるから、OFF−OFF期間を設ける必要がない。したがって、従来のような短絡を防止するために余裕をみた待ちの期間を設けることがなく、瞬時に電圧補償することができるから、応答が速くなる。また、従来装置のような電圧調整用直列変圧器T1、T2の2次巻き線側の開放がなく、過電圧の発生もないから、過電圧に対する保護回路等の特別の措置を取る必要もない。
 
【0024】
  次に、本発明の電圧調整部20の動作例について具体的に説明するが、この動作例の理解を容易にするために、ここで、先ず、従来の電圧調整部の動作例について説明する。
 
【0025】
  図4は、従来の電圧調整装置の構成図であり、この構成の一つである電圧調整部20を
図5に示すタイムチャート図と
図6及び
図7に示すフロー図に従ってそれぞれ動作させた場合に、従来の電圧調整装置では、電圧調整用直列変圧器T1の2次巻き線側の開放に伴ってこの2次巻き線に過電圧が発生したり、又は電圧調整部の電圧切替回路に短絡電流が流れる事態となる。
 
【0026】
  図6及び
図8は、従来の電圧調整部の動作例(1)を示すものである。この動作例(1)は、R相側について、
図6のフロー図(1)に示すように、例えば、0Vから−2.5Vの電圧調整に切替える例であり、切替え前のトライアックTRC2が自然転流でOFFとなるのを待ってから、切替え後のトライアックTRC5をONとするものである。そして、この動作例(1)では、
図8に示すように、トライアックTRC2とトライアックTRC5は両方ともOFFとなるOFF−OFF期間となり、この時に、電圧調整用直列変圧器T1の2次巻き線側は、
図6に示すように、開放されて2次巻き線に過電圧が発生する事態となる。
  なお、トライアックTRC2がゲート信号の無くなってから自然転流でOFFするまでの時間は、正弦波電圧がゼロとなる時間が不確定であるために、短絡しないように余裕をみてOFF−OFF時間を確保しなければならないので、その分だけ時間が長くなってしまうという問題がある。
 
【0027】
  また、
図7及び
図9は、従来の電圧調整部の動作例(2)を示すものである。この動作例(2)は、
図7のフロー図(2)に示すように、切り替え信号をもとにトライアックTRC2のOFFとトライアックTRC5のONを同時に動作させた場合に、トライアックTRC2が自然転流でOFFとなる前にトライアックTRC5をONとするものである。そして、この動作例(2)では、トライアックTRC5とTRC2が同時にONである状態となるから、
図9に示すように、短絡電流が短絡電流経路に沿って流れる事態となる。
  なお、
図5は、このような動作例(1)及び動作例(2)についてのタイムチャート図を示すものである。
 
【0028】
  これに対して、本発明の電圧調整部20の動作例では、
図2及び
図3に示すように、R相側について、例えば、0Vから−2.5Vの電圧調整に切替える場合に、最初に短絡保護回路220のトライアックTRC11を一旦OFFとして、その後に切り替え信号に基づいてトライアックTRC5のONとトライアックTRC2のOFFを同時にゲート信号を送り、切替えるトライアックTRC5がONとなり、トライアックTRC2を自然転流でOFFとなるものである。また、トライアックTRC5はゲート信号のOFF後に自然転流によってOFFとなり、その後に、OFFとしていた短絡保護回路220のトライアックTRC11をONとし、制限抵抗をショートするものである。
 
【0029】
  そして、本発明の電圧調整部20をこのように動作させることによって、トライアックTRC5とトライアックTRC2とを同時にONとしても、短絡保護回路220によって短絡電流が抑制されることになるから、従来の電圧調整部のように、電圧調整部の電圧切替回路の短絡電流を避けるためにトライアックTRC5の動作を遅らせる必要はなく、したがって、従来のようなトライアックTRC5のONを遅らせるためのOFF−OFF期間を設ける必要もないから、応答を従来のものと比べて速くすることができる。
  また、電圧調整用直列変圧器T1、T2の2次巻き線側に大きな過電圧が発生することもないから、2次巻き線側に接続された半導体スイッチとしてこの過電圧に耐えられる素子を選定することもなく、この過電圧に対する電圧抑制のための保護回路などの措置を取ることもない。
 
【0030】
  例えば、具体的な動作例として、補償電圧を+5V、+2.5V、0V、−2.5V、−5Vとする場合、電圧切替回路を構成するトライアックTRC1〜TRC10を半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路210からのゲート信号に基づいて、次の表1に示すように、ON又はOFFすることで電圧調整用直列変圧器T1、T2の1次側の電圧を調整することができ、また電圧調整装置の出力側の配電系統の電圧を調整することができる。
 
 
【0032】
  具体的には、一例として低圧線3の末端電圧が規定値の電圧以上であれば、最初に補償電圧を−2.5Vとし、まだ末端電圧が規定値の電圧以上であれば、さらに補償電圧を−5Vとする。一方、末端電圧が規定値の電圧未満であれば、最初に補償電圧を+2.5Vとし、まだ末端電圧が規定値の電圧未満であれば、さらに補償電圧を+5Vとして調整することができる。例えば、補償電圧を−2.5Vとするときには、トライアックTRC2、TRC5をONさせて100Vの電圧を電圧調整用直列変圧器T1の2次巻き線側に印加させることで、電圧調整用直列変圧器T1の1次巻き線側に−2.5Vを発生させて電圧調整を行うことができる。
 
【0033】
  以上のように、本発明の電圧調整装置4では、低圧線3の電圧調整を行う場合に、電圧調整部20に制限抵抗R1、R2等から成る短絡保護回路220を設けることによって、電圧調整部の電圧切替回路の短絡電流を制限することができるから、従来のOFF−OFF期間の待ちがなく、瞬時に電圧補償することができる。また、これにより安価なトライアック、サイリスタ等の自然転流素子が使用できる。
 
 
【産業上の利用可能性】
【0034】
  本発明は、単相3線ではなく、3相3線で三相回路に短絡保護回路を接続した構成の電圧調整装置にも利用することができるし、低圧線ではなく高圧線の電圧調整用直列変圧器による電圧補償の場合にも利用できることは言うまでもない。
  また、本発明は、自然転流消弧タイプの半導体スイッチで、例えばトライアック又は逆並列接続されたサイリスタを使用する場合に有効であるが、このタイプの半導体スイッチの他に、機械的スイッチを使用する場合にも適用可能であり、また自己消弧形半導体スイッチに適用してもよい。これらは、電圧調整部の半導体スイッチと短絡保護回路の半導体スイッチの両方又はいずれか一方の適用でも良い。さらに、線路電圧引き込み点は、直列変圧器の入力側でも出力側でもよく、短絡保護回路は、短絡電流が流れる経路であれば、その経路のどの位置に設けても利用可能である。その他、短絡保護回路220の構成は、抵抗器ではなくリアクトル等でもよい。
 
【符号の説明】
【0035】
1  配電用変電所
2  高圧線
3  低圧線
4  電圧調整装置
5  負荷
6  太陽光発電
10  柱上変圧器部
20  電圧調整部
210  半導体スイッチのオンオフを制御する制御回路
220  短絡保護回路
R1、R2  制限抵抗
TRC1〜TRC12  半導体スイッチ(トライアック)
T1、T2  電圧調整用直列変圧器
200  電圧切替回路