特許第6132305号(P6132305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6132305フューエルリッドの開閉装置及びフラップの開閉装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132305
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】フューエルリッドの開閉装置及びフラップの開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/34 20140101AFI20170515BHJP
   E05C 19/02 20060101ALI20170515BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   E05B83/34
   E05C19/02 A
   B60K15/04 B
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-162464(P2013-162464)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2014-173422(P2014-173422A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年5月13日
(31)【優先権主張番号】13/792,583
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】石黒 克行
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0222356(US,A1)
【文献】 特開2011−256528(JP,A)
【文献】 特開平08−303092(JP,A)
【文献】 実開平02−062075(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
E05C 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フューエルリッドを係止する係止部を有し、中心軸まわりに回転可能に設けられ、前記係止部をフューエルリッドに係合させるロック姿勢と前記係止部をフューエルリッドから係脱させるアンロック姿勢との間を遷移し、且つ軸方向に移動可能に設けられ、フューエルリッドを閉じる押込位置とフューエルリッドを開く突出位置とを往復するプッシュロッドと、
前記中心軸まわりに前記プッシュロッドに対して相対回転可能に前記プッシュロッドに組み付けられ、前記軸方向に前記プッシュロッドと一体に移動するフォロアと、
前記プッシュロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、
前記プッシュロッド及び前記フォロア並びに前記付勢部材を支持するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記突出位置から前記押込位置への前記プッシュロッドの往動に応じて前記プッシュロッドを前記ロック姿勢に回転させ、また前記押込位置から前記突出位置への前記プッシュロッドの復動に応じて前記プッシュロッドを前記アンロック姿勢に回転させるロッド用カム部と、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に応じて、前記中心軸を中心とする所定の回転方向に前記フォロアを回転させるフォロア用カム部と、を有しており、
前記フォロア用カム部は、前記フォロアを係止することによって前記付勢部材による付勢に抗して前記プッシュロッドを前記押込位置に保持する複数のフォロア係止部を含み、該複数のフォロア係止部は、前記中心軸を中心として、前記押込位置と前記突出位置とを1往復する際の前記プッシュロッドの移動に伴う前記フォロアの回転の回転角度おきに設けられているフューエルリッドの開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に伴う前記フォロアの回転の回転角度と、前記ロック姿勢と前記アンロック姿勢との間の前記プッシュロッドの回転角度とは互いに異なるフューエルリッドの開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に伴う前記フォロアの回転の回転角度は、前記ロック姿勢と前記アンロック姿勢との間の前記プッシュロッドの回転角度よりも小さいフューエルリッドの開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記フォロアの回転に伴って該フォロアに摺接する前記フォロア用カム部のカム面の前記軸方向の長さは、前記プッシュロッドの回転に伴って該プッシュロッドに摺接する前記ロッド用カム部のカム面の前記軸方向の長さよりも短いフューエルリッドの開閉装置。
【請求項5】
請求項1に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記プッシュロッドの前記往動において、前記プッシュロッドの回転に伴って該プッシュロッドに摺接する前記ロッド用カム部のカム面と前記プッシュロッドとが係合するタイミングと、前記フォロアの回転に伴って該フォロアに摺接する前記フォロア用カム部のカム面と前記フォロアとが係合するタイミングとは互いに異なるフューエルリッドの開閉装置。
【請求項6】
請求項5に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面に係合し、その後に前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面に係合するフューエルリッドの開閉装置。
【請求項7】
請求項6に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面から係脱し、それと同時に又はその後に前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面に係合するフューエルリッドの開閉装置。
【請求項8】
請求項1に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記プッシュロッドの前記復動において、前記プッシュロッドの回転に伴って該プッシュロッドに摺接する前記ロッド用カム部のカム面から前記プッシュロッドが係脱するタイミングと、前記フォロアの回転に伴って該フォロアに摺接する前記フォロア用カム部のカム面から前記フォロアが係脱するタイミングとは互いに異なるフューエルリッドの開閉装置。
【請求項9】
請求項8に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面から係脱し、その後に前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面から係脱するフューエルリッドの開閉装置。
【請求項10】
請求項9に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面から係脱し、それと同時に又はその後に前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面に係合するフューエルリッドの開閉装置。
【請求項11】
請求項1に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記フォロアは、環状に形成され、前記プッシュロッドに外嵌しているフューエルリッドの開閉装置。
【請求項12】
請求項1に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記ケースは、第1部材と、前記軸方向に該第1部材に組み付けられる第2部材とを含み、
前記プッシュロッドが押込方向に移動される際に該プッシュロッドが摺動する前記ロッド用カム部のカム面及び前記フォロアが摺動する前記フォロア用カム部のカム面は前記第1部材に設けられており、
前記プッシュロッドが突出方向に移動される際に該プッシュロッドが摺動する前記ロッド用カム部のカム面及び前記フォロアが摺動する前記フォロア用カム部のカム面は前記第2部材に設けられているフューエルリッドの開閉装置。
【請求項13】
請求項1に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記プッシュロッドが押込位置に保持された状態で該プッシュロッドをロックする施錠部をさらに備えるフューエルリッドの開閉装置。
【請求項14】
請求項13に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、
前記施錠部は、前記プッシュロッドの前記ロッド用カム部との係合部を係止するフューエルリッドの開閉装置。
【請求項15】
前後に開閉するフラップを係止する係止部を有し、中心軸まわりに回転可能に設けられ、前記係止部をフラップに係合させるロック姿勢とアンロック姿勢との間で遷移し、且つ軸方向に移動可能に設けられ、フラップを閉じる押込位置とフラップを開く突出位置とを往復するプッシュロッドと、
前記中心軸まわりに前記プッシュロッドに対して相対回転可能に前記プッシュロッドに組み付けられ、前記軸方向に前記プッシュロッドと一体に移動するフォロアと、
前記プッシュロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、
前記プッシュロッド及び前記フォロア並びに前記付勢部材を支持するケースと、
を備え、
前記ケースは、前記突出位置から前記押込位置への前記プッシュロッドの往動に応じて前記プッシュロッドを前記ロック姿勢に回転させ、また前記押込位置から前記突出位置への前記プッシュロッドの復動に応じて前記プッシュロッドを前記アンロック姿勢に回転させるロッド用カム部と、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に応じて、前記中心軸を中心とする所定の回転方向に前記フォロアを回転させるフォロア用カム部と、を有しており、
前記フォロア用カム部は、前記フォロアを係止することによって前記付勢部材による付勢に抗して前記プッシュロッドを前記押込位置に保持する複数のフォロア係止部を含み、該複数のフォロア係止部は、前記中心軸を中心として、前記押込位置と前記突出位置とを1往復する際の前記プッシュロッドの移動に伴う前記フォロアの回転の回転角度おきに設けられているフラップの開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フューエルリッドの開閉装置、及び前後に開閉する扉や蓋などのフラップの開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において、燃料補給口を覆うフューエルリッドは、一般にヒンジを介して車体に取り付けられており、ヒンジを支点に回動して前後に開閉する。そして、フューエルリッドの開閉装置として、開方向にフューエルリッドを押圧するプッシュロッドを備え、閉方向へのフューエルリッドに対する押し込み操作に伴って押し込まれたプッシュロッドを押込位置に保持してフューエルリッドを閉じ、再度のフューエルリッドに対する押し込み操作に伴ってプッシュロッドを突き出してフューエルリッドを開く開閉装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された開閉装置は、ハート形状に形成されたカム溝を有するハートカムと、ハートカムのカム溝に係合するタペットと、タペットとプッシュロッドとを連結するロッカーとを備え、カム溝の所定の箇所には段差が形成されている。タペットはプッシュロッドの押込方向及び突出方向への移動に連動してカム溝を移動され、タペットがカム溝の段差に係止されることによってプッシュロッドは押込位置に保持される。そして、プッシュロッドの先端部にはフューエルリッドを係止するリッド係止部が設けられている。プッシュロッドは、突出位置から押込位置に移動される過程で中心軸まわりに所定の回転角度(例えば90°)で正回転され、それによりリッド係止部をフューエルリッドに係合させてフューエルリッドをロックし、また、押込位置から突出位置に移動される過程で中心軸まわりに上記所定の回転角度で逆回転され、それによりリッド係止部をフューエルリッドから係脱させてフューエルリッドをアンロックする。
【0004】
特許文献2に記載された開閉装置は、プッシュロッドを収容するホルダ及びスリーブを備え、ホルダには、螺旋状に形成された複数の勾配面からなる第1ガイド部が設けられており、プッシュロッドには、これらの勾配面にそれぞれ係合する複数のガイド突起が設けられている。プッシュロッドは、フューエルリッドに対する押し込み操作毎に、ホルダの第1ガイド部によって所定の回転角度(例えば略45°)で一方向に回転される。そして、スリーブには、プッシュロッドに沿って延びて形成された複数の長溝及び複数の浅溝からなる第2ガイド部が設けられており、これらの長溝及び浅溝は、スリーブの周方向に交互に配置されている。プッシュロッドは、フューエルリッドに対する押し込み操作毎の回転に応じて、ガイド突起群を第2ガイド部の長溝群及び浅溝群に交互に係合させ、ガイド突起群を浅溝群に係合させることによって押込位置に保持され、また、ガイド突起群を長溝群に係合させることによって突出位置への移動を許容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/059543号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0139991号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された開閉装置は、ロッカーを介してプッシュロッドとタペットとを連動させ、このタペットを係止してプッシュロッドを押込位置に保持しており、機構が複雑である。そのため装置を小型化することが難しい。
【0007】
特許文献2に記載された開閉装置は、プッシュロッドを用いてフューエルリッドをロックするものではないが、特許文献1に記載された開閉装置と同様に、フューエルリッドに対する押し込み操作毎に回転されるプッシュロッドの先端部にリッド係止部を設けてフューエルリッドをロックするように構成することもできる。この場合に、リッド係止部をフューエルリッドに係合させ又はフューエルリッドから係脱させるためのプッシュロッドの回転は、ガイド突起群と第1ガイド部との係合に基づき、ガイド突起群を第2ガイド部の長溝群及び浅溝群に交互に係合させるためのプッシュロッドの回転に従うことになる。
【0008】
ここで、プッシュロッドの回転角度が小さいと、フューエルリッドとリッド係止部との係合代が十分に得られず、ロック強度が不足する虞がある。フューエルリッドとリッド係止部との係合代を確保するためにプッシュロッドの回転角度を大きくすると、プッシュロッドの移動方向に関する第1ガイド部の勾配面の長さとの関係で、これらの勾配面の勾配が緩くなり、プッシュロッドの移動及び回転に支障をきたす虞がある。
【0009】
また、フューエルリッドを閉じる際のフューエルリッドに対する押し込み操作が途中で中止された場合に、リッド係止部をフューエルリッドに係合させることなくプッシュロッドが押込位置に保持されてしまう虞がある。そして、フューエルリッドを開く際には、プッシュロッドに押圧されたフューエルリッドが跳ね上がる虞がある。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、小型で且つ動作信頼性に優れる開閉装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を踏まえ、フューエルリッドを係止する係止部を有し、中心軸まわりに回転可能に設けられ、前記係止部をフューエルリッドに係合させるロック姿勢と前記係止部をフューエルリッドから係脱させるアンロック姿勢との間を遷移し、且つ軸方向に移動可能に設けられ、フューエルリッドを閉じる押込位置とフューエルリッドを開く突出位置とを往復するプッシュロッドと、前記中心軸まわりに前記プッシュロッドに対して相対回転可能に前記プッシュロッドに組み付けられ、前記軸方向に前記プッシュロッドと一体に移動するフォロアと、前記プッシュロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、前記プッシュロッド及び前記フォロア並びに前記付勢部材を支持するケースと、を備え、前記ケースは、前記突出位置から前記押込位置への前記プッシュロッドの往動に応じて前記プッシュロッドを前記ロック姿勢に回転させ、また前記押込位置から前記突出位置への前記プッシュロッドの復動に応じて前記プッシュロッドを前記アンロック姿勢に回転させるロッド用カム部と、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に応じて、前記中心軸を中心とする所定の回転方向に前記フォロアを回転させるフォロア用カム部と、前記フォロアを係止し、前記付勢部材による付勢に抗して前記プッシュロッドを前記押込位置に保持する複数のフォロア係止部と、を有しており、前記複数のフォロア係止部は、前記中心軸を中心として、前記押込位置と前記突出位置とを1往復する前記プッシュロッドの移動に伴う前記フォロアの回転の回転角度おきに設けられているフューエルリッドの開閉装置を提供する。
【0012】
また、上記目的を踏まえ、前後に開閉するフラップを係止する係止部を有し、中心軸まわりに回転可能に設けられ、前記係止部をフラップに係合させるロック姿勢とアンロック姿勢との間で遷移し、且つ軸方向に移動可能に設けられ、フラップを閉じる押込位置とフラップを開く突出位置とを往復するプッシュロッドと、前記中心軸まわりに前記プッシュロッドに対して相対回転可能に前記プッシュロッドに組み付けられ、前記軸方向に前記プッシュロッドと一体に移動するフォロアと、前記プッシュロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、前記プッシュロッド及び前記フォロア並びに前記付勢部材を支持するケースと、を備え、前記ケースは、前記突出位置から前記押込位置への前記プッシュロッドの往動に応じて前記プッシュロッドを前記ロック姿勢に回転させ、また前記押込位置から前記突出位置への前記プッシュロッドの復動に応じて前記プッシュロッドを前記アンロック姿勢に回転させるロッド用カム部と、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に応じて、前記中心軸を中心とする所定の回転方向に前記フォロアを回転させるフォロア用カム部と、前記フォロアを係止し、前記付勢部材による付勢に抗して前記プッシュロッドを前記押込位置に保持する複数のフォロア係止部と、を有しており、前記複数のフォロア係止部は、前記中心軸を中心として、前記押込位置と前記突出位置とを1往復する際の前記プッシュロッドの移動に伴う前記フォロアの回転の回転角度おきに設けられているフラップの開閉装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型で且つ動作信頼性に優れる開閉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】例示的な実施形態を説明するための開閉装置の一例の構成を示す図である。
図2図1の開閉装置のプッシュロッドの動作を示す図である。
図3図1の開閉装置の詳細な構成を示す図である。
図4図3の開閉装置を分解して示す図である。
図5図3におけるV−V線断面を示し、図3の開閉装置のプッシュロッドを回転させるためのロッド用カム部の構成を示す図である。
図6図3におけるVI−VI線断面を示し、図3の開閉装置のフォロアを回転させるためのフォロア用カム部の構成を示す図である。
図7図3の開閉装置のプッシュロッド及びフォロアの構成を示す図である。
図8図3の開閉装置のプッシュロッドとロッド用カム部との係合及びフォロアとフォロア用カム部との係合を模式的に示す図である。
図9図3の開閉装置のプッシュロッド及びフォロアを回転させるカム機構の動作を模式的に示す図である。
図10図3の開閉装置のプッシュロッド及びフォロアを回転させるカム機構の動作を模式的に示す図である。
図11図3の開閉装置のプッシュロッドをロックする施錠部の構成を示す図である。
図12図11の施錠部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は例示的な実施形態を説明するための開閉装置の一例の構成を示す。
【0016】
図1に示す開閉装置1は、自動車の燃料補給口2を覆うフューエルリッド3の開閉装置である。フューエルリッド3は、ヒンジ4を介して車体5に組み付けられており、ヒンジ4を支点に回動して前後に開閉する。開閉装置1は、フューエルリッド3の自由端部の裏面に対向して配置され、車体5に組み付けられている。
【0017】
開閉装置1は、フューエルリッド3を開方向に押圧するプッシュロッド10を備えている。プッシュロッド10は、軸方向に移動可能に設けられており、閉方向へのフューエルリッド3に対する押し込み操作に伴って押し込まれる。開閉装置1は、押し込まれたプッシュロッド10を押込位置P1に保持してフューエルリッド3を閉じ、再度のフューエルリッド3に対する押し込み操作によってプッシュロッド10を突出位置P2まで突き出してフューエルリッド3を開く。
【0018】
また、プッシュロッド10は、中心軸Oまわりに回転可能に設けられており、押込位置P1と突出位置P2とを往復する際の軸方向の移動に伴って回転される。そして、プッシュロッド10の先端部には、フューエルリッド3を係止するリッド係止部11が設けられており、プッシュロッド10は、その回転に応じてリッド係止部11をフューエルリッド3に係合させてフューエルリッド3をロックし、またリッド係止部11をフューエルリッド3から係脱させてフューエルリッド3をアンロックする。
【0019】
リッド係止部11は、図示の例では、プッシュロッド10の中心軸Oに関して回転対称に、略長方形の板状に形成されている。そして、リッド係止部11と係合するフューエルリッド3の被係止部12には、リッド係止部11よりも若干大きい略長方形状に形成された開口12aが設けられており、被係止部12はリッド係止部11を収容可能に構成されている。
【0020】
図2はフューエルリッド3をロック/アンロックする際のプッシュロッド10の動作を示す。
【0021】
プッシュロッド10が突出位置P2にあるときに、プッシュロッド10は、リッド係止部11の長辺をフューエルリッド3の被係止部12の開口12aの長辺に略平行させる姿勢(アンロック姿勢)となっている。
【0022】
フューエルリッド3に対する押し込み操作に伴って、まず、プッシュロッド10のリッド係止部11がフューエルリッド3の被係止部12の開口12aを通して被係止部12に収容される。フューエルリッド3に対する更なる押し込み操作に伴って、プッシュロッド10は押し込まれ、押込位置P1に保持される。この突出位置P2から押込位置P1への往動の過程で、プッシュロッド10は所定の角度θで回転される。押込位置P1に保持されたプッシュロッド10は、リッド係止部11の長辺をフューエルリッド3の被係止部12の開口の長辺に交差させる姿勢(ロック姿勢)となっており、リッド係止部11を被係止部12に係合させている。これにより、フューエルリッド3は閉状態でロックされる。なお、本例では、プッシュロッド10の回転角度θは略90°とされている。
【0023】
フューエルリッド3に対する再度の押し込み操作に伴って、プッシュロッド10は、一旦押し込まれた後に突出位置P2まで移動される。この押込位置P1から突出位置P2への復動の過程で、プッシュロッド10は、往動の際とは逆方向に上記所定の角度で回転されて上記アンロック姿勢に遷移し、リッド係止部11をフューエルリッド3の被係止部12から係脱させる。これにより、フューエルリッド3はアンロックされる。
【0024】
図3及び図4は開閉装置1の詳細な構成を示す。
【0025】
開閉装置1は、上述のプッシュロッド10と、フォロア13と、プッシュロッド10を突出方向に付勢するコイルばね(付勢部材)14と、押込位置P1に保持されたプッシュロッド10をロックする施錠部15と、ケース16とを備えている。
【0026】
ケース16は、コイルばね14の反力を受け止めるベース(第1部材)20と、ベース20を車体5に固定するホルダ(第2部材)21とを含んで構成されている。ベース20は支持軸22を有しており、支持軸22はプッシュロッド10と同軸に配置されている。ホルダ21は、支持軸22の軸方向にベース20に組み付けられている。
【0027】
プッシュロッド10は、リッド係止部11が設けられている先端部を閉じられた略円筒状に形成されており、ベース20に設けられた支持軸22に外嵌している。プッシュロッド10は、支持軸22によって、軸方向に移動可能に且つ中心軸Oまわりに回転可能に支持されている。
【0028】
コイルばね14は、支持軸22に外嵌するプッシュロッド10の内部に収容され、支持軸22の軸方向中央部に形成された段差部22aとプッシュロッド10の先端部との間に挟まれている。コイルばね14は、プッシュロッド10の押込方向への移動に伴って圧縮され、プッシュロッド10を突出方向に付勢する。
【0029】
フォロア13は、中心軸Oまわりにプッシュロッド10に対して相対回転可能に且つプッシュロッド10の軸方向にプッシュロッド10と一体に移動するように構成されている。図示の例では、プッシュロッド10の基端部の外周面に、この外周面を周回する嵌合溝23が形成されており、フォロア13は、円環状に形成され、この嵌合溝23に外嵌している。
【0030】
なお、フォロア13を、プッシュロッド10の軸方向にプッシュロッド10と整列させてもよいが、図示の例のように、フォロア13をプッシュロッド10の嵌合溝23に外嵌させることにより、プッシュロッド10及びフォロア13の全長を短縮することができ、開閉装置1を小型化することができる。
【0031】
ケース16には、プッシュロッド10及びフォロア13を収容する収容部24が設けられている。収容部24は、略円筒状に形成されており、支持軸22と同軸に配置されている。そして、この収容部24には、プッシュロッド10を回転させるためのロッド用カム部25と、プッシュロッド10とは独立してフォロア13を回転させるためのフォロア用カム部26とが設けられており、プッシュロッド10には、ロッド用カム部25と係合してカム機構を構成する摺動子40が設けられ、また、フォロア13には、フォロア用カム部26と係合してカム機構を構成する複数の摺動子41が設けられている。
【0032】
以下、プッシュロッド10及びフォロア13を回転させるカム機構について説明する。
【0033】
図5はロッド用カム部25の構成を示し、図6はフォロア用カム部26の構成を示す。なお、図5及び図6において、支持軸22はその一部を破断して示されている。また、図7はプッシュロッド10及びフォロア13の構成を示し、併せてプッシュロッド10及びフォロア13のケース16への組み込み方法の一例を示す。また、図8はプッシュロッド10とロッド用カム部25との係合、及びフォロア13とフォロア用カム部26との係合を模式的に示す。なお、図8において、プッシュロッド10及びフォロア13は、それらの摺動子40,41のみが示されている。
【0034】
図5に示すように、ロッド用カム部25は、収容部24を内外に貫通して形成されたカム孔30及びガイド孔31,32を含んで構成されている。
【0035】
カム孔30は、支持軸22を中心に螺旋状に延びて形成されており、その旋回角度θは、上記アンロック姿勢から上記ロック姿勢に遷移し、また、その逆に遷移する際のプッシュロッド10の回転角度θに対応した角度(略90°)とされている。
【0036】
ガイド孔31は、支持軸22の先端側に位置するカム孔30の端に連なり、支持軸22に沿って延びて形成されている。ガイド孔32は、支持軸22の基端側に位置するカム孔30の端に連なり、支持軸22に沿って延びて形成されている。
【0037】
図6に示すように、フォロア用カム部26は、収容部24の内径側に突出して形成された第1カム突起33及び複数の第2カム突起34を含んで構成されている。そして、このフォロア用カム部26には、押込位置P1と突出位置P2とを往復する際のプッシュロッド10の軸方向の移動に伴うフォロア13の軸方向の移動を案内する複数のフォロアガイド部35と、コイルばね14による付勢に抗してプッシュロッド10を押込位置P1に保持するようにフォロア13を係止する複数のフォロア係止部36とが設けられている。
【0038】
第1カム突起33は、収容部24の底に設けられており、環状に形成されている。支持軸22の先端側に位置する第1カム突起33の端部には、支持軸22を中心とする所定の回転方向Aに下り勾配となるカム面33aが繰り返し形成されている。
【0039】
第2カム突起34は、支持軸22に沿って延びて形成されており、支持軸22の軸方向に第1カム突起33との間に間隔をあけて配置され、且つ支持軸22を中心に所定の角度φおきに互いに間隔をあけて配置されている。そして、支持軸22の基端側に位置する第2カム突起34の端部には、第1カム突起33のカム面33aとは逆に回転方向Aに上り勾配となるカム面34a,34bが形成されている。両カム面34a,34bは不連続となっており、それらの間には支持軸22の軸方向に段差が設けられている。なお、本例では、第2カム突起34の配置角度φは略60°とされている。
【0040】
閉じ括弧
フォロアガイド部35は、隣り合う二つの第2カム突起34の間に、支持軸22に沿って延びる溝として構成されている。
【0041】
フォロア係止部36は、カム面34a,34bが形成されている第2カム突起34の端部に設けられている。図示の例では、両カム面34a,34bの間の段差として構成されている。なお、フォロア係止部36は、両カム面34a,34bとの間で、支持軸22に沿って延びる溝として構成することもできる。
【0042】
図8も参照して、フォロアガイド部35及びフォロア係止部36は交互に配置されており、且つフォロアガイド部35の群は、第2カム突起34の配置に従って支持軸22を中心に角度φおきに配置されており、フォロア係止部36の群もまた第2カム突起34の配置に従って支持軸22を中心に角度φおきに配置されている。そして、フォロアガイド部35及びフォロア係止部36は、第1カム突起33のいずれかのカム面33aの下縁の直上に配置され、回転方向Aに隣り合う二つのカム面33aに跨って配置されている。
【0043】
図7及び図8に示すように、プッシュロッド10の摺動子40は、プッシュロッド10の外径側に突出して形成されており、ロッド用カム部25のカム孔30に挿通される。そして、摺動子40は、プッシュロッド10が押込方向に移動されるのに伴って、支持軸22の先端側を向くカム孔30の側面(カム面)30aを摺動し、また、プッシュロッド10が突出方向に移動されるのに伴って、支持軸22の基端側を向くカム孔30の側面(カム面)30bを摺動し、カム孔30に沿って移動される。それにより、プッシュロッド10は正逆回転される。
【0044】
また、フォロア13の複数の摺動子41は、フォロア13の外径側に突出して形成され、プッシュロッド10の中心軸Oを中心に角度φおきに互いに間隔をあけて配置されており、フォロア用カム部26の第1カム突起33と第2カム突起34との間に収容される。そして、摺動子41は、プッシュロッド10が押込方向に移動されるのに伴って、第1カム突起33のカム面33aを摺動し、また、プッシュロッド10が突出方向に移動されるのに伴って、第2カム突起34のカム面34a,34bを摺動する。それにより、フォロア13は回転方向Aに回転される。なお、カム面33aに摺接する摺動子41の接触面41aはカム面33aと整合する傾斜面とされており、またカム面34a,34bに摺接する摺動子41の接触面41bはカム面34a,34bと整合する傾斜面とされている。
【0045】
ここで、収容部24は、ロッド用カム部25のカム孔30及びガイド孔31,32に沿って第1部分24aと第2部分24bとに二分割されている。
【0046】
第1部分24aは、ベース20に設けられており、プッシュロッド10が押込方向に移動されるのに伴ってプッシュロッド10の摺動子40が摺動するカム孔30の側面30aと、フォロア13の摺動子41が摺動する第1カム突起33のカム面33aとを含んで構成されている。
【0047】
第2部分24bは、ホルダ21に設けられており、プッシュロッド10が突出方向に移動されるのに伴ってプッシュロッド10の摺動子40が摺動するカム孔30の側面30bと、フォロア13の摺動子41が摺動する第2カム突起34のカム面34a,34bとを含んで構成されている。
【0048】
以上の構成において、プッシュロッド10及びフォロア13が支持軸22に装着された状態で、ベース20に対してホルダ21を組み付けるようにすれば、自ずとプッシュロッド10の摺動子40はカム孔30に挿通され、またフォロア13の複数の摺動子41の各々は、第1カム突起33と複数の第2カム突起34のうちの対応する第2カム突起34との間にそれぞれ配置されて、プッシュロッド10及びフォロア13が収容部24に収容される。それにより、開閉装置1の組み立てが容易となる。
【0049】
図9(A)〜図9(E)は突出位置P2から押込位置P1へのプッシュロッド10の往動に伴うカム機構の動作を模式的に示し、図10(A)〜図10(E)は押込位置P1から突出位置P2へのプッシュロッド10の復動に伴うカム機構の動作を示す。なお、図9(A)〜図9(E)、及び図10(A)〜図10(E)において、フォロア13の複数の摺動子41は、一部を省略して一つのみ示されている。
【0050】
まず、プッシュロッド10の往動に伴うカム機構の動作を説明する。
【0051】
図9(A)に示すように、プッシュロッド10が突出位置P2にあるとき、プッシュロッド10の摺動子40はロッド用カム部25のガイド孔31に位置しており、また、フォロア13の摺動子41はフォロア用カム部26のフォロアガイド部35に位置している。なお、図示の例では、摺動子41をフォロアガイド部35の閉塞端の端面35aに当接させることによってフォロア13が係止され、それによりプッシュロッド10は突出位置P2に保持されている。
【0052】
図9(B)に示すように、フューエルリッド3に対する押し込み操作に伴って、プッシュロッド10が押し込まれる。プッシュロッド10の押込方向への移動に伴って、プッシュロッド10の摺動子40がカム孔30に進入する。一方、フォロア13の摺動子41は、依然としてフォロアガイド部35に位置している。
【0053】
続いて、図9(C)に示すように、プッシュロッド10の押込方向への更なる移動に伴って、プッシュロッド10の摺動子40がカム孔30の側面30aを摺動する。それにより、プッシュロッド10はカム孔30の旋回角度θだけ回転される。この過程で、プッシュロッド10は、上述のとおりリッド係止部11をフューエルリッド3に係合させ、フューエルリッド3をロックする。一方、フォロア13の摺動子41は、依然としてフォロアガイド部35に位置しており、フォロア13は回転されることなく軸方向に移動される。
【0054】
続いて、図9(D)に示すように、プッシュロッド10の押込方向への更なる移動に伴って、プッシュロッド10の摺動子40はガイド孔32に進入する。以後、プッシュロッド10は回転されることなく軸方向に移動される。一方、フォロア13の摺動子41は、フォロアガイド部35から脱し、摺接面41aを下に位置する第1カム突起33のカム面33aに係合させ、このカム面33aを摺動する。それにより、フォロア13は回転方向Aに回転される。
【0055】
そして、図9(E)に示すように、フューエルリッド3に対する押し込み操作が解除されると、プッシュロッド10はコイルばね14に付勢されて突出方向に移動される。このプッシュロッド10の突出方向への移動に伴い、フォロア13の摺動子41は、摺接面41bを上に位置する第2カム突起34のカム面34aに係合させ、このカム面34aを摺動する。摺動子41とカム面33a,34aとの係合によりフォロア13は回転方向Aに角度φ1回転され、摺動子41をフォロア係止部36に係合させ、フォロア係止部36によって係止される。それにより、プッシュロッド10は押込位置P1に保持される。
【0056】
次に、プッシュロッド10の復動に伴うカム機構の動作を説明する。
【0057】
図10(A)に示すように、プッシュロッド10が押込位置P1にあるとき、プッシュロッド10の摺動子40はロッド用カム部25のガイド孔32に位置しており、また、フォロア13の摺動子41はフォロア用カム部26のフォロア係止部36に位置している。
【0058】
図10(B)に示すように、フューエルリッド3に対する押し込み操作に伴って、プッシュロッド10が一旦押し込まれる。プッシュロッド10の押込方向への移動に伴って、フォロア13の摺動子41は、フォロア係止部36を脱し、摺接面41aを下に位置する第1カム突起33のカム面33aに係合させ、このカム面33aを摺動する。それにより、フォロア13は回転方向Aに回転される。一方、プッシュロッド10の摺動子40は、依然としてガイド孔32に位置しており、プッシュロッド10は回転されることなく軸方向に移動される。
【0059】
続いて、図10(C)に示すように、フューエルリッド3の押し込み操作が解除されると、プッシュロッド10はコイルばね14に付勢されて突出方向に移動される。プッシュロッド10の突出方向への移動に伴い、フォロア13の摺動子41は、摺接面41bを上に位置する第2カム突起34のカム面34bに係合させ、このカム面34bを摺動する。摺動子41とカム面33a,34bとの係合によりフォロア13は回転方向Aに角度φ2回転され、摺動子41をフォロアガイド部35に進入させる。
【0060】
続いて、図10(D)に示すように、プッシュロッド10の突出方向への更なる移動に伴って、プッシュロッド10の摺動子40がカム孔30に進入し、カム孔30の側面30bを摺動する。それにより、プッシュロッド10は、カム孔30の旋回角度θだけ回転される。その際、プッシュロッド10は、上述のとおりリッド係止部11をフューエルリッド3から係脱させ、フューエルリッド3をアンロックする。
【0061】
そして、図10(E)に示すように、フォロア13の摺動子41がフォロアガイド部35の閉塞端の端面35aに当接し、フォロア13が係止される。それにより、プッシュロッド10は突出位置P2に保持される。
【0062】
フューエルリッド3に対する押し込み操作毎に、以上のカム機構の動作が交互に繰り返され、プッシュロッド10は角度θで正方向及び逆方向に交互に回転され、フォロア13は回転方向Aに角度φ1及び角度φ2で交互に回転される。そして、フューエルリッド3に対する二度の押し込み操作によって、プッシュロッド10は押込位置P1と突出位置P2とを1往復し、その過程でプッシュロッド10は角度θで正逆回転されて元の姿勢に復帰し、フォロア13は、フォロアガイド部35やフォロア係止部36の配置角度であり複数の摺動子41の配置角度でもある角度φ(φ=φ1+φ2)で回転されて元の姿勢に復帰する。なお、図示の例では、プッシュロッド10の往動の過程でのフォロア13の回転角度φ1と、プッシュロッド10の復動の過程でのフォロア13の回転角度φ2とはいずれも略30°とされているが、互いに異なっていてもよい。
【0063】
ここで、フォロア13の回転角度φ1,φ2(略30°)と、プッシュロッド10の回転角度θ(略90°)とは互いに異なり、フォロア13の回転角度φ1,φ2が相対的に小さく、プッシュロッド10の回転角度θが相対的に大きくなるように設定されている。フォロア13の回転角度φ1,φ2を相対的に小さくすることにより、フォロア13を円滑に回転させるに足るカム面33a,34a,34bの勾配を維持して、これらのカム面33a,34a,34bの軸方向の長さl1,l2,l3を、カム孔30の側面30a,30bの軸方向の長さLよりも短くでき、開閉装置1を小型化することができる。一方、プッシュロッド10の回転角度θを相対的に大きくすることにより、プッシュロッド10のリッド係止部11とフューエルリッド3の被係止部12との係合代を十分に確保して、フューエルリッド3のロック強度を高めることができる。
【0064】
また、図9(A)〜図9(E)に示したプッシュロッド10の往動の過程で、プッシュロッド10の摺動子40がカム孔30の側面30aに係合し、その後にフォロア13の摺動子41が第1カム突起33のカム面33aに係合しており、プッシュロッド10の回転が先に開始されている。プッシュロッド10の回転を先に開始させることにより、フォロア13の回転が開始される時点で、プッシュロッド10のリッド係止部11とフューエルリッド3の被係止部12との間に両者の係合を維持するに足る係合代を確保しておくことができる。それにより、プッシュロッド10が最も押し込まれる手前でフューエルリッド3に対する押し込み操作が中止された場合に、コイルばね14に付勢されてプッシュロッド10は突出方向に移動されるが、その際のフォロア13の摺動子41と第2カム突起34のカム面34aとの係合に伴う衝撃によってリッド係止部11と被係止部12との係合が外れてしまうことを防止でき、プッシュロッド10のみが押込位置P1に保持されてしまうことを防止できる。好ましくは、摺動子40がカム孔30の側面30aから係脱してプッシュロッド10の回転が完了すると同時に、若しくはプッシュロッド10の回転が完了した後に、摺動子41が第1カム突起33のカム面33aに係合してフォロア13の回転が開始される。
【0065】
なお、プッシュロッド10の往動の過程でのプッシュロッド10及びフォロア13の回転開始のタイミングの相対的な関係は、プッシュロッド10の摺動子40とフォロア13の摺動子41との間の軸方向の距離D1、及び摺動子40との係合の始点となるカム孔30の側面30aの上縁と摺動子41との係合の始点となる第1カム突起33のカム面33aの上縁との間の軸方向の距離d1の関係に基づいて適宜設定でき、距離d1を距離D1よりも大きくすることによって、プッシュロッド10の回転を先に開始させることができる。
【0066】
また、図10(A)〜図10(E)に示したプッシュロッド10の復動の過程で、フォロア13の摺動子41が第2カム突起34のカム面34bから係脱し、その後にプッシュロッド10の摺動子40がカム孔30の側面30bから係脱しており、フォロア13の回転が先に完了されている。フォロア13の回転を先に完了させることにより、フォロア13の摺動子41がフォロアガイド部35に係合する時点で、プッシュロッド10のリッド係止部11とフューエルリッド3の被係止部12との係合を維持しておき、プッシュロッド10に押圧されたフューエルリッド3が跳ね上がることを防止できる。好ましくは、摺動子41が第2カム突起34のカム面34bから係脱してフォロア13の回転が完了すると同時に、若しくはフォロア13の回転が完了した後に、摺動子40がカム孔30の側面30bに係合してプッシュロッド10の回転が開始される。
【0067】
なお、プッシュロッド10の復動の過程でのプッシュロッド10及びフォロア13の回転完了のタイミングの相対的な関係は、プッシュロッド10の摺動子40とフォロア13の摺動子41との間の軸方向の距離D2、及び摺動子40との係合の終点となるカム孔30の側面30bの上縁と摺動子41との係合の終点となる第2カム突起34のカム面34bの上縁との間の軸方向の距離d2の関係に基づいて適宜設定でき、距離d2を距離D2よりも大きくすることによって、フォロア13の回転を先に完了させることができる。
【0068】
次に、施錠部15について説明する。
【0069】
図11及び図12は施錠部15の構成を示す。
【0070】
施錠部15は、プッシュロッド10を係止する係止部材50と、係止部材50を駆動するモータ51及びウォームギヤ52とを含んで構成されている。
【0071】
モータ51は、図示しない車両の制御部によって制御されており、例えば車両のドアに設けられるドアラッチ装置のロック/アンロック動作に連動して、ドアがロックされた際にプッシュロッド10を係止し、ドアがアンロックされた際にプッシュロッド10を解放するように、係止部材50を駆動する。
【0072】
係止部材50は、プッシュロッド10の中心軸Oと略直交する方向に前後移動可能にベース20に支持されており、モータ51及びウォームギヤ52によって移動される。係止部材50には、収容部24を構成する第1部分24aの外周に沿うように形成された係止部53が設けられており、この係止部53には、収容部24のガイド孔32(図5参照)に重なり、ガイド孔32の延在方向に交差する一組の対向側面を有する係止溝54が形成されている。
【0073】
フューエルリッド3を閉状態でロックする押込位置P1にプッシュロッド10があるときに、プッシュロッド10の摺動子40は、上述のとおり収容部24のガイド孔32に位置しており、このガイド孔32を通して収容部24の外径側に突出している。このとき、係止部材50がプッシュロッド10に向けて移動されると、摺動子40は、係止溝54に収容され、ガイド孔32の対向側面及び係止溝54の対向側面に囲まれて移動不能に保持される。それにより、プッシュロッド10は押込位置P1に保持された状態でロックされ、フューエルリッド3の閉状態でのロックがより確実なものとなる。
【0074】
一方、プッシュロッド10が突出位置P2にあるときに、プッシュロッド10の摺動子40は、上述のとおり収容部24のガイド孔31に位置しており、このガイド孔31を通して収容部24の外径側に突出している。このとき、係止部材50がプッシュロッド10に向けて移動されたとしても、係止部53と摺動子40の端面40aとが当接し、係止部材50はその移動を阻止される。それにより、プッシュロッド10の誤ロックが防止される。
【0075】
このように、摺動子40を係止部材50によって係止してプッシュロッド10をロックするようにすれば、係止部材50と係合する係合部をプッシュロッド10に別途設けておく必要がなく、プッシュロッド10の構成を簡素化することができる。
【0076】
なお、係止部材50には、ケース16の外側に露呈する操作部55が設けられており、例えば車両の電気系統に不具合が生じてモータ51の駆動に支障が生じた際などには、操作部55に対する手動操作によって、プッシュロッド10と係止部材50との係合を解除することができる。
【0077】
以上説明したとおり、開閉装置1では、プッシュロッド10の軸方向の移動に伴ってプッシュロッド10とフォロア13とが互いに独立して回転されるように構成されており、フューエルリッド3をロック/アンロックするためのプッシュロッド10の回転の角度及びタイミング、並びにプッシュロッド10を押込位置P1に保持するためのフォロア13の回転の角度及びタイミングを、各々適正に設定することができる。それにより、開閉装置1の動作信頼性を高めることができる。
【0078】
そして、開閉装置1では、フォロア13がプッシュロッド10に対して相対回転可能に且つ軸方向にプッシュロッド10と一体に移動するようにプッシュロッド10に組み付けられており、プッシュロッド10の軸方向の移動をフォロア13に伝達するリンクが不要である。それにより、開閉装置1を小型化することができる。
【0079】
なお、上述した開閉装置1の構成は、フューエルリッド3と同様に、前後に開閉する扉や蓋などのフラップの開閉装置にも適用することができる。
【0080】
本開示には、以下の事項が開示されている。
【0081】
(1) フューエルリッドを係止する係止部を有し、中心軸まわりに回転可能に設けられ、前記係止部をフューエルリッドに係合させるロック姿勢と前記係止部をフューエルリッドから係脱させるアンロック姿勢との間を遷移し、且つ軸方向に移動可能に設けられ、フューエルリッドを閉じる押込位置とフューエルリッドを開く突出位置とを往復するプッシュロッドと、前記中心軸まわりに前記プッシュロッドに対して相対回転可能に前記プッシュロッドに組み付けられ、前記軸方向に前記プッシュロッドと一体に移動するフォロアと、前記プッシュロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、前記プッシュロッド及び前記フォロア並びに前記付勢部材を支持するケースと、を備え、前記ケースは、前記突出位置から前記押込位置への前記プッシュロッドの往動に応じて前記プッシュロッドを前記ロック姿勢に回転させ、また前記押込位置から前記突出位置への前記プッシュロッドの復動に応じて前記プッシュロッドを前記アンロック姿勢に回転させるロッド用カム部と、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に応じて、前記中心軸を中心とする所定の回転方向に前記フォロアを回転させるフォロア用カム部と、を有しており、前記フォロア用カム部は、前記フォロアを係止することによって前記付勢部材による付勢に抗して前記プッシュロッドを前記押込位置に保持する複数のフォロア係止部を含み、該複数のフォロア係止部は、前記中心軸を中心として、前記押込位置と前記突出位置とを1往復する際の前記プッシュロッドの移動に伴う前記フォロアの回転の回転角度おきに設けられているフューエルリッドの開閉装置。
(2) (1)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に伴う前記フォロアの回転の回転角度と、前記ロック姿勢と前記アンロック姿勢との間の前記プッシュロッドの回転角度とは互いに異なるフューエルリッドの開閉装置。
(3) (2)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に伴う前記フォロアの回転の回転角度は、前記ロック姿勢と前記アンロック姿勢との間の前記プッシュロッドの回転角度よりも小さいフューエルリッドの開閉装置。
(4) (3)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記フォロアの回転に伴って該フォロアに摺接する前記フォロア用カム部のカム面の前記軸方向の長さは、前記プッシュロッドの回転に伴って該プッシュロッドに摺接する前記ロッド用カム部のカム面の前記軸方向の長さよりも短いフューエルリッドの開閉装置。
(5) (1)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記プッシュロッドの前記往動において、前記プッシュロッドの回転に伴って該プッシュロッドに摺接する前記ロッド用カム部のカム面と前記プッシュロッドとが係合するタイミングと、前記フォロアの回転に伴って該フォロアに摺接する前記フォロア用カム部のカム面と前記フォロアとが係合するタイミングとは互いに異なるフューエルリッドの開閉装置。
(6) (5)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面に係合し、その後に前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面に係合するフューエルリッドの開閉装置。
(7) (6)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面から係脱し、それと同時に又はその後に前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面に係合するフューエルリッドの開閉装置。
(8) (1)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記プッシュロッドの前記復動において、前記プッシュロッドの回転に伴って該プッシュロッドに摺接する前記ロッド用カム部のカム面から前記プッシュロッドが係脱するタイミングと、前記フォロアの回転に伴って該フォロアに摺接する前記フォロア用カム部のカム面から前記フォロアが係脱するタイミングとは互いに異なるフューエルリッドの開閉装置。
(9) (8)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面から係脱し、その後に前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面から係脱するフューエルリッドの開閉装置。
(10) (9)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記フォロアが前記フォロア用カム部の前記カム面から係脱し、それと同時に又はその後に前記プッシュロッドが前記ロッド用カム部の前記カム面に係合するフューエルリッドの開閉装置。
(11) (1)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記フォロアは、環状に形成され、前記プッシュロッドに外嵌しているフューエルリッドの開閉装置。
(12) (1)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記ケースは、第1部材と、前記軸方向に該第1部材に組み付けられる第2部材とを含み、前記プッシュロッドが押込方向に移動される際に該プッシュロッドが摺動する前記ロッド用カム部のカム面及び前記フォロアが摺動する前記フォロア用カム部のカム面は前記第1部材に設けられており、前記プッシュロッドが突出方向に移動される際に該プッシュロッドが摺動する前記ロッド用カム部のカム面及び前記フォロアが摺動する前記フォロア用カム部のカム面は前記第2部材に設けられているフューエルリッドの開閉装置。
(13) (1)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記プッシュロッドが押込位置に保持された状態で該プッシュロッドをロックする施錠部をさらに備えるフューエルリッドの開閉装置。
(14) (13)に記載のフューエルリッドの開閉装置であって、前記施錠部は、前記プッシュロッドの前記ロッド用カム部との係合部を係止するフューエルリッドの開閉装置。
(15) 前後に開閉するフラップを係止する係止部を有し、中心軸まわりに回転可能に設けられ、前記係止部をフラップに係合させるロック姿勢とアンロック姿勢との間で遷移し、且つ軸方向に移動可能に設けられ、フラップを閉じる押込位置とフラップを開く突出位置とを往復するプッシュロッドと、前記中心軸まわりに前記プッシュロッドに対して相対回転可能に前記プッシュロッドに組み付けられ、前記軸方向に前記プッシュロッドと一体に移動するフォロアと、前記プッシュロッドを突出方向に付勢する付勢部材と、前記プッシュロッド及び前記フォロア並びに前記付勢部材を支持するケースと、を備え、前記ケースは、前記突出位置から前記押込位置への前記プッシュロッドの往動に応じて前記プッシュロッドを前記ロック姿勢に回転させ、また前記押込位置から前記突出位置への前記プッシュロッドの復動に応じて前記プッシュロッドを前記アンロック姿勢に回転させるロッド用カム部と、前記プッシュロッドの前記往動及び前記復動に応じて、前記中心軸を中心とする所定の回転方向に前記フォロアを回転させるフォロア用カム部と、を有しており、前記フォロア用カム部は、前記フォロアを係止することによって前記付勢部材による付勢に抗して前記プッシュロッドを前記押込位置に保持する複数のフォロア係止部を含み、該複数のフォロア係止部は、前記中心軸を中心として、前記押込位置と前記突出位置とを1往復する際の前記プッシュロッドの移動に伴う前記フォロアの回転の回転角度おきに設けられているフラップの開閉装置。
【符号の説明】
【0082】
1 開閉装置
2 燃料補給口
3 フューエルリッド
10 プッシュロッド
11 リッド係止部
13 フォロア
14 コイルばね
16 ケース
25 ロッド用カム部
26 フォロア用カム部
36 フォロア係止部
図1
図2
図3
図4
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図12