(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132307
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】防水カバーおよび防水通信セット
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1459 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
A61B5/14 321
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-202512(P2013-202512)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-66126(P2015-66126A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】萩 浩司
【審査官】
▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−525269(JP,A)
【文献】
特開2011−212117(JP,A)
【文献】
特開2010−194130(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3038365(JP,U)
【文献】
特開2005−087726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/05
A61B 5/145 − 5/1495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器との間で生体情報に関するデータを無線通信可能で主アンテナを備える通信装置が体表面に取り付けられた状態において、当該通信装置を覆いうるカバー本体と、
当該カバー本体に設けられており、前記通信装置に取り付け可能である増強アンテナと、
を有し、
前記カバー本体が略筒状であり、前記増強アンテナは、金属製の線材が、前記カバー本体の内周面に沿って螺旋状に巻回された立体構造を有するように、前記カバー本体の内側に配置されており、前記主アンテナの巻き回し長よりも長い巻き回し長を有する、防水カバー。
【請求項2】
前記生体情報は、血糖値である請求項1に記載の防水カバー。
【請求項3】
外部機器と、
当該外部機器との間で生体情報に関するデータを無線通信可能で主アンテナを備える通信装置と、
前記通信装置が体表面に取り付けられた状態において、前記通信装置を覆いうるカバー本体と、
当該カバー本体に設けられており、前記通信装置に取り付け可能である増強アンテナと、
を有し、
前記カバー本体が略筒状であり、前記増強アンテナは、金属製の線材が、前記カバー本体の内周面に沿って螺旋状に巻回された立体構造を有するように、前記カバー本体の内側に配置されており、前記主アンテナの巻き回し長よりも長い巻き回し長を有する、防水通信セット。
【請求項4】
前記生体情報は、血糖値である請求項3に記載の防水通信セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水カバーおよび防水通信セットに関する。
【背景技術】
【0002】
継続的に血糖値を測定する連続血糖計がある。連続血糖計は、体表面に取り付けられて血液から血糖値に関するデータを取得する通信装置と、通信装置と無線通信可能な外部機器と、を備える(例えば特許文献1参照)。使用者は、通信装置と外部機器とが通信することによって血糖値を知ることができるため、通信装置と外部機器とは継続的に通信する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−526137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通信装置と外部機器との継続的な通信が困難になる状況がある。例えば、入浴の際、使用者が外部機器を脱衣所に置いたまま浴室に通信機器を携行すると、外部機器と通信装置との間の距離が開き、通信が途絶えることがある。通信装置または外部機器に低血糖状態や高血糖状態を知らせるアラーム機能があったとしても、通信が途絶えた状態ではアラーム機能は働かず、使用者はそれらの状態を知ることができない。著しい低血糖状態または高血糖状態が放っておかれると、命にかかわる危険がある。そのため、連続的な通信を確保することが望ましい。
【0005】
また、体表面に取り付けられる通信装置は、皮膚のかぶれ等の軽減やユーザビリティの観点からできるたけ小さくすることが望まれるが、それに伴って外部機器との通信を確保するためのアンテナの大きさも制限される。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、無線通信が途切れ難く連続的な通信が確保され易い防水カバーおよび防水通信セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の防水カバーは、外部機器との間で生体情報に関するデータを無線通信可能な通信装置が体表面に取り付けられた状態において、通信装置を覆いうるカバー本体と、カバー本体に設けられており、通信装置に取り付け可能である増強アンテナと、を有する。
【0008】
上記目的を達成するための本発明の防水通信セットは、外部機器と、外部機器との間で生体情報に関するデータを無線通信可能な通信装置と、通信装置が体表面に取り付けられた状態において、通信装置を覆いうるカバー本体と、カバー本体に設けられており、通信装置に取り付け可能である増強アンテナと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、増強アンテナによって通信装置と外部機器との間の通信可能な距離が伸びるため、無線通信が途切れ難く連続的な通信が確保され易い。
【0010】
また、前記増強アンテナの巻き回し長は、前記通信装置に装備される主アンテナの巻き回し長よりも長ければ、使用する電磁波の波長により適したものとすることができるため、通信装置と外部機器との間の通信可能な距離がより効果的に伸び、連続的な通信がより確実に確保される。
【0011】
前記生体情報は、血糖値であるようにすれば、血糖値に関するデータが通信装置と外部機器との間で無線通信され、また、これが途切れ難いため、継続的に血糖値を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の防水カバーおよびこれを含む防水通信セットの構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施形態の増強アンテナの巻き回し長を示した
図1の2−2線に沿う断面図である。
【
図3】実施形態の通信装置に装備される主アンテナの巻き回し長を示した
図1の矢印3から見た矢視図である。
【
図4】実施形態の防水カバーおよびこれを含む防水通信セットの使用形態を模式的に示す図である。
【
図5】増強アンテナの変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】防水カバーの変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図7】防水カバーの他の変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す防水カバーおよびこれを含む防水通信セットの使用形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態およびその変形例を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率と異なる。
【0014】
図1に示すように、実施形態の防水通信セット10は、互いに無線通信する通信装置11および外部機器12を含む。通信装置11および外部機器12は、協働して継続的に血糖値を計測する。さらに、防水通信セット10は、通信装置11を覆いうるカバー本体13およびカバー本体13に設けられた増強アンテナ14を有する防水カバー15を含む。
【0015】
通信装置11は、使用者の皮下に穿刺される、中空形状を有するガイド針110を有する。通信装置11は、ガイド針110の基端側に設けられた通信装置本体111を有する。通信装置11は、ガイド針110の内部に、血液中のグルコースを検出するセンサ112を有する。通信装置本体111は、血糖値に関するデータとして、センサ112の検出結果に対応した電磁波を外部機器12に送信する主アンテナ113を備える。通信装置本体111には、増強アンテナ14に電気的に接続するために、増強アンテナ14のコネクタ140を着脱可能な挿入孔114が設けられている。通信装置本体111は各部に電力を供給するバッテリを含む。
【0016】
センサ112は、例えば公知の蛍光センサである。蛍光センサは、グルコースの量に応じた蛍光を発する蛍光物質、および蛍光物質からの蛍光を受けるフォトダイオードを含む。蛍光センサは、血液中のグルコースの濃度に対応した蛍光量をフォトダイオードによって電気信号に変える。センサ112は、ガイド針110の内部を通る配線によって通信装置本体111の内部に備えられた電子回路と電気的に接続する。
【0017】
外部機器12は、外部機器12全体を制御する制御部120と、ディスプレイ121と、を有する。また、図示は省略するが、外部機器12は、アラームおよび音声メッセージを発するスピーカと、各部に電力を供給するバッテリと、通信装置11から送信される血糖値に関するデータを受信するアンテナと、を有する。外部機器12は、過去に計測された血糖値データを呼び出す等、外部機器12に所定の動作を行わせるための操作ボタンを有する。
【0018】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する各種プログラムを格納するメモリと、を含む。メモリは、例えば、血糖値を算出するためのプログラム、通信装置11と通信するための通信プログラム、およびアラーム等の音データを格納している。制御部120は、通信装置11から受信した血糖値に関するデータから血糖値を算出する。算出した血糖値はディスプレイ121に表示される。
【0019】
カバー本体13は、腕を通すことができる略筒状のアームカバーである。環状のゴムバンド130が、腕を通すための両端の開口部に取り付けられている。カバー本体13は、好ましくは防水性を有する材料によって形成される。カバー本体13を形成する材料は、例えばビニール、ポリウレタン、ナイロンである。
【0020】
増強アンテナ14は、金属製の線材が螺旋状に巻回された構成を有する。増強アンテナ14は、カバー本体13の内側に配置されている。増強アンテナ14は、カバー本体13と一体的に形成されている。増強アンテナ14を形成する材料は、例えば、銅等の金属である。
【0021】
増強アンテナ14および主アンテナ113について、
図2および
図3を参照して説明する。
図2に示すように、増強アンテナ14の巻き回し長は、円周状に巻き回した線材の円周長である。また、
図3に示すように、主アンテナ113の巻き回し長は、矩形形状に1回巻き回した金属製のラインの長さである。
図2および
図3を比較して分かるように、増強アンテナ14の巻き回し長は、主アンテナ113の巻き回し長よりも長い。無線通信に使用する電磁波の波長に適した巻き回し長とすることで、通信可能な距離が伸びる。主アンテナ113は、平面内でラインが矩形形状に1回巻き回されたパターンを形作って構成される。このラインは、銅等の金属箔、蒸着もしくは印刷した金属、または細い金属製の線材によって形成される。
【0022】
次に、防水通信セット10の使用例について説明する。
【0023】
図4に示すように、使用者は通信装置11を腕に取り付けて用いる。ガイド針110が腕を穿刺した状態において、通信装置本体111は両面テープによって腕に固定される。使用者は、カバー本体13を腕に嵌め、通信装置11を覆う。カバー本体13の内側では防水性が確保される。ゴムバンド130は、カバー本体13の内側への水の侵入を防ぐ。
【0024】
使用者は、コネクタ140を挿入孔114に挿入し、増強アンテナ14を通信装置11に取り付ける。増強アンテナ14と通信装置11とはコネクタ140によって電気的に接続する。増強アンテナ14は柔軟性を有し、腕の動きに応じて変形する。通信装置11が得た血糖値に関するデータは、通信装置本体111から増強アンテナ14を介して外部機器12に送信される。
【0025】
通信装置11は、一定の時間間隔で、血糖値に関するデータを継続的に取得して外部機器12に送信する。外部機器12は受信したデータから血糖値を算出する。使用者は、例えば、血糖値の日内変動、および過去数カ月間の血糖値の平均値を知ることができる。これらの値は外部機器12に備えられる操作ボタンを操作することによって、ディスプレイ121に表示される。外部機器12は、血糖値が所定の値を下回る低血糖状態または所定の値を上回る高血糖状態となると、アラームによって使用者に知らせる。
【0027】
本実施形態では、通信装置11が装備する主アンテナ113の他に増強アンテナ14が備えられるので、通信装置11と外部機器12との間の通信可能な距離が伸びる。このため、通信装置11と外部機器12との間の無線通信が途切れ難く、連続的な通信が確保され易い。
【0028】
通信が確保される結果、使用者は継続的に血糖値の状態を知ることができるので、著しい低血糖状態または高血糖状態等が看過され難くなり、そのため安全性が増す。
【0029】
増強アンテナ14の巻き回し長は、主アンテナ113の巻き回し長よりも長く、無線通信に使用する電磁波の波長により適した長さである。このため、通信装置11と外部機器12との間の通信可能な距離がより効果的に伸び、連続的な通信がより確実に確保される。
【0030】
また、
図1に示すように、カバー本体13が略筒状である場合には、増強アンテナを螺旋構造などの立体的な構造とすることができ、無線送信強度をより強くすることができる。
【0031】
カバー本体13が、通信装置11が濡れるのを防ぐため、例えば入浴等の水を使用する環境下でも通信装置11の故障を防いで血糖値を継続的に計測できる。
【0032】
<変形例1>
図5および
図6に示すように、変形例1の防水カバー25では、上述の実施形態の増強アンテナ14の代わりに、これと異なる構成を有する増強アンテナ24が用いられる。通信装置11、外部機器12、およびカバー本体13については上述の実施形態と同様であるため、ここでの重複する説明を省略する。
【0033】
図5に示すように、増強アンテナ24は、平板形状を有する基材240と、矩形形状に1回巻き回された金属製のライン241と、基材240から引き出されたコネクタ242と、を有する。基材240は可撓性を有する。ライン241は基材240の平面内に形成される。ライン241は、銅等の金属箔、蒸着もしくは印刷した金属、または細い金属製の線材によって形成される。ライン241の巻き回し長は、好ましくは通信装置11に装備される主アンテナ113を構成するラインの巻き回し長よりも長く、無線通信に使用する電磁波の波長に適した長さである。コネクタ242はライン241と電気的に接続している。コネクタ242は通信装置11の挿入孔114に着脱可能である。
【0034】
図6に示すように、増強アンテナ24は、カバー本体13の内周面に沿うように湾曲して配置される。増強アンテナ24は、カバー本体13と一体的に形成される。
【0035】
増強アンテナ24の機能は、上述の実施形態の増強アンテナ14の機能と同様である。増強アンテナ24によって、増強アンテナ14と同様の作用効果が奏される。
【0036】
<変形例2>
図7に示すように、変形例2の防水カバー35では、変形例1と同様の増強アンテナ24が用いられ、カバー本体13の代わりに、シート状の柔軟なカバー本体33が用いられる。通信装置11、および外部機器12については上述の実施形態と同様である。
【0037】
増強アンテナ24は、カバー本体33の一方の面に配置される。増強アンテナ24とカバー本体33とは一体的に形成される。カバー本体33は防水性を有する。カバー本体33は、増強アンテナ24が配置される面に、皮膚への貼り付けおよび引き剥がしが可能な粘着層を有する。
【0038】
したがって、
図8に示すように、カバー本体33は、増強アンテナ24とともに通信装置11を覆いつつ縁部を使用者の腕に貼り付けて用いられる。本変形例によっても上述の実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0039】
本発明は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変できる。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、通信装置および増強アンテナから外部機器へデータを送信するが、これらは互いに無線通信可能であればよく、通信装置および増強アンテナが外部機器からのデータを受信してもよい。
【0041】
また、通信装置および防水カバーが取り付けられる部位は、腕に限定されない。例えば、通信装置11を腹部に取り付け、これを変形例2の防水カバー35によって覆ってもよく、腕以外の部位に取り付ける形態を本発明は含む。
【0042】
通信装置11が送信するデータは、血糖値に関するデータに限定されない。例えば、通信装置11は、脈拍を検出して送信してもよい。通信装置11は、いかなる生体情報の検出にも適用できる。
【符号の説明】
【0043】
10 防水通信セット、
11 通信装置、
12 外部機器、
13、33 カバー本体、
14、24 増強アンテナ、
15、25、35 防水カバー、
110 ガイド針、
111 通信装置本体、
112 センサ、
113 主アンテナ、
114 挿入孔、
120 制御部、
121 ディスプレイ、
130 ゴムバンド、
140 コネクタ。