特許第6132336号(P6132336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132336
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/06 20060101AFI20170515BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B29C45/06
   B29C45/17
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-68492(P2013-68492)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-188942(P2014-188942A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】今井 義徳
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−174643(JP,A)
【文献】 特開2000−198460(JP,A)
【文献】 特開2012−031598(JP,A)
【文献】 特開平01−272427(JP,A)
【文献】 実開平02−106314(JP,U)
【文献】 特開2010−184437(JP,A)
【文献】 実開昭58−089320(JP,U)
【文献】 米国特許第02080783(US,A)
【文献】 特表昭58−500942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/24
B29C 45/26−45/44
B29C 45/64−45/68
B29C 33/00−33/76
B22D 17/00−17/22
F16L 51/00−55/48
G05D 23/00−23/32
F27D 1/00− 1/18
H01M 8/00− 8/24
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンテーブルにより回転される金型に対して温度調整された流体を複数本のホースを介して供給する射出成形機であって、
前記温度調節された流体を前記金型に供給する流体供給装置と、
前記金型を取り付けた金型取付板を所定角度で繰り返して正逆方向に回転させる前記ターンテーブルと、
該ターンテーブルを駆動する電動モータと、
前記ターンテーブルを所定角度で繰り返し正逆方向に回転可能に保持するダイプレートと、
該ダイプレートに固定され内部に前記複数本のホースを配設する空間部を有する固定ブラケットと、
該固定ブラケットの一方端に装着された固定フランジと、
該固定フランジに対向して設けられ、前記ターンテーブルと共に回転される回転フランジと、
該回転フランジと前記金型とを接続して温度調節された流体を前記金型に供給する接続管と、
前記固定ブラケットの内部の空間部にて前記回転フランジと前記固定フランジとに両端部が接続され、前記回転フランジを介して前記接続管に接続された柔軟性を有する前記複数本のホースと、
を備え、
前記固定フランジに前記複数本のホースの一方端を接続して前記流体供給装置から前記流体が供給されるよう構成する一方で、前記回転フランジに前記複数本のホースの他方端を接続して前記ホースにより供給されてきた前記流体を前記接続管に供給されるよう構成するとき、前記複数本のホースの長さ前記固定フランジと前記回転フランジとの距離よりも長くして、前記ターンテーブルが所定角度で正逆方向に回転させられた状態で、前記複数本のホースを同方向にねじった状態で該ホースの両端部を前記固定フランジと前記回転フランジに対して接続されており、前記ターンテーブルが繰り返して所定角度で正逆方向に回転可能に構成して、該ターンテーブルにより回転される金型に対して温度調整のための流体を供給するように構成したことを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記固定フランジの中心部と前記回転フランジの中心部とを筒状の配管で連結し、該配管の内部に、前記金型に対して電気を供給する通電ケーブル又はエアーを供給する管体を挿通したことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型が装着されるターンテーブルを備えた射出成形機に関し、特に、ターンテーブルの回転に伴い回転される金型に対し、温度調整のために水などの流体を供給する射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、異なる部材同士を組み合わせて一体成形する2色成形機が知られている。こうした2色成形機と称される射出成形機においては、例えば、回転自在に設けられたターンテーブルに対し金型装着板等を介して2つの可動金型を取り付けておき、固定金型の一方とターンテーブルに取り付けた可動金型の一方とを型締し、溶融樹脂の射出充填を行い1次成形品の成形を行った後、ターンテーブルを回転して、前記1次成形品の残された一方の可動金型を他方の固定金型と対向する位置に移動させ、該他方の固定金型と前記一方の金型とを型締めし、溶融樹脂の射出充填をさらに行うことにより、2つの部材同士を一体に成形することが行われる。
【0003】
前記従来技術に関連するものとして、特許文献1には可動金型を回転させるターンテーブルを備えた射出成形機が開示されており、当該特許文献1においては、可動金型を冷却又は加熱するための温度調整用熱媒体を供給するための管などからなる線状体を備え、当該線状体を収容するケーブルベア(登録商標)を、ターンテーブルたる反転盤の周囲に巻き付けることにより、反転盤を高速で反転できるようにし、線状体の余剰部分が下方に垂れ下がることを防止したことが開示されている。また、特許文献2においては、可動ダイプレート1に固定側5aを固定すると共に、ターンテーブル(回転テーブル2)に回転側5bを固定した温調水循環用のロータリジョイント5を備え、当該ロータリジョイント5や管路6A〜11A、6B〜11Bを通じて、可動金型4内の金型内循環管路へ温度調節された水を循環させる射出成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3808410号公報
【特許文献2】特許2007−276261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の温度調整用熱媒体を供給するための管などの線状体を誘導するのにケーブルベア(登録商標)を適用したり、特許文献2のロータリジョイントを適用したりする射出成形機においては、ターンテーブルの回転に伴い回転される可動金型に対し流体などを供給することから具備されているわけであるが、こうしたケーブルベア(登録商標)やロータリジョイントといった比較的複雑な構造でコスト高な部品を採用した場合には、定期的なメンテナンスを比較的頻繁に行ったり、部品点数の増加に伴いコスト高となってしまうことから、こうした問題点を解消することが望まれていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ターンテーブルに固定された金型に対し水などの流体を供給して当該金型の温度調整をする構造について、コストを安価に抑えると共に故障の軽減を図った射出成形機を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本射出成形機の発明は、ターンテーブルにより回転される金型に対して温度調整された流体を複数本のホースを介して供給する射出成形機であって、
前記温度調節された流体を前記金型に供給する流体供給装置と、
前記金型を取り付けた金型取付板を所定角度で繰り返して正逆方向に回転させる前記ターンテーブルと、
該ターンテーブルを駆動する電動モータと、
前記ターンテーブルを所定角度で繰り返し正逆方向に回転可能に保持するダイプレートと、
該ダイプレートに固定され内部に前記複数本のホースを配設する空間部を有する固定ブラケットと、
該固定ブラケットの一方端に装着された固定フランジと、
該固定フランジに対向して設けられ、前記ターンテーブルと共に回転される回転フランジと、
該回転フランジと前記金型とを接続して温度調節された流体を前記金型に供給する接続管と、
前記固定ブラケットの内部の空間部にて前記回転フランジと前記固定フランジとに両端部が接続され、前記回転フランジを介して前記接続管に接続された柔軟性を有する前記複数本のホースと、
を備え、
前記固定フランジに前記複数本のホースの一方端を接続して前記流体供給装置から前記流体が供給されるよう構成する一方で、前記回転フランジに前記複数本のホースの他方端を接続して前記ホースにより供給されてきた前記流体を前記接続管に供給されるよう構成するとき、前記複数本のホースの長さ前記固定フランジと前記回転フランジとの距離よりも長くして、前記ターンテーブルが所定角度で正逆方向に回転させられた状態で、前記複数本のホースを同方向にねじった状態で該ホースの両端部を前記固定フランジと前記回転フランジに対して接続されており、前記ターンテーブルが繰り返して所定角度で正逆方向に回転可能に構成して、該ターンテーブルにより回転される金型に対して温度調整のための流体を供給するように構成したことを特徴とする。
【0010】
さらに、本射出成形機の発明は、
前記固定フランジの中心部と前記回転フランジの中心部とを筒状の配管で連結し、該配管の内部に、前記金型に対して電気を供給する通電ケーブル又はエアーを供給する管体を挿通したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本成形機の発明によれば、射出成形機の稼動の際、ターンテーブルと共に正逆方向に回転される金型を温度調整するに際し、当該金型に対し、流体供給装置から供給されてきた温度調節された流体を、ホース、接続管を通じて、供給することができる。従来においては、回転される金型に対して、当該金型の温度調整のため、温度調節された水を供給する際、比較的複雑な構造でコスト高なロータリジョイント等を用いて金型に温度調節された水を供給して温度調整していたが、本発明は、このような複雑な構造を有する部品を用いず、簡単な構成で金型に対して温度調節された流体を供給することができる。よって、低コスト化と故障の軽減を図った射出成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】射出成形機に構成される型開閉ユニットの要部を示す正面図である。
図2】射出成形機に構成される型開閉ユニットの要部を示す断面図であり、金型取付板から可動金型を取り外した状態を示している。
図3】固定フランジを示す正面図である。
図4】ホースをねじった状態で接続した状態を示す固定ブラケットの断面図であり、ホースをねじった状態が把握し易いよう、複数のホースの内、1本のホースのみ図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図1図4により以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0014】
本発明の一例の射出成形機は、異なる部材同士を組み合わせて一体に成形するいわゆる2色成形を可能とするものであり、電動モータ1を駆動源として回転されるターンテーブル2に対し、矩形型の金型取付板3を介して2つの可動金型4,5が取り付けられており、2色成形の製造工程としては、図示しない固定金型の一方とターンテーブル2に取り付けた一方の可動金型4とを型締し、溶融樹脂の射出充填を行い1次成形品の成形を行った後、ターンテーブル2を回転して、前記1次成形品の残された一方の可動金型4を他方の固定金型と対向する位置に移動させ、該他方の固定金型と前記一方の可動金型4とを型締し、溶融樹脂の射出充填をさらに行うことにより、2つの部材同士を一体成形するようになっており、射出成形機の全体構成は、図示は省略するが大別すると、溶融樹脂を金型のキャビティへ射出充填するための射出ユニットと、金型の型開閉を行う型開閉ユニットとから構成されており、型開閉ユニットには型開閉時に進退される可動ダイプレート6が構成されている。
【0015】
型開閉ユニットの可動ダイプレート6には、円形のターンテーブル3が回転自在に組み付けられており、このターンテーブル2の外周に形成されたギヤに電動モータ1の回転軸に装着されたギヤが歯合され、ターンテーブル2は電動モータ1を駆動することにより、正方向や逆方向(図1に示す反時計回り/時計回り)等所定方向に回転駆動され、回転駆動されるときには、ターンテール2の下方に設けられた2つのサポートローラ7により支持される。
【0016】
また、可動ダイプレート6には、内部に空間部を有する固定ブラケット8が取り付けられており、固定ブラケット8の一方端には固定フランジ9が装着され、該固定フランジ9に対向するようにしてターンテーブル2と共に回転される回転フランジ10が配設されている。
【0017】
回転フランジ10と中継ブロック16とは接続管11を用いて接続され、中継ブロック16と可動金型4,5とは、接続管17を用いて接続されており、固定ブラケット8の内部の空間部に配設された複数のホース12は柔軟性を有しており、その一方が回転フランジ10に他方が固定フランジ9に接続され、ホース12と可動金型4,5に接続された接続管17とは、回転フランジ10、接続管11、中継ブロック16を介して連通されている。
【0018】
固定フランジ9に接続された流体供給装置13は、温度調節された流体としての水を、固定フランジ9、ホース12、回転フランジ10、接続管11、中継ブロック16、接続管17等を通じて、可動金型4,5へ供給することにより、当該可動金型4,5の温度調整を行う。そして、可動金型4,5の温度調整が行われる射出成形機の稼動中には、金型取付板3を介して可動金型4,5の取り付けられたターンテーブル2は、所定の回転角度(本実施形態では180度)で繰り返し正逆方向に回転され、それに伴い、回転フランジ10は同様に回転され、ホース12はねじられるようにして動作されるため、当該ホース12の長さは、ターンテーブル2が所定の回転角度で回転するのに支障がない長さ(少なくとも、固定フランジ9と回転フランジ10との間の距離よりも長い)となっていって、固定フランジ9と回転フランジ10に対して各ホース12の両端を接続するときには、これらのホース12を同方向にねじった状態で接続する。
【0019】
また、固定フランジ9の中心部と回転軸15が一体に設けられた回転フランジ10の中心部とは、筒状の配管14で連結されている。配管14の内部には、ターンテーブル2と共に回転される可動金型4,5等に電気を供給する通電ケーブル(図示せず)やエアーを供給するための管体(図示せず)が挿通される。なお、前記複数のホース12の端部は、図3及び図1に示すように、配管14を中心として、固定フランジ9や回転フランジ10に対して等間隔の角度で断続的に配設する。
【0020】
以上のように本射出成形機によれば、可動金型4,5を取り付けた金型取付板3を正逆方向に回転させるターンテーブル2と、該ターンテーブル2を駆動する電動モータ1と、ターンテーブル2を回転可能に保持する可動ダイプレート6と、該可動ダイプレート6に固定された内部に空間部を有する固定ブラケット8と、該固定ブラケット8に装着された固定フランジ9と、該固定フランジ9に対向して設けられ、ターンテーブル2と共に回転される回転フランジ10と、該回転フランジ10と中継ブロック16とを接続する接続管11と、中継ブロック16と可動金型4,5とを接続する接続管17と、固定ブラケット8の内部の空間部にて回転フランジ10と固定フランジ9とにより接続され、回転フランジ10を介して接続管11に接続された柔軟性を有する複数本のホース12と、を備え、流体供給装置13から供給されてきた温度調節された流体たる水を、ホース12、接続管11、17等を通じて可動金型4,5に供給し、該可動金型4,5の温度調節をする射出成形機であって、固定フランジ9にホース12の一方端を接続して流体供給装置13から温度調節された水が供給されるよう構成する一方で、回転フランジ10にホース12の他方端を接続してホース12により供給されてきた温度調節された水を接続管11に供給されるよう構成するとき、ホース12をねじった状態で接続したものである。これにより、射出成形機の稼動の際、ターンテーブル2と共に正逆方向に回転される可動金型4,5を温度調整するに際し、当該可動金型4,5に対し、流体供給装置13から供給されてきた温度調節された水を、ホース12、接続管11、17等を通じて、供給することができる。従来においては、回転される金型に対して、当該金型の温度調整のため、温度調節された水を供給する際、比較的複雑な構造でコスト高なロータリジョイント等を用いて金型に温度調節された水を供給して温度調整していたが、本発明は、このような複雑な構造を有する部品を用いず、簡単な構成で可動金型4,5に対して温度調節された水を供給することができる。よって、低コスト化と故障の軽減を図った射出成形機を提供することができる。
【0021】
なお、本実施形態においては、可動金型4,5を温度調整するための流体として水が採用されることについて説明したが、それに限定することなく種々の変形実施が可能である。例えば、水などの液体に限らず気体を採用してもよい。また、以上の説明においては、可動金型4,5を温度調整するため、当該可動金型4,5に温度調節された水が供給されることについて説明しているが、複数あるホース12のうち、何れかを往路としそれ以外のものを復路として、水を循環するようにしても良い。
【符号の説明】
【0022】
1 電動モータ
2 ターンテーブル
3 金型取付板
4,5 可動金型(金型)
6 可動ダイプレート(ダイプレート)
8 固定ブラケット
9 固定フランジ
10 回転フランジ
11 接続管
12 ホース
13 流体供給装置
14 配管
17 接続管
図1
図2
図3
図4