特許第6132337号(P6132337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132337
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び超音波画像構築方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A61B8/14ZDM
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-90933(P2013-90933)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-212872(P2014-212872A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年2月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 「非接触超音波の医療分野への応用に関する実現性の検討」地域イノベ医工連携フォーラム、一般社団法人・首都圏産業活性化協会(TAMA協会)、平成25年3月5日(火)開催でのパワーポイント資料にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー トーマス クレメント
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 友男
(72)【発明者】
【氏名】野村 英之
(72)【発明者】
【氏名】安達 日出夫
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−276319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定媒体の表面から離間した位置に配置されて、1次音源としての集束超音波を発生する集束超音波発生手段と、
上記集束超音波発生手段によって照射された集束超音波を上記被測定媒体の表面直下に集束点を有するように制御する集束点位置合せ手段とをそれぞれ含む複数の集束超音波制御回路ユニットを備え、
上記複数の集束超音波制御回路ユニットによって、上記被測定媒体の表面に超音波を集束させて複数の2次音源を形成し、該2次音源に基づいて被測定媒体の内部を伝搬する2次送信超音波によって形成される合成波面を制御する送信ビームフォーミング手段を更に備える超音波診断装置。
【請求項2】
上記集束点位置合せ手段は、上記集束点の位置を上記集束超音波の伝搬方向に沿って可変する集束点位置可変手段を含むことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
集束超音波を発生する集束超音波発生手段と、
上記集束超音波発生手段によって照射された集束超音波を被測定媒体の表面直下に位置するように制御する集束点位置合せ手段と、
上記集束点位置合せ手段によって上記被測定媒体の表面直下に形成される2次音源に基づいて該被測定媒体の内部を伝搬する2次送信超音波パルスを、該被測定媒体の内部の関心領域に対して1次元又は2次元に走査して、該関心領域における該2次送信超音波パルスの裏面への透過超音波パルス、又は音響インピーダンス境界で反射したパルスエコー信号の特徴値に基づいて画像形成する画像形成手段とを備える超音波診断装置。
【請求項4】
対象物の表面に離間した空中位置から該対象物の表面直下に2次点音源を形成する集束超音波発生手段と、
上記2次点音源から上記対象物の深部に向かって2次送信超音波パルスを発生させる手段と、
上記2次送信超音波パルスが上記対象物を透過して該対象物の裏面に到達した透過超音波パルスを該対象物の裏面側で、又は、該対象物の内部にある音響インピーダンス境界で反射したパルスエコー信号を該対象物の表面側で受信し、電気信号に変換する手段と、
上記電気信号の特徴値を記憶する記憶手段と、
上記対象物の表面の関心領域範囲で上記2次点音源の焦点が面内の直交した方向に該焦点の面内座標を上記記憶手段に記憶させながら機械的に相対的移動させる機械的移動手段と、
上記記憶手段に記憶した電気信号の特徴値と2次点音源の面内座標の間の相関をとることによって超音波画像を構築する画像構築手段とを備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
集束超音波発生手段によって、被測定媒体の表面から離間した第1の音源から超音波を送信し、
集束点位置合せ手段によって、上記被測定媒体の表面に上記第1の音源の音響焦点を結ぶようにして第2の音源を形成し、
上記第2の音源によって、上記被測定媒体の内部を伝搬する透過又は反射超音波パルスを生成し、
受信手段によって、透過又は反射超音波パルスを受信して、画像形成のための信号処理を行うことによって超音波診断画像を構築する超音波画像構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置及び超音波画像構築方法に関し、特に、非接触で被測定対象物の超音波画像を得ることができる超音波診断装置及び超音波画像構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用超音波画像診断は、高分解能な画像が得られること、装置の小型化により移動利便性が向上してきたこと、放射線被ばくがないこと等から、広く普及している。また、将来的にはさらなる低消費電力化や超小型化の余地が大きく、トランスデューサと信号処理回路を一体化し、画像構築のためのホスト装置とワイヤレスで接続することができる体表貼付け型や体内埋込型にすることによって、いつでも、どこでも、だれでも利用し、受診することができるユビキタス装置への展開の可能性が、MRI(核磁気共鳴、Magnetic Resonance Imaging)装置やCT(コンピュータ断層撮影、Computed Tomography)装置に比較して圧倒的に大きい。
【0003】
ところで、現状では携帯型の装置が市販され始め、ネットワークを利用した遠隔診断が可能になりつつあるが、装置と超音波診断用プローブとを結ぶケーブルは依然として存在している。また、超音波診断用プローブの大きさも携帯型とは言いながら、旧来の据置型装置のものと大差ないのが実状である。特に、音響カプラを介して、超音波診断用プローブを被験者の体表に押し付けて超音波診断するスタイルは変わっていない。したがって、体表に傷があったり、体表を押し付けるのを避けたい患者にとっては、好ましい診断手法とは言えず、MRIやCTのような非接触診断が望まれている。しかしながら、超音波は、空中を伝搬しにくいという基本特性上、超音波診断プローブを体表から離間させて超音波診断を行うという方法は、不可能とされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−276319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、空気中を伝搬する超音波を用いて、非接触で材料表面性状、内部欠陥あるいは異常部を検出、評価する空気超音波診断システムが開示されている。特許文献1のシステムでは、空中用アレイ型超音波振動子を用いて非接触で被測定対象物中に伝搬超音波の焦点を結ばせて、超音波ビームの位相制御(フェーズドアレイ走査)を行うことによって、フォーカシング、ステアリングを行い、超音波診断画像を構築する。
【0006】
ところで、超音波ビームの入射角θと屈折角θとの間にはスネルの法則が成り立ち、空中の音速v、生体内の音速vとすると以下の関係がある。
【0007】
sinθ/sinθ=v/v (1)
【0008】
ここで、空中の音速v=340m/s、生体の音速v=1500m/sとすると、入射角θが13°程度を超えると、θは90°以上になり、空中の超音波は、生体内部には伝搬しないこととなる。
【0009】
一方、異なる媒体の境界における超音波の反射率に注目すると、反射率Rは、以下のように表わされる。
【0010】
R=(vρ−vρ)/(vρ+vρ
=(z−z)/(z+z) (2)
【0011】
ここで、ρは、空気の密度であり、1.293kg/m、ρは水の密度であり、生体内の密度にほぼ等しく、1000kg/mである。また、空気の固有音響インピーダンスz=vρ,水の固有音響インピーダンスz=vρであり、z≪zだから、(2)式よりR≒1となる。つまり、空中から生体に向けて垂直に超音波を入射してもほぼ全て反射されてしまうのである。したがって、特許文献1の方法を用いても、固有音響インピーダンスが大きく異ならない材料について内部評価が可能であったとしても、空中から生体内に超音波を発信しても、生体内の超音波画像構築のための超音波伝搬を実現することはできないとの問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、非接触で生体組織内を伝搬可能な超音波ビームを形成して超音波画像構築を可能にする超音波診断装置及び超音波画像構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するために、本発明の一実施の形態に係る超音波診断装置は、被測定媒体の表面から離間した位置に配置されて、1次音源としての集束超音波を発生する集束超音波発生手段と、集束超音波発生手段によって照射された集束超音波を被測定媒体の表面又は直下に集束点を有するように制御する集束点位置合せ手段とをそれぞれ含む複数の集束超音波制御回路ユニットを備え、上記複数の集束超音波制御回路ユニットによって、上記被測定媒体の表面に超音波を集束させて複数の2次音源を形成し、該2次音源に基づいて被測定媒体の内部を伝搬する2次送信超音波によって形成される合成波面を制御する送信ビームフォーミング手段を更に備える。
【0014】
また、本発明の他の実施の形態に係る超音波診断装置は、集束超音波を発生する集束超音波発生手段と、集束超音波発生手段によって照射された集束超音波を被測定媒体の表面直下に位置するように制御する集束点位置合せ手段と、集束点位置合せ手段によって被測定媒体の表面直下に形成される2次音源に基づいて被測定媒体の内部を伝搬する2次送信超音波パルスを、被測定媒体の内部の関心領域に対して1次元又は2次元に走査して、関心領域における2次送信超音波パルスの裏面への透過超音波、又は音響インピーダンス境界で反射したパルスエコー信号の特徴値に基づいて画像形成する画像形成手段とを備える。
【0015】
また、本発明の他の実施の形態に係る超音波診断装置は、対象物の表面に離間した空中位置から対象物の表面直下に2次点音源を形成するための集束超音波発生手段と、2次点音源から対象物の深部に向かって2次送信超音波パルスを発生させる手段と、2次送信超音波パルスが対象物を透過して対象物の裏面に到達した透過超音波パルスを対象物の裏面側で、又は対象物の内部にある音響インピーダンス境界で反射したパルスエコー信号を対象物の表面側で受信し、電気信号に変換する手段と、電気信号の特徴値を記憶する記憶手段と、対象物の表面の関心領域範囲で2次点音源の焦点が面内の直交した方向に焦点の面内座標を記憶手段に記憶させながら機械的に相対的移動させる機械的移動手段と、記憶手段に記憶した電気信号の特徴値と2次点音源の面内座標の間の相関をとることによって超音波画像を構築する画像構築手段とを備える。
【0016】
本発明の一実施の形態に係る超音波画像構築方法は、集束超音波発生手段によって、被測定媒体の表面から離間した第1の音源から超音波を出力し、集束点位置合せ手段によって、被測定媒体の表面に第1の音源の音響焦点を結ぶようにして第2の音源を形成し、第2の音源によって、被測定媒体の内部を伝搬する伝搬超音波を生成し、受信手段によって、伝搬超音波を受信して、画像形成のための信号処理を行うことによって超音波診断画像を構築する。
本発明の他の実施の形態に係る超音波画像構築方法は、集束超音波発生手段によって、被測定媒体の表面から離間した第1の音源から超音波を出力し、集束点位置合せ手段によって、被測定媒体の表面に第1の音源の音響焦点を結ぶようにして第2の音源を形成して被測定媒体の表面形状を記憶する段階と、集束点位置合せ手段によって、記憶した被測定媒体の表面に沿って再度第2の音源を形成し、第2の音源によって被測定媒体の内部を伝搬する伝搬超音波を生成し、伝搬超音波を受信して、画像形成のための信号処理を行うことによって超音波診断画像を構築する段階とを有する。
【0017】
本出願に係る第1の発明は、被測定媒体の表面から離間した位置に配置されて、1次音源としての集束超音波を発生する集束超音波発生手段と、上記集束超音波発生手段によって照射された集束超音波を上記被測定媒体の表面直下に集束点を有するように制御する集束点位置合せ手段とを備える超音波診断装置である。
また、本出願に係る第2の発明は、上記集束超音波発生手段と上記集束点位置合せ手段とをそれぞれ含む複数の集束超音波制御回路ユニットを備え、上記複数の集束超音波制御回路ユニットによって、上記被測定媒体の表面に超音波を集束させて複数の2次音源を形成し、該2次音源に基づいて被測定媒体の内部を伝搬する2次送信超音波によって形成される合成波面を制御する送信ビームフォーミング手段を更に備えることを特徴とする上記第1の発明に記載の超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第3の発明は、上記集束点位置合せ手段は、上記集束点の位置を上記集束超音波の伝搬方向に沿って可変する集束点位置可変手段を含むことを特徴とする上記第1の発明に記載の超音波診断装置である。
また、本出願に係る第4の発明は、上記集束点位置可変手段は、超音波トランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサエレメントを駆動する信号ごとに位相差を与える位相差制御手段を有することを特徴とする上記第3の発明に記載の超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第5の発明は、上記超音波トランスデューサアレイは、湾曲した2次元アレイ構造のコンポジット圧電振動子と、該コンポジット圧電振動子の超音波送受側に同じ曲率で湾曲し接合配置させた音響整合層と、該コンポジット圧電振動子の超音波送受側と反対側に、その表面が同じ曲率半径の凹曲面を有し、該コンポジット圧電振動子の超音波送受側と反対側の面に接合されたバッキング層とを含むことを特徴とする上記第4の発明に記載の超音波診断装置である。
また、本出願に係る第6の発明は、上記超音波トランスデューサアレイは、リニアアレイ、セクターアレイ、アニュラアレイのいずれか、又はこれらを複合したビーム走査ができる構造であることを特徴とする上記第4の発明に記載の超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第7の発明は、上記集束点位置合せ手段は、上記超音波トランスデューサアレイと、上記被測定媒体の表面との距離を計測する離間距離計測手段を更に有し、上記離間距離計測手段は、上記位相差制御手段に上記距離の情報をフィードバックすることによって離間距離を計測することを特徴とする上記第4の発明に記載の超音波診断装置である。
また、本出願に係る第8の発明は、上記被測定媒体を透過した上記2次送信超音波の合成波面からなる合成超音波ビームを、該被測定媒体の表面とは反対側の面で、透過超音波として非接触で検出する非接触検出手段を更に備えることを特徴とする上記第2の発明に記載の超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第9の発明は、上記被測定媒体を伝搬する合成超音波ビームが音響インピーダンス境界で反射することによって得られるパルスエコー信号を該被測定媒体の表面側で非接触で検出する非接触検出手段を更に備えることを特徴とする上記第2の発明に記載の超音波診断装置である。
また、本出願に係る第10の発明は、上記集束超音波発生手段は、超音波トランスデューサと、上記超音波トランスデューサに振幅変調電圧信号を印加する駆動制御手段とを有することを特徴とする上記第1の発明に記載の超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第11の発明は、集束超音波を発生する集束超音波発生手段と、上記集束超音波発生手段によって照射された集束超音波を被測定媒体の表面直下に位置するように制御する集束点位置合せ手段と、上記集束点位置合せ手段によって上記被測定媒体の表面直下に形成される2次音源に基づいて該被測定媒体の内部を伝搬する2次送信超音波パルスを、該被測定媒体の内部の関心領域に対して1次元又は2次元に走査して、該関心領域における該2次送信超音波パルスの裏面への透過超音波パルス、又は音響インピーダンス境界で反射したパルスエコー信号の特徴値に基づいて画像形成する画像形成手段とを備える超音波診断装置である。
また、本出願に係る第12の発明は、上記特徴値は、上記透過超音波パルス又は上記パルスエコー信号の最大振幅値を含むことを特徴とする上記第11の発明に記載の超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第13の発明は、上記特徴値は、上記透過超音波パルス又は上記パルスエコー信号の高調波成分の最大振幅値を含むことを特徴とする上記第11の発明に記載の超音波診断装置である。
また、本出願に係る第14の発明は、上記特徴値は、上記透過超音波パルス又は上記パルスエコー信号の基本波成分の位相検波値を含むことを特徴とする上記第11の発明に記載の超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第15の発明は、上記特徴値は、上記透過超音波パルス又は上記パルスエコー信号の高調波成分の位相検波値を含むことを特徴とする上記第11の発明に記載の超音波診断装置である。
また、本出願に係る第16の発明は、対象物の表面に離間した空中位置から該対象物の表面直下に2次点音源を形成する集束超音波発生手段と、上記2次点音源から上記対象物の深部に向かって2次送信超音波パルスを発生させる手段と、上記2次送信超音波パルスが上記対象物を透過して該対象物の裏面に到達した透過超音波パルスを該対象物の裏面側で、又は、該対象物の内部にある音響インピーダンス境界で反射したパルスエコー信号を該対象物の表面側で受信し、電気信号に変換する手段と、上記電気信号の特徴値を記憶する記憶手段と、上記対象物の表面の関心領域範囲で上記2次点音源の焦点が面内の直交した方向に該焦点の面内座標を上記記憶手段に記憶させながら機械的に相対的移動させる機械的移動手段と、上記記憶手段に記憶した電気信号の特徴値と2次点音源の面内座標の間の相関をとることによって超音波画像を構築する画像構築手段とを備えることを特徴とした超音波診断装置である。
さらに、本出願に係る第17の発明は、集束超音波発生手段によって、被測定媒体の表面から離間した第1の音源から超音波を送信し、集束点位置合せ手段によって、上記被測定媒体の表面に上記第1の音源の音響焦点を結ぶようにして第2の音源を形成し、上記第2の音源によって、上記被測定媒体の内部を伝搬する透過又は反射超音波パルスを生成し、受信手段によって、透過又は反射超音波パルスを受信して、画像形成のための信号処理を行うことによって超音波診断画像を構築する超音波画像構築方法である。
また、本出願に係る第18の発明は、上記生成された2次送信超音波を、上記被測定媒体の内部にある関心領域に対して1次元又は2次元に走査することを特徴とする上記第17の発明に記載の超音波画像構築方法である。
さらに、本出願に係る第19の発明は、上記第2の音源は、上記第1の音源による集束超音波を用いた音響放射圧に基づくことを特徴とする上記第17の発明に記載の超音波画像構築方法である。
また、本出願に係る第20の発明は、集束超音波発生手段によって、被測定媒体の表面から離間した第1の音源から超音波を送信し、集束点位置合せ手段によって、該被測定媒体の表面に上記第1の音源の音響焦点を結ぶようにして第2の音源を形成して該被測定媒体の表面形状を記憶する段階と、上記集束点位置合せ手段によって、上記記憶した被測定媒体の表面に沿って再度第2の音源を形成し、該第2の音源によって上記被測定媒体の内部を伝搬する超音波を生成し、透過又は反射超音波パルスを受信して、画像形成のための信号処理を行うことによって超音波診断画像を構築する段階とを有する超音波画像構築方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、表面又はその直下に集束点を有する集束超音波によって2次音源が被測定媒体を伝搬する伝搬超音波を生成するので、非接触で超音波診断画像を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明が適用された超音波診断装置を用いた超音波診断の手法を説明するための概念図である。
図2】本発明が適用された超音波診断装置の構成例の主要部を示すブロック図である。
図3】本発明が適用された超音波診断装置の構成例のうち画像構築の部分を示すブロック図である。
図4】本発明が適用された超音波診断装置に用いる集束型超音波トランスデューサの構成例を概念的に示す図であり、(A)は正面図、(B)は各トランスデューサエレメントの配線を示す斜視図である。
図5】本発明が適用された超音波診断装置に用いる集束型超音波トランスデューサアレイの他の構造例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)図のAA’線における断面図、(C)は(A)図のBB’線における断面図である。
図6】本発明の超音波診断装置の動作原理である音響放射圧を説明するための模式図である。
図7】本発明の超音波診断装置の動作原理である音響放射圧を利用した2次音源による伝搬超音波生成を説明するための模式図である。(A)図は、伝搬超音波を送信する状態を示し(B)図は、被測定対象物で反射された超音波エコーを受信する状態を示す。
図8】音響放射圧を生成するためのサイン波の振幅変調波の波形を示す図である。
図9】本発明の超音波診断装置において、生体内を伝搬する伝搬超音波の波形の例を示す概念図である。(A)図、(B)図、(C)図の順で粘弾性特性が大きくなる場合の伝搬超音波の波形である。
図10】本発明の超音波診断装置において、体表に2次音源を生成する過程を説明するための概念図である。
図11】集束型超音波トランスデューサアレイから発信される信号の遅延時間のパターンを変化させることによって、体表で反射されて受信される出力信号パターンの大きさを測定して体表上の焦点位置を探索する手順を説明するための図である。(A)図及び(B)図は、遅延時間パターンの異なる発信信号波形を示す図である。(C)図は、(A)図に対応する受信信号の出力信号パターンを示す図であり、(D)図は、(B)図に対応する受信信号の出力信号パターンを示す図である。
図12】集束型超音波トランスデューサアレイによって形成された2次音源が体内を伝搬して合成波面を形成することを説明するための概念図である。
図13】伝搬超音波によって超音波画像構築が可能であることを示す実験のための環境の概略図である。
図14】(A)は、図12の構成で、40kHzの伝搬超音波を用いて測定された超音波画像の測定値である。(B)は、40kHzの伝搬超音波を用いた超音波画像のコンピュータシミュレーション値である。(C)は、400kHzの伝搬超音波を用いた超音波画像のコンピュータシミュレーション値である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は、以下の順序にしたがって行う。
【0021】
1.超音波診断システムの構成例
2.超音波診断装置の構成例
2−1.超音波診断装置の回路構成例
2−2.超音波トランスデューサの構成例
3.動作原理及び動作
3−1.2次音源の形成
3−2.集束点制御
3−3.超音波ビームフォーミング
3−4.受信ビームフォーミング
4.模擬実験
【0022】
1.超音波診断システムの構成例
本発明が適用された超音波診断装置1が用いられた超音波診断システム40は、図1に示すように、たとえば天井裏に設置された超音波診断装置本体1aと、超音波診断装置本体1aから延びる配線2aが多関節マニピュレータ7a,7b,7c,7d内を通って接続される集束型超音波トランスデューサアレイ50を有する超音波プローブ50aとを備えている。超音波診断システム40は、超音波プローブ50aによって取得した超音波画像構築のためのデータに信号処理を行い、配線2bを介して接続されるモニタ32に表示する。
【0023】
多関節マニピュレータは、天井に固定された固定アーム7dと、固定アーム7dに第1関節8cによって自在に回動可能に接続された第1アーム7cと、第1アーム7cに第2関節によって自在に回動可能に結合された第2アーム7bと、第2アームに第3関節8aによって自在に回動可能に接続された3軸変位アーム7aとを有する。3軸変位アーム7aの先端には、集束型超音波トランスデューサアレイ50を有する超音波プローブ50aが接続される。超音波プローブ50aは、操作者3が一方の手で3軸変位アーム7aを把持して、ベッド9に横臥する被験者6の体表から離間して保持される。3軸変位アーム7aは、水平面に対して常に鉛直方向を維持するように配置されるので、超音波プローブ50aの測定面は、水平面に対して常に水平方向を維持される。多関節マニピュレータ7a,7b,7c,7dの各関節8a,8b,8cによって、操作者3は、被験者6の体表に沿って超音波プローブ50aを水平方向及び鉛直方向に自在に移動することができる。各関節8a,8b,8cには、エンコーダが内蔵されており、超音波プローブ50aの位置は、エンコーダ出力情報に基づいて正確に同定することができる。
【0024】
操作者3は、超音波プローブ50aを動かしてモニタ32を見ながら観測箇所を確認することができる。また、他方の手に持ったリモコン5によって、モニタ32を見ながら超音波診断装置本体1aに対して指示を送信し、画像の描画モード等を制御することもできる。
【0025】
なお、図1に示す超音波診断システム40では、超音波プローブ50aを構成する集束型超音波トランスデューサアレイ50が、超音波の発信及び受信を行うトランスデューサとして機能し、超音波の反射波(エコー波)を測定する場合の構成を示している。このほかにも、超音波プローブには、超音波の発信を行う超音波振動子を用い、被験者に対して反対側に設置された超音波受信器を用いて(図1の場合では、ベッド側に設置)、被験者の体内を透過した超音波を測定するようにしてもよいのは言うまでもない。
【0026】
2.超音波診断装置の構成例
上述した超音波診断システム40を構成する本発明が適用された超音波診断装置1は、図2に示すように、超音波を送受信する集束型超音波トランスデューサアレイ50と、集束型超音波トランスデューサアレイ50に接続され、電気信号に変換された超音波信号を入出力する制御回路ユニット10と、制御回路ユニット10に接続され、制御回路ユニット10に対して体内組織のイメージングのための送信用ビームフォーミングを行う体内組織のイメージング用送信ビームフォーマ17とを備える。
【0027】
また、図3に示すように、超音波診断装置1は、制御回路ユニット10からの信号を入力して体内組織のイメージングのための受信用ビームフォームを形成する体内組織のイメージング用受信ビームフォーマ25と、体内組織のイメージング用受信ビームフォーマ25からの信号に対して、パルス圧縮、位相検波、フィルタリング等の信号処理を行う信号処理部29と、信号処理部29において信号処理された画像信号にしたがって表示画像構築を行うスキャンコンバータ30と、スキャンコンバータ30の出力信号に基づいて所定の画像処理を行う画像処理部31と、画像処理部31によって処理が施された画像信号を表示するモニタ32とを備える。
【0028】
体内組織のイメージング用送信ビームフォーマ17及び体内組織のイメージング用受信ビームフォーマ25は、超音波診断装置1の動作を設定し、測定の手順等を司る処理部(CPU,Central Processing Unit)26と、処理部26が実行する命令を展開し、処理データを格納する記憶部(メモリ)27とともにバス28に接続され、バス28を介して、処理部26からの命令の実行、処理等を行う。処理部26は、たとえばマイクロプロセサやマイクロコントローラ等であり、記憶部27は、マイクロプロセサに内蔵された揮発性メモリあるいは不揮発性メモリである。記憶部27は、マイクロプロセサに外付けされた揮発性メモリあるいは不揮発性メモリであってもよい。バス28は、マイクロコンピュータシステムにおいて標準的に用いられるバス、たとえばISAバスやPCIバス等でもよく、専用に設計されたバスであってもよい。なお、バス28を介して、処理部26及び記憶部27が別体の、たとえばスタンドアロンのパーソナルコンピュータやワークステーションが接続されるように構成されてもよい。
【0029】
制御回路ユニット10は、本発明が適用された超音波診断装置1の中核をなすユニットである。制御回路ユニット10は、複数個のトランスデューサエレメント61が1次元状に配列されたカラムアレイ60ごとに用意され、対応するカラムアレイ60に接続される。
【0030】
制御回路ユニット10は、図2の破線内のブロック図で示されるように、体内組織の超音波画像イメージングを行うための伝搬超音波ビームの形態を設定する体内組織のイメージング用送信ビームフォーマ17が生成する信号に基づいて、送信ビームステアリング及び/又は送信ビームフォーミング用の遅延時間のパターンを生成するビームステアリング用遅延時間パターン生成部15と、被験者6の体表又はその直下に2次音源を形成するための集束点距離制御用の遅延時間のパターンを生成する2次音源形成用遅延時間パターン生成部16とを有する。制御回路ユニット10は、ビームステアリング用遅延時間パターン生成部15及び2次音源形成用遅延時間パターン生成部16で生成された遅延時間パターンを遅延加算する遅延時間加算部14を有する。また、遅延時間加算部14の出力信号をサイン波の振幅変調波に変換して被験者6の体表に2次音源を形成する2次音源形成用送信ビームフォーマ13を有している。2次音源形成用送信ビームフォーマ13が出力する振幅変調波は、トランスデューサエレメント61を駆動することができる振幅に増幅するパルサに送られて、それぞれのトランスデューサエレメント61を駆動する。制御回路ユニット10は、1列分のカラムアレイユニット60を構成するトランスデューサエレメント61の個数分だけパルサを配列したパルサアレイ12を有する。パルサアレイ12の出力は、マルチプレクサ11を経由して、配線束70によって集束型超音波トランスデューサアレイ50を構成するそれぞれのトランスデューサエレメント61に供給される。
【0031】
上述した超音波を発生し、送信する経路とともに、制御回路ユニット10は、超音波を受信し、信号処理する経路を有している。すなわち、制御回路ユニット10は、集束型超音波トランスデューサアレイ50を構成するトランスデューサエレメント61で受信され、電気信号に変換された超音波信号がマルチプレクサ11を介して入力されるレシーバアレイ18と、レシーバアレイ18で信号処理された信号が入力され、それぞれの信号を遅延加算処理する受信ビームフォーマ19とを有する。受信ビームフォーマ19の出力は、SW20を介して、受信信号の最大値を検出する最大値検出部21又は受信信号のドップラシフトを検出するドップラシフト検出部23に選択的に接続される。体表に超音波を集束させる超音波集束モードの場合には、集束型超音波トランスデューサアレイ50を有する超音波プローブ50aと被験者6の体表との離間距離を測定し、SW20は、受信ビームフォーマ19の出力が最大値検出部21と接続するように制御信号入力用端子201を有したSW20を介して制御される。また、被験者6の体表に超音波を集束させ、2次音源を形成して、被験者の体内を伝搬する伝搬超音波によって超音波画像構築する超音波画像構築モードの場合には、SW20は、受信ビームフォーマ19の出力がドップラシフト検出部23に接続されるように制御される。SW20の制御は、好ましくは、制御信号入力用端子201を有したsw20を介して処理部26の指示にしたがって実行される。
【0032】
受信ビームフォーマ19が接続された最大値検出部21は、受信信号の最大値を検出して2次音源形成用遅延時間パターン生成部16に入力し、送信信号パターン及び検出された受信信号に基づいて離間距離演算部24によって被験者6の体表と超音波プローブとの離間距離を測定し、バス28を介して処理部26に離間距離情報を伝送する。なお、本明細書では、2次音源とは、実体のあるトランスデューサ等を示すものではなく、前記の集束型超音波トランスデューサアレイ50によって体表に形成された集束点を言うものとする。
【0033】
受信ビームフォーマ19が接続されたドップラシフト検出部23の出力は、ドップラシフトされた周波数を電圧に変換するFV変換部24に入力され、電圧信号に変換された受信信号は、体内組織のイメージング用受信ビームフォーマ25に入力されて画像構築処理がなされる。
【0034】
2−2.超音波トランスデューサの構成例
本発明が適用された超音波診断装置1を構成する集束型超音波トランスデューサアレイ50は、図2に示すように、m行n列の2次元状に配列されたトランスデューサエレメント61を有する。トランスデューサエレメント61が1次元状にm個配列されたカラム集束型超音波トランスデューサアレイユニット(以下、カラムアレイユニットともいう。)60ごとに被験者の体表上に2次音源を形成するように、制御回路ユニット10が接続されるのが好ましい。
【0035】
トランスデューサエレメント61は、超音波振動子からなり、材料や構成が特に限定されるものではなく周知のものを制限なく用いることができる。たとえば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等のセラミクス材料によるものであってもよく、多孔質ポリプロピレン(セルラーPP)、強誘電性ポリマPVDF(ポリフッ化ビニリデン、PolyVinylidene DiFluoride)のような樹脂系材料のものであっても、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶でもよい。
【0036】
図4(A)に示すように、集束点軸63上のいずれかの位置に超音波の集束点を形成するように、カラムアレイユニット60は、集束点軸63を対称軸とする凹曲線状に基材62上に配列される複数のトランスデューサエレメント61によって構成される。
【0037】
カラムアレイユニット60を構成する各トランスデューサエレメント61は、後述するように、集束点軸63上に超音波が集束するように、それぞれ位相差を有する信号で駆動される。ここで、各トランスデューサエレメント61は、それぞれ集束点軸63に対して対称になるように配列されることによって、対称位置にあるトランスデューサエレメント61が同位相で駆動でき、接続配線の本数を減らすことができる。すなわち、図4(B)に示すように、集束点軸63上のトランスデューサエレメント61aは、接続配線71aを有しており、トランスデューサエレメント61aに隣接するトランスデューサエレメント61b1,61b2は、同位相で駆動されるため同一の接続配線71bを有する。同様にトランスデューサエレメント61b1,61b2にそれぞれ隣接し、集束点軸63に対して対称位置にあるトランスデューサエレメント61c1,61c2は、同一の接続配線71cによって、同位相の信号で駆動される。以下同様にして最外のトランスデューサエレメント61n1,61n2まで、同一の接続配線71nによって駆動される。このような配線とすることによって、超音波を集束軸63上に集束させることができる。
【0038】
多数のトランスデューサエレメント61は2次元状に配列されて、集束型超音波トランスデューサアレイ50を構成することに代えて、cMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer、静電容量型マイクロマシンプロセスを用いて製造した超音波トランスデューサ)のように、単一の基材上に多数のトランスデューサエレメントを形成して、より小型化、軽量化を実現することもできる。
【0039】
単一基材上に多数のトランスデューサエレメントが形成された集束型超音波トランスデューサとして、コンポジット圧電体を用いることによって、凹曲面の形成が容易になり、好ましい。
【0040】
図5(A)〜図5(C)に示すように、コンポジット圧電体による集束型超音波トランスデューサアレイ80は、コンポジット圧電体82を有する。コンポジット圧電体82は、周知の構成とすることができ、たとえば圧電体層上に形成された多数の微細柱状圧電素子である圧電ピラーと、その圧電ピラーの周囲を柔軟性樹脂で充填された構造となっている。コンポジット圧電体82は、片面が共通接地電極83であり、共通接地電極83は、通常、超音波送受面側に配置される。反対側の面、すなわちバッキング層85側の面に配置される分割電極81は、図5(A)に示すように2次元に配列される。コンポジット圧電体82の圧電ピラーを埋める樹脂には、エポキシ等の高分子樹脂等の柔軟性のある樹脂を用いることができる。コンポジット圧電体82は、前述のように微細柱状圧電素子である圧電ピラーが柔軟性樹脂で連結された板状の圧電振動子であるため、容易に湾曲構造が実現でき、加えて同形状の圧電セラミクス板では実現不可能な大きな電気機械変換定数を持つことが特徴である。
【0041】
共通接地電極83上には音響整合層84が接合され、コンポジット圧電体82と空気との間の音響インピーダンス不整合を低減させ効率の良い超音波の送受信ができるようにしている。ただし、音響整合層84の厚さは、あつかう超音波の周波数fと音響整合層84の材料が持つ固有の音速vとから計算される波長λも1/4の厚さが最適とされ、この厚さの板が用いられる。したがって、送信時は周波数fの超音波を用いて音響整合が好適に実現されても、受信時にfと乖離した周波数の超音波をあつかうのでは超音波受信の効率を低減させてしまう。本発明の超音波診断装置1では、集束型超音波トランスデューサアレイ80のみを用いて、周波数fの空中超音波を体表に向けて送信し、体表直下に2次音源を形成し、周波数fの空中超音波よりも顕著に低周波f’(=(1/2)f以下となるエンベロープ周波数)の体内伝搬超音波をあつかうので、その周波数f’のままの超音波受信では、受信時の音響不整合を起こすことになる。
【0042】
音響整合層84に関する他の条件として、音響整合層84の音響インピーダンスの最適化とこの音響整合層84も湾曲構造とするので柔軟性が必要であり、これらの条件を勘案した音響整合層84を用いている。このような音響整合層84を形成することによって高い超音波送受信効率を持つ湾曲コンポジット超音波振動子を形成することができる。
【0043】
上述では、いずれの集束型超音波トランスデューサアレイにおいても、トランスデューサエレメントがm行n列の2次元マトリクス(格子状)に配列されている場合について示したが、たとえばAモード信号の送受信とし対象物を相対的に走査することによって画像構築する場合には、トランスデューサエレメントが同心円状に配列された単一のアニュラアレイ振動子構造であってもよく、その他公知のトランスデューサアレイの構造とすることができるのは言うまでもない。
【0044】
3.動作原理及び動作
3−1.2次音源の形成
上述したとおり、音響インピーダンスが大きく異なる空気と生体内(水中とほぼ等価)との間では超音波伝搬が困難であるため、本発明の超音波診断装置1では、音響放射圧、すなわち、強度の強い超音波が進行する方向に音響インピーダンスに大きな差がある媒体が存在する場合に、その媒体表面に直流的な圧力が発生するという原理を用いて、被験者の体表直下に形成された2次音源を利用する。
【0045】
図6に示すように、信号源によって、振幅Aの非線形信号Asinωt×sinωtを被験者6の体表6aに向けて放射する場合を考える。非線形信号Asinωt×sinωtは、三角関数の加法定理により、以下のように表わされる。
【0046】
sinωt×sinωt=−(1/2){cos(ω+ω)t
−cos(ω−ω)t} (3)
【0047】
ここで、ω=ω=ωとすると、(3)式は、第2高調波(2ω)とDC成分のみとなる。
【0048】
Asinωt×sinωt=−(1/2){cos(2ω)t−1} (3’)
【0049】
体表6aは、(3’)式の非線形超音波現象である放射圧のDC成分からなる音響放射圧によって信号の振幅に対象物の粘弾性特性を考慮した距離dDCだけ凹む。
【0050】
このような音響放射圧に振幅変調をかけることによって、体表6aを押す圧力を変化させることができる。体表の圧力変化によって、体表6aを振動させて、生体内に縦波で伝搬する伝搬超音波を生成することができる。なお、図6では、便宜的に集束超音波ではなく、平面波表示であるが、後述するように、実際には集束超音波を用いて、音響焦点において最大の超音波強度になるようにして、音響焦点で最大の非線形性が発揮できるようにする。
【0051】
図7(A)及び図7(B)に示すように、超音波が体表6aに向かって進行し、体表6aは、変調された超音波信号の包絡曲線の波形で弾性振動する。この弾性振動は2次音源からの2次送信超音波となり体内深部に向かって伝搬する。この2次送信超音波が音響インピーダンスの異なる異常組織との境界部6bに達すると(図7(A))、一部は透過波となり、裏面に到達し、残りは反射され、パルスエコー信号として体表6a側に到達する(図7(B))。
【0052】
図8には、集束超音波発生手段であるカラムアレイユニット60を構成するいずれかのトランスデューサエレメント61を駆動するための印加電圧信号波形を示した。
【0053】
図8に示すように、カラムアレイユニット60に印加する電圧信号は、体内に伝搬する伝搬超音波のパルス幅Tpulse’の2次送信超音波パルス信号V(body)transを体表に励起させるための空中超音波のパルス幅Tpulseを有する信号V(air)burstと、生体内部から体表へ到達したパルスエコー信号V(body)recをドップラ効果に基づいて受信する受信時間Trecを有する0Vではないベースライン信号V(air)baseとからなる。空中超音波のパルス幅Tpulse及び受信時間Trecによって時間Trepの時間経過を所要し、この時間Trepを所要する1セットが繰り返される。このパルス信号V(air)burstは、第1のバーストパルスVb1、第2のバーストパルスVb2、及びこれらのバーストパルスVb1,Vb2に挟まれた0Vのベースライン時間Tbase0とからなるパルス信号で、具体的にはサイン波の振幅変調波からなっていると言える。図8の上側の波形図に示す印加電圧信号の印加によって、カラムアレイユニット60から集束超音波が体表に向かって伝搬し、伝搬時間Tairを経て、体表に2次音源を形成し、これが2次送信超音波パルスV(body)transとなって体内深部に向かって伝搬する。この超音波信号V(body)transは、カラムアレイユニット60の伝達関数H(ω)、空中伝搬時の超音波ロスAL(ω)、音響放射圧によるDC成分変換効率DC(ω)、及び体表組織の粘弾性特性TS(ω)による影響を積算的に受け、図8の下側の図に示すようなパルス波形V(body)transとなる。
【0054】
超音波V(body)transは、体内深部に伝搬し、深部の特定の位置にある異常組織6bで反射した後、体表に向かって図8の下側の図に示したようにパルスエコー信号V(body)recが振幅減衰して体表6aにもどり、体表6aは、このパルスエコー信号波形V(body)recに基づいて弾性変位振動する。この時、印加電圧の受信期間Trecにおいて、常時周波数fの超音波が体表6aに照射されているので、この照射信号であるパルスエコー信号V(body)recは、ドップラシフトを受け、f±Δfの周波数となって、カラムアレイユニット60にもどってゆく。
【0055】
なお、前記した2次送信超音波パルスV(body)transの波形は2つのバーストパルスからなる送信超音波パルス励起用信号の場合について記載したが、バーストパルスは、3つでも、4つでも、5つでもよい。図9(A)〜図9(C)に示すように、伝搬する生体内の粘弾性特性等の粘性特性によって、生体内を伝搬する縦波伝搬超音波の波形は変化し得る。図9(B)及び図(C)に示すように、縦波伝搬超音波は、進行するにつれてゆるやかな波形となることもあるし、対象物の粘弾性特性によっては伝搬の最初から、図9(B)や図9(C)のような波形になっている場合もある。(図9(A)、(B)、(C)の順で粘弾性特性が大きい。)
【0056】
異常部との境界部6bで反射された超音波のパルスエコー信号が被験者6の体表直下に到達すると、体表6aでは、周波数をfとした場合に、f×Δxの振動速度Vsurfaceを持つ(ここで、f=1/(Tburst+Tbase0)。
【0057】
図8にもどって、本発明による受信モードについて以下に説明する。
【0058】
受信期間Trecでは、周波数fの比較的振幅の小さいサイン波V(air)baseが後続している。この区間ではその周波数と振幅に対応した比較的小さな音響放射圧による直流的な沈みこみ変位dDCがTrecの間中発生すると同時に、同じ周波数のサイン波が反射しつづける。この状態において、体表6aにパルスエコー信号V(body)recが到達すると、体表6aが周波数fと変位振幅に対応した振動速度の振動変位をするので、体表6aへ入射する周波数fの超音波はドップラシフトを受け、前記反射信号は、f±Δfのドップラ信号となって集束型超音波トランスデューサアレイ50に戻っていき受信される。一般には、Δfはfに比べてかなり小さいので、f±Δfが(1/2)fより小さくなることはなく、同一の音響整合層で受信時の音響整合効果を活用でき、受信感度を増加させることができる。
【0059】
3−2.集束点制御
上述したように、集束超音波を体表に照射することによって、体表に2次音源を形成し、体表を振動させて生体深部へ伝搬する2次送信超音波を形成することができる。さらに、超音波を体表直下に集束させることによって、体内への伝搬超音波を球面波あるいはシリンドリカル波として伝搬させることができ、このようにして形成された球面波、シリンドリカル波に対して、n個配列したカラムアレイユニット60のそれぞれにさらに位相制御を施すことによって、波面合成超音波ビームを形成し(ビームフォーミング)、形成した超音波ビームを集束(ビームフォーカシング)、リニア走査またはセクター走査(ビームステアリング)を実施し、関心領域の超音波診断画像を再構築できるようになる。
【0060】
図10では、2次音源のための集束点の垂直方向の位置制御方法を説明するために、図2の制御回路ユニット10と、集束型超音波トランスデューサアレイ50を構成するカラムアレイユニット60と、対応する体表6aの部分とを取り出して示している。集束点の垂直方向の位置制御方法においては、制御回路ユニット10内の遅延時間パターン生成部15,16のうち、ビームステアリング用遅延時間パターン生成部15は、初期状態では信号を出力せず、2次音源形成用遅延時間パターン生成部16のみが動作する。
【0061】
n個配列した集束型超音波トランスデューサアレイ50の中の1番目の最初の集束型超音波トランスデューサアレイ60と体表6aとの離間距離X1とし、n番目のカラムアレイ集束型超音波トランスデューサアレイ60と体表6aとの離間距離Xnとする。この場合に、一般的には、X1≠Xnである。最初のカラムアレイユニット60を構成するm個のトランスデューサエレメント61が、2次音源形成用遅延時間パターン生成部16によって生成された遅延時間パターンによって空中集束超音波B1を発生する。この空中集束超音波B1が体表6a上に音響焦点F1として位置している。X1≠Xnなので、n番目のカラムアレイユニット60に対して、2次音源形成用遅延時間パターン生成部16が一番目のカラムアレイユニット60と同じ遅延時間パターンを生成しても、n番目のカラムアレイユニット60が発生する空中超音波Bnは、体表6a上に集束し音響焦点を結ばない。なお、カラムアレイユニット60は、所定の曲率半径の湾曲形状をしていて、それによる固定音響焦点を有しているので、集束点制御量はその固定集束点を中心に増減させる制御が行われる。
【0062】
図11(A)〜図11(D)は、音響焦点位置合わせ制御の手順例を送受信の波形について示すものである。上述した図10の1番目のカラムアレイユニット60について、図11(A)に示すようなパルサアレイ12が出力する電圧信号S1(1),S2(1)...Si(1)...Sm(1)からなる遅延時間パターン11(11の前の1は1番目のカラムアレイユニット60に関しての場合を示し、後の1は1つ目の遅延パターンを示す)の場合に、図11(C)のR1(1)に示すような受信ビームフォーマ19による加算処理後の受信パルス信号が得られる。同様に1番目のカラムアレイユニット60に対し図11(B)に示した2つ目の送信遅延パターン12、すなわち電圧信号S1(2),S2(2)...Si(2)...Sm(2)からなる遅延時間パターン12を設定した場合の受信ビームフォーマ19による加算処理後の受信パルスは図11(C)のR1(2)となる。さらにi番目のカラムアレイユニット60に対し、図に示していないi番目の送信遅延パターン1i、すなわち電圧信号S1(i),S2(i)...Si(i)...Sm(i)からなる遅延時間パターン1iを設定した時の受信ビームフォーマ19による加算処理後の受信パルスは、図11(C)のR1(i)となる。そして、それぞれの受信信号レベルは、最大値検出部21で取得される。上記の様に受信信号R1(1)は、送信された遅延時間パターン11によって得られる受信パルス信号であり、R1(2)は、送信された遅延時間パターン2によって得られる受信波形であり、同様にR1(3)、R1(4)、R1(i)は図11(A)に図示していない3番目,4番目,i番目に得られる受信パルス信号である。これらの受信パルス信号のうち、パルスの最大振幅値が最大になる時が音響焦点が体表に一致した場合であり、すなわち図11(C)においてはR1(2)である。最大振幅値が最大になる送信遅延時間パターンの決定は、以下の様に行われる。送信遅延時間パターン11に対応して得られる受信パルス信号R1(1)の最大振幅値Vppが検出され、検出結果に基づいて離間距離演算部22で、体表6aとカラムアレイユニット60との離間距離が計算される。計算された結果をバス28を介して処理部26に送り、処理部26は、あらたな遅延信号パターンを生成するように2次音源形成用遅延時間パターン生成部16に指示する。2次音源形成用遅延時間パターン生成部16は、あらたな遅延時間パターン12をパルサアレイ12により送信する(図11(B))。あらたな遅延時間パターン12に対する図8(C)に示した受信信号R1(2)を取得して、上述と同様に最大値を取得する。同様にして受信信号の最大振幅値が最大になる送信遅延パターンが見つかるまで送信遅延パターンを変更し、見つかった時点で、その送信遅延パターンを記憶させ、同時に、受信パルス信号の発生時刻を評価することによって、カラムアレイユニット60から体表6aまでの距離が判明する。R1(2)なる受信パルスが得られた時の送信遅延時間パターン2に固定することによって、1番目のカラムアレイユニット60に関して、体表6aへの音響焦点合わせが完了することになる。2番目、3番目、・・・,i番目、・・・n番目のカラムアレイユニット60についても同様の音響焦点合わせをして体表に焦点合わせが実施されて2次音源アレイが構築されたことになる。
【0063】
上述のように、空中超音波を発信する各トランスデューサエレメント61のそれぞれの遅延時間を制御して受信信号のレベルが最大になる遅延時間パターン(位相パターン)を集束点を取得したものとして採用する。図2において、集束点制御を行う集束点制御モードでは、SW20を最大値検出部21の側に接続することによって行う。各カラムアレイユニット60ごとに取得された遅延時間パターンを記憶部27に格納して、伝搬超音波を受信して超音波画像を構築する超音波画像構築モードにおいて、体表位置(距離)を制御しつつ、SW20をドップラシフト検出部23側に切り替えて、伝搬超音波信号、すなわち音響インピーダンスの異なる異物を透過した透過超音波信号を背面側から、又は、異物との境界で反射したパルスエコー信号を体表側から取得する。
【0064】
3−3.超音波ビームフォーミング
本発明が適用された超音波診断装置1では、上述したように、2次音源は、被験者6の体表6aに点状に形成され、形成された2次音源は、体内に向かって球面波又はシリンドリカル波として伝搬する2次送信超音波を体内深部に伝搬させる。ここで、トランスデューサアレイを構成するカラムアレイユニット60がそれぞれ生成する2次音源に対して、さらに位相制御を行うことによって、伝搬超音波が形成する合成波面Swの曲率と向きを任意に設定することができる。
【0065】
図12に示すように、2次音源形成用遅延時間パターン生成部16が生成する遅延時間パターンに、ビームステアリング用遅延時間パターン生成部15が生成する遅延時間パターンを加算することによって、2次音源が生成する伝搬超音波のビームフォーミング、すなわちビームフォーカシングによる焦点形成と、ビームステアリングを走査、すなわちビームステアリングとを行うことができる。たとえば、最初のカラムアレイユニット60の空中超音波B1による集束点F1に形成される2次音源は、球面波又は円筒波となりその波頭が所定のタイミングで被験者6の体内の位置Sw1に合成波面を形成する。n番目のカラムアレイ60の空中超音波Bnにより集束点Fnに形成される2次音源が生成する2次送信超音波の位相をF1に形成される2次音源のものよりもtdelayだけ位相を遅らせてカラムアレイ60を駆動することによって、最初のカラムアレイ60による2次音源が生成する伝搬超音波と、n番目のカラムアレイ60による2次音源が生成する伝搬超音波とでは、伝搬距離差Xdelay=1500[m/s]×tdelayが生ずる。生体内を伝搬する超音波の速度1500[m/s]は一定なので、2次音源ごとにtdelayを設定する、すなわち位相制御することにより、各2次音源の生成する球面波の波面が形成する合成波面の曲率と向きを制御することができる。形成された合成波Swは、伝搬超音波ビームBBを形成して体内を伝搬し、ビーム焦点FBを形成する。また、2次音源ごとにtdelayを動的に制御することによって、合成波面Swの曲率と向きを動的に変更することができ、図12の矢印Locussteerの方向にセクター走査ができる。
【0066】
なお、ビームステアリング用遅延時間パターン生成部15によって、位相制御してビームフォーミング及び/又はビームステリングを行う手法については、周知のものを用いることができるのは言うまでもない。
【0067】
3−4.受信ビームフォーミング
受信された超音波信号は、レシーバアレイ18を構成する各レシーバにおいて所定の信号処理がなされて、受信ビームフォーマ19に入力される。受信ビームフォーマ19では、m個の受信信号(m行n列の集束型超音波トランスデューサアレイの場合)が遅延加算処理されて1つの受信信号が形成される。受信ビームフォーマ19には、周知の構成を用いることができる。
【0068】
なお、受信ビームフォーマ19の出力信号はドップラ効果の影響を受けた信号であり、送信信号の周波数をfとすると、f±Δfの周波数成分からなっていて、ドップラシフト±Δfの中に異物境界で反射したパルスエコー信号が体表に到達し体表を振動変位させている情報が含まれている。その情報を解析するためには±Δfをドップラシフト検出器23によって取り出し、さらにFV変換器24で電圧信号に変換する。このFV変換信号は、n個の制御回路ユニット10の1つずつに出力されるので、それらを体内組織のイメージング用受信ビームフォーマ25で遅延加算処理を行い、加算処理後の受信信号を対数増幅、ダイナミックフィルタリング、STC処理等の周知の信号処理29を行い、その出力信号をスキャンコンバータ30で画像信号に変換し、輪郭強調、ガンマ補正、明度、コントラスト強化などの画像処理31を行いモニタ32に表示する。本発明が適用された超音波診断装置では、上述したように、サイン波による振幅変調波を用いた音響放射圧に基づく伝搬超音波には、基本周波数fに加えて、第2高調波成分等の高調波成分が含まれるので、この高調波成分を用いることによってより高い空間分解能で画像構築することもできる。
【0069】
4.模擬実験
水を入れ、一部に体表に相当するメンブレン(ポリエチレン製の膜)を形成した水槽を生体(密度がほぼ等しく、超音波の伝搬速度がほぼ等しい)に見立てて、メンブレンに集束超音波をあてて、2次音源を形成し、水中を伝搬する伝搬超音波を生成する実験を行った。
【0070】
図13には、2次音源による伝搬超音波生成実験のための測定系の概要を示す。集束超音波を発信する集束型超音波トランスデューサ100は、所定の離間距離だけ離間させた水槽105の壁面の一部に形成されたメンブレン102上に超音波101を集束させるように配置した。水槽105には水107が満たされている。水107中には、生体内の骨に見立てた3本の木製の棒104a,104b,104cを等間隔に配置した。木製の棒104aと104cとの距離は、4.8cmであった。
【0071】
集束型超音波トランスデューサ100から非線形超音波を発信し、水107中を伝搬する伝搬超音波106を生成し、水槽105の反対側の面にマイクロフォン108を配置して、集束型超音波トランスデューサ100とマイクロフォン108をセットにして水槽に対しX,Y方向に移動させて、移動量に対してマイクロフォン108の出力電圧をプロットすることにより得られた超音波像を図14に示した。
【0072】
図14に測定結果と、比較のために行ったコンピュータシミュレーションの結果を示す。図14(A)には、図13の測定系によって測定した超音波信号を画像処理して表示した結果であり、集束型超音波トランスデューサ100から発信される超音波の周波数は、40kHzを用いている。
【0073】
図14(B)及び図14(C)には、実測値との比較のために行ったコンピュータシミュレーションの結果であり、図14(B)には、実測の場合と同じ周波数の超音波を用いた場合の結果を示す。図14(C)には、超音波の周波数を400kHzにした場合のコンピュータシミュレーション結果を示す。
【0074】
これらの結果より、3本の木製の棒の位置を正確に示していることが検証された。また、図14(B)及び図14(C)の対比により、超音波の周波数をさらに高周波化することによって分解能を向上させることができることが示唆されている。
【符号の説明】
【0075】
1 超音波診断装置、10 制御回路ユニット、11 マルチプレクサ、12 パルサアレイ、13 2次音源形成用送信ビームフォーマ、14 遅延時間加算部、15 ビームステアリング用遅延時間パターン生成部、16 2次音源形成用遅延時間パターン生成部、17 体内組織のイメージング用送信ビームフォーマ、18 レシーバアレイ、19 受信ビームフォーマ、20 SW、21 最大値検出部、22 離間距離演算部、23 ドップラシフト検出部、24 FV変換部、25 体内組織のイメージング用受信ビームフォーマ、26 処理部、27 記憶部、28 バス、29 信号処理部、30 画像処理部、32 モニタ、40 超音波診断システム、50 集束型超音波トランスデューサアレイ、60 カラムアレイユニット、61 トランスデューサエレメント、70 配線束、71a〜71n 接続配線、80 コンポジットタイプの集束型超音波トランスデューサアレイ、81 下部電極、82 コンポジット圧電体、83 共通接地電極、84 音響整合層、85 バッキング層
図1
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