特許第6132362号(P6132362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6132362ポンプ・プローブ分光法におけるパルス管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132362
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】ポンプ・プローブ分光法におけるパルス管理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20170515BHJP
   G01N 21/39 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   G01N21/27 Z
   G01N21/39
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-517893(P2014-517893)
(86)(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公表番号】特表2014-518387(P2014-518387A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】FR2012051494
(87)【国際公開番号】WO2013001242
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】1155799
(32)【優先日】2011年6月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513014743
【氏名又は名称】エコール ポリテクニーク/デジェアエル
【氏名又は名称原語表記】Ecole Polytechnique/Dgar
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(72)【発明者】
【氏名】ラウラ アントヌッチ
(72)【発明者】
【氏名】アドリーヌ ボンバレ
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル ジョフル
(72)【発明者】
【氏名】グサビエ ソリナ
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−512848(JP,A)
【文献】 米国特許第05258612(US,A)
【文献】 特開2008−139028(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0186486(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01949055(EP,A1)
【文献】 国際公開第2007/045773(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0088787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
「ポンプ」パルスと呼ばれる第1の光パルスを受けたサンプルの反応を測定するための、光パルスの管理装置であって、
前記測定は、「プローブ」パルスと呼ばれ、前記「ポンプ」パルスに対して所定の時間間隔だけシフトした、第2の光パルスを受けたサンプルにより発生したシグナルを、分析することにより実行され、
二つの超短パルスレーザ光源(1、3)からそれぞれ発生し、「ポンプ」ビームと呼ばれる第1ビーム及び「プローブ」ビームと呼ばれる第2ビームの二つの光ビームのパルスの検出に適した、二つの光検出器(21、23)であって、前記各ビームは、相異なった、任意の、かつ、測定可能なジッター現象がない所定の期間Δt安定した、各繰り返し周波数を有し、前記サンプルの方向に向かうパルスを発生する、光検出器と、
前記第1ビーム及び前記第2ビームそれぞれから生じ、前記サンプルの反応を測定するための「ポンプ」パルス及び「プローブ」パルスを構成する、二つのパルスの間の前記時間間隔を決定するのに適し、前記光検出器が接続されたコンピュータ(25)とを含み、
前記コンピュータは、前記サンプルの反応を測定するための分析器(15)に接続するコネクタを備え、入力パラメータとして、前記二つのパルスを含む測定のための前記コンピュータにより決定された前記時間間隔を有し、
前記コンピュータは、二つのパルスの間の時間をアポステリオリに決定するために前記Δtの間前記繰り返し周波数の安定性を利用したアルゴリズムを用い、前記コンピュータは、前記第1ビームのパルスと前記第2ビームのパルスの間の時間的な一致を検出し、内挿又は外挿により、二つのパルス間の前記時間間隔の発展の法則を決定するために、二つの同時発生の間に各ビームにより生成されたパルスの数をカウントするのに適していることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記二つのビームの各々に位置する二つのパルス選択器をさらに備え、
前記各選択器は、サンプルに向けて、サンプルが置かれた前記ビームの特定のパルスを送信するのに適し、
前記送信されたパルスは、前記第1ビームの選択されたパルス及び前記第2ビームの選択されたパルスの間の前記時間間隔が所定の値を有するように、前記コンピュータにより選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パルス選択器は光増幅器であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コンピュータは、一連のパルス対の前記時間間隔の全てが所定の測定間隔のサンプリングを可能とするように、各対が前記第1ビームのパルスと前記第2ビームのパルスからなる一連のパルス対を選択するのに適していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記光検出器は干渉計の形で接続され、二つのパルスの時間的重ね合わせが前記コンピュータに対して一致シグナルをトリガーするように、前記干渉計の干渉シグナルは少なくとも一つのフォトダイオードにより検出されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記光検出器はそれぞれ、各パルスを、電子的「時間―デジタル変換器」(TDC)回路に対する入力信号として機能する電気信号に変換するのに適した、一つのフォトダイオードを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「ポンプ」パルスと呼ばれる第1の光パルスにさらされたサンプルの反応性を測定するための光パルスの管理装置であって、「プローブ」パルスと呼ばれ、「ポンプ」パルスに対して所定の時間間隔だけシフトした第2の光パルスを受けたサンプルから放射された光シグナルを分析することにより測定が行われるもの、に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明から利益を受ける分野は、ポンプ・プローブ分光法の分野、及び、一般的には、測定対象の合計時間間隔のスキャンを可能とするため、既知かつ可変の時間遅延により区別された二つの超短レーザパルスの使用を必要とするあらゆる応用分野である。
【0003】
近年、生物学的システムのダイナミクスが盛んに研究の対象とされてきている。このような動態は、特定の場合、ピコ秒から秒に亘る時間オーダーにまたがった連続的な発展を示すことがあるということが、特に示されている。
【0004】
ポンプ・プローブ分光法は、反応中のシステムの時間的ダイナミクスを測定することを可能とする技術である。すなわち、ポンプパルスが反応を誘起し、その後、時間シフトしたプローブパルスが発生した変化を測定する。そして、一つのレーザパルスを、測定すべき全時間範囲にわたり別のレーザパルスに対してシフトできるようにすることが必要である。当該シフトは、最も近いピコ秒の精度が必要とされる。
【0005】
現在、既知で可変の遅延により分離された2つのパルスを発生させる方法としては、3つの手段が存在する。
【0006】
第1の手段は、2つの分岐光に分けられる単一のレーザのシステムを用いるものである。それら分岐光のうちの一つが、機械的な遅延ラインを用いることにより、他の分岐光に対して遅延する。当該システムは、遅延ラインの長さによって、ピコ秒からナノ秒の範囲に限定される。さらに、機械式スキャン中に適切な指向精度を維持するには、特に注意が必要とされる。
【0007】
第2の手段は、二つの非同期レーザ発振器を用いるものである。遅延時間は、増幅器において所望の遅延時間と最も近い遅延時間を有するパルス対を選ぶことにより、選択される。この選択は通常、所望のパルスの周囲においてポッケルスセルが開閉することにより行われる。二つのレーザ発振器の間の非同時性、及び、結果として発生する時間上のジッターにより、そのようにして選択される二つのパルス間の真の遅延時間が測定される。その精度は、レーザキャビティの発振周期、すなわち、典型的には10数ナノ秒のオーダーを下回ることはない。その代わり、このシステムは、任意の長さの遅延の発生を可能にする。
【0008】
第3の手段は、二つの同期レーザ発振器を用いるものである。遅延時間は、それらの相対的な時間フェーズを変化させることにより、調整される。第2の手段の解説に記載したような増幅前の選択に関連して、このシステムは、ピコ秒のオーダーの精度を維持しながら長い遅延時間を発生させることにより、前述の手段の制限を克服している。しかしながら、当該手段は、製造者がレーザのデザインの段階からこの機能を準備していない限り、標準的な商用のレーザ発振器によってアポステリオリに実行することのできない、高価で複雑な実装を必要とする。それゆえ、当該システムはほとんどの潜在的ユーザーにとって利用しやすいものではない。同様に、フェムト秒の領域に応用されるストロボスコピーの原理を利用することにより、異なった周波数のレーザ発振器を使用することが可能である。二つのパルス列の間の時間的一致は光電子工学装置により測定される。しかしながら、提案する実装方法においてうまく機能するためには、当該方法は二つの発振器の周波数が近接し、かつ、極めて高い精度により測定されることが要求される。このため、レーザキャビティの長さを鋭意コントロールすることが必要である。これは一般には、システムが取得される前にこれが計画されていない場合にはあてはまらない。
【0009】
これらの種々の手段が様々な公報において説明されている。それら公報の中で最も重要なものには下記のものがある。
【0010】
2004年発行のBredenbeck, Helbing and Hamm., Rev. Sci. Instrum. Vol.75 p.4462は、チューリッヒのthe Institut de Chimie-Physiqueによって提案された、同位相の電子スキャンニング法について説明している。長い遅延は、ポッケルスセルによる増幅すべきパルスの選別を通じて、発振器の繰り返し周期の倍数によって与えられる。短い遅延は、二つのレーザ発振器の間の既知の位相を導入することによって生成される。この方法により、最大50μsまでの範囲に亘る2psの精度を得ることが可能となる。
【0011】
1999年、Takagi とAdachi(RSI Vol.70, p.2218)は、非同期性の光学スキャンニングを紹介している。このスキャンニングは、二つの発振器の既知の繰り返し率の差異を導入することにより得られる。導入された差異が二つの発振器の繰り返し周波数f1及びf2に対して無視できるものである場合には、時間軸f1/f2に対する倍率を生み、結果としてスペクトル分解能の増加をもたらすことが示されている。Takagiの研究において、760000倍の時間的倍率が測定された。
【0012】
2004年には(Keimann, Goble and Holzwarth, 「Time domain mid-infrared frequency-comb spectrometer」, Opt. Lett.29, p.1542(2004))、この利点は改善され、最終的に45500000倍の時間倍率が得られた。これは、13cm−1のスペクトル分解能に相当する。これらの研究は、パルススペクトルの離散的性質に着目して、フェムト秒レーザにより行われた。これにより、二つのシフトパルスのスペクトルを形成する各周波数ラインの間のビートの現象を利用する、「周波数コム分光法」への道が開けた。従来のフーリエ変換分光法を利用した実験に対する利点は、数十マイクロ秒の測定時間で得られる、測定の感度、スペクトル幅、及び、スペクトル分解能にある。
【0013】
光電子工学の同期方法はまた、特許出願WO/2007/045773において提案されているが、得られる時間分解能は、二つの発振器の周波数が隣接している場合にのみ、有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それゆえ、標準的なフェムト秒レーザを使用しつつ、ピコ秒の精度でピコ秒から秒の間を変化し得る二つのパルス間の遅延を取得可能とするレーザパルスの管理装置を得ることには利点があるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記欠点を一つ以上解決するために、「ポンプ」パルスと呼ばれる第1の光パルスを受けたサンプルの反応を測定するための光パルスの管理装置においては、前記測定は、「プローブ」パルスと呼ばれ、前記「ポンプ」パルスに対して所定の時間間隔だけシフトした第2の光パルスを受けたサンプルにより発生した光シグナルを分析することにより実行され、二つのパルスレーザ光源からそれぞれ発生し、「ポンプ」ビームと呼ばれる第1ビーム及び「プローブ」ビームと呼ばれる第2ビームの二つの光ビームのパルスの特定に適した二つの光検出器であって、前記各ビームは、相異なった、任意の、かつ、所定の期間安定した、各繰り返し周波数を有し、前記サンプルの方向に向かうパルスを発生する、光検出器と、前記コンピュータは、前記第1ビーム及び第2ビームそれぞれから生じ、前記サンプルの反応を測定するための「ポンプ」パルス及び「プローブ」パルスを構成する、二つのパルスの間の時間間隔を決定するのに適し、前記光検出器が接続されたコンピュータとが含まれ、前記コンピュータは、前記サンプルの反応を測定するための分析器に接続するコネクタを備え、入力パラメータとして、前記二つのパルスを含む測定のための第1のコンピュータにより決定された時間間隔を有する。
【0016】
さらには、前記コンピュータは時間間隔を決定するために繰り返し周波数の安定性を利用したアルゴリズムを用いる。
【0017】
この装置はこのように、二つの発振器について、光学キャビティ―に関するコントロールやフィードバックシステムを必要とせずに自由に操作できることを有利に前提条件とすることができる。さらに、時間的精度は、二つの発振器の間の周波数の差に直接は比例せず、したがって、標準的なレーザで使用される典型的な周波数である1ピコ秒を簡単に下回り得る。このように、ほとんどの時間、発振器ビームのごく一部を装置に送信することのみによって、二つの事前に備えられた増幅レーザシステムを使用する実験に当該装置を実装することが簡単にできる。
【0018】
特定の機能又は実施例には、単独で使用される場合も組み合わせて使用される場合もあるが、下記のものが含まれる。
【0019】
この装置はさらに、前記二つのビームの各々に位置する二つのパルス選択器からなる。各選択器は、サンプルに向けて、サンプルが置かれたビームの特定のパルスを送信するのに適している。送信されたパルスは、第1ビームの選択されたパルス及び第2ビームの選択されたパルスの間の時間間隔が所定の値になるように、コンピュータにより選択される。
【0020】
パルス選択器は光増幅器となっている。
【0021】
コンピュータは、第1ビームのパルスと第2ビームのパルスの間の時間的な一致を検出し、内挿又は外挿によって、二つのパルス間の時間間隔の発展の法則を決定するために、二つの同時発生の間に各ビームにより生成されたパルスの数をカウントするのに適している。
【0022】
コンピュータは、一連のパルス対の時間間隔の全てが所定の測定間隔のサンプリングを可能とするように、各パルス対が第1ビームのパルスと第2ビームのパルスからなる一連のパルス対を選択するのに適している。
【0023】
光検出器は、干渉計の形で結合されている。その干渉シグナルは、二つのパルスの時間的重ね合わせがコンピュータに対して一致シグナルをトリガーするように、少なくとも一つのフォトダイオードにより特定される。
【0024】
各光検出器は、各パルスを、電気的「時間―デジタル変換機」(TDC)回路に対する入力信号として機能する電気信号へと変換するのに適した、一つのフォトダイオードを備えている。
【0025】
本発明は、下記の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。下記の説明は、単に例を示したものであり、また、添付の図に準拠している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願発明の第1実施例による装置を有するポンプ・プローブ分光法システムの模式図である。
図2】非同期性スキャンニングに従い、異なる繰り返し周波数を有し、また、同時発生を示している、二つのレーザのパルスのタイミングダイアグラムである。
図3図1に示された装置の取得カードの電子的なアセンブリの模式図である。
図4A】二つのレーザが一致しないときの一致シグナルを示した、図3に示された電子装置のタイミングダイアグラムである。
図4B】二つのレーザが一致するときの一致シグナルを示した、図3に示された電子装置のタイミングダイアグラムである。
図5図1に示された装置の動作を示したフローチャートである。図5は、図1に示された装置の動作を示したフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施例に基づく装置を備えたポンプ―プローブ分光法システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1によると、ヘテロダイン式サンプリングの原理に従って作動する装置は、慣習的には、それぞれ「ポンプ」ビーム及び「プローブ」ビームを発生させる「ポンプ」パルスレーザ光源1及び「プローブ」パルスレーザ光源3からなる。この二つのレーザ光源は、典型的にはフェムト秒レーザであり、従って、100数フェムト秒のオーダーのパルスを発生させる。「ポンプ」パルスと「プローブ」パルスの持続期間は等しい場合もあれば等しくない場合もある。同様に、「ポンプ」ビームと「プローブ」ビームの中心波長は、実行される測定によって、等しい場合もあれば等しくない場合もある。
【0028】
各ビームは光増幅器5、7を通過した後、結合器9により結合される。例えば、結合器9は鏡及び半透鏡のプレートからなる。
【0029】
このようにして結合されたビームはその後、測定対象のサンプルが置かれた実験装置11の方向へ向けられる。
【0030】
サンプルの反応は、光検出器13により検出された後、取得システム15へ送信される。
【0031】
図1のパルス光管理装置の実施例においては、サンプルスライド17、19が各レーザ光源1、3の出力位置において各ビームの経路上に設置され、各パルスの出力が光検出器21、23において検出されるようになっている。当業者は、スライドの透過性は、その作動に必要なパワーのみが光検出器21、23に送信されるように選択されることを理解するであろう。
【0032】
光検出器21、23はコンピュータ25に接続されている。
【0033】
コンピュータ25は、光増幅器5、7のコントロールインターフェースを備え、取得システム15に接続されている。
【0034】
装置は下記のように作動する。
【0035】
一般的には、自由に操作できるよう設計された二つの発振器が、相異なる高度に安定的な周波数の櫛形パルス31、33を二つ発生させる。二つの櫛形パルス間の相対的な遅延、すなわち、相対的な時間位相が、一致が発生する瞬間と次の一致が発生する瞬間の間を、非同期生のスキャンニングの原理に従い、徐々に進行していく(図2)。
【0036】
Ω1及びΩ2をレーザの各周波数とすると、各レーザの時間位相をΦ1=Ω1(t-τ1)及びΦ2=Ω2(t-τ2)と定義することができる(τ1及びτ2は二つのパルス列の時間シフトを定義し、tは時間座標である。)。これらの法則は既知であるため、相対位相ΔΦ=Φ2−Φ1を正確に予測することが可能であり、それゆえ、二つの発振器により発生した全パルスの間の遅延を正確に予測することが可能となる。
【0037】
二つの発振器の位相の法則を測定するために、コンピュータは同時に発生するパルスを検出し、一方で、同時発生の間にある、二つのレーザそれぞれによって生成されたパルスの数を、正確にカウントする。したがって、この二つのパルス間の時間間隔に関する発展の法則は、内挿または外挿によって決定される。これにより、とりわけ非常に高い精度で、Ω2/Ω1を決定することが可能となる。
【0038】
実際、Δtを発振器が完全に安定的であるとみなすことのできる時間間隔だとすると、それはすなわち、測定可能なジッター現象がないということである。現在の発振器では、Δtは、典型的には1ミリ秒のオーダーである。Tはパルス列の周期であり、100メガHz発振器では約10ナノ秒に等しく、また、δτは同時発生の測定の時間的精度である。
【0039】
期間Δtに生成されたパルスの数は、N=Δt/Tの値を持つ。当該値はそれゆえ、およそn=Nδτ/Tのオーダーで同時発生の数と一致する。したがって、発振器の安定性を考慮に入れると、パラメータτ1及びτ2の測定の精度はδτ/√nのオーダーとなる。したがって、装置の究極的な精度は、同時発生を特定するのに使用される方法に関係づけられる。
【0040】
図3の実施例においては、同時発生の特定は完全に電子的である。
【0041】
光検出器21、23は高速フォトダイオードであり、その電気シグナルはコンピュータ25の電子カードに送られる。
【0042】
電気シグナルは二つのD型フリップフロップ41、43に送られる。シグナルのうち一つは共通のクロックとして使用される。他のシグナルは、第1のフリップフロップの入力、そして若干の遅れを伴って第2のフリップフロップの入力へと、連続して分配される。τ’は第1の遅延ライン45であり、τ”は第2の遅延ライン47である。新しいクロックパルス毎に、フリップフロップの出力の違いによって同時発生が示される。
【0043】
図4A及び図4Bは、遅延ライン45、47の出力におけるシグナル51、53、及び、光検出器の出力において、二つのD型フリップフロップ41、43に対するクロックとして機能する、シグナル55のタイミングダイアグラムを示している。シグナル57は、D型フリップフロップの二つの出力を組み合わせた排他的論理和の出力におけるシグナルを示している。図4Aは、二つのレーザが同時でないときのシグナルを示しており、シグナル57はそれゆえ0に留まっている。図4Bは同時発生が起きるときのシグナルを示しており、シグナル57は0から1へと反転している。
【0044】
発明者らは、本件概要をもとに、δτ≒30psのオーダーの精度を与える試作品を製作した。二つのSi PINフォトダイオードに取り付けられた二つの光学ファイバーが、差動対によって、同時発生検出器、及び、製造業者Xilinx社製のSpartanファミリーのFPGAに組み込まれたコンピュータに、連結されている。上記の数値によると、1ミリ秒当たり300回の比率で同時発生が起きる。この比率に対して十分に安定的なレーザ周波数により、これらの同時発生が平均化され、わずかに2ピコ秒を下回る最終的な精度が得られる。この値は、特別な回路(ASIC)を用いたり、または、相異なる既知の遅延をともなった電子経路の数を減らすことで同時発生の比率を増加させることによって、向上させることができる。
【0045】
別の形式として、時間―デジタル変換器タイプの既知の装置を使用することもまた可能である点が注目される。
【0046】
これにより、同時発生がない場合でもパルス対を利用することが可能となる。そのため、測定に寄与する取得の値nを増加させることが可能となる。このようにして、後者の精度を向上させることが可能となる。
【0047】
このように、図5では、ステップ51において二つの発振器の位相の法則が正確に測定され、コンピュータはステップ53において、「ポンプ」シグナルの任意のパルス及びそれに続く「プローブ」シグナルの任意のパルス間の時間シフトの値を決定することが可能となる。そしてそれゆえ、所定のシフト値に関しては、ステップ55において、当該時間シフトの値を有する「ポンプ」―「プローブ」パルスのペアを選択することが可能となる。
【0048】
コンピュータ25は、ステップ57において、増幅器5、7をコントロールし、一致したパルスのみを通過させ、そして増幅する。並行して、ステップ59において、取得システム15に「ポンプ」パルス及び「プローブ」パルスの間の時間を知らせる。
【0049】
導入部において示されているように、「ポンプ」―「プローブ」分光法における目的は、サンプルのダイナミクスを調べるために、サンプルの反応を、「プローブ」パルスから「ポンプ」パルスを分離する様々な時間範囲に亘って測定することである。
【0050】
説明された装置のおかげで、測定対象の時間範囲を例えば1ナノ秒から1ミリ秒などに、サンプル数を例えば1ピコ秒の1ステップなどに、予備的にパラメータ化することで充分である。そして、コンピュータは要求された範囲をカバーする一連のパルスを選択することが可能となる。測定は任意のオーダーにおいて可能であり、測定時間を最小化するように一連のパルスにのみ依存することが注目されよう。したがって、コンピュータ25は取得システム15に接続され、後者に、進行中の測定に一致するパルス間の時間に関する情報を提供するようになっている。そして、持続時間に亘る簡易なソーティング過程によって、測定を順序づけることが可能となる。別の有用な形式においては、検出器5、7は使用されず、このことによって二つの発振器1及び3により発生した全てのパルス対を利用することが可能となる。遅延はコンピュータによりアポステリオリに決定される。この場合、時間的なダイナミクスは、発振器の周期、典型的には10nsのオーダーに限定される。
【0051】
図6の第2の実施例においては、光検出器21、23及び電子取得カードは光学的装置により置き換えられる。
【0052】
後者は、二つのレーザ光が平行となった干渉計61、場合によってファイバー干渉計からなる。二つのパルスの時間的重ね合わせに対応した一致が、発生した光学的な線形の干渉により、検出される。干渉シグナルは、フォトダイオード63により検出され、これと閾値との比較を行うコンピュータ25における取得カードに送信される。別の形式においては、干渉計の二つの出力の各々にフォトダイオードを使用して、差分を特定することが可能である。
【0053】
説明したように、一致を光学的に検出することにより、パルスの持続時間のオーダー、すなわち典型的には100fs、の精度δτが得られる。上記の数値では、およそ1ミリ秒当たり1回程度の一致の比率n/Δtを与える。光検出器の前にスペクトル幅を減少させるフィルターを配置することにより、時間的な精度を犠牲にして、一致の比率を増加させることが可能である。このようなフィルターは、二つの発振器のスペクトルが同一でないときにもまた、必要となる。最後に、二つの発振器の間のスペクトルの重なりがない場合には、非線形光学のプロセス(二光子吸収、和周波数、等)を使用して、一致を特定することができる。
【0054】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示し、説明されている。後者は例証及び例示により与えられたものとして考慮されるべきものであり、この説明にのみ本発明を限定するものではない。多くの変形した実施形態が可能である。
【0055】
特許請求の範囲において、「備える」又は「有する」の語は、他の要素を除外するものではなく、不定冠詞「一つの」は複数を除外するものではない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6