(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締シリンダにより型締が行われる射出成形機の制御方法において、
固定金型と中間金型からなる成形金型または可動金型と中間金型からなる成形金型の少なくとも一方の成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられ、
昇圧工程において型締シリンダが所定値まで昇圧されるまでの一定時間または圧抜工程において型締シリンダが所定値まで降圧された後の一定時間、前記型開閉手段を用いて前記型閉時に反発力を有する成形金型の反発力を抑制して前記型閉時に反発力を有する成形金型の位置保持制御を行うことを特徴とする射出成形機の制御方法。
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締シリンダにより型締が行われる射出成形機の制御方法において、
固定金型と中間金型からなる成形金型または可動金型と中間金型からなる成形金型の少なくとも一方の成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられ、
型締シリンダによる強力型開によりいずれかの成形金型を先に離型し、その後に成形金型の反発力を用いて前記型閉時に反発力を有する成形金型を離型することを特徴とする射出成形機の制御方法。
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が取付けられる中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締シリンダにより型締が行われる射出成形機において、
前記中間部材の型開閉手段により型開閉される側の盤と中間部材に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられ、
昇圧工程において型締シリンダが所定値まで昇圧されるまでの一定時間または圧抜工程において型締シリンダが所定値まで降圧された後の一定時間、前記型開閉手段を用いて前記型閉時に反発力を有する成形金型の反発力を抑制して前記型閉時に反発力を有する成形金型の位置保持制御を行うことを特徴とする射出成形機。
可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が取付けられる中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締シリンダにより型締が行われる射出成形機において、
前記中間部材の型開閉手段により型開閉される側の盤と中間部材、前記中間部材の型開閉手段により型開閉されない側の盤と中間部材に型閉時に反発力を有する成形金型がそれぞれ取付けられ、
圧抜工程において型締シリンダが所定値まで降圧されてから前記型開閉手段を用いて成形金型の反発力を抑制して前記成形金型の位置保持制御を行い、
その後型締シリンダにより一方の型閉時に反発力を有する成形金型の強力型開を行い、
更にその後他方の型閉時に反発力を有する成形金型を反発力を用いて離型することを特徴とする射出成形機。
【背景技術】
【0002】
従来、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設される射出成形機としては特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1は、スタックモールド(タンデム型または多重金型)と呼ばれるものであり、型締状態で型開閉方向に設けられた2個のキャビティで同時に成形品を成形することができる。また特に特許文献1は、金型の一部にバネを用いた構造となっている。そして型閉状態ではバネが圧縮され、型開き動作に伴い、バネの反発力によりスプルの縮径部分の切断などを行うことが記載されている。
【0003】
しかしながら特許文献1は、型閉時のどの時点でバネが圧縮され反発力を発揮するかについては明確な記載はされていない。また特許文献1は、どのような型締装置を使用するかについても何ら明確な記載はされていない。
【0004】
また特許文献2は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、回転可能な中間金型が型開閉方向に移動自在に配設される射出成形機に関するものである。特許文献2では、第1の盤(可動盤)と中間金型を取付けた回転案を設けた中間部材との間に中間部材を固定的に保持可能なロック機構が設けられている。そして前記ロック機構により第1の盤と中間部材の間をロックした状態で、固定金型と可動金型の間での射出圧縮成形や強力型開を行うことが記載されている。
【0005】
しかしながら特許文献2は、固定金型と中間金型からなる成形金型、可動金型と中間金型からなる成形金型の少なくとも一方の成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられることについては何ら記載がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の特許文献1および特許文献2は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設される射出成形機に関するものであるが、固定金型と中間金型からなる成形金型または可動金型と中間金型からなる成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられた際に発生する問題については何ら記載がない。そのため前記反発力が型閉中や型開中に影響を及ぼす問題や前記反発力を離型等に用いることについては、まったく検討されないままとなっている。
【0008】
本発明では上記の問題を鑑みて、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設される射出成形機において、固定金型と中間金型からなる成形金型または可動金型と中間金型からなる成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられた際に発生する問題への対応や前記反発力の利用が可能な射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の射出成形機の制御方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、
型締シリンダにより型締が行われる射出成形機の制御方法において、固定金型と中間金型からなる成形金型
または可動金型と中間金型からなる成形金型の少なくとも一方の成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられ、
昇圧工程において型締シリンダが所定値まで昇圧されるまでの一定時間または
圧抜工程において型締シリンダが所定値まで降圧された後の一定時間、前記型開閉手段を用いて前記
型閉時に反発力を有する成形金型の反発力を抑制して前記
型閉時に反発力を有する成形金型の位置保持制御を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2に記載の射出成形機の制御方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、
型締シリンダにより型締が行われる射出成形機の制御方法において、固定金型と中間金型からなる成形金型
または可動金型と中間金型からなる成形金型の少なくとも一方の成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられ、
型締シリンダによる強力型開によりいずれかの成形金型を先に離型し、その後に成形金型の反発力を用いて前記
型閉時に反発力を有する成形金型を離型することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3に記載の射出成形機は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が取付けられる中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、
型締シリンダにより型締が行われる射出成形機において、前記中間部材の型開閉手段により型開閉される側の盤と中間部材に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられ、
昇圧工程において型締シリンダが所定値まで昇圧されるまでの一定時間または圧抜工程において型締シリンダが所定値まで降圧された後の一定時間、前記型開閉手段を用いて前記型閉時に反発力を有する成形金型の反発力を抑制して前記型閉時に反発力を有する成形金型の位置保持制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4に記載の射出成形機は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が取付けられる中間部材が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、
型締シリンダにより型締が行われる射出成形機において、前記中間部材の型開閉手段により型開閉される側の盤と中間部材、前記中間部材の型開閉手段により型開閉されない側の盤と中間部材に型閉時に反発力を有する成形金型がそれぞれ取付けられ、
圧抜工程において型締シリンダが所定値まで降圧されてから前記型開閉手段を用いて成形金型の反発力を抑制して前記成形金型の位置保持制御を行い、その後型締シリンダにより一方の型閉時に反発力を有する成形金型の強力型開を行い、更にその後他方の型閉時に反発力を有する成形金型を
反発力を用いて離型することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の射出成形機の制御方法は、可動金型が取付けられる可動盤と固定金型が取付けられる固定盤との間に、中間金型が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型と前記中間金型、前記可動金型と中間金型とがそれぞれ型開閉手段により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、
型締シリンダにより型締が行われる射出成形機の制御方法において、固定金型と中間金型からなる成形金型
または可動金型と中間金型からなる成形金型の少なくとも一方の成形金型に型閉時に反発力を有する成形金型が取付けられ、
昇圧工程において型締シリンダが所定値まで昇圧されるまでの一定時間または
圧抜工程において型締シリンダが所定値まで降圧された後の一定時間、前記型開閉手段を用いて前記
型閉時に反発力を有する成形金型の反発力を抑制して前記
型閉時に反発力を有する成形金型の位置保持制御を行うので、型閉時に成形金型の反発力を良好にコントロールして成形を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の射出成形機11について、
図1、
図2を参照して説明する。射出成形機11は、2種類の材料を用いた複合成形品用の射出成形機である。ベッド12の上面には型締装置13が配置されている。型締装置13は、可動金型14が取付けられる可動盤15と固定金型16が取付けられる固定盤17との間に、中間金型18,18が型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型16と前記中間金型18、前記可動金型14と中間金型18とがそれぞれ型開閉手段19,20により型閉されてそれぞれキャビティC1,C2が形成され、型締手段21により型締が行われる。
【0016】
前記固定盤15の四隅近傍には型締手段21の型締シリンダ22が設けられ、型締シリンダ22のロッドがタイバ23となっている。そしてタイバ23は、固定盤17に対して型開閉方向に移動可能な可動盤15と、固定盤17と可動盤15の間にあって型開閉方向に移動可能な中間部材25にも挿通されている。型締シリンダ22は油圧により作動され、タンク26に接続して設けられたポンプ27から切換弁28を介して型締シリンダ22の型締側油室29aまたは型開側油室29bに作動油が供給されるようになっている。また型締シリンダ22の少なくとも型締側油室29aへの管路30には油圧センサ31が設けられ、油圧センサ31は制御装置33に接続されている。なお
図1における油圧回路は発明に関する要部のみを記載したものであり、これに限定されるものではない。また型締手段についても
図1の型締シリンダ22に限定されない。また可動盤15には可動金型14が取付けられ、可動盤15の外側面のタイバ23の挿通部分の近傍にはハーフナット34が設けられている。そしてハーフナット34は図示しない駆動手段により進退移動可能であり、タイバ24に設けられた係止部35に係止されるようになっている。中間部材25にはその一部である回転盤36が回転可能に取付けられ、回転盤36の両面にはそれぞれ中間金型18,18が取付けられる。
【0017】
また射出成形機11は可動盤15(可動金型14を含む)を型開閉方向に移動させる型開閉手段19と、中間部材25(回転盤36および中間金型18,18を含む)を型開閉方向に移動させる型開閉手段20が設けられている。可動盤の型開閉手段19(可動金型の型開閉手段)は、ベッド12上に固定されたサーボモータ37(M1)の駆動軸とベッド12上に軸支されたボールねじ軸38とがベルト39等を介して連結されている。サーボモータ37は、電磁ブレーキ39が設けられたサーボモータ37が使用されている。またサーボモータ37は回転角度を検出するロータリエンコーダ40が設けられている。可動盤15の側面のブラケットにはボールねじナット41が固定され、ボールねじナット41にボールねじ軸38が挿入されている。またサーボモータ37は、サーボアンプ42を介して射出成形機11全体を統括する制御装置33に接続されている。
図1,
図2では1基の可動盤の型開閉手段19しか図示されていないが、一般的には2基〜4基の可動盤の型開閉手段19が設けられる。
【0018】
可動盤15と中間部材25の間を型開閉する中間部材の型開閉手段20(中間金型の型開開閉手段)については、可動盤15の側面のブラケットにサーボモータ43(M2)が固定され、中間部材25にボールねじナット44が固定され、前記ボールねじナット44に挿通されるボールねじ45が、サーボモータ43の駆動軸と連結されている。そしてサーボモータ43についてもサーボモータ37と同様に電磁ブレーキ46とロータリエンコーダ47が設けられている。またサーボモータ43は、サーボアンプ48を介して射出成形機11全体を統括する制御装置33に接続されている。
図1,
図2では1基の中間部材の型開閉手段20しか図示されていないが、一般的には2基〜4基の中間部材の型開閉手段20が設けられる。なお可動盤の型開閉手段19と中間部材の型開閉手段20の取付けられる盤、サーボモータ37,43の駆動軸とボールねじ38,45の連結方法などもこれに限定されない。またサーボモータ37,43は、電磁ブレーキ39,46が設けられていないものでもよい。
【0019】
また固定盤17の外側のベッド12上には第1の射出装置49が設けられ、可動盤15の外側には可動盤15とともに移動する第2の射出装置50が設けられている。射出装置49,50の配置はこれに限定されない。
【0020】
本発明で射出成形機11は、固定金型16と中間金型18からなる成形金型、可動金型14と中間金型18からなる成形金型の少なくとも一方の成形金型にバネにより型閉時に反発力を有するバネ金型が取付けられている。本実施形態では中間部材の型開閉手段により型開閉される盤である可動盤15に取付けられる成形金型である可動金型14にバネ32が設けられており、型閉時に型開方向Oに向けて反発力f1を発生させ、他のアクチュエータを用いずに成形後の可動金型14と中間金型18の離型を容易にする等の効果を有する。
【0021】
次に射出成形機11の制御方法について
図3および
図4のフローチャート図、および
図5の模式図で説明する。
図1に示される状態では、固定金型16と中間金型18、中間金型18と可動金型14の間がそれぞれ型開きされており、一方の金型間(例えば中間金型18と可動金型14の間)で成形された成形品が取出される。その際他方の金型間では成形された1次成形品Pが中間金型18に貼り付いた状態で型開きされている。その後型開された状態を保ったままで、中間部材25に対して回転盤36と中間金型18が180°回転される。
【0022】
次に、制御装置33からサーボアンプ42を介して可動盤の型開閉手段19のサーボモータ37(M1)に信号が送られて可動盤15(可動金型14を含む)の型閉を開始する。また同時に制御装置33からサーボアンプ48を介して中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43(M2)に信号が送られて中間部材25(回転盤36および中間金型18,18を含む)の型閉を開始する(s1)。型閉工程の開始とともに可動盤15等は、
図5における型閉完了位置Bに向けてサーボモータ37(M1)による位置制御により移動され(s2)、型閉完了位置Bに到達すると停止される(s3)。また同時に中間部材25等は、型閉完了位置B´に向けてサーボモータ43(M2)による位置制御により移動され(s2)、型閉完了位置B´に到達すると停止される(s3)。この際中間部材25等の移動量は、可動盤15等の移動量の略1/2である。
【0023】
そして型閉完了位置Bに到達されるとサーボモータ37(M1)は、電気的にサーボロックされ(s4)、可動盤15および可動金型14は型閉完了位置Bにて位置保持制御される。またほぼ同時にサーボモータ43(M2)は、電気的にサーボロックされ(s4)、中間部材25および中間金型18,18は型閉完了位置B´にて位置保持制御される。この際に成形金型である可動金型14がバネ金型である場合は、
図5に示されるように型閉完了位置B(B´)の手前から中間金型18の一部と可動金型14の一部が当接され、可動金型14の型閉方向Cへの前進に対してバネ32による型開方向Oへの反発力f1が働き始める。しかしながら反発力f1が発生し始める位置から型閉完了位置B(B´)まで可動盤15および可動金型14を移動させる際のサーボモータ37(M1)(またはサーボモータ43(M2))の型閉力F2は、バネ32による型開方向Oへの反発力f1よりも大きい。また型閉完了位置B(B´)におけるサーボモータ37(M1)、43(M2)のサーボロック時の保持力F3も、前記反発力f1よりも大きい。そのため型開閉手段19,20により、型閉時における成形金型の反発力f1を抑制(反発力f1に対抗)することができる。
【0024】
次に型締工程を開始するに際して可動盤15が型閉完了位置B(結合位置)に停止した状態で、可動盤15のハーフナット34の係止歯がタイバ23の係止部35に係止される(s5)。型締工程のうちの昇圧工程では制御装置33からの信号(ソレノイドを作動させるものの他、パイロット圧を用いたものを含む)により切換弁28の切換えが行われ、ポンプ27から型締シリンダ22の型締側油室29aに作動油が送られ型締昇圧を開始する(s6)。型締シリンダ22のロッドであるタイバ23が
図2において右方向に移動し、最初の段階ではハーフナット34の係止歯とタイバ23の係止部35が係止された際に存在していた両者の隙間を無くす。そして前記隙間が無くなると型締シリンダ22の型締力F1が直接可動盤15を介して可動金型14に伝達される。また直列的に配置された中間金型18を介して固定金型16にも伝達される。また同時に
図5に示されるように型締シリンダ22の型締側油室29aの作動油の油圧(型締手段の型締力F1)も顕著に上昇し始める。型締側油室29aの作動油の油圧は油圧センサ31により検出されている。
【0025】
次に前記油圧センサ31の油圧がサーボロック解除設定圧P1まで上昇したことが検出されたら(s7)、サーボモータ37(M1),43(M2)のサーボロックをそれぞれ解除され、サーボフリーとされる(s8)。従って型閉時(型閉工程および型締工程)にまだ型締シリンダ22が昇圧されていない間の一定時間を型開閉手段19,20により位置保持することにより、可動金型14がバネ32の反発力に負けて型開きされてしまうことなく型閉を行うことができる。そして型締シリンダ22の型締力F1のみにより、バネ金型のバネ32の型開方向Oへの反発力f1に対抗する。従って本実施形態では、サーボモータ37(M1),43(M2)による可動盤15や可動金型14等の位置保持制御の解除を型締力F1(油圧値×型締シリンダ22の受圧面積×型締シリンダ22の数)を検出して最適の型締力F1になった際に行うことができる。この際にサーボロック解除設定圧P1の設定値が高すぎると、可動盤15等が型閉方向Cに移動されてしまいサーボモータ37(M1),43(M2)が保持位置へ戻そうと制御されることによりモータに過負荷状態が発生する。また設定された油圧値が低すぎるとサーボモータ37(M1),43(M2)の位置保持制御を解除した際に、バネ金型のバネ32の反発力f1が勝って型開してしまうので、両者を勘案して前記サーボロック解除設定圧P1の設定・調整がなされる。そして型締力F1のみの検出によりサーボロックを解除するので設定および制御が容易である。また金型の熱膨張により検出位置がずれたとしても型締力F1のみによって制御を行うので演算補正等の必要がない。そして更に型締シリンダ22は型締設定圧P2まで昇圧され(s9)、型締設定圧P2が検出されると型締昇圧完了となる(s10)。
【0026】
なお上記においてサーボモータ37,43による可動金型14等の成形金型および可動盤15等の盤の位置保持制御の開始は、可動盤15が型閉完了位置Bに到達した後、サーボモータ37,43による位置保持制御を先に行ってからハーフナット34の係止を行うことが望ましいが、ハーフナット34の係止を先に行ってからでもよい。更にハーフナット係合位置と型閉完了位置B(B´)はまったく同じ位置でなくてもよい。その場合サーボモータ37,43を一旦停止してハーフナット34を係合し、更にサーボモータ37,43を再駆動させるとともに型締シリンダ22のロッドも能動的または受動的に移動させて可動盤15および中間部材25が型閉完了位置Bに到達させる。そして型閉完了後にサーボロックを行い、更に型締シリンダ22による昇圧を行い、型締シリンダ22の型締側油室29aの油圧がサーボロック解除設定圧P1まで昇圧されたらサーボロックを解除する。または前記において型開閉手段のサーボモータ37,43による可動盤15の移動中にハーフナット34の係止を行うものなどでもよい。型閉完了位置Bは、金型同士の一部が当接してバネ32による反発力f1が発生している位置であれば、パーティング面同士が当接している位置とは限らない。
【0027】
次の型締工程のうちの
昇圧工程では、射出装置49から固定金型16と中間金型18の間のキャビティC1に対して溶融樹脂が射出される。また射出装置50から可動金型14と中間金型18の間のキャビティC2に対して溶融樹脂が射出される。その後の型締工程のうちの冷却工程ではキャビティC1,C2内の溶融樹脂はそれぞれ冷却固化される。また冷却工程では射出装置49,50の側では並行して次の射出のための溶融樹脂の計量が行われる。
図4に示されるように冷却工程が完了すると、型締装置13の側では、制御装置33から指令を送り型締工程のうちの圧抜工程(降圧工程)を開始する(s11)。型締手段の圧抜(降圧)は、切換弁28を切換えて型締シリンダ22の型締側油室29a内の作動油をドレン(タンク26)に落とすことにより行う。または型締側油室29a内の作動油の圧力をコントロールしながら圧力を低下させる。そのことによりやがてバネ32の反発力f1が型締力F1を上回り中間金型18から可動金型14の離型が行われる。従って本実施形態では成形金型のバネ32の反発力f1を用いて離型を行うので、型締シリンダ22の型開側油室29bに作動油を供給して離型を行う強力型開工程は実施していない。
【0028】
そして圧抜工程開始後(降圧工程開始後)の型締力F1(型締シリンダ22の型締側油室29aの作動油の圧力)を検出して予め設定されたサーボロック開始設定圧力P3となったら(s12)、サーボモータ37,43による位置保持制御を再び開始する(s13)。具体的にはサーボモータ37,43をサーボロックして固定盤17に対する可動盤15の位置を保持する。
【0029】
そして次に型締側油室29aが常圧となったことが検出され型締シリンダ22による圧抜工程が完了したら(s14)、次にハーフナット34の駆動手段を作動させ、タイバ23の係止部35に係止されたハーフナット34の係止歯を離脱させる(s15)。このように離型時に型締シリンダ22の圧力が低下(型締力F1が低下)し始めてから、バネ金型のバネ32の反発力f1が型締力F1に勝る前までの一定時間、型開閉手段のサーボモータ37,43により位置保持制御を行うことにより、型開閉手段によりバネ32の反発力f1を抑制し(反発力f1に対抗し)バネ32の反発力により可動盤15がハーフナット34の離脱位置を超えて型開方向Oに更に移動してしまうことを防止できる。
【0030】
そして次に型開閉手段のサーボモータ37(M1),43(M2)のサーボロックを解除するとともに、可動盤15(可動金型14含む)と、中間部材25(回転盤36と中間金型18,18を含む)の型開を開始する(s16)。型開工程では可動盤15(可動金型14を含む)は、型開完了位置Aに向けてサーボモータ37(M1)による位置制御により移動され(s17)、型開完了位置Aに到達すると停止される(s18)。また次に中間部材25(回転盤36および中間金型18,18を含む)も、型開完了位置A´に向けてサーボモータ43(M2)による位置制御により移動され(s17)、型開完了位置Aに到達すると停止される。なお中間部材25の移動距離は、可動盤15の移動距離の1/2となっている(s18)。そして上記したように型開完了位置Aにおいて、可動金型14または中間金型18の図示しないエジェクタが作動されて成形品の取出しが行われる。
【0031】
上記の例では、型閉時に反発力f1が発生する成形金型は、可動金型14である。そのため型閉時のバネ32の反発力に対して、型開閉手段19,20のサーボモータ37,43の型閉側への型閉力F2(トルク)の総和、またはサーボロックの保持力(F3)の総和が上回ればよいので、サーボータ37,43の大きさを巨大化させることなく、またサーボータ37,43の過負荷状態も回避することができる。しかしながら本発明では、サーボモータ37,43のいずれかの駆動力F2や保持力F3が大きくてバネ32の反発力f1を大幅に上回るものであれば、サーボモータ37,43の少なくとも一方により、バネ32の反発力を抑制して可動盤15と中間部材25の距離を適正に保った状態で可動盤15および可動金型14の位置保持制御を行うことができる。
【0032】
更には
図1、
図2の射出成形機11において次のように離型を行ってもよい。まず最初に、型締シリンダ22の圧抜きを行う。その際に油圧センサ31により検出される圧力が設定値となったら中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43はサーボロックして可動金型14と中間金型18の間がバネ32の反発力f1により開かないように位置保持する。なおこの状態で可動盤の型開閉手段19のサーボモータ37はフリーにする。次に型締シリンダ22の型開側油室29bにポンプ27から作動油を送り、タイバ23を介してハーフナット34と可動盤15に型開方向への力を伝達する。この際前記したように可動盤15と中間部材25の間は位置保持され1枚の盤のように中間部材25も型開方向への力が働く。このため型締シリンダ22による強力型開により、固定金型16と中間金型18の間が先に離型できる。
【0033】
そして可動盤の型開閉手段19のサーボモータ37により可動盤15等と中間部材25等を型開完了位置Aへ移動させる。またはこれと同時に中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43のサーボロックを解除してサーボモータ43を中間部材25が型開される方向に作動させる。この際、可動金型14にはバネ32が取付けられているので、中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43の離型力と成形金型のバネ32の反発力f1の両方の力により可動金型14と中間金型18の間の離型を行うことができる。このため中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43による離型力が比較的小さい場合であっても、バネ32の反発力f1も加えて離型を行うことができる。上記の成形金型の離型の手順等は、金型の構造によるところが大きく、取付けられる金型により選択される。
【0034】
また
図1,2の射出成形機11において、中間部材の型開閉手段20により型開閉されない固定盤17の側の固定金型16に反発力を備えたバネが取付けられる場合、一方の固定金型16と中間金型18の間を、可動盤の型開閉手段19の離型力と固定金型16のバネの反発力f1を用いて離型するようにしてもよい。この場合型締シリンダ22による強力型開は大きな離型力が必要な場合は付加するが、離型力が小さい場合は不要である。そして前記において中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43をサーボロックした状態で型締シリンダ22による強力型開力とバネ32の反発力f1を併用することにより、固定金型16と中間金型18の間を確実に先に離型することができる。この際、可動盤の型開閉手段19のサーボモータ37はフリーとするか或いは急激な離型を防止する目的等のためにトルクを付与してもよい。そして固定金型16と中間金型18の間が先に離型されると、その後に中間部材の型開閉手段20のサーボモータ43のサーボロックを解除して駆動させて中間金型18と可動金型14の間を離型する。
【0035】
更に
図1,2の射出成形機11において、固定盤16と中間部材25の間に取付けられる成形金型と可動盤15と中間部材25の間に取付けられる成形金型の双方に型閉時に反発力f1を有する成形金型がそれぞれ取付けられるものでもよい。その場合、固定盤17と中間部材25の間に取付けられる成形金型の型閉時の反発力f1は、サーボモータ37のみの駆動力と保持力によって対抗される。また型閉状態の可動盤15には、双方の成形金型の反発力f1、f1が及ぼされるが、サーボモータ37とサーボモータ43の駆動力および保持力の総和によって反発力が抑制され対抗される。このケースにおいて中間金型25、25にそれぞれバネを取付ければ、双方の成形金型にほぼ同じ反発力を働かせることができる。
【0036】
また上記の
図1等の実施形態では、サーボモータ37,43の電磁ブレーキ39,46は停電時や作動時の安全扉の開放時等に働くようになっている。しかし型閉時や型開時の金型取付盤の位置保持制御を電気的なサーボロックのみにより行わずに、電磁ブレーキ34の作動のみ、または電磁ブレーキ34の作動と電気的なサーボロックの併用により行ってもよい。
【0037】
また本発明は
図6のような射出成形機51であってもよい。
図6では、可動金型52が取付けられる可動盤53と固定金型54が取付けられる固定盤55との間に、中間金型56が中間部材57とともに型開閉方向に移動自在に配設され、前記固定金型54と前記中間金型56、前記可動金型52と中間金型56とがそれぞれ型開閉手段58,59により型閉されてそれぞれキャビティが形成され、型締手段である型締シリンダ60により型締が行われる。
図1との相違点は、中間部材の型開閉手段59(中間金型の型開閉手段)が、固定盤55と中間部材573の間、またはベース61と中間部材57の間に設けられる点である。
図6の例では、バネ62等による反発力を備えた成形金型は、中間部材の型開閉手段59が連結されていない可動盤56側の可動金型54に取付けられている。
【0038】
そして中間金型56と可動金型52の間をバネ54の反発力を用いて先に離型したい場合は、中間部材の型開閉手段59により中間部材57(中間金型56)を固定盤55(固定金型54)に保持した状態で型締シリンダ60を用いて強力型開を行う。このことにより中間金型56と可動金型52の間が先に離型できる。また中間部材57(中間金型56)を固定盤55(固定金型54)の間を中間部材の型開閉手段59を用いて先に離型した後に、中間金型56と可動金型52の間は成形金型のバネ54の反発力により後で離型してもよい。これらの成形金型の離型の手順等は、取付けられる金型構造により選択される。
【0039】
更に本発明は、
図7のような射出成形機71であってもよい。射出成形機71では固定金型72が取付けられる固定盤73と中間金型74,74が取付けられる中間部材75の間に固定金型72と中間金型74を開閉する第1の型開閉手段76が設けられ、可動金型77が取付けられる可動盤78と前記中間部材75の間に可動金型77と中間金型74を開閉する第2の型開閉手段79が設けられている。従って
図7において可動盤78の移動量は第1の型開閉手段76と第2の型開閉手段79の移動量の総和となる。
図7の例では中間金型74にそれぞれバネ80が取付けられている。従って第1の型開閉手段76と第2の型開閉手段79によりそれぞれバネ80の反発力f1を抑制する。ただし
図7においても、中間金型74にバネを取付けず、固定金型72または可動金型77の少なくとも一方にバネを取付けたものでもよい。
【0040】
また本発明の射出成形機11,51,71は、成形時に回転盤を回転させずに、両方の成形金型でそれぞれ単色の成形品を同時に成形するものでもよい。または一方の台盤間は成形しないでブロックを取付け、他方の台盤間にバネを備えた成形金型を取付け、前記成形金型のみで成形するものでもよい。更に本発明の射出成形機は、特許文献1と同様に中間部材が回転する機能を備えておらず、中間金型が回転しないものでもよい。その場合固定盤に取付けた固定金型と中間部材の一方の面に取付けた中間金型の間に形成されるキャビティと、可動盤に取付けた可動金型と中間部材の他方の面に取付けた中間金型の間に形成されるキャビティの間で成形が行われる。更に中間部材が中間金型を兼ねており、中間部材である中間金型が移動自在に取付けられたものでもよい。前記の射出成形機においても型閉時に型開方向Oに反発力f1が発生する金型が少なくとも一方に設けられる。
【0041】
上記の実施形態では、射出成形機11,51,71に取付けられる成形金型はバネにより反発力f1を発生させるバネ金型の例について記載したが、反発力f1はバネによって発生される成形金型に限定されない。即ち成形金型は、油圧シリンダにより型閉時に型開方向Oに反発力f1が発生する金型であってもよく、ゴムや別の部材により型閉時に型開方向Oに反発力f1が発生する金型であってもよい。またアンギュラピン等を用いて駒を移動させるものであって、型閉時に駒の自重や摩擦により型開方向Oに反発力f1が発生するものでもよい。また成形金型は、離型のためのみに反発力を発生させるものとは限らない。例えば3枚プレート金型であってスプルを抜くためにバネが設けられたものでもよい。3枚プレート金型では中央のプレートはバネにより固定金型等に取付けられ、型閉時にバネの反発力が発生する。更には型閉時にエジェクタピンおよびエジェクタプレートがバネの反発力を押さえて後退し型開時にはバネの反発力によりエジェクタピンが前進するものでもよい。
【0042】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。射出成形については、材料は限定されず、射出圧縮成形、発泡成形、サンドイッチ成形、インサート成形などの成形を行うものも含まれる。