特許第6132396号(P6132396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132396
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】エアーブラシ
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/04 20060101AFI20170515BHJP
   B05B 7/12 20060101ALI20170515BHJP
   B05B 15/00 20060101ALI20170515BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B05B7/04
   B05B7/12
   B05B15/00
   B05B11/00
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-102602(P2013-102602)
(22)【出願日】2013年5月14日
(65)【公開番号】特開2014-221468(P2014-221468A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390028495
【氏名又は名称】アネスト岩田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 育子
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝宏
【審査官】 富永 久子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07246757(US,B1)
【文献】 特開2010−052326(JP,A)
【文献】 特表2006−524595(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0297250(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0265057(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/150406(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00−3/18;7/00−11/06
B05C7/00−21/00
B43K23/00−23/12
B65D83/00;83/08−83/76
B65D35/44−35/54;39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーブラシ本体と、
前記エアーブラシ本体の先端に設けられ、塗料流と空気流を噴出させるノズルと、
前記ノズルに着脱自在に取付けられるニードルキャップと、
前記エアーブラシ本体の後端に設けられ、前記ノズルから離脱させた前記ニードルキャップを仮装着させるニードルキャップ装着部と、を有し、
前記ニードルキャップ装着部は、外周に前記ニードルキャップを仮装着可能な係止手段が形成された突起部を有し、
前記ニードルキャップは、その内周に前記ノズルの外周に形成された雄ねじに螺合される雌ねじを有し、
前記突起部は、その外周に前記ニードルキャップの前記雌ねじに螺合される雄ねじを有し、
前記ニードルキャップ装着部は、
さらに、
前記突起部を囲んで形成される外側円筒体と、
前記外側円筒体と前記突起部との間に配置される内側円筒体と、
前記エアーブラシ本体と前記内側円筒体との間に配置されたコイルスプリングと、を有し、
前記内側円筒体は、前記コイルスプリングの付勢力に抗してエアーブラシ本体側へ押すことにより、前記突起部の雄螺子を露出できることを特徴とするエアーブラシ
【請求項2】
エアーブラシ本体と、
前記エアーブラシ本体の先端に設けられ、塗料流と空気流を噴出させるノズルと、
前記ノズルに着脱自在に取付けられるニードルキャップと、
前記エアーブラシ本体の後端に設けられ、前記ノズルから離脱させた前記ニードルキャップを仮装着させるニードルキャップ装着部と、を有し、
前記ニードルキャップ装着部は、外周に前記ニードルキャップを仮装着可能な係止手段が形成された突起部を有し、
前記ニードルキャップは、その内周に前記ノズルの外周に形成された凹部に嵌合される凸部を有し、
前記突起部は、その外周に前記ニードルキャップの前記凸部に嵌合される凹部を有し、
前記ニードルキャップ装着部は、
さらに、
前記突起部を囲んで形成される外側円筒体と、
前記外側円筒体と前記突起部との間に配置される内側円筒体と、
前記エアーブラシ本体と前記内側円筒体との間に配置されたコイルスプリングと、を有し、
前記内側円筒体を、前記コイルスプリングの付勢力に抗してエアーブラシ本体側へ押すことにより、前記突起部の前記凹部およびその周辺の凸部を露出できることを特徴とするエアーブラシ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアーブラシに係り、特に、そのノズルの先端にニードルキャップを備えるエアーブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
エアーブラシは、圧縮した空気によって塗料を霧状に飛ばす道具であり、筆では難しいムラのない塗装が簡単にできるようになっている。
【0003】
このようなエアーブラシは、たとえば下記特許文献1に記載されているように、ほぼペンシルに似た形状をなすエアーブラシ本体を具備する。そして、エアーブラシ本体の先端には、塗料流と空気流を噴射させるノズルが設けられている。ノズルの後部のエアーブラシ本体の上部には塗料容器が設けられ、該塗料容器内の塗料は後述の操作杆の操作によってノズル内に導かれるようになっている。エアーブラシ本体のほぼ中央には、圧縮空気を供給する空気供給口部と、この空気供給口部から供給された圧縮空気をノズルの外周に導く操作杆とが設けられている。エアーブラシ本体の軸芯部には、その先端が該ノズルの塗料噴射孔をシールするように付勢されたニードルが内蔵され、上述の操作杆の操作による該ニードルの後退によって該シールを解除できるようになっている。
【0004】
このように構成されるエアーブラシは、操作杆をエアーブラシ本体側へ押すことにより、空気供給口部からの圧縮空気をノズルの外周に沿って噴出させ、さらに、操作杆を後方へ移動させることにより、ニードルによるシールが解除されたノズルの塗料噴射孔を通して塗料を吹き出させるようになっている。
【0005】
ここで、ノズルの塗料噴射孔のニードルによるシールは、たとえば、ニードルの先端部をノズルの塗料噴射孔に抜き差し自在に貫通せしめる弁構造によって行っている。
塗料噴射孔からニードルが突出しているノズルの先端部は、被塗物等との接触によってニードルの破損や曲がり、変形が生じやすく、噴出される塗料の線の太さや噴出の向きが狂うなどの不具合を生じる。このため、ノズル先端部には前記ニードルを保護するニードルキャップが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−140719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように構成されたエアーブラシは、ペインティング等において、たとえば極細線を描く際に、ニードルキャップをノズルから取り外し、該ノズルの先端を被塗装面にできるだけ近づけて描くようにする場合がある。
この場合、ノズルから取り外したニードルキャップは、比較的小さなものとして構成されているため、紛失し易いという不都合があった。
また、エアーブラシは、絵画やネイルアートなど芸術性・デザイン性が高い場面で使用される塗布機器であり、そのためエアーブラシ本体にも高い意匠性が要求された。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルから取り外したニードルキャップを紛失し難くし、且つ意匠性を損なわないエアーブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明のエアーブラシは、エアーブラシ本体と、前記エアーブラシ本体の先端に設けられ、塗料流と空気流を噴出させるノズルと、前記ノズルに着脱自在に取付けられるニードルキャップと、前記エアーブラシ本体の後端に設けられ、前記ノズルから離脱させた前記ニードルキャップを仮装着させるニードルキャップ装着部と、を有することを特徴とする。
(2)本発明のエアーブラシは、(1)の構成において、前記ニードルキャップ装着部は、外周に前記ニードルキャップを仮装着可能な係止手段が形成された突起部を有することを特徴とする。
(3)本発明のエアーブラシは、(2)の構成において、前記ニードルキャップは、その内周に前記ノズルの外周に形成された雄ねじに螺合される雌ねじを有し、前記突起部は、その外周に前記ニードルキャップの前記雌ねじに螺合される雄ねじを有することを特徴とする。
(4)本発明のエアーブラシは、(3)の構成において、前記ニードルキャップ装着部は、さらに、前記突起部を囲んで形成される外側円筒体と、前記外側円筒体と前記突起部との間に配置される内側円筒体と、前記エアーブラシ本体と前記内側円筒体との間に配置されたコイルスプリングと、を有し、前記内側円筒体は、前記コイルスプリングの付勢力に抗してエアーブラシ本体側へ押すことにより、前記突起部の雄螺子を露出できることを特徴とする。
(5)本発明のエアーブラシは、(2)の構成において、前記ニードルキャップは、その内周に前記ノズルの外周に形成された凹部に嵌合される凸部を有し、前記突起部は、その外周に前記ニードルキャップの前記凸部に嵌合される凹部を有することを特徴とする。
(6)本発明のエアーブラシは、(5)の構成において、前記ニードルキャップ装着部は、さらに、前記突起部を囲んで形成される外側円筒体と、前記外側円筒体と前記突起部との間に配置される内側円筒体と、前記エアーブラシ本体と前記内側円筒体との間に配置されたコイルスプリングと、を有し、前記内側円筒体を、前記コイルスプリングの付勢力に抗してエアーブラシ本体側へ押すことにより、前記突起部の前記凹部およびその周辺の凸部を露出できることを特徴とする。
(7)本発明のエアーブラシは、(1)の構成において、前記ニードルキャップは磁石を備え、前記磁石は、前記ノズル及び前記ニードルキャップ装着部の取り付け側がN極又はS極のいずれか一方の磁極によって形成され、前記ノズルは前記ニードルキャップの磁石の磁極とは反対の磁極で形成され、前記ニードルキャップ装着部は前記ニードルキャップの磁石の磁極とは反対の磁極で形成されることを特徴とする。
(8)本発明のエアーブラシは、(1)の構成において、前記ニードルキャップは磁石を備え、前記磁石は、前記ノズル及び前記ニードルキャップ装着部の取り付け側がN極又はS極のいずれか一方の磁極によって形成され、前記ノズルは鉄などの磁性体によって形成され、前記ニードルキャップ装着部は鉄などの磁性体によって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成したエアーブラシによれば、ノズルから取り外したニードルキャップをニードルキャップ装着部に仮装着することができるので、紛失し難くすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のエアーブラシの全体の概略構成を示す断面図である。
図2】(a)、(b)は、エアーブラシのノズルに着脱自在に取付けられるニードルキャップを示す斜視図である。
図3】(a)は図2(a)のIIIa−IIIa線における断面図、(b)は図2(b)のIIIb−IIIb線における断面図である。
図4】(a)、(b)、(c)は、エアーブラシに形成されたニードルキャップ装着部にニードルキャップが仮装着される手順を示した図である。
図5】(a)は図4(a)のVa−Va線における断面図、(b)は図4(b)のVb−Vb線における断面図である。
図6図4(c)のVI−VI線における断面図である。
図7】(a)、(b)、(c)は、本発明のエアーブラシの実施形態2を示す構成図である。
図8】(a)、(b)は、本発明のエアーブラシの実施形態3を示す構成図である。
図9】(a)、(b)は、本発明のエアーブラシの実施形態3を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
<全体の構成>
【0013】
図1は、本発明のエアーブラシの全体の概略構成を示す断面図である。
図1に示すエアーブラシ10は、ほぼペンシルに似た形状をなすエアーブラシ本体20を具備している。すなわち、エアーブラシ本体20は、ほぼ直線状に延在する棒体をなし、ペンシルを握るようにして扱うことができるようになっている。
テーパ状に絞ったエアーブラシ本体20の先端部には塗料噴出ノズル30Aが取り付けられ、該塗料噴出ノズル30Aの後部の上部には塗料容器40が設けられている。
塗料容器40には液状の塗料(図示せず)が収納され、該塗料は塗料容器40の底面に形成された孔40Hを通して塗料噴出ノズル30A内に導かれるようになっている。なお、塗料噴出ノズル30Aの先端は塗料噴出孔30Hが形成され、この塗料噴出孔30Hは、通常時において、後述のニードル50の先端部によってシールされるようになっている。
【0014】
また、エアーブラシ本体20の中間部の下部には、圧縮空気が供給される空気供給口部60が設けられている。この空気供給口部60は、たとえば圧縮空気の供給ホース(図示せず)を接続させる接続筒61からなり、その内部に給気バルブ62を備えている。給気バルブ62は、エアーブラシ本体20の空気供給口部60とは反対側の上部に設けられた操作杆70をエアーブラシ本体20側(図中α方向)へ押す操作によって開弁できるようになっている。
【0015】
操作杆70は、その先端部に枢軸71を介して押杆72を接続し、該押杆72を接続筒61の軸芯部に嵌装することにより、押し下げ自在に支持されている。
押杆72の先端は給気バルブ62に当接され、操作杆70の押し下げ操作によって給気バルブ62が開弁するようになっている。
そして、給気バルブ62の開弁によって、空気供給口部60から流入する圧縮空気は、エアーブラシ本体20内に形成された空気通路21、21’、21’’を通過して塗料噴出ノズル30Aの外周に沿って噴出するようになっている。
なお、塗料噴出ノズル30Aは、この塗料噴出ノズル30Aを囲むようにして空気噴出ノズル30Bが設けられ、圧縮空気は塗料噴出ノズル30Aと空気噴出ノズル30Bの間の隙間を通して噴出されるようになっている。そして、この明細書では、塗料噴出ノズル30Aと空気噴出ノズル30Bとを合せて、以下、単にノズル30と称する場合がある。
【0016】
エアーブラシ本体20内には、ニードル50が軸芯部に沿ってスライド可能に配置され、このニードル50を操作杆70の操作によって後退させることができるようになっている。
すなわち、操作杆70は、枢軸71を中心に後方(図中β方向)へ傾動させることができ、この傾動によって、ニードル50およびニードルチャック51を後方へスライドできるようになっている。ニードルチャック51は、エアーブラシ本体20の後部の軸心部によって嵌装され、ニードル50を挿通によって支持している。
操作杆70の上述した操作により、塗料噴出ノズル30Aとニードル50とのシールが解除され、塗料容器40からの塗料を、空気噴出ノズル30Bからの圧縮空気の噴出とともに、塗料噴出ノズル30Aの塗料噴出孔30Hから吹き出すように構成されている。
【0017】
ここで、塗料噴出ノズル30Aの塗料噴出孔30Hのニードル50によるシールは、たとえば、ニードル50の先端部を塗料噴出ノズル30Aの塗料噴出孔30Hに抜き差し自在に貫通せしめる弁構造によって行っている。このため、塗料噴出孔30Hからニードル50が突出しているノズル30の先端部には、該ニードル50を保護するためのニードルキャップ80が備えられている。
ニードルキャップ80は、ノズル30(空気噴出ノズル30B)にたとえば螺合によって着脱自在に取付けられるようになっている。ニードルキャップ80は、通常時において、ノズル30に取り付けられているが、ペインティング等において、たとえば極細線を描く際に、ニードルキャップ80をノズル30から取り外し、該ノズル30の先端を被塗装面にできるだけ近づけて描くようにする場合がある。
【0018】
なお、ニードルチャック51は、コイルスプリング52を内包し、該コイルスプリング52の反発力によって常時前方に付勢されている。
また、ニードルチャック51の前端と操作杆70との間にはほぼS字状の作動板53が介在され、操作杆70を後方へ傾動させた場合に、作動板53を介してニードルチャック51およびニードル50を後方へスライドできるようになっている。
そして、エアーブラシ本体20の後端部にはニードルキャップ装着部90が形成されている。ここで、ニードルキャップ装着部90の説明に先立ち、ニードルキャップ80について詳述する。
【0019】
<ニードルキャップ80>
図2(a)、(b)は、エアーブラシ10のノズル30に着脱自在に取付けられるニードルキャップ80を示す斜視図である。
図2(a)は、ノズル30にニードルキャップ80が装着されている場合を示し、図2(b)は、ノズル30からニードルキャップ80を離脱させた場合を示している。
【0020】
図2(a)、(b)から明らかとなるように、ニードルキャップ80は、ほぼ円筒形の部材からなっている。
上述したように、エアーブラシ10は、通常では、図2(a)に示すように、ノズル30にニードルキャップ80が装着された状態で使用されるようになっている。ノズル30の先端のニードル50を該ニードルキャップ80によって保護するためである。
しかし、ペインティング等において、たとえば極細線を描く際に、図2(b)に示すように、ニードルキャップ80をノズル30から取り外し、該ノズル30の先端を被塗装面にできるだけ近づけて描くようにする場合がある。
【0021】
図3(a)は、図2(a)のIIIa−IIIa線における断面図を示し、図3(b)は、図2(b)のIIIb−IIIb線における断面図を示している。
図3(a)、(b)に示すように、ニードルキャップ80には、その内周に雌ねじ80Aが形成され、ノズル30には、その外周に雄ねじ30Cが形成されている。
ニードルキャップ80は、その雌ねじ80Aがノズル30の雄ねじ30Cに螺合することによって、ノズル30に装着されるようになっている(図3(a)参照)。そして、ニードルキャップ80は、その雌ねじ80Aがノズル30の雄ねじ30Cとの螺合を解除することによって、ノズル30から離脱されるようになっている(図3(b)参照)。
なお、ニードルキャップ80は、金属、あるいは樹脂のいずれで形成されていてもよい。
【0022】
<ニードルキャップ装着部90>
図1に戻り、エアーブラシ本体20の後端部には、ニードルキャップ装着部90が形成されている。
図1において、ニードルキャップ装着部90は、エアーブラシ本体20の軸芯部に螺合された基台91を有し、この基台91の中心軸上に突出された突起部92が形成されている。突起部92の外周には雄ねじ92A(図5参照)が形成されている。この突起部92の雄ねじ92Aは、前記ニードルキャップ80の雌ねじ80Aが螺合されるようになっている。
なお、この基台91は、その中心軸に沿って孔91Hが形成され、この孔91Hにはニードル50が挿入されて支持されるようなっている。
また、基台91には突起部92との間に隙間を有し該突起部92を囲むようにして外側円筒体93が形成されている。そして、突起部92と外側円筒体93の間には、内側円筒体94が配置され、この内側円筒体94と基台91との間にはコイルスプリング95が配置されている。
【0023】
ここで、内側円筒体94は、有底円筒体の底部の中心に孔94Aが形成された形状をなし、突起部92はそれに形成された棒体部92Pが有底円筒体の前記孔94Aおよび前記コイルスプリング95を貫通し、基台91に形成された前記孔91Hに挿入して固定されるようになっている。
これにより、内側円筒体94は、コイルスプリング95の反発力によって突起部92の雄ねじ92Aが形成された側面を隠すように配置されるようになっている。そして、内側円筒体94をコイルスプリング95の反発力に抗して基台91側に押すことによって、突起部92の雄ねじ92Aを内側円筒体94から露出させることができるようになっている。
【0024】
図4(a)、(b)、(c)は、ニードルキャップ装着部90にニードルキャップ80が仮装着される手順を示した図である。
図4(a)は、ニードルキャップ80を装着させる前のニードルキャップ装着部90を示している。ニードルキャップ装着部90を構成する突起部92、内側円筒体94、および外側円筒体93は、それぞれの後端面においてほぼ滑らかに連続されて形成され、美観を考慮した曲面として構成されている。
図5(a)は、図4(a)のVa−Va線における断面を示す図であり、内側円筒体94は、コイルスプリング95によって突起部92の雄ねじ92Aが形成された側面を隠すように配置されている。
【0025】
図4(b)は、ニードルキャップ80を突起部92に螺合させる直前のニードルキャップ装着部90を示している。ニードルキャップ80の一端は、突起部92を被って、内側円筒体94に当接されている。
図5(b)は、図4(b)のVb−Vb線における断面を示す図であり、突起部92とニードルキャップ80は同軸上に配置されている。
【0026】
図4(c)は、ニードルキャップ80をその軸周り(図中γ方向)に回転させている状態のニードルキャップ装着部90を示している。これにより、突起部92の雄ねじ92Aとニードルキャップ80の雌ねじ80Aは螺合し始めるとともに、ニードルキャップ80は、内側円筒体94をコイルスプリング95の反発力に抗して押し始めるようになる。これにより、ニードルキャップ80の突起部92への螺合がなされ、該ニードルキャップ80はニードルキャップ装着部90に仮装着されるようになる。
図6は、図4(c)のVI−VI線における断面を示す斜視図であり、ニードルキャップ80は、その雌ねじ80Aが突起部92の雄ねじ92Aに螺合されていることが明らかになる。
【0027】
上述したことから明らかになるように、本発明のエアーブラシ10によれば、ノズル30から取り外したニードルキャップ80を、即、ニードルキャップ装着部90に、簡単に仮装着させることができることから、紛失し難くすることができるようになる。
【0028】
(実施形態2)
実施形態1では、ニードルキャップ80は、ノズル30に螺合によって取り付けられ、ニードルキャップ装着部90に螺合によって仮装着されたものである。しかし、このような螺合に限定されることはなく、嵌合によって取付け、あるいは仮装着できるように構成してもよいことはもちろんである。
図7(a)、(b)、(c)は、このように構成した実施形態2のエアーブラシの説明図である。
図7(a)は、図3(a)に対応する図であり、ノズル30から外したニードルキャップ80の内周面の後端部にはその内周に沿って凸部101が形成されている。これにより、ニードルキャップ80の内周面の先端側には凹部101Aが形成されるようになる。また、ノズル30の外周面にはその外周に沿って凹部102が形成されている。これにより、ノズル30の該凹部102より先端側の外周面には凸部102Aが形成されるようになる。ニードルキャップ80のノズル30に対する取付けは、ニードルキャップ80の凸部101、凹部101Aが、それぞれ、ノズル30の凹部102、凸部102Aに嵌合することによってなされるようになっている。
図7(b)は、図5(a)に対応する図であり、ニードルキャップ装着部90の突起部92の外周面の先端側にはその外周に沿って凹部103が形成されている。これにより、突起部92の内周面の後端部には凸部103Aが形成されるようになる。突起部92の凹部103、凸部103Aは、通常において、コイルスプリング95の付勢力によって移動する内側円筒体94に隠されるようになるのは、図5(b)の場合と同様である。
図7(c)は、図5(b)に対応する図であり、ノズル30から外したニードルキャップ80をニードルキャップ装着部90に仮装着させた場合を示した図である。図7(c)に示すように、ニードルキャップ80のニードルキャップ装着部90に対する仮装着は、内側円筒体94のコイルスプリング95に抗する移動によって、突起部92の外周面に形成された凸部103A、凹部103を露出させ、ニードルキャップ80の凸部101、凹部101Aが、それぞれ、ニードルキャップ装着部90の突起部92の凹部103、凸部103Aに嵌合することによってなされるようになっている。
【0029】
(実施形態3)
実施形態2では、ニードルキャップ装着部90において、コイルスプリング95、内側円筒体94を設けるようにしたものである。しかし、これに限定されることはなく、該コイルスプリング95、内側円筒体94を除いた構成とするようにしてもよい。
図8(a)は、図7(b)に対応し、図8(b)は、図7(c)に対応した図である。図8(a)、(b)に示すように、図7(b)、(c)と比べて、コイルスプリング95、内側円筒体94がない構成となっている。そして、その他の構成は、図7(b)、(c)と同様となっている。
【0030】
(実施形態4)
実施形態1ないし実施形態3では、ニードルキャップ80のノズル30およびニードルキャップ装着部90への取付けおよび仮装着は、螺合、あるいは嵌合で行ったものである。しかし、これらに限定されることはなく、磁石の吸着によって行ってもよいことはもちろんである。
図9(a)、(b)は、それぞれ、図8(a)、(b)に対応した図である。図9(a)、(b)に示すように、ニードルキャップ装着部90の突起部92は、磁性体(磁石)で形成され、その表面はたとえばN(S)極となっている。なお、図示していないが、ノズル30(図1参照)においても磁性体(磁石)で形成され、その表面はN(S)極となっている。一方、ニードルキャップ80は、磁性体(磁石)で形成され、その内周面はたとえばS(N)極となっている。
このようにした場合、ニードルキャップ80、ノズル30、ニードルキャップ装着部90に特別の工夫を凝らすことなく、ニードルキャップ80のノズル30およびニードルキャップ装着部90への取付けおよび仮装着を信頼性よく行うことができるようになる。
この場合、ニードルキャップ80、ノズル30、ニードルキャップ装着部90は磁石で構成されている必要はなく、その一部として形成されていてもよいことはもちろんである。
そして、このような磁石によるニードルキャップ80のノズル30およびニードルキャップ装着部90への取付けおよび仮装着は、実施形態1、2の構成において適用させることができる。
【0031】
(実施形態5)
実施形態1ないし4では、いわゆるペンシル型と称され、操作杆を備えるエアーブラシについて説明したものである。しかし、これに限定されることはなく、たとえばガン型と称され、該操作杆に替えて引金を備えたエアーブラシにも適用できることはいうまでもない。
【0032】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0033】
10……エアーブラシ、
20……エアーブラシ本体、
21、21’、21’’……空気通路、
30……ノズル、
30A……塗料噴出ノズル、
30B……空気噴出ノズル、
30H……塗料噴出孔、
40……塗料容器、
50……ニードル、
51……ニードルチャック、
52……コイルスプリング、
53……作動板、
60……空気供給口部、
61……接続筒、
62……給気バルブ、
70……操作杆、
71……枢軸、
72……押杆、
80……ニードルキャップ、
90……ニードルキャップ装着部、
91……基台、
92……突起部、
92P……棒体部、
93……外側円筒体、
94……内側円筒体、
95……コイルスプリング。
101……凸部、
102、103……凹部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9