(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作部のみが、前記シリンジと反対側の前記支持部から突出するように取り付けられ、把持部が設けられていないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗布器具。
前記操作部は、前記圧縮気体の供給量を調整可能な機構を備え、前記液剤噴出部から噴出する液剤を前記圧縮気体により霧化し噴霧することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の塗布器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の手術用噴射装置は、その噴出ノズルには、チューブを通して止血剤貯留室からの止血剤が該チューブの途中に設けられた弁を介して供給され、また、他のチューブを通してコンプレッサからの圧縮空気が該他のチューブの途中に設けられた他の弁を介して供給されるようになっており構造も複雑で、これら弁を操作するのにその操作性が悪いという不都合があった。
また、特許文献2に記載の生体組織接着剤用簡易塗布器具でも、そのスプレーヘッドには、シリンジ体に充填されたフィブリノゲン溶液等が押し子によって供給されるが、チューブを通して高圧ガスボンベからの圧縮空気が該チューブの途中に設けられたコックを介して供給されるようになっていて、高圧ガスボンベとレギュレータおよび一対のシリンジ体が一体化されて器具が大形し、更に該コックを操作するのにその操作性が悪いという不都合があった。
また、従来の止血剤塗布器具は止血剤と凝固促進剤の2液混合タイプが主流であったが、近年医療技術の進歩により1液のみの塗布または噴霧により止血が可能になり、1液タイプ(シリンジが一本)の塗布器具が望まれている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小形で簡便な構造で、操作性に極めて優れ、塗布の正確さや作業性を向上させた塗布器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の塗布器具は、液剤が充填されるシリンジと、前記シリンジの一端に設けられ、液剤流路が連通する液剤噴出部と、前記シリンジの他端からスライド可能に挿入される押し子と、前記押し子の前記シリンジの挿入側と反対側の端部に設けられ、押圧により前記シリンジ内の前記液剤を前記液剤噴出部から噴出させる押圧部と、前記シリンジを支持する支持部と、前記支持部に形成され、圧縮気体を前記液剤噴出部に供給する気体流路と、前記支持部に取り付けられ、前記圧縮気体の前記液剤噴出部への供給を起動させる操作部と、を有し、前記押圧部は、親指以外の少なくとも一つの指で前記操作部を係止した手の前記親指で押圧できる位置にあることを特徴とする。
(2)本発明の塗布器具は、(1)の構成において、前記シリンジは、その本数が1本だけであることを特徴とする。
(3)本発明の塗布器具は、(1)又は(2)の構成において、前記操作部のみが、前記シリンジと反対側の前記支持部から突出するように取り付けられ、把持部が設けられていないことを特徴とする。
(4)本発明の塗布器具は、(3)の構成において、前記シリンジの前記他端の位置する前記支持部の端部近傍に形成され、前記シリンジから離れるように斜めに伸びる気体供給口を備え、前記圧縮気体が、前記気体供給口に嵌合された気体供給用ホースから供給されることを特徴とする。
(5)本発明の塗布器具は、(1)又は(2)の構成において、前記支持部に取付けられ、前記支持部の前記気体流路に前記圧縮気体を供給する気体流路を有する把持部を備え、前記押圧部は、前記把持部を握った手で前記操作部の操作とともに押圧できる位置にあることを特徴とする。
(6)本発明の塗布器具は、(5)の構成において、前記把持部は、前記シリンジの長手方向に交差する方向へ前記シリンジとずれを有して設けられていることを特徴とする。
(7)本発明の塗布器具は、(5)又は(6)の構成において、前記把持部は、角度調整機構を介して前記支持部に取り付けられていることを特徴とする。
(8)本発明の塗布器具は、(1)から(7)のいずれかの構成において、前記液剤噴出部が、ノズルと前記ノズルの外周に設けられる気体キャップとで構成され、前記気体キャップおよび前記ノズルが先端に至るに従って内径および外径が小さくなる形状であることを特徴とする。
(9)本発明の塗布器具は、(8)の構成において、前記ノズルが前記ノズルの外周にリブを備えることを特徴とする。
(10)本発明の塗布器具は、(1)から(9)のいずれかの構成において、前記シリンジは、前記支持部にルアーロック機構を介して支持されていることを特徴とする。
(11)本発明の塗布器具は、(1)から(10)のいずれかの構成において、前記押し子は、前記シリンジ内の前記液剤への押圧によって、前記液剤を前記液剤噴出部から噴出させることを特徴とする。
(12)本発明の塗布器具は、(1)から(11)のいずれかの構成において、前記操作部は、前記圧縮気体の供給量を調整可能な機構を備え、前記液剤噴出部から噴出する液剤を前記圧縮気体により霧化し噴霧することを特徴とする。
(13)本発明の塗布器具は、(1)から(12)のいずれかの構成において、全体が樹脂で構成されていることを特徴とする。
(14)本発明の塗布器具は、(1)から(13)のいずれかの構成において、前記液剤が、止血剤、癒着防止剤及び生体用接着剤のいずれか1つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された塗布器具によれば、簡単な構成にも拘わらず、操作性に極めて優れるようになる。また、塗布すべき位置に対して正確に塗布できるようになり作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の塗布器具の実施形態1を示す構成図で、(a)は上面図、(b)は正面図、
図1(c)は背面図である。(d)は(e)と対比するための説明図で、(e)は本発明の塗布器具を握ったとき背面から親指の位置を見た図である。
【
図2】(a)は本発明の塗布器具の液剤噴出部の断面図である。(b)はノズルを拡大した断面図である。
【
図3】本発明の塗布器具の支持部に設けられたシリンジ取付け部を示す斜視図である。
【
図4】本発明の塗布器具の空気流路、およびその途中に設けられた弁部、この弁部を可動させるトリガーを示した図である。
【
図5】(a)は空気流路の連通を遮断する場合の弁部の位置を示した図、(b)は空気流路の連通がなされる場合の弁部の位置を示した図である。
【
図6】(a)、(b)は、シリンジ内の液剤が押し子の押圧の大小に応じて噴出量が変化することを示す図である。
【
図7】本発明の塗布器具の把持部が支持部に対して傾斜できることを示す図である。
【
図8】(a)は本発明の塗布器具の支持部の平面図、(b)は該支持部の把持部との接続部を拡大して示した斜視図である。
【
図9】把持部の支持部と接続される部分の構成を示す斜視図である。
【
図10】把持部の支持部に対する角度変化において、支持部に形成した突起が把持部に形成した複数の孔のいずれかに嵌合していることを示す図である。
【
図11】本発明の塗布器具の実施形態2を示す構成図で、
図4に対応づけて描いた図である。
【
図12】(a)は本発明の塗布器具の実施形態5を示す断面図、(b)は(a)の形態からシリンジ(押し子も含む)を取り外した状態を示す断面図である。
【
図13】(a)は実施形態5の塗布器具に備えられるシリンジ取付け部を示す斜視図、(b)はノズルを正面から観た図、(c)はノズルの近傍を示す断面図である。
【
図14】実施形態5の塗布器具のトリガーの近傍を示す断面図で、(a)は、トリガーを操作する前の状態の図、(b)は、トリガーを操作した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
図1(a)、(b)、(c)は、本発明の塗布器具の実施形態1を示す構成図である。
図1(a)は上面図、
図1(b)は正面図、
図1(c)は背面図である。
図1(a)、(b)、(c)に示す塗布器具10は、たとえばアミノ酸を含む止血剤(この明細書において液剤と称する場合がある)を塗布する塗布器具を示している。そして、塗布器具10はその全体が樹脂によって形成されている。
【0011】
図1(a)、(b)、(c)において、まず、たとえば本数が1本のシリンジ11があり、塗布器具前方(図中左側の端部)には、液剤噴出部12が備えられている。液剤噴出部12は、
図2(a)に示すようにノズル12Aと、ノズル12Aの先端から噴出する液剤を霧化しながら前方に吹き付ける圧縮空気(圧縮気体)を噴出する空気キャップ(気体キャップ)12Bとで構成される。ノズル12Aは断面図を
図2(b)に示すように、たとえば、先端に至るに従い内径dおよび外径Dが小さくなる形状となっている。尚、液剤噴出部12の霧化頭部は、ノズル先端と空気キャップの中心口との間で形成される円環状のスリツトから圧縮空気を流す単純な構造の場合、いわゆる丸吹きと呼ばれるスプレーパターンを呈する。しかし、これに限定されるものではない。
【0012】
シリンジ11の他端(図中右側の端部)は、開口が設けられ、この開口を通して該シリンジ11内においてスライド可能な押し子13が挿入されている。
【0013】
シリンジ11には、押し子13を外した状態で、止血剤を充填できるようになっており、押し子13をシリンジ11に挿入し、そのまま、液剤噴出部12側へ押し続けることにより、シリンジ11内の止血剤を液剤噴出部12から噴射できるようになっている。しかし、止血剤をあとから充填することなく、液剤が予め封入された状態でカートリッジ化された使い切り(使い捨て)タイプのものを使用するようにしてもよく、本発明は、この種のタイプのものも含まれる。
【0014】
なお、押し子13は、シリンジ11から露出する端部(図中右側の端部)において、軸方向に交差し比較的大きな径を有する円板状からなる押圧部13A(
図1(c)参照)を有し、この押圧部13Aを押すことによって、押し子13をシリンジ11内で軸方向に押すことができるようになっている。
【0015】
そして、シリンジ11は、塗布器具10の支持部14に支持されるようになっている。
図3は、支持部14の先端部を示す斜視図であり、該支持部14の先端部には、シリンジ11の先端が挿入できる孔14Hが形成されている。
【0016】
シリンジ11の先端が支持部14の該孔14Hに挿入されることにより、液剤噴出部12は、該孔14Hを介してシリンジ11と連通して配置されるようになる(
図1(b)参照)。支持部14の該孔14Hに挿入されたシリンジ11は、たとえば90°程度の角度で回転させることにより、支持部14に迅速且つ確実に嵌合され固定されるようになっている。これにより、シリンジ11は、いわゆるルアーロック機構を介して支持部14に支持されるようになっている。
【0017】
ここで、支持部14は、
図1(a)に示すように、シリンジ11の軸方向に対してα(0°<α<90°)の角度で後方に延在される延在部14Eを有し、これにより、該支持部14の後方部14Bは、シリンジ11に対して水平方向に距離Wを隔てて形成されるようになっている。
【0018】
そして、支持部14の後方部14Bには、把持部15が取り付けられている。把持部15は、支持部14に対してシリンジ11が配置される側と反対の側(
図1(b)、(c)中、下方)に延在されて形成されている。把持部15の前方には、把持部15を握りながら人差し指で操作し易い箇所にトリガー16(この明細書において操作部と称する場合がある)が設けられている。トリガー16は、上部が支軸16Pによって把持部15に取り付けられ、把持部15側(図中β方向)へ押すことによって操作できるようになっている。
【0019】
把持部15および支持部14には、該把持部15の底部から導入される圧縮空気を液剤噴出部12に供給する空気流路(
図4参照)が形成され、前記トリガー16は、該圧縮空気の液剤噴出部12への供給を起動させるようになっている。
【0020】
図4は、把持部15および支持部14の内部に形成された空気流路(気体流路)17を示した透視図である。なお、
図4は、把持部15を支持部14に対して便宜的に直交するように配置させているが、
図1(b)に示すように支持部14に対して傾いていてもよいことはもちろんである。
【0021】
図4に示すように、把持部15の底部15Bの気体供給口からの空気流路17Aを通して導入される圧縮空気は、弁部18を通して空気流路17B、さらには支持部14に形成された空気流路17Cに導かれる。該空気流路17Cは、空気流路17として
図2(a)に示すように液剤噴出部12を構成する空気キャップ12Bに連結されるようになっている。なお、前記気体供給口は気体供給用ホースが嵌合されるようになっている。
【0022】
前記弁部18は軸体20に取り付けられ、該軸体20は、スプリング21によって付勢され、先端がトリガー16に当接されている。弁部18は、トリガー16が図中β方向へ押されていない状態では、
図5(a)に示すように、空気流路17Aと空気流路17Bとの連通を遮断し、トリガーが図中β方向へ押された状態では、
図5(b)に示すように、空気流路17Aと空気流路17Bとの連通がなされるようになっている。
【0023】
トリガー16によって空気流路17Aと空気流路17Bとの連通がなされた場合、圧縮空気は、空気流路17B、空気流路17Cを通して液剤噴出部12の空気キャップ12Bから噴出されるようになる。
【0024】
このように構成した塗布器具10は、把持部15を手で握り、親指で押し子13の押圧部13Aを押すことができ、人差し指でトリガー16を操作することができるようになる。この場合、押し子13の操作と、トリガー16の操作は、それぞれ独立に行い、また、それらを加減しながら共働して行うことができる。尚、液剤をそのまま塗布することもできるし圧縮空気により霧化した状態で噴霧することもできるし圧縮空気のみを噴出させて乾燥を促進させることなどができるのは言うまでもない。
【0025】
図6(a)、(b)は、押し子13の押す力の強弱によって液剤噴出部からの液剤の噴出量を設定することができることを示す図である。
図6(a)は、押し子13の押す力(圧力)を大きくする(図中矢印の幅がそれを示している)ことによって、シリンジ11内の液剤に大きな力が加わり、それに応じて液剤噴出部12から多量の液剤が噴出することを示している。
図6(b)は、押し子13の押す力(圧力)を小さくする(図中矢印の幅がそれを示している)ことによって、シリンジ11内の液剤に小さな力が加わり、それに応じて液剤噴出部12から少量の液剤が噴出することを示している。
【0026】
ちなみに、液剤噴出部12から液剤を噴出させる構成として、たとえばニードル弁を用いる構成も考えられるが、このニードル弁を用いることのない構成とすることにより、簡易な構成の塗布器具を得ることができるようになる。
【0027】
同様に、トリガー16の操作においても、
図5(a)、(b)に示したように、軸体20の移動に応じた弁部18による空気流路(空気流路17Aと空気流路17B)の連通径が変化できるので、トリガー16の押す力の強弱によって圧縮空気の液剤噴出部12からの噴出量を設定することができるようになる。
【0028】
このため、液剤噴出部12から噴出させる液剤あるいは圧縮空気の各噴出量を容易に調整できる効果を奏する。また、液剤あるいは圧縮空気の各噴出量の調整は、把持部15を握った手の親指および人差し指で同時に行うことができ、液剤あるいは圧縮空気の各噴出量を容易に加減させながら共働させることができるようになる。
【0029】
さらに、把持部15は、
図1(c)に示すようにシリンジ11の長手方向に交差する方向へ該シリンジ11とずれを有して設けられていることから、シリンジ11の周辺には視界を遮る物が無くなり、液剤噴出の際に、照準を合わせ易いという効果を奏する。また、実施形態1では、
図1(e)に示すように、人が物を握るときの自然な指の開き(角度θ)が生じるので親指が疲労しにくく押し子13を押圧し易いという効果を奏する。ちなみに、把持部15とシリンジ11にずれのない
図1(d)の場合は、把持部15を握りながら親指を真上に立てなければならず、親指は著しく疲労する不都合を有する。
【0030】
(実施形態2)
実施形態1では、塗布器具の把持部15は支持部14に固定させた状態で取り付けたものとして示したものである。
しかし、
図7(a)、(b)に示すように、把持部15は、図示しない角度調整機構を介して支持部14に取り付けられ、該支持部14に対し、図中矢印γに示すように、傾きが可変できるように構成してもよい。
【0031】
図8(a)は、支持部14を示した平面図であり、
図8(b)は、該支持部14の把持部15(図示せず)との接続部を拡大して示した斜視図である。
図8(b)に示すように、支持部14の把持部15(図示せず)との接続部は、一対の突出部140が設けられた二股状となっており、各突出部140の対向する面には、それぞれ、把持部15(図示せず)を軸支するための軸突起体141と、この軸突起体141に近接して配置される角度設定のための突起142が設けられている。
把持部15(図示せず)は支持部14の各突出部140の間に配置されるようになっている。把持部15は、
図9に示すように、その支持部14(図示せず)と接続される部分において、支持部14の軸突起体141が嵌合される軸孔150と、支持部14の突起142が嵌合される複数(図ではたとえば4個)の孔151が形成されている。
【0032】
図10(a)、(b)は、把持部15を取り付けた支持部14を透視して描いた図である。把持部15は軸突起体141(軸孔150)を中心にして回転できるようになっていることを示し、その回動の過程において、突起142が複数(図では4個)の孔151のうちの一つに嵌合されるようになっている。これにより、把持部15は支持部14に対してクリック感を意識しながら4段階の角度調整をすることができるようになる。
【0033】
この場合、上述したように、把持部15は、シリンジ11の長手方向に交差する方向へ該シリンジ11とずれを有して設けられていることから、シリンジ11が妨害となることなく、比較的広い角度範囲で把持部15の傾斜を変えるように構成できるようになる。
【0034】
(実施形態3)
実施形態1では、圧縮空気の液剤噴出部12への供給を起動させるのに、
図4に示したように、把持部15に設けられたトリガー16によって行うようにしたものである。しかし、これに、限定されることはなく、
図4に対応して描いた
図11に示すように、弁部18が取り付けられる軸体20の先端にボタン22を備えるようにしてもよいことはもちろんである。このように構成しても、該ボタン22を、圧縮空気の液剤噴出部12への供給を起動させ、その供給量を調整可能な操作部として機能させることができるからである。
【0035】
(実施形態4)
上述した実施形態では、液剤として、たとえばアミノ酸を含む止血剤を例にして説明したが、これに限定されることはなく、たとえば薬剤等の他の液剤であってもよいし、塗装目的の液剤(塗料)であってもよいし、食液の塗布に用いてもよいことはもちろんである。
【0036】
(実施形態5)
図12(a)は、本発明の塗布器具の他の実施形態を示す断面図である。
図12(a)に示す塗布器具10は、たとえば
図1に示した塗布器具10と比較した場合、大略、把持部15が無く、該把持部15に設けられたトリガー(操作部)16を支持部14に設けた構成となっている。
【0037】
すなわち、実施形態1ないし4に示した塗布器具10と同様に、シリンジ11に挿入される押し子13の押圧部13Aは、親指以外の少なくとも一つの指でトリガー(操作部)16を係止した手の該親指で押圧できる位置にあるようになっている。このため、操作者は、中指、薬指および小指で把持部を握ることはできなくても、たとえば、人差し指でトリガー16を係止させたままで親指を押し子13の押圧部13Aに宛がうことができ、これら人差し指および親指の操作によって、液剤噴出部12から噴出させる液材あるいは圧縮空気の各噴出量を容易に調整できるようになっている。
【0038】
また、塗布器具10は、
図12(b)に示すように、シリンジ11(押し子13を含む)を塗布器具10から容易に分離させることができるようになっている。これにより、新しいシリンジ11(押し子13を含む)に交換でき、あるいはシリンジ(押し子13を含む)および支持部14をそれぞれ独立に洗浄等できるようになっている。
【0039】
支持部14の先端部には、
図12(b)に示すように、シリンジ取付け部30が取り付けられ、シリンジ11は、支持部14に載置された状態で、その先端に形成されたシリンジノズル11Aがシリンジ取付け部30の挿入孔30Aに挿入されるようになっている(
図12(a)参照)。
【0040】
図13(a)は、シリンジ取付け部30を示した斜視図であり、該シリンジ取付け部30の前記挿入孔30Aと反対側の面には、挿入孔30Aと連通するノズル(液材噴出部)31が突出して設けられている。ノズル31はシリンジ取付け部30に取付けられるシリンジ11と同軸に配置されるようになっている。ノズル31はシリンジ取付け部30の液剤流路19を介してシリンジ11と連通されるようになっている。また、ノズル31は、先端に至るに従って内径および外径が小さくなる形状となっている。ノズル31には、その外周面において、周方向に等間隔で配置された複数(図ではたとえば3個)のリブ32が長手方向に延在されて形成されている。
図13(b)は、ノズル31を先端側から観た正面図であり、ノズル31の外周面に径方向に突出する3個のリブ32が120°の間隔で配置されていることが判る。
【0041】
そして、
図13(a)に示すように、シリンジ取付け部30には、ノズル31を挿入するようにして空気キャップ35が取り付けられるようになっている。空気キャップ35は、ノズル31に形成されたリブ32によって、たとえ歪みがあっても空気キャップ35との位置精度を確保することができるようになっている。
【0042】
空気キャップ35は、
図13(c)に示すように、ノズル31の外周面との間に、支持部14側の空気流路17Cと連通される空気流路17Dを形成するようになっている。ノズル31と空気キャップ35の各先端は、それらの軸方向において一致され、それらの先端部でノズル31からの液材とノズル31と空気キャップ35の間の空気流路17Dからの空気とが混合されて噴出されるようになっている。なお、空気キャップ35は、先端に至るに従って内径および外径が小さくなる形状となっている。
【0043】
図14(a)は、塗布器具10のトリガー(操作部)16の近傍の構成を示す断面図である。支持部14には、その端部近傍において、外部から空気を供給するための気体供給口からの空気流路17Aを有し、この空気流路17Aからの空気は、トリガー(操作部)16の図中矢印βの方向の操作によって、空気流路17Bおよび空気流路17Cへの導入がなされるようになっている。すなわち、トリガー(操作部)16の回転支軸の近傍に一端が当接される軸体40があり、この軸体40は他端に配置されるスプリング41によってトリガー(操作部)16側に付勢されるようになっている。軸体40の長さ方向の中途部にはO−リング42が設けられ、トリガー(操作部)16が操作されていないときには、O−リング42は空気流路17Aと空気流路17Bとの流通を妨げる弁の機能を有するようになっている。
【0044】
そして、
図14(b)に示すように、トリガー(操作部)16が図中矢印βの方向の操作によって、軸体40はスプリング41の付勢に抗して軸方向に移動し、これにともなうO−リング42の移動によって弁が開放され、空気流路17Aと空気流路17Bの間との流通がなされるようになっている。
【0045】
(実施形態6)
上述した実施形態では、液材を霧化する気体として圧縮空気を例に挙げて説明したものである。しかし、これに限定されることはなく、炭酸ガス、窒素ガス等を用いてもよいことはいうまでもない。この場合、上述した空気流路は気体流路として機能させ、空気キャップは気体キャップとして機能させることができる。
【0046】
(実施形態7)
上述した実施形態では、シリンジ11から噴出される液材は止血剤あるいは塗料としたものである。しかし、これに限定されることはなく、癒着防止材、あるいは生体用接着剤等であってもよいことはもちろんである。
ここで、止血剤は、滲出性出血等に用いられ、たとえばフィブリン糊がある。癒着防止剤は、外科手術等で臓器と臓器が密着して固着することを防止するために、臓器と臓器の間に挿入されるものである。また、生体用接着剤は、外科手術等で「縫合」に替り、皮膚等を結合することを目的として用いられる接着剤である。
【0047】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。