【実施例】
【0040】
下記の実施例では別段の指定がない限りすべての部数および割合は重量単位であり、またすべての度数は摂氏である。本発明に従って調製される実施例は数値で表示される。対照または比較例は文字で表示される。
【0041】
使用されるバーミキュライトは、供給されたままの7.5%の固形分を有するMicrolite(登録商標)963の水性分散液のハイソリッドバージョンであった。この分散液は、W.R.Grace and Co.,Cambridge,MAから得た。
【0042】
比較例A
固形分10.6重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ2milの金属化ポリエステルフィルム上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、フィルム上に耐火層を形成した。フィルムは片側で金属化された。塗料はフィルムの金属化された側に塗布された。フィルムは、商品名MylarでE.I.DuPont de Nemours and Co.,Wilmington,DEから得た。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布されたフィルムをオーブン中で110℃以下の温度で乾燥した。総乾燥時間は75分を超え、それは60℃で15分、71℃で15分、82℃で15分、93℃で15分、および99℃で15分超の段階的な乾燥を含んだ。耐火層は35gsmの乾燥塗膜重量を有した。紙および耐火層を別々のロールに巻き上げた。
【0043】
この二層複合体の試料の検査により、乾燥された耐火層がフィルムの金属化された側から自然に剥がれるのが観察された。剥離の特徴は良好であった。
【0044】
比較例B
これは、耐火層が19gsmの乾燥塗膜重量を有し、乾燥時間が45分間であったことを除いて例Aと同様であった。
【0045】
比較例C
固形分13重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ6μmの金属化ポリエーテルエーテルケトン(PEKK)フィルム上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、フィルム上に耐火層を形成した。フィルムは、Cytec Industries,Woodland Park,NJから得た等級DS−Eであった。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布されたフィルムをオーブン中で110℃以下の温度で乾燥した。乾燥時間は45分を超え、それは71℃で9分、82℃で6分、93℃で6分、および96℃で25分の段階的な乾燥を含んだ。耐火層は33gsmの乾燥塗膜重量を有した。フィルムと耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0046】
この塗工工程は、フィルムが皺になり襞がつく傾向のせいできわめて困難なことが分かった。さらに、湿潤を助長しかつ均質な塗膜を得るためにフィルムをコロナ処理などの工程により表面処理しなければならなかった。均質で連続的な耐火層塗膜は得られなかった。耐火層はまた、その高粘度溶液中にトラップされた過度な気泡に関係した条痕および光斑の影響を受けた。
【0047】
比較例D
固形分7.5重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ0.5milのポリイミドフィルム上にロール式ナイフ塗工システムを使用して塗布して、フィルム上に耐火層を形成した。フィルムは、商品名KaptonでE.I.DuPont de Nemours and Co.,Wilmington,DEから得た。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布されたフィルムをオーブン中で110℃以下の温度で乾燥した。乾燥時間は75分を超え、それは71℃で20分、82℃で20分、93℃で20分、および96℃で25分超の段階的な乾燥を含んだ。耐火層は33gsmの目標乾燥塗膜重量を有した。フィルムと耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0048】
この塗工工程は、フィルムが皺になり襞がつく傾向のせいできわめて困難なことが分かった。さらに、湿潤を助長しかつ均質な塗膜を得るためにフィルムをコロナ処理などの工程により表面処理しなければならなかった。均質で連続的な耐火層塗膜は得られなかった。この75分を超える乾燥時間は容認できなかった。
【0049】
比較例E
固形分10.8重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ2milのポリイミド(Kapton(登録商標))フィルム上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、フィルム上に耐火層を形成した。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布されたフィルムをオーブン中で110℃以下の温度で乾燥した。乾燥時間は75分を超え、それは71℃で9分、82℃で6分、93℃で6分、および96℃で60分の段階的な乾燥を含んだ。耐火層は33gsmの乾燥塗膜重量を有した。フィルムと耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0050】
いったん5%未満の含水率まで乾燥されると、きわめて均質で連続的な耐火層が生じた。円滑なロール巻取および後処理を可能にするのに十分な密着性を有する層がフィルムの表面に残った。耐火層は、その耐火層の露出面に接着された補強基材の助けにより支持体から簡単に剥がれた。非常に苦労すれば単体フィルムとして塗膜支持体から耐火層を剥がすことができた。しかしながら75分を超える乾燥時間は、実用的な値であるには長すぎた。
【0051】
比較例F
これは、フィルム層が金属化表面を有しないことを除いて例Aと同様であった。分かったことは比較例Eの場合と同じであった。
【0052】
比較例G
固形分10.8重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ5milの褐色のクラフト紙上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、紙上に耐火層を形成した。この紙はセルロースを約100重量%含み、Crocker Technical Papers,Fitchburg,MAから得た。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布された紙を空気浮上オーブン中で110℃以下の温度で15分間乾燥した。乾燥温度差を上部(バーミキュライト側)および下部(剥離紙側)に適用した。上側の乾燥プロフィールは、49℃で5分間、60℃で5分間、および71℃で5分間であった。下側の乾燥は、15分間99℃のままであった。耐火層は33gsmの乾燥塗膜重量を有した。紙と耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0053】
5milクラフト紙上の耐火層塗膜は堆積時には平坦であったが、紙は塗料溶液から水を吸収するにつれて皺になり襞がつき始めた。塗布用紙が全乾燥工程を通して折り畳まれると、それは連続的だが起伏のあるフィルム塗膜を生じさせた。また、生産性に重大な影響を与える塗工工程の間の頻繁な紙の切断があった。この紙は不適切だと考えられた。
【0054】
比較例H
固形分10.6重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ5milのメタ−アラミド紙上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、紙上に耐火層を形成した。この紙はDuPontからのT413等級Nomex(登録商標)であった。この紙は、1.23オンス/平方ヤードの坪量、4.9milの平均厚さ、0.34g/ccの密度、316秒/100cc、20オンスシリンダーのガーレー通気抵抗度、325シェフィールドユニットの平滑度、縦方向で10.7ポンド/インチおよび横方向で5.5ポンド/インチの乾燥引張強さを有した。湿潤引張強さは、縦方向で5.1ポンド/インチおよび横方向で2.95ポンド/インチであった。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布された紙を空気浮上オーブン中で110℃以下の温度で15分間乾燥した。乾燥温度差を上部(バーミキュライト側)および下部(剥離紙側)に適用した。上側の乾燥プロフィールは、49℃で5分間、60℃で5分間、および71℃で5分間であった。下側の乾燥は、15分間99℃のままであった。耐火層は37gsmの乾燥塗膜重量を有した。紙と耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0055】
耐火材料は首尾よく紙上に塗布されたが、耐火フィルム層の露出面に接着された補強基材の助けなしには紙から耐火層を取り外すことが不可能であり、またそれがたとえ可能でも困難を伴ってのみ達成可能であった。この紙は使用には不適切だと考えられた。
【0056】
比較例J
バーミキュライト分散液を、厚さ5.6milの強化ポリエチレンシート上にドクター・ブレードを使用して塗布した。このポリエチレンシートはDuPontからのTyvek(登録商標)1056D等級であった。耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布されたシートをオーブン中で90℃で乾燥した。乾燥時間は30分であった。耐火層の乾燥坪量は37gsmであった。
【0057】
乾燥された耐火層は、その耐火層の露出面に接着された補強基材の助けがあってさえ剥離シートから取り外すことができなかった。耐火層内の凝集結合破壊が観察された。このポリエチレンシートは使用には不適切であった。
【0058】
実施例1
固形分10.8重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ5milの親水性の灰色RagKraft紙上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、紙上に耐火層を形成した。紙は、50重量%のセルロース繊維と50重量%の綿繊維のブレンドを含み、Crocker Technical Papersから得た。紙は、4.0オンス/平方ヤードの坪量、5.1milの平均厚さ、1.05g/ccの密度、1087秒/100cc、20オンスシリンダーのガーレー通気抵抗度、81シェフィールドユニットの平滑度、縦方向で64.3ポンド/インチおよび横方向で25.4ポンド/インチの乾燥引張強さを有した。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布された紙を空気浮上オーブン中で110℃以下の温度で15分間乾燥した。乾燥温度差を上部(バーミキュライト側)および下部(剥離紙側)に適用した。上側の乾燥プロフィールは、49℃で5分間、60℃で5分間、および71℃で5分間であった。下側の乾燥は、15分間99℃のままであった。耐火層は33gsmの乾燥塗膜重量を有した。フィルムと耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0059】
この5mil灰色RagKraft紙上の耐火層塗膜は堆積時には平坦であったが、紙は塗料溶液から水を吸収するにつれて皺になり襞がつく傾向があった。ごくまれに紙が切断する程度で塗工工程全体の連続性は満足できるものとみなされた。この紙は、低位の満足のいくものと考えられた。乾燥時間は、比較例AおよびBの場合よりもかなり短かった。
【0060】
実施例2
固形分10.8重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ5milの親水性の灰色のRagKraft紙上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、紙上に耐火層を形成した。この紙は、47.5重量%のセルロース繊維、47.5重量%の綿繊維、および5重量%のポリエチレンテレフタラート(PET)湿潤高強度繊維のブレンドを含んだ。この紙は、Crocker Technical Papersから得た。紙は、4.0オンス/平方ヤードの坪量、5.1milの平均厚さ、1.05g/ccの密度、1087秒/100cc、20オンスシリンダーのガーレー通気抵抗度、81シェフィールドユニットの平滑度、縦方向で64.3ポンド/インチおよび横方向で25.4ポンド/インチの乾燥引張強さを有した。湿潤引張強さは、縦方向で14.8ポンド/インチおよび横方向で5.5ポンド/インチであった。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布された紙を空気浮上オーブン中で110℃以下の温度で15分間乾燥した。乾燥温度差を上部(バーミキュライト側)および下部(剥離紙側)に適用した。上側の乾燥プロフィールは、49℃で5分間、60℃で5分間、および71℃で5分間であった。下側の乾燥は、15分間99℃のままであった。耐火層は33gsmの乾燥塗膜重量を有した。フィルムと耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0061】
この5mil灰色RagKraft紙上の耐火層塗膜は堆積時に平坦であった。比較例Hと比べて、紙が塗料溶液から水を吸収するにつれて少数の皺および襞が存在した。耐火層は連続的だが多少起伏があった。紙の切断はなく塗工工程全体の連続性は優れているものとみなされた。この紙は満足できるものと考えられた。乾燥時間は、比較例AおよびBの場合よりもかなり短かった。
【0062】
実施例3
固形分10.8重量%まで濃縮したバーミキュライト分散液を、厚さ9.5milの親水性の灰色RagKraft紙上にスロットダイ塗工システムを使用して塗布して、紙上に耐火層を形成した。この紙は、50重量%のセルロース繊維と50重量%の綿繊維のブレンドを含み、Crocker Technical Papersから得た。紙は、6.4オンス/平方ヤードの坪量、9.6milの平均厚さ、0.9g/ccの密度、572秒/100cc、20オンスシリンダーのガーレー通気抵抗度、128シェフィールドユニットの平滑度、縦方向で93.0ポンド/インチおよび横方向で35.6ポンド/インチの乾燥引張強さを有した。湿潤引張強さは、縦方向で6.98ポンド/インチおよび横方向で2.5ポンド/インチであった。無機耐火層の含水率が5%未満になるまで、塗布された紙を空気浮上オーブン中で110℃以下の温度で15分間乾燥した。乾燥温度差を上部(バーミキュライト側)および下部(剥離紙側)に適用した。上側の乾燥プロフィールは、49℃で5分間、60℃で5分間、および71℃で5分間であった。下側の乾燥は、15分間99℃のままであった。耐火層は33gsmの乾燥塗膜重量を有した。フィルムと耐火層の二層複合体をロールに巻き上げた。
【0063】
いったん5%未満の含水率まで乾燥されると、きわめて均質で連続的な耐火層が生じた。円滑なロール巻取および後処理を可能にするのに十分な密着性を有する層がフィルムの表面に残った。耐火層は、その耐火層の露出面に接着された補強基材の助けにより支持体から簡単に剥がれた。非常に苦労すれば単体フィルムとして紙から耐火層を剥がすこともまた可能であった。この紙は、湿潤した場合でさえ満足できる全体的寸法安定性を示した。湿潤した紙の縁部はまだ多少丸まる傾向を示したが、連続的かつきわめて平坦で均質なフィルム塗膜が達成された。紙の切断はなく塗工工程全体の連続性は優れていた。この紙は満足できるものと考えられた。
【0064】
実施例4
実施例4は、塗布用紙が厚さ9.5milであることを除いて実施例2のとおりであった。この紙は、6.4オンス/平方ヤードの坪量、9.6milの平均厚さ、0.9g/ccの密度、572秒/100cc、20オンスシリンダーのガーレー通気抵抗度、128シェフィールドユニットの平滑度、縦方向で93.0ポンド/インチおよび横方向で35.6ポンド/インチの乾燥引張強さを有した。湿潤引張強さは、縦方向で6.98ポンド/インチおよび横方向で2.5ポンド/インチであった。
【0065】
いったん5%未満の含水率まで乾燥されると、きわめて均質で連続的な耐火層が生じた。円滑なロール巻取および後処理を可能にするのに十分な密着性を有するフィルムが塗布用紙の表面に留まった。9.5mil灰色RagKraft紙上の耐火層の塗膜は堆積時には平坦であった。この紙は、縁部が丸まる傾向がほとんどなく湿潤した場合でさえ満足できる全体的寸法安定性を示し、したがって連続的かつきわめて平坦で均質な耐火層をもたらした。紙の切断はなく全塗工工程の連続性は優れていた。この紙は満足できるものと考えられた。
【0066】
耐火層は、その耐火層の露出面に接着された補強基材の助けにより剥離紙支持体から簡単に剥がれた。非常に苦労すれば補強基材の助けなしに紙から耐火層の短い切片を剥がすこともまた可能であった。
【0067】
実施例5
これは、厚さ11milの紙を使用したことを除いて実施例3のとおりであった。この紙は、8.1オンス/平方ヤードの坪量、11.0milの平均厚さ、1.0g/ccの密度、714秒/100cc、20オンスシリンダーのガーレー通気抵抗度、103シェフィールドユニットの平滑度、縦方向で122.0ポンド/インチおよび横方向で40.0ポンド/インチの乾燥引張強さを有した。湿潤引張強さは、縦方向で6.4ポンド/インチおよび横方向で2.5ポンド/インチであった。分かったことは実施例3の場合と同じであった。
【0068】
実施例6
これは、塗布および乾燥後に、剥離紙上の33gsm耐火層を周囲条件において陽イオン濃厚水溶液で処理したことを除いて実施例5と同様であった。
【0069】
塗布された剥離紙を、水に分散した0.5N濃度の塩化ナトリウムの陽イオン濃厚溶液中に1分間浸漬し、次いで24℃で2分間空気乾燥し、続いて80℃に加熱した通常のオーブン内でさらに30分間乾燥した。
【0070】
約3%の含水率まで乾燥されたらその陽イオン処理された材料をオーブンから取り出した。耐火層および剥離紙の外面に堆積している余分な乾燥塩化ナトリウムを、乾燥した柔らかな布で丁寧に拭き取った。
【0071】
非陽イオン処理耐火層と比較すると、高湿度条件に長時間、例えば80℃および90%RHのエイジングチャンバ内に120時間曝した場合の、または水に少なくとも10分間浸漬した後の安定性の顕著な改良を示した。他に分かったことは実施例5のものと同様であった。