(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132431
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】複数のクライアント局に対する独立したデータを同時ダウンリンク伝送するアクセスポイント
(51)【国際特許分類】
H04J 99/00 20090101AFI20170515BHJP
H04J 1/00 20060101ALI20170515BHJP
H04J 11/00 20060101ALI20170515BHJP
H04W 4/06 20090101ALI20170515BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20170515BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20170515BHJP
【FI】
H04J15/00
H04J1/00
H04J11/00 Z
H04W4/06
H04W28/04 110
H04W84/12
【請求項の数】24
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-171165(P2013-171165)
(22)【出願日】2013年8月21日
(62)【分割の表示】特願2010-517184(P2010-517184)の分割
【原出願日】2008年7月18日
(65)【公開番号】特開2014-39263(P2014-39263A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2013年8月23日
【審判番号】不服2015-19998(P2015-19998/J1)
【審判請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】60/950,429
(32)【優先日】2007年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/057,609
(32)【優先日】2008年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502188642
【氏名又は名称】マーベル ワールド トレード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ナバル、ロヒト ユー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ホンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ルー、フイ−リン
【合議体】
【審判長】
大塚 良平
【審判官】
菅原 道晴
【審判官】
萩原 義則
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−509360(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/052150(WO,A1)
【文献】
国際公開第2006/051771(WO,A1)
【文献】
国際公開第2006/048037(WO,A1)
【文献】
特開2006−254235(JP,A)
【文献】
特開2005−236686(JP,A)
【文献】
特開2006−319959(JP,A)
【文献】
特開2007−110317(JP,A)
【文献】
特表2006−520109(JP,A)
【文献】
特表2005−512447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J99/00,1/00,11/00, H04W4/06,28/04,84/12, H04B7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークデバイスであって、
(i)それぞれが複数のクライアント局のうちそれぞれ1つのクライアント局に対する変調された複数のデータストリームを受け取り、(ii)複数のマトリックスを生成する複数のマトリックスモジュールであって、それぞれのマトリックスモジュールが、(i)前記無線ネットワークデバイスと前記複数のクライアント局との間のチャネル状況に基づいて前記複数のマトリックスを生成し、(ii)前記変調された前記複数のデータストリームのそれぞれに1つの前記マトリックスを適用して、多重化された複数のデータストリームを生成する、複数のマトリックスモジュールと、
複数の加算モジュールであって、それぞれの加算モジュールが、前記多重化された前記複数のデータストリームのうちの少なくとも2つを加算して伝送データストリームを生成する、複数の加算モジュールと、
第1の伝送器及び第2の伝送器であって、同時ダウンリンク伝送期間(SDT期間)中に、複数の前記伝送データストリームのうちの第1の伝送データストリームを、前記複数のクライアント局のうちの第1のクライアント局へ伝送し、前記SDT期間中に、前記第1の伝送データストリームが伝送されている間に、前記複数の伝送データストリームのうちの第2の伝送データストリームを、前記複数のクライアント局のうちの第2のクライアント局へ伝送する、第1の伝送器及び第2の伝送器と
を備え、
前記SDT期間は、前記第1のクライアント局からの確認応答及び前記第2のクライアント局からの確認応答を、前記無線ネットワークデバイスで受信するための2つの時間スロットを含み、
前記第1の伝送器及び前記第2の伝送器は、前記SDT期間とは異なるCSMAウィンドウ中に、CSMAベース通信を用いて、前記複数のクライアント局のうちの第3のクライアント局及び前記複数のクライアント局のうちの第4のクライアント局へ複数の伝送データストリームを伝送し、
前記第3のクライアント局及び前記第4のクライアント局は、SDTに対応していないレガシークライアント局であり、
前記複数のマトリックスモジュールが、前記チャネル状況に基づいて、i)干渉回避と信号対干渉および騒音比(SINR)バランシングとの少なくとも1つを実行し、ii)前記複数のクライアント局のそれぞれに割り当てられる電力を前記複数のマトリックスの複数の値によって調整するべく、前記複数のマトリックスの前記複数の値を調整するよう構成され、
前記電力は、i)前記複数のクライアント局のうち、受信の信頼性が高い1つまたは複数のクライアント局にだけ割り当てられる、または、ii)前記複数のクライアント局のうち、低データ速度要件の1つまたは複数のクライアント局に小さい電力が割り当てられるように割り当てられる
無線ネットワークデバイス。
【請求項2】
複数の変調モジュール
をさらに備え、
前記複数の変調モジュールのそれぞれの変調モジュールは、(i)データストリームを受信し、(ii)前記受信したデータストリームを変調して、前記変調された前記複数のデータストリームのうちの1つの変調されたデータストリームを生成する
請求項1に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項3】
前記第1の伝送器は、前記SDT期間中に、前記第1の伝送データストリームを(i)前記第1のクライアント局および(ii)前記第2のクライアント局へ伝送する
請求項1または2に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項4】
複数のビットストリームを受信してエンコードされた複数のビットストリームを生成する複数のエンコーダモジュールと、
前記エンコードされた前記複数のビットストリームに空間マッピングを実施して複数のデータストリームを生成する複数の空間マッピングモジュールと、
前記複数の空間マッピングモジュールによって生成された前記複数のデータストリームを変調して前記変調された複数のデータストリームを生成する複数の変調モジュールと
をさらに備える請求項1に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項5】
(i)複数の空間マッピングモジュールから複数のデータストリームを受信し、(ii)直交周波数分割多重トーンを生成する複数のQAMマッピングモジュール
をさらに備え、
前記変調された複数のデータストリームは、前記直交周波数分割多重トーンを含み、
前記複数のマトリックスモジュールは、前記直交周波数分割多重トーンに前記複数のマトリックスを適用して、前記多重化された複数のデータストリームを生成する
請求項1に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項6】
前記複数のQAMマッピングモジュールは、複数の直交振幅変調モジュールを有する
請求項5に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項7】
前記複数のマトリックスモジュールからの前記多重化された複数のデータストリームを変換する複数の逆高速フーリエ変換モジュール
をさらに備え、
前記複数の加算モジュールのそれぞれは、前記複数の逆高速フーリエ変換モジュールによる変換後の前記多重化された複数のデータストリームの少なくとも2つを加算して伝送データストリームを生成する
請求項1から6のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項8】
前記複数の逆高速フーリエ変換モジュールのそれぞれの出力にサイクリックプレフィックスをそれぞれ追加する複数のサイクリックプレフィックスモジュールと、
前記複数のサイクリックプレフィックスモジュールの複数の出力を複数のアナログ信号に変換する複数のデジタル‐アナログ変換器と
をさらに備え、
前記複数のアナログ信号は、前記変換された多重化された複数のデータストリームを含む
請求項7に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項9】
前記複数のマトリックスモジュールは、前記複数のマトリックスのうち、前記複数のクライアント局のうちの1つのクライアント局に対する1つのマトリックスを、前記複数のクライアント局のうちの他のクライアント局に対して伝送される信号の信号エネルギー量を最小にすることによって決定する
請求項1から8のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項10】
前記複数のマトリックスモジュールは、前記複数のマトリックスのうち、前記複数のクライアント局のうちの1つのクライアント局に対する1つのマトリックスを、前記複数のクライアント局に対する最小の信号対干渉および雑音比が高まるように生成する
請求項1から8のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項11】
前記複数のマトリックスモジュールは、前記複数のクライアント局の信号対干渉および雑音比に基づいて、前記複数のマトリックスを決定する
請求項1から8のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項12】
前記複数のマトリックスモジュールは、前記複数の伝送データストリームの複数のトーンに対する振幅および位相の少なくとも一方を調整する
請求項5又は6に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項13】
前記第1の伝送器および前記第2の伝送器は、以下の式で表される伝送信号ベクトルsを伝送し、
【数11】
式中、x
iは前記複数のクライアント局のうちのi番目のクライアント局のための情報ベクトルであり、W
iは前記複数のクライアント局のうちの前記i番目のクライアント局のための前記マトリックスである
請求項1から12のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項14】
前記複数のクライアント局からチャネル状態情報を受信する受信器
をさらに備え、
前記複数のマトリックスモジュールは、前記チャネル状態情報に基づいて、前記複数のマトリックスを生成する
請求項1から13のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項15】
受信器と、
前記複数のクライアント局から受信した複数の信号に基づいてチャネル状態情報を推定するチャネル状況推定装置
をさらに備え、
前記複数のマトリックスモジュールは、前記チャネル状態情報に基づいて、前記複数のマトリックスを生成する
請求項1から13のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項16】
前記第3のクライアント局及び前記4のクライアント局は、前記SDT期間中にデータストリームを伝送することが禁止されている
請求項1から15のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項17】
前記複数のマトリックスモジュールは、
(i)第1の変調された複数のデータストリームを受け取り、(ii)前記チャネル状況に基づいて第1のマトリックスを生成し、(iii)前記第1の変調された複数のデータストリームに前記第1のマトリックスを適用して、第1の多重化されたデータストリーム及び第2の多重化されたデータストリームを生成するよう構成される第1のマトリックスモジュールと、
(i)第2の変調された複数のデータストリームを受け取り、(ii)前記チャネル状況に基づいて第2のマトリックスを生成し、(iii)前記第2の変調された複数のデータストリームに前記第2のマトリックスを適用して、第3の多重化されたデータストリーム及び第4の多重化されたデータストリームを生成するよう構成される第2のマトリックスモジュールと
を含み、
前記複数の加算モジュールは、
前記第1の多重化されたデータストリーム及び前記第3の多重化されたデータストリームを加算して、前記第1の伝送データストリームを生成する第1の加算モジュールと、
前記第2の多重化されたデータストリーム及び前記第4の多重化されたデータストリームを加算して、前記第2の伝送データストリームを生成する第2の加算モジュールと
を含む請求項1から16のいずれか一項に記載の無線ネットワークデバイス。
【請求項18】
複数のマトリックスモジュールにおいて、それぞれが複数のクライアント局のうちそれぞれ1つのクライアント局に対する変調された複数のデータストリームを受け取るステップと、
前記複数のマトリックスモジュールにおいて、複数のマトリックスを生成するステップであって(i)無線ネットワークデバイスと前記複数のクライアント局との間のチャネル状況に基づいて前記複数のマトリックスを生成するステップを含み、(ii)前記変調された前記複数のデータストリームのそれぞれに1つの前記マトリックスを適用して、多重化された複数のデータストリームを生成するステップと、
前記チャネル状況に基づいて、i)干渉回避と信号対干渉および騒音比(SINR)バランシングとの少なくとも1つを実行し、ii)前記複数のクライアント局のそれぞれに割り当てられる電力を前記複数のマトリックスの複数の値によって調整するべく、前記複数のマトリックスの前記複数の値を調整する段階と、
複数の加算モジュールにおいて、前記多重化された前記複数のデータストリームのうちの少なくとも2つを加算して複数の伝送データストリームを生成するステップと、
同時ダウンリンク伝送期間(SDT期間)中に、前記複数の伝送データストリームのうちの第1の伝送データストリームを、前記複数のクライアント局のうちの第1のクライアント局へ伝送するステップと、
前記SDT期間中に、前記第1の伝送データストリームを伝送している間に、前記複数の伝送データストリームのうちの第2の伝送データストリームを、前記複数のクライアント局のうちの第2のクライアント局へ伝送するステップと、
前記SDT期間とは異なるCSMAウィンドウ中に、CSMAベース通信を用いて、前記複数のクライアント局のうちの第3のクライアント局及び前記複数のクライアント局のうちの第4のクライアント局へ複数の伝送データストリームを伝送するステップと
を含み、
前記第3のクライアント局及び前記第4のクライアント局は、SDTに対応していないレガシークライアント局であり、
前記SDT期間は、前記第1のクライアント局からの確認応答及び前記第2のクライアント局からの確認応答を、前記無線ネットワークデバイスで受信するための2つの時間スロットを含み、
前記電力は、i)前記複数のクライアント局のうち、受信の信頼性が高い1つまたは複数のクライアント局にだけ割り当てられる、または、ii)前記複数のクライアント局のうち、低データ速度要件の1つまたは複数のクライアント局に小さい電力が割り当てられるように割り当てられる
方法。
【請求項19】
複数のビットストリームをエンコードして、エンコードされた複数のビットストリームを生成するステップと、
複数の空間マッピングモジュールにより、前記エンコードされた前記複数のビットストリームに空間マッピングを実施して複数のデータストリームを生成するステップと、
前記複数の空間マッピングモジュールによって生成された前記複数のデータストリームを変調して前記変調された複数のデータストリームを生成するステップと
をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の空間マッピングモジュールから複数のデータストリームを受信するステップと、
複数のQAMマッピングモジュールにより直交周波数分割多重トーンを生成するステップと、
をさらに含み、
前記変調された複数のデータストリームは、前記直交周波数分割多重トーンを含み、
前記多重化された複数のデータストリームを生成するステップは、前記直交周波数分割多重トーンに前記複数のマトリックスを適用して、前記多重化された複数のデータストリームを生成することを含む
請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
複数の逆高速フーリエ変換モジュールにより前記複数のマトリックスモジュールからの前記多重化された複数のデータストリームを変換するステップと、
前記複数の逆高速フーリエ変換モジュールのそれぞれの出力に、対応するそれぞれのサイクリックプレフィックスモジュールによりサイクリックプレフィックスをそれぞれ追加するステップと、
複数の前記サイクリックプレフィックスモジュールの複数の出力を複数のアナログ信号に変換するステップと
をさらに含み、
前記複数の加算モジュールのそれぞれは、前記複数の逆高速フーリエ変換モジュールにより変換するステップ、複数の前記サイクリックプレフィックスモジュールによりサイクリックプレフィックスを追加するステップ及び前記複数のアナログ信号に変換するステップによって変換された多重化された複数のデータストリームの少なくとも2つを加算して伝送データストリームを生成する
請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のクライアント局から受信した複数の信号に基づいてチャネル状態情報を推定するステップ
をさらに含み、
前記多重化された複数のデータストリームを生成するステップは、前記チャネル状態情報に基づいて、前記複数のマトリックスを生成することを含む
請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第3のクライアント局及び前記第4のクライアント局は前記SDT期間中にデータストリームを伝送することが禁止されている
請求項18から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のマトリックスモジュールは、
(i)第1の変調された複数のデータストリームを受け取り、(ii)前記チャネル状況に基づいて第1のマトリックスを生成し、(iii)前記第1の変調された複数のデータストリームに前記第1のマトリックスを適用して、第1の多重化されたデータストリーム及び第2の多重化されたデータストリームを生成するよう構成される第1のマトリックスモジュールと、
(i)第2の変調された複数のデータストリームを受け取り、(ii)前記チャネル状況に基づいて第2のマトリックスを生成し、(iii)前記第2の変調された複数のデータストリームに前記第2のマトリックスを適用して、第3の多重化されたデータストリーム及び第4の多重化されたデータストリームを生成するよう構成される第2のマトリックスモジュールと
を含み、
前記複数の加算モジュールは、
前記第1の多重化されたデータストリーム及び前記第3の多重化されたデータストリームを加算して、前記第1の伝送データストリームを生成する第1の加算モジュールと、
前記第2の多重化されたデータストリーム及び前記第4の多重化されたデータストリームを加算して、前記第2の伝送データストリームを生成する第2の加算モジュールと
を含む請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年7月18日に出願された米国仮出願第60/950,429号、および2008年5月30日に出願された米国仮出願第61/057,609号の利益を主張する。上記出願の開示は、参照により全体として本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、無線ネットワークに関し、より具体的には、複数の無線クライアント局に対する独立したデータを同時ダウンリンク伝送する無線アクセスポイントに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に提供される背景技術の説明は、概して本開示の背景を提示することを目的とする。その研究が本背景技術の章に説明される範囲にとどまる、本明細書に記名される発明者の研究、ならびに出願時にその他の点で先行技術として見なされ得ない該説明の態様は、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められるものではない。
【0004】
インフラストラクチャモードにおいて動作する場合、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は通常、アクセスポイント(AP)と、1つ以上のクライアント局とを含む。WLANは、この十年にわたり急速に発達した。IEEE §§ 802.11a/b/g/n等のWLAN規格の開発は、主として単一ユーザのピークデータスループットの向上に重点を置いてきた。例えば、IEEE §802.11bは、11Mbpsの単一ユーザのピークデータスループットで動作し、IEEE §802.11a/gは、54Mbpsの単一ユーザのピークデータスループットで動作し、IEEE §802.11nは、600Mbpsの単一ユーザのピークデータスループットで動作する。
【0005】
これらのWLANにおいて、APは、ユニキャストモードで1度に1個のクライアント局へ情報を伝送する。代替的には、同一の情報は、マルチキャストモードで一斉にクライアント局群に伝送され得る。この手法では、他のクライアント局は現在のクライアント局またはクライアント局群が対応されるまで待機する必要があるため、ネットワーク効率が低下する。同一の情報をクライアント局群に伝送する場合、クライアント局のうち受信状態が最も弱い1つによってスループットが制限される場合がある。
【発明の概要】
【0006】
無線ネットワークデバイスは、それぞれ、R個の独立したデータストリームを受信し、R個の独立したデータストリームを変調し、多重化マトリックスを適用してM個の変調かつ多重化されたデータストリームを生成し、RおよびMは1より大きい整数である、R個の変調モジュールを備える。M個の加算モジュールは、M個の変調かつ多重化されたデータストリームの各々の部分を加算して、M個の伝送データストリームを生成する。M個の伝送器は、同時ダウンリンク伝送(SDT)期間中、M個の伝送データストリームを同時に伝送する。
【0007】
他の特長では、無線ネットワークデバイスは、R個のクライアント局へM個の伝送データストリームを同時に伝送する。無線ネットワークデバイスは、M個の伝送データストリームのうちの第1の伝送データストリームを少なくとも2つのクライアント局へ伝送し、M個の伝送データストリームのうちの第2の伝送データストリームを少なくとも1つのクライアント局へ伝送する。M個の受信器は、それぞれ、SDT期間のR個の割り当てられた時間スロット中に、R個のクライアント局からR個の確認応答(ACK)を受信する。R個の変調モジュールの各々は、R個の独立したデータストリームのうちの1つに空間マッピングを実施し、M個の空間データストリームを生成する空間マッピングモジュールと、M個の空間データストリームのそれぞれを受信し、1組のトーンを出力するM個の変調マッピングモジュールと、多重化マトリックスをM組のトーンに適用する多重化マトリックスモジュールと、多重化マトリックスモジュールの出力と通信する逆高速フーリエ変換モジュールとを含む。
【0008】
他の特長では、M個の変調マッピングモジュールの各々は、直交振幅変調(QAM)モジュールを含む。多重化マトリックスモジュールは、無線ネットワークデバイスとR個のクライアント局の各々との間のチャネル状況に基づいて、それぞれの多重化マトリックスを生成する。多重化マトリックスモジュールは、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局のうちの残りに対して伝送される信号の信号エネルギーを最小にすることによって決定する。多重化マトリックスモジュールは、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局に対する最小の信号対干渉および騒音比を最大にすることによって決定する。多重化マトリックスモジュールは、R個のクライアント局の信号対干渉および騒音比(SINR)に基づいて、多重化マトリックスを決定する。
【0009】
他の特長では、多重化マトリックスは、M個の伝送データストリームのトーンに対する振幅と位相のうちの少なくとも1つを調整する。無線ネットワークデバイスによって伝送される伝送信号ベクトルsは、以下の式に基づき、
【数1】
式中、xiは、i番目のクライアント局を意図する情報ベクトル、Wiはi番目のクライアント局に対する多重化マトリックスである。
【0010】
他の特長では、受信器はR個のクライアント局からチャネル状態情報(CSI)を受信する。代替的には、チャネル状況推定装置は、R個のクライアント局から受信した信号に基づいてチャネル状態情報を推定する。R個の独立したデータストリームは、サブフレーム、フレームまたはパケットとして配置される。
【0011】
方法は、R個の独立したデータストリームを受信するステップと、R個の独立したデータストリームを変調するステップと、M個の変調かつ多重化されたデータストリームをそれぞれ生成するように多重化マトリックスを適用するステップであって、RおよびMは1より大きい整数である、ステップと、M個の伝送データストリームを生成するようにM個の変調かつ多重化されたデータストリームの各々の部分を加算するステップと、同時ダウンリンク伝送(SDT)期間中にM個の伝送データストリームを同時に伝送するステップとを含む。
【0012】
他の特長では、方法は、R個のクライアント局へM個の伝送データストリームを同時に伝送するステップを含む。方法は、M個の伝送データストリームのうちの第1の伝送データストリームを少なくとも2つのクライアント局に伝送し、M個の伝送データストリームのうちの第2の伝送データストリームを少なくとも1つのクライアント局に伝送するステップを含む。方法は、SDT期間のR個の割り当てられた時間スロット中にR個のクライアント局からR個の確認応答(ACK)を受信するステップを含む。方法は、R個の独立したデータストリームのうちの1つに空間マッピングを実施し、M個の空間データストリームを生成するステップと、M個の空間データストリームのそれぞれを受信してM組のトーンを出力するステップと、M組のトーンに多重化マトリックスを適用するステップと、逆高速フーリエ変換を実施するステップとを含む。
【0013】
他の特長では、M個の変調マッピングモジュールの各々は、直交振幅変調(QAM)モジュールを含む。方法は、無線ネットワークデバイスとR個のクライアント局の各々との間のチャネル状況に基づいて、それぞれの多重化マトリックスを生成するステップを含む。方法は、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局のうちの残りに対して伝送される信号の信号エネルギーを最小にすることによって決定するステップを含む。方法は、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局に対する最小の信号対干渉および騒音比を最大にすることによって決定するステップを含む。方法は、R個のクライアント局の信号対干渉および騒音比(SINR)に基づいて、多重化マトリックスを決定するステップを含む。方法は、M個の伝送データストリームのトーンに対する振幅と位相のうちの少なくとも1つを調整するステップを含む。伝送信号ベクトルsは、以下の式に基づき、
【数2】
式中、xiは、i番目のクライアント局を意図する情報ベクトル、Wiはi番目のクライアント局に対する多重化マトリックスである。
【0014】
他の特長では、方法は、R個のクライアント局からチャネル状態情報(CSI)を受信するステップを含む。方法は、R個のクライアント局から受信した信号に基づいて、チャネル状態情報を推定するステップを含む。R個の独立したデータストリームは、サブフレーム、フレームまたはパケットとして配置される。
【0015】
無線ネットワークデバイスは、R個の独立したデータストリームを受信するため、R個の独立したデータストリームを変調するため、および、M個の変調かつ多重化されたデータストリームをそれぞれ生成するように多重化マトリックスを適用するためであって、RおよびMは1より大きい整数である、R個の変調手段を備える。M個の加算手段は、M個の変調かつ多重化されたデータストリームの各々の部分を加算して、M個の伝送データストリームを生成する。M個の伝送手段は、同時ダウンリンク伝送(SDT)期間中、M個の伝送データストリームを同時に伝送する。
【0016】
他の特長では、無線ネットワークデバイスは、R個のクライアント局へM個の伝送データストリームを同時に伝送する。無線ネットワークデバイスは、M個の伝送データストリームのうちの第1の伝送データストリームを少なくとも2つのクライアント局に伝送し、M個の伝送データストリームのうちの第2の伝送データストリームを少なくとも1つのクライアント局に伝送する。M個の受信手段は、それぞれ、SDT期間のR個の割り当てられた時間スロット中にR個のクライアント局からR個の確認応答(ACK)を受信する。R個の変調手段の各々は、R個の独立したデータストリームのうちの1つに空間マッピングを実施してM個の空間データストリームを生成するための空間マッピング手段と、M個の空間データストリームのそれぞれを受信してM組のトーンを出力するためのM変調マッピング手段と、M組のトーンに多重化マトリックスを適用するための多重化マトリックス手段と、多重化マトリックス手段の出力と通信するための逆高速フーリエ変換手段とを備える。
【0017】
他の実施形態では、M個の変調マッピング手段の各々は、直交振幅変調(QAM)を実行する。多重化マトリックス手段は、無線ネットワークデバイスとR個のクライアント局の各々との間のチャネル状況に基づいて、それぞれの多重化マトリックスを生成する。多重化マトリックス手段は、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局のうちの残りに対して伝送される信号の信号エネルギーを最小にすることによって決定する。多重化マトリックス手段は、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局に対する最小の信号対干渉および騒音比を最大にすることによって決定する。多重化マトリックス手段は、R個のクライアント局の信号対干渉および騒音比(SINR)に基づいて、多重化マトリックスを決定する。多重化マトリックスは、M個の伝送データストリームのトーンに対する振幅と位相のうちの少なくとも1つを調整する。
【0018】
他の特長では、無線ネットワークデバイスによって伝送される伝送信号ベクトルsは、以下の式に基づき、
【数3】
式中、xiは、i番目のクライアント局を意図する情報ベクトル、Wiはi番目のクライアント局に対する多重化マトリックスである。
【0019】
他の特長では、受信手段はR個のクライアント局からチャネル状態情報(CSI)を受信する。
【0020】
他の特長では、チャネル状況推定手段は、R個のクライアント局から受信される信号に基づいてチャネル状態情報を推定する。R個の独立したデータストリームは、サブフレーム、フレームまたはパケットとして配置される。
【0021】
コンピュータ可読媒体上に保管されてプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムは、R個の独立したデータストリームを受信するステップと、R個の独立したデータストリームを変調するステップと、M個の変調かつ多重化されたデータストリームをそれぞれ生成するように多重化マトリックスを適用するステップであって、RおよびMは1より大きい整数である、ステップと、M個の伝送データストリームを生成するようにM個の変調かつ多重化されたデータストリームの各々の部分を加算するステップと、同時ダウンリンク伝送(SDT)期間中にM個の伝送データストリームを同時に伝送するステップとを含む。
【0022】
他の特長では、コンピュータプログラムは、R個のクライアント局へM個の伝送データストリームを同時に伝送するステップをさらに含む。コンピュータプログラムは、M個の伝送データストリームのうちの第1の伝送データストリームを少なくとも2つのクライアント局に伝送し、M個の伝送データストリームのうちの第2の伝送データストリームを少なくとも1つのクライアント局に伝送するステップを含む。コンピュータプログラムは、SDT期間のR個の割り当てられた時間スロット中にR個のクライアント局からR個の確認応答(ACK)を受信するステップを含む。
【0023】
他の特長では、コンピュータプログラムは、R個の独立したデータストリームのうちの1つに空間マッピングを実施してM個の空間データストリームを生成するステップと、M個の空間データストリームのそれぞれを受信してM組のトーンを出力するステップと、M組のトーンに多重化マトリックスを適用するステップと、逆高速フーリエ変換を実施するステップとを含む。
【0024】
他の特長では、M個の変調マッピングモジュールの各々は、直交振幅変調(QAM)モジュールを含む。コンピュータプログラムは、無線ネットワークデバイスとR個のクライアント局の各々との間のチャネル状況に基づいて、それぞれの多重化マトリックスを生成するステップを含む。コンピュータプログラムは、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局のうちの残りに対して伝送される信号の信号エネルギーを最小にすることによって決定するステップを含む。コンピュータプログラムは、R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、R個のクライアント局に対する最小の信号対干渉および騒音比を最大にすることによって決定するステップを含む。コンピュータプログラムは、R個のクライアント局の信号対干渉および騒音比(SINR)に基づいて、多重化マトリックスを決定するステップを含む。コンピュータプログラムは、M個の伝送データストリームのトーンに対する振幅と位相のうちの少なくとも1つを調整するステップを含む。
【0025】
他の特長では、コンピュータプログラムは、以下の式に基づいて伝送信号ベクトルsを伝送するステップを含み、
【数4】
式中、xiは、i番目のクライアント局を意図する情報ベクトル、Wiはi番目のクライアント局に対する多重化マトリックスである。
【0026】
他の特長では、コンピュータプログラムは、R個のクライアント局からチャネル状態情報(CSI)を受信するステップを含む。コンピュータプログラムは、R個のクライアント局から受信した信号に基づいて、チャネル状態情報を推定するステップを含む。R個の独立したデータストリームは、サブフレーム、フレームまたはパケットとして配置される。
【0027】
また他の特長では、上に記載のシステムおよび方法は、1つ以上のプロセッサによって実行されるコンピュータプログラムによって実施される。コンピュータプログラムは、メモリ、不揮発性データストレージ、および/または他の適切な有形の記憶媒体等を含むがこれに限定されない、コンピュータ可読媒体上に存在することができる。
【0028】
本開示の適用性のさらなる範囲は、発明を実施するための形態、請求項および図面によって明らかとなるであろう。発明を実施するための形態および具体的な実施例は、説明のみを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図しないということを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示は、発明を実施するための形態と添付の図面により、さらに完全に理解されよう。
【0030】
【
図1】アクセスポイント(AP)および1つ以上のクライアント局を含むWLANの機能ブロック図である。
【0031】
【
図2】レガシーのウィンドウおよび同時ダウンリンク伝送(SDT)ウィンドウを説明するタイミング図である。
【0032】
【
図3】ダウンリンクSTDパケットおよび確認応答を説明するタイミング図である。
【0033】
【0034】
【
図4B】APの伝送パスによって実行される方法の説明である。
【0035】
【
図5A】例示的なSDTクライアント局の説明である。
【0036】
【
図5B】
図5AのSDTクライアント局によって実行される方法の説明である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【
図8B】車両制御システムの機能ブロック図である。
【0043】
【0044】
【
図8D】セットトップボックスの機能ブロック図である。
【0045】
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の説明は、単に例示的なものに過ぎず、本開示、その適用および使用をいかなる形によっても限定することを意図するものではない。明確さを目的として、図面において、類似の要素を特定するために、同一の参照番号が使用される。本明細書で使用される場合、A、BまたはCのうちの少なくとも1つという語句は、非排他的な論理和を用いた論理計算(logical)の(AまたはBまたはC)を意味するものと解釈されるべきである。方法におけるステップは、本開示の原理を変更しない範囲で、異なる順序で実行され得るということを理解されたい。
【0047】
本明細書で使用される、モジュールという用語は、1つ以上のソフトウェアまたはファームウェアプログラム、組み合わせ論理回路、および/または記載の機能性を提供する他の適切な構成要素を実行するApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)、電子回路、プロセッサ(共有、専用、または群)およびメモリ(共有、専用、または群)を指す。
【0048】
本開示に従うアクセスポイント(AP)のような無線ネットワークデバイスは、複数のクライアント局へ独立したデータストリームを同時に伝送する(以下、同時ダウンリンク伝送(SDT))。この手法を使用することによって、指定の時間間隔中に単一のAPによって対応され得るクライアント局の数が増加する。さらに、一態様においては、本開示は、APに関連するクライアント局の異なるチャネル状況を利用してスループットを改善する。
【0049】
図1を参照すると、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)10は、アクセスポイント(AP)14を含む。AP14は、媒体アクセス制御(MAC)モジュール18、物理層(PHY)モジュール20、M個の送受信機22−1、22−2、…、22−M、およびM個のアンテナ24−1、24−2、…、24−M(集合的にアンテナ24)を含むネットワークインターフェース16を含み、Mは1より大きい整数である。
【0050】
WLAN10は、T個のクライアント局26−1、26−2、…、26−T(集合的にクライアント局26)に関連し、Tは1より大きい整数である。T個のクライアント局のうちR個はS
DT対応であり、T個のクライアント局26の(T−R)個は、S
DT対応でないレガシークライアント局であり得、RはT以下の整数である。クライアント局26はそれぞれ、MACモジュール28、PHYモジュール29、Pi送受信機30−1、30−2、…、30−PiおよびPiアンテナ32−1、32−2、…、32−Piを含むネットワークインターフェース27を含み得、Piはゼロより大きい整数であり、iはT個のクライアント局26のi番目に相当する。クライアント局26は、異なる数の送受信機およびアンテナを有し得る。
【0051】
AP14は、SDTウィンドウの間にSDT対応であるR個のクライアント局26のうちの2つ以上へ独立したデータを同時に伝送する。例えば、指定のSDTウィンドウの間、AP14は、第2のSDT対応のクライアントデータ局へ第2のデータを伝送している間に、同時に第1のSDT対応のクライアント局へ第1のデータを伝送できる。SDTウィンドウは、SDT部分とSDT部分に続く確認部分を含む。あくまでも例として、独立したデータは、パケット、フレームまたはサブフレームとして配置される場合がある。さらに、AP14は、搬送波感知多重アクセス(CSMA)ウィンドウのようなレガシーウィンドウの間、従来の方式(例えば、非オーバーラップ伝送手法)で、(T−R)レガシークライアント局26へ/からデータを伝送および受信する場合もある。マルチユーザスループットは、同時に対応されるクライアント局26の単一ユーザスループットの加算である。マルチユーザスループットは、同時に確実に対応され得るユーザの数に基づく。伝送アンテナの数の増加は、AP14の、より多くのクライアント局26に同時に対応する能力を向上させる傾向がある。
【0052】
AP14とクライアント局26は、直交周波数分割多重(OFDM)処理を使用して通信する場合がある。クライアント局26の各々に対する多重化マトリックスWは、各OFDMトーンに対して、AP14とクライアント局26との間のチャネル状況に基づいて決定され得る。例えば、チャネル認識は、明示的な同時ダウンリンク伝送(SDT)および/または暗示的なSDTを使用するAP14で取得される場合がある。明示的なSDTの場合、クライアント局26は、AP14にチャネル状態情報(CSI)をフィードバックする。暗示的なSDTの場合、AP14は、上り回線上でクライアント局26から受信される信号からCSIまたはチャネル状況を推論する。暗示的なSDTの手法は、適切な補正マトリックスを計算してAP14が上りチャネル状況から転送チャネル状況を推論できるように、初期の較正交換を組み込む場合がある。クライアント局26は、上記の技法を使用して同時に対応される場合がある。クライアント局26の多重化マトリックスWは、例えば、一定の事象が発生した場合、および/またはクライアントのチャネル状況が変化した場合など、定期的にリフレッシュされる場合がある。
【0053】
各クライアント局26に伝送される信号(またはベクトル)は、対応する多重化マトリックスWにより多重化される場合がある。各クライアント局26に対する多重化マトリックスWは、一般的に、他のクライアント局26の多重化マトリックスとは異なる。多重化マトリックスWは、典型的に、AP14とクライアント局26のうちのそれぞれのクライアント局との間のチャネル状況の関数である。様々なクライアント局26に対応する操作された信号ベクトルは、SDTウィンドウの間にAP14により組み合わされて(例えば、追加されて)同時に伝送される。SDTデータを受信するクライアント局26は、以下に詳細を説明するように、SDTウィンドウの後半部分の間に割り当てられた時間スロットの間に確認応答(ACK)を伝送する。
【0054】
各クライアント局26は、クライアント局26を意図する信号と、他のクライアント局26を意図する信号とを、チャネルにより変換されると受信する。多重化マトリックスWは、干渉回避および/または信号対干渉および騒音比(SINR)のバランシングに基づいて構成され得る。干渉回避は、クライアント局26に到着する望ましくない信号エネルギー量を最小にしようとする。最良の場合、干渉回避は、特定のクライアント局26を意図する信号が望ましいクライアント局だけに到着することを確実にする。
【0055】
干渉回避に加えて、信号対干渉および騒音比(SINR)のバランシングは、AP14により実施され得る。SINRのバランシングには、対応されたクライアント局26で観察されるSINRを積極的に管理するように多重化マトリックスを設計するステップが関与する。例えば、1つのSINRバランシング手法は、対応されるクライアント局26全体で最小SINR
が高まるように、SINRを高めるステップを含む場合がある。
【0056】
一実施形態による、OFDMの単一トーンの伝送信号モデルは、以下の式で表され、
【数5】
式中、sは、1つのトーンに対する伝送信号ベクトル、Nは同時に対応されるユーザの数、xiはi番目のユーザを意図する情報ベクトル(Tix1、Ti≦Pi)、Wiはi番目のユーザの多重化マトリックス(MxTi)、MはAP14の伝送アンテナの数、およびPiはi番目のクライアント局26の受信アンテナの数である。
Tiは、i番目のユーザの多重化マトリックスの列数である。伝送信号モデルは、他のOFDMトーンに拡張する。さらに、直交OFDM多重アクセス(OFDMA)のような、他の変調スキームおよび/またはOFDMの変形が使用され得る。
【0057】
あくまでも例であるが、AP14は、AP14とそれぞれのクライアント局26との間のチャネル状況に基づいて、クライアント局26の各々に対して多重化マトリックスWを決定する。OFDM信号のk個のトーンの各々に対するチャネル状況は、表1に示されるような場合がある。
【表1】
【数6】
は、第1のクライアント局26の第1のトーンに対するチャネルを表し、
【数7】
は、第1のクライント局26の第2のトーンに対するチャネルを表す、などとなる。第1のクライアント局26により受信されるトーンは
【数8】
となる。多重化マトリックスWは、第1のクライアント局26が、
【数9】
を受信できるように、そして第1のクライアント局26に対するヌル空間に残りの信号
x2、
x3、…、
xNを持たせるように、選択され得る。したがって、信号干渉手法を使用する場合、多重化マトリックスWの値は、
【数10】
となるように選択される。つまり、多重化マトリックスWは、第1のクライアント局26でヌルが作成されるように、これらのOFDMトーンに対して位相と振幅を調整する。このように、第1のクライアント局26は、他のクライアント局26を意図する他の信号
x2、
x3、…、
xNからの干渉を受けることなく、意図された信号
x1を受信することができる。
【0058】
AP14が利用可能な電力は、典型的には制約される。複数のクライアント局26に同時に対応する場合、AP14が利用可能な電力が、複数のクライアント局26全体に割り当てられる場合がある。これは、つまり、クライアント局26の各々で観察されるSINRに影響を与える。SDTは、クライアント局26全体での柔軟な電力管理により最適に機能する傾向がある。例えば、低データ速度要件のクライアント局26は、AP14により割り当てられる電力が少ない場合がある。例えば、電力は、受信状態が確実であることの可能性が高いクライアント局26にだけ割り当てられる場合がある(伝送電力を無駄にしないように)。電力は、対応する多重化マトリックスW
の中で、および/または他の振幅調整方法を使用した後
で、調整され得る。
【0059】
独立したデータは、複数群のクライアント局26(群の間は独立)に同時にマルチキャストされ得る。SDTは、データ集積
の実行に加えて実行され得る。AP14から伝送されるフレームは、サブフレームに分割され得る。従来、各サブフレームは、単一のクライアント局26または一群のクライアント局26に対応する。SDTによって、各サブフレームは、クライアント局26または複数群のクライアント局26に独立した情報を伝達し得る。
【0060】
ここで
図2および3を参照すると、例示的な従来のウィンドウとAP14により使用されるSDTウィンドウが示される。AP14は、レガシーウィンドウ50、52の間にレガシークライアント局26へ/からデータを伝送または受信することができる。例えば、レガシーウィンドウ50、52はCSMAウィンドウの場合がある。SDTウィンドウ54の間、AP14は、SDTデータ60を複数のクライアント局26に伝送してから、クライアント局26から確認応答を受信する。SDTウィンドウ54の間、他のネットワークデバイスはデータを伝送することができない。既存のWLAN仕様により提供されるMAC機構を使用して、レガシークライアント局によりSDTウィンドウ54に十分な時間が割り当てられ得る。
【0061】
図3においては、ダウンリンクSDTデータ60の後に、SDTウィンドウ54の間にデータを受信したSDT対応のクライアント局26からの確認応答(ACK)62−1、62−2、…、62−X(集合的にACK62)の期間が続く場合がある。ACK62は、固定スケジュールに基づいて(例えば、時間スロットベースの手法を使用して)SDTデータの後に伝送され得る。時間スロットの割り当ては、AP14により実施され得る。例えば、時間スロットの割り当てに基づいたタイミングデータが、SDTダウンリンクフレームでクライアント局26に伝送される場合がある。しかしながら、ACKのための時間の割り当ては、他の手法を使用して、および/または他の時間に分散され得る。
【0062】
ここで
図4Aおよび4Bを参照すると、AP14の伝送パス100が示される。伝送パス100は、R個のクライアント局26を意図するR個の独立したビットストリームを受信するエンコーダモジュール110−1、110−2、…、110−R(集合的にエンコーダモジュール110)を含む。エンコーダモジュール110は、エンコードしたビットストリームを、空間マッピングを実施する空間マッピングモジュール114−1、114−2、…、114−R(集合的に空間マッピングモジュール114)に出力する。
【0063】
空間マッピングモジュール114の出力は、QAMおよびシリアル‐パラレル(S/P)変換を実施する、直交振幅変調(QAM)マッピングモジュール116−11、116−12、…、116−RM(集合的にQAMマッピングモジュール116)に入力される。QAMマッピングモジュール116は、多重化マトリックスモジュール118−1、118−2、…、118−R(集合的に多重化マトリックスモジュール118)へ入力されるOFDMトーンを出力する。多重化マトリックスモジュール118は、本明細書に説明するように、多重化マトリックスWによりOFDMトーンを多重化する。
【0064】
多重化マトリックスモジュール188の出力は、逆高速フーリエ変換(IFFT)モジュール120−11、120−12、…、120‐RM(集合的にIFFTモジュール120)に入力される。IFFTモジュール120の出力は、パラレル‐シリアル(P/S)変換機能およびサイクリックプレフィックスモジュール124−11、124−12、…、124−RM(集合的にP/SおよびCPモジュール124)に入力される。P/SおよびCPモジュール124の出力は、デジタル‐アナログ変換機能(DAC)128−11、128−12、…、128−RM(集合的にDAC128)に入力される。加算モジュール132−1、132−2、…、132−Mは、データストリームの各々に対して対応するDAC128出力を加算し、加算を伝送器134−1、134−2、…、134−Mおよび関連するアンテナに出力する。
【0065】
図4Bにおいては、AP14の伝送パス100により実施される方法200が示される。方法は、ステップ202から開始し、ステップ203に進む。ステップ203では、AP14は、SDT期間中は伝送しないようにレガシークライアント局に指示することにより、クリアなチャネルを予約することができる。ステップ204では、AP14は、SDT対応クライアント局のACKタイミングスロットデータを追加することができる。
【0066】
ステップ206では、伝送パス100は、様々なクライアント局のために複数の独立したデータストリームをエンコードする。ステップ208では、複数のデータストリーム上で空間マッピングが実施される。ステップ210では、複数のデータストリーム上で直交振幅変調が実施される。ステップ212では、複数のデータストリームにSDT多重化マトリックスWが適用される。ステップ214では、複数のデータストリーム上で逆高速フーリエ変換(IFFT)が実施される。ステップ216では、複数のデータストリームは、デジタルからアナログ形式に変換される。複数のデータストリームは、ステップ218で加算され、ステップ220で同時に伝送される。方法はステップ222で終了する。
【0067】
ここで
図5Aおよび5Bを参照すると、例示的なクライアント局26が示される。クライアント局26は、SDTに対応し、MACモジュール28とPHYモジュール29を含む。MACモジュール28は、ACKタイミングモジュール240とチャネル推定モジュール242とをさらに含む。ACKタイミングモジュール240は、上記のように、AP14から確認応答タイミングスロットを受信する。ACKタイミングモジュール240は、SDTデータを受信後、ACKを伝送するタイミングを決定する。
【0068】
図5Bでは、
図5Aのクライアント局26により実施される方法が示される。方法260はステップ262から開始する。ステップ264では、クライアント局26は、SDT
ウィンドウであるかどうかを決定する。
SDTウィンドウでない場合、ステップ266で
レガシーオペレーションが実施され、方法はステップ264に戻る。ステップ264が真の場合、ステップ270でACKタイマーが開始する。ステップ272では、SDTデータ60を受信する。ステップ274では、方法はACKタイマーが時間切れかどうか(つまり、タイマーが終了点に到達したかどうか)を決定する。時間切れでない場合、コントロールはステップ274に戻る。ステップ274が真の場合、コントロールはステップ276に続き、ACKをAP14に伝送する。
【0069】
ここで
図6Aおよび6Bを参照すると、例示的なAP14が示される。AP14は、説明したように、MACモジュール18とPHYモジュール20とを含む。MACモジュール18は、SDT対応のクライアント局26からCSIを受信する制御モジュール300を含む。クライアント局26は、従来の方法でCSIを生成し得る。CSIは、トーンの各々に対するチャネル状態情報を含むことができる。制御モジュール300は、CSIをSDT多重化マトリックス調整モジュール304に出力し、このモジュール304は、トーンのSDT多重化マトリックス308を調整する。
【0070】
AP14は、SDTデータをパケット、フレーム、および/またはサブフレームに選択的に集積するデータ集積モジュール307をさらに含む場合がある。AP14により伝送されたSDTデータは、データ集積モジュール307によりサブフレームに
集積され得る。従来、各サブフレームは、単一のクライアント局および/または一群のクライアント局に対応する。SDTによって、各サブフレームは、クライアント局または複数群のクライアント局に独立した情報を伝えることができる。
【0071】
AP14は、クライアント局26からのACKに時間スロットを割り当てる時間スロット割り当てモジュール309をさらに含む場合がある。一部の実施形態においては、時間スロット割り当てモジュール309は、各クライアント局26のSDTデータに時間割り当てデータを挿入する。
【0072】
図6Bにおいては、
図6AのAP14により実施される方法320が示される。方法は、ステップ322から開始し、ステップ324に進み、ここで、AP14は、クライアント局のうちの1つから新しいCSIを受信したかどうかを決定する。ステップ324が偽である場合、コントロールはステップ324に戻る。ステップ324が真である場合、ステップ326で、SDTマトリックス調整モジュール304がSDT多重化マトリックス308を調整する。コントロールはステップ328で終了する。
【0073】
図7Aと7Bにおいては、本開示に従う例示的なAP14が示される。AP14は、MACモジュール18とPHYモジュール20を含む。MACモジュール18は、チャネル推定モジュール340を含む。チャネル推定モジュール340は、クライアント局26のCSIを推定する。チャネル推定モジュール340は、CSIをSDT多重化マトリックス調整モジュール304に出力し、このモジュール304は、特定のクライアント局26のSDT多重化マトリックス308を調整する。
【0074】
図7Bにおいては、
図7AのAP14により実施される方法360が示される。方法は、ステップ362から開始し、ステップ364に進み、ここで、AP14は、クライアント局26の新しいCSIが推定されたかどうかを判断する。ステップ364が偽である場合、コントロールはステップ364に戻る。ステップ364が真である場合、ステップ366で、SDT多重化マトリックス調整モジュール304がSDT多重化マトリックス308を調整する。コントロールはステップ368で終了する。
【0075】
ネットワークインターフェースは、IEEE基準802.11、802.11a、802.11b、802.11g、802.11h、802.11n、802.16および/または802.20等、その他IEEE基準、および/またはBluetooth(登録商標)に準拠し、これらは参照により全体が本明細書に組み入れられる。
【0076】
本開示は、複数のクライアント局へ独立したデータストリームを同時に伝送することによりスループットを向上させる。本開示は、APでの複数のアンテナを使用してSDTを実現する。APは、多様な条件(干渉回避、SINRバランシングまたは他の手法)を考慮してマルチユーザスループットを改善する場合がある。APは、スループットにおける最大利得を追求するために、電力割り当てとSDTを組み合わせる場合がある。また、本開示は、マルチキャストを備えるSDTとデータ集積を組み合わせる場合もある。レガシーデバイスが伝送することを禁じられた予約時間は、ネットワークでSDTが実施される間に使用され得る。予約時間間隔は、SDTデータのダウンリンクのための時間と受信しているクライアント局からのアップリンクACKの時間に分割され得る。
【0077】
図8A〜
図8Eを参照すると、本開示の教示を組み込んだ種々の例示的な実現形態が示される。
図8Aを参照すると、本開示の教示は、高精細度テレビ(HDTV)937の無線ネットワークインターフェースにおいて実現することができる。HDTV937は、HDTV制御モジュール938、画面939、電力供給装置940、メモリ941、記憶装置942、ネットワークインターフェース943、および外部インターフェース945を含む。ネットワークインターフェース943が無線ローカルエリアネットワークインターフェースを含む場合、アンテナ(図示せず)が含まれ得る。
【0078】
HDTV937は、ネットワークインターフェース943および/または外部インターフェース945から入力信号を受信することができ、これはケーブル、ブロードバンドインターネット、および/または衛星を介して送信および受信することができる。HDTV制御モジュール938は、エンコーディング、デコーディング、フィルタリング、および/またはフォーマッティングを含む信号を処理し、出力信号を生成し得る。出力信号は、画面939、メモリ941、記憶装置942、ネットワークインターフェース943、および外部インターフェース945のうちの1つ以上に伝達され得る。
【0079】
メモリ941は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、フラッシュメモリ(NANDおよびNORフラッシュメモリを含む)、相変化メモリ、磁気RAM、および各メモリセルが2つ以上のステートを有するマルチステートメモリ等の任意の適切な種類の半導体メモリまたはソリッドステートメモリを含み得る。記憶装置942は、DVDドライブ等の光学記憶ドライブ、および/またはハードディスクドライブ(HDD)を含み得る。HDTV制御モジュール938は、ネットワークインターフェース943および/または外部インターフェース945を介して外部と通信する。電力供給装置940は、HDTV937の構成要素に電力を提供する。
【0080】
図8Bを参照すると、本開示の教示は、車両946の無線ネットワークインターフェースにおいて実現され得る。車両946は、車両制御システム947、電力供給装置948、メモリ949、記憶装置950、およびネットワークインターフェース952を含み得る。ネットワークインターフェース952が無線ローカルエリアネットワークインターフェースを含む場合、アンテナ(図示せず)が含まれ得る。車両制御システム947は、パワートレイン制御システム、車体制御システム、エンターテイメント制御システム、アンチロックブレーキングシステム(ABS)、ナビゲーションシステム、テレマティックスシステム、車線逸脱システム、適応走行制御システム等であってもよい。
【0081】
車両制御システム947は、1つ以上のセンサ954と通信し、1つ以上の出力信号956を出力し得る。センサ954は、温度センサ、加速度センサ、圧力センサ、回転センサ、気流センサ等を含み得る。出力信号956は、エンジン操作パラメータ、トランスミッション操作パラメータ、サスペンションパラメータ、ブレーキパラメータ等を制御し得る。
【0082】
電力供給装置948は、車両946の構成要素に電力を提供する。車両制御システム947は、データをメモリ949および/または記憶装置950に記憶し得る。メモリ949は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、フラッシュメモリ(NANDおよびNORフラッシュメモリを含む)、相変化メモリ、磁気RAM、および各メモリセルが2つ以上のステートを有するマルチステートメモリ等の任意の適切な種類の半導体メモリまたはソリッドステートメモリを含み得る。記憶装置950は、DVDドライブ等の光学記憶ドライブ、および/またはハードディスクドライブ(HDD)を含み得る。車両制御システム947は、ネットワークインターフェース952を使用して外部と通信し得る。
【0083】
図8Cを参照すると、本開示の教示は、携帯電話958の無線ネットワークインターフェースにおいて実現されることができる。携帯電話958は、電話制御モジュール960、電力供給装置962、メモリ964、記憶装置966、およびセルラーネットワークインターフェース967を含む。携帯電話958は、ネットワークインターフェース968、マイク970、スピーカおよび/または出力ジャック等の音声出力972、画面974およびキーパッドおよび/またはポインティングデバイス等のユーザ入力デバイス976を含み得る。ネットワークインターフェース968が無線ローカルエリアネットワークインターフェースを含む場合、アンテナ(図示せず)が含まれ得る。
【0084】
電話制御モジュール960は、セルラーネットワークインターフェース967、ネットワークインターフェース968、マイク970、および/またはユーザ入力デバイス976から入力信号を受信し得る。電話制御モジュール960は、エンコーディング、デコーディング、フィルタリング、および/またはフォーマッティングを含む信号を処理し、出力信号を生成し得る。出力信号は、メモリ964、記憶装置966、セルラーネットワークインターフェース967、ネットワークインターフェース968、音声出力972のうちの1つ以上に伝達され得る。
【0085】
メモリ964は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、フラッシュメモリ(NANDおよびNORフラッシュメモリを含む)、相変化メモリ、磁気RAM、および各メモリセルが2つ以上のステートを有するマルチステートメモリ等の任意の適切な種類の半導体メモリまたはソリッドステートメモリを含み得る。記憶装置966は、DVDドライブ等の光学記憶ドライブ、および/またはハードディスクドライブ(HDD)を含み得る。電力供給装置962は、携帯電話958の構成要素に電力を提供する。
【0086】
図8Dを参照すると、本開示の教示は、セットトップボックス978の無線ネットワークインターフェースにおいて実現されることができる。セットトップボックス978は、セットトップ制御モジュール980、画面981、電力供給装置982、メモリ983、記憶装置984、およびネットワークインターフェース985を含む。ネットワークインターフェース985が無線ローカルエリアネットワークインターフェースを含む場合、アンテナ(図示せず)が含まれ得る。
【0087】
セットトップ制御モジュール980は、ネットワークインターフェース985および外部インターフェース987から入力信号を受信してもよく、これはケーブル、ブロードバンドインターネット、および/または衛星を介してデータを送信および受信することができる。セットトップ制御モジュール980は、エンコーディング、デコーディング、フィルタリング、および/またはフォーマッティングを含む、信号の処理を行い、出力信号を生成し得る。出力信号は、標準および/または高解像度方式の音声および/またはビデオ信号を含み得る。出力信号は、ネットワークインターフェース985および/または画面981に伝達され得る。画面981は、テレビ、プロジェクタ、および/またはモニタを含み得る。
【0088】
電力供給装置982は、セットトップボックス978の構成要素に電力を提供する。メモリ983は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、フラッシュメモリ(NANDおよびNORフラッシュメモリを含む)、相変化メモリ、磁気RAM、および各メモリセルが2つ以上のステートを有するマルチステートメモリ等の、任意の適切な種類の半導体メモリまたはソリッドステートメモリを含み得る。記憶装置984は、DVDドライブ等の光学記憶ドライブ、および/またはハードディスクドライブ(HDD)を含み得る。
【0089】
図8Eを参照すると、本開示の教示は、モバイル機器989の無線ネットワークインターフェースにおいて実現することができる。モバイル機器989は、モバイル機器制御モジュール990、電力供給装置991、メモリ992、記憶装置993、ネットワークインターフェース994、および外部インターフェース999を含み得る。ネットワークインターフェース994が、無線ローカルエリアネットワークインターフェースを含む場合、アンテナ(図示せず)を含み得る。
【0090】
モバイル機器制御モジュール990は、ネットワークインターフェース994および/または外部インターフェース999から、入力信号を受信し得る。外部インターフェース999は、USB、赤外線、および/またはイーサネット(登録商標)を含み得る。入力信号は、圧縮音声および/またはビデオを含み得、MP3形式に準拠し得る。また、モバイル機器制御モジュール990は、キーパッド、タッチパッド、または個別ボタン等のユーザ入力996から入力物を受信し得る。モバイル機器制御モジュール990は、エンコーディング、デコーディング、フィルタリング、および/またはフォーマッティングを含む、入力信号の処理を行い、出力信号を生成し得る。
【0091】
モバイル機器制御モジュール990は、音声出力997に音声信号を、画面998にビデオ信号を出力し得る。音声出力997は、スピーカおよび/または出力ジャックを含み得る。画面998は、グラフィカルユーザインターフェースを表示し得、これは、メニュー、アイコン等を含み得る。電力供給装置991は、モバイル機器989の構成要素に電力を提供する。メモリ992は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または不揮発性メモリを含み得る。
【0092】
不揮発性メモリは、フラッシュメモリ(NANDおよびNORフラッシュメモリを含む)、相変化メモリ、磁気RAM、および各メモリセルが2つ以上のステートを有するマルチステートメモリ等の、任意の適切な種類の半導体メモリまたはソリッドステートメモリを含み得る。記憶装置993は、DVDドライブ等の光学記憶ドライブ、および/またはハードディスクドライブ(HDD)を含み得る。モバイル機器は、携帯情報端末、メディアプレイヤー、ノートパソコン、ゲーム機、または他のモバイルコンピュータデバイスを含み得る。
【0093】
当業者は、前述の説明から、本開示の広範囲な教示が種々の形式で実現されることが可能であることを理解することができる。したがって、本開示は特定の実施例を含むが、他の変形例が図面、明細書、および以下の請求項により明白となるため、本開示の真の範囲は限定されるべきでない。
[項目1]
R個の独立したデータストリームを受信するステップと、
前記R個の独立したデータストリームを変調するステップと、
M個の変調かつ多重化されたデータストリームをそれぞれ生成するように多重化マトリックスを適用するステップであって、RおよびMは1より大きい整数である、ステップと、
M個の伝送データストリームを生成するように、前記M個の変調かつ多重化されたデータストリームの各々の部分を加算するステップと、
同時ダウンリンク伝送期間(SDT期間)中、前記M個の伝送データストリームを同時に伝送するステップと、を含む。
[項目2]
前記M個のデータストリームをR個のクライアント局へ同時に伝送するステップをさらに含む。
[項目3]
前記M個の伝送データストリームのうちの第1の伝送データストリームを、少なくとも2つのクライアント局に伝送し、前記M個の伝送データストリームのうちの第2の伝送データストリームを、少なくとも1つのクライアント局に伝送するステップをさらに含む。
[項目4]
前記SDT期間のR個の割り当てられた時間スロット中に、前記R個のクライアント局から、R個の確認応答(ACK)を受信するステップをさらに含む。
[項目5]
前記R個の独立したデータストリームのうちの1つの空間マッピングを実施してM個の空間データストリームを生成するステップと、
前記M個の空間データストリームのうちのそれぞれを受信してM組のトーンを出力するステップと、
前記多重化マトリックスを前記M組のトーンに適用するステップと、
逆高速フーリエ変換を実施するステップと、を含む。
[項目6]
前記M個の変調マッピングモジュールの各々は、直交振幅変調(QAM)モジュールを含む。
[項目7]
無線ネットワークデバイスと前記R個のクライアント局の各々との間のチャネル状況に基づいてそれぞれの多重化マトリックスを生成するステップをさらに含む。
[項目8]
前記R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、前記R個のクライアント局のうちの残りのクライアント局に対して伝送される信号の信号エネルギーを最小にすることによって決定するステップをさらに含む。
[項目9]
前記R個のクライアント局のうちの1つに対する多重化マトリックスを、前記R個のクライアント局に対する最小の信号対干渉および騒音比を最大にすることによって決定するステップをさらに含む。
[項目10]
前記R個のクライアント局の信号対干渉および騒音比(SIHNR)に基づいて前記多重化マトリックスを決定するステップをさらに含む。
[項目11]
前記M個の伝送データストリームのトーンに対する振幅と位相のうちの少なくとも1つを調整するステップをさらに含む。
[項目12]
以下の式に基づいて伝送信号ベクトルsを伝送するステップをさらに含み、
【数12】
式中、xiはi番目のクライアント局を意図とする情報ベクトル、Wiはi番目のクライアント局のための多重化マトリックス、Nはクライアント局の個数である。
[項目13]
前記R個のクライアント局からチャネル状態情報(CSI)を受信するステップをさらに含む。
[項目14]
前記R個のクライアント局から受信される信号に基づいてチャネル状態情報を推定するステップをさらに含む。
[項目15]
前記R個の独立したデータストリームは、サブフレーム、フレーム、またはパケットとして配置される。