(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行機体に連結機構により取付枠を連結し、該取付枠に本体枠を設け、該本体枠に機枠を設け、該機枠に圃場面に溝切り可能な溝切体を設け、該機枠に溝切体の進行方向後方位置の圃場土を掬い取って側方に排出可能なすき部材を設けてなり、上記取付枠と上記本体枠との間に上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させる移動機構を設け、上記移動機構として、上記取付枠にラック歯体を取り付け、上記本体枠に移動用歯車及び上記移動用歯車を回転駆動する移動用モータを取り付け、該移動用モータを正逆回転して上記移動用歯車と上記ラック歯体との歯合により上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成し、該本体枠と該機枠との間に該機枠を該走行機体に対して水平旋回自在に連結する枢着機構を設け、該機枠の無負荷時姿勢を走行機体の進行方向に保持可能な姿勢保持機構を設けてなることを特徴とする圃場溝掘機。
走行機体に連結機構により取付枠を連結し、該取付枠に本体枠を設け、該本体枠に機枠を設け、該機枠に圃場面に溝切り可能な溝切体を設け、該機枠に溝切体の進行方向後方位置の圃場土を掬い取って側方に排出可能なすき部材を設けてなり、上記取付枠と上記本体枠との間に上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させる移動機構を設け、上記移動機構として、上記取付枠に移動用ねじ軸及び該移動用ねじ軸を回転駆動する移動用モータを取り付け、上記本体枠に移動用ナット体を配設し、該移動用モータを正逆回転して該移動用ねじ軸と該移動用ナット体との螺合により上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成し、該本体枠と該機枠との間に該機枠を該走行機体に対して水平旋回自在に連結する枢着機構を設け、該機枠の無負荷時姿勢を走行機体の進行方向に保持可能な姿勢保持機構を設けてなることを特徴とする圃場溝掘機。
上記姿勢保持機構として、上記本体枠と上記機枠との間に上記機枠の無負荷時姿勢を走行機体の進行方向に保持可能な左右一対の姿勢保持用バネを架設してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圃場溝掘機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、上記圃場面の略全面に亘って走行機体を回り走行し、溝切体及びすき部材により溝掘作業を行うに際し、溝切体及びすき部材は走行機体に一体に配設されているから、例えば、水田の圃場面の内周角部近接位置においては、走行機体を舵取走行してそのまま折曲変向走行することができず、内周角部に至る手前位置において、一旦、走行機体を停止し、連結機構により溝切体及びすき部材を圃場面から上昇離反し、この状態で走行機体を舵取走行して折曲変向し、変向後、連結機構により溝切体及びすき部材を圃場面に下降接触し、引き続き、走行機体を走行して溝切体及びすき部材により溝掘作業を行うことになり、このため、溝掘作業能率が低下すると共に溝掘りされた溝は連続的に形成されず、水はけ機能が低下することがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により取付枠を連結し、該取付枠に本体枠を設け、該本体枠に機枠を設け、該機枠に圃場面に溝切り可能な溝切体を設け、該機枠に溝切体の進行方向後方位置の圃場土を掬い取って側方に排出可能なすき部材を設けてなり、上記取付枠と上記本体枠との間に上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させる移動機構を設け
、上記移動機構として、上記取付枠にラック歯体を取り付け、上記本体枠に移動用歯車及び上記移動用歯車を回転駆動する移動用モータを取り付け、該移動用モータを正逆回転して上記移動用歯車と上記ラック歯体との歯合により上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成し、該本体枠と該機枠との間に該機枠を該走行機体に対して水平旋回自在に連結する枢着機構を設け、該機枠の無負荷時姿勢を走行機体の進行方向に保持可能な姿勢保持機構を設けてなることを特徴とする圃場溝掘機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、
走行機体に連結機構により取付枠を連結し、該取付枠に本体枠を設け、該本体枠に機枠を設け、該機枠に圃場面に溝切り可能な溝切体を設け、該機枠に溝切体の進行方向後方位置の圃場土を掬い取って側方に排出可能なすき部材を設けてなり、上記取付枠と上記本体枠との間に上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させる移動機構を設け、上記移動機構として、上記取付枠に移動用ねじ軸及び該移動用ねじ軸を回転駆動する移動用モータを取り付け、上記本体枠に移動用ナット体を配設し、該移動用モータを正逆回転して該移動用ねじ軸と該移動用ナット体との螺合により上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成し、該本体枠と該機枠との間に該機枠を該走行機体に対して水平旋回自在に連結する枢着機構を設け、該機枠の無負荷時姿勢を走行機体の進行方向に保持可能な姿勢保持機構を設けてなることを特徴とする圃場溝掘機にある。
【0007】
又、請求項
3記載の発明は、上記枢着機構として、上記本体枠と上記機枠とを水平旋回自在に連結する旋回縦軸を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項
4記載の発明は、上記姿勢保持機構として、上記本体枠と上記機枠との間に上記機枠の無負荷時姿勢を走行機体の進行方向に保持可能な左右一対の姿勢保持用バネを架設してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体の走行により取付枠、本体枠及び機枠は牽引走行され、機枠に設けられた溝切体の下部及びすき部材の下部は圃場面内に穿入しつつ走行し、この走行機体の走行により溝切体は回転しつつ進行して圃場面に条溝を切り、そして、溝切りされた土壌はその後方のすき部材により削取されて側方に排出され、この結果、圃場に溝を掘る溝掘作業が行われることになり、この際、上記取付枠と上記本体枠との間に機枠を走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させる移動機構を設け、本体枠と機枠との間に機枠を走行機体に対して水平旋回自在に連結する枢着機構を設けてなるから、走行機体を舵取運転して走行機体の進行方向を折曲変向しても、機枠は枢着機構により水平旋回しながら走行機体に牽引され、従って、圃場面の内周角部に隣接する領域においても、走行機体を停止したり、停止状態において、溝切体及びすき部材を上昇及び下降動作させたりすることなく、走行機体を連続的に回り走行して連続的に溝掘作業を行うことができ、それだけ、溝掘作業能率を向上することができると共に、溝掘りされた溝は連続的に形成され、水はけ機能の良好な溝を形成することができ、かつ、上記移動機構によって機枠を水田の畦部の近くに接近移動させることができ、畦部に接近した位置及び圃場面の内周角部近傍に沿って枢着機構により旋回しながら溝掘作業を行うことができ、これにより、畦部近傍位置及び圃場面の内周角部近傍において、水はけ機能の良好な溝を形成することができ、更に、上記機枠の無負荷時姿勢を走行機体の直進方向に保持可能な姿勢保持機構を配設してなるから、非溝掘作業状態等における機枠の無負荷時姿勢を直進方向に保持することができ、例えば、機枠を圃場面から離反上昇して機枠が自由状態のとき、上記機枠の直進方向としての中央位置を境とする不測の左右方向の振れ回りを抑制することができ、安全性を高めることができ
、上記移動機構として、上記取付枠にラック歯体を取り付け、上記本体枠に移動用歯車及び上記移動用歯車を回転駆動する移動用モータを取り付け、上記移動用モータを正逆回転して上記作動用歯車と上記ラック歯体との歯合により上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成してなるから、移動用モータの正逆回動及びラック歯体と移動用歯車との噛み合いにより機枠を円滑に移動させることができると共に構造を簡素化することができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、
走行機体の走行により取付枠、本体枠及び機枠は牽引走行され、機枠に設けられた溝切体の下部及びすき部材の下部は圃場面内に穿入しつつ走行し、この走行機体の走行により溝切体は回転しつつ進行して圃場面に条溝を切り、そして、溝切りされた土壌はその後方のすき部材により削取されて側方に排出され、この結果、圃場に溝を掘る溝掘作業が行われることになり、この際、上記取付枠と上記本体枠との間に機枠を走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させる移動機構を設け、本体枠と機枠との間に機枠を走行機体に対して水平旋回自在に連結する枢着機構を設けてなるから、走行機体を舵取運転して走行機体の進行方向を折曲変向しても、機枠は枢着機構により水平旋回しながら走行機体に牽引され、従って、圃場面の内周角部に隣接する領域においても、走行機体を停止したり、停止状態において、溝切体及びすき部材を上昇及び下降動作させたりすることなく、走行機体を連続的に回り走行して連続的に溝掘作業を行うことができ、それだけ、溝掘作業能率を向上することができると共に、溝掘りされた溝は連続的に形成され、水はけ機能の良好な溝を形成することができ、かつ、上記移動機構によって機枠を水田の畦部の近くに接近移動させることができ、畦部に接近した位置及び圃場面の内周角部近傍に沿って枢着機構により旋回しながら溝掘作業を行うことができ、これにより、畦部近傍位置及び圃場面の内周角部近傍において、水はけ機能の良好な溝を形成することができ、更に、上記機枠の無負荷時姿勢を走行機体の直進方向に保持可能な姿勢保持機構を配設してなるから、非溝掘作業状態等における機枠の無負荷時姿勢を直進方向に保持することができ、例えば、機枠を圃場面から離反上昇して機枠が自由状態のとき、上記機枠の直進方向としての中央位置を境とする不測の左右方向の振れ回りを抑制することができ、安全性を高めることができ、上記移動機構として、上記取付枠に移動用ねじ軸及び移動用ねじ軸を回転駆動する移動用モータを取り付け、上記本体枠に移動用ナット体を配設し、移動用モータを正逆回転して移動用ねじ軸と移動用ナット体との螺合により上記機枠を上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成してなるから、移動用モータの正逆回動及び移動用ねじ軸と移動用ナット体との螺合により機枠を円滑に移動させることができると共に構造を簡素化することができる。
【0010】
又、請求項
3記載の発明にあっては、上記枢着機構として、上記本体枠と上記機枠とを水平旋回自在に連結する旋回縦軸を備えてなるから、本体枠と機枠との連結を容易に行うことができると共に構造を簡素化することができ、又、請求項
4記載の発明にあっては、上記姿勢保持機構として、上記取付枠と上記機枠との間に左右一対の姿勢保持用バネを架設してなるから、姿勢保持機構の構造を簡素化することができると共に、機枠が左右方向に振れ回りをしたとき、左右一対の姿勢保持用バネのいずれか一方の姿勢保持用バネが上記機枠の姿勢を上記走行機体の進行方向に強制的に復元旋回させることになり、枢着機構の存在による上記機枠の不測の左右方向の振れ回りを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図9の第一形態例において、1は走行機体、この場合トラクタであって、走行機体1の後部には連結機構2により取付枠3が連結され、この取付枠3と連設して本体枠4が設けられ、この本体枠4に機枠5が枢着機構6により水平旋回自在に連結されている。
【0014】
この場合、
図1、
図2の如く、上記連結機構2は、上記走行機体1の後部に左右の下部リンク2a・2a、上部リンク2b・2b、吊上リンク2c・2c及び油圧アーム2d・2dからなる三点リンク機構が設けられ、この三点リンク機構により走行機体1に取付枠3を連結し、三点リンク機構の油圧アーム2d・2dの上下揺動により取付枠3を上下動自在に設けて構成している。
【0015】
この場合、取付枠3と本体枠4との間に移動案内機構7が設けられ、本体枠4は移動案内機構7により走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向に移動案内可能に設けられ、この移動案内された本体枠4及び機枠5を走行機体1の進行方向に交差する左右方向に移動させる移動機構8が設けられている。
【0016】
この場合、
図4の如く、上記移動案内機構7として、上記取付枠3を上下のガイド杆3a・3a及び左右の縦杆3b・3bからなる四角枠状に形成し、本体枠4と上下のガイド杆3a・3aとの間に左右二個ずつ対をなしてガイドロール7a・7aが配設され、このガイドロール7a・7aとガイド杆3a・3aとのスライド嵌合により本体枠4を左右方向に移動自在に設けている。
【0017】
又、この場合、上記移動機構8として、
図2、
図4の如く、上記本体枠4に移動用モータ8aを取り付けると共に、移動用モータ8aの主軸に移動用歯車8bを取り付け、この移動用歯車8bと歯合するラック歯体8cを取付枠3の上側のガイド杆3aに取り付け固定し、移動用モータ8aを正逆回転して移動用歯車8bとラック歯体8cとの歯合により本体枠4を左右方向に移動させるように構成している。
【0018】
又、この場合、
図2、
図3、
図7、
図8の如く、上記枢着機構6として、上記本体枠4の進行方向後部に二股状の雌連結片6aを取り付け、上記機枠5の進行方向前部に雄連結片6bを形成し、雌連結片6aに雄連結片6bを嵌合し、雌連結片6aと雄連結片6bとの間に上記本体枠4と上記機枠5とを水平旋回自在に連結する旋回縦軸6cを縦設して構成している。
【0019】
9・10は一対の溝切体であって、この場合、
図2、
図5の如く、外周部に数個の刃部9a・10aを切欠して有し、上記機枠5は支持機枠5a及び作業機枠5bからなり、作業機枠5bの下端部に車筒11を取り付け、車筒11に車軸12を回転自在に軸支し、車軸12の左右両端部に圃場面Mに溝切り可能な一対の溝切体9・10を所定間隔をおいて取り付け、走行機体1の走行により溝切体9・10は連れ回り回転しつつ進行して圃場面Mに二条の条溝Rを溝切りするように構成している。
【0020】
13はすき部材であって、この場合、
図2、
図3の如く、すき部材13の先端部幅は溝切体9・10間の幅と略同幅に形成され、すき部材13の先端部は先細削取部13aに形成されると共に後部は削取土を側方に排出するようにひねった排出部13bに形成され、上記作業機枠5bの下部にU字状に形成された取付アーム14の先端部を支持軸15により枢着し、作業機枠5bの上部にピン16によりナット体17を枢着すると共に回動自在に設け、ナット体17に螺子棒18を螺着し、ハンドル19の回動によりナット体17を回動して螺子棒18を上下動自在に設け、取付アーム14の中程部に螺子棒18の下端部をピン20により枢着し、取付アーム14にすき部材13がボルト21により取り付けて構成され、ハンドル19の正逆回動によりすき部材13を位置調整自在に設け、走行機体1の走行により溝切体9・10により二条に溝切りされた間の土壌は後方のすき部材13により削取されて側方に排出するように構成している。
【0021】
22は安定部材であって、この場合、
図2、
図3の如く、圃場面Mに当接可能な当接板面22a及び掘り取られた溝Wの内側面W
1に当接可能な側当接板面22bからなる左右一対のアングル材状に形成され、上記取付アーム14の後面に支持片23を突設し、安定部材22に連結片24を形成し、支持片23と連結片24とを連結ピン25により連結し、これにより安定部材22を取付アーム14に若干揺動自在に取り付けている。
【0022】
26は前処理部材、27は駆動機構であって、この場合、
図2、
図4、
図6の如く、上記本体枠4に上回転軸28及び下回転軸29を横架し、上回転軸28と下回転軸29とを歯車機構30により駆動連結し、走行機体1であるトラクタの動力取出軸1aと上回転軸28とを自在継手31により連結し、下回転軸29に取付円盤26aを取り付け、取付円盤26aに放射状に複数個、この場合三個の排出部材26b・26b・26bをそれぞれボルト26cにより取り付け、取付枠3にカバー部材32を取り付けて構成したものである。
【0023】
33は姿勢保持機構であって、非溝掘作業状態における上記機枠5の無負荷時姿勢を上記走行機体1の進行方向に保持可能に構成され、この場合、
図2、
図3の如く、上記姿勢保持機構33として、上記本体枠4と上記機枠5との間に上記機枠5の無負荷時姿勢を
図3に示す上記走行機体1の進行方向に保持可能な左右一対の姿勢保持用バネ33a・33aを架設して構成している。
【0024】
34は重錘であって、この場合、
図2、
図3の如く、上記機枠5に着脱掛合自在に二個設けられている。
【0025】
35は位置固定機構であって、上記本体枠4にピン35aにより板状の固定部材35bを正逆角度回転自在に取り付け、上記機枠5に固定部材35bが着脱自在に嵌着可能な固定部材35bの板幅と略同溝幅寸法の凹溝状の嵌着溝35cを形成し、
図2の想像線位置の如く、固定部材35bをピン35aを中心として進行方向後方に向けて回転して嵌着溝35cに固定部材35bを嵌着することにより機枠5を位置固定して機枠5の水平旋回を阻止し、又は、
図2の破線位置の如く、固定部材35bをピン35aを中心として進行方向後方に向けて逆転して嵌着溝35cから固定部材35bを離脱して機枠5の水平旋回を許容し、これにより上記機枠5の水平旋回を選択的に許容又は阻止可能に構成している。
【0026】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、
図9の如く、走行機体1の走行により取付枠3、本体枠4及び機枠5は牽引走行され、機枠5に設けられた溝切体9・10の下部及びすき部材13の下部は圃場面M内に穿入しつつ走行し、この走行機体1の走行により溝切体9・10は連れ回り回転しつつ進行して圃場面Mに二条の条溝Rを切り、そして、この二条に溝切りされた間の土壌はその後方のすき部材13により削取されて側方に排出され、この結果、圃場面Mに溝Wを掘る作業をすることになり、この際、取付枠3と上記本体枠4との間に機枠5を走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向に移動させる移動機構8を設け、本体枠4と機枠5との間に機枠5を走行機体1に対して水平旋回自在に連結する枢着機構6を設けてなるから、
図8の如く、走行機体1を舵取運転して走行機体1の進行方向を折曲変向しても、機枠5は枢着機構6により水平旋回しながら走行機体1に牽引され、従って、圃場面Mの内周角部に隣接する領域においても、走行機体1を停止したり、停止状態において、溝切体9・10及びすき部材13を上昇及び下降動作させたりすることなく、走行機体1を連続的に回り走行して連続的に溝掘作業を行うことができ、それだけ、溝掘作業能率を向上することができると共に、溝掘りされた溝Wは連続的に形成され、水はけ機能の良好な溝Wを形成することができ、かつ、
図7の如く、上記移動機構8によって機枠5を水田の畦部の近くに接近移動させることができ、あるいは、任意の位置に配置することができ、畦部に接近した位置及び圃場面Mの内周角部近傍に沿って枢着機構6により旋回しながら溝掘作業を行うことができ、これにより、畦部近傍位置及び圃場面Mの内周角部近傍において、水はけ機能の良好な溝Wを形成することができる。
【0027】
又、この場合、
図2、
図3、
図4の如く、上記移動機構8として、上記取付枠3の上側のガイド杆3aにラック歯体8cを取り付け、本体枠4に移動用歯車8b及び移動用歯車8bを回転駆動する移動用モータ8aを取り付け、移動用モータ8aを正逆回転して作動用歯車8bとラック歯体8cとの歯合により機枠5を走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成してなるから、ラック歯体8cと移動用歯車8bとの噛み合いによって円滑な作動を行うことができると共に構造を簡素化することができる。
【0028】
又、この場合、
図2、
図3、
図8の如く、上記枢着機構6として、本体枠4と機枠5とを水平旋回自在に連結する旋回縦軸6cを備えてなるから、本体枠4と機枠5との連結を容易に行うことができると共に構造を簡素化することができ、かつ、上記機枠5の無負荷時姿勢を
図3に示す上記走行機体1の直進方向に保持可能な姿勢保持機構33を配設してなるから、非溝掘作業状態等における機枠5の無負荷時姿勢を直進方向に保持することができ、例えば、機枠5を圃場面Mから離反上昇して機枠5が自由状態のとき、上記機枠5の直進方向としての中央位置を境とする不測の左右方向の振れ回りを抑制することができ、安全性を高めることができ、この場合、上記姿勢保持機構33として、上記取付枠3と上記機枠5との間に左右一対の姿勢保持用バネ33a・33aを架設してなるから、姿勢保持機構33の構造を簡素化することができると共に、機枠5が左右方向に振れ回りをしたとき、左右一対の姿勢保持用バネ33a・33aのいずれか一方の姿勢保持用バネ33aが上記機枠5の姿勢を上記走行機体1の進行方向に強制的に復元旋回させることになり、枢着機構6の存在による上記機枠5の不測の左右方向の振れ回りを抑制することができる。
【0029】
尚、上記実施の形態例においては、
図2、
図5、
図6の如く、上記溝切体9・10の進行方向前方位置に上記圃場面Mに散在する藁屑等の圃場散在物Eを側方に排出可能な前処理部材26を回転自在に設け、前処理部材26を回転させる駆動機構27を設けてなるから、圃場面Mに散在する藁屑、株等の圃場散在物Eは前処理部材26により側方に排出され、それだけ溝切体9・10の溝切り抵抗及びすき部材13の溝掘抵抗を軽減することができる。
【0030】
又、この場合、機枠5に重錘34を着脱自在に取り付けているので、すき部材13の溝掘抵抗による機枠5の浮上を抑制することができ、すき部材13による溝掘りを良好に行うことができ、又、この場合、安定部材22の当接板面22aは掘り取られた溝Wに近い圃場面M上に当接しつつ進行するため、すき部材13の高低を安定させることができ、圃場土の状態によってすき部材13が過大に圃場泥土を掬い取って牽引力が増加することを抑制でき、溝Wの深さを一定に保つ作用を得ることになり、安定部材22の当接板面22aはすき部材13の進行方向後方に位置しているから、圃場面M等に散在する藁屑等の圃場散在物Eの絡み付きが少なくなり、さらに安定部材22の側当接板面22bは掘り取られた溝Wの内側面W
lに当接可能なためすき部材13並びに溝切体9・10の横振れを抑えることができ、溝掘り作業を良好に行うことができる。
【0031】
又、この場合、
図2の如く、上記機枠5の水平旋回を選択的に許容又は阻止可能な位置固定機構35を設けてなるから、非溝掘作業状態における上記機枠5の無負荷時姿勢を位置固定することができ、枢着機構6の存在による機枠5の不測の振れ回りを阻止することができ、安全性を高めることができる。
【0032】
図10乃至
図12の第二形態例は移動機構8の別例構造を示し、上記第一形態例と同一態様部分には同符号を付して説明を省略すると、この場合、上記移動機構8として、
図11、
図12の如く、上記取付枠3に移動用ねじ軸80b及び移動用ねじ軸80bを回転駆動する移動用モータ80aを取り付け、上記本体枠4に移動用ナット体80cを配設し、移動用モータ80aを正逆回転して移動用ねじ軸80bと移動用ナット体80cとの螺合により上記機枠5を上記走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成している。
【0033】
この実施の第二形態例は上記構成であるから、上記移動機構8として、上記取付枠3に移動用ねじ軸80b及び移動用ねじ軸80bを回転駆動する移動用モータ80aを取り付け、上記本体枠4に移動用ナット体80cを配設し、移動用モータ80aを正逆回転して移動用ねじ軸80bと移動用ナット体80cとの螺合により上記機枠5を上記走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向に移動させるように構成してなるから、移動用モータ80aの正逆回動及び移動用ねじ軸80bと移動用ナット体80cとの螺合により機枠5を円滑に移動させることができると共に構造を簡素化することができる。
【0034】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、上記実施の形態例では溝切体9・10を二枚一対の溝切体としているが、溝切体9・10をなた刃状の溝切刃としたり、一方の溝切体だけとすることもあると共に溝切体を強制回転させる構造とすることもあり、また上記実施の形態例では一対の溝切体9・10及びすき部材13を一組配置しているが二組以上とすることもできる。
【0035】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。