特許第6132446号(P6132446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6132446補完的なソースフォロワドライバを備えたコントローラ領域ネットワークバストランスミッタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132446
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】補完的なソースフォロワドライバを備えたコントローラ領域ネットワークバストランスミッタ
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20170515BHJP
   H03K 17/16 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H03K19/00 101F
   H03K17/16 H
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-185705(P2015-185705)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-72974(P2016-72974A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2015年9月18日
(31)【優先権主張番号】62/056,240
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/835,549
(32)【優先日】2015年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593219551
【氏名又は名称】リニアー テクノロジー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Linear Technology Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シアラン ブレナン
【審査官】 緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−509682(JP,A)
【文献】 特開2008−022133(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0220675(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0193595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/00−17/70
H03K19/00−19/096
H04L25/00−25/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス用のドライバであって、該バスは2つのコンダクタを備え、該ドライバは、以下:
該バスの第1のコンダクタに連結されるドレインおよび第1の電圧に連結されるソースを有する第1のドライブMOSFET;および
該バスの第2のコンダクタに連結されるドレインおよび該第1の電圧より低い第2の電圧に連結されるソースを有する第2のドライブMOSFET、を備える主要ドライバであって:
ここで、該主要ドライバに付与される第1の入力データ状態が、該第1のドライブMOSFETが該第1のコンダクタを該第1の電圧に向かって引くようにし、かつ該第2のドライブMOSFETが該第2のコンダクタを該第2の電圧に向かって引くようにし、そして該主要ドライバに付与される第2のデータ状態が、該第1のドライブMOSFETおよび該第2のドライブMOSFETが高インピーダンスであるためにオフであるようにする、主要ドライバ;ならびに
該第1のコンダクに連結されるソースおよび該第1の電圧に連結されるドレインを有する第1のソースフォロワMOSFET;および
該第2のコンダクタに連結されるソースおよび該第2の電圧に連結されるドレインを有する第2のソースフォロワMOSFET、を備えるソースフォロワ回路であって:
ここで、該ソースフォロワ回路に付与される該第1の入力データ状態が、該第1のソースフォロワMOSFETが該第1のコンダクタを該第1の電圧に向かって引くようにし、かつ該第2のソースフォロワMOSFETが該第2のコンダクタを該第2の電圧に向かって引くようにし、そして該第2のデータ状態が、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが高インピーダンスであるためにオフであるようにする、ソースフォロワ回路、を備え、
ここで、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが制御されて、該第1のドライブMOSFETおよび該第2のドライブMOSFETがオンになる前にオンになり、そして
ここで、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが制御されて、該第1のドライブMOSFETおよび該第2のドライブMOSFETがオフになった後にオフになる、ドライバ。
【請求項2】
前記第1のソースフォロワMOSFETが、第1のカスケードMOSFETを通じて前記第1のコンダクタに連結されるそのソースを有し、そして前記第2のソースフォロワMOSFETが、第2のカスケードMOSFETを通じて該第1のコンダクタに連結されるそのソースを有する、請求項1に記載のドライバ。
【請求項3】
前記第1のソースフォロワMOSFETおよび前記第1のドライブMOSFETが、第1のダイオードを通じて前記第1のコンダクタに連結され、そして前記第2のソースフォロワMOSFETおよび前記第2のドライブMOSFETが、第2のダイオードを通じて前記第2のコンダクタに連結される、請求項1に記載のドライバ。
【請求項4】
さらに、前記ソースフォロワ回路のための第1の遅延回路であって、該第1の遅延回路が、データ信号を受け取り、該第1の遅延回路が、前記第1のソースフォロワMOSFETおよび前記第2のソースフォロワMOSFETのオフになることを遅延する第1の遅延回路;および
前記主要ドライバのための第2の遅延回路であって、第2の遅延回路が、該データ信号を受け取り、該第2の遅延回路が、前記第1のドライブMOSFETおよび前記第2のドライブMOSFETのオンになることを遅延する第2の遅延回路を備える、請求項1に記載のドライバ。
【請求項5】
前記ドライバが、コントローラ領域ネットワークバスドライバである、請求項1に記載のドライバ。
【請求項6】
前記第1のコンダクタおよび前記第2のコンダクタが、よじれた一対のワイヤを備える、請求項1に記載のドライバ。
【請求項7】
さらに:
入力データ信号を受け取り、そして第1のゲートドライブ電圧を前記第1のドライブMOSFETに出力し、かつ補完的な第2のゲートドライブ電圧を前記第2のドライブMOSFETに出力する主要ゲートドライブ回路;
前記第1のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第3のMOSFETであって、該第3のMOSFETのドレインが、前記第1のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、該第3のMOSFETのソースが、該第1のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして該第3のMOSFETのゲートが、前記第1のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、該第3のMOSFETが前記第1のドライブMOSFETと同じ状態を有する、第3のMOSFET;および
前記第2のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第4のMOSFETであって、該第4のMOSFETのドレインが、前記第2のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、該第4のMOSFETのソースが、該第2のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして該第4のMOSFETのゲートが、前記第2のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、該第4のMOSFETが前記第2のドライブMOSFETと同じ状態を有する、第4のMOSFET、を備える、請求項1に記載のドライバ。
【請求項8】
バス用のドライバであって、該バスは第1のコンダクタおよび第2のコンダクタを備え、該ドライバは、以下:
入力データ信号を受け取り、そして第1のゲートドライブ電圧および補完的な第2のゲートドライブ電圧を出力する主要ゲートドライブ回路であって、該主要ゲートドライブ回路に付与される第1の入力データ状態が、該第1のコンダクタが第1の電圧に向かって引かれるようにし、そして該第2のコンダクタが第2の電圧に向かって引かれるようにし、そして該主要ゲートドライブ回路に付与される第2のデータ状態が、該第1のコンダクタおよび該第2のコンダクタに対し高インピーダンスを提供する、主要ゲートドライブ回路;
ソースフォロワ回路であって、
該第1のコンダクタに連結されるソースおよび該第1の電圧に連結されるドレインを有する第1のソースフォロワMOSFET;および
該第2のコンダクタに連結されるソースおよび該第2の電圧に連結されるドレインを有する第2のソースフォロワMOSFET、を備え、
ここで、該ソースフォロワ回路に付与される該第1の入力データ状態が、該第1のソースフォロワMOSFETを該第1の電圧に向かって該第1のコンダクタを引くようにし、そして該第2のソースフォロワMOSFETを該第2の電圧に向かって第2のコンダクタを引くようにし、そして該第2のデータ状態が、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが高インピーダンスであるようにするためにオフにされる、ソースフォロワ回路;
該第1のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第3のMOSFETであって、該第3のMOSFETのドレインが、該第1のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、該第3のMOSFETのソースが該第1のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、該第3のMOSFETのゲートが、該第1のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、該第3のMOSFETが該第1のドライブMOSFETと同じ状態を有する、第3のMOSFET;および
該第2のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第4のMOSFETであって、該第4のMOSFETのドレインが、該第2のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、該第4のMOSFETのソースが、該第2のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして該第4のMOSFETのゲートが該第2のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、該第4のMOSFETが該第2のドライブMOSFETと同じ状態を有する、第4のMOSFET、を備える、ドライバ。
【請求項9】
さらに、前記ソースフォロワ回路のための第1の遅延回路であって、該第1の遅延回路が、前記入力データ信号を受け取り、該第1の遅延回路が、前記第1のソースフォロワMOSFETおよび前記第2のソースフォロワMOSFETのオフになることを遅延し、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが、前記第3のMOSFETおよび前記第4のMOSFETがオフになった後に所定時間オンのままである、第1の遅延回路;および
前記主要ゲートドライブ回路のための第2の遅延回路であって、該第2の遅延回路が、該入力データ信号を受け取り、該第2の遅延回路が、該第3のMOSFETおよび該第4のMOSFETがオンになることを遅延し、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが、該第3のMOSFETおよび該第4のMOSFETがオンになる前にオンになる第2の遅延回路を備える、請求項に記載のドライバ。
【請求項10】
前記第1のソースフォロワMOSFETが、第1のカスケードMOSFETを通じて前記第1のコンダクタに連結されるそのソースを有し、そして前記第2のソースフォロワMOSFETが、第2のカスケードMOSFETを通じて該第1のコンダクタに連結されるそのソースを有する、請求項に記載のドライバ。
【請求項11】
前記ドライバが、コントローラ領域ネットワークバスドライバである、請求項に記載のドライバ。
【請求項12】
前記第1のコンダクタおよび前記第2のコンダクタが、よじれた一対のワイヤを備える、請求項に記載のドライバ。
【請求項13】
バス用のドライバを制御する方法であって、該バスは第1のコンダクタおよび第2のコンダクタを備え、該方法は:
主要ゲートドライブ回路によって入力データ信号を受け取る工程;
該主要ゲートドライブ回路から第1のドライブMOSFETに第1のゲートドライブ電圧を出力し、そして第2のドライブMOSFETに補完的な第2のゲートドライブ電圧を出力する工程であって、該第1のドライブMOSFETが第1の電圧と該第1のコンダクタとの間に連結され、該第2のドライブMOSFETが第2の電圧と該第2のコンダクタとの間に連結されている、工程
第1のソースフォロワMOSFETを有するソースフォロワ回路に、該第1のコンダクタに連結されるソースおよび該第1の電圧に連結されるドレインを;そして第2のソースフォロワMOSFETに該第2のコンダクタに連結されるソースおよび該第2の電圧に連結されるドレイン提供する工程であって、
ここで、第1の入力データ状態が、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第1のドライブMOSFETが、該第1のコンダクタを該第1の電圧に向かって引くようにし、そして該第2のソースフォロワMOSFETおよび該第2のドライブMOSFETが、該第2のコンダクタを該第2の電圧に向かって引くようにし、そして第2のデータ状態が、該第1のソースフォロワMOSFET、該第1のドライブMOSFET、該第2のソースフォロワMOSFET、および該第2のドライブMOSFETを高インピーダンスであるようにするためにオフであるようにする、工程;
該ソースフォロワ回路のための第1の遅延回路によって該入力データ信号を受け取る工程であって、該第1の遅延回路が、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETのオフになることを遅延し、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが、該第1のドライブMOSFETおよび該第2のドライブMOSFETがオフになった後の所定時間の間オンのままである、工程;および
該主要ゲートドライブ回路のための第2の遅延回路によって該入力データ信号を受け取る工程であって、該第2の遅延回路が、該第1のドライブMOSFETおよび該第2のドライブMOSFETのオンになることを遅延し、該第1のソースフォロワMOSFETおよび該第2のソースフォロワMOSFETが、該第1のドライブMOSFETおよび該第2のドライブMOSFETがオンになる前にオンになる、工程、を包含する、方法。
【請求項14】
前記主要ゲートドライブ回路から第1のドライブMOSFETに第1のゲートドライブ電圧を出力する工程は、該主要ゲートドライブ回路から、前記第1のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続される該第1のドライブMOSFETに該第1のゲートドライブ電圧を出力することを包含し、
前記第2のドライブMOSFETに補完的な第2のゲートドライブ電圧を出力する工程は、前記第2のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続される該第2のドライブMOSFETに該補完的な第2のゲートドライブ電圧を出力することを包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のソースフォロワMOSFETおよび前記第1のドライブMOSFETが、第1のカスケードMOSFETを通じて前記第1のコンダクタにそれぞれ連結されるそれらのソースおよびドレインを有し、そして前記第2のソースフォロワMOSFETおよび前記第2のドライブMOSFETが、第2のカスケードMOSFETを通じて該第1のコンダクタにそれぞれ連結されるそれらのソースおよびドレインを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ドライバが、コントローラ領域ネットワークバスドライバである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、本発明者によって、本譲受人に譲渡され、本明細書に参考として援用される、2014年9月26日に出願された米国仮出願第62/056,240号に基づき、そしてそれに基づく優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、コントローラ領域ネットワーク(CAN)バストランスミッタに関し、そして特に、コモンモード変動を低減するバスドライバに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
コントローラ領域ネットワーク(CAN)バス標準ISO11898は、デバイスが2−ワイヤバスを用いて互いと通信することを可能にするように設計されている。このISO11898標準は、本明細書に参考として援用される。バス上のデータ信号は、ディフアレンシャルであり、そうなので任意のコモンモード信号は、理想的には無効にされる。上記標準は、車両における通信に主に適用され、そしてバス上で通信し得るデバイスは、エンジンコントロールユニット、パワーステアリングコントロールユニット、エアバッグコントロールユニット、オーディオシステムコントロールユニット、パワーウンドウコントロールユニットなどを含む。このCANバス標準はまた、産業環境(例えば、ロボットコントロールユニット)、エンターテイメント環境(例えば、ビデオゲームコントロールユニット)、およびその他の環境にもまた適用され得る。
【0004】
種々のコントロールユニットは、代表的には、パラレルデータを生じ、そしてこのデータは、プロトコルに従ってフレームにパッケージされ、そしてバス上のディファレンシャルビット信号としてシリアルに伝達される。衝突および仲裁ルールは、この標準によって特定されている。
【0005】
本発明は、CANにおけるバスドライバ(トランスミッタ)のみを取り扱い、これは代表的には、よじれたワイヤペアに連結されている。
【0006】
図1は、ライン12上のシリアルデータを受ける特定デバイスのための先行技術CANバスドライバ10を示す。1つの例では、このバスドライバ10は、ライン12上で論理的0を受け、そしてゲートドライバ14は、PMOSトランジスタ16をオンにするための低PGATE電圧を生じ、そしてNMOSトランジタ18をオンにするための高NGATE電圧を生じる。それ故、Vccが高い側のバスライン20に付与され、そしてシステム接地が低い側のバスライン22に付与される。これらのライン20および22は、オプションの逆電流をブロックするダイオード26および28およびバス端末CANHおよびCANLによってよじれたペアケーブル24(バス)に連結される。論理的1ビットに対する電圧ディフアレンシャルは、1.5ボルトより大きくあるべきである。これは、ドミナント状態と呼ばれる。ライン12上の論理的1ビットに対し、両方のトランジスタ16および18はオフ(高インピーダンス)にされ、そして120オーム終端レジスタ30および32は、バス上のディフアレンシャル電圧を0ボルトに戻す。これはリセッシブ状態と呼ばれる。
【0007】
種々のデバイスがケーブル24に連結されるであろうし、そしてまたドライバ10に類似のバスドライバを含む。
【0008】
CANH端末電圧とCANL端末電圧の平均に等しいコモンモード電圧は、理想的には、リセッシブ状態からドミナント状態への遷移の間およびドミナント状態からリセッシブ状態に戻る遷移の間には一定のままである。コモンモード電圧の変動は、エレクトロニックシステムでは所望されない電磁放射(EME)を生じる。
【0009】
リセッシブ状態からドミナント状態への遷移の間に、PMOSトランジスタ16は、CANH端末電圧とCANL端末電圧との平均がドミナント状態全体でほぼ一定のままであるためにNMOSトランジスタ18と正確に同じ時間および同じ速度でオンになるべきである。同様に、ドミナント状態からリセッシブ状態への遷移の間に、PMOSトランジスタ16は、NMOSトランジスタ18と正確に同じ時間および同じ速度でオフになるべきである。
【0010】
実際のエレクトロニックデバイスでは、異なるタイプ(PFET対NFET)の2つの異なるオープンドレインFETが、正確に同じ時間および速度でオンおよびオフすることを確実にすることは非常に困難である。もしこれら2つのデバイスが、同じ速度でオンまたはオフしなければ、コモンモード電圧における大きな変化が遷移の間に生じ得、結果的にEMEを生じる。CANバスドライバ10は、大きなコモンモード変動を生じやすい。これは、2つのトランジスタ16および18が、それらがオンおよびオフしているとき、その間にそれらのソースに対するゲート電圧(Vgs)が低く、そしてそれらのソースに対するドレイン電圧(Vds)が高く、高インピーダンス電流ソースとして作用するからである。この条件下では、コモンモード負荷は、これら2つのトランジスタのパラレル出力インピーダンス(プラス、CANバス上にあるCANレシーバーのパラレルインピーダンス)である。これは、数十キロオームであり得る高コモンモード負荷インピーダンスを生じる。これらの条件下では、オンになるか、またはオフになる遷移の間でPMOSトランジスタ16およびNMOSトランジスタ18によって同時に伝導される電流における小さくわずかな差異が、1ボルトまたはそれより多いコモンモード電圧変動を生じ得る。これは、多くのシステムにおけるEME考慮にとって受容不能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
必要なのは、ドミナント状態とリセッシブ状態との間の遷移の間に、主要ドライバトランジスタによって伝導される不均一な電流による影響のより少ないCANドライバである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要旨)
本発明は、CANバスドライバに関し、ここで、主要ドライバトランジスタは、補完的ソースフォロワドライバで補足される。ソースフォロワドライバFETは、それらのドレインよりはむしろそれらのソースを通じてそれらの個々のCANバスラインを駆動するので、それらの出力インピーダンスは、オープンドレインドライバと比較して非常に低い。上記補完的ソースフォロワドライバは、主要ドライバFETのわずか前にオンし、そして主要ドライバFETのわずか後にオフし、ドミナント状態とリセッシブ状態との間の遷移の間にかなりより低いコモンモード負荷インピーダンスを提供し、それによって、主要ドライバFETにおける伝導電流ミスマッチから生じるコモンモード電圧変動をかなり低減する。
【0013】
ソースフォロワドライバは、高い程度のマッチングに等しくかつ反対である2つのライジング波形およびフォーリング波形を生じる補完的スロープ発電機回路を含む。良好なマッチングが、集積回路テクノロジが高度にマッチした補完的電流ソースおよび高度にマッチしたキャパシタを可能にするので可能である。補完的上昇スロープおよび減少スロープが、一対のマッチしたキャパシタ中に、等しいが、反対である電流をスイッチすることによって発生される。
【0014】
主要ドライバトランジスタが完全にオンされるとき、バスは、主要ドライバトランジスタおよびパラレルに伝導するそれらの個々のソースによって駆動される。
【0015】
別の実施形態では、ソースフォロワドライバが主要ドライバFETと同時にスイッチされるとき、同様の利点が達成される。なぜなら、ソースフォロワドライバの低インピーダンスがスイッチング影響に優越するからである。しかし、このような正確なタイミングは実際の回路では比較的困難である。
【0016】
例えば、本願明細書は以下の項目の構成を記載する。
(項目1)
バス用のドライバであって、上記バスは2つのコンダクタを備え、上記ドライバは、以下:
上記バスの第1のコンダクタに連結されるドレインおよび第1の電圧に連結されるソースを有する第1のドライブMOSFET;および
上記バスの第2のコンダクタに連結されるドレインおよび上記第1の電圧より低い第2の電圧に連結されるソースを有する第2のドライブMOSFET、を備える主要ドライバであって:
ここで、上記主要ドライバに付与される第1の入力データ状態が、上記第1のドライブMOSFETが上記第1のコンダクタを上記第1の電圧に向かって引くようにし、かつ上記第2のドライブMOSFETが上記第2のコンダクタを上記第2の電圧に向かって引くようにし、そして上記主要ドライバに付与される第2のデータ状態が、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETが高インピーダンスであるためにオフであるようにする、主要ドライバ;ならびに
上記第1のコンダクに連結されるソースおよび上記第1の電圧に連結されるドレインを有する第1のソースフォロワMOSFET;および
上記第2のコンダクタに連結されるソースおよび上記第2の電圧に連結されるドレインを有する第2のソースフォロワMOSFET、を備えるソースフォロワ回路であって:
ここで、上記ソースフォロワ回路に付与される上記第1の入力データ状態が、上記第1のソースフォロワMOSFETが上記第1のコンダクタを上記第1の電圧に向かって引くようにし、かつ上記第2のソースフォロワMOSFETが上記第2のコンダクタを上記第2の電圧に向かって引くようにし、そして上記第2のデータ状態が、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが高インピーダンスであるためにオフであるようにする、ソースフォロワ回路、を備え、
ここで、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが制御されて、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETがオンになると同時またはその前にオンになり、そして
ここで、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが制御されて、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETがオフになると同時、または上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETがオフになった後にオフになる、ドライバ。
(項目2)
上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが制御されて、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETがオンになる前にオンになり、そして
ここで、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが制御されて、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETがオフになった後にオフになる、項目1に記載のドライバ。
(項目3)
上記第1のソースフォロワMOSFETが、第1のカスケードMOSFETを通じて上記第1のコンダクタに連結されるそのソースを有し、そして上記第2のソースフォロワMOSFETが、第2のカスケードMOSFETを通じて上記第1のコンダクタに連結されるそのソースを有する、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目4)
上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第1のドライブMOSFETが、第1のダイオードを通じて上記第1のコンダクタに連結され、そして上記第2のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETが、第2のダイオードを通じて上記第2のコンダクタに連結される、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目5)
さらに、上記ソースフォロワ回路のための第1の遅延回路であって、上記第1の遅延回路が、データ信号を受け取り、上記第1の遅延回路が、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETのオフになることを遅延する第1の遅延回路;および
上記主要ドライバのための第2の遅延回路であって、第2の遅延回路が、上記データ信号を受け取り、上記第2の遅延回路が、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETのオンになることを遅延する第2の遅延回路を備える、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目6)
上記ドライバが、コントローラ領域ネットワークバスドライバである、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目7)
上記第1のコンダクタおよび上記第2のコンダクタが、よじれた一対のワイヤを備える、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目8)
さらに:
入力データ信号を受け取り、そして第1のゲートドライブ電圧を上記第1のドライブMOSFETに出力し、かつ補完的な第2のゲートドライブ電圧を上記第2のドライブMOSFETに出力する、主要ゲートドライブ回路;
上記第1のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第3のMOSFETであって、上記第3のMOSFETのドレインが、上記第1のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、上記第3のMOSFETのソースが、上記第1のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして上記第3のMOSFETのゲートが、上記第1のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、上記第3のMOSFETが上記第1のゲートドライブMOSFETと同じ状態を有する、第3のMOSFET;および
上記第2のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第4のMOSFETであって、上記第4のMOSFETのドレインが、上記第2のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、上記第4のMOSFETのソースが、上記第2のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして上記第4のMOSFETのゲートが、上記第2のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、上記第4のMOSFETが上記第2のゲートドライブMOSFETと同じ状態を有する、第4のMOSFET、を備える、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目9)
バス用のドライバであって、上記バスは第1のコンダクタおよび第2のコンダクタを備え、上記ドライバは、以下:
入力データ信号を受け取り、そして第1のゲートドライブ電圧および補完的な第2のゲートドライブ電圧を出力する主要ゲートドライブ回路であって、上記主要ゲートドライブ回路に付与される第1の入力データが、上記第1のコンダクタが第1の電圧に向かって引かれるようにし、そして上記第2のコンダクタが第2の電圧に向かって引かれるようにし、そして上記主要ゲートドライブ回路に付与される第2のデータ状態が、上記第1のコンダクタおよび上記第2のコンダクタに対し高インピーダンスを提供する、主要ゲートドライブ回路;
ソースフォロワ回路であって、
上記第1のコンダクタに連結されるソースおよび上記第1の電圧に連結されるドレインを有する第1のソースフォロワMOSFET;および
上記第2のコンダクタに連結されるソースおよび上記第2の電圧に連結されるドレインを有する第2のソースフォロワMOSFET、を備え、
ここで、上記ソースフォロワ回路に付与される上記第1の入力データ状態が、上記第1のソースフォロワMOSFETを上記第1の電圧に向かって上記第1のコンダクタを引くようにし、そして上記第2のソースフォロワMOSFETを上記第2の電圧に向かって第2のコンダクタを引くようにし、そして上記第2のデータ状態が、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが高インピーダンスであるようにするためにオフにされる、ソースフォロワ回路;
上記第1のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第3のMOSFETであって、上記第3のMOSFETのドレインが、上記第1のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、上記第3のMOSFETのソースが上記第1のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、上記第3のMOSFETのゲートが、上記第1のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、上記第3のMOSFETが上記第1のドライブMOSFETと同じ状態を有する、第3のMOSFET;および
上記第2のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続された第4のMOSFETであって、上記第4のMOSFETのドレインが、上記第2のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、上記第4のMOSFETのソースが、上記第2のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして上記第4のMOSFETのゲートが上記第2のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、上記第4のMOSFETが上記第2のドライブMOSFETと同じ状態を有する、第4のMOSFET、を備える、ドライバ。
(項目10)
さらに、上記ソースフォロワ回路のための第1の遅延回路であって、上記第1の遅延回路が、入力データ信号を受け取り、上記第1の遅延回路が、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETのオフになることを遅延し、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが、上記第3のMOSFETおよび上記第4のMOSFETがオフになった後に所定時間オンのままである、第1の遅延回路;および
上記主要ゲートドライブ回路のための第2の遅延回路であって、上記第2の遅延回路が、上記入力データ信号を受け取り、上記第2の遅延回路が、上記第3のMOSFETおよび上記第4のMOSFETがオンになることを遅延し、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが、上記第3のMOSFETおよび上記第4のMOSFETがオンになる前にオンになる第2の遅延回路を備える、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目11)
上記第1のソースフォロワMOSFETが、第1のカスケードMOSFETを通じて上記第1のコンダクタに連結されるそのソースを有し、そして上記第2のソースフォロワMOSFETが、第2のカスケードMOSFETを通じて上記第1のコンダクタに連結されるそのソースを有する、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目12)
上記ドライバが、コントローラ領域ネットワークバスドライバである、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目13)
上記第1のコンダクタおよび上記第2のコンダクタが、よじれた一対のワイヤを備える、上記項目のいずれかに記載のドライバ。
(項目14)
バス用のドライバを制御する方法であって、上記バスは第1のコンダクタおよび第2のコンダクタを備え、上記方法は:
主要ゲートドライブ回路によって入力データ信号を受け取る工程;
上記主要ゲートドライブ回路から第1のドライブMOSFETに第1のゲートドライブ電圧を出力し、上記第1のドライブMOSFETが第1の電圧と上記第1のコンダクタとの間に連結され、そして第2のドライブMOSFETに補完的な第2のゲートドライブ電圧を出力する工程であって、上記第2のドライブMOSFETが第2の電圧と上記第2のコンダクタとの間に連結されている、工程;および
第1のソースフォロワMOSFETを有するソースフォロワ回路に、上記第1のコンダクタに連結されるソースおよび上記第1の電圧に連結されるドレインを;そして第2のソースフォロワMOSFETに上記第2のコンダクタに連結されるソースおよび上記第2の電圧に連結されるドレイン提供する工程;を包含し、
ここで、第1の入力データ状態が、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第1のドライブMOSFETが、上記第1のコンダクタを上記第1の電圧に向かって引くようにし、そして上記第2のソースのソースフォロワMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETが、上記第2のコンダクタを上記第2の電圧に向かって引くようにし、そして第2のデータ状態が、上記第1のソースフォロワMOSFET、上記第1のドライブMOSFET、上記第2のソースフォロワMOSFET、および上記第2のドライブMOSFETを高インピーダンスであるようにするためにオフであるようにする、方法。
(項目15)
さらに:
上記ソースフォロワ回路のための第1の遅延回路によって入力データ信号を受け取る工程であって、上記第1の遅延回路が、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETのオフになることを遅延し、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETがオフになった後の所定時間の間オンのままである、工程;および
上記主要ゲートドライブ回路のための第2の遅延回路によって入力データ信号を受け取る工程であって、上記第2の遅延回路が、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETのオンになることを遅延し、上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のソースフォロワMOSFETが、上記第1のドライブMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETがオンになる前にオンになる、工程、を包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記第1のドライブMOSFETが、上記第1のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続され、ここで、上記第1のドライブMOSFETのドレインが上記第1のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、上記第1のドライブMOSFETのソースが、上記第1のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして上記第1のドライブMOSFETのゲートが上記第1のゲートドライブ電圧を受け取るために接続され、そして上記第2のドライブMOSFETが、上記第2のソースフォロワMOSFETと逆平行に接続され、ここで、上記第2のドライブMOSFETのドレインが上記第2のソースフォロワMOSFETのソースに接続され、上記第2のドライブMOSFETのソースが、上記第2のソースフォロワMOSFETのドレインに接続され、そして上記第2のドライブMOSFETのゲートが上記第2のゲートドライブ電圧を受け取るために接続される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記第1のソースフォロワMOSFETおよび上記第1のドライブMOSFETが、第1のカスケードMOSFETを通じて上記第1のコンダクタにそれぞれ連結されるそれらのソースおよびドレインを有し、そして上記第2のソースフォロワMOSFETおよび上記第2のドライブMOSFETが、第2のカスケードMOSFETを通じて上記第1のコンダクタにそれぞれ連結されるそれらのソースおよびドレインを有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
上記ドライバが、コントローラ領域ネットワークバスドライバである、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0017】
(開示の要約)
コントローラ領域ネットワーク(CAN)ドライバ(トランスミッタ)は、ドミナント状態でバスの第1コンダクタをプルアップするためのオープンドレイン第1ドライバMOSFET、およびドミナント状態でバスの第2のコンダクタをプルダウンするためのオープンドレイン第2ドライバMOSFETを有する従来の主要ドライバを含む。オンにし、そしてオフにする間に正確に等しい電流を伝導するためにドライバMOSFET特徴を完全にマッチすることは困難であるので、有意なコモンモード変動が生じ、電磁放射を生じる。ソースフォロワが、主要ドライバMOSFETがオンおよびオフされるとき、これらの主要ドライバMOSFETによって引き起こされる任意のコモンモード変動を大きく低減するために所定時間の間にコンダクタに対する低いコモンモード負荷インピーダンスを生成するために、第1のドライバMOSFETおよび第2のドライバMOSFETとパラレルにそれぞれ接続される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、先行技術のCANバスドライバを示す。
図2図2は、本発明の1つの実施形態に従うCANバスドライバを示す。
図3図3は、本発明の第2の実施形態に従うCANバスドライバを示し、ここでは、さらなるコモンソースFETがソースフォロワドライバFETの各々とアンチパラレルで接続され、主要ドライバFETが、同じ全体出力駆動電流を達成しながらより小さくされることを可能にする。
図4図4は、本発明の第4の実施形態に従うCANバスドライバを示し、ここでは、図3における主要ドライバFETがなくされ、その一方、同じ全体出力駆動電流を達成するために、ソースフォロワドライバ中のFETのサイズ増加している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
図2は、改良されたCANバスドライバ40を示し、ここでは、図1中の要素と等価である要素は同じ数字でラベルされている。このドライバ40はさらに、プルアップソースフォロワドライバ42およびプルダウンソースフォロワドライバ44を含む。
【0020】
このプルアップソースフォロワドライバ42は、電源電圧Vccに連結されたそのドレイン、および保護的高電圧カスケードデバイスとして作用するPMOSトランジスタ48のソースに連結されたそのソースを有するNMOSトランジスタ46を含む。PMOSトランジスタ48のドレインは、高い側のバスライン20に連結される。このPMOSトランジスタ48のゲートは、それをオンにするためにシステム接地に連結され、そしてNMOSトランジスタ46のゲートは、スロープ発電機50によって発生されるコントロール電圧を受けるために連結される。
【0021】
プルダウンソースフォロワ44は、システム接地に連結されたそのドレイン、および保護的高電圧カスケードデバイスとして作用するNMOSトランジスタ54のソースに連結されたそのソースを有するPMOSトランジスタ52を含む。NMOSトランジスタ54のドレインは、低い側のバスライン22に連結される。NMOSトランジスタ54のゲートは、システム電源Vccに連結され、それをオンにし、そしてPMOSトランジスタ52のゲートは、スロープ発電機50によって発生されるコントロール電圧を受けるように連結され、ここで、PMOSトランジスタ52およびNMOSトランジスタ46のためのコントロール電圧は、スロープ発電機50内の補完的波形NSLW(Nslew)およびPSLW(Pslew)によって示されるように補完的である。
【0022】
PMOSトランジスタ52は、NMOSトランジスタ46とマッチされ、その結果、2つのトランジスタがオンまたはオフされるとき、それらは、ほぼ同一の電流を伝導する。
【0023】
高い側のバスライン20は、主要ドライバ56中のPMOSトランジスタ16のドレインに連結され、そして低い側のバスライン22は、主要ドライバ56中のNMOSトランジスタ18のドレインに連結される。
【0024】
NMOSトランジスタ46およびPMOSトランジスタ52は、それらのドレインよりはむしろそれらのソースを通じて、それらの個々のCANバスライン20/22を駆動するので、それらの出力インピーダンスは、オープンドレインドライバと比較して非常に低い。出力インピーダンスは、バスライン20または22の変動によって引き起こされるVgsにおける任意の変化がトランジスタを通る電流における大きな変化を生成するので低い。
【0025】
NMOSトランジスタ46およびPMOSトランジスタ52はマッチされ、そしてスロープ発電機50の良好にマッチされた補完的出力に追随し、そしてそれらの出力は、高インピーダンス電流ソースよりはむしろ低インピーダンス電圧ソースであるので、ソースフォロワ42および44は、それらがオンまたはオフされるとき、コモンモード電圧変動をほとんど生成しない。さらに、ソースフォロワ42および44は、主要ドライバ56がオンおよびオフされるとき主要ドライバ56に対し低インピーダンスコモンモード負荷を提供する。
【0026】
ソースフォロワ42および44によるかなりより低いコモンモード負荷インピーダンスは、それによって、状態を変えるとき、主要ドライバ56トランジスタ16および18中の伝導電流ミスマッチから生じるコモンモード電圧変動を大きく低減する。
【0027】
全体のソースフォロワドライバ回路58の一部と考えられる補完的スロープ発電機50は、等しく、そして高い程度のマッチングにとっては反対の2つのライジング波形およびフォーリング波形(NSLWおよびPSLW)を生成する。良好なマットチングが、集積回路テクノロジが高度にマッチされた補完的電流ソースおよび高度にマッチされたキャパシタを可能にするので可能である。補完的ライズスロープおよびフォールスロープが、一対のマッチされたキャパシタ中に等しいが、反対の電流をスイッチすることにより生成される。
【0028】
ソースフォロワドライバ58が、主要ドライバトランジスタ16および18がオンおよびオフされているときの時間の間、主要ドライハ56に対してコモンモード負荷を提供するために、それは、主要ドライバ56がオンになるわずか前、そして主要ドライバ56がオフになったわずか後にオンしなければならない。これは、データ入力ライン12と、ソースフォロワドライバ58および主要ドライバ56の入力との間の遅延回路60および62によって達成される。主要ドライバ56は、(オフにするための)追従エッジではなく(オンにするための)データ信号の先導エッジを遅延する遅延回路62を通じて駆動される。これは、遅延回路62内のデータ入力DINおよびデータ出力DOUTによって示される。ソースフォロワドライバ58は、(オンするための)先導エッジではなく(オフするための)データ信号の追従エッジを遅延する遅延回路60を通じて駆動される。データ信号の先導エッジの到着に際し、ソースフォロワドライバ58は直ちにオンし、すぐ後に主要ドライバ56が続く。データ信号のフォーリングエッジの到着に際し、主要ドライバ56は直ちにオフになり、すぐ後にソースフォロワドライバ58が続く。これは、ソースフォロワドライバ58が、そのオン遷移およびオフ遷移の間に、コモンモード電圧変動を低減するために、主要ドライバ56に、コモンモード負荷を提供することを可能にする。
【0029】
従って、理想的には、主要ドライバ56は、ソースフォロワドライバ58が(リセッシブまたはドミナント状態いずれでも)その定常状態にあるときの時間でスイッチするのみである。
【0030】
ソースフォロワドライバ58は、ソースフォロワ42および44を通じて出力を駆動しているので、NMOSトランジスタ46およびPMOSトランジスタ52のゲート上の入力電圧とそれらの出力との間で電圧ドロップがある。この理由により、ソースフォロワドライバ58は、CANバスの要求を満足するに十分に大きなディファレンシャル電圧を駆動できない。従って、それは、CANバスに対して大きなディファレンシャル電圧を駆動するために適切なオープンドレインFETを採用する主要ドライバ56のEME性質を改善するために補完的ドライバを使用した。
【0031】
代替の実施形態では、高電圧保護カスケードトランジスタ48および52は削除されてもよい。ブロッキングダイオード26および28もまた、削除されてもよく、または回路内のその他のノードに配置されてもよい。さらに、その他の技法が、ソースフォロワドライバ58が主要ドライバ56の前にオンし、そして主要ドライバ56の後でオフすることを確実にするために使用され得る。
【0032】
1つの実施形態では、シリアル伝達は、に戻らないゼロ(NRZ)フォーマットを使用する。
【0033】
図3は、本発明の第2の実施形態を示す。図3は、図2とは、コモンソース低電圧PMOSトランジスタ66およびNMOSトランジスタ68が、それぞれ、ソースフォロワNMOSトランジスタ46およびPMOSトランジスタ52とアンチパラレルで接続されている点で異なっている。PMOSトランジスタ66は、NMOSトランジスタ46のドレインに接続されたそのソースおよびボディにならびにNMOSトランジスタ46のソースおよびボディに接続されたそのドレインを有する。PMOSトランジスタ66のゲートは、ソースフォロワドライバスロープ発電機50よりはむしろ主要ドライバPMOSトランジスタ16とパラレルに主要ドライバ56のゲートドライバ14によって駆動される。
【0034】
同様に、コモンソースNMOSトランジスタ68は、PMOSトランジスタ52のドレインに接続されたそのソースおよびボディ、ならびにPMOSトランジスタ52のソースおよびボディに接続されたそのドレインを有する。NMOSトランジスタ68のゲートは、ソースフォロワドライバスロープ発電機50よりはむしろ主要ドライバNMOSトランジスタ18とパラレルに主要ドライバ56のゲートドライバ14によって駆動される。
【0035】
図3の実施形態の利点は、ソースフォロワドライバ58中の高電圧トランジスタ48および54に供されたチップ領域のより効率的な使用法である。高電圧FETはCANトランジスタの出力回路において所望される。なぜなら、それらは、CMOS集積回路で代表的に用いられている従来の低電圧FETと比べて、電気的不良状態および静電放電からの破損に対してかなりより大きい免疫を提供するからである。しかし、高電圧FETは、同じ出力駆動電流に対し低電圧FETよりかなり大きいチップ領域を要求する。図2に示される実施形態では、ソースフォロワドライバ58中の高電圧カスケードトランジスタ48および52は、信号のオンになる相およびオフになる相の間でのみ伝導し、そしてドライバが完全にオンになるとき出力駆動電流には寄与しない。主要ドライバ56は、高い側のバスライン20に対し電圧を、ソースフォロワNMOSトランジスタ46をオフするに十分高く引き上げ、そして低い側のバスライン22の電圧を、ソースフォロワPMOSトランジスタ52をオフにするに十分低く引き下げる。結果として、高電圧カスケードトランジスタ48および54を通る電流は、完全なオン状態の間ではゼロに落ちる。高電圧カスケードトランジスタ48および54に供された相当のチップ領域は、コモンモード電圧変動を抑制する点で利益を生むが、完全にオン状態ではトランジスタの駆動電流には寄与しない。
【0036】
図3の実施形態は、ソースフォロワNMOSトランジスタ46とアンチパラレルであるコモンソースPMOSトランジスタ66を加えることにより、そしてソースフォロワPMOSトランジスタ52とアンチパラレンであるコモンソースNMOSトランジスタ68を加えることにより、トランスミッタの面積効率を改善する。トランジスタ66および68のゲートは、主要ドライバ出力トランジスタ16および18とパラレルに主要ドライバゲートドライバ14によってそれぞれ駆動される。トランジスタ66および68は、主要ドライバトランジスタ16および18と同じ時間でオンおよびオフし、そして高電圧カスケードトランジスタ48および54を通じて電流を伝導する。それらは、主要ドライバトランジスタとパラレルにコモンソース構成に接続されているので、それらのゲート対ソースコントロール電圧は、バスライン20および22上の電圧とは独立である。トランジスタ66および68は、バスライン20が高く引き上げられ、そしてバスライン22が低く引き下げられるとき、これらバス上の電圧がソースフォロワトランジスタ46および52をオフにするときでさえ、トランジスタ48および54を通じて電流を伝導し続ける。高電圧トランジスタ54および48は、ここで完全にオン状態にあるトランスミッタの駆動強度に寄与するので、主要ドライバトランジスタ16および18のサイズは低減され得、その一方、図2に示される実施形態と同じ出力駆動電流を達成する。
【0037】
図4は、本発明の第3の実施形態を示し、これは、図3の回路よりシンプルな回路で、図2の実施形態と比較して、ドライバ領域を低減するために使用され得る。この実施形態では、図3中の主要ドライバ14の高電圧トランジスタ16および18は完全になくされ、そして完全にオン状態の駆動電流は、コモン−ソース低電圧トランジスタ66および68、ならびにそれらに付随するオブションの高電圧カスケードトランジスタ48および54を通って流れる。これは、図3に示される実施形態と比較して回路を単純にし、その一方、オン状態出力電流を駆動するために高電圧カスケードトランジスタ48および54を完全に利用するその利点のいくつかを維持する。しかし、これらコモンソーストランジスタ66および68、ならびに高電圧カスケードトランジスタ48および54は、図3中のそれらの相当物より有意により大きくされなければならない。なぜなら、それは、ここで、主要ドライバトランジスタ16および18の不在下で十分な出力電流を駆動しなければならないからである。全FET面積は、図2の実施形態より小さくてもよく、その高電圧カスケードトランジスタ48および54の効率的でない使用で、しかし、全トランジスタ面積は、図3の実施形態におけるより大きくなるかも知れない。なぜなら、トランジスタ68および54、ならびにトランジスタ66および48のシリーズ組み合わせは、図3中の主要ドライバ14で使用されている単一のトランジスタ18およびトランジスタ16より、単位面積あたりより高い抵抗を有するからである。
【0038】
別の実施形態では、状態間の遷移の間のコモンモード電圧変動を低減する類似の利点が、ソースフォロワドライバが主要ドライバFETSと同時にスイッチされる場合に達成される。なぜなら、ソースフォロワドライバの低インピーダンスがバスラインに対するスイッチング影響に優越するからである。しかし、そのような種々のFETの遷移の正確なタイミングは実際の回路では比較的困難である。従って、そのような実施形態では、遅延回路60および62は必要ではない。
【0039】
本発明の特定の実施形態を示し、そして説明したが、変更物および改変物が、本発明から逸脱することなく、そのより広い局面でなされ得ることは当業者に明らかである。添付の請求項は、それらの範囲内にすべてのそのような変更物および改変物を、本発明の真実の思想および範囲内に入るとして包含する。
図1
図2
図3
図4