特許第6132487号(P6132487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132487
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】シート材の蛇行防止装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/032 20060101AFI20170515BHJP
   B65H 23/038 20060101ALI20170515BHJP
   B65H 18/10 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B65H23/032
   B65H23/038 Z
   B65H18/10
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-167599(P2012-167599)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-24661(P2014-24661A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101638
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 峰太郎
(72)【発明者】
【氏名】有北 礼治
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−200188(JP,A)
【文献】 特開昭57−038258(JP,A)
【文献】 特開平09−038724(JP,A)
【文献】 特開2010−13740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/08 〜 18/26
B65H 23/00 〜 27/00
A41H 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰出しローラーと中間ローラーとの間にパーツを載置して搬送するように巻取りローラーから繰出すシート材を、パーツの搬送後に、中間ローラーを経て巻取りローラーで巻取ることを繰返しながら、シート材を巻取る際に、蛇行の発生を防止するシート材の蛇行防止装置において
転駆動される巻取りローラー、軸回りに、回転可能に支持するローラー支持体と、
ローラー支持体を、中間ローラーの下方で、巻取りローラーの軸と平行な方向に摺動可能に支持するリニアガイドと、
リニアガイドを側方で支持し、上方で中間ローラーおよび繰出しローラーを支持するフレームと、
ローラー支持体に対し、巻取りローラーの軸と平行な方向の両側に設けられ、フレームに対してローラー支持体が軸と平行な方向の中間で平衡するように付勢する一対のばねと含み、
シート材は、中間ローラーの外周の少なくとも一部に沿って移動の方向を変え、
中間ローラーは、軸方向に摺動可能で、摺動が軸方向の中間で平衡するように、軸方向の両側からばね付勢される、
ことを特徴とするシート材の蛇行防止装置。
【請求項2】
前記ローラー支持体に固定され、前記巻取りローラーを回転駆動する回転駆動源を、
含むことを特徴とする請求項1記載のシート材の蛇行防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動するシート材を巻取る際に蛇行防止を図る、シート材の蛇行防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、布帛などのシート材を裁断機でパーツに裁断する生地として使用する場合、複数枚を積層した状態で行うので、生地の原反ロールから一定の長さに切断して積層する装置が使用されている(たとえば、特許文献1参照)。このような装置では、生地を載置して搬送するシート材を複数のローラー間の一方から繰出して他方で巻取り、他方から繰出して一方で巻取る動作が繰返される。シート材がローラー間を移動する際に蛇行が生じると、巻取る側のローラーに巻きずれが生じる。シート材の移動方向を切換えながら、巻取りと繰出しとを繰返すと、巻きずれの程度が拡大し、シート材にしわが寄って変形してしまう。また、搬送の際にシート材に張力を加えると、しわが寄った状態では、破損に至るおそれがある。シート材が変形したり破損したりすると、搬送する生地にも、積層の際に位置ずれなどが生じるおそれがある。
【0003】
シート材を搬送する際に生じる蛇行を防止する技術は、種々提案されている。圧力定着ローラー方式の複写機では、定着ローラー間に挿入されるロール紙が蛇行するとラック模様が発生するので、定着ローラーの前に設けるローラーで補正するロール紙蛇行補正装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−013740号公報
【特許文献2】特開昭57−038258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に示す蛇行補正は、定着ローラーの前に設けるローラーを、軸方向に摺動可能にしておき、摺動時に戻すように付勢するバネを設けて行っている。ロール紙の蛇行時には、蛇行によるずれの方向に、軸方向に摺動するローラーも摺動し、バネ付勢と平衡して、このローラーと定着ローラーとの間では蛇行が補正されると考えられる。このため、蛇行時にロール紙が定着ローラー間を通るとラック模様が発生しても、蛇行を補正すればラック模様が発生しなくなると推定される。
【0006】
しかしながら、特許文献1のような生地の積層装置では、特許文献2の技術を利用しようとしても、蛇行が発生すると、ローラーに巻取られるシート材が軸方向にずれて、巻きずれとなってしまうおそれがある。巻取られるシート材に巻きずれが生じると、巻取られたシート材を繰出す際に蛇行し、さらに搬送方向を反転して巻取る際に、蛇行の程度が大きくなってしまうおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、シート材が移動する際に、特に巻取る側での蛇行防止が可能な、シート材の蛇行防止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、繰出しローラーと中間ローラーとの間にパーツを載置して搬送するように巻取りローラーから繰出すシート材を、パーツの搬送後に、中間ローラーを経て巻取りローラーで巻取ることを繰返しながら、シート材を巻取る際に、蛇行の発生を防止するシート材の蛇行防止装置において
転駆動される巻取りローラー、軸回りに、回転可能に支持するローラー支持体と、
ローラー支持体を、中間ローラーの下方で、巻取りローラーの軸と平行な方向に摺動可能に支持するリニアガイドと、
リニアガイドを側方で支持し、上方で中間ローラーおよび繰出しローラーを支持するフレームと、
ローラー支持体に対し、巻取りローラーの軸と平行な方向の両側に設けられ、フレームに対してローラー支持体が軸と平行な方向の中間で平衡するように付勢する一対のばねと含み、
シート材は、中間ローラーの外周の少なくとも一部に沿って移動の方向を変え、
中間ローラーは、軸方向に摺動可能で、摺動が軸方向の中間で平衡するように、軸方向の両側からばね付勢される、
ことを特徴とするシート材の蛇行防止装置である。
【0009】
また本発明は、前記ローラー支持体に固定され、前記巻取りローラーを回転駆動する回転駆動源を、
含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シート材を巻取る巻取りローラーは、回転可能に支持するローラー支持体が軸方向に摺動可能なので、シート材に蛇行が発生すると、蛇行でずれる方向にローラー支持体とともに巻取りローラーもずれて、巻取られるシート材に巻きずれが生じないようにすることができる。巻取られたシート材を繰出す際には、軸方向の両側からばね付勢されて、軸方向の中間で平衡するローラー支持体で支持される巻取りローラーから繰出す。巻取りの際に蛇行が生じても、繰出しの際には蛇行の影響を受けないので、巻取りと繰出しとを繰返しても、蛇行の発生を防止することが可能となる。
また、軸方向に摺動可能で、軸方向の中間で平衡するように、軸方向の両側からばね付勢される中間ローラーを、シート材の移動に関して、巻取りローラーの上流側に設ける。シート材に蛇行が発生しても、中間ローラーで蛇行を補正して巻取りローラーで巻取ることができるので、蛇行の影響を一層低減させて巻取ることができる。
【0012】
また本発明によれば、巻取りローラーの回転駆動源をローラー支持体に固定するので、回転駆動力の伝動が摺動の影響を受けなくなり、回転駆動力を巻取りローラーに与えながら、蛇行防止のための摺動を迅速に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施例としてのシート材の蛇行防止装置1の概略的な構成を模式的に示す正面図および右側面図である。
図2図2は、図1のシート材の蛇行防止装置1に使用される巻取りユニット10の構成を模式的に示す平面図、正面図および部分的な右側面図である。
図3図3は、図1のシート材の蛇行防止装置1のフレーム5の部分的な構成を模式的に示す平面図、正面図および右側面図である。
図4図4は、図1のシート材の蛇行防止装置1でシート材の蛇行を防止する動作原理を示す模式的な図である。
図5図5は、図2の巻取りユニット10を組込んだシート材の積層装置20の概略的な構成を示す斜視図である。
図6図6は、図5のシート材の積層装置20について、動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図6で、本発明の一実施例としてのシート材の蛇行防止装置1の構成および動作を示す。説明の便宜上、説明対象の図には記載されていない部分について、他の図に記載される参照符を付して言及する場合がある。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例としてのシート材の蛇行防止装置1の概略的な構成を模式的に示す。図1(a)は正面から見た構成、図1(b)は図1(a)切断面線B−Bから見た構成をそれぞれ示す。
【0017】
シート材の蛇行防止装置1は、巻取りローラー2と繰出しローラー3とを含む。シート材4は、巻取りローラー2と繰出しローラー3との間を移動する。シート材4が移動する方向は、繰出しローラー3から巻取りローラー2の方向と、巻取りローラー2から繰出しローラー3の方向との間で、転換可能であり、転換の繰返しによる複数回の往復移動も可能である。シート材の蛇行防止装置1は、特に、繰出しローラー3から巻取りローラー2の方向に移動するシート材4を巻取りローラー2で巻取る際に蛇行の発生を防止する。
【0018】
巻取りローラー2は、軸2a方向に摺動可能で、摺動が軸2a方向の中間で平衡するように、軸2a方向の両側からばね2bで付勢されるとともに、シート材4の移動方向の下流側となるので、シート材4を巻取るように回転駆動される。繰出しローラー3は、巻取りローラー2で巻取られるシート材4を繰出す。
【0019】
シート材の蛇行防止装置1のフレーム5は、設置場所の床上に固定され、テーブル6を水平に支える。後述するように、シート材の蛇行防止装置1をシート材の積層装置20に適用する場合、巻取りローラー2は、テーブル6の端部の下方に設けられる。テーブル6の端部には、フレーム5で支持されるスタンド5aで中間ローラー7が設けられる。後述するように、繰出しローラー3は、テーブル6上方の空間を移動しながら、シート材4の巻取りや繰出しを行う。
【0020】
巻取りローラー2は、その回転駆動源となるサーボモーター8および伝動機構9とともに、巻取りユニット10に組込まれる。ばね2bによる巻取りローラー2の軸2a方向の付勢は、巻取ユニット10のローラー支持体11に対して行われる。巻取りユニット10では、ローラー支持体11で巻取りローラー2の軸2aの両端が中心線2cまわりの回転が可能な状態で支持される。伝動機構9は、サーボモーター8の出力軸に取付けられるプーリー9a、プーリー9aに下端が懸る無端のベルト9b、およびベルト9bの上端が懸るプーリー9cを含む。プーリー9cは、巻取りローラー2の軸2aに取付けられる。
【0021】
ローラー支持体11は、フレーム5に対し、リニアガイド12で軸2a方向への摺動が可能なように支持される。リニアガイド12は、ローラー支持体11側に取付けられる可動子12aと、フレーム5側に取付けられる固定子12bとの組合せで、ローラー支持体11を軸2a方向への摺動が円滑に行われるように案内する。固定子12bは、取付板13を介して、フレーム5に取付けられる。
【0022】
前述の巻取ローラー2に対する軸2a方向の両側からのばね2bによる付勢は、ローラー支持体11に対して、軸2aと平行な方向に行われる。巻取りローラー2の軸2a方向の両側で、一対のばね2bは、一端をローラー支持体11に接続され、他端をフレーム5の図示しない部分に固定される。
【0023】
中間ローラー7は、巻取りローラー2と繰出しローラー3との間に設けられる。繰出しローラー3から巻取りローラー2の方向に移動するシート材4に関して、中間ローラー7は、巻取りローラー2の上流側となる。シート材4は、中間ローラー7の外周の少なくとも一部に沿って移動の方向を変え、繰出しローラー3と中間ローラー7との間でのほぼ水平な状態から、中間ローラー7で90度よりも小さい角度で曲がって、下方の巻取りローラー2に向う。中間ローラー7は、軸7a方向に摺動可能で、摺動が軸7a方向の中間で平衡するように、一端側がスタンド5aに固定されるばね7bの他端側で、軸7aと平行な方向に付勢される。中間ローラー7の中心線7cは、巻取りローラー2の中心線2cと平行である。
【0024】
図2は、巻取りユニット10の構成を模式的に示す。図2(a)に示すように、ばね2bは、巻取りローラー2の中心線2c上ではなく、中心線2cから離れた位置で、中心線2cと平行となるように、ローラー支持体11を介して巻取りユニット10を付勢する。図2(b)に示すように、巻取りローラー2とその回転駆動源であるサーボモーター8とを組込んだ巻取りユニット10を、ばね2bで軸2a方向に摺動させる。回転駆動力の伝動機構9が摺動の影響を受けないので、回転駆動力を巻取りローラー2に与えながら、蛇行防止のための摺動を迅速に行わせることができる。なお、図2(c)に示すように、巻取りユニット10にはリニアガイド12が取付けられ、摺動の一層の円滑化が図られている。
【0025】
なお、伝動機構9は、複数の歯車を組合わせて実現することもできる。たとえば、巻取りローラー2に、軸2a方向に長い歯車を設ければ、この歯車に噛合する中間の歯車が軸2a方向に関して固定されていても、摺動する軸2aに、回転駆動力を伝動することが可能になる。このような構成では、回転駆動源となるサーボモーター8や中間の歯車をフレーム5に固定させ、摺動しないようにすることができる。
【0026】
図3は、フレーム5の部分的な構成を模式的に示す。固定子12bは、巻取りユニット10をリニアガイド12で摺動させる範囲に対応するように設けられる。図3(c)に示すように、スタンド5aは、フレーム5の端部よりも外方まで張出している。このため、フレーム5の固定子12bに嵌合する移動子12aが取付けられる巻取りユニット10は、スタンド5aで張出した端部よりも内方に寄る。シート材の蛇行防止装置1を備える装置を、他の装置に接続するような場合、端部に存在しない巻取りユニット10は他の装置側に突出することがなく、接続の障害とはなりにくくなる。
【0027】
図4は、シート材の蛇行防止装置1でシート材4の蛇行を防止する動作原理を示す。巻取りローラー2は、軸2a方向に摺動可能なので、シート材4に蛇行が発生すると、蛇行でずれる方向に巻取りローラー2もずれて、巻取られるシート材4に巻きずれが生じないようにすることができる。たとえば、巻取りユニット10の巻取りローラー2にシート材4を巻取る際に、図の右方向への蛇行が発生する場合を想定する。巻取りローラー2も蛇行によるシート材4の張力変化に追従して右方にずれて蛇行を補正するので、巻取られたシート材4には、巻きずれが発生しない。巻取られたシート材4を繰出す際には、軸2a方向の両側からばね2bで付勢されて、軸2a方向の中間で平衡する状態の巻取りローラー2から繰出す。巻取りの際に蛇行が生じても、繰出しの際には蛇行の影響を受けないので、巻取りと繰出しとを繰返すような場合にも、蛇行の発生を防止することが可能となる。また、シート材の蛇行防止装置1では、巻取りローラー2にシート材4を1回だけ巻取るだけであったとしても、シート材4を巻取った巻取りローラー2は、他の装置に移動させて、シート材4を繰出すことが想定される。このような場合でも、本発明を適用すれば、蛇行の発生を有効に防止することができる

【0028】
図5は、図1のシート材の蛇行防止装置1を適用する例として、図2の巻取りユニット10を組込んだシート材の積層装置20の概略的な構成を示す。シート材の積層装置20は、布帛などのシート材をパーツに裁断する裁断機の搬出側に接続して用いられ、シート材4を搬送ベルトとして使用して、裁断機で裁断されたパーツ21aを搬送する。シート材4は、テーブル6の上方を、裁断機に接続される基端側から先端側に伸長して移動する。シート材4上では、パーツ21aを載置させる状態で搬送する。展開したシート材4を収容させながら基端側に戻す際に、シート材4の先端からパーツ21aをテーブル6の表面に移行させて、テーブル6の表面にパーツ21bとして積層させる。
【0029】
繰出しローラー3は、ゲート22に取付けられ、サーボモーター23で回転駆動される。ゲート22は、テーブル6の両側方に設けられるベルト24で、矢符22aとして示すように、テーブル6の基端側と先端側との間を移動可能な状態で、フレーム5によって支持される。繰出しローラー3は、シート材4の先端側の巻取りと巻戻しとの両方が可能なように、ゲート22に回転可能な状態で支持される。サーボモーター23は、巻取りローラー2を回転駆動するサーボモーター8、およびベルト24を駆動するサーボモーターとともに、コントローラー20aによって制御される。
【0030】
図6は、シート材の積層装置20について、裁断機の搬出テーブル30に接続して行う動作を模式的に示す。図6(a)では、ゲート22をテーブル6の先端側に移動させながら、サーボモーター23で繰出しローラー3の軸をロックして固定し、シート材4を巻取りローラー2から引出す。巻取りローラー2を回転駆動するサーボモーター8では、引出す方向とは逆方向となる巻取り方向にトルクを印加して、引出すシート材4のテンションを確保する制御を行う。裁断機の裁断テーブルが無端コンベアとして搬送の機能を有していれば、シート材4を引張るゲート22の移動速度とコンベアの搬送速度とを同期させて、パーツ21cの移動を円滑に行うことができる。特に、シート材4上にパーツ21cが搬入される初期には、裁断機側での搬送が必要となる。シート材4上にパーツ21cがある程度搬入されると、裁断機側では搬出テーブルなどで搬送が行われなくなっても、シート材4に後続のパーツ21cを引入れることができる。
【0031】
図6(b)では、シート材4上にパーツ21cが搬入されて、搬送対象のパーツ21aとなる状態で、テーブル6上に積層すべきパーツ21bの位置を過ぎると、ゲート22を停止させる。繰出しローラー3の軸固定と、巻取りローラー2への巻取り方向へのトルク印加とに対する制御は継続する。搬出テーブル30上には、次のパーツ21cが送り込まれている。
【0032】
図6(c)では、テーブル6の基端側へゲート22を移動させる。この移動速度は、図6(a)よりも高速にすることができる。繰出しローラー3は、ゲート22の移動に同期して、シート材4を巻取る。巻取りローラー2は固定されるけれども、巻取りローラー2への巻取り方向トルクの印加によるシート材4のテンション確保の制御は継続する。シート材21aは、先端からテーブル6上に降り始める。
【0033】
図6(d)では、パーツ21aの全体がテーブル6上のパーツ21b上に降りた位置で、ゲート22を停止する。既にテーブル6の表面上にパーツ21bが積層されていれば、その上にパーツ21aが重なる。繰出しローラー3によるシート材4の巻取りも停止する。巻取りローラー2への巻取り方向トルクの印加は継続する。
【0034】
図6(e)では、繰出しローラー3に巻取られているシート材4を繰出して、巻取りローラー2で巻取る。巻取りローラー2を含む巻取りユニット10は、前述のようなシート材蛇行防止装置1として機能するので、シート材4を高速で巻取っても、蛇行による巻きずれが発生しない。また、繰出しローラー3と巻取りローラー2との間の距離が近いので、巻戻す速度を高速化して、時間短縮を図ることができる。巻取りローラー2では巻取るための回転駆動を行う。なお、次のパーツ21cの先端と繰出しローラー3との距離をオフセットΔLとして、この分のシート材4は繰出しローラー3に残しておく。繰出しローラー3では、巻取り方向のトルクを印加して、シート材4のテンションを確保する制御を行う。
【0035】
図6(f)では、オフセット分のシート材4を繰出しローラー3から繰出しながら、ゲート22をテーブル6の先端側に移動させる。巻取りローラー2には、シート材4のテンションを確保するための巻取り方向トルクを印加しておく。繰出しローラー3からオフセット分のシート材4が繰出されると、図6(a)の状態に戻り、次のパーツ21cを搬送して積層する動作が開始される。
【0036】
図1のシート材の蛇行防止装置1は、図5および図6に示すシート材の積層装置20で、搬送ベルトを巻取る際の蛇行防止ばかりではなく、各種素材のシート材を巻取る場合にも有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 シート材の蛇行防止装置
2 巻取りローラー
2a,7a 軸
2b,7b ばね
2c,7c 中心線
3 繰出しローラー
4 シート材
5 フレーム
6 テーブル
7 中間ローラー
8,23 サーボモーター
10 巻取りユニット
11 ローラー支持体
12 リニアガイド
20 シート材の積層装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6