特許第6132505号(P6132505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132505
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物及び感光性樹脂積層体
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20170515BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20170515BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   G03F7/004 501
   G03F7/004 512
   G03F7/033
   H05K3/28 D
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-222965(P2012-222965)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-74834(P2014-74834A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小坂 隼也
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−039178(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/026927(WO,A1)
【文献】 特開2011−170098(JP,A)
【文献】 特開2013−148804(JP,A)
【文献】 特開2005−195758(JP,A)
【文献】 特開2010−009913(JP,A)
【文献】 特開2012−177911(JP,A)
【文献】 特開2012−212039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
(A)アルカリ可溶性高分子:10質量%〜90質量%;
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:5質量%〜70質量%;及び
(C)光重合開始剤:0.01質量%〜20質量%;
を含む感光性樹脂組成物であって、
該(A)アルカリ可溶性高分子が酸当量100〜600及び重量平均分子量5,000〜500,000を有し、
該感光性樹脂組成物中にスルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とが存在し、
該感光性樹脂組成物中に、該ヒンダードフェノール構造を有する化合物として下記一般式(3):
【化1】
{式中、R8は、置換されていてもよい、炭素数が2以上の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表し、そしてR9、R10及びR11は、各々独立に、水素、又は、置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基若しくは2価の連結基を介したアリール基を表す。}で表される化合物を含み、
該感光性樹脂組成物中の1kg当たりに含まれるスルフィド基量が4mmol/g〜10mmol/kg(但し、該感光性樹脂組成物中の1kg当たりに含まれるスルフィド基量が5.5mmol/kgの場合を除く)である、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
以下の:
(A)アルカリ可溶性高分子:10質量%〜90質量%;
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:5質量%〜70質量%;及び
(C)光重合開始剤:0.01質量%〜20質量%;
を含む感光性樹脂組成物であって、
該(A)アルカリ可溶性高分子が酸当量100〜600及び重量平均分子量5,000〜500,000を有し、
該感光性樹脂組成物中にスルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とが存在し、
該感光性樹脂組成物中に、該ヒンダードフェノール構造を有する化合物として下記一般式(3):
【化2】
{式中、R8は、置換されていてもよい、炭素数が2以上の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表し、そしてR9、R10及びR11は、各々独立に、水素、又は、置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基若しくは2価の連結基を介したアリール基を表す。}で表される化合物を含み、
該感光性樹脂組成物中の1kg当たりに含まれるスルフィド基量が4mmol/kg〜10mmol/kgであり、
該(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、ビスフェノールAをアルキレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(D)スルフィド構造若しくはヒンダードフェノール構造又はこれらの組合せを含む添加剤:0.001質量%〜10質量%;
をさらに含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(D)添加剤がスルフィド構造を有する化合物である、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(D)添加剤がヒンダードフェノール構造を有する化合物である、請求項又はに記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物中の1kg当たりに含まれるヒンダードフェノール基量が35mmol/kg以上500mmol/kg以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
支持層と、該支持層上に積層された請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層とを含む、感光性樹脂積層体。
【請求項8】
請求項7に記載の感光性樹脂積層体を基材に積層する積層工程、該感光性樹脂積層体の感光性樹脂層を露光する露光工程、及び該感光性樹脂層の未露光部を現像除去する現像工程を含む、レジストパターンの製造方法。
【請求項9】
前記露光工程を、描画パターンの直接描画により行う、請求項8に記載のレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物、等に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン又は携帯電話等の電子機器には、部品又は半導体等を実装するためにプリント配線板等が用いられる。プリント配線板等の製造用レジストとしては、従来、支持フィルム上に感光性樹脂層を積層し、さらに該感光性樹脂層上に必要に応じて保護フィルムを積層して成る感光性樹脂積層体、いわゆるドライフィルムレジスト(以下、DFと呼ぶこともある)が用いられている。感光性樹脂層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。DFを用いてプリント配線板等を作製するには、保護フィルムが有る場合には、まず保護フィルムを剥離した後、銅張積層板又はフレキシブル基板等の永久回路作製用基板上にラミネーター等を用いてDFをラミネートし、配線パターンマスクフィルム等を通して露光を行う。次に、必要に応じて支持フィルムを剥離し、現像液により未露光部分(ネガ型の場合)の感光性樹脂層を溶解、若しくは分散除去し、基板上に硬化レジストパターン(以下、単にレジストパターンと呼ぶこともある)を形成させる。
【0003】
レジストパターン形成後回路を形成させるプロセスは、大きく2つの方法に分かれる。第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない基板表面(例えば銅張積層板の銅面)をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法(エッチング法)である。第二の方法は、レジストパターンによって覆われていない基板表面(例えば銅面)に銅、半田、ニッケル、スズ等のメッキ処理を行った後、同様にレジストパターン部分を除去し、さらに現れた基板表面(例えば銅張積層板の銅面)をエッチングする方法(メッキ法)である。エッチングには塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液等が用いられる。
【0004】
このような製造工程において、生産性向上のために高感度化が強く求められている。更に近年では、電子機器の小型化及び軽量化に伴い、プリント配線板の微細化及び高密度化が進んでおり、解像性等に優れた高性能DFが求められている。
【0005】
このような高感度と高解像性の両方を実現させる感光性樹脂組成物として、特許文献1には、ヘキサアリールビイミダゾール、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、及びビニルウレタン化合物を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−176253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術は、解像性を満足するものではなく、なお改良の余地を有するものであった。
【0008】
従って、本発明は、解像性に優れた感光性樹脂積層体を形成できる感光性樹脂組成物、を提供すること、並びに該感光性樹脂積層体、及びこれを用いたレジストパターンの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究し実験を重ねた結果、以下の技術的手段により係る課題を解決することができることを見出した。
すなわち、以下の通りのものである。
【0010】
[1] 以下の:
(A)アルカリ可溶性高分子:10質量%〜90質量%;
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:5質量%〜70質量%;及び
(C)光重合開始剤:0.01質量%〜20質量%;
を含む感光性樹脂組成物であって、
該(A)アルカリ可溶性高分子が酸当量100〜600及び重量平均分子量5,000〜500,000を有し、
該感光性樹脂組成物中に、スルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とが存在している、感光性樹脂組成物。
[2] (D)スルフィド構造若しくはヒンダードフェノール構造又はこれらの組合せを含む添加剤:0.001質量%〜10質量%;
をさらに含む、上記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3] 該(D)添加剤がスルフィド構造を有する化合物である、上記[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4] 該(D)添加剤がヒンダードフェノール構造を有する化合物である、上記[2]又は[3]に記載の感光性樹脂組成物。
[5] 支持層と、該支持層上に積層された上記[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層とを含む、感光性樹脂積層体。
[6] 上記[5]に記載の感光性樹脂積層体を基材に積層する積層工程、該感光性樹脂積層体の感光性樹脂層を露光する露光工程、及び該感光性樹脂層の未露光部を現像除去する現像工程を含む、レジストパターンの製造方法。
[7] 該露光工程を、描画パターンの直接描画により行う、上記[6]に記載のレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、解像性に優れた感光性樹脂積層体を形成できる感光性樹脂組成物を提供すること、並びに該感光性樹脂積層体、及びこれを用いたレジストパターンの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための例示の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0013】
実施の形態では、感光性樹脂組成物は、以下の(A)〜(C)の各成分:(A)アルカリ可溶性高分子:10質量%〜90質量%、酸当量100〜600であり、かつ重量平均分子量は5,000〜500,000;(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物:5質量%〜70質量%;及び(C)光重合開始剤:0.01質量%〜20質量%;を含む感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物中にスルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とが存在している。以下、各成分を順に説明する。
【0014】
<(A)アルカリ可溶性高分子>
(A)アルカリ可溶性高分子はアルカリ物質に溶け易い高分子であり、典型的にはカルボキシル基含有単量体を共重合成分として含む高分子である。また、(A)アルカリ可溶性高分子の酸当量は100〜600であり、好ましくは250〜450である。酸当量とは、その分子中に1当量のカルボキシル基を有する線状重合体の質量(グラム)を言う。(A)アルカリ可溶性高分子中のカルボキシル基は、感光性樹脂層にアルカリ水溶液に対する現像性及び剥離性を与えるために必要である。酸当量を100以上にすることは、現像耐性、解像性及び密着性を向上させる観点から有利であり、そして酸当量を250以上にすることが好ましい。一方で、酸当量を600以下にすることは、現像性及び剥離性を向上させる観点から有利であり、そして酸当量を450以下にすることが好ましい。
【0015】
(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、5,000〜500,000である。重量平均分子量を500,000以下にすることは、解像性及び現像性を向上させる観点から有利であり、重量平均分子量を300,000以下にすることが好ましく、200,000以下にすることが更に好ましい。一方で、重量平均分子量を5,000以上にすることは、現像凝集物の性状、並びに感光性樹脂積層体とした場合のエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御する観点から有利であり、重量平均分子量を10,000以上にすることが好ましく、20,000以上にすることが更に好ましい。エッジフューズ性とは、感光性樹脂積層体をロール状に巻き取った場合にロールの端面から感光性樹脂組成物層がはみ出す現象をいう。カットチップ性とは未露光膜をカッターで切断した場合にチップが飛ぶ現象をいう。このチップが感光性樹脂積層体の上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して不良品の原因となる。(A)アルカリ可溶性高分子の分散度(分子量分布と呼ぶこともある)(上記の重量平均分子量、及びこれと同様に得た数平均分子量とから算出される)は1〜6程度でよく、好ましくは1〜4である。
【0016】
(A)アルカリ可溶性高分子は、後述する第一の単量体の一種以上及び後述する第二の単量体の一種以上を含み、より好ましくはこれらから成る共重合成分の共重合体であることが好ましい。
【0017】
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸又は酸無水物である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。特に(メタ)アクリル酸が好ましい。本明細書では、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを示す。以下同様である。
【0018】
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基を少なくとも一個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビニルアルコールのエステル類、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、及びスチレン誘導体等が挙げられる。中でも、レジストパターンの解像性及び密着性を向上させる観点から、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。レジストパターンの解像性及び密着性を向上させる観点から、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0019】
重合成分の組合せの好適例としては、メチルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン等が挙げられる。
【0020】
第一の単量体及び第二の単量体の共重合割合としては、共重合成分100質量%のうち、第一の単量体が10質量%〜60質量%であり、かつ第二の単量体が40質量%〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは第一の単量体が15質量%〜35質量%であり、かつ第二の単量体が65質量%〜85質量%である。
【0021】
(A)アルカリ可溶性高分子の合成は、第一の単量体と第二の単量体との混合物を、アセトン、メチルエチルケトン、又はイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱攪拌することにより行われることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
【0022】
(A)アルカリ可溶性高分子の感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は、10質量%〜90質量%の範囲であり、好ましくは30質量%〜70質量%であり、より好ましくは40質量%〜60質量%である。感光性樹脂組成物に対する(A)アルカリ可溶性高分子の割合を90質量%以下にすることは現像時間を制御する観点から有利であり、一方で、感光性樹脂組成物に対する(A)アルカリ可溶性高分子の割合を10質量%以上にすることはエッジフューズ性を向上させる観点から有利である。
【0023】
<(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物>
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、硬化性及び(A)アルカリ可溶性高分子との相溶性の観点から、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。
【0024】
例えば、ポリアルキレンオキシドの片方の末端に(メタ)アクリル酸を付加した化合物又は、片方の末端に(メタ)アクリル酸を付加し、他方の末端をアルキルエーテル又はアリルエーテル化したもの等を挙げることができる。
【0025】
このような化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールをフェニル基に付加した化合物の(メタ)アクリレートであるフェノキシヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、又は平均2モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールと平均7モルのエチレンオキシドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物の(メタ)アクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、平均1モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールと平均5モルのエチレンオキシドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物の(メタ)アクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシペンタエチレングリコールモノプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。このような化合物としては、例えば、平均8モルのエチレンオキシドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物の(メタ)アクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製、M−114)も挙げられる。
【0026】
このような化合物としては、例えば、アルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又はエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖とがランダム若しくはブロックで結合したアルキレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物等を挙げることができる。
【0027】
このような化合物としては、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、12モルのエチレンオキシド鎖の両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができる。化合物中にエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とを含むポリアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、平均12モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキシドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレート、平均18モルのプロピレンオキシドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキシドをさらに両端にそれぞれ平均15モル付加したグリコールのジメタクリレート等が挙げられる。
【0028】
また、ビスフェノールAをアルキレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物が、解像性及び密着性の観点では好ましい。アルキレンオキシド変性にはエチレンオキシド変性、プロピレンオキシド変性、ブチレンオキシド変性、ペンチレンオキシド変性、へキシレンオキシド変性等がある。ビスフェノールAをエチレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物が、好ましい。このような化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−200)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等の2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。さらに、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキシドと平均6モルのエチレンオキシドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、又はビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキシドと平均15モルのエチレンオキシドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等のように、エチレンオキシド変性及びプロピレンオキシド変性した化合物も好ましい。ビスフェノールAをアルキレンオキシド変性することにより両末端に(メタ)アクリロイル基を有している化合物中のエチレンオキシドのモル数は、解像性、密着性及び柔軟性を向上させる観点から、10モル以上30モル以下が好ましい。
【0029】
例えば、一分子中に2個を超える(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、中心骨格として分子内にアルキレンオキシド基を付加させることができる基(例えば水酸基)を3つ以上有する化合物を用い、これにエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基又はブチレンオキシド基等のアルキレンオキシド基を付加させ、得られたアルコールを(メタ)アクリル酸と反応させて(メタ)アクリレートとすることで得られる。中心骨格になることができる化合物としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、イソシアヌレート環等を挙げることができる。
【0030】
一分子中に2個を超える(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド(EO)3モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのEO6モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのEO9モル変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンのEO12モル変性トリアクリレート等を挙げることができる。このような化合物としては、例えば、グリセリンのEO3モル変性トリアクリレート(例えば新中村化学工業(株)製A−GLY−3E)、グリセリンのEO9モル変性トリアクリレート(例えば新中村化学工業(株)製A−GLY−9E)、グリセリンのEO6モル及びプロピレンオキシド(PO)6モル変性トリアクリレート(例えば新中村化学工業(株)製A−GLY−0606PE)、グリセリンのEO9モルPO9モル変性トリアクリレート(例えば新中村化学工業(株)製A−GLY−0909PE)等、ペンタエリスリトールの4EO変性テトラアクリレート(例えばサートマージャパン(株)社製SR−494)、ペンタエリスリトールの35EO変性テトラアクリレート(例えば新中村化学工業(株)社製NKエステルATM−35E)等を挙げることができる。
【0031】
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、上記の化合物以外にも、以下に挙げる化合物等を適宜含むことができる。例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシポリプロピレンオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(4−(メタ)アクリロキシポリブチレンオキシ)フェニル]プロパン、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに以下のようなウレタン化合物も挙げられる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート又はその他のジイソシアネート化合物(例えば、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)と、一分子中にヒドロキシル基及び(メタ)アクリル基を有する化合物、例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレートとのウレタン化合物が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(例えば日本油脂(株)製、ブレンマーPP1000)との反応生成物がある。また、ポリプロピレングリコール又はポリカプロラクトンにより変性したイソシアヌル酸エステルのジ又はトリ(メタ)アクリレート等も挙げられる。また、例えばジイソシアネートとポリオールとの重付加物として得られるウレタン化合物の末端とエチレン性不飽和二重結合及びヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られるウレタンオリゴマー等も挙げることができる。
【0032】
(B)エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は、5質量%〜70質量%である。この割合を5質量%以上にすることは、感度、解像性及び密着性の観点から有利であり、一方で、この割合を70質量%以下にすることは、エッジフューズ及び硬化レジストの剥離遅延を抑えるという観点から有利であり、この割合を50質量%以下にすることがより好ましい。
【0033】
<(C)光重合開始剤>
(C)光重合開始剤としては、感光性樹脂組成物の分野で光重合開始剤として一般的に用いられる化合物を使用できるが、特に、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N−アリール−α−アミノ酸化合物、キノン類、芳香族ケトン類、アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキシド類、ベンゾイン又はベンゾインエーテル類、ジアルキルケタール類、チオキサントン類、ジアルキルアミノ安息香酸エステル類、オキシムエステル類、アクリジン類、ピラゾリン誘導体、N−アリールアミノ酸のエステル化合物、及びハロゲン化合物等が挙げられる。
【0034】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルビイミダゾール、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール等が挙げられる。
【0035】
N−アリール−α−アミノ酸化合物としては、例えば、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等が挙げられる。特にN−フェニルグリシンは増感効果が高く好ましい。
【0036】
キノン類としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン等を挙げることができる。
【0037】
芳香族ケトン類としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビ
ス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェ
ノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0038】
アセトフェノン類としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等を挙げることができる。アセトフェノン類の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア−907、イルガキュア−369、及びイルガキュア−379を挙げることができる。
【0039】
アシルフォスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフォンオキシド等が挙げられる。アシルフォスフィンオキシド類の市販品としては、例えば、BASF社製のルシリンTPO、及びチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア−819が挙げられる。
【0040】
ベンゾイン又はベンゾインエーテル類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等を挙げることができる。
【0041】
ジアルキルケタール類としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等を挙げることができる。
【0042】
チオキサントン類としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロルチオキサントン等を挙げることができる。
【0043】
ジアルキルアミノ安息香酸エステル類としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジエチルアミノ安息香酸エチル、エチル−p−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート等を挙げることができる。
【0044】
オキシムエステル類としては、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等が挙げられる。オキシムエステル類の市販品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のCGI−325、イルガキュア−OXE01、及びイルガキュア−OXE02が挙げられる。
【0045】
アクリジン類としては、例えば、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン、9−フェニルアクリジン、9−メチルアクリジン、9−エチルアクリジン、9−クロロエチルアクリジン、9−メトキシアクリジン、9−エトキシアクリジン、9−(4−メチルフェニル)アクリジン、9−(4−エチルフェニル)アクリジン、9−(4−n−プロピルフェニル)アクリジン、9−(4−n−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(4−メトキシフェニル)アクリジン、9−(4−エトキシフェニル)アクリジン、9−(4−アセチルフェニル)アクリジン、9−(4−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(4−クロロフェニル)アクリジン、9−(4−ブロモフェニル)アクリジン、9−(3−メチルフェニル)アクリジン、9−(3−tert−ブチルフェニル)アクリジン、9−(3−アセチルフェニル)アクリジン、9−(3−ジメチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−ジエチルアミノフェニル)アクリジン、9−(3−クロロフェニル)アクリジン、9−(3−ブロモフェニル)アクリジン、9−(2−ピリジル)アクリジン、9−(3−ピリジル)アクリジン、9−(4−ピリジル)アクリジン等を挙げることができる。これらの中では、感度、解像性、入手性等の点で、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン又は9−フェニルアクリジンが好ましく、9−フェニルアクリジンがより好ましい。
【0046】
ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−エトキシ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1,5−ビス−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−ドデシル−フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−tert−オクチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(2,4−ジブチル−フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン等が挙げられる。
【0047】
また、ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−フェニル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジ−n−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(3,4−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−フェニル−ピラゾリン、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン等が挙げられる。
【0048】
更に、ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−ドデシル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−オクチル−スチリル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−オクチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−ドデシル−スチリル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチルスチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,6−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(2,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(2,6−ジ−n−ブチル−スチリル)−5−(2,6−ジ−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(5,7−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−スチリル−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(5−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−フェニル−ピラゾリン、1−(4−(4,6−ジ−tert−ブチル−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−スチリル)−5−(3,5−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−アミノ−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−N−エチル−フェニル)−ピラゾリン、及び1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−N,N−ジエチル−フェニル)−ピラゾリン等が挙げられる。
【0049】
更に、ピラゾリン誘導体としては、例えば、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−n−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−イソブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−n−ペンチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−イソペンチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ネオペンチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ヘキシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ヘプチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−n−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ノニル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−デシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ウンデシル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−ドデシル−フェニル)−ピラゾリン等が挙げられる。
【0050】
上記で列挙されたピラゾリン誘導体の中でも、密着性及びレジストパターンの矩形性の観点から、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン及び1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
【0051】
N−アリールアミノ酸のエステル化合物としては、例えば、N−フェニルグリシンのメチルエステル、N−フェニルグリシンのエチルエステル、N−フェニルグリシンのn−プロピルエステル、N−フェニルグリシンのイソプロピルエステル、N−フェニルグリシンの1−ブチルエステル、N−フェニルグリシンの2−ブチルエステル、N−フェニルグリシンのtertブチルエステル、N−フェニルグリシンのペンチルエステル、N−フェニルグリシンのヘキシルエステル、N−フェニルグリシンのペンチルエステル、N−フェニルグリシンのオクチルエステル等が挙げられる。
【0052】
ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、クロル化トリアジン化合物、ジアリルヨードニウム化合物等が挙げられ、とりわけトリブロモメチルフェニルスルフォンが好ましい。
【0053】
上記で列挙された(C)光重合開始剤は、単独で使用しても2種類以上併用してもよい。また、これらの(C)光重合開始剤の中でも、感光性樹脂組成物の感度、解像性等の観点から、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N−アリール−α−アミノ酸化合物、キノン類、アクリジン類、及び/又はピラゾリン誘導体を用いることが好ましく、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、N−アリール−α−アミノ酸化合物及び/又はアクリジン類を用いることがより好ましい。
【0054】
(C)光重合開始剤の感光性樹脂組成物の全質量に対する割合は、0.01質量%〜20質量%である。この割合を0.01質量%以上にすることは充分な感度を得る観点から有利であり、この割合を0.1質量%以上にすることが好ましく、0.5質量%以上にすることが更に好ましい。一方で、この割合を20質量%以下にすることは高い解像性を得て、かつ現像液中での凝集性を抑制する観点から有利であり、この割合を10質量%以下にすることが好ましい。
【0055】
また、(C)光重合開始剤としてのヘキサアリールビイミダゾール化合物を使用する場合、ヘキサアリールビイミダゾール化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。この配合量を0.1質量%以上にすることは、充分な感度を得るという観点から好ましく、この配合量を1質量%以上にすることがより好ましく、3質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この配合量を15質量%以下にすることは、高い解像性を得て、かつ現像液中での凝集性を抑制する観点から好ましく、この配合量を10質量%以下にすることがより好ましく、6質量%以下にすることが特に好ましい。
【0056】
また、(C)光重合開始剤としてN−アリール−α−アミノ酸化合物を使用する場合、N−アリール−α−アミノ酸化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.001質量%〜5質量%が好ましい。この配合量を0.001質量%以上にすることは、充分な感度を得るという観点から好ましく、この配合量を0.01質量%以上にすることがより好ましく、0.1質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この配合量を5質量%以下にすることは、高い解像性を得て、かつ色相安定性を向上させる観点から好ましく、この配合量を1質量%以下にすることがより好ましく、0.5質量%以下にすることが特に好ましい。
【0057】
また、(C)光重合開始剤としてアクリジン類を使用する場合、アクリジン類の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.01質量%〜5質量%が好ましい。この配合量を0.01質量%以上にすることは、充分な感度を得るという観点から好ましく、この配合量を0.1質量%以上にすることがより好ましく、0.2質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この配合量を5質量%以下にすることは、矩形のレジスト形状を得て、かつ色相安定性を向上させる観点から好ましく、この配合量を3質量%以下にすることがより好ましく、2質量%以下にすることが特に好ましい。
【0058】
<スルフィド構造を有する化合物及びヒンダードフェノール構造を有する化合物>
本実施の形態においてはスルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とが感光性樹脂組成物中に含まれる。スルフィド構造及びヒンダードフェノール構造は、それぞれ、例えば、上述した(A)〜(C)成分中に含まれていてもよいし、後述の(D)成分に含まれていてもよいし、これらの組合せであってもよい。感光性樹脂組成物中に、スルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とが存在する態様としては、(1)スルフィド構造を有しかつヒンダードフェノール構造を有さない化合物とヒンダードフェノール構造を有しかつスルフィド構造を有さない化合物との組合せが存在する態様、(2)スルフィド構造及びヒンダードフェノール構造の両者を有する化合物が存在する態様、並びに、(3)スルフィド構造を有しかつヒンダードフェノール構造を有さない化合物及び/又はヒンダードフェノール構造を有しかつスルフィド構造を有さない化合物と、スルフィド構造及びヒンダードフェノール構造の両者を有する化合物との組合せが存在する態様、が挙げられる。スルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とが感光性樹脂組成物中に存在することにより、優れた解像度を与える感光性樹脂組成物が提供される。
【0059】
本実施の形態において、スルフィド構造を有する化合物は、典型的には、下記一般式(1)で示される化合物である。
【化1】
{式中、R1及びR2は、各々独立に、置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表す。}
中でも、S原子がアルキル基と結合していることが好ましい。また、から、S原子に結合している当該アルキル基には芳香族置換基が結合されていることが好ましい。
【0060】
スルフィド構造を有する化合物は、後述するような、スルフィド構造とヒンダードフェノール構造との両者を有する化合物であってもよい。
【0061】
また、本実施の形態において、ヒンダードフェノール構造とは、フェノールの少なくとも2位及び/又は6位が嵩高の基で置換された構造を意味する。ヒンダードフェノール構造を有する化合物は、典型的には、下記一般式(2)で示される化合物である。
【化2】
{式中、R3は、置換されていてもよい、炭素数が2以上の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表し、そしてR4、R5、R6及びR7は、各々独立に、水素、又は、置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基若しくは2価の連結基を介したアリール基を表す。}
【0062】
本実施の形態において、スルフィド構造を有する化合物とヒンダードフェノール構造を有する化合物とを併用した場合に感光性樹脂組成物の解像度が向上するメカニズムについて詳細は明らかでないが、以下のように考えられる。すなわち、露光工程において感光性樹脂層に光が照射される際には、焦点位置にずれが生じる場合がある。このような場合、光が十分に集光されないため、微弱な光がパターン位置外にまで照射される。その結果、パターンが精確に形成されない傾向となる。感光性樹脂層中にスルフィド構造とヒンダードフェノール構造とが共に存在することにより、上記微弱な光がこれら構造によって消耗され、パターン形状の精確な転写が維持されるものと考えられる。
【0063】
感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール構造を有する化合物として下記一般式(3):
【化3】
{式中、R8は、置換されていてもよい、炭素数が2以上の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基又は2価の連結基を介したアリール基を表し、そしてR9、R10及びR11は、各々独立に、水素、又は、置換されていてもよい、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリール基、シクロヘキシル基、2価の連結基を介した直鎖アルキル基、2価の連結基を介した分岐アルキル基、2価の連結基を介したシクロヘキシル基若しくは2価の連結基を介したアリール基を表す。}で表される化合物を含むことが特に好ましい。上記一般式(3)に関し、それぞれのアルキル基の好ましい炭素数、並びに、2価の連結基及び置換基の好ましい態様は、上記一般式(2)で前述したのと同様である。
【0064】
感光性樹脂組成物がヒンダードフェノール構造を有する化合物を含有することは、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点で優れており、そして上記一般式(3)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点で特に好ましい。
【0065】
一般式(3)で表される化合物は、感光性樹脂組成物の解像性を向上させる観点、及び感光性樹脂組成物の感度低下を抑制する観点から、上記一般式(3)においてR8、R9、R10及びR11の少なくとも1つが芳香環を有していることが好ましい。同様の観点から、ヒンダードフェノール構造を有する化合物の水酸基濃度は、0.10mol/100g〜0.75mol/100gであることが好ましい。
【0066】
ヒンダードフェノール構造を有する化合物としては、例えば、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール(例えば、川口化学工業(株)製、アンテージSP)、トリベンジルフェノール(例えば、川口化学工業(株)製、TBP、ベンジル基を1〜3個有するフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−エチルフェニル)メタン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等が挙げられる。
【0067】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、スチレン化フェノール(例えば、川口化学工業(株)製、アンテージSP)、トリベンジルフェノール(例えば、川口化学工業(株)製、TBP、ベンジル基を1〜3個有するフェノール)等が挙げられる。
【0068】
ヒンダードフェノール構造を有する化合物は、後述するような、スルフィド構造とヒンダードフェノール構造との両者を有する化合物であってもよい。
【0069】
スルフィド構造とヒンダードフェノール構造との両者を有する化合物の好ましい例としては、上記一般式(2)又は(3)において、2価の連結基が−S−である化合物等が挙げられる。より具体的な好適例としては、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、ビス[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]スルフィド、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール等が挙げられる。
【0070】
<(D)添加剤>
好ましい態様において、感光性樹脂組成物は、(D)スルフィド構造若しくはヒンダードフェノール構造又はこれらの組合せを含む添加剤(以下、(D)添加剤ともいう)を含む。(D)添加剤は、1種又は2種以上の化合物からなることができる。すなわち(D)添加剤は、スルフィド構造を有しかつヒンダードフェノール構造を有さない化合物、ヒンダードフェノール構造を有しかつスルフィド構造を有さない化合物、及びスルフィド構造及びヒンダードフェノール構造の両者を有する化合物からなる群から選択される1種以上からなる。(D)添加剤は、より具体的には、スルフィド構造を有する化合物及びヒンダードフェノール構造を有する化合物に関して上述で例示したような化合物であって、上述の(A)〜(C)成分に包含されない化合物から選択できる。一態様において、(D)添加剤は、スルフィド構造を有する化合物である。別の態様において、(D)添加剤は、ヒンダードフェノール構造を有する化合物である。
【0071】
(D)添加剤の含有量は、感光性樹脂組成物の総質量に対し、好ましくは0.001質量%〜10質量%である。該含有量は、解像性の向上の点で、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、感度低下及び解像性低下が生じにくい点で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0072】
スルフィド構造の、感光樹脂組成物1kgに対する割合は、焦点位置ずれによるスペース幅狭小の抑制の点で、好ましくは、1mmol/kg〜50mmol/kgである。この割合は、4mmol/kg〜14mmol/kgがより好ましく、5mmol/kg〜10mmol/kgが更に好ましい。
【0073】
ヒンダードフェノール構造の、感光性樹脂組成物1kgに対する割合は、好ましくは0.05mmol/kg〜500mmol/kgである。この割合は、解像性の向上の点で、0.05mmol/kg以上が好ましく、0.5mmol/kg以上がより好ましく、2.5mmol/kg以上が更に好ましく、5mmol/kg以上が更に好ましく、25mmol/kg以上が特に好ましく、35mmol/kg以上が最も好ましい。一方で、この割合は、ヒンダードフェノール構造を有する化合物の存在による感度低下及び解像性低下の影響が生じにくい点で、500mmol/kg以下が好ましく、250mmol/kg以下がより好ましく、150mmol/kg以下が更に好ましく、100mmol/kg以下が更に好ましく、75mmol/kg以下が特に好ましい。
【0074】
<追加成分>
本実施の形態において、感光性樹脂組成物は、上記の(A)〜(C)成分及び任意の(D)成分の他に、例えば以下のような追加成分を含んでもよい。
【0075】
(着色物質及び染料)
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、所望により、着色物質又は染料を含有してもよい。
【0076】
着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(例えば、保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(例えば、保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)が挙げられる。感光性樹脂組成物中の着色物質の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量を100質量%としたとき、0.001質量%〜1質量%であることが好ましい。該含有量を0.001質量%以上にすることは、感光性樹脂組成物の取扱い性を向上させるという観点から好ましく、一方で、該含有量を1質量%以下にすることは、感光性樹脂組成物の保存安定性を維持するという観点から好ましい。
【0077】
感光性樹脂組成物は、染料(例えばロイコ染料又はフルオラン染料)を含有することにより露光部分が発色するので視認性の点で好ましく、また、検査機等が露光のための位置合わせマーカーを読み取る場合、露光部と未露光部とのコントラストが大きい方がマーカーを認識し易く有利である。
【0078】
ロイコ染料としては、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。とりわけ、コントラストが良好となる観点から、ロイコ染料としては、ロイコクリスタルバイオレットを用いることが好ましい。感光性樹脂組成物中のロイコ染料の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。この含有量を0.1質量%以上にすることは、露光部分と未露光部分とのコントラストを良好にする観点から好ましく、この含有量を0.2質量%以上にすることがより好ましく、0.4質量%以上にすることが特に好ましい。一方で、この含有量を10質量%以下にすることが保存安定性を維持するという観点から好ましく、この含有量を5質量%以下にすることがより好ましく、2質量%以下にすることが特に好ましい。
【0079】
また、感光性樹脂組成物中に、ロイコ染料と、(C)光重合開始剤に関して前述したハロゲン化合物とを組み合わせて用いることは、密着性及びコントラストを最適化する観点から好ましい。ロイコ染料を前記ハロゲン化合物と併用する場合には、感光性樹脂組成物中の前記ハロゲン化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量を100質量%としたとき、0.01質量%〜3質量%であることが感光層における色相の保存安定性を維持するという観点から好ましい。
【0080】
(その他の化合物)
更に、感光性樹脂組成物は、熱安定性及び保存安定性を向上させるために、ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾール類、及びカルボキシベンゾトリアゾール類から成る群から選ばれる1種以上の化合物をさらに含有してもよい。
【0081】
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。感光性樹脂組成物の感度を損なわないために、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩が好ましい。
【0082】
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、ビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0083】
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N−(N,N−ジ−2−エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0084】
ラジカル重合禁止剤、ベンゾトリアゾ−ル類、及びカルボキシベンゾトリアゾ−ル類の合計含有量は、感光性樹脂組成物の全質量を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%〜3質量%であり、より好ましくは0.05質量%〜1質量%である。該含有量を0.01質量%以上にすることは、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという観点から好ましく、一方で、該含有量を3質量%以下にすることは、感度を維持し染料の脱色を抑える観点から好ましい。
【0085】
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、ビスフェノールAのエポキシ化合物類をさらに含有してもよい。ビスフェノールAのエポキシ化合物類としては、ビスフェノールAをポリプロピレングリコールで修飾し末端をエポキシ化した化合物等が挙げられる。
【0086】
本実施の形態では、感光性樹脂組成物は、可塑剤をさらに含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジエチルフレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエ−テル、ポリプロプレンレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。また、アデカノールSDX−1569、アデカノールSDX−1570、アデカノールSDX−1571、アデカノールSDX−479(以上旭電化(株)製)、ニューポールBP−23P、ニューポールBP−3P、ニューポールBP−5P、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180(以上三洋化成(株)製)、ユニオールDB−400、ユニオールDAB−800、ユニオールDA−350F、ユニオールDA−400、ユニオールDA−700(以上日本油脂(株)製)、BA−P4Uグリコール、BA−P8グリコール(以上日本乳化剤(株)製)等のビスフェノール骨格を有する化合物も挙げられる。
【0087】
感光性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは1質量%〜50質量%であり、より好ましくは1質量%〜30質量%である。該含有量を1質量%以上にすることは、現像時間の遅延を抑え、かつ硬化膜に柔軟性を付与するという観点から好ましく、一方で、該含有量を50質量%以下にすることは、硬化不足及びコールドフローを抑えるという観点から好ましい。
【0088】
<溶剤>
好ましい態様において、感光性樹脂組成物は、これに溶剤を添加して得た調合液の状態で使用できる。溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール及びイソプロパノールに代表されるアルコール類等が挙げられる。溶剤は、支持フィルム上に塗布する感光性樹脂組成物の溶液(すなわち調合液)の粘度が25℃で500mPa・s〜4000mPa・sとなるような量で、感光性樹脂組成物に添加されることが好ましい。
【0089】
<感光性樹脂積層体>
本実施の形態はまた、支持層と、該支持層上に積層された本実施の形態の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層とを含む、感光性樹脂積層体を提供する。支持層は例えば支持フィルム等である。必要により、感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層の支持層側とは反対側の表面に保護層を更に有してもよい。
【0090】
支持フィルムとしては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが好ましい。このような支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用可能であり、ヘーズ5以下のものであることが好ましい。フィルムの厚みは、薄いほど画像形成性及び経済性を向上させるため有利であるが、感光性樹脂積層体の強度を維持するために10μm〜30μmのものが好ましく用いられる。
【0091】
感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力について支持層(例えば支持フィルム)よりも保護層の方が充分小さく、容易に剥離できることである。例えば、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムが、保護層として好ましく使用されることができる。また、例えば特開昭59−202457号公報に記載されるような、剥離性の優れたフィルムを用いることもできる。保護層の膜厚は10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
【0092】
保護層としてポリエチレンフィルムを用いた場合は、ポリエチレンフィルム表面にフィッシュアイと呼ばれるゲルがあり、これが感光性樹脂層に転写することがある。フィッシュアイが感光性樹脂層に転写するとラミネート時に空気を巻き込んで空隙になることがあり、レジストパターンの欠損につながる場合がある。フィッシュアイを防ぐ観点からは、保護層の材質としては延伸ポリプロピレンがより好ましい。具体例としては王子製紙(株)製アルファンE−200Aを挙げることができる。
【0093】
感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚さは、用途において異なるが、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは7μm〜60μmであり、薄いほど解像度は向上し、また厚いほど膜強度が向上する。
【0094】
感光性樹脂積層体の製造方法について説明する。支持層(例えば支持フィルム)、感光性樹脂層、及び必要により保護層を順次積層し感光性樹脂積層体を作製する方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にし、まず支持層上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布し、次いで乾燥して支持層上に感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を積層することができる。次いで必要により、感光性樹脂層上に保護層をラミネートすることにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
【0095】
<レジストパターンの製造方法>
次に、本実施の形態はまた、本実施の形態の感光性樹脂積層体を基材に積層する積層工程、該感光性樹脂積層体の感光性樹脂層を露光する露光工程、及び該感光性樹脂層の未露光部を現像除去する現像工程を含む、レジストパターンの製造方法を提供する。
本実施の形態の感光性樹脂積層体を用いてレジストパターンを製造する方法の一例を説明する。レジストパターンとしては、例えば、プリント配線板、半導体素子、印刷版、液晶ディスプレイパネル、フレキシブル基板、リードフレーム基板、COF(チップオンフィルム)用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、PDP(プラズマディスプレイパネル)用電極等のパターンが挙げられる。一例として、プリント配線板の製造方法を下記の通り説明する。
【0096】
好ましい態様においては、露光工程を描画パターンの直接描画により行う。本実施の形態において、直接描画は、多品種少量生産を短納期で行う場合や位置精度が要求される場合に特に有利である。露光工程のより詳しい態様は後述で例示する。
【0097】
プリント配線板は、以下の各工程を経て製造される。
(1)積層工程
この工程では、感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながら、感光性樹脂積層体を、銅張積層板、フレキシブル基板等の基材上にホットロールラミネーターを用いて密着させる。加熱温度は通常40〜160℃である。
【0098】
(2)露光工程
この工程では、所望の配線パターンを有するマスクフィルムを支持体上に密着させて活性光源(例えば、UVランプ)を用いて露光を施すか、又は所望の配線パターンを、活性光源(例えば、半導体レーザー)からの光で直接描画することによって露光を施す。
【0099】
(3)現像工程
この工程では、上記露光工程後、感光性樹脂層上の支持体を剥離し、続いてアルカリ水溶液の現像液を用いて未露光部を現像除去してレジストパターンを基材上に形成する。アルカリ水溶液としては、通常、Na2CO3又はK2CO3の水溶液を用いる。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて適宜選択されるが、約0.2質量%〜約2質量%の濃度、かつ約20℃〜約40℃のNa2CO3水溶液が一般的である。
【0100】
上記の各工程を経てレジストパターンを得ることができるが、場合により、さらに約100℃〜約300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、更なる耐薬品性向上が可能となる。加熱には熱風、赤外線、又は遠赤外線の方式の加熱炉を用いることができる。
【0101】
更に、本実施の形態のレジストパターンの製造方法を用い、導体パターンを形成することができる。導体パターンは、本実施の形態の方法でレジストパターンを製造した後、例えば以下の工程(4)及び(5)により製造できる。
(4)エッチング工程又はめっき工程
この工程では、現像工程における現像により露出した基材の表面(例えば銅面)をエッチング又はめっきし、導体パターンを形成する。
(5)剥離
その後、レジストパターンを現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基材から剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、約2質量%〜約5質量%の濃度、かつ約40〜約70℃の温度のNaOH又はKOHの水溶液が一般に用いられる。剥離液に、少量の水溶性溶媒を加えることもできる。
【0102】
本実施の形態の感光性樹脂積層体は、プリント配線板、フレキシブル基板、リードフレーム基板、COF用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、PDP用電極等の導体パターンの製造に適した感光性樹脂積層体である。
【0103】
なお、上述した各種パラメータについては特に断りの無い限り、後述の実施例における測定方法又はこれと同等の方法に準じて測定される。
【実施例】
【0104】
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨から逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の物性は以下の方法により測定した。
【0105】
<酸当量>
自動滴定装置(平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555))を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定法により行った。
【0106】
<感度評価>
まず、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板を、スプレー圧0.2MPaで研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いてジェットスクラブ研磨した。
【0107】
次に、感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートした。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
【0108】
次に、直接描画露光機(オルボテック(株)製、Paragon−9000)により、未露光部がラインとなるパターンを8Wで露光した。このときの露光は、前記のストーファー41段ステップタブレットをマスクとして露光、現像したときの最高残膜段数が20段となる露光量で露光した。また、焦点位置が、基材表面(±0μmと表記する)、基材から400μm手前(+400μmと表記する)、及び基材から300μm奥側(−300μmと表記する)、となるような3点で露光した。
【0109】
更に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間に亘ってスプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を最小現像時間の2倍の時間で溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。実際の現像時間は最小現像時間の2倍で現像し、硬化レジストパターンを得た。
【0110】
その後、マスク幅50μmにおける未露光部のスペース幅を測定した。
【0111】
<重量平均分子量>
日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)[ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動相溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用]によりポリスチレン換算として重量平均分子量を求めた。
【0112】
[実施例1〜4(但し実施例1,3,4は参考例である)、並びに比較例1及び2]
表1及び2に示す組成(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す。)の感光性樹脂組成物及び溶剤を十分に攪拌、混合して感光性樹脂組成物調合液を得た。支持体として16μm厚のポリエチレンテレフタラートフィルムを用意して、そのフィルムの表面にバーコーターを用いて感光性樹脂組成物調合液を均一に塗布し、95℃の乾燥器中で3分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは29μmであった。
【0113】
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタラートフィルムを積層していない表面上に、保護層として19μm厚のポリエチレンフィルムを貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。得られた感光性樹脂積層体につき、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
表1及び2の結果から、以下の内容が読み取れる。
実施例と比較例との対比により、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いれば、焦点位置がずれた場合にスペース幅が狭くなる傾向を抑制し得る。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本実施の形態の感光性樹脂積層体は、その高解像性のために、プリント配線板、フレキシブル基板、リードフレーム基板、COF(チップオンフィルム)用基板、半導体パッケージ用基板、液晶用透明電極、液晶用TFT用配線、PDP(プラズマディスプレイパネル)用電極等の導体パターンの製造に利用されることができる。