(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザに提供すべき情報を、時間情報および場所情報から成る複数種類の属性情報と共に記憶した情報記憶部の中から複数の条件に合致する情報を抽出してユーザに提供するための情報提供用プログラムであって、
上記ユーザが情報の提供を受ける現在の状況に関する複数の属性情報をキーとして、当該複数の属性情報に合致する属性情報を有する情報を上記情報記憶部の中から抽出する情報抽出手段、および
上記情報抽出手段により抽出された情報を上記ユーザに提供する情報提供手段としてコンピュータを機能させるための情報提供用プログラムであって、
上記情報抽出手段が、
上記情報記憶部に記憶されている複数の情報の各々について、当該情報に付随している上記時間情報および上記場所情報を用いて、上記場所情報の値を、当該場所情報が示す場所についての上記時間情報の値に換算する属性情報換算手段、および
上記情報記憶部に記憶されている情報について、上記属性情報換算手段により上記場所情報が示す場所について換算された上記時間情報の値と現在の時間との差分に関して所定の条件を満たす情報を上記情報記憶部の中から抽出する比較抽出手段として機能するようになされ、
上記属性情報換算手段は、現在位置から上記場所情報が示す別の場所までの所要時間を、当該別の場所の上記時間情報の値に加算することにより、当該別の場所における上記場所情報の値を当該別の場所における上記時間情報の値に換算することを特徴とする情報提供用プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態による情報提供装置の機能構成例を示すブロック図である。また、
図2は、第1の実施形態による情報提供装置を適用した情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図2に示すように、第1の実施形態による情報提供装置100は、インターネット等の通信ネットワーク300に接続されたサーバ装置として提供される。通信ネットワーク300には複数のクライアント端末200が接続される。クライアント端末200は、情報の提供を受けるユーザが使用するものであり、例えばモバイル端末で構成される。第1の実施形態による情報提供装置(サーバ装置)100は、通信ネットワーク300を介して複数のクライアント端末200と通信を行うことにより、後述する複数の条件に合致する情報を抽出してユーザに提供するようになされている。
【0015】
図1に示すように、第1の実施形態の情報提供装置100は、その機能構成として、情報記憶部1、情報抽出部2、情報提供部3、情報受信部4、情報記録部5および要求受信部6を備えている。また、情報抽出部2は、より具体的な機能構成として、属性情報換算部21、比較抽出部22および地図データ記憶部23を備えている。
【0016】
このうち、情報抽出部2の属性情報換算部21と比較抽出部22、情報提供部3、情報受信部4、情報記録部5および要求受信部6の機能は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、これらの機能ブロック21,22,3〜6は、実際にはサーバ装置のCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスク等の記録媒体に記憶された情報提供用プログラムが動作することによって実現できる。
【0017】
情報記憶部1は、ユーザ(クライアント端末200)に提供すべき情報を複数種類の属性情報と共に記憶する。ここで、複数種類の属性情報は、例えば時間情報および場所情報である。時間情報は、提供すべき情報を作成した時間を示す情報であってもよいし、提供すべき情報の内容が特定の時間に関係するものであれば、その特定の時間を示す情報であってもよい。また、時間情報は、時刻に加えて曜日を含む概念であってもよい。また、時間情報は、正確な時刻を示す情報であってもよいし、1日をn分割した時間帯の情報であってもよい。
【0018】
また、場所情報は、提供すべき情報を作成した場所を示す情報であってもよいし、提供すべき情報の内容が特定の場所に関係するものであれば、その特定の場所を示す情報であってもよい。また、場所情報は、緯度・経度などのGPSで得られる正確な位置情報であってもよいし、行政区画等で示されるエリア情報であってもよい。また、場所情報は、一定の広さを持った所定形状のメッシュの位置を示すメッシュ情報であってもよい。
【0019】
また、ユーザに提供すべき情報の内容は任意であるが、時間情報や場所情報と関連付けられる情報であることが好ましい。本実施形態では一例として、あるユーザが任意の時間に任意の場所でクライアント端末200から入力した呟き情報や投稿情報(以下、単に投稿情報等という)を、他のユーザに提供すべき情報として用いる。投稿情報等は、ユーザが特定の時間に特定の場所で見たり経験したりしたことを書くことが多いため、投稿情報等の内容は、時間情報や場所情報と関連付けられる情報であると言える。
【0020】
この場合、あるユーザが任意の時間に任意の場所でクライアント端末200から投稿情報等を入力すると、クライアント端末200はその投稿情報等を時間情報および場所情報と共に情報提供装置100に送信する。情報提供装置100では、クライアント端末200から送られてきた投稿情報等を情報受信部4により受信し、これを他のユーザに提供すべき投稿情報等として情報記録部5が情報記憶部1に記憶させる。情報記録部5が投稿情報等を情報記憶部1に記憶させる際には、時間情報および場所情報を属性情報として関連付けて記憶させる。
【0021】
本実施形態において、クライアント端末200から情報提供装置100に送られる時間情報は、投稿情報等をクライアント端末200に入力した時間(曜日を含まない時刻)を示す情報であるものとする。また、場所情報は、投稿情報等をクライアント端末200に入力したときにクライアント端末200が内蔵しているGPSで取得した位置(緯度・経度)を示す情報であるものとする。
【0022】
なお、情報提供装置100がこの時間情報を受信したときに、情報記録部5が1日をn分割した時間帯の情報に加工し、加工後の時間情報を情報記憶部1に記憶させるようにしてもよい。また、投稿情報等をクライアント端末200に入力したときの時間ではなく、呟きや投稿の内容で特定される時間を時間情報として情報記憶部1に記憶させるようにしてもよい。この場合は、例えばクライアント端末200で投稿情報等を入力するときに、ユーザが自ら希望の時間情報を入力し、その時間情報を投稿情報等と共に情報提供装置100に送信して情報記憶部1に記憶させるようにすることが可能である。
【0023】
また、情報提供装置100が緯度・経度の場所情報を受信したときに、情報記録部5が行政区画で示されるエリア情報やメッシュの位置を示すメッシュ情報に加工し、加工後の場所情報を情報記憶部1に記憶させるようにしてもよい。また、投稿情報等をクライアント端末200に入力したときの場所ではなく、呟きや投稿の内容で特定される場所を場所情報として情報記憶部1に記憶させるようにしてもよい。この場合は、例えばクライアント端末200で投稿情報等を入力するときに、ユーザが自ら希望の場所情報を入力し、その場所情報を投稿情報等と共に情報提供装置100に送信して情報記憶部1に記憶させるようにすることが可能である。
【0024】
なお、ここでは、複数のクライアント端末200から送信される投稿情報等を情報記憶部1に随時記憶させる例について説明しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、情報記憶部1に記憶される情報は、時間情報および場所情報を属性情報として持つものであれば、投稿情報等以外の情報であってもよい。また、ユーザに提供すべき情報が情報記憶部1に随時記憶されていく形態ではなく、提供すべき情報が情報記憶部1にあらかじめ記憶されている形態であってもよい。
【0025】
情報抽出部2は、ユーザが情報提供装置100から投稿情報等の提供を受ける現在の状況に関する複数の属性情報(現在の時間および現在ユーザがいる場所)をキーとして、当該複数の属性情報に合致する属性情報を有する投稿情報等を情報記憶部1の中から抽出する。
【0026】
例えば、ユーザが情報提供装置100から投稿情報等の提供を受けたいと思った場合、クライアント端末200から情報提供装置100に対して情報提供要求を送信する。この情報提供要求は、クライアント端末200が情報提供装置100から投稿情報等の提供を受けようとする際に自動的に送信されるようにすることが可能である。
【0027】
例えば、情報提供装置100が用意した情報提供用のウェブサイトにクライアント端末200からログインしてアクセスをするときに、当該ログインをして投稿情報等の提供を受けるためのアプリケーションプログラムの機能によって、クライアント端末200から情報提供装置100に対して情報提供要求を自動的に送信する。このとき、クライアント端末200は、内蔵のカレンダ機能で検出した現在の時間と、内蔵のGPSで検出した現在の位置とを情報提供要求と共に情報提供装置100に送信する。
【0028】
なお、情報提供用のウェブサイトへのログイン後に、ユーザが投稿情報等の一覧の提供を受けたいと思った場合には、ユーザがクライアント端末200を操作することによって情報提供要求を発行させ、情報提供装置100に送信することも可能である。
【0029】
情報提供装置100では、クライアント端末200から送られてくる情報提供要求(時間情報および場所情報を含む)を要求受信部6にて受信する。情報抽出部2は、要求受信部6がこの情報提供要求を受けたときに、現在の時間および現在ユーザがいる場所と同じ時間および場所を示す属性情報を有する投稿情報等を情報記憶部1の中から抽出する。
【0030】
属性情報換算部21は、情報提供要求と共にクライアント端末200から送られてきた時間情報および場所情報に完全に合致する属性情報を有する投稿情報等が情報記憶部1に記憶されていない場合に、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等について、それに付随している複数の属性情報のうち一部の属性情報の値を他の属性情報の値に換算する処理を行う。具体的には、属性情報換算部21は、情報記憶部1に記憶されている複数(例えば全て)の投稿情報等について、それに付随している場所情報の値を時間情報の値にそれぞれ換算する。
【0031】
例えば、現在の時間が午前10時、現在ユーザがいる場所がA地点であると仮定する。これと同じ時間および場所を示す属性情報を有する投稿情報等が情報記憶部1に記憶されていない場合、属性情報換算部21は、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等について、それに付随している場所情報の値を時間情報の値に換算する。
【0032】
仮に、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等に付随している時間情報の値が午前10時5分、場所情報の値がB地点であった場合、属性情報換算部21は、A地点とB地点との距離を地図データ記憶部23に記憶されている地図データから求め、その距離を所定の速度で除算することにより、A−B地点間を移動する場合の所要時間を計算する。そして、この所要時間を元々の時間情報の値(10時5分)に加算することによって、場所情報の値を時間情報の値に換算する。A−B地点間を移動する場合の所要時間が仮に10分であったとすると、換算される時間情報の値は10時15分ということになる。
【0033】
なお、この換算で用いる所定の速度は、人間の平均的な歩行速度、自転車の平均的な走行速度、自動車の平均的な走行速度、電車の平均的な走行速度とすることが可能である。この所定の速度は、固定値ではなく、状況に応じて変動する可変値としてもよい。例えば、A地点とB地点との距離が1km未満のときは人間の平均的な歩行速度、1kmで以上5km未満のときは自転車の平均的な走行速度、5km以上のときは自動車または電車の平均的な走行速度とするといった態様で所定の速度を変えることが可能である。
【0034】
比較抽出部22は、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等について、属性情報換算部21により換算された時間情報の値と現在の時間との差分に関して所定の条件を満たす投稿情報等を情報記憶部1の中から抽出する。具体的には、比較抽出部22は、情報記憶部1に記憶されている複数の投稿情報等の中から、換算された時間情報の値と現在の時間との差分が最も小さい投稿情報等を抽出する。
【0035】
図3は、属性情報換算部21および比較抽出部22の処理内容を説明するための概念図である。この
図3では、横軸を場所情報、縦軸を時間情報とする2次元座標において、現在の時間と場所(上述の例では、午前10時、A地点)を原点に設定している(●印で示す)。場所情報を表す横軸の目盛りは、現在の場所からの距離で表している。また、この2次元座標において時間を表す縦軸は正の値(未来)と負の値(過去)を考慮し、場所(距離)を表す横軸は正の値のみを考慮するものとする。
【0036】
上述のように、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等に付随している時間情報の値が午前10時5分、場所情報の値がB地点であった場合(■印で示す)、B地点という場所情報の値は10時15分という時間情報の値に換算される。一方、情報記憶部1に記憶されている別の投稿情報等として、時間情報の値が午前10時20分、場所情報の値がC地点というものがあったとする(▲印で示す)。仮に、A−C地点間を移動する場合の所要時間が5分と計算されたとすると、C地点という場所情報の値は10時25分という時間情報の値に換算される。
【0037】
比較抽出部22は、B地点から換算された10時15分という時間情報の値およびC地点から換算された10時25分という時間情報の値と現在の時間=午前10時とを比較して、差分の値が小さい方の投稿情報等を情報記憶部1の中から抽出する。このように、本実施形態では、情報提供要求と共にクライアント端末200から送られてきた時間情報および場所情報に完全に合致する属性情報を有する投稿情報等が情報記憶部1に記憶されていない場合には、時間情報の値に評価基準を揃えて比較を行い、統一した1つの評価基準に従って、現在の状況(現在の時間=午前10時)により近い属性情報を持つ投稿情報等を抽出するようにしている。
【0038】
なお、
図3に示すように、現在の状況(時間=午前10時、場所=A地点)と比べて、時間は同じであるが場所が異なる投稿情報等(時間=午前10時、場所=B地点:□印で示す)と、場所は同じであるが時間が異なる投稿情報等(時間=午前10時20分、場所=A地点:△印で示す)とがあったとすると、これらの場所情報の値はそれぞれ午前10時10分、午前10時20分に換算される。このケースでは、場所が同じで時間が異なる投稿情報等よりも、時間が同じで場所が異なる投稿情報等の方が優先して抽出されることになる。
【0039】
つまり、現在の場所(A地点)にこのまま20分間居続けても、B地点に移動したとしても、時間情報および場所情報に完全に合致する投稿情報等が存在することになる。本実施形態では、これら2つの可能性のうち、換算した時間情報の値と現在の時間との差分が小さい方、すなわち、現在からより近い未来の方に対応する投稿情報等を優先して抽出するようにしている。
【0040】
過去の投稿情報等についても、同様の原理で抽出が行われる。例えば、場所は同じであるが時間が異なる投稿情報等として、(時間=午前10時20分、場所=A地点:△印で示す)の投稿情報等の他に、(時間=午前9時55分、場所=A地点:☆印で示す)の投稿情報等とがあったとする。この場合に換算される時間情報の値は、それぞれ午前10時20分、午前9時55分となる。このケースでは、換算された時間情報の値と現在の時間との差分がより小さくなる過去の投稿情報等(☆印で示す)の方が優先して抽出されることになる。
【0041】
なお、ここでは、情報記憶部1に記憶されている複数の投稿情報等の中から、換算された時間情報の値と現在の時間との差分が最も小さい投稿情報等を抽出するようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、換算された時間情報の値と現在の時間との差分が最も小さい方から数えてm個(mは任意の設定数)の投稿情報等を抽出するようにしてもよい。あるいは、換算された時間情報の値と現在の時間との差分が閾値よりも小さい投稿情報等を全て抽出するようにしてもよい。
【0042】
このようにすれば、例えば
図3に示される5つの投稿情報等の中から、現況に近い状況にある複数の投稿情報等を抽出してユーザに提供することができる。これにより、ユーザが現在の場所に居続ける場合と、他の場所に移動する場合とのそれぞれについて、ユーザにとって有益な情報を提供することができる可能性が高くなる。
【0043】
また、ここでは、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等の全てについて、属性情報換算部21および比較抽出部22の処理を行う例について説明しているが、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等の量が多い場合には、この処理に非常に多くの時間がかかってしまう。そこで、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等の一部についてのみ、属性情報換算部21および比較抽出部22の処理を行うようにしてもよい。
【0044】
例えば、属性情報換算部21は、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等のうち、時間情報の値が現在の時間から所定の差以内である複数の投稿情報等を対象として、場所情報の値を時間情報の値に換算する。また、比較抽出部22は、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等のうち、時間情報の値が現在の時間から所定の差以内である複数の投稿情報等について、属性情報換算部21により換算された時間情報の値と現在の時間との差分を大小比較することによって、情報記憶部1の中から所定の条件を満たす投稿情報等を抽出する。
【0045】
または、属性情報換算部21は、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等のうち、現在の場所から場所情報の値により示される場所までの距離が所定値以内である複数の投稿情報等を対象として、場所情報の値を時間情報の値に換算する。また、比較抽出部22は、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等のうち、現在の場所から場所情報の値により示される場所までの距離が所定値以内である複数の投稿情報等について、属性情報換算部21により換算された時間情報の値と現在の時間との差分を大小比較することによって、情報記憶部1の中から所定の条件を満たす投稿情報等を抽出する。
【0046】
もちろん、情報記憶部1に記憶されている情報のうち、時間情報の値が現在の時間から所定の差以内であって、かつ、現在の場所から場所情報の値により示される場所までの距離が所定値以内である複数の投稿情報等を属性情報換算部21および比較抽出部22の処理対象とするようにしてもよい。
【0047】
情報提供部3は、情報抽出部2により抽出された投稿情報等をユーザのクライアント端末200に提供する。例えば、情報提供部3は、情報提供装置100が用意した情報提供用のウェブサイトに対し、情報抽出部2により抽出された投稿情報等を表示させることにより、クライアント端末200のウェブブラウザを通じて投稿情報等をユーザに提供する。あるいは、電子メール等の手段を用いて、情報提供要求を行ったクライアント端末200に対してダイレクトに投稿情報等を提供するようにしてもよい。ただし、この場合には情報提供要求と共に電子メールアドレスを情報提供装置100に送信しておくなどの処理が必要である。
【0048】
図4は、以上のように構成した第1の実施形態による情報提供装置100の動作例を示すフローチャートである。なお、この
図4に示すフローチャートは、クライアント端末200から情報提供装置100に対して情報提供要求が送信されたときに開始する。
【0049】
まず、要求受信部6は、クライアント端末200から情報提供要求を受信したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、情報提供要求を受信していない場合は、ステップS1の処理を繰り返し行って情報提供要求の受信を待機する。一方、要求受信部6が情報提供要求を受信した場合、情報抽出部2は、現在の時間および現在ユーザがいる場所と合致する属性情報を有する投稿情報等を情報記憶部1の中から抽出する(ステップS2)。
【0050】
そして、情報抽出部2は、現在の時間および現在ユーザがいる場所と合致する属性情報を有する投稿情報等を1つでも抽出できたか否かを判定する(ステップS3)。ここで、時間と場所の両方の条件に合致する投稿情報等を抽出できた場合、情報提供部3は、情報抽出部2により抽出された投稿情報等をユーザのクライアント端末200に提供する(ステップS7)。この場合はこれで
図4に示すフローチャートの処理を終了する。
【0051】
一方、時間と場所の両方の条件に合致する投稿情報等を1つも抽出できなかった場合、属性情報換算部21は、情報記憶部1に記憶されている投稿情報等のうち、時間情報の値が現在の時間から所定の差以内であって、かつ、現在の場所から場所情報の値により示される場所までの距離が所定値以内である投稿情報等を情報記憶部1から抽出する(ステップS4)。
【0052】
そして、属性情報換算部21は、ステップS4で抽出した投稿情報等を対象として、それに付随している場所情報の値を時間情報の値にそれぞれ換算する(ステップS5)。さらに、比較抽出部22は、ステップS4で属性情報換算部21により抽出された投稿情報等について、属性情報換算部21により換算された時間情報の値と現在の時間との差分に関して所定の条件を満たす投稿情報等を情報記憶部1の中から抽出する(ステップS6)。
【0053】
その後、情報提供部3は、情報抽出部2により抽出された投稿情報等をユーザのクライアント端末200に提供する(ステップS7)。これにより、
図4に示すフローチャートの処理を終了する。
【0054】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、ユーザが投稿情報等の提供を受ける現在の状況に関する複数の属性情報(例えば、現在の時間、現在の場所)に合致する属性情報を有する投稿情報等が情報記憶部1に記憶されていない場合に、当該情報記憶部1に記憶されている複数の投稿情報等について、場所情報の値を時間情報の値に換算し、換算した時間情報の値と現在の時間との差分に関して所定の条件を満たす投稿情報等を情報記憶部1の中から抽出してユーザに提供するようにしている。
【0055】
このように構成した第1の実施形態によれば、現在の時間および場所に合致する属性情報を有する投稿情報等が存在しない場合に、時間情報が情報抽出のための統一的な評価基準として使われ、当該評価基準とされた時間情報の値と現在の時間との差分の大小比較によって投稿情報等の抽出が行われる。そのため、1つの評価基準に従って、より現在の状況に近い属性情報を持つ投稿情報等をユーザに提供することが可能となる。これにより、複数の条件に合致する投稿情報等を抽出して提供する場合において、複数の条件と完全に合致する投稿情報等が存在しないときでも、現在の状況に置かれているユーザにとってより有用と考えられる投稿情報等を抽出して提供することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、第2の実施形態による情報提供装置100の機能構成例を示すブロック図である。なお、第2の実施形態による情報提供装置100を適用した情報提供システムの概略構成は、
図2と同様である。この
図5において、
図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0057】
第2の実施形態による情報提供装置100は、
図1に示した構成に加え、閲覧情報取得部11、閲覧履歴記憶部12、行動特性推定部13および重み設定部14を更に備えている。閲覧情報取得部11は、情報提供部3によってクライアント端末200に提供された投稿情報等が実際にユーザにより閲覧された場合に、閲覧した時間を示す時間情報と、閲覧した場所を示す場所情報とを取得する。
【0058】
情報提供装置100が用意した情報提供用のウェブサイトへの表示を通じて投稿情報等をユーザに提供する場合、ユーザは、そのウェブサイトにログインしてアクセスすることにより、投稿情報等の閲覧が可能となる。よって、ユーザが投稿情報等を閲覧した時間と場所は、ウェブサイトへのログインが行われたときの時間と場所で代替することができる。
【0059】
上述のように、クライアント端末200から情報提供用のウェブサイトにログインすると、当該ログインをして投稿情報等の提供を受けるためのアプリケーションプログラムの機能によって、クライアント端末200から情報提供装置100に対して情報提供要求を自動的に送信する。このとき、クライアント端末200は、内蔵のカレンダ機能で検出した現在の時間と、内蔵のGPSで検出した現在の位置とを情報提供要求と共に情報提供装置100に送信する。
【0060】
この情報提供要求と時間情報と場所情報とを情報提供装置100の要求受信部6が受信するので、閲覧情報取得部11は要求受信部6から時間情報と場所情報とを取得すればよい。閲覧情報取得部11は、このようにして取得した時間情報と場所情報を、投稿情報等をユーザが閲覧した時間と場所を示す閲覧履歴情報としてユーザ毎に閲覧履歴記憶部12に記憶させる。ここで、ユーザを識別するための情報として、情報提供用のウェブサイトにログインしたときに入力したユーザIDを用いることができる。
【0061】
なお、ログイン後に、ユーザがクライアント端末200を操作することによって情報提供要求を情報提供装置100に送信する場合も、その情報提供要求と共に時間情報と場所情報とを要求受信部6が受信する。したがって、閲覧情報取得部11は、要求受信部6から時間情報と場所情報とを取得すればよい。閲覧情報取得部11は、このようにして取得した時間情報と場所情報を閲覧履歴情報としてユーザ毎に閲覧履歴記憶部12に記憶させる。
【0062】
行動特性推定部13は、閲覧履歴記憶部12に記憶された閲覧履歴情報に基づいて、ユーザの行動特性を推定する。ここで推定する行動特性とは、どの時間帯にどの場所で投稿情報等がどの程度閲覧されているかというユーザの行動の傾向である。例えば、午前9時から午後6時までは出勤地である地点Aの付近で閲覧されていることが多く、午後9時から午前8時までは自宅である地点Bの付近で閲覧されていることが多いといった行動特性を推定することができる。
【0063】
図6は、閲覧履歴記憶部12に記憶されている閲覧履歴情報を場所情報の観点から地図上に表した図である。
図6において、●印の位置は投稿情報等の閲覧が行われた場所を示し、●印の大きさはその場所で閲覧が行われた回数の程度を示している。
図6に示すように、特定の2ヵ所で数多く投稿情報等が閲覧されているが、この場所は勤務地と自宅である。また、勤務地と自宅との間をつなぐライン上でも比較的多く投稿情報等が閲覧されているが、この場所は通勤経路である。
【0064】
これらの●印の位置と大きさによって、どの場所にいるときに投稿情報等がどの程度閲覧されているのかを推定することができる。これに加えて、それぞれの●印で示される場所情報と対を成している時間情報を分析すれば、どの時間帯にどの場所で投稿情報等がどの程度閲覧されているかというユーザの行動特性を推定することが可能である。
【0065】
重み設定部14は、行動特性推定部13により推定されたユーザの行動特性に基づいて、属性情報換算部22により場所情報の値から換算される時間情報の値に重み付けを設定する。例えば、投稿情報等がよく閲覧されることが行動特性によって示されている時間帯や場所に近い属性情報を持つ投稿情報等については、場所情報の値を時間情報の値に換算した際に、換算された時間情報の値に小さい重みを付加する(例えば、短い時間を加算する)。一方、投稿情報等がよく閲覧されることが行動特性によって示されている時間帯や場所から遠い属性情報を持つ投稿情報等については、換算された時間情報の値に大きい重みを付加する(例えば、長い時間を加算する)。
【0066】
図7は、重み設定部14による処理の概要を説明するための概念図である。
図7では、横軸を時間情報、縦軸を場所情報とする2次元座標において、投稿情報等がよく閲覧されることが行動特性によって示されている時間帯と場所をグラフにより示している。
【0067】
なお、場所情報を表す縦軸の目盛りは、現在の場所からの距離で表している。また、
図7においては自宅のある場所と午前0時を原点に設定している。グラフの線の太さは、投稿情報等が閲覧されている回数の程度を示しており、太い線が描かれているところほど閲覧回数が多いことを示している。
図7では説明の簡略化のため、自宅と勤務地との間のエリアに関する行動特性のみを示しているが、これ以外のエリアに関する行動特性を分析することも可能である。
【0068】
図7に示すグラフは、以下のようなユーザの行動特性を示すものである。すなわち、午前0時から午前7時頃までは投稿情報等の閲覧が殆ど行われておらず、午前7時頃から午前8時頃までの間は自宅で投稿情報等の閲覧が行われている。午後8時頃から午前9時頃までの間と、午後6時頃から午後7時頃までの間は通勤経路上で投稿情報等の閲覧が行われている。また、午前9時頃から午後6時頃までの間は勤務地で、午後7時頃から午後11時頃までの間は自宅でそれぞれ投稿情報等の閲覧が多く行われている。
【0069】
このような行動特性が行動特性推定部13により推定された場合、重み設定部14は、グラフの位置からより近い属性情報を持つ投稿情報等ほど、属性情報換算部21により換算された時間情報の値に小さい重みを付加する。逆に、グラフの位置からより遠い属性情報を持つ投稿情報等ほど、属性情報換算部21により換算された時間情報の値に大きい重みを付加する。ここで、グラフの位置から同じ距離の属性情報が複数ある場合は、より太い線に近い方の属性情報を持つ投稿情報等ほど、属性情報換算部21により換算された時間情報の値に小さい重みを付加する。
【0070】
具体的には、属性情報換算部21の処理対象とする複数の投稿情報等(
図7の例では3つ)について、それらに付随している属性情報(時間情報および場所情報)を
図7の2次元座標上にプロットした場合に、そのプロット点101,102,103と行動特性のグラフとの距離が短い投稿情報等ほど、属性情報換算部21により換算された時間情報の値に小さい重みを付加する。
図7に示す例では、プロット点103に対応する属性情報から換算された時間情報の値に最も小さい重みを付加し、プロット点101に対応する属性情報から換算された時間情報の値に最も大きな重みを付加する。
【0071】
比較抽出部22は、重み設定部14により重み付けが設定された後の時間情報の値に基づいて、情報記憶部1の中から投稿情報等を抽出する。
【0072】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態によれば、ユーザが普段、投稿情報等をいつどこでどの程度閲覧しているかという行動特性に基づいて、できるだけその行動特性に沿った投稿情報等をユーザに提供することができる。すなわち、より現在の状況に近く、かつ、よりユーザの行動特性に合った属性情報を持つ投稿情報等をユーザに提供することが可能となる。
【0073】
このことを
図3の例に沿って説明する。第1の実施形態では、時間は同じであるが場所が異なる投稿情報等(時間=午前10時、場所=B地点:□印で示す)と、場所は同じであるが時間が異なる投稿情報等(時間=午前10時20分、場所=A地点:△印で示す)のうち、場所情報の値から換算された時間情報の値が現在の時間(午前10時)からより近い方、つまりB地点の方の投稿情報等が優先して抽出される。これに対して、第2の実施形態のようにユーザの行動特性まで考慮して投稿情報等を抽出した場合、B地点に居る行動特性がユーザになければ、場所は同じであるが時間が異なる投稿情報等(時間=午前10時20分、場所=A地点)の方がユーザにとってより近い状況の投稿情報等として選ばれる可能性がある。
【0074】
これにより、第2の実施形態によれば、複数の条件に合致する情報を抽出して提供する場合において、複数の条件と完全に合致する情報が存在しないときでも、ユーザにとってより有用と考えられる情報を抽出して提供することができるようになる。
【0075】
なお、第2の実施形態では、閲覧履歴情報に基づいてユーザの行動特性を推定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、投稿情報等の投稿履歴情報に基づいてユーザの行動特性を推定するようにしてもよい。要は、投稿情報等の書き込みや閲覧など、投稿情報等に対して何からのアクセスが行われている時間と場所の履歴情報であれば第2の実施形態に適用することが可能である。
【0076】
また、上記第1および第2の実施形態では、情報提供要求と共にクライアント端末200から送られてきた時間情報および場所情報に完全に合致する属性情報を有する投稿情報等が情報記憶部1に記憶されていない場合に、場所情報の値を時間情報の値に換算して投稿情報等を抽出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、時間情報および場所情報に完全に合致する属性情報を有する投稿情報等が情報記憶部1に記憶されている場合であっても、その完全合致に係る属性情報を有する投稿情報等に加えて、場所情報の値を時間情報の値に換算して抽出した投稿情報等をユーザに提供するようにしてもよい。
【0077】
また、上記第1および第2の実施形態では、複数の属性情報の一例として時間情報および場所情報を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、複数の属性情報のうち一部の属性情報の値を他の属性情報の値に換算することができるものであれば、そのような組み合わせの属性情報を用いることが可能である。
【0078】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。