(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1挟持部は、前記第1カバー部材の内側面に係合して前記第3ガード部のずれを防止するための第1係合部と、前記第1係合部と別に設けられ、前記第3ガード部を位置決めする第1位置決め突起と、を有し、
前記第2挟持部は、前記第1カバー部材の内側面に係合して前記第4ガード部のずれを防止するための第2係合部と、前記第2係合部と別に設けられ、前記第4ガード部を位置決めする第2位置決め突起と、を有する、請求項3に記載のスピニングリール。
前記第3挟持部は、前記第2カバー部材の内側面に係合して前記第5ガード部のずれを防止するための第3係合部と、前記第3係合部と別に設けられ、前記第5ガード部を位置決めする第3位置決め突起と、を有し、
前記第4挟持部は、前記第2カバー部材の内側面に係合して前記第6ガード部のずれを防止するための第4係合部と、前記第4係合部と別に設けられ、前記第6ガード部を位置決めする第4位置決め突起と、を有する、請求項8に記載のスピニングリール。
前記第1ガード部材の前記第1ガード部と前記第5ガード部、及び前記第2ガード部材の前記第2ガード部と前記第6ガード部は、それぞれ滑らかに接続されるように形成される、請求項6から9のいずれか1項に記載のスピニングリール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスピニングリールでは、ガード部材が傷付いたときに、ガード部材を交換しようとすると、開口を覆う後カバー部材を外すなど、ロータをリール本体から取り外さなければならず、ガード部材を交換しにくい。
【0005】
本発明の課題は、連結部の後端面と外側面との境界部分を、交換容易に保護できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係るスピニングリールは、釣り糸を前方に繰り出し可能なリールである。スピニングリールは、リール本体と、ロータと、スプールと、を備える。リール本体は、ハンドルが回転自在に支持される。ロータは、リール本体にハンドルと食い違う前後軸回りに回転自在に支持される。スプールは、リール本体に前後軸方向に移動自在に支持され、ロータによって釣り糸が巻き付けられる。
【0007】
ロータは、ロータ本体と、第1カバー部材と、第1ガード部材と、第2ガード部材と、釣り糸案内部と、を有する。ロータ本体は、筒状の連結部と、第1ロータアームと、第2ロータアームと、を有する。筒状の連結部は、リール本体に回転自在に支持される。第1ロータアームは、連結部の後端部から連結部と間隔を隔てて前方に延びる。第1ロータアームは、一対の第1側部を有する。第2ロータアームは、連結部の後端部の第1ロータアームと対向した位置から連結部と間隔を隔てて前方に延びる。第2ロータアームは一対の第2側部を有する。
【0008】
第1カバー部材は、ロータ本体に着脱可能に設けられ、第1ロータアームの径方向の外側を覆う。第1ガード部材は、ロータ本体に着脱可能に設けられ、連結部の外側面と後端面との境界部分の少なくとも一部を覆う第1ガード部を有する。第2ガード部材は、ロータ本体に着脱可能に設けられ、第1ガード部と対向する位置で連結部の外側面と後端面との境界部分の少なくとも一部を覆う第2ガード部を有する。釣り糸案内部は、第1ロータアームの先端に揺動自在に設けられる。
【0009】
このスピニングリールでは、第1ガード部材の第1ガード部が、連結部の後端面と外側面との境界部分の少なくとも一部を覆う。また、第2ガード部材の第2ガード部が、第1ガード部と対向する位置で連結部の後端面と外側面との境界部分の少なくとも一部を覆う。ここでは、第1ガード部材と第2ガード部材との2つのガード部材によって、連結部の外側面と後端面との境界部分の少なくとも一部をそれぞれ別の位置で保護しているため、ロータをリール本体から取り外すことなく、第1ガード部材及び第2ガード部材を別々に着脱できる。このため、連結部の後端面と外側面とを、交換容易に保護できるようになる。
【0010】
発明2に係るスピニングリールは、発明1に記載のスピニングリールにおいて、第1ガード部
材及び第2ガード部
材は、第1ロータアームと第2ロータアームとの間で連結部に配置される。この場合には、第1ガード部
材及び第2ガード部
材が、第1ロータアームと第2ロータアームの間で連結部に配置されるので、接地しやすい連結部の後端部を確実に保護できる。また、第1ロータアーム及び第2ロータアームを合わせて保護する場合に、第1ロータアーム及び第2ロータアームを保護する部分を一体形成しやすい。
【0011】
発明3に係るスピニングリールは、発明2に記載のスピニングリールにおいて、第1ガード部材は、第1ガード部に一体形成され、第1カバー部材と第1ロータアームの一方の第1側部との境界部分の少なくとも一部を覆う第3ガード部をさらに有する。第2ガード部材は、第2ガード部に一体形成され、第1カバー部材と第1ロータアームの他方の第1側部との境界部分の少なくとも一部を覆う第4ガード部をさらに有する。この場合には、連結部の後端面と外側面の保護に加えて、第1ロータアームの一対の側部と第1カバー部材との境界部分も保護できる。
【0012】
発明4に係るスピニングリールは、発明3に記載のスピニングリールにおいて、第1カバー部材は、少なくとも第1ロータアームに第1ネジ部材によって固定される。第1ガード部材は、第1ガード部と第3ガード部との接続部分で、また第2ガード部材は、第2ガード部と第4ガード部との接続部分で、それぞれロータ本体に第2ネジ部材によって固定される。
【0013】
この場合には、第1カバー部材が第1ロータアームに第1ネジ部材によって固定され、第1ガード部材及び第2ガード部材はそれぞれ第2ネジ部材によってロータ本体に固定される。このため、それぞれの第2ネジ部材によって第1ガード部材及び第2ガード部材をロータ本体から着脱できる。
【0014】
発明5に係るスピニングリールは、発明3又は4に記載のスピニングリールにおいて、第3ガード部は、第1カバー部材と第1ロータアームとの間に配置され、第1カバー部材によって第1ロータアームに固定される第1挟持部を有する。第4ガード部は、第1カバー部材と第1ロータアームとの間に配置され、第1カバー部材によって第1ロータアームに固定される第2挟持部を有する。
【0015】
この場合には、第1カバー部材が第1ロータアームに固定されると、第1挟持部及び第2挟持部が第1ロータアームに固定される。このため、第1ガード部材及び第2ガード部材をそれぞれ1本の第2ネジ部材で固定しても、第3ガード部及び第4ガード部がガタツキにくくなる。
【0016】
発明6に係るスピニングリールは、発明5に記載のスピニングリールにおいて、第1挟持部は、第1カバー部材の内側面に係合して第3ガード部のずれを防止するための第1係合部と、第1係合部と別に設けられ、第3ガード部を位置決めする第1位置決め突起と、を有する。第2挟持部は、第1カバー部材の内側面に係合して第4ガード部のずれを防止するための第2係合部と、第2係合部と別に設けられ、第4ガード部を位置決めする第2位置決め突起と、を有する。
【0017】
この場合には、第1ガード部材及び第2ガード部材をそれぞれ1本の第2ネジ部材によってロータ本体に固定しても、第1ガード部材の第3ガード部のずれを第1係合部によって、第2ガード部材の第4ガード部のずれを第2係合部によってそれぞれ防止できる。また、第1位置決め突起によって第3ガード部が位置決めされ、第2位置決め突起によって第4ガード部が位置決めされるので、第3ガード部及び第4ガード部が位置ずれしにくくなる。
【0018】
発明7に係るスピニングリールは、発明2から6のいずれかに記載のスピニングリールにおいて、第1ガード部材の第1ガード部と第3ガード部、及び第2ガード部材の第2ガード部と第4ガード部は、それぞれ滑らかに接続される。
【0019】
この場合、前後方向に沿って配置される第3ガード部及び周方向に沿って配置される第1ガード部、並びに前後方向に沿って配置される第4ガード部及び周方向に沿って配置される第2ガード部がそれぞれ滑らかに接続されるので、接続部分に釣り糸が引っ掛かりにくい。
【0020】
発明8に係るスピニングリールは、発明2から7のいずれかに記載のスピニングリールにおいて、ロータは、ロータ本体に対して着脱可能であり、第2ロータアームの径方向の外側を覆う第2カバー部材をさらに有する。第1ロータアームの一方の第1側部は、他方の第1側部よりもロータの糸巻取方向の上流側に配置される。第1ガード部材は、第2ロータアームの一方の第2側部と第2カバー部材との境界部分の少なくとも一部を覆い、第1ガード部と一体形成された第5ガード部を有する。第2ガード部材は、第2ロータアームの他方の第2側部と第2カバー部材との境界部分の少なくとも一部を覆い第2ガード部と一体形成された第6ガード部を有する。第2ロータアームの一方の第2側部は、他方の第2側部よりもロータの糸巻取方向の下流側に配置される。
【0021】
この場合には、第1ガード部材によって第2ロータアームの一方の第2側部と第2カバー部材との境界部分を覆い、第2ガード部材によって第2ロータアームの他方の第2側部と第2カバー部材との境界部分を覆うので、連結部の後端面と外側面との境界部分及び第1ロータアームの一対の第1側部と第1カバー部材との境界部分に加えて第2ロータアームの一対の第2側部と第2カバー部材との境界部分を保護できる。
【0022】
発明9に係るスピニングリールは、発明8に記載のスピニングリールにおいて、第2カバー部材は、少なくとも第2ロータアームに第3ネジ部材によって固定される。第1ガード部材は、第1ガード部と第5ガード部との接続部分で、第2ガード部材は、第2ガード部と第6ガード部との接続部分で、それぞれ、ロータ本体に第4ネジ部材によって固定される。
【0023】
この場合には、第2カバー部材がロータに第3ネジ部材によって固定され、第1ガード部材及び第2ガード部材はそれぞれ第2ネジ部材及び第4ネジ部材によってロータ本体に固定される。このため、それぞれの第2ネジ部材及び第4ネジ部材によって第1ガード部材及び第2ガード部材をロータ本体から着脱できる。
【0024】
発明10に係るスピニングリールは、発明9に記載のスピニングリールにおいて、第5ガード部は、第2カバー部材と第2ロータアームとの間に配置され、第2カバー部材によって第2ロータアームに固定される第3挟持部を有する。第6ガード部は、第2カバー部材と第2ロータアームとの間に配置され、第2カバー部材によって第2ロータアームに固定される第4挟持部を有する。
【0025】
この場合には、第2カバー部材が第2ロータアームに固定されると、第3挟持部及び第4挟持部が第2ロータアームに固定される。このため、第1ガード部材及び第2ガード部材をそれぞれ接続部分において第2ネジ部材で固定しても、第5ガード部及び第6ガード部がガタツキにくくなる。
【0026】
発明11に係るスピニングリールは、発明10に係るスピニングリールにおいて、第3挟持部は、第2カバー部材の内側面に係合して第5ガード部のずれを防止するための第3係合部と、第3係合部と別に設けられ、第5ガード部を位置決めする第3位置決め突起と、を有する。第4挟持部は、第2カバー部材33の内側面に係合して第6ガード部のずれを防止するための第4係合部と、第4係合部と別に設けられ、第6ガード部を位置決めする第4位置決め突起と、を有する、
【0027】
この場合には、第1ガード部材及び第2ガード部材のそれぞれを接続部分で第2ネジ部材及び第4ネジ部材によってロータ本体に固定しても、第1ガード部材の第5ガード部及び第2ガード部材の第6ガード部のそれぞれのずれを第3係合部及び第4係合部によって防止でき、かつ第3位置決め突起及び第4位置決め突起によってそれぞれの位置決めがなされるので、第1ガード部材に第5ガード部を、第2ガード部材に第6ガード部を設けても、第5ガード部及び第6ガード部が位置ずれしにくくなる。
【0028】
発明12に係るスピニングリールは、発明8から11のいずれかに記載のスピニングリールにおいて、第1ガード部材の第1ガード部と第5ガード部、及び第2ガード部材の第2ガード部と第6ガード部は、それぞれ滑らかに接続されるように形成される。
【0029】
この場合に、前後方向に沿って配置される第5ガード部及び周方向に沿って配置される第1ガード部、並びに前後方向に沿って配置される第6ガード部及び周方向に沿って配置される第2ガード部がそれぞれ滑らかに接続されるので、接続部分に釣り糸が引っ掛かりにくい。
【0030】
発明13に係るスピニングリールは、発明2から12のいずれかに記載のスピニングリールにおいて、第1ガード部材及び第2ガード部材は、合成樹脂製であり、外側面に合成樹脂素材が露出する。この場合には、第1ガード部材及び第2ガード部材が合成樹脂製であるので、金属製のものに比べて柔らかく傷付きやすいがガード部材を設けても軽量化を図れる。また、合成樹脂素材が外部に露出する、すなわち、めっきや塗装などによって被膜が形成されていないため、被膜が剥離せず素材自体が傷付くだけである。このため、第1ガード部材及び第2ガード部材が傷付いても傷が目立ちにくい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、第1ガード部材と第2ガード部材との2つのガード部材によって、第1ロータアームの一対の第1側部と第1ガード部材との境界部分の少なくとも一部を覆うことができるので、第1ロータアームと第1カバー部材との境界部分を保護できる。しかも、第1ガード部材と第2ガード部材の2つのガード部材によって第1ロータアームの一対の第1側部と第1ガード部材との境界部分及び連結部の外側面と後端面との境界部分をそれぞれ保護しているため、ロータを外すことなく、第1ガード部材及び第2ガード部材を別々に着脱できる。このため、ロータアームとカバー部材との境界部分及び連結部の後端面と外側面とを、交換容易に保護できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<全体構成及びリール本体の構成>
図1及び
図2において、本発明の一実施形態によるスピニングリール100は、釣り糸を前方に繰り出すものである。スピニングリール100は、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、スプール4に釣り糸を巻き付けるものであり、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、外周面に釣り糸を巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、ハンドル1は、
図1に示すリール本体2の左側と、リール本体2の右側とのいずれにも装着可能である。
【0034】
ハンドル1は、
図1及び
図2に示すように、ハンドル軸8a(
図2)の先端に装着され、ハンドル軸8aと交差する方向に延びるハンドルアーム8と、ハンドルアーム8の先端に固定された把手軸(図示せず)と、把手軸に回転自在に装着されたハンドル把手9とを備えている。
【0035】
<リール本体の構成>
リール本体2は、
図1及び
図2に示すように、開口を有する、例えばアルミニウム合金製のリールボディ2aと、開口を塞ぐようにリールボディ2aに着脱自在に装着された、例えばアルミニウム合金製の蓋部材2b(
図1参照)と、リールボディ2aから斜め上前方に延びる竿取付脚2cと、を有している。リールボディ2aは、内部に開口に連なる空間を有しており、その空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。リールボディ2b及び蓋部材2bの後部は、本体ガード7が装着される。本体ガード7は、1本のネジ部材によってリールボディ2aに固定される。
【0036】
<ロータ駆動機構の構成>
ロータ駆動機構5は、
図2に示すように、ハンドル1のハンドル軸8aが固定された駆動軸10、駆動軸10とともに回転する駆動ギア11と、駆動ギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。駆動軸10は、たとえば、ステンレス合金製の筒状の軸であり、リールボディ2a及び蓋部材2bに装着された軸受(図示せず)により両端支持されている。駆動軸10の両内周面には、雌ねじ部(図示せず)が形成されている。
【0037】
ピニオンギア12は、たとえば、ステンレス合金製の筒状の部材であり、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と一体回転可能に固定されている。ナット13は、リテーナ18によって回り止めされる。リテーナ18は、ロータ3に固定される。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、リールボディ2aに間隔を隔てて装着された軸受14a,14bによりリールボディ2aに回転自在に支持されている。
【0038】
<オシレーティング機構の構成>
オシレーティング機構6は、スプール4の中心部にドラグ機構60を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に往復移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、スプール軸15の下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。螺軸21は前後方向に配置されており、リールボディ2aに回転自在に支持されている。スライダ22にはスプール軸15の基端が回転不能に連結されている。
【0039】
スライダ22にはスプール軸15の後端が回転不能に固定されている。スライダ22は、リールボディ2aに前後方向に沿って配置された2本のガイド軸(図示せず)により前後方向に案内されている。中間ギア23は、ピニオンギア12に噛み合っている。
【0040】
スプール軸15は、ピニオンギア12の中心部を貫通して配置されている。スプール軸15は、ピニオンギア12の内部をオシレーティング機構6により前後に往復移動する。スプール軸15は、中間部がナット13内に装着された軸受16により、後部がピニオンギア12の後部内周面により、回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。
【0041】
<ロータの構成>
ロータ3は、
図2及び
図3に示すように、ピニオンギア12を介してリール本体2に回転自在に支持される。ロータ3は、ピニオンギア12に一体回転可能に連結されたロータ本体30と、第1カバー部材32と、第2カバー部材33と、第1ガード部材34(
図3参照)と、第2ガード部材35と、ベールアーム36(釣り糸案内部の一例)と、を有する。
【0042】
ロータ本体30は、ピニオンギア12を介してリール本体2に回転自在に連結される有底筒状の連結部30aと、第1ロータアーム30bと、第2ロータアーム30cと、を有する。連結部30aは、後方に向かってわずかに拡径する筒状に形成される。第1ロータアーム30bは、連結部30aの後端部の第1側(
図2上側)から連結部30aと間隔を隔てて前方に延びる。第2ロータアーム30cは、連結部30aの後端部の第1側と対向する第2側(
図2下側)から連結部30aと間隔を隔てて前方に延びる。ロータ本体30は、たとえばアルミニウム合金製又はマグネシウム合金製であり一体成形されている。
【0043】
連結部30aの前部には、壁部31aが形成されており、壁部31aの中央部にはボス部31bが形成されている。ボス部31bの中心部には貫通孔31cが形成されており、この貫通孔31cをピニオンギア12の前部12a及びスプール軸15が貫通している。壁部31aの前部にロータ3をピニオンギア12に固定するためのナット13が配置されておる。ナット13とスプール軸15との間には、スプール軸15とナット13との隙間から液体がリールボディ2a内に浸入するのを防止するためのシール部材17が装着されている。シール部材17は、ナット13に接触して配置される。連結部30aの後部には、リール本体2の前部を収納可能な円形空間を有する凹陥部31dが形成されている。
【0044】
連結部30aの壁部31aの前面には、リテーナ18が装着される。リテーナ18は、複数(例えば3本)のボルト部材18aによって壁部31aに固定される。リテーナ18は、ナット13を回り止めするとともに、シール部材17を僅かに押圧して軸受16とスプール軸15との隙間が生じないようにするために設けられる。壁部31aには、
図3に拡大して示すように、他の部分よりも僅かに(例えば0.5mmから2mm)前方に突出する雌ネジ部を有する取付座31eが設けられる。このように他の部分より突出した取付座31eは、端面を機械加工可能であるので、リテーナ18の取り付け姿勢が傾きにくくなり、シール部材17を安定して押圧することができる。これにより、シール部材17のシール性能が向上する。
【0045】
第1ロータアーム30bは、
図3に示すように、連結部30aから外方に凸に湾曲して前方に延びており、連結部30aの周方向に広がり湾曲している。第1ロータアーム30bは、一対の第1側部30d,30eを有している。一方の第1側部30dは、他方の第1側部30eよりもロータ3の矢印Aで示す糸巻取回転方向の上流側に配置される。第2ロータアーム30cは、連結部30aから外方に凸に湾曲して前方に延びており、連結部30aとの接続部は連結部30aの周方向に広がり湾曲している。第2ロータアーム30cは、一対の第2側部30f,30gを有している。一方の第2側部30fは、他方の第2側部30gよりもロータ3の矢印Aで示す糸巻取回転方向の下流側に配置される。
【0046】
第1カバー部材32は、第1ロータアーム30bの径方向外側を覆う。第1カバー部材32は、3次元曲面で構成された外側面を有する。第1カバー部材32は、外側面と後端部とから装着される2本のネジ部材55aにより、第1ロータアーム30bに固定される。ネジ部材55aは、第1ネジ部材の一例である。第1カバー部材32と第1ロータアーム30bとの間には、ベール反転機構39が設けられている。第1カバー部材32の後端部は、連結部30aの後端外周面に沿って円弧状に形成される。これにより、第1ロータアーム30bの後端部がカバーされる。第1カバー部材32の両側部には、第1ガード部材34の後述する第3ガード部34b及び第2ガード部材35の後述する第4ガード部35bを装着するための僅かに凹んだ一対の第1装着凹部32aが形成される。
【0047】
第2カバー部材33は、第2ロータアーム30cの径方向外側を覆う。第2カバー部材33は、3次元曲面で構成された外側面を有する。第2カバー部材33は、中央部が開口している。第2カバー部材33は、外側面と後端部とから装着される2本のネジ部材55bにより、第2ロータアーム30cに固定される。ネジ部材55bは、第3ネジ部材の一例である。第2カバー部材33の後端部は、連結部30aの後端外周面に沿って円弧状に形成される。これにより、第2ロータアーム30cの後端部がカバーされる。第2カバー部材33の両側部には、第1ガード部材34の後述する第5ガード部34c及び第2ガード部材35の後述する第6ガード部35cを装着するための僅かに凹んだ一対の第2装着凹部33aが形成される。
【0048】
図3及び
図4に示すように、第1ガード部材34は、ロータ本体30に着脱可能に設けられる。第1ガード部材34は、第1ガード部34aと、第3ガード部34bと、第5ガード部34cと、を有している。第2ガード部材35は、第2ガード部35aと、第4ガード部35bと、第6ガード部35cと、を有している。第1ガード部材34及び第2ガード部材35は、それぞれ例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂等の合成樹脂製であり、合成樹脂の素材がそのまま外側面に露出するように形成される。したがって、外側面には、めっき又は塗装等による被膜は形成されていない。このため、第1ガード部材34及び第2ガード部材では、合成樹脂の素材の色(例えば、黒色、黄色、赤色、灰色、又は白色等)がそのまま外観に表れる。
【0049】
第1ガード部34aは、円形の連結部30aの外側面と後端面との境界部分の少なくとも一部を覆う。この実施形態では、第1ガード部34aは、第1ロータアーム30bと第2ロータアーム30cの間に配置される。第1ガード部34aは、連結部30aの後端面に沿って円弧状に湾曲して形成される。第3ガード部34bは、第1ガード部34aと一体形成され、第1カバー部材32と第1ロータアーム30bの一方の第1側部30dとの境界部分の少なくとも一部(この実施形態では一部)を覆う。第3ガード部34bは、第1ロータアーム30bの一方の第1側部30dに沿って前方に延びる。第5ガード部34cは、第3ガード部34bと半端側の位置で第1ガード部34aと一体形成される。第5ガード部34cは、第2カバー部材33と第2ロータアーム30cの一方の第2側部30fとの境界部分の少なくとも一部(この実施形態では一部)を覆う。第5ガード部34cは、第2ロータアーム30cの一方の第
2側部30fに沿って前方に延びる。
【0050】
第2ガード部35aは、第1ガード部34aと対向する位置で円形の連結部30aの外側面と後端面との境界部分の一部を覆う。第2ガード部35aは、連結部30aの後端面に沿って円弧状に湾曲して形成される。第4ガード部35bは、第2ガード部35aと一体形成され、第1カバー部材32と第1ロータアーム30bの他方の第1側部30eとの境界部分の少なくとも一部(この実施形態では一部)を覆う。第4ガード部35bは、第1ロータアーム30bの他方の第1側部30eに沿って前方に延びる。第6ガード部35cは、第4ガード部35bと反対側の位置で第2ガード部35aと一体形成される。第6ガード部35cは、第2カバー部材33と第2ロータアーム30cの他方の第2側部30gとの境界部分の少なくとも一部(この実施形態では一部)を覆う。第6ガード部35cは、第2ロータアーム30cの他方の第2側部30gに沿って前方に延びる。
【0051】
第1ガード部34aと第3ガード部34bとの境界部分及び第2ガード部35aと第4ガード部35bとの境界部分には、それぞれ第1固定ブラケット34d,35dが対向して配置されている。第1固定ブラケット34d,35dは、連結部30aの後面に形成された図示しない第1ボス部に接触して配置される。第1固定ブラケット34d,35dを貫通して第1ボス部に螺合するネジ部材56aによって、第1固定ブラケット34d及び第1固定ブラケット35dは、第1ボス部に固定される。ネジ部材56aは第2ネジ部材の一例である。
【0052】
第1ガード部34aと第5ガード部34cとの境界部分及び第2ガード部35aと第6ガード部35cとの境界部分には、それぞれ第2固定ブラケット34e,35eが対向して配置されている。第2固定ブラケット34e,35eは、連結部30aの後面に形成された図示しない第2ボス部に接触して配置される。第2固定ブラケット34e,35eを貫通して第2ボス部に螺合するネジ部材56bによって、第2固定ブラケット34e及び第2固定ブラケット35eは、第2ボス部に固定される。ネジ部材56bは第4ネジ部材の一例である。したがって、第1ガード部材34及び第2ガード部材35は、ネジ部材56a及びネジ部材56bによって、ロータ本体30に着脱可能に固定される。
【0053】
第1ガード部材34の第3ガード部34bは、
図4、
図5及び
図6に示すように第1挟持部34fを有する。第1挟持部34fは、第1カバー部材32と第1ロータアーム30bとの間に配置され、第1カバー部材32を第1ロータアーム30bに固定することによって、第1ロータアーム30bに固定される。第1挟持部34fは、第1カバー部材32の内側面に係合して第3ガード部34bが第1カバー部材32に対してずれるのを防止するための第1係合部34gと、第1係合部34gと別に設けられ、第1カバー部材32に対して第3ガード部34bを位置決めする第1位置決め突起34hを有する。第1係合部34gは、第1カバー部材32の内側面に形成された傾斜面32b(
図5参照)に係合する。第1位置決め突起34hは、第1カバー部材32の内側面に形成された位置決め凹部32cに嵌合する。
【0054】
第2ガード部材35の第4ガード部35bは、第2挟持部35fを有する。第2挟持部35fは、第1カバー部材32と
第1ロータアーム30bとの間に配置され、第1カバー部材32を第1ロータアーム30bに固定することによって、第1ロータアーム30bに固定される。第2挟持部35fは、第1カバー部材32の内側面に係合して第4ガ
ード部35bが第1カバー部材32に対してずれるのを防止するための第2係合部35gと、第2係合部35gと別に設けられ、第1カバー部材32に対して第4ガ
ード部35bを位置決めする第2位置決め突起35hを有する。第2係合部35gは、第1カバー部材32の内側面に形成された傾斜面32b(
図5参照)に係合する。第2位置決め突起35hは、第1カバー部材32の内側面に形成された位置決め凹部32cに嵌合する。
【0055】
また、第1ガード部材34の第5ガード部34cは、第3挟持部34iを有する。第3挟持部34iは、第2カバー部材33と第2ロータアーム30cとの間に配置され、第2カバー部材33を第2ロータアーム30cに固定することによって、第2ロータアーム30cに固定される。第3挟持部34iは、第2カバー部材33の内側面に係合して第5ガード部34cが第2カバー部材33に対してずれるのを防止するための第3係合部34jと、第3係合部34jと別に設けられ、第2カバー部材33に対して第5ガード部34cを位置決めする第3位置決め突起34kと、有する。第3係合部34jは、第2カバー部材33の内側面に形成された傾斜面33b(
図5参照)に係合する。第3位置決め突起34kは、第2カバー部材33の内側面に形成された位置決め凹部33cに嵌合する。
【0056】
第2ガード部材35の第6ガード部35cは、第4挟持部35iを有する。第4挟持部35iは、第2カバー部材33と第2ロータアーム30cとの間に配置され、第2カバー部材33を第2ロータアーム30cに固定することによって、第2ロータアーム30cに固定される。第4挟持部35iは、第2カバー部材33の内側面に係合して第6ガード部35cが第2カバー部材33に対してずれるのを防止するための第4係合部35jと、第4係合部35jと別に設けられ、第2カバー部材33に対して第6ガード部35cを位置決めする第4位置決め突起35kと、を有する。第4係合部35jは、第2カバー部材33の内側面に形成された傾斜面33b(
図5参照)に係合する。第4位置決め突起35kは、第2カバー部材33の内側面に形成された位置決め凹部33cに嵌合する。
【0057】
第1ガード部材34の第3ガード部34bと第1ガード部34aと第5ガード部34cは、滑らかに接続される。第2ガード部材35の第4ガード部35bと第2ガード部35aと第6ガード部35cは、滑らかに接続される。
【0058】
<ベールアームの構成>
ベールアーム36は、
図2に示すように、第1及び第2ロータアーム30b,30cの先端に糸解放姿勢と糸巻き取り姿勢との間で揺動自在に装着されている。ベールアーム36は、ベール反転機構39(
図3)により糸解放姿勢と糸巻き取り姿勢とに振り分けて付勢されている。ベールアーム36は、糸巻取姿勢にあるとき、ロータ3の糸巻取方向の回転により、釣り糸をスプール4に巻き付ける。
【0059】
ベールアーム36は、第1ロータアーム30bの先端の外周側に揺動自在に装着された第1ベール支持部材40と、第2ロータアーム30cの先端の外周側に揺動自在に装着された第2ベール支持部材42と、第1ベール支持部材40の先端に回転自在に装着されたラインローラ41と、を有している。また、ベールアーム36は、第1ベール支持部材40の先端に固定され第1ベール支持部材40に片持ち支持された、ラインローラ41を支持する固定軸(図示せず)と、固定軸の先端側に配置された固定軸カバー44と、固定軸カバー44と第2ベール支持部材とを連結するベール45と、を有している。
【0060】
<その他の構成>
図2に示すように、ロータ3の連結部30aの内部にはロータ3の逆転を禁止するための逆転防止機構50が配置されている。逆転防止機構50は、内輪が遊転するローラ型のワンウェイクラッチ51を有している。この逆転防止機構50は、ロータ3の糸繰り出し方向の逆転を常時禁止しており、逆転を許可する状態をとることはない。
【0061】
スプール4は、
図2に示すように、ロータ3の第1ロータアーム30bと第2ロータアーム30cとの間に配置されており、スプール軸15の先端に回転自在に支持されている。スプール4は、スプール軸15とともに前後移動しながら、外周に釣り糸が巻かれる。スプール4は、たとえばアルミニウム合金製のものである。スプール4の内部には、設定されたドラグ力がスプール4に作用するようにスプール4を制動するドラグ機構60が収納されている。
【0062】
ドラグ機構60は、
図2に示すように、スプール4の糸繰り出し方向への回転を制動してスプール4にドラグ力を作用させるための機構である。ドラグ機構60は、ドラグ力を手で調整するためのドラグつまみ組立体70と、ドラグつまみ組立体70によりスプール4側に押圧されてドラグ力が調整される摩擦部71と、を備えている。ドラグつまみ組立体70は、スプール4の前部に配置されている。摩擦部71は、スプール4の内部に配置されている。
【0063】
<第1ガード部材及び第2ガード部材の交換方法>
このような構成のスピニングリール100では、例えば、第1ガード部材34が傷ついた場合、第1カバー部材32を固定している2本のネジ部材55aを外して、第1カバー部材32を第1ロータアーム30bから取り外す。そして、第1ガード部材34をロータ本体30に固定している2本のネジ部材56a,56bを外せば、第1ガード部材34をロータ本体30から取り外すことができる。
【0064】
また、第1ガード部材34及び第2ガード部材35は表面に素材の色が表れる被膜を有さない合成樹脂製であるので、傷ついても傷があまり目立たない。
【0065】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0066】
(A)スピニングリール100は、釣り糸を前方に繰り出し可能なリールである。スピニングリール100は、リール本体2と、ロータ3と、スプール4と、を備える。リール本体2は、ハンドル1が回転自在に支持される。ロータ3は、リール本体2にハンドル1と食い違う前後軸回りに回転自在に支持される。スプール4は、リール本体2に前後軸方向に移動自在に支持され、ロータ3によって釣り糸が巻き付けられる。
【0067】
ロータ3は、ロータ本体30と、第1カバー部材32と、第1ガード部材34と、第2ガード部材35と、ベールアーム36と、を有する。ロータ本体30は、筒状の連結部30aと、第1ロータアーム30bと、第2ロータアーム30cと、を有する。筒状の連結部30aは、リール本体2に回転自在に支持される。第1ロータアーム30bは、連結部30aの後端部から連結部30aと間隔を隔てて前方に延びる。第1ロータアーム30bは、一対の第1側部30d,30eを有する。第2ロータアーム30cは、連結部30aの後端部の第1ロータアーム30bと対向した位置から連結部30aと間隔を隔てて前方に延びる。第2ロータアーム30cは一対の第2側部30f、30gを有する。
【0068】
第1カバー部材32は、ロータ本体30に着脱可能に設けられ、第1ロータアーム30bの径方向の外側を覆う。第1ガード部材34は、ロータ本体30に着脱可能に設けられ、第1ガード部34aを有する。第1ガード部34aは、連結部30aの外側面と後端面との境界部分の少なくとも一部を覆う。第2ガード部材35は、ロータ本体30に着脱可能に設けられ、第2ガード部35aを有する。第2ガード部35aは、第1ガード部34aと対向する位置で連結部30aの外側面と後端面との境界部分の少なくとも一部を覆う。ベールアーム36は、第1ロータアーム30b及び第2ロータアーム30cの先端に揺動自在に設けられる。
【0069】
このスピニングリール100では、第1ガード部材34の第1ガード部34aが、連結部30aの後端面と外側面との境界部分の少なくとも一部を覆う。また、第2ガード部材35の第2ガード部35aが、第1ガード部34aと対向する位置で連結部30aの後端面と外側面との境界部分の一部を覆う。ここでは、第1ガード部材34と第2ガード部材35との2つのガード部材によって、連結部30aの外側面と後端面との境界部分の少なくとも一部をそれぞれ別の位置で保護しているため、ロータ3をリール本体2から外すことなく、第1ガード部材34及び第2ガード部材35を別々に着脱できる。このため、連結部30aの後端面と外側面とを、交換容易に保護できるようになる。
【0070】
(B)スピニングリール100において、第1ガード部34a及び第2ガード部35aは、第1ロータアーム30bと第2ロータアーム30cとの間で連結部30aに配置される。この場合には、第1ガード部
材3
4及び第2ガード部
材3
5が、第1ロータアーム30bと第2ロータアーム30cの間で連結部30aに配置されるので、接地しやすい連結部30aの後端部を確実に保護できる。また、第1ロータアーム30b及び第2ロータアーム30cを合わせて保護する場合に、第1ロータアーム30b及び第2ロータアーム30cを保護する部分を一体形成しやすい。
【0071】
(C)スピニングリール100において、第1ガード部材34は、第1ガード部34aに一体形成され、第1カバー部材32と第1ロータアーム30bの一方の第1側部30dとの境界部分の少なくとも一部を覆う第3ガード部34bをさらに有する。第2ガード部材35は、第2ガード部35aに一体形成され、第1カバー部材32と第1ロータアーム30bの他方の第1側部30eとの境界部分の少なくとも一部を覆う第4ガード部35bをさらに有する。この場合には、連結部30aの後端面と外側面の保護に加えて、第1ロータアーム30bの一対の側部30d,30eと第1カバー部材32との境界部分も保護できる。
【0072】
(D)スピニングリール100において、第1カバー部材32は、少なくとも第1ロータアーム30bにネジ部材55aによって固定される。第1ガード部材34は、第1ガード部34aと第3ガード部34bとの接続部分で、また第2ガード部材35は、第2ガード部35aと第4ガード部35bとの接続部分で、それぞれロータ本体30にネジ部材56aによって固定される。
【0073】
この場合には、第1カバー部材32が第1ロータアーム30bにネジ部材55aによって固定され、第1ガード部材34及び第2ガード部材35はそれぞれネジ部材56a,56bによってロータ本体30に固定される。このため、それぞれのネジ部材56a,56bによって第1ガード部材34及び第2ガード部材35をロータ本体30から着脱できる。
【0074】
(E)スピニングリール100において、第3ガード部34bは、第1カバー部材32と第1ロータアーム30bとの間に配置され、第1カバー部材32によって第1ロータアーム30bに固定される第1挟持部34fを有する。第4ガード部35bは、第1カバー部材32と第1ロータアーム30bとの間に配置され、第1カバー部材32によって第1ロータアーム30bに固定される第2挟持部35fを有する。
【0075】
この場合には、第1カバー部材32が第1ロータアーム30bに固定されると、第1挟持部34f及び第2挟持部35fが第1ロータアーム30bに固定される。このため、第1ガード部材34及び第2ガード部材35をそれぞれ1本のネジ部材56aで固定しても、第3ガード部34b及び第4ガード部35bがガタツキにくくなる。
【0076】
(F)スピニングリール100において、第1挟持部34fは、第1カバー部材32の内側面に係合して第3ガード部34bのずれを防止するための第1係合部34gと、第1係合部34gと別に設けられ、第3ガード部34bを位置決めする第1位置決め突起34hと、を有する。第2挟持部35fは、第1カバー部材32の内側面に係合して第4ガード部35bのずれを防止するための第2係合部35gと、第2係合部35gと別に設けられ、第4ガード部35bを位置決めする第2位置決め突起35hと、を有する。
【0077】
この場合には、第1ガード部材34及び第2ガード部材35をそれぞれ1本のネジ部材56aによってロータ本体30に固定しても、第1ガード部材34の第3ガード部34bのずれを第1係合部34gによって、第2ガード部材35の第4ガード部35bのずれを第2係合部35gによってそれぞれ防止できる。また、第1位置決め突起34hによって第3ガード部34bが位置決めされ、第2位置決め突起35hによって第4ガード部35bが位置決めされるので、第3ガード部34b及び第4ガード部35bが位置ずれしにくくなる。
【0078】
(G)スピニングリール100において、第1ガード部材34の第1ガード部34aと第3ガード部34b、及び第2ガード部材35の第2ガード部35aと第4ガード部35bは、それぞれ滑らかに接続される。
【0079】
この場合に、前後方向に沿って配置される第3ガード部34b及び周方向に沿って配置される第1ガード部34a、並びに前後方向に沿って配置される第4ガード部35b及び周方向に沿って配置される第2ガード部35aがそれぞれ滑らかに接続されるので、接続部分に釣り糸が引っ掛かりにくい。
【0080】
(H)スピニングリール100において、ロータ3は、ロータ本体30に対して着脱可能であり、第2ロータアーム30cの径方向の外側を覆う第2カバー部材33をさらに有する。第1ロータアーム30bの一方の第1側部30dは、他方の第1側部30eよりもロータ3の糸巻取回転方向Aの上流側に配置される。第1ガード部材34は、第2ロータアーム30cの一方の第2側部30fと第2カバー部材33との境界部分の少なくとも一部を覆い、第1ガード部34aと一体形成された第5ガード部34cを有する。第2ガード部材35は、第2ロータアーム30cの他方の第2側部30gと第2カバー部材33との境界部分の少なくとも一部を覆い第2ガード部35aと一体形成された第6ガード部35cを有する。第2ロータアーム30cの一方の第2側部30fは、他方の第2側部30gよりもロータの糸巻取回転方向Aの下流側に配置される。
【0081】
この場合には、第1ガード部材34によって第2ロータアーム30cの一方の第2側部30fと第2カバー部材33との境界部分を覆い、第2ガード部材35によって第2ロータアーム30cの他方の第2側部30gと第2カバー部材33との境界部分を覆うので、連結部30aの後端面と外側面との境界部分及び第1ロータアーム30bの一対の第1側部30d,30eと第1カバー部材32との境界部分に加えて、第2ロータアーム30cの一対の第2側部30f、30gと第2カバー部材33との境界部分を保護できる。
【0082】
(I)スピニングリール100において、第2カバー部材33は、少なくとも第2ロータアーム30cにネジ部材55bによって固定される。第1ガード部材34は、第1ガード部34aと第5ガード部34cとの接続部分で、第2ガード部材35は、第2ガード部35aと第6ガード部35cとの接続部分で、それぞれ、ロータ本体30にネジ部材56bによって固定される。
【0083】
この場合には、第2カバー部材33がロータにネジ部材55bによって固定され、第1ガード部材34及び第2ガード部材35はそれぞれネジ部材56a及びネジ部材56bによってロータ本体30に固定される。このため、それぞれのネジ部材56a、56bによって第1ガード部材34及び第2ガード部材35をロータ本体30から着脱できる。
【0084】
(J)スピニングリール100において、第5ガード部34cは、第2カバー部材33と第2ロータアーム30cとの間に配置され、第2カバー部材33によって第2ロータアーム30cに固定される第3挟持部34iを有する。第6ガード部35cは、第2カバー部材33と第2ロータアーム30cとの間に配置され、第2カバー部材33によって第2ロータアーム30cに固定される第4挟持部35iを有する。
【0085】
この場合には、第2カバー部材33が第2ロータアーム30cに固定されると、第3挟持部34i及び第4挟持部35iが第2ロータアーム30cに固定される。このため、第1ガード部材及び第2ガード部材のそれぞれの接続部分をそれぞれネジ部材56aとネジ部材56bで固定しても、第5ガード部34c及び第6ガード部35cがガタツキにくくなる。
【0086】
(K)スピニングリール100において、第3挟持部34iは、第2カバー部材33の内側面に係合して第5ガード部34cのずれを防止するための第3係合部34jと、第3係合部34jと別に設けられ、第5ガード部34cを位置決めする第
3位置決め突起34kと、を有する。第4挟持部35iは、第2カバー部材33の内側面に係合して第6ガード部35cのずれを防止するための第4係合部35jと、第4係合部35jと別に設けられ、第6ガード部35cを位置決めする第4位置決め突起35kと、を有する、
【0087】
この場合には、第1ガード部材34及び第2ガード部材35のそれぞれを接続部分でネジ部材56a及びネジ部材56bによってロータ本体30に固定しても、第1ガード部材34の第5ガード部34c及び第2ガード部材35の第6ガード部35cのそれぞれのずれを第3係合部34j及び第4係合部35jによって防止でき、かつ第3位置決め突起34k及び第4位置決め突起35kによってそれぞれの位置決めがなされるので、第1ガード部材34に第5ガード部34cを、第2ガード部材35に第6ガード部35cを設けても、第5ガード部34c及び第6ガード部35cが位置ずれしにくくなる。
【0088】
(L)スピニングリール100において、第1ガード部材34の第1ガード部34aと第5ガード部34c、及び第2ガード部材35の第2ガード部35aと第6ガード部35cは、それぞれ滑らかに接続されるように形成される。
【0089】
この場合に、前後方向に沿って配置される第5ガード部34c及び周方向に沿って配置される第1ガード部34a、並びに前後方向に沿って配置される第6ガード部35c及び周方向に沿って配置される第2ガード部35aがそれぞれ滑らかに接続されるので、接続部分に釣り糸が引っ掛かりにくい。
【0090】
(M)スピニングリール100において、第1ガード部材34及び第2ガード部材35は、合成樹脂製であり、外側面に合成樹脂素材が露出する。この場合には、第1ガード部材34及び第2ガード部材35が合成樹脂製であるので、金属製のものに比べて柔らかく傷付きやすいがガード部材を設けても軽量化を図れる。また、合成樹脂素材が外部に露出する、すなわち、めっきや塗装などによって被膜が形成されていないため、被膜が剥離せず素材自体が傷付くだけである。このため、第1ガード部材34及び第2ガード部材35が傷付いても傷が目立ちにくい。
【0091】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0092】
(a)前記実施形態では、第1ガード部材34及び第2ガード部材35の後面に後カバー部材が配置されていないが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、第1ガード部材34の第1ガード部34aの両端部と第2ガード部材35の第2ガード部35aの両端部とをそれぞれつなぐ第1後カバー部材134及び第2後カバー部材135を設けてもよい。この場合、
図7に示すように、第1後カバー部材134及び第2後カバー部材135を、第1ガード部材34及び第2ガード部材35と別に設けることでガード部材の取り外しが容易になる。
図7では、第1後カバー部材134は、ネジ部材56aによって、第1ガード部材34及び第2ガード部材35とともに、ロータ本体30に固定される。第2後カバー部材135は、ネジ部材56bによって、第1ガード部材34及び第2ガード部材35とともに、ロータ本体30に固定される。
【0093】
また、第1後カバー部材134を第1ガード部材34及び第2ガード部材35の一方と一体形成し、第2後カバー部材135を第1ガード部材34及び第2ガード部材35の他方と一体形成してもよい。
【0094】
(b)前記実施形態では、第1及び第2ロータアーム30b,30cのいずれかにも第1及び第2カバー部材32,33を設けたが、いずれかのロータアームだけにカバー部材を設けてもよい。この場合、たとえば、カバー部材を有さないロータアームでは、ロータアームの一対の側部に装着凹部を設けてもよい。また、第5ガード部及び第6ガード部を設けなくてもよい。
【0095】
(
c)他の実施形態(a)では、第1後カバー部材と第2後カバー部材を別体で設けたが、一体の環状に形成してもよい。この場合、ロータをリール本体に取り付けたまま後カバー部材とガード部材を固定するねじを外し、後カバー部材を後方にずらしてガード部材を取り外せばよい。