特許第6132557号(P6132557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132557
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】杭圧入装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 11/00 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   E02D11/00
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-4172(P2013-4172)
(22)【出願日】2013年1月15日
(65)【公開番号】特開2014-136861(P2014-136861A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141521
【氏名又は名称】株式会社技研製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】北村 精男
(72)【発明者】
【氏名】西村 亮二
(72)【発明者】
【氏名】濱口 宗大
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−212634(JP,A)
【文献】 特開2001−214443(JP,A)
【文献】 特開2002−004342(JP,A)
【文献】 特開2006−296261(JP,A)
【文献】 特開平06−280263(JP,A)
【文献】 特開2012−154383(JP,A)
【文献】 特開平09−125390(JP,A)
【文献】 特開2000−001852(JP,A)
【文献】 特開2011−226209(JP,A)
【文献】 特公昭63−047848(JP,B2)
【文献】 特開平09−300257(JP,A)
【文献】 特開平05−270372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00
E02D 7/20
E02D 9/00
E02D 11/00
E02D 13/00
E02F 3/42
E02F 3/84
E02F 9/20
B66C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャック装置により杭を把持して当該杭を地中に圧入する杭圧入装置であって、
当該杭圧入装置に着脱可能に取り付けられた周辺機器の種類を判別する第1判別手段と、
前記チャック装置のタイプを判別する第2判別手段と、
前記第1判別手段及び前記第2判別手段による判別結果に応じて、当該杭圧入装置の動作条件を切り替える動作制御手段と、
を備えたことを特徴とする杭圧入装置。
【請求項2】
既設の杭を挟んで支持するクランプ装置のタイプを判別する第3判別手段を備え、
前記動作制御手段は、更に、前記第3判別手段による判別結果に応じて、当該杭圧入装置の動作条件を切り替えることを特徴とする請求項1記載の杭圧入装置。
【請求項3】
前記第1判別手段及び前記第2判別手段は、ケーブルの接続により周辺機器の種類の判別及び前記チャック装置のタイプの判別を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の杭圧入装置。
【請求項4】
前記第1判別手段は、周辺機器の取付の有無、及び、ウォータージェットリール又は油圧ホースリールの接続の判別を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の杭圧入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭圧入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭を地盤に打ち込む装置として、既設の杭から反力を取って杭を地中に圧入する杭圧入機が知られている。
杭圧入機は、装置本体と、装置本体の下部に設けられ、既設の杭を掴むクランプ装置と、装置本体の前端部に設けられ、既設の杭に隣接した位置に圧入する杭を挟んで保持するチャック装置とを備えている。この杭圧入機は、クランプ装置で既設杭の上端側を掴み、その既設杭から反力を取った状態で杭を把持するチャック装置を降下させるようにして、杭を地中に圧入するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして近時、地盤条件や施工環境に応じた杭圧入工法を実施できるように、各種工法に用いる補助装置を杭圧入機に取り付け、その補助装置との協働によって杭の圧入施工を行うことがある。
また、地盤条件や施工環境に適したサイズの鋼矢板を選択して用いるために、鋼矢板を把持するチャック装置のチャック部などを交換して、杭圧入機を作動させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭63−47848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の場合、各種工法や鋼矢板サイズに対応させて杭圧入機を適切に作動させるために、作業者は杭圧入機の動作条件を設定する必要があるので、工法や鋼矢板サイズを変更する度に煩わしい入力操作を行わなければならなかった。
【0006】
本発明の目的は、作業者の負担を軽減して操作性を向上させた杭圧入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
チャック装置により杭を把持して当該杭を地中に圧入する杭圧入装置であって、
当該杭圧入装置に着脱可能に取り付けられた周辺機器の種類を判別する第1判別手段と、
前記チャック装置のタイプを判別する第2判別手段と、
前記第1判別手段及び前記第2判別手段による判別結果に応じて、当該杭圧入装置の動作条件を切り替える動作制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の杭圧入装置であって、
既設の杭を挟んで支持するクランプ装置のタイプを判別する第3判別手段を備え、
前記動作制御手段は、更に、前記第3判別手段による判別結果に応じて、当該杭圧入装置の動作条件を切り替えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の杭圧入装置であって、
前記第1判別手段及び前記第2判別手段は、ケーブルの接続により周辺機器の種類の判別及び前記チャック装置のタイプの判別を行うことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の杭圧入装置であって、
前記第1判別手段は、周辺機器の取付の有無、及び、ウォータージェットリール又は油圧ホースリールの接続の判別を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者の負担を軽減して操作性を向上させた杭圧入装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る杭圧入装置を側方視して示す概略図である。
図2】本発明に係る杭圧入装置を側方視して示す概略図であり、補助装置であるウォータージェットリールが取り付けられている状態を示している。
図3】本発明に係る杭圧入装置を側方視して示す概略図であり、補助装置である油圧ホースリールが取り付けられている状態を示している。
図4】本発明に係る杭圧入装置が周辺機器や構成機器を自動認識して、杭の圧入施工を行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る杭圧入装置の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
杭圧入装置10は、図1に示すように、所定の杭P(例えば、鋼矢板など)をチャック装置15で掴んで地中に圧入する杭圧入機であり、既に地中に圧入された既設杭Pの上端側を挟んで支持する複数のクランプ装置11…を備えたサドル12と、サドル12に対して前後動可能なスライドベース13と、スライドベース13上で左右に旋回可能なリーダーマスト14と、リーダーマスト14の前面に昇降可能に取り付けられたチャック装置15と、リーダーマスト14に対してチャック装置15を昇降駆動するメイン油圧シリンダ16等を備えている。
【0012】
クランプ装置11は、サドル12の下面に設けられている。このクランプ装置11は、例えば、先に圧入された既設の杭Pである鋼矢板の上端側を挟んだ状態で、図示しない油圧シリンダの駆動によりその鋼矢板の上端部を挟持して掴むことができる。つまり、クランプ装置11は、既設杭Pを掴むことで杭圧入装置10を既設杭Pの上端部に固定する固定手段として機能する。
特に、クランプ装置11は、掴んで支持した既設杭Pから反力を取って、杭圧入装置10が新たに杭Pを圧入することができるように、杭圧入装置10を既設杭Pの上端部に固定し設置するようになっている。
【0013】
スライドベース13は、サドル12に対し前方に移動してチャック装置15を水平に前側に移動させることにより、サドル12を移動することなく、先頭のクランプ装置11が支持している既設杭Pの先に、新たな杭を順次圧入することを可能にする。
【0014】
リーダーマスト14は、スライドベース13に対し左右に旋回してチャック装置15の向きを変えることにより、順次並んで圧入される杭の列の方向を直角に曲げたり、湾曲して曲げたりすることが可能となっている。
このリーダーマスト14には、杭圧入装置10の周辺機器であって、杭圧入装置10による杭Pの圧入施工を補助する補助装置を着脱可能に取り付けるための補助装置取付部14aが設けられている。つまり、杭圧入装置10は、リーダーマスト14上に各種補助装置を交換可能に備えることができる。
【0015】
チャック装置15は、その背面側がリーダーマスト14の前面側に昇降可能に嵌合した状態とされるとともに、リーダーマスト14とチャック装置15に接続されたメイン油圧シリンダ16により昇降駆動されるようになっている。
このチャック装置15は、杭圧入装置10に交換可能に備えられており、施工に用いる杭Pのサイズや形状に応じて、その杭Pを適正に把持することができるチャック装置15に付け替えることで、杭Pを良好に保持することが可能になる。
【0016】
そして、チャック装置15が保持した杭Pを地中に圧入する際、チャック装置15の昇降範囲は限られているので、杭Pを保持してチャック装置15を下降させることと、杭Pを離してチャック装置15を上昇させることを繰り返すようになっている。これにより、チャック装置15が昇降する1ストローク分ずつ杭Pを圧入することが繰り返され、チャック装置15の昇降範囲より深く杭Pを地中に圧入することが可能になっている。
【0017】
上記した杭圧入装置10は、既設杭Pの先に新たな杭Pをチャック装置15で圧入する動作と、クランプ装置11による既設杭Pの上端部の挟持と解除の動作と、サドル12に対するスライドベース13の前後動の動作と、を組み合わせることで、既設杭Pからなる杭列上を自走し移動することができる。
なお、杭圧入装置10が杭列上を自走する動作は周知であるので、ここでは詳述しない。
【0018】
また、杭圧入装置10は、上記各部を制御する制御部が組み込まれたコントローラー1を備えている。なお、制御部は、例えば、各種の演算処理等を行うCPUと、このCPUのワークエリア等として使用されるRAMと、CPUにより実行される各種制御プログラム及びデータ等が格納されるROM等を備えて構成されている。
コントローラー1は、リーダーマスト14に取り付けられた補助装置(周辺機器)に接続するための第一ケーブル1aと、杭圧入装置10の構成機器であるチャック装置15に接続するための第二ケーブル1bとを備えている。
【0019】
そして、コントローラー1は、第一ケーブル1aや第二ケーブル1bに構成機器および/もしくは周辺機器が接続されているか否か判断し、第一ケーブル1aや第二ケーブル1bに構成機器および/もしくは周辺機器が接続されていると判断した場合、杭圧入装置10に取り付けられてケーブルに接続されている構成機器や周辺機器を判別する判別手段として機能し、ケーブルに接続されている構成機器や周辺機器が何であるかを判別する判別処理を実行する。
また、コントローラー1は、その判別処理による判別結果に応じて、杭圧入装置10の動作条件を切り替える動作制御手段として機能し、杭圧入装置10の各部の動作条件を切り替える動作制御処理を実行する。
【0020】
次に、杭圧入装置10のコントローラー1による判別処理および動作制御処理について具体的に説明する。
【0021】
杭圧入装置10に着脱可能に取り付けて使用する周辺機器や構成機器には、その機器を特定するための回路パターンを有する電気回路が搭載されている。
そして、杭圧入装置10に周辺機器や構成機器を取り付けた際、コントローラー1の第一ケーブル1aや第二ケーブル1bを周辺機器や構成機器に接続することで、杭圧入装置10のコントローラー1はケーブルに接続されている周辺機器や構成機器を特定し判別することが可能になっている。
【0022】
例えば、杭圧入装置10には、400mm鋼矢板用のチャック装置15である「400P用チャック」と、500mm・600mm鋼矢板用のチャック装置15である「500・600P用チャック」が交換可能に取り付けられる。また、杭圧入装置10は取り付けられた周辺機器に応じて、「単独圧入」工法、「ウォータージェット併用圧入」工法、「パイルオーガ併用圧入」工法の何れかによる杭圧入施工を行うことができる。
そして、コントローラー1がケーブルに接続されている周辺機器や構成機器を判別すると、表1に示す、構成機器(チャック装置)と周辺機器(補助装置)の組み合わせに対応させて、杭圧入装置10は各種動作モードに応じた動作条件で杭圧入施工を行うことができる。
【0023】
【表1】
【0024】
具体的に、図1に示すように、リーダーマスト14の補助装置取付部14aに補助装置が取り付けられていない場合、第一ケーブル1aは未接続状態であるので、コントローラー1は、杭圧入装置10には補助装置が取り付けられていない状態であると判別する。
また、コントローラー1は第二ケーブル1bに接続されているチャック装置12のタイプを判別し、例えば、「400P用チャック」であるか、「500・600P用チャック」であるか、を判別する。
そして、コントローラー1は、杭圧入装置10に補助装置を取り付けない「単独圧入」工法が選択されているとの判別結果に応じて、補助装置への信号出力ができない制限をかけるとともに、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「単独モード」に切り替える。
さらに、コントローラー1は、第二ケーブル1bに接続されているチャック装置12が「500・600P用チャック」であるとの判別結果に応じて、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「500・600P−単独モード」に対応する出力条件に切り替え、チャック装置12が「400P用チャック」であるとの判別結果に応じて、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「400P−単独モード」に対応する出力条件に切り替える。
【0025】
また、図2に示すように、リーダーマスト14の補助装置取付部14aに補助装置であるウォータージェットリール2が取り付けられている場合、第一ケーブル1aはウォータージェットリール2のケーブル2aに接続されており、コントローラー1は、杭圧入装置10にウォータージェットリール2が取り付けられていると判別する。
また、コントローラー1は第二ケーブル1bに接続されているチャック装置12のタイプを判別し、例えば、「400P用チャック」であるか、「500・600P用チャック」であるか、を判別する。
そして、コントローラー1は、杭圧入装置10にウォータージェットリール2を取り付けた「ウォータージェット併用圧入」工法が選択されているとの判別結果に応じて、ウォータージェットリール2によるウォータージェット噴出用ホースの巻き取りや送り出しの操作を可能にする設定を行うとともに、他の補助装置への信号出力ができない制限をかけ、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「ウォータージェット(WJ)併用モード」に切り替える。なお、「ウォータージェット併用圧入」工法は周知であるので、ここでは詳述しない。
さらに、コントローラー1は、第二ケーブル1bに接続されているチャック装置12が「500・600P用チャック」であるとの判別結果に応じて、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「500・600P−WJ併用モード」に対応する出力条件に切り替え、チャック装置12が「400P用チャック」であるとの判別結果に応じて、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「400P−WJ併用モード」に対応する出力条件に切り替える。
【0026】
また、図3に示すように、リーダーマスト14の補助装置取付部14aに補助装置であるオーガ装置駆動用の油圧ホースリール3が取り付けられている場合、第一ケーブル1aは油圧ホースリール3のケーブル3aに接続されており、コントローラー1は、杭圧入装置10にオーガ装置駆動用の油圧ホースリール3が取り付けられていると判別する。
また、コントローラー1は第二ケーブル1bに接続されているチャック装置12のタイプを判別し、例えば、「400P用チャック」であるか、「500・600P用チャック」であるか、を判別する。
そして、コントローラー1は、杭圧入装置10にオーガ装置駆動用の油圧ホースリール3を取り付けた「パイルオーガ併用圧入」工法が選択されているとの判別結果に応じて、油圧ホースリール3の駆動や、オーガ装置(パイルオーガ)の上下動・回転駆動などに関する操作を可能にする設定を行うとともに、他の補助装置への信号出力ができない制限をかけ、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「パイルオーガ(PA)併用モード」に切り替える。なお、図示はしないが杭圧入装置10に油圧ホースリール3を取り付けた後、チャック装置15にオーガ装置(図示省略)を組み付けている。この「パイルオーガ併用圧入」工法は周知であるので、ここでは詳述しない。
さらに、コントローラー1は、第二ケーブル1bに接続されているチャック装置12が「500・600P用チャック」であるとの判別結果に応じて、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「500・600P−PA併用モード」に対応する出力条件に切り替え、チャック装置12が「400P用チャック」であるとの判別結果に応じて、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「400P−PA併用モード」に対応する出力条件に切り替える。
【0027】
次に、本発明に係る杭圧入装置10が周辺機器や構成機器を自動認識して、杭の圧入施工を行う処理を、図4に示すフローチャートに基づき説明する。
【0028】
まず、所定の起動操作によって杭圧入装置10を起動させる(ステップS101)。
起動した杭圧入装置10のコントローラー1は、リーダーマスト14に取り付けられている補助装置(周辺機器)の識別を行う(ステップS102)。
例えば、コントローラー1が、リーダーマスト14に補助装置が取り付けられているか否か判断し、補助装置が取り付けられている場合、その補助装置がウォータージェットリール2であるか、オーガ装置駆動用の油圧ホースリール3であるかを判断する。
【0029】
ステップS102における判断によって、コントローラー1が、補助装置(周辺機器)が取り付けられていないと認識し判別すると、杭圧入装置10に補助装置を取り付けない「単独圧入」工法が選択されていると判別する(ステップS103)。そして、コントローラー1は、補助装置への信号出力ができない制限をかける。
【0030】
次いで、コントローラー1は、チャック装置15のタイプを識別し、圧入施工に用いる鋼矢板のサイズを判別する(ステップS104)。
ステップS104における判断によって、コントローラー1が、「400P用チャック」であると認識し判別すると(ステップS105)、「400P−単独モード」に切り替え、そのモードに応じた工法による杭の圧入施工を実施する(ステップS106)。その後、所定の停止操作によって杭圧入装置10を停止させて、施工作業を終了する。
一方、ステップS104における判断によって、コントローラー1が、「500・600P用チャック」であると認識し判別すると(ステップS107)、「500・600P−単独モード」に切り替え、そのモードに応じた工法による杭の圧入施工を実施する(ステップS108)。その後、所定の停止操作によって杭圧入装置10を停止させて、施工作業を終了する。
【0031】
ステップS102における判断によって、コントローラー1が、リーダーマスト14に取り付けられている補助装置(周辺機器)がウォータージェットリール2であると認識し判別すると、杭圧入装置10にウォータージェットリール2を取り付けた「ウォータージェット併用圧入」工法が選択されていると判別する(ステップS109)。そして、コントローラー1は、ウォータージェットリール2以外の補助装置への信号出力ができない制限をかける。
【0032】
次いで、コントローラー1は、チャック装置15のタイプを識別し、圧入施工に用いる鋼矢板のサイズを判別する(ステップS110)。
ステップS110における判断によって、コントローラー1が、「400P用チャック」であると認識し判別すると(ステップS111)、「400P−ウォータージェット併用モード」に切り替え、そのモードに応じた工法による杭の圧入施工を実施する(ステップS112)。その後、所定の停止操作によって杭圧入装置10を停止させて、施工作業を終了する。
一方、ステップS110における判断によって、コントローラー1が、「500・600P用チャック」であると認識し判別すると(ステップS113)、「500・600P−ウォータージェット併用モード」に切り替え、そのモードに応じた工法による杭の圧入施工を実施する(ステップS114)。その後、所定の停止操作によって杭圧入装置10を停止させて、施工作業を終了する。
【0033】
ステップS102における判断によって、コントローラー1が、リーダーマスト14に取り付けられている補助装置(周辺機器)が油圧ホースリール3であると認識し判別すると、杭圧入装置10に油圧ホースリール3を取り付けた「パイルオーガ併用圧入」工法が選択されていると判別する(ステップS115)。そして、コントローラー1は、油圧ホースリール3(オーガ装置)以外の補助装置への信号出力ができない制限をかける。
【0034】
次いで、コントローラー1は、チャック装置15のタイプを識別し、圧入施工に用いる鋼矢板のサイズを判別する(ステップS116)。
ステップS116における判断によって、コントローラー1が、「400P用チャック」であると認識し判別すると(ステップS117)、「400P−パイルオーガ併用モード」に切り替え、そのモードに応じた工法による杭の圧入施工を実施する(ステップS118)。その後、所定の停止操作によって杭圧入装置10を停止させて、施工作業を終了する。
一方、ステップS116における判断によって、コントローラー1が、「500・600P用チャック」であると認識し判別すると(ステップS119)、「500・600P−パイルオーガ併用モード」に切り替え、そのモードに応じた工法による杭の圧入施工を実施する(ステップS120)。その後、所定の停止操作によって杭圧入装置10を停止させて、施工作業を終了する。
【0035】
このように、本発明に係る杭圧入装置10は、杭圧入装置10に取り付けられた周辺機器である補助装置(ウォータージェットリール2、油圧ホースリール3)や、構成機器であるチャック装置15を、コントローラー1によって判別して自動認識することができ、その判別結果に応じて、杭圧入装置10の動作条件、例えば、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を自動で切り替えて、好適に杭の圧入施工を行うことができる。
【0036】
例えば、杭圧入装置10に補助装置が取り付けられておらず、「単独圧入」工法が選択されている場合、自動的に補助装置への信号出力ができない制限をかけるとともに、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「単独圧入」工法に適した「単独モード」に自動で切り替えて、杭圧入装置10は「単独圧入」工法による杭圧入施工を良好に行うことが可能になる。
また、杭圧入装置10に補助装置であるウォータージェットリール2が取り付けられて、「ウォータージェット併用圧入」工法が選択されている場合、自動的にウォータージェットリール2に関連する操作を可能にする設定を行うとともに、他の補助装置への信号出力ができない制限をかけ、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「ウォータージェット併用圧入」工法に適した「ウォータージェット併用モード」に自動で切り替えて、杭圧入装置10は「ウォータージェット併用圧入」工法による杭圧入施工を良好に行うことが可能になる。
また、杭圧入装置10に補助装置である油圧ホースリール3が取り付けられて、「パイルオーガ併用圧入」工法が選択されている場合、自動的に油圧ホースリール3(オーガ装置)に関連する操作を可能にする設定を行うとともに、他の補助装置への信号出力ができない制限をかけ、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件を「パイルオーガ併用圧入」工法に適した「パイルオーガ併用モード」に自動で切り替えて、杭圧入装置10は「ウォータージェット併用圧入」工法による杭圧入施工を良好に行うことが可能になる。
【0037】
以上のように、この杭圧入装置10は、杭の圧入施工を好適に行うために取り付けられた各種周辺機器や構成機器を自動的に判別して認識することができ、杭圧入装置10に取り付けられている周辺機器や構成機器を作動させて行う圧入施工に適した動作条件に自動的に切り替えることができる。
つまり、この杭圧入装置10は、従来のように、杭圧入工法や鋼矢板サイズが変更される度に作業者が動作条件の設定入力を行う必要がない。
従って、本発明に係る杭圧入装置10であれば、作業者の負担を軽減して操作性を向上させることができる。
【0038】
なお、以上の実施の形態においては、杭圧入装置10に取り付けられた周辺機器等の判別結果に応じて切り替える杭圧入装置10の動作条件として、チャック装置15による杭の打ち抜き動作条件(モード切替)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、周辺機器等の判別結果に応じてクランプ装置11など他の構成に関する動作条件を切り替えたり、複数の構成に関する動作条件を切り替えたりしてもよい。
【0039】
また、構成機器としてのクランプ装置11を付け替えた際に、コントローラー1がクランプ装置のタイプ、例えば、400mm鋼矢板用クランプ装置であるか、500mm鋼矢板用クランプ装置であるか、600mm鋼矢板用クランプ装置であるか、を判別し、クランプ装置11やチャック装置15の動作条件を切り替えるようにしてもよい。
【0040】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 コントローラー(判別手段、動作制御手段)
2 ウォータージェットリール(周辺機器)
3 油圧ホースリール(周辺機器)
10 杭圧入装置
14 リーダーマスト
14a 補助装置取付部
15 チャック装置(構成機器)
P 杭
図1
図2
図3
図4