【実施例】
【0033】
以下に実施例と比較例をもちいて本発明を更に説明するが本発明の効果を奏するものであれば以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
−触媒調製例1(A−1)−
触媒調製には、チタンの酸化物(チタニア)のペレット状成形担体を用いた。該担体は平均直径5mm、平均長さ6mm、比表面積はBET法で41m
2/g、該成形担体のチタンの酸化物の結晶構造はアナターゼ型であった。活性成分を該担体の表層部に微粒子として高分散担持させるため、該担体を常時動かしながら、Ru:Ag=20:1(質量比)の割合で混合した硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液を吹き付けて担持させた後、90℃の熱風気流中で回転させながら1時間乾燥し、次いで水素含有ガスを用いて300℃で3時間焼成処理を行って触媒(A−1)を得た。得られた触媒(A−1)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Ag=99.475:0.5:0.025であった。また、触媒(A−1)のルテニウムの分布状況(ルテニウム全含有量に対する、担体表面から1000μm以内の位置に存在するルテニウムの割合)をEPMAで調べた結果、及びBET比表面積の測定結果は表1に示す通りであった。
【0035】
−触媒調製例2〜8および比較調製例1〜2−
触媒調製例2〜8および比較調製例1〜2では何れも触媒調製例1で使用した担体を用いた。該担体に触媒活性成分を担持する方法において、原料の一部を変更した以外は触媒調製例1と同じ方法で表1に記載する触媒(A−2)〜(A−8)および(B−1)〜(B−2)を調製した。
【0036】
−触媒調製例2(A−2)−
硝酸銀水溶液の代わりに、塩化金酸水溶液を用いた。得られた触媒(A−2)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Au=99.475:0.5:0.025であった。
【0037】
−触媒調製例3(A−3)−
硝酸銀水溶液の代わりに、硝酸白金水溶液を用いた。得られた触媒(A−3)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Pt=99.475:0.5:0.025であった。
【0038】
−触媒調製例4(A−4)−
硝酸銀水溶液の代わりに、硝酸パラジウム水溶液を用いた。得られた触媒(A−4)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Pd=99.475:0.5:0.025であった。
【0039】
−触媒調製例5(A−5)−
硝酸銀水溶液の代わりに、塩化イリジウム水溶液を用いた。得られた触媒(A−5)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Ir=99.475:0.5:0.025であった。
【0040】
−触媒調製例6(A−6)−
硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、Ru:Pd=2:1(質量比)の割合で混合した硝酸ルテニウム水溶液と硝酸パラジウム水溶液の混合水溶液を用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(A−6)を調製した。得られた触媒(A−6)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Pd=99.25:0.5:0.25であった。
【0041】
−触媒調製例7(A−7)−
硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、Ru:Pd=38.5:1(質量比)の割合で混合した硝酸ルテニウム水溶液と硝酸パラジウム水溶液の混合水溶液を用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(A−7)を調製した。得られた触媒(A−7)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Pd=99.487:0.5:0.013であった。
【0042】
−触媒調製例8(A−8)−
硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、Ru:Pd=50:1(質量比)の割合で混合した硝酸ルテニウム水溶液と硝酸パラジウム水溶液の混合水溶液を用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(A−8)を調製した。得られた触媒(A−8)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Pd=99.49:0.5:0.01であった。
【0043】
−比較調製例1(B−1)−
触媒調製例1で使用した担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、硝酸ルテニウム水溶液のみを用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(B−1)を調製した。得られた触媒(B−1)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru=99.5:0.5であった。
【0044】
−比較調製例2(B−2)−
触媒調製例1で使用した担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、Ru:Pd=1:1(質量比)の割合で混合した硝酸ルテニウム水溶液と硝酸パラジウム水溶液の混合水溶液を用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(B−2)を調製した。得られた触媒(B−2)の主成分およびその質量比はTiO
2:Ru:Pd=99:0.5:0.5であった。
【0045】
(触媒物性)
触媒(A−1)〜(A−8)および(B−1)〜(B−2)のルテニウムの分布状況(ルテニウム全含有量に対する、担体表面から1000μm以内の位置に存在するルテニウムの割合)をEPMAで調べた結果、及びBET比表面積の測定結果は表1に示す通りであった。
【0046】
【表1】
【0047】
−触媒調製例9〜11および比較調製例3〜5−
触媒調製例9〜11および比較調製例3〜5には、チタンと鉄、セリウムまたはジルコニウムとの複合酸化物を含有するペレット状成形担体を用いた。該担体は平均直径5mm、平均長さ6mmであった。そして該担体に触媒調製例1と同様の方法で活性成分を含有させて触媒C−1〜C−3およびD−1〜D−3を得た。
【0048】
−触媒調製例9(C−1)−
担体として、チタンの酸化物、鉄の酸化物並びにチタンと鉄の複合酸化物(Ti−Fe化合物)を含有するペレット状成形担体を用いた。該担体の主成分の重量比はTiO
2:Fe
2O
3=15:85であり、比表面積はBET法で52m
2/gであった。該成形担体中に含有されるチタンの酸化物の結晶構造はアナターゼ型であった。
この担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸銀水溶液の代わりに、硝酸パラジウム水溶液を用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(C−1)を調製した。得られた触媒(C−1)の主成分およびその質量比はTi−Fe化合物:Ru:Pd=99.475:0.5:0.025であった。
【0049】
−触媒調製例10(C−2)−
担体として、チタンの酸化物、セリウムの酸化物並びにチタンとセリウムの複合酸化物(Ti−Ce化合物)を含有するペレット状成形担体を用いた。該担体の主成分の重量比はTiO
2:CeO
2=90:10であり、比表面積はBET法で45m
2/gであった。該成形担体中に含有されるチタンの酸化物の結晶構造はアナターゼ型であった。
【0050】
この担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸銀水溶液の代わりに、硝酸白金水溶液を用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(C−2)を調製した。得られた触媒(C−2)の主成分およびその質量比はTi−Ce化合物:Ru:Pt=99.475:0.5:0.025であった。
【0051】
−触媒調製例11(C−3)−
担体として、チタンの酸化物、ジルコニウムの酸化物並びにチタンとジルコニウムの複合酸化物(Ti−Zr化合物)を含有するペレット状成形担体を用いた。該担体の主成分の重量比はTiO
2:ZrO
2=70:30であり、比表面積はBET法で36m
2/gであった。該成形担体の結晶構造はZrTiO4が主体であった。
【0052】
この担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸銀水溶液の代わりに、塩化イリジウム水溶液を用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(C−3)を調製した。得られた触媒(C−3)の主成分およびその質量比はTi−Zr化合物:Ru:Ir=99.475:0.5:0.025であった。
【0053】
−比較調製例3(D−1)−
触媒調製例9で使用した担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、硝酸ルテニウム水溶液のみを用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(D−1)を調製した。得られた触媒(D−1)の主成分およびその質量比はTi−Fe化合物:Ru=99.5:0.5であった。
【0054】
−比較調製例4(D−2)−
触媒調製例10で使用した担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、硝酸ルテニウム水溶液のみを用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(D−2)を調製した。得られた触媒(D−2)の主成分およびその質量比はTi−Ce化合物:Ru=99.5:0.5であった。
【0055】
−比較調製例5(D−3)−
触媒調製例11で使用した担体を用い、該担体に触媒活性成分を担持する方法において、硝酸ルテニウム水溶液と硝酸銀水溶液の混合水溶液の代わりに、硝酸ルテニウム水溶液のみを用いた事以外は触媒調製例1と同じ方法で、触媒(D−3)を調製した。得られた触媒(D−3)の主成分およびその質量比はTi−Zr化合物:Ru=99.5:0.5であった。
【0056】
(触媒物性)
触媒(C−1)〜(C−3)および(D−1)〜(D−3)のルテニウムの分布状況(ルテニウム全含有量に対する、担体表面から1000μm以内の位置に存在するルテニウムの割合)をEPMAで調べた結果、及びBET比表面積の測定結果は表2に示す通りであった。
【0057】
【表2】
【0058】
(実施例1)
図1に示す装置を使用し、下記の条件下で1000時間処理を行った。反応塔1(直径26mm、長さ3000mmの円筒状)内部に触媒(A−1)を1.0リットル充填した。処理に供した排水は、化学プラントから排出された主に酢酸を含有する排水で、COD(Cr)は19g/リットルであった。
【0059】
該排水を排水供給ライン6を通して排水供給ポンプ5に供給し、2.0リットル/hの流量で昇圧フィードした後、加熱器3で210℃に加熱して反応塔1の底から供給した。また空気を酸素含有ガス供給ライン8から供給し、コンプレッサー7で昇圧した後、O
2/COD(Cr)(供給ガス中の酸素量/排水の化学的酸素要求量)=1.5となる様に酸素含有ガス流量調節弁9で流量を制御して加熱器3の手前で該排水に混入した。尚、反応塔1では気液上向並流で処理を行った。反応塔1では、電気ヒーター2を用いて該排水の温度を210℃に保温し、酸化・分解処理を実施した。得られた処理液は処理液ライン10を経て気液分離器11に送り気液分離した。この際、気液分離器11内で液面コントローラーLCで液面を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁13から処理液を排出した。また圧力制御弁12は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、5MPa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。得られた排水の処理結果は表3に示す。
【0060】
(実施例2〜8および比較例1〜2)
触媒をそれぞれ(A−2)〜(A−8)、並びに(B−1)〜(B−2)に変更した以外は実施例1と同じ方法で同じ排水処理を行った。結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
(実施例9)
図1に示す装置を使用し、下記の条件下で1000時間処理を行った。反応塔1(直径26mm、長さ3000mmの円筒状)内部に触媒(A−4)を1.0リットル充填した。処理に供した排水は、化学プラントから排出された主にジオキサンおよび酢酸ナトリウムを含有する排水で、COD(Cr)は10g/リットルであった。
【0063】
該排水を排水供給ライン6を通して排水供給ポンプ5に供給し、2.0リットル/hの流量で昇圧フィードした後、加熱器3で220℃に加熱して反応塔1の底から供給した。また空気を酸素含有ガス供給ライン8から供給し、コンプレッサー7で昇圧した後、O
2/COD(Cr)(供給ガス中の酸素量/排水の化学的酸素要求量)=1.5となる様に酸素含有ガス流量調節弁9で流量を制御して加熱器3の手前で該排水に混入した。尚、反応塔1では気液上向並流で処理を行った。反応塔1では、電気ヒーター2を用いて該排水の温度を220℃に保温し、酸化・分解処理を実施した。得られた処理液は処理液ライン10を経て気液分離器11に送り気液分離した。この際、気液分離器11内で液面コントローラーLCで液面を検出し、一定の液面を保持する様に液面制御弁13から処理液を排出した。また圧力制御弁12は圧力コントローラーPCで圧力を検出し、5MPa(Gauge)の圧力を保持する様に制御した。得られた排水の処理結果は表4に示す。
【0064】
(実施例10〜12および比較例3〜6)
触媒をそれぞれ(C−1)〜(C−3)、(B−1)、並びに(D−1)〜(D−3)に変更した以外は実施例1と同じ方法で同じ排水処理を行った。結果を表4に示す。
【0065】
【表4】