特許第6132563号(P6132563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132563
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20170515BHJP
   B65D 5/10 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B65D5/66 301G
   B65D5/10 H
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-11034(P2013-11034)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-141276(P2014-141276A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信介
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−111307(JP,A)
【文献】 実開昭61−003214(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3102811(JP,U)
【文献】 仏国特許出願公開第01063058(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、互いに平行に連接され筒体に組み立てられる側面と、前記側面の一つに折罫線を介して連接され前記側面の筒体の開口部を閉鎖する蓋片と、前記蓋片の先端に折罫線を介して連接して設けられた差込片と、前記差込片の先端部に一体に形成された突起部と、前記突起部の基端部の両側に形成された一対の係合凹部が設けられ、
前記蓋片が設けられている側面に対向する他の側面の裏面には、誘導部形成片が重ねて設けられ、前記誘導部形成片の端部には、前記突起部より広い幅に切り欠かれ中心が一番深い切欠部と、前記切欠部のいちばん深い部分から前記切欠部の内側に突出する舌片状の誘導部と、前記誘導部の基端部の両側縁の延長線上に設けられ前記誘導部から離れるに従い互いに広がる一対の切断線が設けられ、
記一対の切断線間の最小幅は、前記差込片の前記係合凹部同士の間隔より狭く、前記一対の切断線間の最大幅は、前記突起部の幅より広く、
前記箱体形成片の組み立て状態で、前記差込片は前記一対の切断線に前記係合凹部が係合されて引き抜きが不可能となり、前記差込片と前記切断線の係合部分は、前記側面の一つで覆われていることを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記蓋片が設けられている側面に対して平行な側面の端部に折罫線を介して形成され前記側面の裏面に折り返される前記誘導部形成片が設けられ、前記誘導部形成片と前記側面との間の折罫線上には前記差込片が通過可能な幅に開けられた透孔が設けられ、前記誘導部形成片には、前記透孔の内側に突出する舌片状の前記誘導部と、前記誘導部の基端部分の両側縁の延長線上に互いにハの字形に広がっている一対の前記切断線が設けられている請求項1記載の包装用箱。
【請求項3】
前記誘導部形成片の端部には、前記箱体形成片の組み立て状態で前記蓋片の裏面に重ねられる内蓋片が折罫線を介して設けられ、前記内蓋片と前記誘導部形成片の間の前記折罫線上には、前記差込片が通過可能な幅に切り欠かれた透孔が設けられている請求項1記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓋片を閉じて箱体の開口部を閉鎖する包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を収容して店頭に陳列する包装用箱には、1枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片を組み立てたものがあり、4枚の側面が連接して設けられて筒体に組み立てられ、側面の端部には底部が形成され、他方の端部には蓋部が設けられ、開口を閉鎖し、底部や蓋部に、改ざんを防止する構造が設けられているものがある。
【0003】
特許文献1に開示されている吊下げ式包装用箱は、厚紙等の1枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片からなり、この箱体形成片には、互いに平行に連接された4個の側面と、このうちの一側面の端部に形成された上蓋片と、この上蓋片が形成された側面と対面する他側面から延長して形成された吊り下げ片とを備えている。前記吊り下げ片には切込で囲まれた係止片が形成され、上蓋片には上蓋片を箱体に閉じたときに前記係止片が差し込まれる係止孔が設けられている。この吊下げ式包装用箱によれば、係止孔が係止片に係合され、上蓋片が開封不能に保持されるものである。
【0004】
特許文献2に開示されている包装容器は、4枚の側面を有し、このうちの一側面の端部に上面板が形成され、上面板の先端縁には差込片を有する接続板が折り目を介して連接されている。上面板が設けられた側面に対向する側面には、上面板を箱体に閉じたときに差込片を差し込み可能な封滅用切れ目が形成されている。この包装容器によれば、差込片を封滅用切れ目に差し込むと係止され、差込片を抜き出そうとすると、差込片が封滅用切れ目に係合し、破断や損傷が生じる。包装容器が開封されたことを損傷により把握することができ、不正に開封された包装容器を販売することを防ぐことができる。
【0005】
特許文献3に開示されている包装用箱は、4枚の側面を有し、このうちの一側面の端部に上蓋片と上蓋差込片とを有し、上蓋片と側面の間には案内スリットが設けられている。上蓋片が設けられた側面に対向する側面には、切離折曲線を介して延長され上蓋フラップと、上蓋フラップに折曲線を介して延長された差込係止片とが設けられている。この包装用箱の組立方法は、箱体の天面を上蓋片で封滅し、その上方に上蓋フラップを被せるようにしてのせ、上蓋フラップの差込係止片を、上蓋片の案内スリットに差し込み、係止する。この包装用箱によれば、差込係止片を引き出そうとすると破断や損傷が生じ、不正に開封された包装用箱を販売することを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−130545号公報
【特許文献2】特開2011−140316号公報
【特許文献3】特開2011−230837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記背景技術の特許文献1の場合、係止片を係止孔に差し込んで係合した状態が外観からわかるため、上手に開封すると痕跡が残らない可能性があり、十分な改ざん防止効果が得られないものである。特許文献2と特許文献3の場合も同様に、差込片と封滅用切れ目または差込片と案内スリットの係合状態が外観でわかるため、十分な改ざん効果が得られないものである。改ざんを確実に防ぐために、外観から見えない形合手段が必要であった。
【0008】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、高い改ざん防止効果を有し、開封の痕跡を確実に残すことができる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、互いに平行に連接され筒体に組み立てられる側面と、前記側面の一つに折罫線を介して連接され前記側面の筒体の開口部を閉鎖する蓋片と、前記蓋片の先端に折罫線を介して連接して設けられた差込片と、前記差込片の先端部に一体に形成された突起部と、前記突起部の基端部の両側に形成された一対の係合凹部が設けられ、前記蓋片が設けられている側面に対向する他の側面の裏面には誘導部形成片が重ねて設けられ、前記誘導部形成片の端部には、前記突起部より広い幅に切り欠かれ中心が一番深い切欠部と、前記切欠部のいちばん深い部分から前記切欠部の内側に突出する舌片状の誘導部と、前記誘導部の基端部の両側縁の延長線上に設けられ前記誘導部から離れるに従い互いに広がる一対の切断線が設けられ、前記一対の切断線の途中の最小幅は、前記差込片の前記係合凹部同士の間隔より狭く、前記一対の切断線間の最大幅は、前記突起部の幅より広く、前記箱体形成片の組み立て状態で、前記差込片は前記一対の切断線に前記係合凹部が係合されて引き抜きが不可能となり、前記差込片と前記切断線の係合部分は、前記側面の一つで覆われている包装用箱である。
【0010】
前記蓋片が設けられている側面に対して平行な側面の端部に折罫線を介して前記側面の裏面に折り返される前記誘導部形成片が設けられ、前記誘導部形成片の折罫線の両端部間には前記差込片が通過可能な幅に開けられた透孔が設けられ、前記誘導部形成片には、前記透孔の内側に突出する舌片状の前記誘導部と、前記誘導部の基端部分の両側縁の延長線上に互いにハの字形に広がっている一対の前記切断線が設けられている。
【0011】
前記誘導部形成片の端部には、前記箱体形成片の組み立て状態で前記蓋片の裏面に重ねられる内蓋片が折罫線を介して設けられ、前記内蓋片と前記誘導部形成片の間の前記折罫線上には、前記差込片が通過可能な幅に切り欠かれた透孔が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装用箱は、蓋片を閉鎖した時、差込片と一対の切断線が確実に係合され、差込片を引き抜いて開封することができず、不正に開封された場合は破損が生じて開封の痕跡を確実に残すものである。差込片と切断線の係合状態は、側面で覆われて外から見えないため、破損を防ぎながら上手に開封することができず、高い改ざん効果を有するものである。しかも、差込片は、誘導部に沿って差し込むと切断線の所定位置で係合されるため、側面で切断線が見えなくても簡単に係合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の第一実施形態の包装用箱の斜視図である。
図2】この発明の第一実施形態の包装用箱の部分破断斜視図である。
図3】この発明の第一実施形態の包装用箱の開いた状態を示す斜視図である。
図4】この発明の第一実施形態の包装用箱の縦断面図である。
図5】この発明の第一実施形態の包装用箱の展開図である。
図6】この発明の第二実施形態の包装用箱の開いた状態を示す斜視図である。
図7】この発明の第二実施形態の包装用箱の縦断面図である。
図8】この発明の第二実施形態の包装用箱の展開図である。
図9】この発明の第三実施形態の包装用箱の開いた状態を示す斜視図である。
図10】この発明の第三実施形態の包装用箱の縦断面図である。
図11】この発明の第三実施形態の包装用箱の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1図5はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の包装用箱10は、紙製等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片12を組み立てて設けられている。
【0015】
図5は、箱体形成片12を表面から見た展開図であり、箱体形成片12は、側面22,14,16,18が、互いに平行に連接して形成されている。側面22,14,16,18は、連接している幅方向は同じ長さであり、連接方向の長さは側面22,6が長くて互いにほぼ等しく、側面14,18がわずかに短くて互いにほぼ等しい。側面18の側縁部には、包装用箱10の組立状態で側面20の面に位置し後述す得る誘導部60が形成された誘導部形成片20が設けられている。そして、側面22,14,16,18及び誘導部形成片20は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0016】
側面14の、側面どうしの連接方向に対して直角な方向の一対の端部には、矩形のフラップ32が折罫線34で区切られて各々設けられている。
【0017】
側面16の、側面14の折罫線34に隣接する一対の端部には、矩形の蓋片36が折罫線38で区切られて設けられている。蓋片36の折罫線38と反対側の端部には、さらに差込片40が折罫線42で区切られて設けられている。差込片40の、折罫線42と反対側の端部の中心には、端部から外側へ突出する突起部44が一体に形成され、突起部44の先端は差し込みやすいように三角状にとがって形成され、突起部44の基端部には両側に一対の係合凹部46が設けられている。折罫線38には開封用破断線50が設けられ、開封用破断線50は折罫線26,28に隣接する両側部分は折罫線38に一致し、中心部分は側面16の中心に向かってコの字形に膨出して折罫線38から離れて設けられている。
【0018】
側面18の、側面16の折罫線38に隣接する一対端部には、矩形のフラップ52が折罫線54で区切られて設けられている。
【0019】
誘導部形成片20、側面18の折罫線54に隣接する一対の端部20a、差込片40の突起部44が通過可能な幅に切欠かれた切欠部56が設けられている。切欠部56は、端部20aの中間に設けられ、中間が一番深い逆三角形状に形成されている。切欠部56の一番深い頂点部分には、切欠部56の内側に突出する舌片状の誘導部60が設けられ、誘導部60の基端部分の両側縁の延長線上には誘導部60から離れるに従い互いにハの字形に広がる一対の切断線58が設けられている。一対の切断線58間の最小幅は、差込片40の係合凹部46の端部同士の間隔より狭く、最大幅は突起部44の幅より広い。
【0020】
側面22の、側面14の折罫線34に隣接する一対の端部22aには凹部62が設けられている。凹部62は、端部22aの中間に設けられ、中間が一番深い逆三角形に形成され、誘導部形成片20の切欠部56よりも浅く形成され側面22を誘導部形成片20の表面に重ねたとき誘導部形成片20の切欠部56を覆い、凹部62の一番深い頂点部分から誘導部60の先端が露出するものである。
【0021】
次に、この実施形態の包装用箱10の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図5が包装用箱10の箱体形成片12の表面を見たものであり、箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0022】
まず、誘導部形成片20の表面に糊64を塗布する。糊64は、誘導部形成片20の側縁部と折罫線30の内側に沿って直線状に2カ所塗布する。そして、折罫線28を正折りし、折罫線24を正折りする。これにより、誘導部形成片20の表面は糊64により側面22の裏面に糊付けされる。これにより折り畳み状態となり、側面22の凹部62から誘導部形成片20の誘導部60がわずかに突出する。この状態で、箱体形成片12による折り畳み状態の包装用箱10が出荷される。
【0023】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90°に正折りして図3に示すように四角形の箱体にする。箱体の一方の端部の折罫線34,54でフラップ32,52を90°に正折りし、折罫線38で蓋片36を90°に正折りし、差込片40を折罫線42で正折りする。このとき差込片40の突起部44を、側面22の凹部62の裏面側であって、側面22の裏面に糊付けされた誘導部形成片20の裏面側と、凹部62から突出する誘導部60の表面側に接するように突起部44を差し込み、突起部44を深く押し込む。押し込みにより、誘導部60と、その周囲の誘導部形成片20の間に突起部44が差し込まれ、切断線58の間に突起部44が入り分割されて、切断線58のハの字形の外側の縁部58aは突起部44の表面側に位置し、ハの字形の内側の縁部58bは突起部44の裏面側に位置する。さらに突起部44を差し込むと、切断線58の深い位置で幅が広いところに達して、突起部44が切断線58から誘導部形成片20の表面に出て、突起部44と差込片40の間の係合凹部46に切断線58の外側の縁部58aが嵌合され、図2に示すように係止される。これにより、包装用箱10の底部が形成される。突起部44を引き抜く方向に力がかかると、縁部58aは突起部44側に近づく傾斜になっているため、より細くなり、突起部44を締め付ける力が働き、係合凹部46から外れることがなく、無理に引き抜くと突起部44に損傷が生じる。このため、開封する方向に力が働いても痕跡を残すことなく開封することができない。突起部44と切断線58が係合した状態は、図1図4に示すように側面22で覆われているため外側から見ることができない。
【0024】
次に、組み立てられた側面22,14,16,18と底部から成る箱体の内側に収容物を入れ、底部と同様の工程で突起部44を切断線58に係止して、上面を形成する。底部と上面は開封することができないため、封止のための粘着テープや糊等の別部材が不要である。
【0025】
包装用箱10を開封する時は、側面16の開封用破断線50の内側を押し、開封用破断線50を切断し、蓋片36を上に持ち上げて開封する。
【0026】
この実施形態の包装用箱10によれば、簡単な構造で箱体形成片12を組み立てるだけで確実に開口部を封止することができる。高い改ざん防止機能を持たせ、商品を改ざんから保護することができる。特に、突起部44が誘導部形成片20の切断線58に係止されている状態は、側面22で覆われて外側から見ることができないため、痕跡を残さないように上手に開封することができず、確実に改ざんを防止することができる。また、封止のための粘着テープや糊等の別部材が不要であり、組み立て工程が簡単で、コストが安価となる。突起部44は、係合凹部46に切断線58の縁部58aが嵌合されて抜けにくく、さらに側面22で押えられているため突起部44を誘導部形成片20から立体的に起こしてねじる等して外すことができず、係合が確実である。開封する時は、側面16の開封用破断線50の内側を押して開封用破断線50を切断し、蓋片36を上に持ち上げて簡単に開封することができるが、突起部44を誘導部形成片20の切断線58から引き抜くことが困難であり、開封用破断線50を切断して蓋片36を開けなければ開封することができず、この点からも、開封した跡が確実に残るため、改ざん防止効果が高いものである。
【0027】
次にこの発明の第二実施形態について図6図8に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の包装用箱66は、紙製等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片68を組み立てて設けられている。
【0028】
図8は、箱体形成片68を表面から見た展開図であり、箱体形成片68は側面14,16,18が、互いに平行に連接して形成され、折罫線28,30で区切られている。側面14の一対の端部にはフラップ32が折罫線34で区切られて設けられている。側面16の一対の端部には蓋片36と差込片40が折罫線38,42で区切られて設けられ、差込片40には突起部44が一体に形成されている。折罫線38には開封用破断線50が設けられている。側面18の一対の端部にはフラップ52が折罫線54で区切られて設けられている。
【0029】
側面14の、折罫線28と反対側の側縁部には、側面70が折罫線72で区切られて設けられている。側面70は、側面16とほぼ同じ形状である。側面70の、側面14の折罫線34に隣接する一対の端部には、矩形の誘導部形成片74が折罫線76で区切られて設けられている。折罫線76上には突起部44が通過可能な幅に切除された切欠部である透孔78が設けられている。透孔78は、折罫線76の中間に設けられ、透孔78の、誘導部形成片74側の形状は、中間が一番深いV字状に形成され、一番深い部分には、透孔78の内側に突出する舌片状の誘導部82が設けられ、誘導部82の基端部分の両側縁の延長線上には誘導部82から離れるに従い互いにハの字形に広がる一対の切断線80が設けられている。透孔78の、側面70側の形状は、中間が一番深いV字状に形成され、誘導部形成片74側の形状よりも浅く形成され、誘導部形成片74を側面70の裏面に折り重ねたとき、誘導部形成片74側の透孔78の側縁部を覆い、一番深い部分から誘導部82の先端が露出するものである。
【0030】
側面70の、折罫線72と反対側の側縁部には、包装用箱66の組み立て状態で側面18の裏面に糊付けされる糊付片84が折罫線86で区切られて設けられている。
【0031】
次に、この実施形態の包装用箱66の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図8が包装用箱66の箱体形成片68の表面を見たものであり、箱体形成片68の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折と称する。
【0032】
まず、一方の誘導部形成片74の裏面に糊88を塗布する。糊88は、誘導部形成片74の折罫線86,72の延長線上に位置する側縁部に沿って直線状に2カ所塗布する。そして折罫線76を正折りし、これにより誘導部形成片74の裏面は糊88により側面70の裏面に糊付けされる。反対側の誘導部形成片74も同様の手順で、糊88により側面70の裏面に糊付けされ、側面70の透孔78から誘導部82がわずかに突出する。
【0033】
次に折罫線72を正折りし、糊付片84の表面に糊90を塗布し、折罫線30を正折りする。これにより、糊付片84の表面は糊90により側面18の裏面に糊付けされる。これにより折り畳み状態となり、この状態で、箱体形成片68による折り畳み状態の包装用箱66が出荷される。
【0034】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線86,72,28,30を各々90°に正折りして四角形の箱体にする。箱体の一方の端部の折罫線34,54でフラップ32,52を90°に正折りし、折罫線38で蓋片36を90°に正折りし、差込片40を折罫線42で正折りする。このとき、差込片40の突起部44を側面70の透孔78の中に入れ、透孔78の縁部から突出する誘導部82と側面70の間に差し込み、突起部44を深く押し込んでいくと、誘導部82とその周囲の誘導部形成片74の間に突起部44が差し込まれ、切断線80は突起部44により分割されて、切断線80のハの字形の外側の縁部80aは突起部44の表面側に位置し、ハの字形の内側の縁部80bは突起部44の裏面側に位置し、さらに突起部44を差し込むと切断線80の深い位置で幅が広いところに達して突起部44が切断線80から誘導部形成片74の裏面に出て、突起部44と差込片40の間の係合凹部46に切断線80の外側の縁部80aが嵌合され係止される。これにより、図6に示すように底部を形成する。突起部44を引き抜く方向に力がかかると、縁部80aは突起部44側に近づく傾斜になっているため、より細くなり、突起部44を締め付ける力が働き、係合凹部46から外れることがない。このため、開封する方向に力が働いても開封することができない。突起部44と切断線80が係合した状態は、図6図7に示すように側面70で覆われているため外側から見ることができない。
【0035】
次に、組み立てられた側面70,14,16,18と底部から成る箱体の内側に収容物を入れ、底部と同様の工程で突起部44を切断線80に係止して、上面を形成する。
【0036】
包装用箱10を開封する動作は、第一実施形態の包装用箱10と同様である。
【0037】
この実施形態の包装用箱66によれば、上記実施の形態と同様の効果を有するものである。包装用箱66の箱体形成片68は、包装用箱10の箱体形成片12よりも面積が小さいため、ブランクシートからより効率よく打ち抜くことができる。
【0038】
次にこの発明の第三実施形態について図9図11に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の包装用箱92は、紙製等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された箱体形成片94を組み立てて設けられている。
【0039】
図11は、箱体形成片94を表面から見た展開図であり、箱体形成片94は側面14,16,18が、互いに平行に連接して形成され、側面18の側縁部には側面16とほぼ同じ形状の誘導部形成片96が形成され、側面14の側縁部には、包装用箱92の組立状態で誘導部形成片96の表面に糊付けされる側面22が設けられている。そして、側22,14,16,18、誘導部形成片96は、各折罫線24,26,28,98で区切られている。
【0040】
側面14の一対の端部にはフラップ32が折罫線34で区切られて設けられている。側面16の一対の端部には、矩形の蓋片100が折罫線102で区切られて設けられている。蓋片100の折罫線102と反対側の端部には、この端部よりも幅が狭い差込片104が折罫線106で区切られて設けられている。差込片104は、蓋片100の端部よりも幅狭の台形状であり、折罫線106と反対側の端部の中心には、端部から外側へ突出する突起部108が一体に形成され、突起部108の先端は差し込みやすいように三角状にとがって形成され、突起部108の基端部には両側に一対の係合凹部110が設けられている。折罫線102には開封用破断線50が設けられている。側面18の一対の端部にはフラップ52が折罫線54で区切られて設けられている。
【0041】
誘導部形成片96の、側面18の折罫線54に隣接する一対の端部には、矩形の内蓋片112が折罫線114で区切られて設けられている。折罫線114上には突起部108が通過可能な幅に切除された切欠部である透孔116が設けられている。透孔116は、折罫線114の中間に設けられ、透孔の誘導部形成片96側の形状は、中間が一番深いV字状に形成され、一番深い部分には、透孔116の内側に突出する舌片状の誘導部120が設けられ、誘導部120の基端部分の両側縁の延長線上には誘導部120から離れるに従い互いにハの字形に広がる一対の切断線118が設けられている。透孔116の、内蓋片112側の形状は、折罫線114に沿う薄い矩形状に形成されている。
【0042】
次に、この実施形態の包装用箱92の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図11が包装用箱92の箱体形成片94の表面を見たものであり、箱体形成片94の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折と称する。
【0043】
まず、誘導部形成片96の表面に糊122を塗布する。糊122は、誘導部形成片96の側縁部と折罫線98の内側に沿って直線状に2カ所塗布する。そして、折罫線28を正折りし、折罫線24を正折りする。これにより、誘導部形成片96の表面は糊122により側面22の裏面に糊付けされる。これにより折り畳み状態となり、側面22の凹部62から誘導部形成片96の誘導部120がわずかに突出する。この状態で、箱体形成片94による折り畳み状態の包装用箱92が出荷される。
【0044】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,98を各々90°に正折りして四角形の箱体にする。箱体の一方の端部の折罫線34,54でフラップ32,52を90°に正折りし、折罫線114で内蓋片112を90°に正折りする。そして、折罫線102で蓋片100を90°に正折りし、差込片104を折罫線106で正折りする。このとき、差込片104の突起部108を、内蓋片112の透孔116の中に入れ、側面22の凹部62の裏面側であって、側面22の裏面に糊付けされた誘導部形成片96の裏面側と、凹部62から突出する誘導部120の表面側に接するように突起部108を差し込み、突起部108を深く押し込む。押し込みにより、誘導部120とその周囲の誘導部形成片96の間に突起部108が差し込まれ、切断線118の間に突起部108が入り分割されて、切断線118のハの字形の外側の縁部118aは突起部108の表面側に位置し、ハの字形の内側の縁部118bは突起部108の裏面側に位置する。さらに突起部108を差し込むと、切断線118の深い位置で幅が広い所に達して突起部108が切断線118から誘導部形成片96の表面に出て、突起部108と差込片104の間の係合凹部110に切断線118の外側の縁部118aが嵌合され係止される。これにより、図9に示すように底部を形成する。突起部108を引き抜く方向に力がかかると、縁部118aは突起部108側に近づく傾斜になっているため、より細くなり、突起部108を締め付ける力が働き、係合凹部110から外れることがない。このため、開封する方向に力が働いても痕跡を残すことなく開封することができない。突起部108と切断線118が係合した状態は、図9図10に示すように側面22で覆われているため見ることができない。なお、内蓋片112の表面に図示しない糊を塗布して、内蓋片112の表面を蓋片100の裏面に糊付けしてもよい。
【0045】
次に、組み立てられた側面22,14,16,18と底部からなる箱体の内側に収容物を入れ、底部と同様の工程で突起部108を切断線118に係止して、上面を形成する。
【0046】
包装用箱92を開封する動作は、第一実施形態の包装用箱10と同様である。
【0047】
この実施形態の包装用箱92によれば、上記実施の形態と同様の効果を有するものである。内蓋片112が設けられているため、ホコリや異物が入りにくく、より衛生的なものとなる。
【0048】
なお、この考案は上記各実施形態に限定されるものではなく、各側面の大きさや形状、底部の構造等、自由に変更可能であり、切断線、突起部、係合凹部の形状は、互いに確実に嵌合し、開封する方向に力が働いても開封することができないものであればよい。開封用破断線の形状は自由に変更可能である。箱体の底部と上面の両方に誘導部や切断起部、係合凹部を設けているが、側面の一方が確実に閉鎖された別の構造の底部とし、上面にのみ本願発明の誘導部や切断起部、係合凹部を設けてもよい。誘導部の形状は、確実に突起部をガイドするものであれば良く、先端が円形や台形等でもよい。箱体形成片の、側面や誘導部形成片、糊付片の連接する順番は異なるものでもよい。
【符号の説明】
【0049】
10,66,92 包装用箱
12,68,94 箱体形成片
14,16,18,22,70 側
20,74,96 誘導部形成片
36,100 蓋片
40,104 差込片
44,108 突起部
46,110 係合凹部
56 切欠部
58,80,118 切断線
60,82,120 誘導部
62 凹部
64,88,90,122 糊
112 内蓋片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11