(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132565
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】仕切りアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B65D 5/495 20060101AFI20170515BHJP
B65D 25/04 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
B65D5/495
B65D25/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-13399(P2013-13399)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-144786(P2014-144786A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】313003417
【氏名又は名称】株式会社ザクティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 伸二
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−130923(JP,U)
【文献】
特開2011−219127(JP,A)
【文献】
特開2011−073737(JP,A)
【文献】
実開昭57−037820(JP,U)
【文献】
特開平09−295632(JP,A)
【文献】
特開2005−263304(JP,A)
【文献】
実開昭57−86960(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00− 5/76
B65D 23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包箱の内部空間を複数の小空間に仕切るべく、1或いは複数の第1仕切り板と複数の第2仕切り板とを互いに格子状に組み合わせて構成され、第1仕切り板及び第2仕切り板はそれぞれ帯板状の板体を具え、前記第1仕切り板の板体には、板体の長手方向の少なくとも3箇所に、前記第2仕切り板の板体には、板体の長手方向の少なくとも1箇所に、板体の長手方向に延びる一方の端縁から他方の端縁へ向かって切り欠いた切り欠きが形成され、両仕切り板の切り欠きを互いに噛み合わせることによって、両仕切り板が互いに嵌合している仕切りアセンブリにおいて、
前記第1仕切り板の板体に形成された切り欠きは、板体の一方の端縁を略V字状に切り開いた切欠き口と、該切欠き口と連続する切り込みとを有し、該切り込みは、前記切欠き口の最も深い位置から板体の長手方向とは直交する方向に切り込んだ第1切り込み部と、該第1切り込み部の最も深い位置から板体の長手方向へ切り込んだ第2切り込み部と、さらに前記少なくとも3箇所の前記切り欠きのうち、両端の前記切り欠きを除く中央の切り欠きは前記第2切り込み部の先端から半円状に延びる第3切り込み部とを有し、
前記第1仕切り板の切欠き口は、板体の長手方向の開口幅が第2仕切り板の厚さよりも大きく形成されると共に、第1切り込み部は、板体の長手方向の開口幅が零以上であって且つ第2仕切り板の厚さよりも小さく形成されていることを特徴とする仕切りアセンブリ。
【請求項2】
第2仕切り板に形成されている切り欠きは、第1仕切り板の厚さと同等若しくは略同等の幅を有している請求項1に記載の仕切りアセンブリ。
【請求項3】
前記第1仕切り板の切欠き口は、前記第1切り込み部の延長線を中心として該延長線の両側、若しくは片側を斜め方向に切り欠くことによって形成されている請求項1又は請求項2に記載の仕切りアセンブリ。
【請求項4】
第1仕切り板の板体には、前記切欠き口と切り込みによって板体の側面よりも外側へ弾性変形可能な舌片が形成されており、該舌片の先端部が弾性復帰力によって第2仕切り板の板体の側面に圧接されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の仕切りアセンブリ。
【請求項5】
第1仕切り板には、板体の一方の端縁から該端縁に対して垂直方向に延びて前記第2切り込み部の先端若しくはその付近に達する折曲げ線加工が形成されており、該折曲げ線加工に沿って前記舌片が折れ曲がっている請求項4に記載の仕切りアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包箱の内部空間を複数の小空間に仕切るための仕切りアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の構成を有する仕切りアセンブリが提案されており(特許文献1、2)、例えば
図10に示す如く、複数の第1仕切り板(6)と複数の第2仕切り板(7)とを互いに格子状に組み合わせて構成される仕切りアセンブリ(5)が用いられている。
【0003】
該仕切りアセンブリ(5)を構成する第1仕切り板(6)は、
図12に示す如く帯板状の板体(61)を具え、該板体(61)には、板体(61)の長手方向の複数箇所に、板体(61)の長手方向に延びる一方の端縁から他方の端縁へ向かって切り欠いた切り欠き(62)が形成されている。該切り欠き(62)は、第2仕切り板(7)の厚さと同等の開口幅を有している。
【0004】
又、第2仕切り板(7)は、
図11に示す如く帯板状の板体(71)を具え、該板体(71)には、板体(71)の長手方向の複数箇所に、板体(71)の長手方向に延びる一方の端縁から他方の端縁へ向かって一定の幅で切り欠いた切り欠き(72)が形成されている。該切り欠き(72)は、第1仕切り板(6)の厚さと同等の開口幅を有している。
【0005】
そして、複数の第1仕切り板(6)の各切り欠き(62)と複数の第2仕切り板(7)の各切り欠き(72)とを互いに噛み合わせることによって、
図10の如く両仕切り板(6)(7)が互いに嵌合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2006−516515号公報
【特許文献2】特開2002−179071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この様な仕切りアセンブリにおいては、組立・分解を繰り返すことにより切り欠きの幅が徐々に拡大して、第1仕切り板と第2仕切り板との噛み合いが緩くなり、この結果、例えば仕切りアセンブリ単独で運搬するとき、直接に手で把持していない仕切り板が脱落する問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、運搬時等に仕切り板が脱落し難い仕切りアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る仕切りアセンブリは、梱包箱(1)の内部空間を複数の小空間に仕切るべく、
複数の第1仕切り板(3)と1或いは複数の第2仕切り板(4)とを互いに格子状に組み合わせて構成される。
第1仕切り板(3)及び第2仕切り板(4)はそれぞれ帯板状の板体(31)(41)を具え、
第1仕切り板(3)の板体(31)には、板体(31)の長手方向の少なくとも3箇所に、第2仕切り板(4)の板体(41)にはそれぞれ、板体(41)の長手方向の少なくとも1箇所に、板体(31)(41)の長手方向に延びる一方の端縁から他方の端縁へ向かって切り欠いた切り欠きが形成され、両仕切り板(3)(4)の切り欠きを互いに噛み合わせることによって、両仕切り板(3)(4)が互いに嵌合している。
【0010】
ここで、前記第1仕切り板(3)の板体(31)に形成された切り欠きは、板体(31)の一方の端縁(3a)を略V字状に切り開いた切欠き口(32)と、該切欠き口(32)と連続する切り込み(33)とを有し、該切り込み(33)は、前記切欠き口(32)の最も深い位置から板体(31)の長手方向とは直交する方向に切り込んだ第1切り込み部(35)と、該第1切り込み部(35)の最も深い位置から板体(31)の長手方向へ切り込んだ第2切り込み部(36)と、
さらに前記少なくとも3箇所の前記切り欠きのうち、両端の前記切り欠きを除く中央の切り欠きは前記第2切り込み部(36)の先端から半円状に延びる第3切り込み部(37)とを有している。
【0011】
前記第1仕切り板(3)の切欠き口(32)は、板体(31)の長手方向の開口幅Wが第2仕切り板(4)の厚さよりも大きく形成されると共に、第1切り込み部(35)は、板体(31)の長手方向の開口幅Sが零以上であって、且つ第2仕切り板(4)の厚さよりも小さく形成されている。
【0012】
上記本発明の仕切りアセンブリによれば、第1仕切り板(3)に対して第2仕切り板(4)を嵌合させる過程で、先ず、第2仕切り板(4)の切り欠き(42)の最も深い位置に形成されている底面(42a)が、第1仕切り板(3)の切欠き口(32)の開口面を押圧する。ここで、該切欠き口(32)の開口面は、板体(31)の長手方向に対して傾斜しているため、該開口面のガイドによって、第2仕切り板(4)の板体(41)が第1仕切り板(3)の第1切り込み部(35)へ押し入り、これに伴って、板体(41)の切欠き口(32)と切り込み(33)によって包囲される一部の領域が、舌片(30)となって外側へ折り曲げられることになる。
尚、舌片(30)の折り曲げは、第1仕切り板(3)の板体(31)の弾性範囲内で行なわれる。
【0013】
そして、更に第2仕切り板(4)を第1仕切り板(3)へ押し込むことによって、第2仕切り板(4)の板体(41)が第1仕切り板(3)の第1切り込み部(35)の最も深い位置まで押し込まれると共に、第1仕切り板(3)の板体(31)が第2仕切り板(4)の切り欠き(42)の最も深い位置まで押し込まれ、第1仕切り板(3)と第2仕切り板(4)とが互いに嵌合することになる。
【0014】
この状態で、第1仕切り板(3)の舌片(30)は、その弾性により元の位置に復帰せんとし、この結果、舌片(30)の先端部が第2仕切り板(4)の板体(41)の側面に圧接されることになる。
従って、一方の仕切り板から他方の仕切り板が脱落せんとしても、第1仕切り板(3)の舌片(30)の先端部と第2仕切り板(4)の板体(41)の側面との間に生じる摩擦抵抗力により、他方の仕切り板の脱落が防止される。
【0015】
具体的態様において、第1仕切り板(3)には、板体(31)の一方の端縁(3a)から該端縁(3a)に対して垂直方向に延びて前記第2切り込み部(36)の先端若しくはその付近に達する折曲げ線加工(34)が形成されている。
【0016】
該具体的態様によれば、第1仕切り板(3)に対して第2仕切り板(4)を嵌合させる過程で、第1仕切り板(3)の舌片(30)は折曲げ線加工(34)に沿って折れ曲がることになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る仕切りアセンブリによれば、第1仕切り板(3)と第2仕切り板(4)の分解・組立を繰り返したとしても、第1仕切り板(3)の舌片(30)の弾性復帰力は大きく低下することがないので、両仕切り板(3)(4)の間の摩擦抵抗による連結状態は維持され、例えば仕切りアセンブリ単独での運搬時に一方の仕切り板から他方の仕切り板が脱落する虞は殆どない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である仕切りアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図2は、該仕切りアセンブリを構成する第2仕切り板の側面図である。
【
図3】
図3は、該仕切りアセンブリを構成する第1仕切り板の側面図である。
【
図4】
図4は、第1仕切り板に第2仕切り板を嵌合させる過程の第1段階を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1仕切り板に第2仕切り板を嵌合させる過程の第2段階を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1仕切り板に第2仕切り板を嵌合させる過程の第3段階を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1仕切り板に第2仕切り板を嵌合させる過程の第4段階を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1仕切り板と第2仕切り板の嵌合状態を説明する平面図である。
【
図9】
図9は、第1仕切り板の他の構成例を示す側面図である。
【
図10】
図10は、従来の仕切りアセンブリを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、該仕切りアセンブリを構成する第2仕切り板の側面図である。
【
図12】
図12は、該仕切りアセンブリを構成する第1仕切り板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態である仕切りアセンブリ(2)は、
図1に示す如く梱包箱(1)の内部空間を複数の小空間に仕切るものであって、それぞれ段ボール製の複数の第1仕切り板(3)と複数の第2仕切り板(4)とを互いに格子状に組み合わせて構成されている。
【0020】
第2仕切り板(4)は、
図2に示す如く帯板状の板体(41)を具え、該板体(41)の長手方向の6箇所にはそれぞれ、長手方向に延びる一方の端縁(4b)から他方の端縁(4a)へ向かって一定の幅で切り欠いた切り欠き(42)が形成されている。
各切り欠き(42)の幅Bは、第1仕切り板(3)の厚さと同等に形成されている。
【0021】
第1仕切り板(3)は、
図3に示す如く帯板状の板体(31)を具え、該板体(31)の長手方向の3箇所にはそれぞれ、長手方向に延びる一方の端縁(3a)を略V字状に切り開いた切欠き口(32)と、該切欠き口(32)と連続する切り込み(33)とが形成されている。
切欠き口(32)の深さは例えば10mmに設定される。
尚、切欠き口(32)の開口面の傾斜は、後述するガイドの役割を考慮して、好適な角度(例えば30度〜60度)に設定される。
【0022】
第1仕切り板(3)の切り込み(33)は、切欠き口(32)の最も深い位置から板体(31)の他方の端縁(3b)に向かって長手方向とは直交する方向に切り込んだ第1切り込み部(35)と、該第1切り込み部(35)の最も低い位置から板体(31)の長手方向へ切り込んだ第2切り込み部(36)とを有している。
【0023】
そして、中央の切欠き口(32)は、第1切り込み部(35)の延長線を中心として該延長線の両側にそれぞれ形成されると共に、中央の切り込み(33)は更に、第2切り込み部(36)の先端から半円状に延びる第3切り込み部(37)を有している。
該第3切り込み部(37)の大きさによって、後述する弾性復帰力の調整が可能である。
【0024】
更に第1仕切り板(3)の板体(31)には、一方の端縁(3a)から切り込み(33)の先端まで第1切り込み部(35)と平行に延びる折曲げ線加工(34)が施されている。折曲げ線加工(34)としては、例えばミシン目加工や、プレスによって薄肉部を形成する加工を採用することが出来る。
【0025】
これによって、第1仕切り板(3)には、切欠き口(32)、切り込み(33)及び折曲げ線加工(34)によって包囲される舌片(30)が形成され、該舌片(30)は、折曲げ線加工(34)に沿って折れ曲がることが容易なものとなる。
【0026】
ここで、第1仕切り板(3)の切欠き口(32)は、第2仕切り板(4)の厚さ(例えば3mm)よりも大きな開口幅W(例えば5mm)に形成されている。
又、第1仕切り板(3)の切り込み(33)は、板体(31)の切断加工時に1枚の薄い切断刃で切断することにより、略零の幅に形成されている。
【0027】
上記の第1仕切り板(3)と第2仕切り板(4)を互いに組み合わせることによって仕切りアセンブリ(2)を組み立てる作業では、
図4〜
図7に示す様に、第1仕切り板(3)に対して第2仕切り板(4)を嵌合させる。
具体的には、先ず、
図4及び
図5に示す如く、第1仕切り板(3)上に第2仕切り板(4)を直交する向きに配置し、第2仕切り板(4)の切り欠き(42)の最も深い位置に形成されている底面(42a)を、第1仕切り板(3)の切欠き口(32)の開口面に当接させる。
【0028】
この状態で、第2仕切り板(4)を押し下げると、切欠き口(32)の開口面によるガイドによって、第2仕切り板(4)の板体(41)が第1仕切り板(3)の第1切り込み部(35)へ押し入り、これに伴って、
図6の如く舌片(30)が板体(31)の側面から外側へ押し開かれ、該舌片(30)の先端部が弾性復帰力によって第2仕切り板(4)の板体(41)の側面に圧接されることになる。
【0029】
そして、更に第2仕切り板(4)を押し下げると、
図7に示す如く、第2仕切り板(4)の板体(41)が第1仕切り板(3)の第1切り込み部(35)の最も深い位置まで押し込まれると共に、第1仕切り板(3)の板体(31)が第2仕切り板(4)の切り欠き(42)の最も深い位置まで押し込まれ、第1仕切り板(3)と第2仕切り板(4)とが互いに嵌合することになる。
【0030】
この状態で、
図8に示す様に、第1仕切り板(3)の舌片(30)の先端部が弾性復帰力Fによって第2仕切り板(4)の板体(41)の側面に圧接されているため、第1仕切り板(3)が重力などにより第2仕切り板(4)から脱落せんとしても、第1仕切り板(3)の舌片(30)の先端部と第2仕切り板(4)の板体(41)の側面との間に生じる摩擦抵抗力により、第1仕切り板(3)の脱落が防止される。
【0031】
上記仕切りアセンブリ(2)によれば、第1仕切り板(3)と第2仕切り板(4)の分解・組立を繰り返したとしても、第1仕切り板(3)の舌片(30)の弾性復帰力は大きく低下することがないので、両仕切り板(3)(4)の間の摩擦抵抗による連結状態は維持され、例えば仕切りアセンブリ単独での運搬時に第2仕切り板(4)から第1仕切り板(3)が脱落する虞は殆どない。
【0032】
又、第1仕切り板(3)の切欠き口(32)、切り込み(33)及び折曲げ線加工(34)は、板体(31)の打ち抜き成形時に同時に形成することが出来るので、コストアップを招くことはない。
【0033】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、第1仕切り板(3)の第1切り込み部(35)の開口幅は略零に限定されるものではなく、第2仕切り板(4)の厚さ(例えば3mm)よりも小さい範囲で、
図9に示す如くある程度の幅S(例えば1〜2mm)に形成することが出来る。
【符号の説明】
【0034】
(1) 梱包箱
(2) 仕切りアセンブリ
(3) 第1仕切り板
(31) 板体
(32) 切欠き口
(33) 切り込み
(34) 折曲げ線加工
(35) 第1切り込み部
(36) 第2切り込み部
(37) 第3切り込み部
(30) 舌片
(4) 第2仕切り板
(41) 板体
(42) 切り欠き