【実施例】
【0070】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0071】
なお、以下の実施例において、目的化合物の(メタ)アクリル酸エステルの収率は、当該目的化合物の(メタ)アクリル酸エステルの理論生成量に対する実際の(メタ)アクリル酸エステルの生成量の比率から求めた。
【0072】
また、以下の実施例の反応混合物における原料アルコール、原料アルコールから生成する(メタ)アクリル酸エステル、共沸溶媒および(メタ)アクリル酸メチルの量は、いずれもガスクロマトグラフィー(以下、GCという)分析装置(アジレント社製、検出器FID、カラムキャピラリーDB−1:30m)を用い、GCによる面積百分率から求めた。
【0073】
実施例1
塔頂部に還流装置を備え、側管を有する20段オルダーショウ蒸留塔(理論段数:15段)と、空気導入管とを有する2L容の四つ口フラスコを反応装置として用いた。当該反応装置のフラスコ内に、アクリル酸メチル694g(8.06モル)、N,N−ジメチルアミノエタノール552g(6.20モル)、フェノチアジン1.76g、ジブチルスズオキサイド22.1gおよびシクロヘキサン100gを仕込んだ。空気導入管から空気を20mL/分の流量でフラスコ内に吹き込みながらエステル交換反応を行なった。より具体的には、反応装置に設置されている蒸留塔の塔頂から取り出された蒸気を凝縮し、得られた凝縮液の一部を塔頂に還流させ、残りの凝縮液を反応装置外に除去した。反応装置外に除去した凝縮液の量を調節することにより、蒸留塔の塔頂温度をメチルアルコールとシクロヘキサンとの共沸温度である54〜56℃に調整した。
【0074】
反応装置の蒸留塔の塔頂部から除去した凝縮液700gと水200gとを20℃の温度で混合し、得られた混合液をデカンターに導入した。この混合液は上層と下層の2層に分離した。凝縮液に含まれていたメチルアルコールは水で抽出されて下層に含まれ、凝縮液に含まれていたシクロヘキサンは抽出液の上層に含まれていた。
【0075】
前記下層の量は410gであり、当該下層には、メチルアルコール47.0質量%(193g)、シクロヘキサン0.5質量%(2g)、アクリル酸メチル3.6質量%(15g)および水48.9質量%(200g)が含まれていた。
【0076】
一方、前記上層を蒸留塔の中段である蒸留塔の下から10段目の位置に供給することにより有効利用した。
【0077】
アクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとのエステル交換反応における反応温度が85〜102℃となるようにフラスコ内に適宜シクロヘキサンを追加しながら反応させ、反応開始から4時間経過時にエステル交換反応が終了した。反応終了後、前記エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は160gであった。
【0078】
反応終了後、前記エステル交換反応によって得られた反応混合物をさらに加熱し、還流比を10〜15に設定し、蒸留塔の塔頂から蒸気を取り出し、当該蒸気を凝縮させることにより、凝縮液を回収した。このとき、フラスコ内の反応混合物の温度が85〜100℃に保たれるようにシクロヘキサンをフラスコ内に添加した。蒸留塔の塔頂から凝縮液の取り出しを行なうにしたがって蒸留塔の塔頂温度が徐々に上昇し、蒸留塔の塔頂温度がシクロヘキサンの沸点である80℃になるまで蒸留を続けた。
【0079】
その結果、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。また、塔頂から取り出し、回収した凝縮液の量は490gであり、この凝縮液にはメタノール5g、アクリル酸メチル145gおよびシクロヘキサン340gが含まれていた。この凝縮液には、過剰量で使用されたアクリル酸メチルのほとんどの部分が含まれていた。この回収された凝縮液は、アクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとのエステル交換反応の際に利用することができた。このことから、前記凝縮液をアクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとのエステル交換反応の際に利用することにより、アクリル酸メチルの損失を防ぐことができることが確認された。
【0080】
以上のようにしてアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルを調製した結果、アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルの収量は852gであった(N,N−ジメチルアミノエタノールを基準としたときの収率:96質量%、アクリル酸メチルの仕込み量を基準としたときの収率:73.8質量%、反応終了後にシクロヘキサンとの共沸により回収したアクリル酸メチルを再使用したときの収率:93.3質量%)。
【0081】
以上の結果から、実施例1によれば、反応装置の蒸留塔の塔頂部から除去した凝縮液と水とを混合し、得られた混合液を分離し、得られた上層を蒸留塔に供給することにより有効利用することができ、エステル交換反応によって得られた反応混合物をさらに加熱し、蒸留塔の塔頂から回収された凝縮液を新たなエステル交換反応に有効利用することができるとともに、目的とするアクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルを高収率で調製することができることがわかる。
【0082】
実施例2
塔頂部に還流装置を備え、側管を有する10段オルダーショウ蒸留塔(理論段数:7段)と、空気導入管とを有する1L容の四つ口フラスコを蒸留装置として用いた。当該反応装置のフラスコ内に、実施例1で得られた下層を仕込んだ。
【0083】
還流比を10〜15に設定して蒸留を行ない、塔頂温度が64℃以下のときの留分Aを回収した、その結果、回収された留分Aの量は40gであり、この留分Aの組成は、メチルアルコール62.1質量%(25g)、アクリル酸メチル32.5質量%(13g)、シクロヘキサン5.3質量%(2g)および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとのエステル交換反応の際に用いることができた。
【0084】
前記蒸留を継続し、還流比を5〜10に設定して蒸留を行ない、塔頂温度が64〜66℃のときの留分Bを回収した、その結果、回収された留分Bの量は167gであり、この留分Bの組成は、メチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0085】
前記留分Bは、メチルアルコールおよび微量の水以外の成分を含まないため、工業用原料、溶媒などとして有効利用使用することができることが確認された。また、留分Bにはアクリル酸メチルが検出されなかったことから、アクリル酸メチルの損失がないので、アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルの収率に悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0086】
また、フラスコ内の残液203gの組成は、メチルアルコール3質量%および水97質量%であり、それら以外に含まれている成分が検出されず、主として水で構成されていることから、当該残液を実施例1において凝縮液と水とを混合する際の水として用いることができた。
【0087】
以上の結果より、実施例2によれば、実施例1で回収された反応装置の蒸留塔の塔頂部から除去した凝縮液と水とを混合し、得られた混合液を分離することによって得られた下層を有効利用することができることがわかる。
【0088】
実施例3
実施例1で用いたのと同じ反応装置を用いた。当該反応装置のフラスコ内に、アクリル酸メチル517g(6.00モル)、n−オクチルアルコール651g(5.00モル)、フェノチアジン1.76g、テトラメチルチタン0.72gおよびn−ヘキサン117gを仕込んだ。空気導入管から空気を20mL/分の流量でフラスコ内に吹き込みながらエステル交換反応を行なった。より具体的には、反応装置に設置されている蒸留塔の塔頂から取り出された蒸気を凝縮し、得られた凝縮液の一部を塔頂に還流させ、残りの凝縮液を反応装置外に除去した。反応装置外に除去した凝縮液の量を調節することにより、蒸留塔の塔頂温度をメチルアルコールとn−ヘキサンとの共沸温度である48〜50℃に調整した。
【0089】
反応装置の蒸留塔の塔頂部から除去した凝縮液549gと水100gとを20℃の温度で混合し、得られた混合液をデカンターに導入した。この混合液は上層と下層の2層に分離した。凝縮液に含まれていたメチルアルコールは水で抽出されて下層に含まれ、凝縮液に含まれていたn−ヘキサンは抽出液の上層に含まれていた。
【0090】
前記下層の量は257gであり、当該下層には、メチルアルコール56.4質量%(145g)、n−ヘキサン1.6質量%(4g)、アクリル酸メチル3.1質量%(8g)および水38.9質量%(100g)が含まれていた。
【0091】
一方、前記上層を蒸留塔の中段である蒸留塔の下から10段目の位置に供給することにより有効利用した。
【0092】
アクリル酸メチルとn−オクチルアルコールとのエステル交換反応における反応温度は90〜110℃であり、反応開始から8時間経過時にエステル交換反応が終了した。反応終了後、前記エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は86gであった。
【0093】
反応終了後、前記エステル交換反応によって得られた反応混合物をさらに加熱し、還流比を10〜15に設定し、蒸留塔の塔頂から蒸気を取り出し、当該蒸気を凝縮させることにより、凝縮液を回収した。このとき、フラスコ内の反応混合物の温度が90〜110℃に保たれるようにn−ヘキサンをフラスコ内に添加した。蒸留塔の塔頂から凝縮液の取り出しを行なうにしたがって蒸留塔の塔頂温度が徐々に上昇し、蒸留塔の塔頂温度がn−ヘキサンの沸点である68℃になるまで蒸留を続けた。
【0094】
その結果、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率は0.2質量%以下であった。また、塔頂から取り出し、回収した凝縮液の量は392gであり、この凝縮液にはメタノール3.8質量%(15g)、アクリル酸メチル18.6質量%(73g)およびn−ヘキサン77.6質量%(304g)が含まれていた。この凝縮液には、過剰量で使用されたアクリル酸メチルのほとんどの部分が含まれていた。この回収された凝縮液は、アクリル酸メチルとn−オクチルアルコールとのエステル交換反応の際に利用することができた。このことから、前記凝縮液をアクリル酸メチルとn−オクチルアルコールとのエステル交換反応の際に利用することにより、アクリル酸メチルの損失を防ぐことができることが確認された。
【0095】
以上のようにしてアクリル酸n−オクチルを調製した結果、アクリル酸n−オクチルの収量は912gであった(n−オクチルアルコールを基準としたときの収率:99.0質量%、アクリル酸メチルの仕込み量を基準としたときの収率:82.5質量%、反応終了後にn−ヘキサンとの共沸により回収したアクリル酸メチルを再使用したときの収率:96.0質量%)。
【0096】
実施例4
塔頂部に還流装置を備え、側管を有する10段オルダーショウ蒸留塔(理論段数:7段)と、空気導入管とを有する2L容の四つ口フラスコを蒸留装置として用いた。当該反応装置のフラスコ内に、実施例3で得られた下層を仕込んだ。
【0097】
還流比を10〜15に設定して蒸留を行ない、塔頂温度が64℃以下のときの留分Aを回収した、その結果、回収された留分Aの量は32gであり、この留分Aの組成は、メチルアルコール62.5質量%(20g)、アクリル酸メチル25.0質量%(8g)、n−ヘキサン12.5質量%(4g)および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルとn−オクチルアルコールとのエステル交換反応の際に用いることができた。
【0098】
前記蒸留を継続し、還流比を5〜10に設定して蒸留を行ない、塔頂温度が64〜66℃のときの留分Bを回収した、その結果、回収された留分Bの量は122gであり、この留分Bの組成は、メチルアルコール99.9質量%(122g)および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0099】
前記留分Bは、メチルアルコールおよび微量の水以外の成分を含まないため、工業用原料、溶媒などとして有効利用使用することができることが確認された。また、留分Bにはアクリル酸メチルが検出されなかったことから、アクリル酸メチルの損失がないので、アクリル酸n−オクチルの収率に悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0100】
また、フラスコ内の残液103gの組成は、メチルアルコール3質量%(3g)および水97質量%(100g)であり、それら以外に含まれている成分が検出されず、主として水で構成されていることから、当該残液を実施例3において凝縮液と水とを混合する際の水として用いることができた。
【0101】
実施例5
実施例1で用いたのと同じ反応装置を用いた。当該反応装置のフラスコ内に、アクリル酸メチル430g(5.0モル)、1,4−ブタンジオール675g(7.5モル)、フェノチアジン0.72g、ジオクチルスズオキサイド3.6gおよびシクロヘキサン100gを仕込んだ。空気導入管から空気を20mL/分の流量でフラスコ内に吹き込みながらエステル交換反応を行なった。より具体的には、反応装置に設置されている蒸留塔の塔頂から取り出された蒸気を凝縮し、得られた凝縮液の一部を塔頂に還流させ、残りの凝縮液を反応装置外に除去した。反応装置外に除去した凝縮液の量を調節することにより、蒸留塔の塔頂温度をメチルアルコールとシクロヘキサンとの共沸温度である54〜56℃に調整した。
【0102】
反応装置の蒸留塔の塔頂部から除去した凝縮液490gと水140gとを20℃の温度で混合し、得られた混合液をデカンターに導入した。この混合液は上層と下層の2層に分離した。凝縮液に含まれていたメチルアルコールは水で抽出されて下層に含まれ、凝縮液に含まれていたシクロヘキサンは抽出液の上層に含まれていた。
【0103】
前記下層の量は303gであり、当該下層には、メチルアルコール48.7質量%(148g)、シクロヘキサン1.6質量%(5g)、アクリル酸メチル3.3質量%(10g)および水46.4質量%(140g)が含まれていた。
【0104】
一方、前記上層を蒸留塔の中段である蒸留塔の下から10段目の位置に供給することにより有効利用した。
【0105】
アクリル酸メチルと1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応における反応温度が85〜100℃となるようにフラスコ内にシクロヘキサンを適宜添加しながら反応させ、反応開始から8時間経過時にエステル交換反応が終了した。反応終了後、前記エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は20gであった。
【0106】
反応終了後、前記エステル交換反応によって得られた反応混合物をさらに加熱し、還流比を10〜15に設定し、蒸留塔の塔頂から蒸気を取り出し、当該蒸気を凝縮させることにより、凝縮液を回収した。このとき、フラスコ内の反応混合物の温度が85〜100℃に保たれるようにシクロヘキサンをフラスコ内に添加した。蒸留塔の塔頂から凝縮液の取り出しを行なうにしたがって蒸留塔の塔頂温度が徐々に上昇し、蒸留塔の塔頂温度がシクロヘキサンの沸点である80℃になるまで蒸留を続けた。
【0107】
その結果、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率は0.2質量%以下であった。また、塔頂から取り出し、回収した凝縮液の量は75gであり、この凝縮液にはメタノール5g、アクリル酸メチル10gおよびシクロヘキサン60gが含まれていた。この凝縮液には、過剰量で使用されたアクリル酸メチルのほとんどの部分が含まれていた。この回収された凝縮液は、アクリル酸メチルと1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応の際に利用することができた。このことから、前記凝縮液をアクリル酸メチルと1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応の際に利用することにより、アクリル酸メチルの損失を防ぐことができることが確認された。
【0108】
以上のようにしてアクリル酸4−ヒドロキシブチルを調製した結果、得られた反応混合物には、アクリル酸4−ヒドロキシブチル496g、1,4−ブタンジオールジアクリレ−ト131gおよび1,4−ブタンジオール305gが含まれていた。この反応混合物に含まれているアクリル酸4−ヒドロキシブチルは、当該反応混合物を抽出、蒸留または吸着塔を用いた吸着により、分離することができた。
【0109】
実施例6
塔頂部に還流装置を備え、側管を有する10段オルダーショウ蒸留塔(理論段数:7段)と、空気導入管とを有する1L容の四つ口フラスコを蒸留装置として用いた。当該反応装置のフラスコ内に、実施例5で得られた下層を仕込んだ。
【0110】
還流比を10〜15に設定して蒸留を行ない、塔頂温度が64℃以下のときの留分Aを回収した、その結果、回収された留分Aの量は42gであり、この留分Aの組成は、メチルアルコール64.3質量%(27g)、アクリル酸メチル23.8質量%(10g)、シクロヘキサン12.5質量%(5g)および水0.1質量%(0.04g)であった。この留分Aは、アクリル酸メチルと1,4−ブタンジオールとのエステル交換反応の際に用いることができた。
【0111】
前記蒸留を継続し、還流比を5〜10に設定して蒸留を行ない、塔頂温度が64〜65℃のときの留分Bを回収した、その結果、回収された留分Bの量は118gであり、この留分Bの組成は、メチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0112】
前記留分Bは、メチルアルコールおよび微量の水以外の成分を含まないため、工業用原料、溶媒などとして有効利用使用することができることが確認された。また、留分Bにはアクリル酸メチルが検出されなかったことから、アクリル酸メチルの損失がないので、アクリル酸4−ヒドロキシブチルの収率に悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0113】
また、フラスコ内の残液142gの組成は、メチルアルコール3質量%および水97質量%であり、それら以外に含まれている成分が検出されず、主として水で構成されていることから、当該残液を実施例5において凝縮液と水とを混合する際の水として用いることができた。
【0114】
実施例7
実施例1で使用したのと同じ反応装置内に、メタクリル酸メチル780.9(7.80モル)、N,N−ジメチルアミノエタノール372.4g(6.00モル)およびフェノチアジン1.89gを仕込んだこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているメタクリル酸メチルの量は178gであった。
【0115】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応のメタクリル酸メチル175gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるメタクリル酸メチルの含有率を調べたところ、メタクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0116】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留し、留分A5gを回収した。この留分Aの組成は、メチルアルコール86.9質量%、シクロヘキサン13.0質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、メタクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとのエステル交換反応に利用することができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であった。
【0117】
実施例8
実施例1で使用したのと同じ反応装置内に、メタクリル酸メチル1041.2(10.4モル)、エチレングリコール248.3g(4.00モル)、フェノチアジン1.59および水酸化リチウム0.96gを仕込んだこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているメタクリル酸メチルの量は235gであった。
【0118】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応のメタクリル酸メチル233gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるメタクリル酸メチルの含有率を調べたところ、メタクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0119】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留し、留分A5gを回収した。この留分Aの組成は、メチルアルコール86.9質量%、シクロヘキサン13.0質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、メタクリル酸メチルとエチレングリコールとのエステル交換反応に用いることができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であった。
【0120】
実施例9
実施例1において、N,N−ジメチルアミノエタノールの代わりにテトラヒドロフルフリルアルコール633.2g(6.20モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は147gであった。
【0121】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応のアクリル酸メチル146gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率を調べたところ、アクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0122】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留したところ、留分Aの組成はメチルアルコール62.3質量%、アクリル酸メチル32.1質量%、シクロヘキサン5.5質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルとテトラヒドロフルフリルアルコールとのエステル交換反応に用いることができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0123】
実施例10
実施例1において、N,N−ジメチルアミノエタノールの代わりにジエチレングリコールモノエチルエ−テル805.0g(6.00モル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は140gであった。
【0124】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応のアクリル酸メチル138gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率を調べたところ、アクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0125】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留したところ、留分Aの組成は、メチルアルコール62.3質量%、アクリル酸メチル32.3質量%、シクロヘキサン5.3質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルとジエチレングリコールモノエチルエ−テルとのエステル交換反応に用いることができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0126】
実施例11
実施例1において、アクリル酸メチル894.8(5.20モル)、1,6−ヘキサンジオール472.7g(4.00モル)およびジオクチルスズオキサイド3.7gを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は189gであった。
【0127】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応応のアクリル酸メチル188gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率を調べたところ、アクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0128】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留したところ、留分Aの組成は、メチルアルコール62.1質量%、アクリル酸メチル32.4質量%、シクロヘキサン5.4質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルと1,6−ヘキサンジオールとのエステル交換反応に用いることができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0129】
実施例12
実施例1において、アクリル酸メチル1006.7g(11.7モル)、トリメチロールプロパン402.5g(3.00モル)およびジオクチルスズオキサイド8.4gを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は216gであった。
【0130】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応応のアクリル酸メチル214gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率を調べたところ、アクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0131】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留したところ、留分Aの組成は、メチルアルコール62.1質量%、アクリル酸メチル32.3質量%、シクロヘキサン5.5質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルとトリメチロールプロパンとのエステル交換反応に用いることができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0132】
実施例13
実施例1において、アクリル酸メチル559.3(6.5モル)、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール1041.5g(5.00モル)およびジオクチルスズオキサイド4.7gを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は117gであった。
【0133】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応応のアクリル酸メチル116gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率を調べたところ、アクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0134】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留したところ、留分Aの組成は、メチルアルコール62.5質量%、アクリル酸メチル32.1質量%、シクロヘキサン5.3質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルと2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールとのエステル交換反応に用いることができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0135】
実施例14
実施例1において、アクリル酸メチル615.2(7.15モル)、3−エチル−3−オキセタニルメチルアルコール892.1g(5.50モル)およびジオクチルスズオキサイド5.lgを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエステル交換反応を行なった。反応終了後、エステル交換反応によって得られた反応混合物に含まれているアクリル酸メチルの量は123gであった。
【0136】
フラスコ内にシクロヘキサンを添加し、未反応応のアクリル酸メチル122gを回収した後、フラスコ内の反応混合物におけるアクリル酸メチルの含有率を調べたところ、アクリル酸メチルの含有率は0.1質量%以下であった。
【0137】
次に、実施例2と同様にしてデカンターの下層を蒸留したところ、留分Aの組成は、メチルアルコール62.3質量%、アクリル酸メチル32.1質量%、シクロヘキサン5.5質量%および水0.1質量%であった。この留分Aは、アクリル酸メチルと3−エチル−3−オキセタニルメチルアルコールとのエステル交換反応に用いることができた。引き続いて実施例2と同様にして留分Bを回収し、その組成を調べたところ、この留分Bの組成はメチルアルコール99.9質量%および水0.1質量%であり、アクリル酸メチルが含まれていることが確認されなかった。
【0138】
比較例1
実施例1で用いたのと同じ反応装置を用いた。当該反応装置のフラスコ内に、アクリル酸メチル694g(8.06モル)、N,N−ジメチルアミノエタノール552g(6.20モル)、フェノチアジン1.76g、ジブチルスズオキサイド22.1gおよびイソヘキサン100gを仕込んだ。
【0139】
次に、フラスコ内に20mL/分の流量で空気を吹き込みながら76〜93℃の反応温度でエステル交換反応を行なった。より具体的には、反応装置に設置された蒸留塔の塔頂から取り出される蒸気を凝縮し、得られた凝縮液の一部を塔頂に還流させ、残りの凝縮液を反応装置外に除去した。反応装置外に除去する凝縮液の量を調節することにより、蒸留塔の塔頂温度をメチルアルコールとイソヘキサンとの共沸温度である45〜46℃に調整した。
【0140】
反応装置外に除去した凝縮液950gと水200gとを20℃の温度で混合し、得られた混合液をデカンターに導入し、2層に分離した。2層のうち下層には、凝縮液に含まれているメチルアルコールが含まれていた。一方、上層にはイソヘキサンが含まれており、当該上層を蒸留塔の中段に該当する下から10段目に供給した。
【0141】
アクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとを13時間反応させることにより、アクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとのエステル交換反応が終了した。
【0142】
前記ステル交換反応が終了した時点で反応装置内に残存しているアクリル酸メチルの量は160gであった。
【0143】
次に、フラスコ内の反応混合物の温度が80〜90℃となるようにイソヘキサンをフラスコ内に添加しながら、還流比を10〜15に設定し、塔頂から凝縮液を取り出した。凝縮液を塔頂から取り出すと塔頂温度はイソヘキサンの沸点である62℃に速やかに到達した。塔頂から取り出された凝縮液の量は300gであった。
【0144】
その結果、反応装置内のアクリル酸メチルの残存量は10.8質量%であった。また、塔頂から取り出された凝縮液300gには、メタノール5g、アクリル酸メチル5gおよびイソヘキサン290gが含まれていた。このことから、前記凝縮液には、原料として使用されたアクリル酸メチルがほとんど含まれておらず、アクリル酸メチルのほとんどが反応装置内に残存していることが確認された。
【0145】
以上の結果から、反応終了時に反応装置内に残存しているアクリル酸メチルの量は160gであった。また、反応終了後の操作では、アクリル酸メチルは、イソヘキサンと共沸せず、その5gが回収されただけであった。
【0146】
比較例2
塔頂部に還流装置を備え、側管を有する20段オルダーショウ蒸留塔(理論段数:15段)と、空気導入管とを有する2L容の四つ口フラスコを反応装置として用いた。当該反応装置のフラスコ内に、アクリル酸メチル694g(8.06モル)、N,N−ジメチルアミノエタノール552g(6.20モル)、フェノチアジン1.76g、ジブチルスズオキサイド22.1gおよびシクロヘキサン100gを仕込んだ。空気導入管から空気を20mL/分の流量でフラスコ内に吹き込みながらエステル交換反応を行なった。
【0147】
具体的には、反応装置に設置されている蒸留塔の塔頂から取り出された蒸気を凝縮し、得られた凝縮液の一部を塔頂に還流させ、残りの凝縮液を反応装置外に除去した。反応装置外に除去した凝縮液の量を調節することにより、蒸留塔の塔頂温度をメチルアルコールとシクロヘキサンとの共沸温度である54〜56℃に調整した。
【0148】
反応装置の蒸留塔の塔頂部から除去した凝縮液700gと水200gとを20℃の温度で混合し、得られた混合液をデカンターに導入した。この混合液は上層と下層の2層に分離した。凝縮液に含まれていたメチルアルコールは水で抽出されて下層に含まれ、凝縮液に含まれていたシクロヘキサンは抽出液の上層に含まれていた。下層の量は410gであり、当該下層には、メチルアルコール47.0質量%(193g)、シクロヘキサン0.5質量%(2g)、アクリル酸メチル3.6質量%(15g)および水48.9質量%(200g)が含まれていた。
【0149】
アクリル酸メチルとN,N−ジメチルアミノエタノールとのエステル交換反応における反応温度が85〜102℃となるようにフラスコ内に適宜シクロヘキサンを追加しながら反応させ、反応開始から4時間経過時にエステル交換反応が終了した。
【0150】
その結果、アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルの収率は96.0質量%、アクリル酸メチル基準の収率は73.8質量%であった。また、凝縮液からメタノールを抽出した水層の組成は、メタノール48.0質量%、n−ヘキサン0.1質量%およびアクリル酸メチル3.6質量%であったが、反応装置内に残存しているアクリル酸メチルの残存量は160gであった。
【0151】
したがって、比較例2の方法では、アクリル酸メチルが大量に反応装置内に残存することがわかる。
【0152】
以上の結果から、本発明の各実施例によれば、(メタ)アクリル酸メチルとアルコールとをエステル交換反応させた後に残存している(メタ)アクリル酸エステルを効率よく回収することができ、しかも回収された(メタ)アクリル酸メチルは、(メタ)アクリル酸メチルとアルコールとをエステル交換反応させる際に再利用することができることがわかる。