特許第6132592号(P6132592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6132592
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】唾液の前処理液
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20170515BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20170515BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   G01N33/48 A
   G01N33/543 521
   G01N33/569 F
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-39897(P2013-39897)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-167447(P2014-167447A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2015年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000181217
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(72)【発明者】
【氏名】内藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 和人
(72)【発明者】
【氏名】増田 聖
(72)【発明者】
【氏名】石原 容子
【審査官】 大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−024325(JP,A)
【文献】 特開2004−101345(JP,A)
【文献】 特表2007−519923(JP,A)
【文献】 特開2009−052945(JP,A)
【文献】 特開2010−085244(JP,A)
【文献】 米国特許第5334503(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 − 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫クロマトグラフィー法により唾液中の歯周病原細菌を同定・定量するに際し前処理
するための唾液の前処理液であって、
非イオン性界面活性剤及び/または両性界面活性剤、
塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウム,硫酸マグネシウム
,硫酸マンガン,塩化アンモニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の物質
緩衝作用付与物質、
及び水のみから構成され、
前記塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウム,硫酸マグネシウム,硫酸マンガン,塩化アンモニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の物質の濃度は唾液の前処理液中に0.25〜5mol/Lであり、
pHが3〜8である唾液の前処理液。
【請求項2】
緩衝作用付与物質が、塩酸−塩化カリウム,塩酸−トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン,塩酸−グリシン,グリシン−水酸化ナトリウム、クエン酸−リン水素二ナトリウ
ム、クエン酸−クエン酸ナトリウム,リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素ナトリウム
,炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウム,酢酸−酢酸ナトリウム,酒石酸−酒石酸ナトリウ
ム,酒石酸−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンからなる物質の組み合わせからな
る群より選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の唾液の前処理液。
【請求項3】
歯周病原細菌が、ポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテラ・インターメディア、
アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス、フゾバクテリウム・ヌクレアタ
ム、トレポネーマ・デンティコーラ、タンネレラ・フォーサイシアからなる群より選ばれ
る1種または2種以上である請求項1または2に記載の唾液の前処理液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫クロマトグラフィー法によりヒトまたは動物の唾液中の歯周病原細菌を同定・定量を行うために用いる唾液の前処理液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、細菌の検査には抗原抗体反応を利用した検査が行われてきた。一般的な方法として免疫クロマトグラフィー法がある(例えば、特許文献1〜3参照。)。この方法では、ニトロセルロースなどの多孔質膜(孔径:数十μm)の片端に目的とする特定の抗原のみに付く特定の抗体(以後、特異抗体と記す。)が染み込まされており、多孔質膜の中程には同様に特定の抗原のみに付く別の特異抗体が帯状に染み込まされて多孔質膜に固定されている。片端に染み込まされている特異抗体は、予め金コロイド等の粒子で着色されており、その特異抗体が存在している多孔質膜の片端上にサンプル液を染み込ませるとサンプル液中に特異抗体と反応する抗原があれば、その抗原は特異抗体と結び付いて着色粒子を付けた状態で多孔質膜を毛細管現象によってサンプル液を染み込ませた側と反対の片端へ向かって移動して行く。移動の途中で帯状に固定されている別の特異抗体の個所を通過する際に、抗原はその別の特異抗体に捕捉され、多孔質膜上に帯状の染みが現れる。このことによって目的の抗原がサンプル中に存在していること及びその量を知ることができる。
【0003】
このような技術を応用すれば前述の口腔内細菌の同定・定量を行うことができそうであるが、口腔内細菌の検査に用いられる主要なサンプルは唾液であるため、唾液中に存在するムチンと呼ばれる高粘性物質及び検出の対象ではない連鎖球菌が多孔質膜の孔を塞いでしまい、またムチンは唾液中に存在する口腔粘膜面から剥がれ落ちた上皮付着細胞を凝集させる働きもするため、これらの物質により多孔質膜の孔が塞がれて口腔内細菌を通過させることができなかった。そのため、本出願人は、以前に唾液の前処理キット及び唾液の前処理方法を提案した(特許文献4参照。)。
【0004】
近年では、特に成人性歯周炎の原因菌としてポルフィロモナス・ジンジバリス(以下、Pg菌と記すことがある。)が重要視されているため、ヒトまたは動物の唾液中のPg菌の有無や量を簡便に検査できれば罹患リスクや現状の罹患状況の把握ができ、極めて多くの人々に有効な情報を与えることが可能である。しかしながら、前記唾液処理方法は特にミュータンス連鎖球菌に対しては有効なものであるものの、Pg菌の検出に用いるとPg菌の菌体表面を変性させてしまい、免疫クロマトグラフィー法による検出はできなかった。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,980,298号公報
【特許文献2】特開昭61−145459号公報
【特許文献3】特開平6−160388号公報
【特許文献4】特開2002−357599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
抗原抗体反応を利用した免疫クロマトグラフィー法を用いてヒトまたは動物の唾液中の歯周病原細菌を同定・定量を行う際の前記欠点を解消し、簡便な方法で唾液中のムチン及び連鎖球菌の凝集を取り除くことが可能で、且つ歯周病原細菌の菌体表面を変性させないような処理が可能な唾液の前処理液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の配合の液で前処理を行うことにより、唾液中の歯周病原細菌の菌体表面を変性させずに唾液を処理し、後の免疫クロマトグラフィー法による検出が可能になることを見出して本発明を完成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る唾液の前処理液は、用いることで簡便に唾液中のムチン及び連鎖球菌の凝集による多孔質膜の孔の目詰まりを防止することが可能であり、且つ、歯周病原細菌の菌体表面を変性させることがないため抗体反応を明確に確認することができる優れた唾液の前処理液である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る唾液の前処理液には、非イオン性界面活性剤及び/または両性界面活性剤が配合される。これは、歯周病原細菌表面のタンパク質を菌体表面を変性させることなく可溶化し、歯周病原細菌が多孔質膜中を効率よく通り抜けることを可能とする。
【0010】
非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−へプチル−β−D−チオグルコシド、n−オクチル−β−D−チオグルコシド、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物のエチレンオキサイド付加物からなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0011】
両性界面活性剤は、CHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート、CHAPSO(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート)、カルボキシベタイン、イミダゾリニウムベタイン、N−ドデシル−N−(2−カルボキシエチル)−β―アラニンジナトリウム等のアミノカルボン酸塩、N,N−ジメチルドデシルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシドからなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0012】
従来から免疫クロマトグラフィー法では、サンプル液や抗原液が検査器具内をスムーズに移動できるように陰イオン界面活性剤を使用することがよくある。しかし、本発明に係る歯周病原細菌の同定・定量を行うための唾液の前処理液に使用される界面活性剤は、実験の結果から非イオン性界面活性剤及び/または両性界面活性剤である必要があり、ラウリル硫酸ナトリウムやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤では、抗体による抗原検出を行うことができない。
【0013】
本発明に係る唾液の前処理液において、非イオン性界面活性剤及び/または両性界面活性剤は、唾液の前処理液に対して0.02〜25重量%の配合量になるように配合されることが好ましく、0.02重量%未満では抗原抗体反応による検出感度が低くなる傾向があり、25重量%を超えても抗原抗体反応による検出感度が低下し易いため好ましくない。
【0014】
本発明に係る唾液の前処理液に配合される、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カル
シウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、塩化アンモニウムからな
る群より選ばれる1種または2種以上の物質は、抗原ではない異物が抗体と反応して検出
されてしまう偽陽性を抑制する効果があり、免疫クロマトグラフィー法による検出をより
正確にする効果がある。その濃度は唾液の前処理液中に0.25〜5mol/Lである。
0.25mol/L未満では偽陽性を抑える効果が少なく、5mol/Lを超えると抗原
抗体反応に影響が出て感度が低下してしまうため適さない。

【0015】
本発明に係る唾液の前処理液は、抗原である歯周病原細菌の多孔質膜中の移動を容易とするために、pH3〜8であることが必要である。pHが3未満であると偽陽性が強く現れ検出精度が低下してしまい、一方、pH8を超えると抗原の菌体表面に変性が生じてしまい、抗体による抗原検出ができなくなる。
【0016】
そのため、本発明に係る唾液の前処理液には、緩衝作用付与物質及び水を配合している。緩衝作用付与物質は、2以上の物質の組み合わせからなり、塩酸−塩化カリウム,塩酸−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン,塩酸−グリシン,グリシン−水酸化ナトリウム、クエン酸−リン二水素ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム,リン酸二水素ナトリウム−リン酸二水素ナトリウム,炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウム,酢酸−酢酸ナトリウム,酒石酸−酒石酸ナトリウム,酒石酸−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が例示される。この群より選ばれる1種または2種以上が配合されることが好ましい。
【0017】
本発明に係る唾液の前処理液中の緩衝作用付与物質の濃度は、単位体積当たりの、緩衝作用付与物質として配合されるすべての物質の物質量の総和として定義され、前記pHの前提から唾液の前処理液中に0.01〜3mol/Lの範囲となることが好ましい。
【0018】
本発明に係る唾液の前処理液が対象としている歯周病原細菌は、具体的には、ポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテラ・インターメディア、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス、フゾバクテリウム・ヌクレアタム、トレポネーマ・デンティコーラ、タンネレラ・フォーサイシアからなる群より選ばれる1種または2種以上である。中でもポルフィロモナス・ジンジバリスに最も効果がある。
【0019】
以下、本発明に係る唾液の前処理液に関する実施例を示す。なお、本発明は、下記に記された唾液の前処理液に限定されるものではない。
【0020】
免疫クロマトグラフィー法による患者の唾液中のPg菌数を測定する試験を行った。具体的には、抗体反応の検出の有無を観察した。なお、同じ患者の唾液中のPg菌数をリアルタイムPCR法により予め計測し、9.72×10cells/mLであることを確認した。この値の菌数を検出することができれば、実際の免疫クロマトグラフィー法による検査においても検出することが可能である。
【0021】
免疫クロマトグラフィー法による試験は公知の方法により行った。多孔質膜としてニトロセルロースメンブレン(商品名:SXHF、日本ミリポア社製)を5mm×25mmの長方形に切り出したものを使用した。この多孔質膜に、抗Pg菌抗体と、前記抗Pg菌抗体とは異なる別の抗Pg菌抗体を粒径40nmの金コロイド(British Biocell International社製)で標識化したものを塗布した。唾液250μLを以下に示す方法で作製した唾液の前処理液で処理し試験を行った。
<実施例1>
【0022】
0.1mol/Lクエン酸29.4mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム20.6mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0023】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH4.2の唾液の前処理液を作製した。
【0024】
唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例2>
【0025】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0026】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0027】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例3>
【0028】
0.1mol/Lクエン酸19.7mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム30.3mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0029】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.8の唾液の前処理液を作製した。
【0030】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例4>
【0031】
0.1mol/Lクエン酸6.5mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム43.6mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0032】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH7の唾液の前処理液を作製した。
【0033】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例5>
【0034】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が1mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0035】
両性界面活性剤としてCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0036】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例6>
【0037】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が2mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0038】
非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0039】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例7>
【0040】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が3mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0041】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0042】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例8>
【0043】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が4mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0044】
両性界面活性剤としてCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0045】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
体反応は確認された。
<実施例9>
【0046】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0047】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0048】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例10>
【0049】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0050】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し20重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0051】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例11>
【0052】
0.1mol/L酢酸4.8mLと0.1mol/L酢酸ナトリウム45.2mLを混合し、酢酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0053】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.6の唾液の前処理液を作製した。
【0054】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例12>
【0055】
0.1mol/L酢酸4.8mLと0.1mol/L酢酸ナトリウム45.2mLを混合し、酢酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0056】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.6の唾液の前処理液を作製した。
【0057】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例13>
【0058】
0.2mol/Lリン酸二水素ナトリウム92mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム8mLを合わせ、リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0059】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.8の唾液の前処理液を作製した。
【0060】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例14>
【0061】
0.1mol/Lトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン水溶液50mLと0.1mol/L塩酸44.2mLを合わせ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0062】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH7.2の唾液の前処理液を作製した。
【0063】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例15>
【0064】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mL合わせ、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化カリウム濃度が1mol/Lとなるように塩化カリウムを添加しA液とした。
【0065】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0066】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例16>
【0067】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化マグネシウム濃度が1mol/Lとなるように塩化マグネシウムを添加しA液とした。
【0068】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し20重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0069】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例17>
【0070】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に硫酸マグネシウム濃度が0.5mol/Lとなるように硫酸マグネシウムを添加しA液とした。
【0071】
非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0072】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例18>
【0073】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に硫酸マグネシウム濃度が1mol/Lとなるように硫酸マグネシウムを添加しA液とした。
【0074】
両性界面活性剤としてCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0075】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<比較例1>
【0076】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化マグネシウム濃度が1mol/Lとなるように塩化マグネシウムを添加しA液とした。
【0077】
陰イオン界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム5重量%を水に添加しB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0078】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。抗体反応は全く確認できなかった。
<比較例2>
【0079】
0.2mol/L塩化カリウム50mLと0.2mol/L塩酸6.7mLとを混合し、塩酸−塩酸カリウムバッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0080】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH2.2の唾液の前処理液を作製した。
【0081】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。抗体反応は全く確認できなかった。
<比較例3>
【0082】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液にリン酸カルシウム濃度が0.5mol/Lとなるようにリン酸カルシウムを添加しA液とした。
【0083】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0084】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。抗体反応は全く確認できなかった。