(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る唾液の前処理液には、非イオン性界面活性剤及び/または両性界面活性剤が配合される。これは、歯周病原細菌表面のタンパク質を菌体表面を変性させることなく可溶化し、歯周病原細菌が多孔質膜中を効率よく通り抜けることを可能とする。
【0010】
非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−へプチル−β−D−チオグルコシド、n−オクチル−β−D−チオグルコシド、ノニルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物のエチレンオキサイド付加物からなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0011】
両性界面活性剤は、CHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート、CHAPSO(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホナート)、カルボキシベタイン、イミダゾリニウムベタイン、N−ドデシル−N−(2−カルボキシエチル)−β―アラニンジナトリウム等のアミノカルボン酸塩、N,N−ジメチルドデシルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシドからなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0012】
従来から免疫クロマトグラフィー法では、サンプル液や抗原液が検査器具内をスムーズに移動できるように陰イオン界面活性剤を使用することがよくある。しかし、本発明に係る歯周病原細菌の同定・定量を行うための唾液の前処理液に使用される界面活性剤は、実験の結果から非イオン性界面活性剤及び/または両性界面活性剤である必要があり、ラウリル硫酸ナトリウムやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤では、抗体による抗原検出を行うことができない。
【0013】
本発明に係る唾液の前処理液において、非イオン性界面活性剤及び/または両性界面活性剤は、唾液の前処理液に対して0.02〜25重量%の配合量になるように配合されることが好ましく、0.02重量%未満では抗原抗体反応による検出感度が低くなる傾向があり、25重量%を超えても抗原抗体反応による検出感度が低下し易いため好ましくない。
【0014】
本発明に係る唾液の前処理液に配合される、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カル
シウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、塩化アンモニウムからな
る群より選ばれる1種または2種以上の物質は、抗原ではない異物が抗体と反応して検出
されてしまう偽陽性を抑制する効果があり、免疫クロマトグラフィー法による検出をより
正確にする効果がある。その濃度は唾液の前処理液中に
0.25〜5mol/Lである。
0.25mol/L未満では偽陽性を抑える効果が少なく、5mol/Lを超えると抗原
抗体反応に影響が出て感度が低下してしまうため適さない。
【0015】
本発明に係る唾液の前処理液は、抗原である歯周病原細菌の多孔質膜中の移動を容易とするために、pH3〜8であることが必要である。pHが3未満であると偽陽性が強く現れ検出精度が低下してしまい、一方、pH8を超えると抗原の菌体表面に変性が生じてしまい、抗体による抗原検出ができなくなる。
【0016】
そのため、本発明に係る唾液の前処理液には、緩衝作用付与物質及び水を配合している。緩衝作用付与物質は、2以上の物質の組み合わせからなり、塩酸−塩化カリウム,塩酸−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン,塩酸−グリシン,グリシン−水酸化ナトリウム、クエン酸−リン二水素ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム,リン酸二水素ナトリウム−リン酸二水素ナトリウム,炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウム,酢酸−酢酸ナトリウム,酒石酸−酒石酸ナトリウム,酒石酸−トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が例示される。この群より選ばれる1種または2種以上が配合されることが好ましい。
【0017】
本発明に係る唾液の前処理液中の緩衝作用付与物質の濃度は、単位体積当たりの、緩衝作用付与物質として配合されるすべての物質の物質量の総和として定義され、前記pHの前提から唾液の前処理液中に0.01〜3mol/Lの範囲となることが好ましい。
【0018】
本発明に係る唾液の前処理液が対象としている歯周病原細菌は、具体的には、ポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテラ・インターメディア、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス、フゾバクテリウム・ヌクレアタム、トレポネーマ・デンティコーラ、タンネレラ・フォーサイシアからなる群より選ばれる1種または2種以上である。中でもポルフィロモナス・ジンジバリスに最も効果がある。
【0019】
以下、本発明に係る唾液の前処理液に関する実施例を示す。なお、本発明は、下記に記された唾液の前処理液に限定されるものではない。
【0020】
免疫クロマトグラフィー法による患者の唾液中のPg菌数を測定する試験を行った。具体的には、抗体反応の検出の有無を観察した。なお、同じ患者の唾液中のPg菌数をリアルタイムPCR法により予め計測し、9.72×10
5cells/mLであることを確認した。この値の菌数を検出することができれば、実際の免疫クロマトグラフィー法による検査においても検出することが可能である。
【0021】
免疫クロマトグラフィー法による試験は公知の方法により行った。多孔質膜としてニトロセルロースメンブレン(商品名:SXHF、日本ミリポア社製)を5mm×25mmの長方形に切り出したものを使用した。この多孔質膜に、抗Pg菌抗体と、前記抗Pg菌抗体とは異なる別の抗Pg菌抗体を粒径40nmの金コロイド(British Biocell International社製)で標識化したものを塗布した。唾液250μLを以下に示す方法で作製した唾液の前処理液で処理し試験を行った。
<実施例1>
【0022】
0.1mol/Lクエン酸29.4mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム20.6mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0023】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH4.2の唾液の前処理液を作製した。
【0024】
唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例2>
【0025】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0026】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0027】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例3>
【0028】
0.1mol/Lクエン酸19.7mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム30.3mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0029】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.8の唾液の前処理液を作製した。
【0030】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例4>
【0031】
0.1mol/Lクエン酸6.5mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム43.6mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0032】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH7の唾液の前処理液を作製した。
【0033】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例5>
【0034】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が1mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0035】
両性界面活性剤としてCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0036】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例6>
【0037】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が2mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0038】
非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0039】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例7>
【0040】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が3mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0041】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0042】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例8>
【0043】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化ナトリウム濃度が4mol/Lとなるように塩化ナトリウムを添加しA液とした。
【0044】
両性界面活性剤としてCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0045】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
体反応は確認された。
<実施例9>
【0046】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0047】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0048】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例10>
【0049】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0050】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し20重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0051】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例11>
【0052】
0.1mol/L酢酸4.8mLと0.1mol/L酢酸ナトリウム45.2mLを混合し、酢酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0053】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.6の唾液の前処理液を作製した。
【0054】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例12>
【0055】
0.1mol/L酢酸4.8mLと0.1mol/L酢酸ナトリウム45.2mLを混合し、酢酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0056】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.6の唾液の前処理液を作製した。
【0057】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例13>
【0058】
0.2mol/Lリン酸二水素ナトリウム92mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム8mLを合わせ、リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0059】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5.8の唾液の前処理液を作製した。
【0060】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例14>
【0061】
0.1mol/Lトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン水溶液50mLと0.1mol/L塩酸44.2mLを合わせ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0062】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH7.2の唾液の前処理液を作製した。
【0063】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例15>
【0064】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mL合わせ、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化カリウム濃度が1mol/Lとなるように塩化カリウムを添加しA液とした。
【0065】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0066】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例16>
【0067】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化マグネシウム濃度が1mol/Lとなるように塩化マグネシウムを添加しA液とした。
【0068】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し20重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0069】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例17>
【0070】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に硫酸マグネシウム濃度が0.5mol/Lとなるように硫酸マグネシウムを添加しA液とした。
【0071】
非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0072】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<実施例18>
【0073】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に硫酸マグネシウム濃度が1mol/Lとなるように硫酸マグネシウムを添加しA液とした。
【0074】
両性界面活性剤としてCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナートを水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0075】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。多孔質膜の目詰まりはなく、抗体反応は明確に確認できた。
<比較例1>
【0076】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液に塩化マグネシウム濃度が1mol/Lとなるように塩化マグネシウムを添加しA液とした。
【0077】
陰イオン界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム5重量%を水に添加しB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0078】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。抗体反応は全く確認できなかった。
<比較例2>
【0079】
0.2mol/L塩化カリウム50mLと0.2mol/L塩酸6.7mLとを混合し、塩酸−塩酸カリウムバッファを作製した。
この緩衝液に塩化アンモニウム濃度が0.5mol/Lとなるように塩化アンモニウムを添加しA液とした。
【0080】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し5重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH2.2の唾液の前処理液を作製した。
【0081】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。抗体反応は全く確認できなかった。
<比較例3>
【0082】
0.1mol/Lクエン酸24.3mLと0.2mol/Lリン酸水素二ナトリウム25.7mLを混合し、クエン酸リン酸バッファを作製した。
この緩衝液にリン酸カルシウム濃度が0.5mol/Lとなるようにリン酸カルシウムを添加しA液とした。
【0083】
非イオン性界面活性剤としてポリエチレングリコールモノオクチルフェニルエーテル(和光純薬社製)を水に添加し10重量%の水溶液としたものをB液とした。
A液とB液を等量混ぜ合わせpH5の唾液の前処理液を作製した。
【0084】
実施例1と同じ患者の唾液250μLに唾液の前処理液を100μL加えて混合したものを実施例1と同様の免疫クロマトグラフィー法を用いて試験を行った。抗体反応は全く確認できなかった。