(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明をする。
図1は、本発明の実施形態に係る電動モータ装置1を示す平面図である。
図1は、後述するハウジングカバーを取り外した状態を示す。
【0018】
電動モータ装置(ワイパ駆動用電動モータ装置)1は、例えば、リヤワイパ(不図示)等のワイパアームを回動させるリヤワイパ駆動用電動モータ装置として用いられる。電動モータ装置1は、車両のバックドアに設けられる。電動モータ装置1の出力軸60には、車両のリヤウインドガラスを払拭するリヤワイパ(ワイパアーム)90が取り付けられる。
【0019】
電動モータ装置1は、電動モータ部10、ハウジング20、伝達機構50、出力軸60等を備える。
電動モータ部10は、リヤワイパを揺動させる駆動源である。ハウジング20は、伝達機構50を収容すると共に、電動モータ部10及び出力軸60を支持する。伝達機構50は、電動モータ部10に接続されて、電動モータ部10の回転力を伝達する。出力軸60は、伝達機構50に連結されて、電動モータ部10の回転力をリヤワイパに伝達する。
【0020】
(電動モータ部)
電動モータ部10は、ブラシを用いて電力を給電する、いわゆるブラシ付モータである。
電動モータ部10は、有底筒状のモータハウジング11、モータハウジング11の内側に回転自在に配置されたアーマチュア(不図示)等を備える。
モータハウジング11は、鉄等の金属からなる部材であって、例えば深絞りによるプレス加工等により成型される。モータハウジング11の内周面には、複数のマグネットが接着剤等により取り付けられる。
【0021】
モータハウジング11の開口端には、フランジ12が形成される。フランジ12の取付孔(不図示)に挿通されたボルトにより、モータハウジング11がハウジング20に固定される。
【0022】
アーマチュアは、モータシャフト13等を有する。モータシャフト13は、鉄等の金属からなる棒状部材である。モータシャフト13の一端(不図示)は、モータハウジング11の底部に支持される。モータシャフト13の先端は、滑り軸受(第三軸受)22を介してハウジング20に対して回転自在に支持される。
【0023】
(ハウジング)
ハウジング20は、例えばアルミニウム等からなる部材である。ハウジング20は、アルミダイキャストにより形成される。ハウジング20は、モータ取付部21、伝達機構収納部23、スリーブ30を有し、これらが一体的に形成される。
【0024】
モータ取付部21には、電動モータ部10が装着される。モータ取付部21と伝達機構収納部23とは、貫通孔(不図示)を介して連通する。この貫通孔には、モータシャフト13(ウォームシャフト52)が挿通される。
モータ取付部21には、電動モータ部10に給電するためのコネクタ部材70が組み付けられる。コネクタ部材70には、バッテリ等の電源(不図示)から延出されたハーネス(不図示)が接続される。これにより、電動モータ部10に給電される。
【0025】
モータ取付部21には、滑り軸受22が形成される。滑り軸受22は、切削加工により形成される。滑り軸受22は、モータ取付部21と伝達機構収納部23を連通する貫通孔と同軸上に配置される。
【0026】
伝達機構収納部23は、一面が開口した有底箱形の部位であり、伝達機構50を収容する。伝達機構50は、伝達機構収納部23の底面23sに配置される。伝達機構収納部23の開口には、板形のハウジングカバー(不図示)が装着されて、伝達機構収納部23の内部空間を閉塞する。
スリーブ30は、伝達機構収納部23の外面から立設する円筒形の部位である。スリーブ30は、出力軸60の基端部62を回転可能に支持する。
【0027】
(伝達機構)
伝達機構50は、モータシャフト13の先端に形成されたウォームシャフト52、ウォームシャフト52に噛み合うウォームホイール54、ウォームホイール54に接続された第一連結プレート56、第一連結プレート56に接続された第二連結プレート58により構成される。
【0028】
ウォームシャフト52は、モータシャフト13の先端に形成された軸形のねじ歯車である。ウォームシャフト52は、モータシャフト13と一体的に形成される。
ウォームシャフト52の基端は、ハウジング20に取り付けられた滑り軸受22を介してハウジング20に対して回転可能に支持される。
【0029】
ウォームシャフト(軸部)52は、ハウジング20に対して片持ち支持される。ウォームシャフト52の先端52tは、自由端であり、ハウジング20に対して非接触である。
【0030】
ウォームホイール54は、はす歯歯車であって、伝達機構収納部23の底面23sに立設された中心軸(不図示)により回転可能に支持される。ウォームホイール54は、ウォームシャフト52に噛み合って、電動モータ部10の回転力がウォームシャフト52からウォームホイール54へと伝達される。
電動モータ部10のモータシャフト13の回転速度は、ウォームシャフト52とウォームホイール54とにより減速される。ウォームシャフト52とウォームホイール54とにより、大きな減速比が得られる。また、他の歯車機構に比べてバックラッシュも小さい。ウォームシャフト52の回転によりウォームホイール54が回転するが、その逆は不可能である。
【0031】
第一連結プレート56は、長尺の平板形に形成された部材である。第一連結プレート56の一端側は、ウォームホイール54の側面(上面)に設けられた連結軸55に回動可能に接続(支持)される。
第一連結プレート56の他端側は、第二連結プレート58の一端側に回動可能に接続(支持)される。
【0032】
第二連結プレート58は、第一連結プレート56よりも短い平板形に形成された部材である。第二連結プレート58の一方側は、第一連結プレート56の他端側に回動可能に接続(支持)される。第二連結プレート58の他端側は、出力軸60に接続される。第二連結プレート58と出力軸60とは、相対回転ができないように接続される。
出力軸60が後述する滑り軸受(第一軸受)32を介して、ハウジング20(スリーブ30)に対して回転可能に支持されることにより、第二連結プレート58の他端側もハウジング20に対して回転可能に支持される。
【0033】
ウォームホイール54(連結軸55)、第一連結プレート56及び第二連結プレート58は、ハウジング20(伝達機構収納部23)も含めて四節リンク機構を構成する。
連結軸55は、ウォームホイール54の回転により、ウォームホイール54の周方向に沿って回転移動する。この連結軸55の回転移動により、連結軸55に連結された第一連結プレート56が、第二連結プレート58を揺動させる。これにより、第二連結プレート58に固定された出力軸60が回動(往復回動)する。
【0034】
(出力軸)
出力軸60は、例えば鉄等の金属により形成された棒状部材である。出力軸60は、ハウジング20(伝達機構収納部23)の外側に向かって突設される。
出力軸60の全長は、電動モータ装置1が搭載される車種によって適宜設定されるため、車種毎に異なる。
【0035】
出力軸60の基端部62は、ハウジング20のスリーブ30によって回転可能に支持される。スリーブ30には、長手方向に沿う中心穴31が形成される。この中心穴31は、ハウジング20の伝達機構収納部23に連通する。
出力軸60の基端は、伝達機構50に連結される。出力軸60の基端は、第二連結プレート58に接続される。出力軸60と第二連結プレート58は、例えばセレーションにより嵌合されており、相対回転が規制される。
出力軸60の先端には、ネジ部(不図示)が形成される。このネジ部には、リヤワイパがナット等により固定される。
出力軸60は、第二連結プレート58の揺動に対応して、往復回動する。出力軸60は、ウォームホイール54が一回転するごとに、一往復回動する。出力軸60の往復回動により、出力軸60に取り付けられたリヤワイパが揺動する。
【0036】
(スリーブ、樹脂製ブッシュ)
図2は、スリーブ30を示す図である。(a)は断面図、(b)は裏面図である。
図3は、樹脂製ブッシュ40の斜視図である。
図4は、樹脂製ブッシュ40の回り止め機構を示す図である。(a)は収容部33の窪部34、(b)は樹脂製ブッシュ40の突部43を示す。
【0037】
スリーブ30は、出力軸60の基端部62を回転可能に支持する。スリーブ30の中心穴31には、出力軸60の基端部62が収容される。
中心穴31のうち、スリーブ30の先端側の部位には、出力軸60の基端部62を滑り接触により支持する滑り軸受32が形成される。つまり、中心穴31の内周面の一部が出力軸60の外周面に直接接触して、出力軸60を回転可能に支持する。滑り軸受32は、中心穴31を切削加工することにより形成される。
【0038】
中心穴31のうち、スリーブ30の基端側の部位には、出力軸60の直径よりも大径の収容部33が形成される。収容部33は、スリーブ30の裏面(伝達機構収納部23の底面23s)に開口するように形成される。
収容部33には、樹脂製ブッシュ40が収容される。スリーブ30の裏面(伝達機構収納部23の底面23s)から収容部33に向けて樹脂製ブッシュ40を押し込むことにより、収容部33に樹脂製ブッシュ40が収容(装着)される。
【0039】
樹脂製ブッシュ(第二軸受)40は、合成樹脂からなる略円筒形の部材である。樹脂製ブッシュ40は、例えばPOM(ポリアセタール)等により形成される。POMの他に、PA(ポリアミド)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等により形成してもよい。
樹脂製ブッシュ40は、滑り軸受32と同様に、出力軸60の基端部62を滑り接触により支持する。樹脂製ブッシュ40の中心穴41の内周面が出力軸60の外周面に直接接触して、出力軸60を回転可能に支持する。
【0040】
このように、出力軸60の基端部62は、滑り軸受32と樹脂製ブッシュ40により支持される。滑り軸受32と樹脂製ブッシュ40は、出力軸60に加わる外力を受け止めて、出力軸60が傾かないように支持する。
【0041】
出力軸60の基端部62のうち、最も基端側は、樹脂製ブッシュ40により支持される。この樹脂製ブッシュ40は、滑り軸受32に比べて機械的強度が小さい。つまり、樹脂製ブッシュ40は、出力軸60に加わる外力に負けて変形する脆弱性を有する。
このため、リヤワイパに想定以上の強い外力が加わって、出力軸60の先端に軸方向に交差する力が作用する場合には、樹脂製ブッシュ40が変形する。
想定以上の強い外力は、車両の運転者等がリヤワイパを揺動方向とは逆方向に押し付けたり、リヤワイパに付着した水分が凍ってリアウインドウに張り付いたりした場合に発生する。
【0042】
出力軸60の先端に軸方向に交差する強い力が作用する場合、言い換えれば出力軸60に強い曲げモーメントが作用した場合には、出力軸60の基端部62の最も基端側を支持する樹脂製ブッシュ40が変形する。このため、出力軸60は、滑り軸受32を起点にしてわずかに傾くことができる。
このように、出力軸60の基端部62の最も基端側を、脆弱性を有する樹脂製ブッシュ40で支持することにより、出力軸60に想定以上の強い外力が加わった際に出力軸60が滑り軸受32にかじりつくという不具合を防止できる。かじりとは、出力軸60と滑り軸受32が摩擦熱によって溶着することをいう。
出力軸60は、強い曲げモーメントが作用して傾いたとしても、樹脂製ブッシュ40を変形させながら、滑り軸受32にかじりつくことなく回転し続けることができる。
【0043】
従来の電動モータ装置においては、出力軸に強い曲げモーメントが作用した場合であっても、出力軸が傾かない様にしている。スリーブの中心穴のほぼ全域に滑り軸受を形成し、強い曲げモーメントを受け止めている。これにより、出力軸が滑り軸受にかじりつくという不具合を防止している。このため、出力軸の全長が長くなるほど、スリーブ(滑り軸受)の全長も長くする必要がある。
しかし、スリーブが長くなるほど、スリーブを成型する金型の型抜き作業や滑り軸受の切削加工が困難になる。また、車種毎に、長さの異なるスリーブを用いる必要がある。つまり、車種毎に異なるハウジングを用意する必要があるので、製造効率の低下、コスト上昇を招いている。
【0044】
これに対して、電動モータ装置1は、出力軸60に強い曲げモーメントが作用した場合に、出力軸60のわずかな傾きを許容する。出力軸60の基端部62の一部を支持する樹脂製ブッシュ40が変形することにより、出力軸60が滑り軸受32にかじりつくという不具合を防止している。このため、出力軸60の全長が長くなったとしても、スリーブ30(滑り軸受32)の全長を長くする必要がない。
したがって、スリーブ30を成型する金型の型抜き作業や滑り軸受32の切削加工を容易にすることができる。また、車種毎に出力軸60の長さが異なったとしても、スリーブ30の長さが同一であるため、複数種類のハウジング20を用意する必要はない。よって、製造効率の向上、コスト低減が図られる。
【0045】
樹脂製ブッシュ40の中心穴41の内周面には、グリース等の潤滑材を保持する潤滑溝42が形成される。これにより、出力軸60を長期間にわたって円滑に回転させることができる。
【0046】
樹脂製ブッシュ40の一方の端部には、径方向に突出する4つの突部43が一体的に形成される。4つの突部43は、90°間隔に配置される。一方、収容部33には、樹脂製ブッシュ40の4つ突部43に対応する2つの窪部34が、スリーブ30の裏面(伝達機構収納部23の底面23s)に形成される。2つ突部43に対して1つの窪部34が対応する。
収容部33に樹脂製ブッシュ40に収容したとき、4つの突部43が4つの窪部34に一体一に嵌まり込む。これにより、樹脂製ブッシュ40は、スリーブ30に対して軸方向周りに回転できなくなる。つまり、樹脂製ブッシュ40の4つ突部43と収容部33の4つの窪部34とにより、樹脂製ブッシュ40の回り止め機構が構成される。
【0047】
(シャフト当接部)
図5は、シャフト当接部25を示す図である。(a)は平面図、(b)は断面図である。
ハウジング20の伝達機構収納部23には、電動モータ部10に接続されたウォームシャフト52が収容される。ウォームシャフト52の基端(モータシャフト13の先端)は、ハウジング20に取り付けられた滑り軸受22により支持される。一方、ウォームシャフト52の先端52tは、軸受等に支持されない自由端である。
つまり、ウォームシャフト52は、滑り軸受22のみにより支持される片持ち支持構造である。
【0048】
ウォームシャフト52の先端52tの側方には、伝達機構収納部23の底面23sから立設するシャフト当接部25が設けられる。シャフト当接部(軸当接部)25は、ウォームシャフト52に対して、ウォームホイール54とは反対側の側方に設けられる。
このシャフト当接部25は、ウォームシャフト52の先端52tに対して、数ミリメートル程度離間した位置に配置される。シャフト当接部25は、ウォームシャフト52の先端52tに対して近接するが、非接触である。
【0049】
ウォームシャフト52からウォームホイール54に対して電動モータ部10の回転力が伝達される際に、ウォームシャフト52が滑り軸受22により支持された部位を起点にしてウォームホイール54とは反対側に撓むときがある。
このように、ウォームシャフト52が撓んだときに、ウォームシャフト52の先端52tがシャフト当接部25に当接する。これにより、ウォームシャフト52が撓んだ際に、塑性変形したり、亀裂が発生したりすることが防止される。
【0050】
このような不具合を防止するためには、ウォームシャフト52の先端52tも軸受で支持する両持ち支持構造を採用することが考えられる。
しかし、ウォームシャフト52の先端52tを支持する軸受(すべり軸受)をハウジング20に形成するためには、手間のかかる機械加工が必要になる。
【0051】
ウォームシャフト52を支持する軸受をハウジング20(伝達機構収納部23)に形成するためには、ハウジング20に穴加工を施す必要がある。
滑り軸受22は、モータ取付部21に形成されるため、その穴加工は容易である。
一方、ウォームシャフト52の先端52tを支持する軸受を形成する穴加工は、モータ取付部21と伝達機構収納部23を連通する貫通孔から切削工具を挿入して、さらに先にある壁面等を加工するものである。このように、細長い切削工具で狭くて奥にある部位を加工する必要があるため、難易度が高く、手間がかかる機械加工となる。
【0052】
そこで、電動モータ装置1では、伝達機構収納部23の底面23sから立設するシャフト当接部25が設けることにより、難易度が高く、手間がかかる切削加工(穴加工)を省いている。
ウォームシャフト52は、滑り軸受22により十分に支持されるので、ウォームシャフト52が撓む頻度は少ない。このため、シャフト当接部25を設けることにより、ウォームシャフト52の塑性変形や亀裂発生等の不具合を防止できる。
【0053】
シャフト当接部25は、ハウジング20の伝達機構収納部23の型抜き方向に沿って立設形成される。伝達機構収納部23を成型する金型(不図示)を引き抜く方向に沿って立設形成される。つまり、シャフト当接部25は、伝達機構収納部23の底面23sから開口方向に垂直に立設形成される。このため、シャフト当接部25は、コスト上昇を招くことなく形成される。
【0054】
以上説明したように、電動モータ装置1は、出力軸60を回転可能に支持するスリーブ30に滑り軸受32と樹脂製ブッシュ40を備える。これにより、出力軸60に強い曲げモーメントが作用した場合に、樹脂製ブッシュ40が変形するので、出力軸60が滑り軸受32にかじりつくという不具合を防止できる。
【0055】
電動モータ装置1は、樹脂製ブッシュ40が変形した際の出力軸60のわずかな傾きを許容するので、出力軸60の全長が長い場合であっても、スリーブ30(滑り軸受32)の全長を長くする必要がない。つまり、電動モータ装置1のスリーブ30は、様々な長さの出力軸60を支持できる。
このため、スリーブ30を成型する金型の型抜き作業や滑り軸受32の切削加工を容易にすることができる。また、スリーブ30の長さが同一であるため、複数種類のハウジング20を用意する必要はなく、製造効率の向上、コスト低減が図られる。
【0056】
また、電動モータ装置1は、伝達機構収納部23において片持ち支持されるウォームシャフト52に対して、近接するシャフト当接部25を備える。ウォームシャフト52が撓んだときに、ウォームシャフト52の先端52tがシャフト当接部25に当接することにより、ウォームシャフト52の塑性変形や亀裂発生等の不具合を防止できる。
【0057】
(シャフト当接部の変形例)
図6は、シャフト当接部の第一変形例(シャフト当接部26)を示す図である。
図7は、シャフト当接部の第二変形例(シャフト当接部27)を示す図である。
図8は、シャフト当接部の第三変形例(シャフト当接部28)を示す図である。
シャフト当接部25に代えて、シャフト当接部26〜28のいずれか一つを用いてもよい。
【0058】
シャフト当接部(軸当接部)26は、ウォームシャフト52に対して、ウォームホイール54と同一側の側方に設けられる。
ウォームシャフト52が滑り軸受22により支持された部位を起点にしてウォームホイール54に近づくように撓むときがある。シャフト当接部26は、このような場合に備えるものである。
【0059】
シャフト当接部(軸当接部)27は、ウォームシャフト52に対して、ウォームホイール54と同一側と反対側の両方側方にそれぞれ設けられる。
ウォームシャフト52は、滑り軸受22により支持された部位を起点にしてウォームホイール54に近づく方向及び離れる方向にそれぞれに撓むときがある。シャフト当接部27は、このような場合に備えるものである。
【0060】
シャフト当接部(軸当接部)28は、ウォームシャフト52に対して、ウォームホイール54と同一側と反対側の両方側方にそれぞれ設けられる。さらに、伝達機構収納部23の底面23sも、ウォームシャフト52の先端52tに近接するように形成される。つまり、シャフト当接部28は、ウォームシャフト52の先端52tを三方向から取り囲む形状(半円凹形)に形成される。
ウォームシャフト52は、滑り軸受22により支持された部位を起点にしてウォームホイール54に近づく方向及び離れる方向、さらに上下方向にも撓むときがある。シャフト当接部27は、このような場合に備えるものである。
【0061】
(伝達機構の変形例)
図9は、伝達機構の変形例(伝達機構150)を示す図である。
伝達機構50に代えて、伝達機構150を用いてもよい。
【0062】
伝達機構150は,ウォームシャフト52と、ウォームホイール54、ウォームホイール54に接続された動力伝達部材156、動力伝達部材156に接続された連結プレート157、連結プレート157に接続された第二セクタギヤ158により構成される。
【0063】
動力伝達部材156は、平板状の金属により形成されており、長尺形状のプレート部156bと、プレート部156bに一体形成された扇形状の第一セクタギヤ部156cと、を備える。
プレート部156bの端部156eは、ウォームホイール54の側面(上面)に設けられた連結軸55に回動可能に接続(支持)される。
動力伝達部材156の第一セクタギヤ部156cは、第二セクタギヤ158に噛合される。
【0064】
第二セクタギヤ158は扇形状をしており、ウォームホイール54の外側に配置される。第二セクタギヤ158の回動中心には、出力軸60が固定される。
【0065】
第一セクタギヤ部156cの回動中心には、セクタギヤ軸156dが取り付けられる。セクタギヤ軸156dと出力軸60との間には、長尺板状の連結プレート157が配置される。
セクタギヤ軸156dと出力軸60との間に連結プレート157が配置されることにより、セクタギヤ軸156dと出力軸60との距離が一定に保たれる。
【0066】
連結軸55は、ウォームホイール54の回転によりウォームホイール54の周方向に沿って回転移動する。この連結軸55の回転移動により、互いに回転可能に連結されている動力伝達部材156および連結プレート157は揺動する。この揺動は、連結軸55の回転移動により、動力伝達部材156と連結プレート157の相対的角度が増大および減少するように連続的に繰り返される。連結軸55(ウォームホイール54)が一回転すると、動力伝達部材156と連結プレート157の相対的角度が増大および減少する一連の運動が一回行われる。
【0067】
動力伝達部材156および連結プレート157の揺動により、動力伝達部材156の第一セクタギヤ部156cは、セクタギヤ軸156dを中心に回動する。そして、第一セクタギヤ部156cの回動により、第一セクタギヤ部156cに噛合された第二セクタギヤ158および出力軸60が回動する。
出力軸60は、ウォームホイール54(連結軸55)が一回転することにより一往復回動する。
【0068】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0069】
ハウジング20は、伝達機構収納部23とスリーブ30を一体的に形成した場合に限らない。伝達機構収納部23とスリーブ30を別個に形成して接続する場合であってもよい。
【0070】
第二軸受として樹脂製ブッシュ40を用いる場合について説明したが、これに限らない。第二軸受として金や銀等で形成したブッシュ(軸受)を用いてもよい。
第二軸受は、第一軸受よりも機械的強度が弱い材料により形成されていればよい。したがって、第一軸受が鉄で形成される場合には、第二軸受として、銅、アルミニウム、金、銀及び樹脂等により形成したブッシュ(軸受)を用いることができる。
【0071】
樹脂製ブッシュ40の突部43が4つ、収容部33の窪部34が2つの場合について説明したが、これに限らない。収容部33に対して樹脂製ブッシュ40が回転できない構造であれば、突部43や窪部34の数は任意に設定できる。
【0072】
ウォームシャフト52とウォームホイール54が逆回転できない場合(セルフロック機能を有する場合)について説明したが、これに限らない。ウォームシャフト52とウォームホイール54が逆回転できる場合(セルフロック機能を有しない場合)であってもよい。