(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載の構成では、マグネットの周辺にフレキシブル配線を所定の条件で配置するスペースや、マグネットの回転中心軸線の周りに同心状の配線パターンを備えた基板を設けるスペースを必要とするという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、マグネットの周辺に大きなスペースを確保しなくても、感磁センサからの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズの影響を緩和することのできる磁気センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る磁気センサ装置は、回転体側に設けられ、回転中心軸線周りにN極およびS極が設けられたマグネットと、固定体側で前記マグネットに対向する感磁センサと、該感磁センサからの出力信号を増幅するアンプ部を備えた半導体装置と、一方面側に前記感磁センサが実装され、他方面側に前記半導体装置が実装された両面基板と、を有し、前記感磁センサと前記半導体装置とは、少なくとも一部同士が前記両面基板の厚さ方向において重なる位置に配置され、前記感磁センサと前記半導体装置とは、前記両面基板において前記感磁センサおよび前記半導体装置の少なくとも一方に前記両面基板の厚さ方向で重なる位置に形成された複数のスルーホールを介して電気的に接続されて
おり、前記感磁センサは、前記マグネットの回転中心軸線上に設けられ、前記両面基板は、厚さ方向を前記マグネットの回転中心軸線方向に向けて配置され、前記両面基板では、前記一方面側で前記感磁センサの第1出力端子が電気的に接続される感磁センサ用第1ランドと、前記一方面側で前記感磁センサにおいて前記第1出力端子と対を成す第2出力端子が電気的に接続される感磁センサ用第2ランドとを結ぶ仮想線が延在する方向において、前記他方面側で前記感磁センサ用第1ランドに電気的に接続する半導体装置用第1ランドに対して前記他方面側で前記感磁センサ用第2ランドに電気的に接続する半
導体装置用第2ランドが位置する方向は、前記感磁センサ用第1ランドに対して前記感磁センサ用第2ランドが位置する方向と反対であることを特徴とする。
【0007】
本発明では、一方面側に感磁センサが実装され、他方面側に半導体装置が実装された両面基板を用い、感磁センサと半導体装置とは、両面基板のスルーホールを介して電気的に接続されている。このため、マグネットの周辺に大きなスペースを確保しなくてよい。また、感磁センサと半導体装置とは、少なくとも一部同士が両面基板の厚さ方向において重なる位置に配置され、かつ、スルーホールは、感磁センサおよび半導体装置の少なくとも一方と重なる位置に形成されている。従って、感磁センサからの出力の伝送経路が短いため、感磁センサからの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さく、誘導ノイズの影響を緩和することができる。
【0008】
また、本発明において、前記感磁センサは、前記マグネットの回転中心軸線上に設けられ、前記両面基板は、厚さ方向を前記マグネットの回転中心軸線方向に向けて配置されている
。このため、両面基板に形成されている配線のループが磁束と鎖交する分が少ないので、感磁センサからの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さい。
さらに、本発明において、前記感磁センサ用第1ランドと前記感磁センサ用第2ランドとを結ぶ仮想線が延在する方向において、前記半導体装置用第1ランドに対して前記半導体装置用第2ランドが位置する方向は、前記感磁センサ用第1ランドに対して前記感磁センサ用第2ランドが位置する方向と反対である。このため、回路基板の構成を変更するだけで、感磁センサから半導体装置に向かうループの向きを途中で逆転させることができる。従って、誘導電圧の極性を途中で反転させて互いに相殺させることができるので、誘導ノイズの影響を緩和することができる。なお、本発明において、「第1出力端子と対を成す第2出力端子」における「対をなす」とは、第1出力端子から出力される信号と第2出力端子から出力される信号とによって1つの信号を生成することを意味し、例えば、+A相の信号を出力する第1出力端子と−A相の信号を出力する第2出力端子との関係、および+B相の信号を出力する第1出力端子と−B相の信号を出力する第2出力端子との関係を意味する。
【0009】
本発明において、前記感磁センサの中心、および前記半導体装置の中心が前記回転中心軸線上に位置することが好ましい。かかる構成によれば、感磁センサからの出力の伝送経路を回転中心軸線近傍に配置することができるので、誘導ノイズを低減することができる。
【0010】
本発明において、前記マグネットは、NS一極対に着磁されている構成を採用することができる。
【0011】
本発明において、前記複数のスルーホールは、前記感磁センサおよび前記半導体装置の双方に前記両面基板の厚さ方向で重なる位置に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、感磁センサからの出力の伝送経路が短いため、感磁センサからの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さく、誘導ノイズの影響を緩和することができる。
【0013】
本発明では、前記感磁センサにおいて、感磁膜が形成された感磁センサ側チップと前記第1出力端子との間の感磁センサ側第1配線および前記感磁センサ側チップと前記第2出力端子との間の感磁センサ側第2配線が前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第1誘導電圧、
前記複数のスルーホールのうち、前記第1出力端子に対応する第1スルーホールおよび前記第2出力端子に対応する第2スルーホールが前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第2誘導電圧、
および前記半導体装置において、前記アンプ部が形成されたアンプ側チップと前記第1出力端子に電気的に接続する第1入力端子との間のアンプ側第1配線、および前記アンプ側チップと前記第2出力端子に電気的に接続する第2入力端子との間のアンプ側第2配線が前記マグネットの磁束と鎖交することにより発生する第3誘導電圧は、
いずれか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すように形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、誘導電圧同士を互いに相殺させるので、誘導ノイズの影響を緩和することができる。
【0014】
本発明において、前記回転中心軸線方向からみたとき、前記半導体装置用第1ランドと前記半導体装置用第2ランドとを結ぶ仮想線に対して、前記第1スルーホールと前記第2スルーホールとを結ぶ仮想線、および前記感磁センサ用第1ランドと前記感磁センサ用第2ランドとを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一方の仮想線が平行に延在している構造、または、前記感磁センサ用第1ランドと前記感磁センサ用第2ランドとを結ぶ仮想線に対して、前記第1スルーホールと前記第2スルーホールとを結ぶ仮想線、および前記半導体装置用第1ランドと前記半導体装置用第2ランドとを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一方の仮想線が、平行に延在している構造を有していることが好ましい。かかる構成によれば、第1誘導電圧、第2誘導電圧および第3誘導電圧のうちの少なくとも2つの誘導電圧の位相を合わせることができるので、誘導電圧同士を互いに相殺させるのに適している。
【0015】
本発明において、前記感磁センサは、前記マグネットの回転に伴って、90°の位相差を有する2相の信号を出力する構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、一方面側に感磁センサが実装され、他方面側に半導体装置が実装された両面基板を用い、感磁センサと半導体装置とは、両面基板のスルーホールを介して電気的に接続されている。このため、マグネットの周辺に大きなスペースを確保しなくてよい。また、感磁センサと半導体装置とは、少なくとも一部同士が両面基板の厚さ方向において重なる位置に配置され、かつ、スルーホールは、感磁センサおよび半導体装置の少なくとも一方と重なる位置に形成されている。従って、感磁センサからの出力の伝送経路が短いため、感磁センサからの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さく、誘導ノイズの影響を緩和することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したセンサ装置を説明する。
【0019】
図1は、本発明を適用した磁気センサ装置10(ロータリエンコーダ)の構成を示す説明図である。
図2は、本発明を適用した磁気センサ装置の電気的構成を示す説明図である。
図3は、本発明を適用した磁気センサ装置10の検出原理を示す説明図であり、
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、A相用の感磁膜の電気的な接続構造を示す説明図、B相用の感磁膜の電気的な接続構造を示す説明図、感磁センサ4から出力される信号の説明図、およびかかる信号と回転体2の角度位置(電気角)との関係を示す説明図である。
【0020】
図1に示すセンサ装置10は、固定体(図示せず)に対する回転体2の軸線周り(回転中心軸線L周り)の回転を磁気的に検出する装置であり、固定体は、モータ装置のフレーム等に固定され、回転体2は、モータ装置の回転出力軸等に連結された状態で使用される。回転体2の側には、N極とS極とが周方向において1極ずつ着磁された着磁面21を回転中心軸線L方向の一方側に向けるマグネット20が保持されており、マグネット20は回転体2と一体に回転中心軸線L周りに回転する。
【0021】
図1および
図2に示すように、固定体の側には、マグネット20の着磁面21に対して回転中心軸線L方向の一方側で対向する感磁センサ4と、感磁センサ4からの出力を増幅するアンプ部90(アンプ部90(+A)、アンプ部90(−A)、アンプ部90(+B)、アンプ部90(−B))をチップ97(アンプ側チップ)内に備えた半導体装置9(アンプIC)とが設けられている。本形態では、半導体装置9に対しては、アンプ部90(アンプ部90(+A)、90(−A)、90(+B)、90(−B))からの出力をA/D変換するとともに、A/D変換後の信号に基づいて、回転体2の回転角度位置や回転速度等を検出する信号処理部99が設けられている。かかる信号処理部99は、半導体装置9に内蔵されることもある。また、磁気センサ装置10は、マグネット20に対向する位置に、第1ホール素子61と、第1ホール素子61に対して周方向において機械角で90°ずれた箇所に位置する第2ホール素子62とを備えており、半導体装置9の内部あるいは半導体装置9の外部には、第1ホール素子61に対するアンプ部95や、第2ホール素子62に対するアンプ部96が設けられている。
【0022】
感磁センサ4は、センサICとして構成されており、チップ40(感磁センサ側チップ)内に、素子基板45と、マグネット20の位相に対して互いに90°の位相差を有する2相の感磁膜(A相(SIN)の感磁膜、およびB相(COS)の感磁膜)とを備えた磁気抵抗素子である。かかる感磁センサ4において、A相の感磁膜は、180°の位相差をもって回転体2の移動検出を行う+A相(SIN+)の感磁膜43、および−A相(SIN-)の感磁膜41を備えており、B相の感磁膜は、180°の位相差をもって回転体2の移動検出を行う+B相(COS+)の感磁膜44、および−B相(COS-)の感磁膜42を備えている。
【0023】
+A相の感磁膜43および−A相の感磁膜41は、
図3(a)に示すブリッジ回路を構成しており、一方端が電源端子48(Vcc)に接続され、他方端がグランド端子48(GND)に接続されている。+A相の感磁膜43の中点位置には、+A相が出力される出力端子48(+A)が設けられ、−A相の感磁膜41の中点位置には、−A相が出力される出力端子48(−A)が設けられている。また、+B相の感磁膜44および−B相の感磁膜42も、+A相の感磁膜44および−A相の感磁膜41と同様、
図3(b)に示すブリッジ回路を構成しており、一方端が電源端子48(Vcc)に接続され、他方端がグランド端子48(GND)に接続されている。+B相の感磁膜44の中点位置には、+B相が出力される出力端子48(+B)が設けられ、−B相の感磁膜42の中点位置には、−B相が出力される出力端子48(−B)が設けられている。
【0024】
かかる構成の感磁センサ4は、
図1に示すように、マグネット20の回転中心軸線L上に配置されており、マグネット20の着磁境界部分に回転軸線方向Lで対向している。このため、感磁センサ4の感磁膜41〜44は、各感磁膜41〜44の抵抗値の飽和感度領域以上の磁界強度で、着磁面21の面内方向で向きが変化する回転磁界を検出することができる。すなわち、着磁境界線部分では、各感磁膜41〜44の抵抗値の飽和感度領域以上の磁界強度で面内方向の向きが変化する回転磁界が発生する。ここで、飽和感度領域とは、一般的に、抵抗値変化量kが、磁界強度Hと近似的に「k∝H
2」の式で表すことができる領域以外の領域をいう。また、飽和感度領域以上の磁界強度で回転磁界(磁気ベクトルの回転)の方向を検出する際の原理は、感磁膜41〜44に通電した状態で、抵抗値が飽和する磁界強度を印加したとき、磁界と電流方向がなす角度θと、感磁膜41〜44の抵抗値Rとの間には、下式
R=R0−k×sin2θ
R0:無磁界中での抵抗値
k:抵抗値変化量(飽和感度領域以上のときは定数)
で示す関係があることを利用するものである。このような原理に基づいて回転磁界を検出すれば、角度θが変化すると抵抗値Rが正弦波に沿って変化するので、波形品質の高いA相出力およびB相出力を得ることができる。
【0025】
本形態の磁気センサ装置10においては、感磁センサ4から出力される正弦波信号sin、cosに補間処理や各種演算処理を行う信号処理を行う信号処理部99が設けられており、感磁センサ4、第1ホール素子61、および第2ホール素子62からの出力に基づいて、固定体に対する回転体2の回転角度位置が求められる。
【0026】
より具体的には、ロータリエンコーダにおいて、回転体2が1回転すると、感磁センサ4(磁気抵抗素子)からは、
図3(c)に示す正弦波信号sin、cosが2周期分、出力される。従って、正弦波信号sin、cosをアンプ部90(アンプ部90(+A)、90(−A)、90(+B)、90(−B))により増幅した後、信号処理部99において、
図3(d)に示すリサージュ図を求め、正弦波信号sin、cosからθ=tan
-1(sin/cos)を求めれば、回転出力軸の角度位置θが分かる。また、本形態では、マグネット20の中心からみて90°ずれた位置に第1ホール素子61および第2ホール素子62が配置されている。このため、第1ホール素子61および第2ホール素子62の出力の組合せにより、現在位置が正弦波信号sin、cosのいずれの区間に位置するかが分かる。従って、ロータリエンコーダは、感磁センサ4での検出結果、第1ホール素子61での検出結果、および第2ホール素子62での検出結果に基づいて回転体2の絶対角度位置情報を生成することができ、アブソリュート動作を行うことができる。
【0027】
(感磁センサ4からアンプ部90への信号経路の構成)
図4は、本発明を適用した磁気センサ装置10における感磁センサ4からアンプ部90への信号経路の説明図であり、
図4(a)、(b)は、両面基板5(回路基板)に対する感磁センサ4および半導体装置9の実装構造を示す説明図、および両面基板5(回路基板)の配線パターン等を示す説明図である。なお、
図4(b)には配線パターンのうち、本発明に関する配線パターンのみを示してある。また、
図4(b)では、両面基板5の一方面501に形成された配線パターンを実線で示し、両面基板5の他方面502に形成された配線パターンを一点鎖線で示してある。また、
図4(b)では、感磁センサ4を点線で示し、半導体装置9を二点鎖線で示してある。
【0028】
図2および
図4(a)に示すように、本形態の磁気センサ装置1において、感磁センサ4は、チップ40と、チップ40に電気的に接続された複数の出力端子48(+A)、48(−A)、48(+B)、48(−B)とを備えており、チップ40と出力端子48(+A)、48(−A)、48(+B)、48(−B)とは、感磁センサ側配線47(+A)、47(−A)、47(+B)、47(−B)によって電気的に接続されている。
【0029】
このような構成の感磁センサ4において、本発明における「第1出力端子」「第2出力端子」「感磁センサ側第1配線」および「感磁センサ側第2配線」は、以下のように対応する。
A相用
感磁センサ4の第1出力端子=出力端子48(+A)
感磁センサ4の第2出力端子=出力端子48(−A)
感磁センサ側第1配線=感磁センサ側配線47(+A)
感磁センサ側第2配線=感磁センサ側配線47(−A)
B相用
感磁センサ4の第1出力端子=出力端子48(+B)
感磁センサ4の第2出力端子=出力端子48(−B)
感磁センサ側第1配線=感磁センサ側配線47(+B)
感磁センサ側第2配線=感磁センサ側配線47(−B)
【0030】
また、半導体装置9は、アンプ部90(アンプ部90(+A)、90(−A)、90(+B)、90(−B))を備えたチップ97と、チップ97に電気的に接続された複数の入力端子98(+A)、98(−A)、98(+B)、98(−B)とを備えており、チップ97と入力端子98(+A)、98(−A)、98(+B)、98(−B)とは、アンプ側配線93(+A)、93(−A)、93(+B)、93(−B)によって電気的に接続されている。
【0031】
このような構成の半導体装置9において、本発明における「第1入力端子」「第2入力端子」「アンプ側第1配線」および「アンプ側第2配線」は、以下のように対応する。
A相用
半導体装置9の第1入力端子=入力端子98(+A)
半導体装置9の第2入力端子=入力端子98(−A)
アンプ側第1配線=アンプ側配線93(+A)
アンプ側第2配線=アンプ側配線93(−A)
B相用
半導体装置9の第1入力端子=入力端子98(+B)
半導体装置9の第2入力端子=入力端子98(−B)
アンプ側第1配線=アンプ側配線93(+B)
アンプ側第2配線=アンプ側配線93(−B)
【0032】
本形態では、感磁センサ4と半導体装置9とを電気的に接続するにあたって、両面基板5が用いられている。具体的には、両面基板5の一方面501側には感磁センサ4が実装され、他方面502側には半導体装置9が実装されており、両面基板5は、厚さ方向(矢印Tで示す方向)をマグネット20の回転中心軸線L方向に向けている。
【0033】
感磁センサ4と半導体装置9とは、少なくとも一部同士が両面基板5の厚さ方向において重なる位置に配置されている。また、感磁センサ4および半導体装置9は、一方を両面基板5の厚さ方向に平行投影した領域の内側に位置するように配置されている。本形態では、半導体装置9の平面サイズは、感磁センサ4の平面サイズより大であり、感磁センサ4は、半導体装置9を両面基板5の厚さ方向に平行投影した領域の内側に位置するように配置されている。なお、感磁センサ4の平面サイズが半導体装置9の平面サイズより大であることもあり、この場合、半導体装置9は、感磁センサ4を両面基板5の厚さ方向に平行投影した領域の内側に配置されることになる。ここで、両面基板5は、感磁センサ4の中心(チップ40)、および半導体装置9の中心(チップ97)が回転中心軸線L上に位置するように配置されている。
【0034】
このように構成したセンサ装置10において、感磁センサ4と半導体装置9とは、両面基板5に形成された複数のスルーホール50を介して電気的に接続されている。また、複数のスルーホール50は、感磁センサ4および半導体装置9の少なくとも一方と両面基板5の厚さ方向において重なる位置に形成されている。本形態において、複数のスルーホール50は、感磁センサ4と両面基板5の厚さ方向において重なる位置に形成されている。このため、複数のスルーホール50は、感磁センサ4および半導体装置9の双方と両面基板5の厚さ方向において重なる位置に形成されている。
【0035】
(両面基板5の詳細構成)
以下、
図2および
図4(a)、(b)を参照して、両面基板5のランドや配線等を説明する。両面基板5は、フェノール基板やガラス−エポキシ基板等の基板本体の一方面501に、感磁センサ4が実装される複数のランド51と、ランド51から延在する複数の配線52とが形成されており、複数の配線52の各々の先端部にスルーホール50が形成されている。
【0036】
本形態において、複数のランド51には、感磁センサ4の電源端子48(Vcc)が実装される電源端子用のランド51(Vcc)と、感磁センサ4のグランド端子48(GND)が実装されるグランド端子用のランド51(GND)とが含まれている。また、複数のランド51には、感磁センサ4の出力端子48(+A)が実装される+A相用のランド51(+A)と、感磁センサ4の出力端子48(−A)が実装される−A相用のランド51(−A)と、感磁センサ4の出力端子48(+B)が実装される+B相用のランド51(+B)と、感磁センサ4の出力端子48(−B)が実装される−B相用のランド51(−B)とが含まれている。
【0037】
複数の配線52には、感磁センサ4の電源端子48(Vcc)が電気的に接続される電源端子用の配線52(Vcc)と、感磁センサ4のグランド端子48(GND)が電気的に接続されるグランド端子用の配線52(GND)とが含まれている。また、複数の配線52には、感磁センサ4の出力端子48(+A)が電気的に接続される+A相用の配線52(+A)と、感磁センサ4の出力端子48(−A)が電気的に接続される−A相用の配線52(−A)と、感磁センサ4の出力端子48(+B)が電気的に接続される+B相用の配線52(+B)と、感磁センサ4の出力端子48(−B)が電気的に接続される−B相用の配線52(−B)とが含まれている。
【0038】
複数のスルーホール50には、感磁センサ4の電源端子48(Vcc)が電気的に接続される電源端子用のスルーホール50(Vcc)と、感磁センサ4のグランド端子48(GND)が電気的に接続されるグランド端子用のスルーホール50(GND)とが含まれている。また、複数のスルーホール50には、感磁センサ4の出力端子48(+A)が電気的に接続される+A相用のスルーホール50(+A)と、感磁センサ4の出力端子48(−A)が電気的に接続される−A相用のスルーホール50(−A)と、感磁センサ4の出力端子48(+B)が電気的に接続される+B相用のスルーホール50(+B)と、感磁センサ4の出力端子48(−B)が電気的に接続される−B相用のスルーホール50(−B)とが含まれている。
【0039】
また、両面基板5の他方面502には、半導体装置9が実装される複数のランド53と、ランド53から延在する複数の配線54とが形成されている。複数の配線54の先端部は、一対一の関係をもって、複数の配線52の各々の先端部に重なっており、かかる重なり部分にスルーホール50が形成されている。
【0040】
複数のランド53には、感磁センサ4の出力端子48(+A)に対応する+A相用のランド53(+A)と、感磁センサ4の出力端子48(−A)に対応する−A相用のランド53(−A)と、感磁センサ4の出力端子48(+B)に対応する+B相用のランド53(+B)と、感磁センサ4の出力端子48(−B)に対応する−B相用のランド53(−B)とが含まれている。かかるランド53のうち、ランド53(+A)には、半導体装置9のアンプ部90(+A)に電気的に接続する入力端子98(+A)が実装され、ランド53(−A)には、半導体装置9のアンプ部90(−A)に電気的に接続する入力端子98(−A)が実装され、ランド53(+B)には、半導体装置9のアンプ部90(+B)に電気的に接続する入力端子98(+B)が実装され、ランド53(−B)には、半導体装置9のアンプ部90(−B)に電気的に接続する入力端子98(−B)が実装されている。
【0041】
複数の配線54には、感磁センサ4の出力端子48(+A)に対応する+A相用の配線54(+A)と、感磁センサ4の出力端子48(−A)に対応する−A相用の配線54(−A)と、感磁センサ4の出力端子48(+B)に対応する+B相用の配線54(+B)と、感磁センサ4の出力端子48(−B)に対応する−B相用の配線54(−B)とが含まれている。かかる配線54のうち、配線54(+A)と配線52(+A)との重なり部分にはスルーホール50(+A)が形成され、配線54(−A)と配線52(−A)との重なり部分にはスルーホール50(−A)が形成され、配線54(+B)と配線52(+B)との重なり部分にはスルーホール50(+B)が形成され、配線54(−B)と配線52(−B)との重なり部分にはスルーホール50(−B)が形成されている。
【0042】
なお、両面基板5の他方面502では、感磁センサ4の電源端子48(Vcc)が接続されるランド55(Vcc)、および感磁センサ4のグランド端子48(GND)が接続されるランド55(GND)が、他のランド53から離間してスルーホール50(Vcc)、およびスルーホール50(GND)と重なる位置のみに形成されている。
【0043】
このように構成したセンサ装置10において、本発明における「感磁センサ用第1ランド」および「感磁センサ用第2ランド」は以下のように対応する。
A相用
感磁センサ用第1ランド=ランド51(+A)
感磁センサ用第2ランド=ランド51(−A)
B相用
感磁センサ用第1ランド=ランド51(+B)
感磁センサ用第2ランド=ランド51(−B)
【0044】
また、本発明における「第1スルーホール」および「第2スルーホール」は以下のように対応する。
A相用
第1スルーホール=スルーホール50(+A)
第2スルーホール=スルーホール50(−A)
B相用
第1スルーホール=スルーホール50(+B)
第2スルーホール=スルーホール50(−B)
【0045】
また、本発明における「半導体装置用第1ランド」および「半導体装置用第2ランド」は以下のように対応する。
A相用
半導体装置用第1ランド=ランド53(+A)
半導体装置用第2ランド=ランド53(−A)
B相用
半導体装置用第1ランド=ランド53(+B)
半導体装置用第2ランド=ランド53(−B)
【0046】
(A相における誘導電圧対策)
図5は、本発明を適用したセンサ装置10において誘導電圧を効果的に打ち消すための構成を示す説明図である。
【0047】
このように構成したセンサ装置10に用いた両面基板5において、一方面501側で感磁センサ4の第1出力端子(出力端子48(+A))が電気的に接続される感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と、一方面501側で感磁センサ4において第1出力端子(出力端子48(+A))と対を成す第2出力端子(出力端子48(−A))が電気的に接続される感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線が延在する方向において、他方面502側で感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))に電気的に接続する半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))に対して他方面502側で感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))に電気的に接続する半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))が位置する方向と反対である。
【0048】
より具体的には、両面基板5の他方面502で、+A相用の配線54(+A)は、スルーホール50(+A)からスルーホール50(−A)が位置する側に延在し、−A相用の配線54(−A)は、スルーホール50(−A)からスルーホール50(+A)が位置する側に延在している。このため、A相用において、感磁センサ4の感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と、感磁センサ4の感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線が延在する方向において、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))に対して半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))が位置する方向と反対である。すなわち、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、途中で位置が切り換わっている。
【0049】
従って、マグネット20が回転した際、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+A)、48(−A)との間の配線47(+A)、47(−A)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第1誘導電圧、スルーホール50(+A)、50(−A)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第2誘導電圧、および半導体装置9のチップ97と入力端子98(−A)、98(−A)との間の配線93(+A)、93(−A)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第3誘導電圧は、いずか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すことになる。本形態では、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、両面基板5の他方面502で位置が切り換わっているため、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消すことできる。
【0050】
また、回転中心軸線L方向からみたとき、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))とを結ぶ仮想線、第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線、および感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも2本の仮想線は、平行に延在している。このため、第1誘導電圧、第2誘導電圧および第3誘導電圧のうちの少なくとも2つの誘導電圧の位相を合わせることができるので、誘導電圧同士を互いに相殺させるのに適している。
【0051】
本形態では、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消す。このため、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線に対して、第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線、および感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一方の仮想線は、平行に延在している。より具体的には、A相では、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))とを結ぶ仮想線と、第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線とが平行に延在している。このため、第2誘導電圧と第3誘導電圧の位相を合わせることができるので、第3誘導電圧を第2誘導電圧によって低減することができる。なお、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線は、上記の仮想線に対して斜め方向に延在しているが、その傾きは30°以下である。それ故、第1誘導電圧と第3誘導電圧の位相を近づけることができるので、第3誘導電圧を第1誘導電圧によって低減することができる。
【0052】
特に本形態では、
図5に示すように、各ループの断面積と誘導電圧との大きさが比例することから、スルーホール50(+A)とスルーホール50(−A)との間隔を最適化し、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+A)、(−A)により区画される面積S4Aと、スルーホール50(+A)、50(−A)が区画する面積S50Aとの和が、半導体装置9のアンプ部90(+A)、90(−A)のチップ97と入力端子98(−A)、98(−A)とにより区画される面積S9Aと等しく設定されている。このため、伝送経路が途中で切り換わることにより、第3誘導電圧を第1誘導電圧および第2誘導電圧によって相殺することができる。それ故、誘導ノイズの発生を抑制することができる。
【0053】
(B相における誘導電圧対策)
また、B相に関しても、A相と同様な構成になっている。両面基板5において、一方面501側で感磁センサ4の第1出力端子(出力端子48(+B))が電気的に接続される感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と、一方面501側で感磁センサ4において第1出力端子(出力端子48(+B))と対を成す第2出力端子(出力端子48(−B))が電気的に接続される感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線が延在する方向において、他方面502側で感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))に電気的に接続する半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))に対して他方面502側で感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))に電気的に接続する半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))が位置する方向と反対である。
【0054】
より具体的には、両面基板5の他方面502で、+B相用の配線54(+B)は、スルーホール50(+B)からスルーホール50(−B)が位置する側に延在し、−B相用の配線54(−B)は、スルーホール50(−B)からスルーホール50(+B)が位置する側に延在している。このため、B相用において、感磁センサ4の感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と、感磁センサ4の感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線が延在する方向において、半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))に対して半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))が位置する方向は、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))に対して感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))が位置する方向と反対である。すなわち、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))への伝送経路とは、途中で位置が切り換わっている。
【0055】
従って、マグネット20が回転した際、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+B)、48(−B)との間の配線47(+B)、47(−B)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第1誘導電圧、スルーホール50(+B)、50(−B)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第2誘導電圧、および半導体装置9のチップ97と入力端子98(−B)、98(−B)との間の配線93(+B)、93(−B)がマグネット20の磁束と鎖交することにより発生する第3誘導電圧は、いずか1つの誘導電圧と他の2つの誘導電圧とが打ち消すことになる。本形態では、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、両面基板5の他方面502で位置が切り換わっているため、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消すことできる。
【0056】
また、回転中心軸線L方向からみたとき、半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))とを結ぶ仮想線、第1スルーホール(スルーホール50(+B))と第2スルーホール(スルーホール50(−B))とを結ぶ仮想線、および感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも2本の仮想線は、平行に延在している。このため、第1誘導電圧、第2誘導電圧および第3誘導電圧のうちの少なくとも2つの誘導電圧の位相を合わせることができるので、誘導電圧同士を互いに相殺させるのに適している。
【0057】
本形態では、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消す。このため、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線に対して、第1スルーホール(スルーホール50(+B))と第2スルーホール(スルーホール50(−B))とを結ぶ仮想線、および感磁センサ用第1ランド(ランド51(+B))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−B))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一方の仮想線は、平行に延在している。
【0058】
より具体的には、B相では、半導体装置用第1ランド(ランド53(+B))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−B))とを結ぶ仮想線と、第1スルーホール(スルーホール50(+B))と第2スルーホール(スルーホール50(−B))とを結ぶ仮想線とが平行に延在している。このため、第2誘導電圧と第3誘導電圧の位相を合わせることができるので、第3誘導電圧を第2誘導電圧によって低減することができる。また、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線は、上記の仮想線に対して平行に延在している。それ故、第1誘導電圧と第3誘導電圧の位相を近づけることができるので、第3誘導電圧を第1誘導電圧によって低減することができる。
【0059】
特に本形態では、
図5に示すように、各ループの断面積と誘導電圧との大きさが比例することから、スルーホール50(+B)とスルーホール50(−B)との間隔を最適化し、感磁センサ4においてチップ40と出力端子48(+B)、(−B)により区画される面積S4Bと、スルーホール50(+B)、50(−B)が区画する面積S50Bとの和が、半導体装置9のアンプ部90(+B)、90(−B)のチップ97と入力端子98(−B)、98(−B)とにより区画される面積S9Bと等しく設定されている。このため、伝送経路が途中で切り換わることにより、第3誘導電圧を第1誘導電圧および第2誘導電圧によって相殺することができる。それ故、誘導ノイズの発生を抑制することができる。
【0060】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のセンサ装置10では、一方面501側に感磁センサ4が実装され、他方面502側に半導体装置9が実装された両面基板5を用い、感磁センサ4と半導体装置9とは、両面基板5のスルーホール50を介して電気的に接続されている。このため、マグネット20の周辺に大きなスペースを確保しなくてよい。また、感磁センサ4と半導体装置9とは、少なくとも一部同士が両面基板5の厚さ方向において重なる位置に配置され、かつ、スルーホール50は、感磁センサ4および半導体装置9の少なくとも一方と重なる位置に形成されている。特に本形態において、スルーホール50は、感磁センサ4および半導体装置9の双方に両面基板5の厚さ方向で重なる位置に形成されている。このため、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路が短いため、磁束と鎖交する面積が狭い。従って、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導電圧が低い。それ故、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さいので、検出結果への誘導ノイズの影響を緩和することができる。
【0061】
また、感磁センサ4は、マグネット20の回転中心軸線上に設けられ、両面基板5は、厚さ方向をマグネット20の回転中心軸線方向に向けて配置されている。このため、
図4(a)に示すように、磁束は両面基板5に沿って形成される。従って、両面基板5に形成されている配線52、54のループが磁束と鎖交する分が少ないので、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導ノイズが小さい。
【0062】
また、感磁センサ4の中心、および半導体装置9の中心が回転中心軸線L上に位置する。このため、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路を回転中心軸線L近傍に配置することができる。従って、伝送経路と鎖交する磁束の時間的変化が小さいので、感磁センサ4からの出力の伝送経路で発生する誘導電圧が低い。それ故、誘導ノイズを低減することができる。
【0063】
また、本形態では、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路が+A相と−A相との間で位置が入れ替わり、感磁センサ4から半導体装置9への伝送経路が+B相と−B相との間でも位置が入れ替わっている。従って、回路基板5の構成を変更するだけで、感磁センサ4から半導体装置9に向かうループの向きを逆転させることができる。従って、誘導電圧の極性を途中で反転させて互いに相殺させることができるので、誘導ノイズの影響を緩和することができる。
【0064】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、感磁センサ4がマグネット20に対して回転中心軸線L方向で対向していたが、リング状のマグネット20の外周面あるいは外周面に感磁センサ4が対向しているセンサ装置10に本発明を適用してもよい。
【0065】
なお、上記実施の形態では、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、両面基板5の他方面502で位置が切り換わっている。このため、第3誘導電圧を第1誘導電圧と第2誘導電圧とによって打ち消す。これに対して、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))から半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))への伝送経路と、感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))から半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))への伝送経路とは、両面基板5の一方面501で位置が切り換わっている構成を採用してもよい。この場合、第1誘導電圧を第2誘導電圧と第3誘導電圧とによって打ち消すことになる。このような場合、回転中心軸線L方向からみたとき、感磁センサ用第1ランド(ランド51(+A))と感磁センサ用第2ランド(ランド51(−A))とを結ぶ仮想線に対して、半導体装置用第1ランド(ランド53(+A))と半導体装置用第2ランド(ランド53(−A))とを結ぶ仮想線、および第1スルーホール(スルーホール50(+A))と第2スルーホール(スルーホール50(−A))とを結ぶ仮想線のうちの少なくとも一組の仮想線が平行に延在している構成とする。説明を省略するが、B相も同様である。
【符号の説明】
【0066】
10・・磁気センサ装置
2・・回転体
4・・感磁センサ(センサIC)
5・・両面基板
9・・半導体装置(アンプIC)
40・・チップ(感磁センサ側チップ)
41〜44・・感磁膜
45・・素子基板
47・・感磁センサの素子基板(チップ)と出力端子との間の感磁センサ側配線
47(+A)・・感磁センサ側配線(感磁センサ側第1配線)
47(−A)・・感磁センサ側配線(感磁センサ側第2配線)
47(+B)・・感磁センサ側配線(感磁センサ側第1配線)
47(−B)・・感磁センサ側配線(感磁センサ側第2配線)
48・・感磁センサの出力端子
48(+A)・・出力端子(感磁センサの第1出力端子)
48(−A)・・出力端子(感磁センサの第2出力端子)
48(+B)・・出力端子(感磁センサの第1出力端子)
48(−B)・・出力端子(感磁センサの第2出力端子)
50・・スルーホール
50(+A)・・第1スルーホール
50(−A)・・第2スルーホール
50(+B)・・第1スルーホール
50(−B)・・第2スルーホール
51・・感磁センサ側のランド
51(+A)・・ランド(感磁センサ用第1ランド)
51(−A)・・ランド(感磁センサ用第2ランド)
51(+B)・・ランド(感磁センサ用第1ランド)
51(−B)・・ランド(感磁センサ用第2ランド)
52・・両面基板の配線
53・・半導体装置側のランド
53(+A)・・ランド(半導体装置用第1ランド)
53(−A)・・ランド(半導体装置用第2ランド)
53(+B)・・ランド(半導体装置用第1ランド)
53(−B)・・ランド(半導体装置用第2ランド)
54・・両面基板の配線
90・・アンプ部
93・・半導体装置のチップと入力端子との間のアンプ側配線
93(+A)・・アンプ側配線(アンプ側第1配線)
93(−A)・・アンプ側配線(アンプ側第2配線)
93(+B)・・アンプ側配線(アンプ側第1配線)
93(−B)・・アンプ側配線(アンプ側第2配線)
97・・半導体装置のチップ(アンプ側チップ)
98・・半導体装置の入力端子
98(+A)・・入力端子(半導体装置の第1入力端子)
98(−A)・・入力端子(半導体装置の第2入力端子)
98(+B)・・入力端子(半導体装置の第1入力端子)
98(−B)・・入力端子(半導体装置の第2入力端子)
501・・両面基板の一方面
502・・両面基板の他方面