(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1実施形態の概要
次に
図1(a)〜
図2(e)に示す第1実施形態の第1緊急油圧装置とそれを用いた第1緊急駆動装置により
図4〜
図7の基本構造について説明する。
【0016】
図1(a)において、第1緊急駆動装置20の主な構成は、油圧シリンダ31と、この油圧シリンダ31に作動圧油を供給する通常の油圧ユニット42で構成する通常駆動装置41と、災害時に緊急の作動圧油を発生し油圧シリンダ31に供給する緊急作動圧油を発生する緊急油圧装置43とで構成し、緊急油圧装置43を、大型構成部品であるタンクを油圧ユニット42と共用することで徹底した小型・軽量化を図り、いかなる通常駆動装置に対しも適用して緊急駆動装置に構成することを可能にするものである。
【0017】
緊急油圧装置
前記緊急油圧装置43は、油圧ユニット42のタンク47と油圧シリンダ31に接続し、災害発生時に緊急油圧源として機能する。その主な構成は、エンジンにより駆動される動力操作型の油圧ポンプを備えた緊急油圧源12と、この緊急油圧源12からの吐出作動圧油を制御する制御弁体50とで構成してある。
【0018】
この緊急油圧装置43は、緊急油圧源12の給油回路46bと制御弁体50の排出回路46a、油圧ユニット42のタンク47に接続し緊急時の作動圧油を発生する。この緊急時の作動圧油は、緊急油圧装置43の吐出側に接続する可撓性ホース26bと27bから油圧シリンダ31に設けた3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に接続する(
図4(a)に示す様に。)あるいは、油圧ユニット42の吐出側である通常給排回路48aと48bに設けた一連型多機能弁58aと59aに接続(
図4(c)に示す様に)して油圧シリンダ31に緊急作動油を給排する。
【0019】
前記可撓性ホース26bと27bは、
図4(b)に示すように設置型の場合は固定配管に接続される場合もある可撓性ホースを固定配管に接続しても機能が変わらないので、固定配管を含めて可撓性ホースと記載する。従って、本発明における可撓性ホースとは、緊急給排回路を構成する可撓性ホースと固定配管の全の総称とする。
【0020】
油圧ユニット
油圧ユニット42は、通常時に油圧シリンダ31に作動圧油を供給する通常駆動装置の油圧源装置であり、その主な構成は、タンク47とこのタンク47に接続し作動圧油を発生する油圧ポンプ45と、この油圧ポンプ45が吐出する作動圧油を制御する制御弁体51とで構成してあり、その吐出側が通常給排回路48aと48bから3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に作動圧油を供給する。
【0021】
前記油圧ユニット42を収納する筐体11は、その上部筐体11bに油圧ポンプ45と制御弁体51が収納設置され、その下にはタンク47を構成する下部筐体11aを設置した構成である。そして、前記上部筐体11bには、通常給排回路48aと48bが固定され、下部筐体11aのタンク47の給油口54には、排出回路46aと給油回路46bを取り付ける接続具56が設けられる場合もある。
【0022】
油圧シリンダ31に接続する油圧ユニット42の通常給排回路48aと48bは、3連型多機能弁35を介して油圧ユニット42の吐出側と油圧シリンダ31を連通する。この3連型多機能弁35は、油圧シリンダ31を保守する等の目的で設置されている場合が多いが、3連型多機能弁35が設置されていない場合、または、油圧シリンダ31が油圧ユニット42から遠方に設置されている場合などでは、上部筐体11bの近傍の通常給排回路48aと48bに一連型多機能弁58aと59a設置し
図4(c)に示すように前記3連型多機能弁35に代える場合もある。
【0023】
油圧シリンダ
油圧シリンダ31は、河川に設けたゲート装置32を作動させる動力設備であり、通常動作は油圧ユニット42からの作動圧油が通常給排回路48aと48bから3連型多機能弁35を経て供給されて作動する。なお、緊急油圧装置43からの作動圧油は、3連型多機能弁35または、一連型多機能弁58aと59aを介して供給される。
【0024】
各構成部分 詳細説明
次に、緊急駆動装置20を構成する各構成部分および付属部分について記載する。
【0025】
緊急油圧装置
図1(b)に示した緊急油圧装置43は、方向切換弁24を備えた制御弁体50と、動力操作型の油圧ポンプ22を備えた緊急油圧源12を備えており、動力操作型の油圧ポンプ22の給油回路46bと前記方向切換弁24の一方側(油圧ユニット42側)の排出回路46aの先端部分が、接続具56を介してタンク47の内部に沈められて接続される場合もある。なお先端部分の残圧維持弁46eと46fは、排出回路46aと給油回路46b内に低い圧力を残存させ空気の混入を防止するものである。
【0026】
前記方向切換弁24の他方側(油圧シリンダ31側)は、給排回路26と27とこの給排回路26と27に連結する可撓性ホース26bと27bを介して油圧シリンダ31に接続する構成である。
【0027】
前記した方向切換弁24は、中立位置24aにおいて給排回路26と27を閉鎖すると共に供給回路23aを排出回路46aに接続して供給回路23aをタンクに接続する。また、右切換位置24bに操作されると供給回路23aを給排回路26に接続すると共に給排回路27を排出回路46aに接続する。さらに、左切換位置24cに操作されると供給回路23aを給排回路27に接続し給排回路26を排出回路46aに接続する構成である。
【0028】
図1(b)に示した緊急油圧装置43の制御弁体50は、方向切換弁24のほかにロードチェック弁26dと27dとカウンタバランス弁26gを備え、これらの弁が、方向切換弁24が操作されたときに発生する油圧シリンダ31の作動を安定するように制御する。
【0029】
緊急油圧装置43の出力側に接続してある可撓性ホース26bの油圧シリンダ継手16bと可撓性ホース27bの油圧シリンダ継手17bは、その内部に逆止弁を備え分離されたとき自動的に閉鎖する機能を備えた構造である。この種の油圧シリンダ用継手は、雄型継手と雌型継手により構成してあり、同種の継手は接続できない構成である。そのために、油圧シリンダ継手16bと油圧シリンダ継手17bを異種構造にすることで緊急事態における接続誤りを防止する構成にしてある。
【0030】
また、緊急油圧装置43は、
図1(b)に示していないが、緊急油圧源12と方向切換弁24と制御弁体50を一体化した構成であり、
図4(b)に示すように定置型の油圧装置55aと、
図5(a)に示すように車輪を備え搬送可能な可搬型の緊急油圧装置55bの種別がある。
【0031】
このように、緊急油圧装置43は、その緊急油圧源12とその方向切換弁24の一方側を油圧ユニット42に接続し、方向切換弁24の他方側を油圧シリンダ31に接続と分離を可能にした構成であり
図4〜
図7に示すように通常駆動装置の設置状況あるいは設置する目的に対応可能としたものである。
【0032】
油圧ユニット
図1(c)に示した油圧ユニット42は、タンク47とこのタンク47から作動油を吸引する油圧ポンプ45と速度制御弁51a、51bとロードチェック弁51cと方向切換弁49とで構成し、油圧ポンプ45が吐出する作動圧油を方向切換弁49で通常給排回路48aと48bに給排制御して油圧シリンダ31を操作する構造である。
【0033】
すなわち、油圧ポンプ45が吐出する作動圧油を制御する方向切換弁49は、それが中立位置49aにある時前記作動圧油をタンク47に還流し、給排回路26と給排回路27を閉鎖するので、油圧ポンプ45はアンロードされ、油圧シリンダ31をその位置に保持する。次に右切換位置49bに操作すると、油圧ポンプ45を給排回路26に接続し給排回路27をタンク47に接続する。また、左切換位置49cに操作すると、油圧ポンプ45を給排回路27に接続し給排回路26をタンク47に接続する。すなわち、方向切換弁49は、それを操作することで油圧ポンプ45が吐出する作動圧油を制御して油圧シリンダ31の作動を操作する。
【0034】
なお、制御弁体51のロードチェック弁51cは、方向切換弁49の切換操作時の油圧シリンダ31の作動を安定化させるものであり、速度制御弁51aと51bは、油圧シリンダ31の作動速度を制限するものである。
【0035】
前記した油圧ユニット42の通常給排回路48aと48bは、油圧シリンダ31に設けた3連型多機能弁35に接続する。なお、既に述べたように、通常給排回路48aと48bに設けた一連型多機能弁58aと59aを介して油圧シリンダ31に緊急油圧装置43の作動動圧油を給排する場合もある。
【0036】
前記通常給排回路48aと48bに可撓性ホース26bと27bを接続するための一連型多機能弁58aと59aを設置する場合は、油圧ユニット42の筐体11と油圧シリンダ31の設置場所が遠方であり3連型多機能弁35に接続しにくい場合、または、3連型多機能弁35を備えていない場合等である。
【0037】
油圧ユニット42は、
図1(d)に示すように下部筐体11aと上部筐体11bとで構成される筐体11に収納されており、下部筐体11aに作動油を貯留するタンク47を構成すると共に、油圧ポンプ45と制御弁体51を収納した上部筐体11bが上部に設けてある。また、この上部筐体11bには、扉13aと13bを備えており、その内部に設けた各部品の点検および下部筐体11aのタンク47の給油
口54や接続具56を点検及び目視できる構造である。
【0038】
上部筐体11bには、その外部に通常給排回路48aと48bが設けてある。なお、前記通常給排回路48aと48bには必要に応じて一連型多機能弁58aと59aが設けられる場合がある。また、前記上部筐体11bの下部に形成された下部筐体11aは、タンク47を構成する共にその上部に給油口54を備えると共にこの給油口54に接続具56が取り付けてある。
【0039】
油圧シリンダ 3連型多機能弁
油圧シリンダ31は、
図2(a)〜(c)に示すように、ロッド31bを下側にして設置されその中央に3連型多機能弁35を固定した構成である。また、前記3連型多機能弁35は、その一方に通常給排回路48aと48bが接続し、他方に可撓性ホース26bと27bを接続する継手38aと38bを備えた構成である。
【0040】
前記通常給排回路48aは、そのキャップ側回路31cに第1止弁35cを介して接続すると共に継手38aが連通する構成である。また、通常給排回路48bは、そのロッド側回路31dに第2止弁35dを介して接続すると共に継手38bが連通する構成である。
【0041】
前記3連型多機能弁35に設けた継手38aは、自動閉鎖機能つきの継手であり、可撓性ホース26bの油圧シリンダ継手16bが着脱される。同様に継手38bも自動閉鎖機能つきの継手であり、可撓性ホース27bの油圧シリンダ継手17bが着脱される。
【0042】
3連型多機能弁35の第1止弁35cと第2止弁35dの閉鎖は、通常給排回路48aと48bを閉鎖するものであり、油圧ユニット42と油圧シリンダ31との間が遮断され、可撓性ホース26bと27bにより緊急油圧装置43と油圧シリンダ31が接続する機能を有する。このように、3連型多機能弁35は、その操作により油圧シリンダ31を油圧ユニット42から緊急油圧装置43に切換接続する機能を有する。
【0043】
また、第3止弁35hは、第1止弁35cと第2止弁35dで油圧シリンダ31と油圧ユニット42の間を遮断して、これを開くことで通常給排回路48aと48bをフラッシングすることが出来る。なお、連型多機能弁35は、出願人の特許第3696850号であるので詳細な説明は省く。
【0044】
一連型多機能弁
次に
図2(d)に外形を示し
図2(e)に回路図を示す一連型多機能弁58aと59aについて説明する。なお、一連型多機能弁58aと59aは同一構造であるから、一連型多機能弁58aについて説明し、一連型多機能弁59aは、( )内に符号を記載して表しその説明を省く。
【0045】
図2(d)に示した様に、油圧ユニット42の吐出回路である通常給排回路48aに設置してある一連型多機能弁58aは、弁体内に設けた止弁62aで構成してあり、この止弁62aの下流側給排回路48c(油圧シリンダ31側)に連通する自動閉鎖機能を有するポート63aが設けてある。この自動閉鎖機能を有するポート63aは、油圧シリンダ継手16bが接続される構成である。
【0046】
上記の構成である一連型多機能弁58aは、その止弁62aを閉鎖することで、油圧ユニット42と油圧シリンダ31との間を遮断し、その自動閉鎖機能を有するポート63aに可撓性ホース26bを接続することで、油圧シリンダ31と緊急油圧装置43を接続する機能を有する。
【0047】
なお、前記一連型多機能弁58aと59aの止弁62aと62b及び3連型多機能弁35の第1止弁35cと第2止弁35d及び第3止弁35hは、通常外されているハンドル操作で開閉操作される構成であり、特定の人による操作により誤操作しないように構成してある。
【0048】
緊急油圧装置とタンクの接続
次に、油圧ユニット42のタンク47と緊急油圧装置43との接続構造について
説明する。
【0049】
緊急油圧装置43の方向切換弁24に接続する排出回路46aと緊急油圧源12に接続する給油回路46bと油圧ユニット42のタンク47の接続は、
図4(a)〜(d)に示される様に、油圧ユニット42を新規製造時に設置された配管を介して接続する構成(固定構造)と、
図5(a)〜(d)に示される様に、災害の発生時に給油口54に挿入される可撓性ホースを介して接続される構造(挿入構造)、および、
図6(a)〜(d)に示すように既設の油圧ユニット42の給油口54を改造するために接続具56により接続される構造、と
図7(a)〜(d)に示すように、接続具56と筐体11に配管を固定しておき、その配管に可撓性ホースで接続する(半固定構造)、がある。なお排出回路46aと給油回路46bは各緊急駆動装置に示されるように、可撓性ホース及び固定配管などで構成されるものであるが、これらを総称して給油回路46bと排出回路46aと記載し必要に応じて管、可撓性ホースなどの名称を使用する場合もある。
【0050】
前記した固定構造は、筐体11を新規に制作するときフランジで取り付ける構造であり、挿入構造は、タンク47の給油口54に挿入する構造であるから取り立てて説明する必要もないのでそれを利用した各緊急駆動装置において説明し、半固定装置に用いる接続具56について
図3(a)(b)により説明する。
【0051】
接続具56は、エヤーブリーザ56aの下部に接続ブロック57aを設け、ボルト57hで給油口54に固定する構造である。
【0052】
前記接続ブロック57aは、緊急油圧装置43の給油回路46bが接続される継手ポート57bと、排出回路46aが接続される継手ポート57cと、タンク47の内部をエヤーブリーザ56aに接続する通路57dと、継手ポート57cに接続し給油口54を貫通してタンク47の内部に伸びる管57eと、継手ポート57bに接続し給油口54を貫通してタンク47の内部に伸びる管57fとを有する構造である。
【0053】
上記の構造を有する接続具56は、管57eと管57fにより、緊急油圧装置43の緊急油圧源12と方向切換弁24にタンク47の作動油を給排する。また、タンク47内の空気は、接続ブロック57aの通路57dからエヤーブリーザ56aを介して大気に給排される機能を有する。従って、緊急油圧装置43と油圧ユニット42のタンク47を接続すると共に、タンク47内へ大気の給排を行なう。
【0054】
各緊急駆動装置
次に第1実施形態の緊急油圧装置と油圧ユニット42と油圧シリンダ31で構成する通常駆動装置とを組み合わせた各種の緊急駆動装置を
図4〜
図7に基づいて説明する。なお各緊急駆動装置の上面図は、筐体11の上部筐体11bを省いて緊急油圧装置への配管関係をわかり易い様にしてある。
【0055】
第2緊急駆動装置
図4(a)(b)に示した第2緊急駆動装置105は、緊急油圧装置43を定置型にした定置型の緊急油圧装置55aと、油圧ユニット42を収納した筐体11と、油圧シリンダ31とで構成した常設型の緊急駆動装置である。
【0056】
前記第2緊急駆動装置105は、定置型の緊急油圧装置55aの排出回路46aと給油回路46bを
図4(a)(b)に示すように、油圧ユニット42の上部筐体11bの側面に設けた固定スタンド105aに固定した配管105eと配管105fを経てフランジ105c、105dによりタンク47と接続し、また、定置型の緊急油圧装置55aの出力側の可撓性ホース26bと27bを3連型多機能弁35に接続すると共に、油圧ユニット42の通常給排回路48aと48bも3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に接続する構成である。
【0057】
震災などの停電時において、まず3連型多機能弁35により油圧シリンダ31と通常給排回路48aと48b間を3連型多機能弁35の第1止弁35cと第2止弁35dにより閉鎖する。その後可撓性ホース26bと27bを3連型多機能弁35に接続することにより第2緊急駆動装置105が構成される。
【0058】
次に定置型の緊急油圧装置55aを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して3連型多機能弁35より油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0059】
第3緊急駆動装置
図4(c)(d)に示した第3緊急駆動装置106は、定置型の緊急油圧装置55aの可撓性ホース26bと27bを通常給排回路48aと48bに設けた一連型多機能弁58aと59aに連結した構成が前記第2緊急駆動装置105と相違する。
【0060】
上記以外の構成は、第2緊急駆動装置105と同一構成であるから、同一符号を記載してその説明を省く。
【0061】
震災などの停電時において、まず通常給排回路48aと48bの一連型多機能弁58aと59aの止弁62aと止弁62bにより閉弁操作して油圧シリンダ31と油圧ユニット42の間を遮断し、その後可撓性ホース26bと27bを一連型多機能弁58aと59aに接続することにより第3緊急駆動装置106が構成される。
【0062】
次に定置型の緊急油圧装置55aを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して一連型多機能弁58aと59aから通常給排回路48aと48bを経て油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0063】
第2第3の緊急駆動装置の特徴と比較
第2、第3緊急駆動装置は、定置型の緊急油圧装置55aを筐体11に沿って常設する構造であるから、既設の設備に適用するには改良する部分が多く、新設の設備と同様に、緊急駆動装置が設置された設備が得られる。従って、震災等による停電時に緊急駆動装置を極めて簡単に構成でき緊急油圧装置を作動させるだけで緊急時の対応が可能となる。
【0064】
さらに、第2、第3緊急駆動装置は、常時設置されており極めて簡単に構成できるので、必要に応じて作動させ、災害時に備えて訓練ができるから機器の操作が周知され災害発生時にスムーズな対応が可能となる。
【0065】
第2緊急駆動装置105は、定置型の緊急油圧装置55aの吐出圧油を直接油圧シリンダ31に給排するので高い安全性を有するが、筐体11と油圧シリンダ31の設置場所が離れている場合に不便である。この点、第3緊急駆動装置106は、筐体11の近くに設けた一連型多機能弁58a、59aを利用するものであるから筐体11と油圧シリンダ31の設置場所が離れている場合でも設置できる。
【0066】
第4緊急駆動装置
図5(a)(b)に示した第4緊急駆動装置107は、緊急油圧装置43を移動できるように構成した可搬型の緊急油圧装置55bと、油圧ユニット42を収納した筐体11と、油圧シリンダ31とで構成してある。
【0067】
前記第4緊急駆動装置107は、可搬型の緊急油圧装置55bの排出回路46aと給油回路46bを構成する可撓性ホースを、
図5(a)に示すように上部筐体11bの扉13aを開いて下部筐体11aの給油口54を目視できるようにしてエヤーブリーザを外し、給油口54からタンク47に挿入して可搬型の緊急油圧装置55bとタンク47を接続し、また、可搬型の緊急油圧装置55bの可撓性ホース26bと27bを、3連型多機能弁35に接続する共に、油圧ユニット42の通常給排回路48aと48bも3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に接続する構成である。
【0068】
上記構成の第4緊急駆動装置107は、震災等による停電の発生時に構成されるものである。すなわち、通常時は、可搬型の緊急油圧装置55bと油圧シリンダ31及び筐体11を接続しないで震災等による停電の発生時に接続して構成するものである。
【0069】
震災等による停電の停電時において、上部筐体11bの扉13bを開き、可搬型の緊急油圧装置55bの排出回路46aと給油回路46bを給油口54からタンク47に挿入して可搬型の緊急油圧装置55bをタンク47に接続する。次に、可搬型の緊急油圧装置55bの吐出側の可撓性ホース26bと27bを油圧シリンダ31の3連型多機能弁35に接続することで、第4緊急駆動装置107を構成する。
【0070】
次に3連型多機能弁35の第1止弁35cと第2止弁35dにより油圧シリンダ31と通常給排回路48aと48b間を閉鎖し、可搬型の緊急油圧装置55bを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して3連型多機能弁35より油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0071】
第5緊急駆動装置
図5(c)(d)に示した第5緊急駆動装置108は、可搬型の緊急油圧装置55bの可撓性ホース26bと27bを通常給排回路48aと48bに設けた一連型多機能弁58aと59aに連結した構成が前記第4緊急駆動装置107と相違する。
【0072】
上記以外の構成は、第4緊急駆動装置107と同一構成であるから、同一符号を記載してその説明を省く。
【0073】
震災などの停電時において、上部筐体11bの扉13bを開き、可搬型の緊急油圧装置55bの排出回路46aと給油回路46bを給油口54からタンク47に挿入して可搬型の緊急油圧装置55bをタンク47に接続する。次に、可搬型の緊急油圧装置55bの吐出側の可撓性ホース26bと27bを通常給排回路48aと48bに設けた一連型多機能弁58aと59aに連結し第5緊急駆動装置108を構成する。
【0074】
次に一連型多機能弁58aと59aの止弁62bと62bにより油圧シリンダ31と通常給排回路48aと48b間を閉鎖し、可搬型の緊急油圧装置55bを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して一連型多機能弁58aと59aより油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0075】
第4第5の緊急駆動装置の特徴と比較
このように第4、第5緊急駆動装置は、可搬型の緊急油圧装置55bを用いて、震災等による停電が発生した後に構成するものであるから、通常は第4、第5緊急駆動装置を構成するのに必要な機器を倉庫に収納することが出来るので、筐体11が設置される場所が狭いところに利用できる。また、第4第5緊急駆動装置107を構成するのに筐体11に全く改良を加え無いので簡単に改良できる。
【0076】
第4緊急駆動装置107は、可搬型の緊急油圧装置55bの吐出圧油を直接油圧シリンダ31給排するので高い安全性を有するが、筐体11と油圧シリンダ31の設置場所が離れている場合に不便である。この点、第5緊急駆動装置108は、緊急時に通常給排回路48aと48bと、筐体11の近くに設けた一連型多機能弁58aと58を利用するものであるから第5緊急駆動装置108を迅速性に設置できる相違点がある。
【0077】
第6緊急駆動装置
図6(a)(b)に示した第6緊急駆動装置109は、緊急油圧装置43を定置型に構成した定置型の緊急油圧装置55aと、油圧ユニット42を収納した筐体11と、油圧シリンダ31とで構成してある。
【0078】
前記第6緊急駆動装置は、定置型の緊急油圧装置55aの排出回路46aと給油回路46bを、
図6(a)(b)に示すように、油圧ユニット42の上部筐体11bの側面に設けた固定スタンド109aを介して接続具56の接続ブロック57aに固定した配管109eと配管109fを経てタンク47と接続し、また、定置型の緊急油圧装置55aの可撓性ホース26bと27bを、3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に接続すると共に、油圧ユニット42の通常給排回路48aと48bも3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に接続する構成である。
【0079】
震災などの停電時において、まず3連型多機能弁35により油圧シリンダ31と通常給排回路48aと48b間を第1止弁35cと第2止弁35dにより閉鎖する。その後可撓性ホース26bと27bを3連型多機能弁35に接続することにより第6緊急駆動装置109が構成される。
【0080】
次に定置型の緊急油圧装置55aを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して3連型多機能弁35より油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0081】
第7緊急駆動装置
図6(c)(d)に示した第7緊急駆動装置110は、定置型の緊急油圧装置55aの可撓性ホース26bと27bを通常給排回路48aと48bに設けた一連型多機能弁58aと59aに連結した構成が前記第6緊急駆動装置109の構成と相違する。
【0082】
上記以外の構成は、第6緊急駆動装置109と同一構成であるから、同一符号を記載してその説明を省く。
【0083】
震災などの停電時において、まず通常給排回路48aと48bの一連型多機能弁58aと59aを止弁62aと62bにより閉弁操作して油圧シリンダ31と油圧ユニット42の間を遮断し、その後可撓性ホース26b、27bを一連型多機能弁58aと59aに接続することにより第7緊急駆動装置110が構成される。
【0084】
次に定置型の緊急油圧装置55aを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して一連型多機能弁58aと59aから通常給排回路48aと48bを経て3連型多機能弁35から油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0085】
第6第7の緊急駆動装置の特徴と比較
第6緊急駆動装置109と第7緊急駆動装置110は、接続具56の使用により給油口54の利用が可能である。すなわち、接続具56は、給油口54に設置されていたエヤーブリーザ56aの取付部に設置すればよいので、既存の設備を極めて容易に改良できる。
【0086】
第6緊急駆動装置109は、定置型の緊急油圧装置55aの吐出圧油を直接油圧シリンダ31給排するので高い安全性を有するが、筐体11と油圧シリンダ31の設置場所が離れている場合に不便である。この点、第7緊急駆動装置110は、緊急時に通常給排回路48aと48bを利用するから、筐体11の近くに設けた一連型多機能弁58a、58を利用するものであるから緊急時に対応できるので迅速性に優れている相違点がある。
【0087】
第8緊急駆動装置
図7(a)(b)に示した第8緊急駆動装置111は、緊急油圧装置43を可搬型に構成した可搬型の緊急油圧装置55bと、油圧ユニット42を収納した筐体11と、油圧シリンダ31とで構成してある。
【0088】
前記第8緊急駆動装置は、可搬型の緊急油圧装置55bの排出回路46aと給油回路46bを
図7(a)(b)に示すように、油圧ユニット42の上部筐体11bの側面に設けた自動閉鎖機能付の継手111aと111bを介して接続具56の接続ブロック57aに固定した配管111eと111fを経てタンク47と接続する。また、可搬型の緊急油圧装置55bの可撓性ホース26bと27bが3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に接続されている。さらに、油圧ユニット42の通常給排回路48aと48bを、3連型多機能弁35を介して油圧シリンダ31に接続する構成である。
【0089】
震災などの停電時において、まず3連型多機能弁35により油圧シリンダ31と通常給排回路48aと48b間を閉鎖する。次に排出回路46aと給油回路46bを継手111aと111bに接続し、さらに可撓性ホース26bと可撓性ホース27bを3連型多機能弁35に接続することで第8緊急駆動装置111を構成する。
【0090】
次に、可搬型の緊急油圧装置55bを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して3連型多機能弁35より油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0091】
第9緊急駆動装置
図7(c)(d)に示した第9緊急駆動装置112は、可搬型の緊急油圧装置55bの可撓性ホース26bと27bを通常給排回路48aと48bに設けた一連型多機能弁58aと一連型多機能弁59aに連結した構成が前記第8緊急駆動装置111と相違する。
【0092】
上記以外の構成は、第8緊急駆動装置111と同一構成であるから、同一符号を記載してその説明を省く。
【0093】
震災などの停電時において、まず一連型多機能弁58aと59aを操作して油圧シリンダ31と通常給排回路48aと48b間を止弁62aと62bにより閉鎖する。次に排出回路46aと給油回路46bを継手111aと111bに接続し、さらに可撓性ホース26bと可撓性ホース27bを一連型多機能弁58aと59aに接続することで第8緊急駆動装置111を構成する。
【0094】
次に、可搬型の緊急油圧装置55bを作動させタンク47の作動油から作動圧油を発生する。この作動圧油は、可撓性ホース26bと27bを介して一連型多機能弁58aと59aから通常給排回路48aと48bを経て油圧シリンダ31に供給されるので、停電時においても油圧シリンダ31を操作することが出来る。
【0095】
第8第9の緊急駆動装置の特徴と比較
第8緊急駆動装置111と第9緊急駆動装置112は、下部筐体11aの上面に設けた継手111aと111bと給油口54を配管で固定接続した構成により、タンク47と可搬型の緊急油圧装置55bとタンク47の接続と分離を、前記継手111aと継手111bで必用な時にできる構成であるから、可搬型の緊急油圧装置55bを震災発生時に油圧ユニット42bに結合して緊急駆動装置を構成できるので、必要に応じて迅速に構成でき且つ設置箇所が狭い場所に適する。
【0096】
第8緊急駆動装置111は、可搬型の緊急油圧装置55bの吐出圧油を直接油圧シリンダ31給排するので高い安全性を有するが、筐体11と油圧シリンダ31の設置場所が離れている場合に不便である。この点、第9緊急駆動装置112は、緊急時に通常給排回路48aと48bを利用するから、筐体11の近くに設けた一連型多機能弁58a、58を利用するものであるから緊急時に対応できるので迅速性に優れている相違点がある。